JP2713000B2 - 制振鋼板のレーザ溶接方法 - Google Patents
制振鋼板のレーザ溶接方法Info
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- JP2713000B2 JP2713000B2 JP4051824A JP5182492A JP2713000B2 JP 2713000 B2 JP2713000 B2 JP 2713000B2 JP 4051824 A JP4051824 A JP 4051824A JP 5182492 A JP5182492 A JP 5182492A JP 2713000 B2 JP2713000 B2 JP 2713000B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、制振鋼板の突合せ継手
のブローホールを防止したレーザ溶接方法に関する。
のブローホールを防止したレーザ溶接方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】制振鋼板は２枚の鋼板の間に薄い樹脂層
をサンドイッチした構造を持つ複合材料であり、防音・
防振機能を有するため振動発生源の筐体等に幅広く利用
されている。かかる制振鋼板を突合せ溶接する場合、中
間の樹脂層が絶縁物であるため、アーク溶接ではアーク
が不安定になり、また溶接熱により樹脂層が蒸発し、そ
の樹脂の蒸気が溶融金属中に混入して継手に多数のブロ
ーホールやピットなどを発生させる。したがって、アー
ク溶接で制振鋼板の突合せ溶接をすることはほとんど不
可能であり、通常は、例えば特公平６２−１９７５３号
公報に示すように、連結のための普通鋼板を用い、この
普通鋼板と制振鋼板を重ね隅肉継手で溶接する方法をと
っている。しかしながら、このような従来法では連結用
の普通鋼板が必要なため、溶接個所が増加するだけでな
く、この部分で制振性能を低下させたり、板厚が厚くな
ったりする。
をサンドイッチした構造を持つ複合材料であり、防音・
防振機能を有するため振動発生源の筐体等に幅広く利用
されている。かかる制振鋼板を突合せ溶接する場合、中
間の樹脂層が絶縁物であるため、アーク溶接ではアーク
が不安定になり、また溶接熱により樹脂層が蒸発し、そ
の樹脂の蒸気が溶融金属中に混入して継手に多数のブロ
ーホールやピットなどを発生させる。したがって、アー
ク溶接で制振鋼板の突合せ溶接をすることはほとんど不
可能であり、通常は、例えば特公平６２−１９７５３号
公報に示すように、連結のための普通鋼板を用い、この
普通鋼板と制振鋼板を重ね隅肉継手で溶接する方法をと
っている。しかしながら、このような従来法では連結用
の普通鋼板が必要なため、溶接個所が増加するだけでな
く、この部分で制振性能を低下させたり、板厚が厚くな
ったりする。
【０００３】一方、レーザ溶接で制振鋼板の突合せ溶接
をした場合、上記アーク溶接と同様に樹脂が蒸発し、そ
の蒸気が溶融池内に侵入し、継手の欠陥が発生する。
をした場合、上記アーク溶接と同様に樹脂が蒸発し、そ
の蒸気が溶融池内に侵入し、継手の欠陥が発生する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザ
溶接の場合、高速度でかつ狭ビード幅で溶接すると、樹
脂の蒸発量が減少するため制振鋼板の突合せ溶接が可能
になるが、反面、樹脂の蒸発した炭素を溶接部に含有す
る結果、溶接部の炭素含有量が多くなって継手の延性が
大きく低下するという課題があった。
溶接の場合、高速度でかつ狭ビード幅で溶接すると、樹
脂の蒸発量が減少するため制振鋼板の突合せ溶接が可能
になるが、反面、樹脂の蒸発した炭素を溶接部に含有す
る結果、溶接部の炭素含有量が多くなって継手の延性が
大きく低下するという課題があった。
【０００５】本発明は、上記のような突合せ継手の欠陥
を防止するとともに、継手の延性を向上させることがで
きる制振鋼板のレーザ溶接方法を得ることを目的とす
る。
を防止するとともに、継手の延性を向上させることがで
きる制振鋼板のレーザ溶接方法を得ることを目的とす
る。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明に係る制振鋼板の
レーザ溶接方法は、制振鋼板同士または制振鋼板と通常
の金属板との突合せレーザ溶接法であって、その突合せ
部の樹脂層を、まずデフォーカスレーザビームの照射で
蒸発させて除去し、しかるのちフォーカスレーザビーム
（溶接用の集光レーザビーム）で該突合せ部を溶接する
こととしたものである。
レーザ溶接方法は、制振鋼板同士または制振鋼板と通常
の金属板との突合せレーザ溶接法であって、その突合せ
部の樹脂層を、まずデフォーカスレーザビームの照射で
蒸発させて除去し、しかるのちフォーカスレーザビーム
（溶接用の集光レーザビーム）で該突合せ部を溶接する
こととしたものである。
【０００７】
【作用】突合せ部にデフォーカスレーザビームを照射す
ることにより、その予熱効果で突合せ部近傍の樹脂層が
蒸発し除去される。その後、通常のフォーカスレーザビ
ームで溶接すれば、樹脂の蒸気が溶融池内に侵入するこ
とがなく、継手の炭素含有量が著しく減少する。よっ
て、継手の延性が向上し、欠陥の少ない良好な継手が得
られる。
ることにより、その予熱効果で突合せ部近傍の樹脂層が
蒸発し除去される。その後、通常のフォーカスレーザビ
ームで溶接すれば、樹脂の蒸気が溶融池内に侵入するこ
とがなく、継手の炭素含有量が著しく減少する。よっ
て、継手の延性が向上し、欠陥の少ない良好な継手が得
られる。
【０００８】
【実施例】図１は本発明の一実施例を示す説明図であ
り、図中、１，２は突合せ部３を構成する制振鋼板、４
は制振鋼板１，２の樹脂層である。まず、図１（ａ）の
ように制振鋼板１と制振鋼板２を突き合わせ、その突合
せ部３にデフォーカスレーザビーム１０を照射する。突
合せ部３はデフォーカスレーザビーム１０の照射により
４００℃程度以上に予熱されるため、突合せ部３近傍の
樹脂層４が蒸発し、その蒸気５は矢印で示すように突合
せ部３の隙間を通って外部に排出され、後に樹脂が除去
された空洞部６が残る。なお、樹脂の蒸気を排出しやす
くするため、突合せ部３の隙間を少しあけ、溶接時に正
常の突合せ状態にセットするという方法でもよい。次い
で、図１（ｂ）に示すように、集光した溶接用のフォー
カスレーザビーム１１で樹脂層４の除去された突合せ部
３を溶接する。突合せ部３には樹脂層４が無いため、溶
接時、樹脂の蒸気はほとんど発生しない。したがって、
溶融池内に樹脂の蒸気が侵入することもなく、樹脂中の
炭素が固溶することもないので、突合せ継手７にブロー
ホールやピット等の欠陥が発生せず、良好なビード形状
が得られる。また継手７の炭素含有量が低減する結果、
継手７の延性も母材レベル程度に向上する。
り、図中、１，２は突合せ部３を構成する制振鋼板、４
は制振鋼板１，２の樹脂層である。まず、図１（ａ）の
ように制振鋼板１と制振鋼板２を突き合わせ、その突合
せ部３にデフォーカスレーザビーム１０を照射する。突
合せ部３はデフォーカスレーザビーム１０の照射により
４００℃程度以上に予熱されるため、突合せ部３近傍の
樹脂層４が蒸発し、その蒸気５は矢印で示すように突合
せ部３の隙間を通って外部に排出され、後に樹脂が除去
された空洞部６が残る。なお、樹脂の蒸気を排出しやす
くするため、突合せ部３の隙間を少しあけ、溶接時に正
常の突合せ状態にセットするという方法でもよい。次い
で、図１（ｂ）に示すように、集光した溶接用のフォー
カスレーザビーム１１で樹脂層４の除去された突合せ部
３を溶接する。突合せ部３には樹脂層４が無いため、溶
接時、樹脂の蒸気はほとんど発生しない。したがって、
溶融池内に樹脂の蒸気が侵入することもなく、樹脂中の
炭素が固溶することもないので、突合せ継手７にブロー
ホールやピット等の欠陥が発生せず、良好なビード形状
が得られる。また継手７の炭素含有量が低減する結果、
継手７の延性も母材レベル程度に向上する。
【０００９】なお、レーザビームは１つの溶接ヘッドで
最初はデフォーカスビームに、次いでフォーカスビーム
にするといった方法で照射してもよいし、複数の溶接ヘ
ッドをタンデムに配置し、先行溶接ヘッドをデフォーカ
スビーム用に、後行溶接ヘッドをフォーカスビーム用と
して実施してもよい。突合せ溶接されるべき母材は、少
なくとも一方が制振鋼板であればよく、実施例のように
制振鋼板同士だけでなく、制振鋼板と通常の金属板との
突合せ溶接にも本発明を適用することができる。
最初はデフォーカスビームに、次いでフォーカスビーム
にするといった方法で照射してもよいし、複数の溶接ヘ
ッドをタンデムに配置し、先行溶接ヘッドをデフォーカ
スビーム用に、後行溶接ヘッドをフォーカスビーム用と
して実施してもよい。突合せ溶接されるべき母材は、少
なくとも一方が制振鋼板であればよく、実施例のように
制振鋼板同士だけでなく、制振鋼板と通常の金属板との
突合せ溶接にも本発明を適用することができる。
【００１０】次に具体的実施例について述べる。母材材
料及びレーザ照射条件を下記のとおりとして実験した。 ａ．母材材料 Ａ：熱硬化性樹脂制振鋼板（エポキシ樹脂層の制振鋼
板）（鋼板０．４mm厚×樹脂層５０μｍ厚×鋼板０．４
mm厚） Ｂ：熱可塑性樹脂制振鋼板（ポリエチレン樹脂層の制振
鋼板）（鋼板０．４mm厚×樹脂層５０μｍ厚×鋼板０．
４mm厚） ｂ．レーザ照射条件 (i) デフォーカスビーム ＣＯ2 レーザ 出力２ｋｗ ビーム径 ３mm ビーム走査速度 ４ｍ／min (ii)フォーカスビーム ＣＯ2 レーザ 出力３ｋｗ ビーム径 ０．２mm ビーム走査速度 １〜１２ｍ／min 実験結果を図２に示す。図２は従来法と本発明法を比較
したものであり、欠陥の無い継手が得られるビーム走査
速度の範囲を斜線部で示してある。なお、従来法は上記
ｂ(i) は適用せず、直接ｂ(ii)の条件で溶接を実施した
ものである。また、表１に溶接部のビッカース硬さ、炭
素含有量（ｗｔ／％），全伸び（％），及び欠陥の有無
について比較した結果を示す。ただし、レーザ出力３ｋ
ｗ，溶接速度６ｍ／min の条件で突合せ継手を作成し、
その引張試験片は図３に示すように、ＪＩＳ Ｚ ２２
０１により作成した。
料及びレーザ照射条件を下記のとおりとして実験した。 ａ．母材材料 Ａ：熱硬化性樹脂制振鋼板（エポキシ樹脂層の制振鋼
板）（鋼板０．４mm厚×樹脂層５０μｍ厚×鋼板０．４
mm厚） Ｂ：熱可塑性樹脂制振鋼板（ポリエチレン樹脂層の制振
鋼板）（鋼板０．４mm厚×樹脂層５０μｍ厚×鋼板０．
４mm厚） ｂ．レーザ照射条件 (i) デフォーカスビーム ＣＯ2 レーザ 出力２ｋｗ ビーム径 ３mm ビーム走査速度 ４ｍ／min (ii)フォーカスビーム ＣＯ2 レーザ 出力３ｋｗ ビーム径 ０．２mm ビーム走査速度 １〜１２ｍ／min 実験結果を図２に示す。図２は従来法と本発明法を比較
したものであり、欠陥の無い継手が得られるビーム走査
速度の範囲を斜線部で示してある。なお、従来法は上記
ｂ(i) は適用せず、直接ｂ(ii)の条件で溶接を実施した
ものである。また、表１に溶接部のビッカース硬さ、炭
素含有量（ｗｔ／％），全伸び（％），及び欠陥の有無
について比較した結果を示す。ただし、レーザ出力３ｋ
ｗ，溶接速度６ｍ／min の条件で突合せ継手を作成し、
その引張試験片は図３に示すように、ＪＩＳ Ｚ ２２
０１により作成した。
【００１１】
【表１】
【００１２】図２から明らかなように、本発明法は従来
法に比べて無欠陥継手を得るビーム走査速度の適用範囲
が著しく広い。溶接速度を従来以上に速くできる。ま
た、表１によれば、本発明法では継手の炭素含有量及び
硬さが著しく低減しており、全伸びが母材と同じになっ
た。
法に比べて無欠陥継手を得るビーム走査速度の適用範囲
が著しく広い。溶接速度を従来以上に速くできる。ま
た、表１によれば、本発明法では継手の炭素含有量及び
硬さが著しく低減しており、全伸びが母材と同じになっ
た。
【００１３】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、溶接条件
の適用範囲が大巾に拡大し、突合せ継手の延性が母材レ
ベルに向上するという効果が得られる。また、本発明は
突合せ部の樹脂層を実際のレーザ溶接に先立って物理的
に除去するものであるから、除去された樹脂層の範囲が
狭く、かつ狭ビード幅で溶接できるため、制振性能を低
下させることなく効率の良い良好な突合せ溶接ができ
る。
の適用範囲が大巾に拡大し、突合せ継手の延性が母材レ
ベルに向上するという効果が得られる。また、本発明は
突合せ部の樹脂層を実際のレーザ溶接に先立って物理的
に除去するものであるから、除去された樹脂層の範囲が
狭く、かつ狭ビード幅で溶接できるため、制振性能を低
下させることなく効率の良い良好な突合せ溶接ができ
る。
【図１】本発明の一実施例を示す説明図である。
【図２】本発明法と従来法のビーム走査速度の比較結果
を示す図である。
を示す図である。
【図３】突合せ継手の引張試験片を示す図である。
１，２ 制振鋼板 ３ 突合せ部 ４ 樹脂層 ５ 樹脂の蒸気 ６ 空洞部（樹脂除去部） ７ 突合せ継手 １０ デフォーカスレーザビーム １１ フォーカスレーザビーム
Claims (1)
- 【請求項１】 制振鋼板の突合せ溶接において、 突合せ部にデフォーカスレーザビームを照射し、該突合
せ部近傍の樹脂層を蒸発させて除去した後、フォーカス
レーザビームで該突合せ部を溶接することを特徴とする
制振鋼板のレーザ溶接方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4051824A JP2713000B2 (ja) | 1992-03-10 | 1992-03-10 | 制振鋼板のレーザ溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4051824A JP2713000B2 (ja) | 1992-03-10 | 1992-03-10 | 制振鋼板のレーザ溶接方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05245670A JPH05245670A (ja) | 1993-09-24 |
| JP2713000B2 true JP2713000B2 (ja) | 1998-02-16 |
Family
ID=12897640
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4051824A Expired - Fee Related JP2713000B2 (ja) | 1992-03-10 | 1992-03-10 | 制振鋼板のレーザ溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2713000B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4104957B2 (ja) | 2002-11-07 | 2008-06-18 | 日本発条株式会社 | サスペンション用部品の接合処理装置 |
| DE10315976A1 (de) * | 2003-04-08 | 2004-10-21 | Volkswagen Ag | Verfahren zum Vorbereiten des Fügebereichs eines beschichteten Werkstücks |
| JP5235332B2 (ja) * | 2007-05-22 | 2013-07-10 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼板のレーザ溶接方法及び溶接装置 |
| JP2011167709A (ja) | 2010-02-17 | 2011-09-01 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 溶接方法および超伝導加速器 |
| WO2016103385A1 (ja) * | 2014-12-25 | 2016-06-30 | 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所 | 表面改質基材の製造方法 |
| DE102019212923A1 (de) * | 2019-08-28 | 2021-03-04 | Thyssenkrupp Steel Europe Ag | Verfahren zum stoffschlüssigen Verbinden von Werkstücken sowie im Stumpfstoß stoffschlüssig miteinander verbundene Werkstücke |
-
1992
- 1992-03-10 JP JP4051824A patent/JP2713000B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05245670A (ja) | 1993-09-24 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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