JP2706828B2 - 冷凍機 - Google Patents

冷凍機

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JP2706828B2
JP2706828B2 JP1285229A JP28522989A JP2706828B2 JP 2706828 B2 JP2706828 B2 JP 2706828B2 JP 1285229 A JP1285229 A JP 1285229A JP 28522989 A JP28522989 A JP 28522989A JP 2706828 B2 JP2706828 B2 JP 2706828B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、極低温冷凍機に係り、特に、冷凍機の運転
消費電力を低減するに好適なガススウィング式の冷凍機
に関する。
〔従来の技術〕
従来の冷凍機、例えば、ヘリウム冷凍機あるいはヘリ
ウム液化機は、実開昭61−203267号に記載のように、冷
却に使用する作動流体を、膨張機等の寒冷発生器と熱交
換器を組合せた回路で、常温から冷却し、ジュール・ト
ムソン弁(以下、単にJ・T弁と記す。)により膨張
で、目標とする最低到達温度及び冷凍量を発生してい
た。
膨張機にギフォード・マクマホンサイクル、ソルペイ
サイクル、スターリングサイクル等を適用する場合、膨
張機の作動流体、例えば、ヘリウムガスは、熱交換器と
J・T弁で構成するJ・T回路中のヘリウムガムと、冷
凍機内で隔離されている。J・T回路では、常温の高温
高圧ヘリウムガスを、熱交換器で戻りの低温低圧ヘリウ
ムガスで冷却し、さらに、膨張機の寒冷でより低温に冷
却してJ・T弁に導く。J・T回路内の高圧、低圧ヘリ
ウムガスの熱交換を行う熱交換器は、向流形熱交換器が
使用される。膨張機で必要とされる寒冷発生量は、この
向流形熱交換器の効率に大きく左右される。効率が小さ
い場合、すなわち、高圧ヘリウムガスの熱交換器出口温
度が高くなり、この後流側の膨張機で冷却すべき熱量は
増加し、大きな寒冷発生量が必要となる。
ここで、向流形熱交換器の温度効率(または熱交換効
率)は、一般に0.95前後であり、決して高くない。
また、向流形熱交換器では、高温高圧ヘリウムガスの
流動方向が一定であるため、常温部にあるヘリウムガス
供給源の圧縮機でヘリウムガス中に混入した、油、水
分、空気等の不純物が熱交換気内に蓄積してしまう。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような従来技術では、向流形熱交換器を使用して
いるため、この温度効率が小さく、(1−温度効率)に
比例して大きな膨張機の寒冷発生量が必要とされる。こ
のため、膨張機の運転動力を大きくして、必要寒冷発生
量を確保しなければならず、冷凍機の運転動力が大きく
なるという問題があった。
また、従来技術では、ガス中の不純物が、熱交換器内
の温度の低い伝熱面で凝固して付着し、熱交換器の温度
効率をさらに低下せしめたり、流路内を閉塞してヘリウ
ムガスの流動を妨だけ、膨張器の運転動力をさらに大き
くする必要が生じたり、閉塞のため、J・T回路のガス
流動が不足し、必要とする最低到達温度および冷凍量を
発生できなくなるという問題があった。
本発明の目的は、運転動力の低減された冷凍機、特に
ガススウィング式の冷凍機を提供することであり、また
他の目的は、ガス中の不純物を低温部に蓄積させないガ
ススウィング式の冷凍機を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するために本発明は、第1の加圧手
段で加圧された作動流体Aを膨張させて寒冷を発生する
寒冷発生手段と、第2の加圧手段で加圧された作動流体
Bを該寒冷発生手段によって冷却した後、被冷却体冷却
手段を経て再び第2の加圧手段に循環する流路とを有す
る冷凍機において、 前記作動流体Bの流路に蓄冷器式熱交換器を設け、該
作動流体Bの流れを所定の時間周期で逆方向に切り換え
る切換手段が設けられていることを特徴とするスウィン
グ式のものである。そして、常温部と前記寒冷発生手段
との間に、該作動流体Bのガス流路を内部に有する熱交
換器が設けられていることを特徴とするガススウィング
式のものである。
また、上記目的は、第1の加圧手段で加圧された作動
流体Aを膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段
と、第2の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の
寒冷発生手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させる
ことによって寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該
第2の寒冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加
圧手段に循環する流路とを有する冷凍機において、前記
作動流体Bのガス流路に、蓄冷器式熱交換器を設け、該
作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で逆方向に切
り換えるガス切換手段が設けられていることを特徴とす
るガススウィング式の冷凍機によって達成することがで
きる。
〔作用〕
上記構成によれば、蓄冷器式熱交換器は、蓄熱材、例
えば銅、アルミニウム、リン青銅、鉛やガドリニウム等
の希土類金属、その化合物等を網状や粒状にして容器内
に充てんし、その容器内に、高温高圧のガスヘリウムと
低温高圧のガスヘリウムをある周期で交互に切換え、逆
方向に流動せしめて熱交換を行う熱交換器であり、この
温度効率は、ガスの切替え周期を最適化することによ
り、0.99前後まで高めることができる。これによって、
膨張機の必要寒冷発生量は、従来の(1−0.99)/(1
−0.95)=1/5まで低減でき、膨張機の運転動力を十分
小さくすることができる。
また、蓄冷器式熱交換器では、同じ流路内を高温、低
温のヘリウムガスが、交互に逆方向に流動するため、常
温部でガスに混入した不純物は、高温ガス流入時に低温
の蓄冷材表面に凝固して付着するが、低温ガス流出時に
不純物はその飽和圧力にしたがって冷飽和分が再気化
し、ガスに再混入して常温部に戻る。これによって、不
純物が熱交換器内に蓄積せず、熱交換器の温度効率の低
下や、不純物による閉塞は生じない。したがって、長期
運転にわたって、冷凍機の最低到達温度および冷凍量を
確保できる。
〔実施例〕
以下、本発明のいくつかの実施例を図面に基づいて説
明する。
第1図において、ギフォードマクマホンサイクルの膨
張機1は、圧縮機2から常温の高圧ヘリウムガスの供給
を受け、ガスの膨張により第1ステージ3及び第2ステ
ージ4で、それぞれの温度レベルで寒冷を発生する。膨
張後の中圧ガスヘリウムは、圧縮機2に戻る。
いっぽう、J・T回路は、以下の要素で構成するヘリ
ウムガス圧縮機5の吐出配管6aに設けた切換弁7a,8a、
吸入管6bに設けた切換弁7b,8b、これを連通し内部に銅
網9,10の蓄冷材を充てんしたステンレス製の第一蓄冷器
11,12、これに連通し、第一ステージに接続する熱交換
器13,14、これに連通し内部に鉛粒15,16と希土類金属の
ガドリニウム・ロジウム(GdRh)粒17,18を以下半々つ
づ充てんした蓄冷材を内蔵したステンレス製の第二蓄冷
器19,20、これに連通し、第二ステージに接続する熱交
換器21,22、更に最終段の向流形熱交換器23とこれに接
線する、ジュール・トムソン弁24,25と、これに並列し
て設けた逆止弁26,27、J・T弁と逆止弁間に設けた冷
却用熱交換器28で、J・T回路を構成する。冷凍機の低
温部に、膨張機1の第一ステージで冷却した第一熱シー
ルド板29と、第二ステージで冷却した第2熱シールド板
30とで、常温の真空槽31からのふく射熱の侵入を防止す
る。
電磁弁の切換弁7a,8aと7b,8bは所定の周期Tでコント
ローラ32より切換え制御される。
冷凍運転方法を以下に説明する。膨張機1は、圧縮機
2から約19atmの高圧のヘリウムガスの供給を受け、膨
張による寒冷を発生し、第1ステージ3を約38Kに、第
2ステージ4を約12Kに冷却し、膨張後の約6atmの中圧
のヘリウムガスは圧縮機2に戻る。
圧縮機5で加圧された約18atmの高圧のヘリウムガス
は、切換弁7aを通り(この時、切換弁7bは閉)、第一冷
凍機11内に流入し銅網9で冷却された後、熱交換器13で
第1ステージ3により約40Kまで冷却される。その後第
二蓄冷器19内に流入し、鉛粒15及びGdRh粒17で冷却さ
れ、熱交換器21を介して第2ステージ4で約13Kまで冷
却される。その後、向流形の熱交換器23により、J・T
膨張後の戻りのヘリウムガスと熱交換を行ってJ・T弁
24前で約5Kまで冷却され、J・T弁で膨張した後、温度
約4.5Kの気液二相流となり、液相の液体ヘリウムの蒸発
潜熱分相当の冷凍量を熱交換器28で得られる。この時、
逆止弁26は逆流で閉の状態である。熱交換器28で吸熱し
て、4.5Kの気相のみとなった低圧ヘリウムガスは、流動
抵抗の小さい逆止弁27を通り(ごく一部のヘリウムガス
は、オリフィスのJ・T弁25も通る)、熱交換器23でJ
・T弁24に流入する高圧のヘリウムガスを冷却し、熱交
換器22に流入する。ここで、低圧ヘリウムガスの温度
は、第2ステージ温度より、わずかに低い程度であり、
第2ステージを加温することは無く、第2ステージ温度
は極低温度を維持できる。熱交換器22を流出後、低圧ガ
スヘリウムは第二蓄冷器20内に流入し、GdRh18、鉛粒16
を順に冷却し、熱交換器14内に流入し、その後、第一蓄
冷器12内の銅網10を冷却した後、ほぼ常温となって切換
弁8bを通って圧縮機5に戻る。この時、切換弁8aは閉の
状態にある。
ある所定の時間T秒が経過するとコントローラ32の出
力信号が切り換り、切換弁8a、7bが開の状態に、切換弁
7a,8bが閉の状態となり、ヘリウムガスの流れが前記の
場合とは逆方向となる。すなわち、常温の高圧のヘリウ
ムガスは、第一蓄冷器12→熱交換器14→第二蓄冷器20→
熱交換器22→熱交換器23→J・T弁25の順で冷却され、
J・T膨張後、熱交換器28で冷凍量を得る。その後、逆
止弁26→熱交換器23→熱交換器21→第二蓄冷器19→熱交
換器13→第一蓄冷器11→切換弁7bを通り圧縮機5に戻
る。このヘリウムガスの流動方向は、T秒ごとに切換弁
の開閉で、切り換えられ、極低温度域の熱交換器28で所
定の冷凍量を発生する。
弁25′は、熱交換器23が十分冷却されるまでは開の状
態で動作させ、蓄冷器の冷却を短時間に行う。その後は
閉にする。
膨張機1の必要冷凍量は、第一蓄冷器11又は12の温度
効率と、第二蓄冷器19又は20の温度効率及び第一,第二
シールド板29,30への入熱量から定まる。これらのうち
で、蓄冷器の温度効率の影響が熱シールド板への入熱量
に比べて大きい。
いま、ヘリウムガスの質量流量をm(g/s),ガスの
定圧比熱をCg(J/gK),温度効率をηr,熱交換器又は蓄
冷器の温端と冷端との温度差をΔθとすると、第一ステ
ージの必要寒冷発生量Qn1は、 Qn1=m×Cg1×(1−ηr1)×Δθ で表わされる。ただし、添字1は、第一蓄冷器11,12で
の値を示す。4.5Kでの必要冷凍量を5W程度の場合を考え
るとmは0.5g/s程度の流量が必要となる。第一蓄冷器1
1,12の温度効率ηr1は、0.99程度確保でき、温度差Δθ
=300−38=262K,Cg1=5.42J/gKと見積ると、Qn1は、 Qn1=0.5×5.42×(1−0.99)×262 =7.1J/S(W) となる。これは、従来技術での向流形熱交換器の温度効
率0.95の場合のQn1′ Qn1′=0.5×5.42×(1−0.95)×262 =35.5J/S(W) に比べ、1/5の必要寒冷発生量で済むことになる。
次に、第2ステージの必要寒冷発生量Qn2は、 Qn2=m・Cg×(1−ηr2)×Δθ で表わされる。ただし、添字2は、第二蓄冷器19,20で
の値を示す。第二蓄冷器19,20の温度効率ηr2は0.98程
度確保でき、温度差Δθ=38−13=2K、Cg=6.05J/g
・Kと見積ると、Qn2は Qn2=0.5×6.05×(1−0.98)×25 =1.5J/S(W) となる。これは、従来技術での向流形熱交換器の温度効
率0.90の場合のQn2′ Qn2′=0.5×6.05×(1−0.90)×25 =7.5J/S(W) に比べ1/5の必要寒冷発生量で済む。
したがって、膨張機1に必要な冷凍量は、第一,第二
ステージでそれぞれ、温度38K/13Kにおいて、従来の35.
5W/7.0Wの1/5の7.1W/1.4Wである。よって、膨張機の運
転電力も従来の10KWの約1/5の2KWで済むことになる、こ
こで、コントローラ32の消費電力は圧縮機2,5の運転電
力3KWと2KWに比べると、非常に小さくて済む。
以上のことから、本実施例によれば、膨張機1にガス
を供給する圧縮機2の消費電力は従来の1/5に低減され
ることにより、圧縮機2,5及びコントローラ32を含む冷
凍機の運転電力は、約5KWで、従来の約13KWの約40%で
済み、大幅な省電力化ができる効果がある。
また、本実施例によれば、次の効果がある。すなわ
ち、J・T回路内のヘリウムガスは、常温と極程度間を
スウィングしながら流動しているため、常温部のヘリウ
ムガス中の不純物、例えば圧縮機5の油、水分、O2、N2
は、ガスの流れによって各蓄冷器内で凝縮、再蒸発を繰
返すのみで、一定以上の蓄積は進まない。したがって、
ガスの流路が、不純物で閉塞したり、流動圧力損失が増
加しない効果がある。
また、本実施例では、ガスの切換に電磁弁を使用した
が、ロータリ形、スリーブ形の切換弁を使用しても同様
の効果が生じる。
第2図は本発明による他の実施例を示すもので、第1
図と異なる点は、向流形熱交換器23の代りに、例えば蓄
冷材GdRhとGd0.5Er0.5Rhを内部に封入した第3蓄冷器3
3,34を設けた点にある。本実施例によれば、J・T弁前
の高圧のガスヘリウム温度をさらに低下する。すなわ
ち、蓄冷器33,34の温度効率によってJ・T弁前に持ち
込まれる熱量Qn3は、蓄冷器33,34の温度効率ηr3=0.98
程度を確保できる。Δθ=13K−5K=8K,両温度間の平
均のCg=4.93J/g・Kとれば、Qn3は Qn3=0.5×4.93×(1−0.98)×8 =0.39J/S(W) となる。いっぽう、向流形熱交換器の温度効率は、この
温度領域では、0.95程度見込まれるので、この時、J・
T弁前に持ち込まれる熱量Qn3′は Qn3′=0.5×4.93×(1−0.95)×8 =0.99J/S(W) となる。したがって、本実施例によれば、J・T弁前に
持ち込まれる熱量、熱ロスを0.99W−0.39W=0.6W低減で
き、これによって、J・T弁前のヘリウムガス温度を、
0.6(J/S)÷0.5(g/s)÷4.93(J/g・K)=0.24
(K)にさらに低下させることが出来る。これによっ
て、J・T膨張機の冷凍量を、さらに約0.3W増加するこ
とができる。
第3図は、本発明になる他の実施例を示すもので、第
2図と異なる点は、第二ステージ4に取付けた熱交換器
21,22の前後に、逆止弁35,36,37,38を設けたところにあ
る。本実施例では、これらの逆止弁により、熱交換器2
1,22には、高圧のヘリウムガスのみが流入し、低圧のヘ
リウムガスは流入しない。よって、低圧ヘリウムガスの
熱交換器21,22内の流動圧力損失を無くすことができ、
圧縮機5の動力をさらに低減することができる。なお、
本構成を熱交換器13,14の前後にも適用すれば、上記効
果はさらに向上する。
第4図は、本発明になる他の実施例を示すもので、第
1図のJ・T弁と逆止弁を一体化したJ・T弁付き逆止
弁を示すものである。ハウジング35の流路口36,37に異
物流入防止用フィルムタ38,39を設けている。J・T弁
の機能を有する弁体40は、フィルター41と細孔42を有
し、スリーブ43内をコイルバネ44で弁座45に押えられて
いる。C方向より作動流体Bが流入すると、流路4bから
室47に流れた流体Bは弁体40と、弁座45が密着している
ので通過できず、フィルター41を通り、細孔42により膨
張し寒冷を発生する。ガス流動方向が変更しD方向より
作動流体Bが流入すると、ガス圧により弁体40が浮上
し、ほとんどの流体は弁座45のスキ間より室47に流入
し、流路46を通過して流路口36より流出する。本実施例
によれば、J・T弁と逆止弁を一体化できるので、配管
を簡素化して冷凍機のコスト低減、小形化を図ることが
できる。
第5図及び第6図は本発明になる他の実施例を示すも
ので、第1図と異なる点は、第二蓄冷器18,19を一体化
した点にある。第6図は第5図のX−X断面である。外
容器48中は、2室に分けられており、互いに隔壁49で気
密隔離されている。蓄冷器上下のガス流入、流出口に
は、銅網等のフィルタ50を設け、蓄冷材の飛出しを防止
している。
本実施例によれば、2個の蓄冷器を一体化できるた
め、小形化でき、かつ、蓄冷器の外表面積を小さくでき
るので、外部からのふく射熱侵入を小さくして、温度効
率をさらに向上することができる。また、隔壁49を介し
て、両蓄冷器内を流動する流体の熱交換ができるので、
向流形熱交換器としての機能をも有し、温度効率の向上
に寄与できる。なお、本実施例において、隔壁49は平板
を使用しているが、同心2重円筒でこの一体形蓄冷器を
構成しても同様に効率を生じる。
第7図及び第8図は本発明になる他の実施例を示すも
ので、第5図,第6図と異なる点は、蓄冷材16を充てん
した両流路間にわたる銅製の多孔板51を配置し、両流路
間は、隔壁52で2室に分けられている。隔壁52は、多孔
板52及び隔壁52と外容器48は、それぞれハンダや接着剤
等でシール性を有して一体化されている。
本実施例によれば、多孔板の孔53に流体が流れること
によって、多孔板を介して両流体間の熱交換が行なわれ
る。これによって、伝熱面積の大きい向流形熱交換器が
構成でき、温度効率の向上に寄与できる。また、蓄冷材
がGdRhの場合、冷凍機の予冷時、蓄冷材の温度が20K以
上に高い状態では比熱が小さく、このため蓄冷材の効果
が小さい。この様な温度領域では、多孔板を介して熱交
換される効果が大きく、全温度領域にわたって温度効率
の向上に寄与できる。
第9図は本発明になる他の実施例を示すもので、第1
図と異なる点は、冷却用熱交換器28を、冷凍機の本体54
から離した場合で、その応用例を示すものである。圧縮
機ユニット55からは、本体54内の膨張機に配管56a,56b
で作動流体を供給し、J・T回路には配管6a,6bで作動
流体を供給する。冷却用熱交換器28は、断熱配管57内を
通り、磁気シールド箱58を貫通して、断熱容器59内の液
体ヘリウム60の気相部に設置されている。流体ヘリウム
中の下部には、磁気センサー61を設置し、その出力を計
測器62で検知する。断熱容器59は、フタ63,Oリング64で
密閉されている。液体ヘリウムの蒸発ガスは、冷却用熱
交換器28で再凝縮され、長時間にわたって補給不要とな
る。
本実施例によれば、可動部が全く無い冷却用熱交換器
28と、可動部が有り磁気ノイズを発生する本体54とを離
して設置できるので、磁気ノイズが小さい冷却構造をと
れる効果がある。断熱配管57をベロー構造にすれば、振
動防止の効果も生じる。
以上、本実施例では冷凍機に関して述べたものである
が、膨張機を加温器すなわち、ヒーターや圧縮機に置き
換えれば、ガススウィング式の加温機として適用できる
ものである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、冷凍機のジュール・トムソン回路の
熱交換器を蓄冷器で構成できるので、熱交換器内での熱
交換効率が向上し、冷凍機内の膨張機の冷凍量を低減せ
しめて、その運転動力を約1/5に低減できる。よって、
冷凍機の消費電力を大幅に低減できる効果がある。
また、高温と低温のガスが交互に逆方向に流動するの
で、不純物は凝固と気化をくりかえし、蓄積されること
がない。そのため、長期間の安定した運転を確保するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の冷凍機の構造を示す断面
図、第2図は本発明の他の実施例を示す断面図、第3図
は本発明の更に他の実施例を示す断面図、第4図は本発
明の一体形のJ・T弁付き逆止弁の一実施例を示す断面
図、第5図及び第6図は本発明の一体形蓄冷器の一実施
例を示し、第5図は縦断面図、第6図は横断面図、第7
図及び第8図は本発明の一体形蓄冷器の他の実施例を示
し、第7図は縦断面図、第8図は横断面図、第9図は本
発明の一適用例を示す概念図である。 1……膨張機、2,5……圧縮機、 3……第1の寒冷発生手段、 4……第2の寒冷発生手段、6a,6b……配管、 7a,7b,8a,8b……切換弁、 9,10……銅網、11,12……第1の蓄冷器、 13,14,21,22,28……熱交換器、 15,16……鉛粒、17,18……GdRh粒、 19,20……第2の蓄冷器、 23……向流形熱交換器、24,25……J・T弁、 26,27……逆止弁、33,34……第3の蓄冷器、 35,36,37,38……逆止弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 進 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所機械研究所内 (72)発明者 松本 孝三 山口県下松市東豊井794番地 株式会社 日立製作所笠戸工場内 (72)発明者 滝沢 照広 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加圧
    手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によって
    冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bの流路に蓄冷器交換器を設けると共に、
    該作動流体Bの流れを所定の時間周期で逆方向に切り換
    える切換手段が設けられていることを特徴とするスウィ
    ング式の冷凍機。
  2. 【請求項2】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加圧
    手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によって
    冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換える切換手段を設
    け、且つ、常温部と前記寒冷発生手段との間に、該作動
    流体Bのガス流路を内部に有する熱交換器が設けられて
    いることを特徴とするガススウイング式の冷凍機。
  3. 【請求項3】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加圧
    手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によって
    冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換えるガス切換手段
    を設け、且つ、常温部と前記寒冷発生手段との間に蓄冷
    器を設け、該蓄冷器は内部に蓄冷材の充填された該ガス
    流路を有するものであることを特徴とするガススウィン
    グ式の冷凍機。
  4. 【請求項4】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加圧
    手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によって
    冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に蓄冷器式熱交換器を設ける
    と共に、該作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で
    逆方向に切り換えるガス切換手段を設け、且つ、該ガス
    流路には前記寒冷発生手段と並列に、該作動流体Bのガ
    スが膨張時に該寒冷発生手段の側のみ流動する逆止弁が
    設けられていることを特徴とするガススウィング式の冷
    凍機。
  5. 【請求項5】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加圧
    手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によって
    冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に蓄冷器式熱交換器を設ける
    と共に、該作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で
    逆方向に切り換えるガス切換手段を設け、且つ、該ガス
    流路には前記寒冷発生手段と並列に、該作動流体Bのガ
    スが膨張時に該寒冷発生手段の側のみ流動する逆止弁を
    設け、該逆止弁は内部に寒冷を発生するジュール・トム
    ソン弁を有するものであることを特徴とするガススウィ
    ング式の冷凍機。
  6. 【請求項6】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加圧
    手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によって
    冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換えるガス切換手段
    を設け、且つ、常温部と前記寒冷発生手段との間に、該
    作動流体Bのガス流路を内部に有する向流形熱交換器を
    設け、該向流形熱交換器のガス流路に蓄冷材の充填され
    た蓄冷器が設けられていることを特徴とするガススウィ
    ング式の冷凍機。
  7. 【請求項7】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第2
    の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の寒冷発生
    手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させることによ
    って寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第2の寒
    冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧手段に
    循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に蓄冷器式熱交換器を設け、
    該作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で逆方向に
    切り換えるガス切換手段が設けられていることを特徴と
    するガススウィング式の冷凍機。
  8. 【請求項8】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第2
    の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の寒冷発生
    手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させることによ
    って寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第2の寒
    冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧手段に
    循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換えるガス切換手段
    を設け、且つ、常温部と前記第1の寒冷発生手段との
    間、及び/又は、該第1の寒冷発生手段と前記第2の寒
    冷発生手段との間に、該作動流体Bのガス流路を内部に
    有する熱交換器が設けられていることを特徴とするガス
    スウィング式の冷凍機。
  9. 【請求項9】第1の加圧手段で加圧された作動流体Aを
    膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第2
    の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の寒冷発生
    手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させることによ
    って寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第2の寒
    冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧手段に
    循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換えるガス切換手段
    を設け、且つ、常温部と前記第1の寒冷発生手段との
    間、及び/又は、該第1の寒冷発生手段と前記第2の寒
    冷発生手段との間に、蓄冷器を設け、該蓄冷器は内部に
    蓄冷材の充填されたガスの流路を有するものであること
    を特徴とするガススウィング式の冷凍機。
  10. 【請求項10】第1の加圧手段で加圧された作動流体A
    を膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第
    2の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の寒冷発
    生手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させることに
    よって寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第2の
    寒冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧手段
    に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に蓄冷器式熱交換器を設け、
    該作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で逆方向に
    切り換えるガス切換手段を設け、且つ、該ガス流路には
    前記第2の寒冷発生手段と並列に、該作動流体Bのガス
    が膨張時に該第2の寒冷発生手段の側のみ流動する逆止
    弁が設けられていることを特徴とするガススウィング式
    の冷凍機。
  11. 【請求項11】第1の加圧手段で加圧された作動流体A
    を膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第
    2の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の寒冷発
    生手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させることに
    よって寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第2の
    寒冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧手段
    に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、蓄冷器式熱交換器を設け
    該作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で逆方向に
    切り換えるガス切換手段を設け、且つ、該ガス流路には
    前記第2の寒冷発生手段と並列に、該作動流体Bのガス
    が膨張時に第2の寒冷発生手段の側のみ流動する逆止弁
    を設け、該逆止弁は内部に寒冷を発生するジュール・ト
    ムソン弁を有するものであることを特徴とするガススウ
    ィング式の冷凍機。
  12. 【請求項12】第1の加圧手段で加圧された作動流体A
    を膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第
    2の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1寒冷発生
    手段によって冷却した後、該作動流体Bを膨張させるこ
    とによって寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第
    2の寒冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧
    手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換えるガス切換手段
    を設け、且つ、常温部と前記第1の寒冷発生手段との
    間、及び/又は、該第1の寒冷発生手段と前記第2の寒
    冷発生手段との間に、該作動流体Bのガス流路を内部に
    有する向流熱交換器を設け、該向流形熱交換器のガス流
    路に蓄冷材の充填された蓄冷器が設けられていることを
    特徴とするガススウィング式の冷凍機。
  13. 【請求項13】第1の加圧手段で加圧された作動流体A
    を膨張させて寒冷を発生する第1の寒冷発生手段と、第
    2の加圧手段で加圧された作動流体Bを該第1の寒冷発
    生手段で冷却した後、該作動流体Bを膨張させることに
    よって寒冷を発生する第2の寒冷発生手段と、該第2の
    寒冷発生手段で膨張した作動流体Bが該第2の加圧手段
    に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に、該作動流体Bのガスの流
    れを所定の時間周期で逆方向に切り換えるガス切換手段
    を設け、該第1の寒冷発生手段と前記第2の寒冷発生手
    段との間に、内部に蓄冷材の充填されたガスの流路を有
    する蓄冷器を設け、該蓄冷器と該第2の寒冷発生手段と
    の間にバイパス弁を設けたことを特徴とするガススウィ
    ング式の冷凍機。
  14. 【請求項14】第1の加圧手段で加圧された作動流体A
    を膨張させて寒冷を発生する寒冷発生手段と、第2の加
    圧手段で加圧された作動流体Bを該寒冷発生手段によっ
    て冷却した後、被冷却体冷却手段を経て再び該第2の加
    圧手段に循環する流路とを有する冷凍機において、 前記作動流体Bのガス流路に蓄冷器式熱交換器を設け、
    該作動流体Bのガスの流れを所定の時間周期で逆方向に
    切り換えるガス切換手段を設け、且つ、前記被冷却体冷
    却手段が磁気シールド箱内の密閉された断熱容器内の液
    体ヘリウムの気相部に設置されていることを特徴とする
    ガススウィング式の冷凍機。
  15. 【請求項15】配管との流通口を両端に有するハウジン
    グと、該ハウジングの一方の流通口から流入した流体を
    通過させる細孔を有すると共に、他方の流通口を形成す
    る弁座にスプリングで圧着することによって該流通口を
    閉塞する弁体と、該スプリングによる押圧力を抗して流
    動する流体の圧力によってできた該弁体と弁座との間隙
    から該ハウジング内に逆流した流体を一方の流通口に導
    くバイパス流路とからなるジュール・トムソン弁付き逆
    止弁。
  16. 【請求項16】請求項1ないし14のうちいづれかに記載
    の冷凍機に用いられた請求項15記載のジュール・トムソ
    ン弁付き逆止弁。
  17. 【請求項17】請求項1ないし14のうちのいづれかに記
    載の冷凍機に用いられ、内部に蓄冷材の充填された作動
    流体の流路を有するものである蓄冷器。
  18. 【請求項18】請求項1ないし14のうちいづれかに記載
    の冷凍機に用いられ、内部に蓄冷材が充填され、隔壁で
    気密隔離された複数の作動流体の流路を有するものであ
    る蓄冷器。
  19. 【請求項19】請求項1ないし14のうちいづれかに記載
    の冷凍機に用いられ、内部に蓄冷材が充填され、隔壁で
    気密隔離された複数の作動流体の流路を有し、且つ各流
    体間にわたって銅製多孔板が複数層に配設されたもので
    ある蓄冷器。
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