JP2708187B2 - 印刷機の安全装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は印刷機の安全装置に関し、印刷機本体に対し
てインキ装置ユニットが接離する形式のものに適用して
有用なものである。

〈従来の技術〉 紙幣や諸証券を印刷する印刷機においては、一本のゴ
ム胴の周囲に複数の版胴をサテライト状に配置し多色刷
を行っている。この種の印刷機では、複数の版胴が上下
方向に配設されているので構造が複数であり、版の交換
や清掃等の作業時の作業性を向上させるためには版胴へ
インキを供給しているインキ装置を印刷機本体から切離
して作業スペースを確保する必要がある。そこで、従来
からインキ装置ユニットを印刷機本体に対して移動自在
に構成し、インキ装置ユニットを用意に着脱できるよう
にしたものが考えられている。

第３図はこの種のインキ装置ユニット移動式の印刷機
の一例の概略説明図である。第３図に示すように、この
印刷機11は給紙装置12と、印刷機本体13と、排紙装置14
と、給紙側インキ装置ユニット15と、排紙側インキ装置
ユニット16とを備えており、給紙装置12と排紙装置14と
は床面10上に延びる左右一対のベッド17で連結されてい
る。印刷機本体13にはゴム胴18,19とが対接して軸支さ
れていて、これらゴム胴18,19の周面には４個ずつの版
胴20,21がそれぞれサテライト状に配置されて対接され
ている。

給紙側インキ装置ユニット15と排紙側インキ装置ユニ
ット16は印刷機本体13を挾んでその両側に位置し、それ
ぞれベッド17上に敷設されたレール22に複数のコロ23を
介して載置されていて、そのレール22に沿って移動する
ことで印刷機本体13に対して各々接近離反可能とされて
いる。これらの各インキ装置ユニット15,16は、各々複
数の版胴21又は20にそれぞれ対応する複数のインキ装置
24と給水装置25とを有しており、インキ装置ユニット1
5、16を印刷機本体13側へ移動させて印刷機本体13と連
結したときにこれらの最終ローラが版胴21又は20に対接
するようになっている。かくて、印刷時には前記最終ロ
ーラが版胴21又は20に対接してこれら版胴21又は20にイ
ンキを供給する。

なお、上記印刷機は、枚葉紙の表裏に一度に印刷する
形式のものであるため、印刷機本体13の左右両側にイン
キ装置ユニット15,16を夫々配設しているが、枚葉紙の
片面に印刷する形式のものである場合には、印刷機本体
の片側にインキ装置ユニットを一個配設したものもあ
る。

〈発明が解決しようとする課題〉 上記印刷機において、版の交換、位置合せ若しくは洗
浄、インキ装置ユニット15,16の洗浄及びならし運転
等、印刷準備を行なう時はインキ装置ユニット15,16を
印刷機本体13から離すように後退させている。一方、印
刷作業中は、インキ装置ユニット15,16を前述の状態か
ら印刷機本体13に向けて前進させ、印刷機本体13に接合
させている。このとき、インキ装置ユニット15,16の前
進、後退には電動オータ及び油圧シリンダ等が駆動源と
して多用されているが、これらの駆動源を駆動する操作
釦は印刷機本体13の正面に設置されており、特に印刷機
が大型で複数のオペレータが同時に操作する場合には、
インキ装置ユニット15,16の前方及び後方で作業するオ
ペレータが存在するにもかかわらず別のオペレータがイ
ンキ装置ユニット15,16を移動してしまう虞がある。

このように、インキ装置ユニット15,16の前方及び後
方で作業するオペレータが存在する場合にインキ装置ユ
ニット15,16を移動すると、このオペレータは移動して
くるインキ装置ユニット15、16にぶつかったり、最悪の
場合にはインキ装置ユニット15,16と印刷機本体13との
間に挾まれてしまう。

かかる事態を回避するため、従来技術においてはイン
キ装置ユニット15,16の移動中は警報ブザーを鳴らした
り、前進及び後進限の300mm程度手前でインキ装置ユニ
ット15,16を一旦停止させるという制御を行なってい
る。

ところで、警報ブザーはインキ装置ユニット15,16の
移動と同時に鳴動するため避難が遅れる虞があった。ま
た、一旦停止の制御も一旦停止の位置でのみ有効で、そ
の前後においてオペレータがインキ装置ユニット15,16
にぶつかる虞が残存するばかりでなく、一旦停止した
後、操作釦が存在する位置からインキ装置ユニット15,1
6の移動先を目視で確認し、再度操作釦を操作する必要
があり、その分作業が面倒になるという問題もある。

本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、インキ装置
ユニットの移動に伴なう自己を未然に防止し得る印刷機
の安全装置を提供することを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成する本発明の構成は、版胴等を有する
印刷機本体に対して印刷機本体にインキを供給するイン
キ装置ユニットが移動手段の駆動により水平方向に移動
可能に形成されて印刷機本体に対し接離可能となってい
る印刷機おいて、 印刷機本体に対するインキ装置ユニットの接合時にお
けるインキ装置ユニットの下方、及び印刷機本体に対し
インキ装置ユニットが離れている時のインキ装置ユニッ
トの下方に夫々配設され、これらの下方部分にオペレー
タが乗っているときにはこの状態を夫々検知するセンサ
と、 オペレータが前記下方部分に乗っていることを前記セ
ンサが検知しているときにはこのセンサの方向へは前記
インキ装置ユニットが移動しないように前記移動手段の
駆動をロックするとともにこのセンサと反対方向のイン
キ装置ユニットの移動は許容するようにこの移動手段を
制御する制御手段とを有することを特徴とする。

〈作用〉 上記構成の本発明によれば、インキ装置ユニットの移
動路上にオペレータが乗っているときには各センサによ
りこの状態が検知され、この状態を検知しているセンサ
の方向へのインキ装置ユニットの移動手段の駆動をロッ
クする。したがって、このときインキ装置ユニットが移
動することはない。一方、オペレータが乗っていること
を検知しているセンサの方向と反対方向へのインキ装置
ユニットの移動は許容される。

〈実施例〉 以下本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
なお、従来技術と同一部分には同一番号に付し重複する
説明は省略する。

第１図に示すように、前進禁止用のマットスイッチ1
a,1bは、印刷機本体13に対するインキ装置ユニット15,1
6の接合時におけるインキ装置ユニット15,16の下方に夫
々配設されており、これらの部分にオペレータ等が乗っ
た場合に動作してこのことを検知するようになってい
る。後進禁止用のマットスイッチ2a,2bは、印刷機本体1
3に対しインキ装置ユニット15,16が離れている時におけ
るインキ装置ユニット15,16の下方に夫々配設されてお
り、これらの部分にオペレータが乗った場合に動作して
このことを検知するようになっている。

第２図は本実施例に係る安全装置を示すブロック線図
である。同図に示すように、制御装置３は、前記マット
スイッチ1a,1b,2a,2bにオペレータが乗ることにより、
これらマットスイッチ1a,1b,2a,2bが動作しているとき
には移動装置4a,4bの駆動をロックするとともに、この
ロック条件が成立している以外の場合には押釦スイッチ
5a,5bの操作により移動装置4a,4bを駆動する。このとき
のロック条件は、作業効率を良好に保持するため、オペ
レータがインキ装置ユニット15,16の前方（印刷機本体1
3側）に居る場合の、即ちマットスイッチ1a,1bが動作し
ている場合のインキ装置ユニット15,16の後方（印刷機
本体13と反対側）への移動、及びオペレータがインキ装
置ユニット15,16の後方に居る場合の、即ちマットスイ
ッチ2a,2bが動作している場合のインキ装置ユニット15,
16の前方への移動は夫々許容するというものであり、イ
ンキ装置ユニット15、16の進行方向におけるマットスイ
ッチ1a,1b若しくは2a,2bが動作しているときのみ移動装
置4a,4bの駆動をロックする。移動装置4a,4bは電動モー
タ及び油圧シリンダ等が多用され、前述の如きロック条
件が成立していない時に、押釦スイッチ5aを操作するこ
とによりインキ装置ユニット15,16を前進させるととも
に、押釦スイッチ5bを操作することによりインキ装置ユ
ニット15,16を後退させる。

かかる本実施例によれば、インキ装置ユニット15,16
の後方にオペレータが居ることはマットスイッチ2a,2b
の作動により検知され、またインキ装置ユニット15,16
の前方にオペレータが居ることはマットスイッチ1a,1b
の作動により検知される。そして、これらの場合には押
釦スイッチ5b,5aを操作してもインキ装置ユニット15,16
の後退及び前進はロックされる。

なお、上記実施例においては、インキ装置ユニット1
5,16の前方及び後方にオペレータが居ることはマットス
イッチ1a,1b,2a,2bをセンサとして検知するようにした
が、これらを同様の機能を持つ他のセンサで置換できる
ことは論を持たない。

〈発明の効果〉 以上実施例とともに具体的に説明したように、本発明
によれば、インキ装置ユニットの進行方向にオペレータ
が居るときにはその方向への移動がロックされるように
したので、オペレータが移動してきたインキ装置ユニッ
トに接触する等の不慮の事故を未然に防止し得る。同時
にオペレータがいない方向へのインキ装置ユニットの移
動は許容するようにしたので、作業性はこれを良好に確
保し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を適用した印刷機を概念的に示
す説明図、第２図は本発明の実施例を示すブロック線
図、第３図は従来技術を示す説明図である。 図面中、 1a,1b,2a,2bはマットスイッチ、３は制御装置、4a,4bは
移動装置、13は印刷機本体、15,16はインキ装置ユニッ
トである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】版胴等を有する印刷機本体に対して印刷機
   本体にインキを供給するインキ装置ユニットが移動手段
   の駆動により水平方向に移動可能に形成されて印刷機本
   体に対し接離可能となっている印刷機おいて、 印刷機本体に対するインキ装置ユニットの接合時におけ
   るインキ装置ユニットの下方、及び印刷機本体に対しイ
   ンキ装置ユニットが離れている時のインキ装置ユニット
   の下方に夫々配設され、これらの下方部分にオペレータ
   が乗っているときにはこの状態を夫々検知するセンサ
   と、 オペレータが前記下方部分に乗っていることを前記セン
   サが検知しているときにはこのセンサの方向へは前記イ
   ンキ装置ユニットが移動しないように前記移動手段の駆
   動をロックするとともにこのセンサと反対方向のインキ
   装置ユニットの移動は許容するようにこの移動手段を制
   御する制御手段とを有することを特徴とする印刷機の安
   全装置。