JP2707897B2 - 杖 - Google Patents

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JP2707897B2
JP2707897B2 JP3336340A JP33634091A JP2707897B2 JP 2707897 B2 JP2707897 B2 JP 2707897B2 JP 3336340 A JP3336340 A JP 3336340A JP 33634091 A JP33634091 A JP 33634091A JP 2707897 B2 JP2707897 B2 JP 2707897B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、視覚障害者が所持して
歩行の安全の誘導に用いる杖(白杖)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】視覚障害者を安全に誘導する方式とし
て、フェライト誘導方式がある。これは、磁性体である
フェライトの粉末を樹脂やセメントなどのバインダーで
固めたものを標識体として路面に埋め込み、一方、白杖
の先端にフェライトを検知するセンサを埋め込み、フェ
ライトの有無に合わせて内蔵のブザーをON−OFFす
ることによって、視覚障害者をフェライトの有道路に沿
って誘導するものである(例えば、特開昭54−673
99号公報)。
【0003】このようにフェライト誘導方式において
は、従来よりフェライトの有無を視覚障害者に伝える手
段として、ブサーの音、又は、振動を用いてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ブザーは杖
に内蔵されているため、その振動音は、杖を握っている
杖外部には伝達されにくいという問題がある。これは、
ブサー音を大きくすることによって解決できるが、視覚
障害者は、目が不自由であるだけ、外界の音に対して敏
感である場合が多く、ブザー音を大きくすると、外界の
音が聞き取りにくいという新たな問題を生ずる。さら
に、音がすることによって周囲の人に認知され、恥ずか
しさからくる精神的重圧感を強いられることもあった。
【0005】また、ブサーは、コイルに低周波電流を流
し、ブサー内部のハンマーとの機械的共振点を用いて振
動させているため、消費電力が大きく、杖の使用時間を
制限する原因になっていた。
【0006】さらにまた、従来の振動型ブサーは、1つ
の共振動作しかしないため、例えば、バッテリー電源の
電圧低下を知らせるために、違う周波数の音声を重畳し
て出させることはできず、違う種類の発音体を追加しな
くてはならなかった。
【0007】本発明は、かかる問題を解決し、視覚障害
者だけにその振動のみが伝わり、消費電力の少ない振動
伝達手段をもち、音声による案内も行える杖を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による杖においては、センサと、検波部と、
振動板駆動回路と、振動板と、音声発生回路と、ローカ
ットフィルタとを有する杖であって、センサは、標識体
を検知して検出信号を出力するものであり、検波部は、
センサの検知信号を検波信号として出力するものであ
り、振動板駆動回路は、検波信号が一定電圧以上のとき
に、80〜600Hzの周波数で振動板を振動させるも
のであり、振動板は、圧電素子であり、杖の外装表面に
位置して1〜2以上設けられ、直接、あるいは、振動を
妨げない程度の保護膜で覆って杖のグリップの外面に露
出させたものであって、ローカットフィルタの出力で振
動するものであり、 音声発生回路は、複数の音声信号を
選択的に発生する回路であり、 ローカットフィルタは、
振動板駆動回路の動作領域の周波数成分をカットして音
声発生回路に発生させた音声信号を通過させるものであ
【0009】
【0010】
【0011】
【作用】振動板の振動を効率的に視覚障害者の手に伝達
するために、本発明では、振動体を杖の外装表面、具体
的には、手の握り部分に露出させている。これが動作上
従来とどのような違いがあるかを比較する。
【0012】従来の場合、ブサーの振動は、ブサーの内
部にあるマグネットの小片を含む振動板が、電気的にオ
ン,オフする電磁石によって引っ張られることによって
起こり、その反作用として、振動板を支えている筐体、
つまり、杖が振動するものであった。従って、振動板の
重畳と、それを支えているブサー本体と、ブサーを支え
ている杖本体の重量和との比が、杖の振動量を決定する
主因になっており、従来構造の杖を握るグリップ部での
振動が少ないのはその重量比が大きすぎるためである。
ところが、本発明の杖においては、振動板が直接手に振
れる部分に直結してあり、直接振動させるので、振動は
確実で、また、振動板自体は小さい振幅でも十分に振動
を伝達することができる。
【0013】振動板を保護するために、数十ミクロン〜
0.1mm程度の樹脂性の保護膜を振動板表面に付けて
も手への振動伝達はほとんど変化はない。保護膜がつい
た場合でも振動伝達形態は、従来とは明らかに異なるこ
とはいうまでもない。
【0014】また、振動板には圧電素子を用いる。圧電
素子は、堅くて丈夫であり、また、100Hz前後の低
周波数で駆動する場合は、耳に聞き取れる音圧成分はほ
とんど無く手でさわったときに振動を感ずる。振動を感
ずる周波数は、正弦波であり、駆動したとき80〜60
0Hz程度である。
【0015】矩形波で駆動すると、基本周波数が低くて
も高調波を含んでいるために、耳につく音が発生してし
まう。電極を直にさわらないようにするために、数十ミ
クロン〜0.1mm程度の樹脂製の保護膜を設けた場合
でも、振動を手に伝達することができる。
【0016】また、音声による案内を選択的に行うため
の音声発生回路は、例えば、電圧低下検知回路と組み合
わせて、使用中のバッテリー電圧の低下を検知したと
き、「バッテリーを交換してください」などの音声を合
成し、同じ電圧素子をスピーカとして使って音声案内を
行うことができる。
【0017】しかし、この場合は、600Hz以下の周
波数成分はカットしておかなければならない。なぜなら
ば、使用者は音声を聞いている間、その音声に含まれて
いる600Hz以下の周波数成分のために手に振動が伝
達され、標識体を誤認知する可能性があるからである。
600Hz以下の周波数成分をカットしても、音声は甲
高くなるが、外界の音と良く識別できるので警告として
用いる場合はかえって都合がよい。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例を図2から図3を用い
て示す。本発明の杖のグリップの一例を図1に示す。同
図(b)は、振動部に一般的なブザーを使用した場合を
示す。ブサー14の振動板5は、連結軸6を通してグリ
ップ2の外面に露出した外部振動板7と一体になってお
り、お互いは同期して振動する。これを同図(a)に示
すように、1つの外部振動板7に対し、ブサー14を2
個連結し、それぞれのブサー14を同時に作動させる。
お互いのブサー14は非同期で振動し、それらに接続さ
れた外部振動板7も同様に勝手なモードで振動するが、
手への振動の伝達という点においてはモードの違いは問
題にならない。
【0019】本実施例では外部振動板7の面積を広くす
るためにブサー14を2個連結させたが、ブサー1個に
適当なサイズの外部振動板を1つずつ付けて独立に駆動
させても構わない。ただし、通常のブサーは、振動板の
機械的共振周波数で発振するような共振動作を行ってい
るので、外部振動板を含めた付加部分の重量を大きくす
ると共振系を大きく崩すことになるので発振しなくな
る。即ち、振動しなくなる。外部振動板を含めた付加重
量を適切に設定する必要がある。
【0020】本発明の杖の振動系は、外部振動板7が杖
のグリップ2の外装表面に露出しているので、杖を握っ
た手に直接振動を与えることができる。外部振動板7の
表面に例えば数十ミクロン程度の薄い保護膜を設けても
よく、手への振動は、ほとんど変化はない。保護膜を設
けた場合でも従来との原理的動作の違いは明らかであ
る。
【0021】ここでは、振動のストロークを得るために
ブザー14にマグネット8とソレノイド9との組合せに
より振動板5を振動させる例を示したが、同様な振動を
得るための手段としてモータを使うこともできる。さら
に、また、小型の振動モータを用い、その振動子を外部
に露出させておけば、より大きな振動を確実に起こすこ
とが可能になる。
【0022】次に、本発明の他の実施例の杖のグリップ
の一例を図2に示す。同図(a)は、振動板である圧電
素子3をグリップ2の外装表面の手の触れる部分に設置
したものである。同図(b)にその断面を示す。振動板
である圧電素子3の表面を保護膜4で覆い、振動の伝達
を確保し、しかも、電気的絶縁を行ったものである。圧
電素子3は、同図(b)に示すように、杖1の筒の円周
に曲率が合ったものであれば、大面積のものが貼れる
が、もし仮に曲率が合わない場合でも、同図(c)に示
すように、小面積のものを貼りあわせればよい。
【0023】図3に杖のセンサ回路のブロック図を示
す。一例として、磁気誘導を行うためのセンサを搭載し
た例を示す。標識体に磁性体を用い、センサ15に磁気
センサを使用した場合、杖先端の磁気センサが磁性体に
接近すると、検波部10は、検波信号を出力する。検波
信号は振動板駆動回路11に送られる。振動板駆動回路
11は、振動板17、ここでは、圧電素子を駆動するの
に適当な、80〜100Hzの正弦波を発生する。
【0024】圧電素子は、ここでは、自己共振周波数が
3KHz程度のものを用いたが、自己共振周波数が低い
ものの方が機械的振動を効率よく発生させることができ
る。
【0025】発振周波数がおよそ600Hz以下であれ
ば、手に振動を伝達することができるが、600Hz近
くでは、同時に、音声も発生してしまう。そこで、低め
の周波数(およそ100Hz)を設定する方が周囲に対
して害音の発生が少なくて済むので、視覚障害者への負
担を軽くする上で好ましい。手に感ずる最高の周波数を
実験結果により、ここでは、約600Hzとしたが、こ
の値は厳密なものではなく圧電素子と指の密着度によっ
て個体差,個人差がある。しかしその変動幅はおよそ±
100Hzくらいの間に収まっている。
【0026】一方、図3に示した電圧低下検知回路12
は、バッテリー電圧をモニタしており、一定電圧以下に
なったら、検知信号を発生する回路である。この検知信
号は、音声発生回路13に接続される。音声発生回路1
3では、電圧低下を使用者に伝えるために「バッテリを
交換して下さい。」「充電をして下さい。」というよう
な音声を音声ROMにより発生させて、更に、振動成分
であるおよそ600Hz以下の周波数成分をローカット
フィルタ15でカットして圧電素子を振動させる。
【0027】さらに、危険な場所などに危険を知らせる
警報発振装置を設置しておき、杖に警報受信アンテナを
備えておけば、受信信号を受けた場合には、同様に音声
ROMにより「危険です」などと音声による案内が可能
になる。同じ圧電素子をスピーカとして使用するので、
新たなスピーカを付加する必要がない。このように複数
の案内をする場合には、音声による案内は案内のバリエ
ーションが増えるので使用者に対してより親切である。
しかし、回路を簡単化するためには、単に、標識体検知
信号として用いている振動と区別のつく音声を発生させ
るだけでも充分である。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明の杖においては、振
動板を外装表面の特にグリップ部に露出させているの
で、従来の振動板を杖内部に内蔵していたブザー方式に
比べて、確実に手に振動を伝達することができる。圧電
素子は、振動の振幅端数10ミクロンとブザーに比べ非
常に小さいにもかかわらず、周波数を80〜600Hz
とすることによって充分に手に振動を伝達することがで
きる。
【0029】また、従来のブサーに比べて消費電力も少
なくなり、バッテリーの寿命を大きくすることができ
る。また、電圧低下や危険を知らせる音声を標識体検知
の振動に重畳させることができるので、簡単な構造でイ
ンテリジェント化でき、視覚障害者をより安全に誘導す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の杖の振動板の設置例を示す
図、(b)は、(a)の断面図である。
【図2】(a)は、本発明の他の実施例を示す図、
(b)は、(a)の断面図、(c)は、変形例を示す図
である。
【図3】本発明の杖の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1 杖 2 グリップ 3 圧電素子 4 保護膜 5 振動板 6 連結軸 7 外部振動板 10 検波部 11 振動板駆動回路 13 音声発生回路 14 ブサー 15 センサ 16 ローカットフィルタ 17 振動板

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサと、検波部と、振動板駆動回路
    と、振動板と、音声発生回路と、ローカットフィルタと
    を有する杖であって、 センサは、標識体を検知して検出信号を出力するもので
    あり、 検波部は、センサの検知信号を検波信号として出力する
    ものであり、 振動板駆動回路は、検波信号が一定電圧以上のときに、
    80〜600Hzの周波数で振動板を振動させるもので
    あり、 振動板は、圧電素子であり、杖の外装表面に位置して1
    〜2以上設けられ、直接、あるいは、振動を妨げない程
    度の保護膜で覆って杖のグリップの外面に露出させたも
    のであって、ローカットフィルタの出力で振動するもの
    であり、 音声発生回路は、複数の音声信号を選択的に発生する回
    路であり、 ローカットフィルタは、振動板駆動回路の動作領域の周
    波数成分をカットして音声発生回路に発生させた音声信
    号を通過させるものである ことを特徴とする杖。
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