JP3674791B2 - 冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、蓄冷式冷凍機により寒冷を得て、被冷却体を冷却する冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の蓄冷式冷凍機による冷却装置は、例えば特公昭45−27634号公報に開示されているように、図21に示すような構成になっている。図21において、冷却装置は、寒冷源としての(逆)スターリングサイクルの寒冷ガス冷凍機101と、寒冷を被冷却体110へ搬送するための冷媒回路としての冷却回路120とから構成される。
【0003】
寒冷ガス冷凍機101(以下、冷凍機と略す)は、シリンダ100と、該シリンダ100中で往復動作するピストン102と、該ピストン102とはある位相差で往復動作するディスプレーサ103と、上記ピストン102及びディスプレーサ103間の圧縮室104と連通した冷却器106と、上記ディスプレーサ103とシリンダ上端との間の膨張室105に配設された冷凍器108と、上記冷却器106と膨張室105との間に配設された蓄冷器107とを具備する。
【0004】
冷却回路120は、圧縮機121と、上記冷凍器108に熱接触された複数の寒冷伝達用熱交換器125及び被冷却体110を冷却する複数の冷却用熱交換器126が交互に直列に配設された導管系124と、該導管系124と該圧縮機121との間に介在された向流式熱交換器123とから構成される。
上記冷却装置では、冷凍機101において、先ず、ピストン102の圧縮動作(等温圧縮)によって圧縮室104に熱が発生し、続くディスプレーサ103のピストン102側への移動によって、作業媒体は冷却されながら蓄冷器107を通過し(定積冷却)、ピストン102が後退すると膨張室105に寒冷を発生して(等温膨張)、冷凍器108に熱接触した寒冷伝達用熱交換器125を流れている作業媒体から吸熱する。更に、ディスプレーサ103の上端死点への移行により、作業媒体は蓄冷器107を冷却しつつ圧縮室104に戻る(定積加熱)。
【0005】
従って、冷却回路120では、上記寒冷伝達用熱交換器125内を流れている作業媒体から吸熱されることにより、各冷却用熱交換器126に寒冷が伝達され、被冷却体110を冷却する。向流式熱交換器123は、圧縮機121からの高温の作業媒体を、該圧縮機121へ戻る低温の作業媒体で冷却している。
このような冷却装置は、各作業媒体としてヘリウムガス等を使用でき、家庭用冷蔵庫や空調装置への適用や、更に冷凍機を多段膨張形態とし、かつ、冷却回路としてジュールトムソン(J−Tと略す)回路を用いることにより、4.2Kの液体ヘリウム温度を達成して超電導磁石の冷却が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カルノー効率の定義式によれば、寒冷源の温度が低いほど、被冷却体を冷却する効率は悪化する。
このような観点から従来の冷却装置の効率を考察すると、従来の冷却装置は、膨張室105に発生した寒冷を冷凍器108に取出し、各寒冷伝達用熱交換器125で受冷して冷却用熱交換器126に伝達して被冷却体110を冷却しており、冷凍機全体で得られる寒冷を有効に活用していない。
【0007】
すなわち、冷凍器108に取出される寒冷の冷凍量Qは、被冷却体110を冷却するために使われるQ1 と、向流型熱交換器123で使われるQ2 と、また一部は周囲から向流型熱交換器123に侵入する熱(伝導熱、輻射熱)を打消すために使用される(Q3 )。つまり、冷凍量Qは、Q=Q1 +Q2 +Q3 となる。冷凍器108を冷凍機のコールドヘッドに相当する特定の温度の寒冷源と考えると、被冷却体に対し一定の温度差となる特定の温度から寒冷を得ており、その特定の温度より高い温度から寒冷を得ていない。冷凍量Q2 とQ3 とは、冷凍機のコールドヘッドの温度から圧縮機121からの高圧の作業媒体の温度範囲で向流型熱交換器123により圧縮機121からの高圧の作業媒体を冷却しているので、特定の温度より効率的冷却が期待できる高い温度から寒冷を得ていない。
【0008】
本発明は、冷凍機の寒冷を特定温度だけで取出すのではなく、高い温度から低い温度の範囲でも取出し、冷凍機の寒冷を有効に活用してより冷却効率を向上することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、蓄冷式冷凍機の第1冷媒の流動により蓄冷器の高温から低温に変化する部分に、該蓄冷式冷凍機の第1冷媒とは別の第2冷媒により被冷却体を冷却する冷却回路の高圧側回路に設けられた寒冷伝達用熱交換器を熱接触させたことを特徴とする。
請求項2の発明は、上記寒冷伝達用熱交換器が、上記蓄冷器の中に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、上記寒冷伝達用熱交換器と蓄冷器とが、上記膨張室の周壁をなすシリンダ外周に同軸状に配置されたことを特徴とする。
ここで、蓄冷式冷凍機は、スターリング冷凍機、ギホォードマクマホン冷凍機、ソルベイ冷凍機、ヴィルマイヤー冷凍機、パルス管冷凍機等である。
請求項4の発明は、上記冷却回路に二以上の寒冷伝達用熱交換器が配置され、
第1寒冷伝達用熱交換器は、蓄冷式冷凍機の第1冷媒の流動により蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触され、第2寒冷伝達用熱交換器は、蓄冷式冷凍機の膨張室又は上記蓄冷器の低温端に熱接触されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、蓄冷式冷凍機の第1冷媒の流動により蓄冷器の高温から低温に変化する部分に、圧送手段によって第2冷媒を高圧側回路から低圧側回路に流す冷却回路の高圧側回路及び低圧側回路を熱接触させたことを特徴とする。
請求項6の発明は、上記冷却回路が圧送手段によって第2冷媒を高圧側回路から低圧側回路に流すジュールトムソン回路であって、該高圧側回路を流れる第2冷媒と該低圧側回路を流れる第2冷媒とを熱接触させ、且つ、該高圧側回路が上記蓄冷式冷凍機における蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触された第1向流型熱交換器と、該第1向流型熱交換器下流側の該高圧側回路を流れる第2冷媒と該第1向流型熱交換器上流側の該低圧側回路を流れる第2冷媒とを熱接触させる第2向流型熱交換器と、該第2向流型熱交換器と前記冷却手段との間の該高圧側回路に配設されたジュールトムソン弁とを有する。
【0012】
請求項7の発明は、第1冷媒が圧縮される圧縮室と、該圧縮された第1冷媒の圧縮熱を放熱する冷却器と、該冷却器とそれぞれ連通する複数個の蓄冷器と、該複数個の蓄冷器を経た第1冷媒が膨張する膨張室とを有する蓄冷式冷凍機を設け、更に第2冷媒が流れる冷却回路の高圧側回路及び低圧側回路のうち少なくとも一方が上記蓄冷式冷凍機における複数個の蓄冷器のうち少なくとも1個を除く他の蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触されたことを特徴とする。
【0013】
冷却回路は、空調装置若しくは冷蔵庫の冷媒回路、或いは直接に冷却されるガスの流路でも良い。冷媒回路の場合、圧送手段は圧縮機又はポンプを用い、直接に冷却されるガスの流路の場合は、送風機でもよい。
好適な態様として、多段式の蓄冷式冷凍機にも適用することができる。
【0014】
【作用】
請求項1の発明によれば、蓄冷式冷凍機の第1冷媒の流動により蓄冷器の高温から低温に変化する部分に、冷却回路の寒冷伝達用熱交換器を熱接触させることは、蓄冷器中を高温から低温、低温から高温の1サイクルで流れる第1冷媒が発生する寒冷を被冷却体の冷却に利用していることになる。
【0015】
すなわち、蓄冷器の熱交換効率は100%でないので、高温から低温に向かって第1冷媒が流れる時、その流れに直交するある断面での第1冷媒の温度T1は、蓄冷材の温度より高い。また、低温から高温に向かって第1冷媒が流れる時、第1冷媒の温度T2は、蓄冷材の温度より低い。蓄冷材の平均温度をTとすると、
【0016】
【数式1】
1 −T>0
【0017】
【数式2】
2 −T<0
であり、冷凍機では、
【0018】
【数式3】
T1−T<T−T2
であるので、蓄冷器を流れる第1冷媒は冷凍能力をもち、蓄冷器は、第1冷媒の流れに直交する断面部分において、高温から低温、低温から高温の1サイクルにおいて、寒冷を発生していることになる。
【0019】
つまり、請求項1の発明では、蓄冷器中を第1冷媒が往復することが、該蓄冷器に冷凍能力を生じさせるので、この仮想的な膨張シリンダとしての蓄冷器より寒冷を取得して、冷却効率を格段と向上している。
また、上記冷却原理をカルノー効率の観点から検討すれば、寒冷伝達用熱交換器が蓄冷器の高温端から低温端に変化する部分に熱接触されることは、特定の温度を寒冷源とする冷却より効率的な冷却効率となるより高い温度から寒冷を得ることになり、総冷凍量としては、特定の温度だけから寒冷を得る場合より大きく、冷却効率を高めることができる。
【0020】
請求項2の発明では、寒冷伝達用熱交換器が蓄冷器の中に配置されることにより、蓄冷器から取り得る寒冷量を効率的に取得でき、冷却効率を更に向上している。
請求項3の発明では、膨張シリンダに寒冷伝達用熱交換器と蓄冷器とを請求項1の発明と同様の高い冷却効率を維持しつつ一体化できる。
【0021】
請求項4の発明では、上記蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触された第1寒冷伝達用熱交換器が請求項1の発明の寒冷伝達用熱交換器に相当し、それに加えて冷凍機の膨張室又は上記蓄冷器の低温端に第2寒冷伝達用熱交換器を熱接触させているので、請求項1の発明より冷却効率が高まることは明白である。
請求項5の発明において、向流型熱交換器の高圧側回路と蓄冷器が熱接触している場合、該向流型熱交換器の高圧側回路を流れる第2冷媒は、蓄冷式冷凍機の蓄冷器を流れている第1冷媒と冷却手段から圧送手段の吸入側とを結ぶ低圧側回路を流れている第2冷媒との二つの冷媒によって冷却される。蓄冷式冷凍機の蓄冷器を流れている第1冷媒による冷却は、請求項1の発明で説明したように、蓄冷器の流れに沿った高温から低温に向かって行われ、カルノー効率の観点から検討したように、蓄冷式冷凍機の膨張室で発生した特定の低い温度の冷凍で冷却するよりも効率が良く、しかも高圧側回路を流れる第2冷媒が低圧側回路を流れる第2冷媒によっても冷却されるため、向流型熱交換器の熱交換率も高めることになる。この結果、冷却手段を介して被冷却体を冷却する冷却量が増大し、冷却装置の冷却効率を格段に向上させることができる。
【0022】
また、向流型熱交換器の低圧側回路と蓄冷器が熱接触している場合、向流型熱交換器の高圧側回路を流れる第2冷媒は、向流型熱交換器の低圧側回路を流れる第2冷媒によって冷却されるが、該低圧側回路を流れる第2冷媒が蓄冷器を流れる第1冷媒により受冷されるので、向流型熱交換器の高圧側回路を流れる第2冷媒は、間接的に蓄冷器を流れる第1冷媒によっても冷却されることになり、向流型熱交換器の高圧側回路と蓄冷器が熱接触している場合とほぼ同様に、向流型熱交換器の熱交換率を高め、冷却装置の冷却効率を格段に向上させることができる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項5の発明をジュールトムソン回路に適用したもので、圧送手段から吐出されその高圧側回路を流れる第2冷媒が第1向流型熱交換器において、蓄冷器を流れる第1冷媒及び低圧側回路を流れる第2冷媒とによって冷却され、さらに第2向流型熱交換器において、高圧側回路を流れる第2冷媒が低圧側回路を流れる第2冷媒によって冷却されるので、ジュールトムソン弁に流入する高圧の第2冷媒の温度を効率良く低下でき、ジュールトムソン弁から流出する低圧の第2冷媒の液化率が向上する。その結果、被冷却体に対する冷却効率が格段と向上する。
【0024】
請求項7の発明は、蓄冷器を膨張室内に配設する場合に好適である。すなわち、蓄冷器を膨張室内に配設した場合、蓄冷器に向流型熱交換器を熱接触させると極めて複雑な構造になってしまう。そこで、複数個の蓄冷器を設け、向流型熱交換器と熱接触させない蓄冷器だけを膨張室内に配設し、向流型熱交換器が熱接触される蓄冷器は膨張室の外側に配設することにより、構成を簡素化できる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明に係る冷却装置を各具体的な実施例により詳細に説明する。
第1実施例
図1は請求項1と請求項の発明を具体化した第1実施例に係る冷却装置の概念図であり、この冷却装置は、単動二ピストン型の冷凍機11と、被冷却体25を冷却するための冷却回路27とから構成されている。
【0026】
単動二ピストン型の冷凍機11は、ピストン6が収嵌された圧縮シリンダ9と、ピストン10が収嵌された膨張シリンダ13と、上記圧縮シリンダ9の圧縮室1と連通された水冷等の冷却器2と、該冷却器2と連通した蓄冷器3と、該蓄冷器3と上記膨張シリンダ13の膨張室5とを連通した配管4とを主体に構成され、上記圧縮シリンダ9のピストン6と膨張シリンダ13のピストン10とは、それぞれのロッド8,12を介して例えばクランク機構と電動機からなる動力装置7によって駆動されるようになっている。動力装置7は、両ピストン6,10を所定の相対的位相差、例えば90°で往復駆動する。
【0027】
冷却回路27は、圧縮機器、ポンプ等の圧送手段20と、被冷却体25の冷却手段を構成する熱交換器24とを導管でループ状に配設したもので、圧送手段20の吐出側と冷却手段の入口側とを結ぶ高圧側回路22a及び冷却手段の出口側と圧送手段20の吸入側とを結ぶ低圧側回路22bとから構成されている。高圧側回路22aの該圧送手段20の吐出口と熱交換器24との間には、上記蓄冷器3中における第1冷媒の流れ方向に沿い、該蓄冷器3の外周面に熱接触された分流熱交換器21と、上記蓄冷器3の低温端(コールドヘッド)と熱接触された予冷熱交換器22と、上記膨張シリンダ13における低温端(コールドヘッド)と熱接触された予冷熱交換器23とが同順で配設されている。これら分流熱交換器21、予冷熱交換器22、予冷熱交換器23は、それぞれ請求項1,の発明における寒冷伝達用熱交換器に相当する。なお、被冷却体25の熱交換器24は、送風手段26によって加熱される。
【0028】
ところで、図2は上記蓄冷器3と分流熱交換器21との熱接触構造の具体的一例を示している。
図2において、蓄冷器3は、低温端(上端)が配管4と連通し、高温端が冷却器2の一部をなす複数の細管201,201…と連通した容器301と、該容器301の内部室302に装入された銅球、鉛球、ブロンズ金網等からなる蓄冷材303とから構成されている。上記細管201は、圧縮シリンダ9の圧縮室1とも連通して、該圧縮室1と膨張室5(図1)との間を往復するヘリウム等の第1冷媒が通過する間に、該第1冷媒を冷却する。該冷却は、冷却器2の一端から他端に給排される例えば冷却用水によっている(矢視EからF)。
【0029】
分流熱交換器21は、上記容器301の外周より螺旋状に突設された外周フィン210と、該外周フィン210によって形成される螺旋溝211と、該螺旋溝211を包囲する外筒212とから構成されていて、螺旋溝211の始端に圧送手段20からのヘリウム等の第2冷媒が導入される入口部27aを形成し、該螺旋溝211の終端に予冷熱交換器23へ第2冷媒を導出する出口部27bが形成されている。なお、予冷熱交換器22は、ここでは蓄冷器3の低温端に設けられる。
【0030】
次に上記冷却装置の動作を説明する。圧縮シリンダ9のピストン6は、膨張シリンダ13のピストン10より90°遅れた位相で圧縮動作する。ピストン6の圧縮により、第1冷媒は圧縮室1で略300Kとなり、細管201を通る間にほぼ室温に冷却される。次に蓄冷器3を通過する時、蓄冷材303によって流れの方向Aに対応して徐々に低温に冷却され、更に、配管4を通り、膨張室5に流入しようとする。ここで、ピストン10が膨張室5を拡げるように動作し、膨張室5に更に低温の寒冷が生成される。続いて、ピストン10の膨張室5を狭める動作により、第1冷媒は圧縮室1に流入する。このようにして冷凍機11の1サイクルが形成される。
【0031】
冷却回路27の第2冷媒は、圧送手段20により圧縮され、分流熱交換器21の螺旋溝211中を蓄冷器3のA方向に移動し、容器301の外周フィン210により冷却される。そして、第2冷媒は、予冷熱交換器22,23に順次流入すると、蓄冷器3の低温端を流れる第1冷媒、膨張室5内の第1冷媒により、更に冷却される。予冷熱交換器23を経た後、第2冷媒は、冷却用熱交換器24に流入し、被冷却体25を冷却する。被冷却体25を冷却して昇温した第2冷媒は、圧送手段20に吸入され、冷却回路27の1サイクルが形成される。
【0032】
ところで、上記実施例において、冷却回路27の第2冷媒は、分流熱交換器21の螺旋溝211中を移動すると、外周フィン210(蓄冷器の高温から低温に変化する部分)に熱接触される。この場合、その第1冷媒の流れに直交する断面において1サイクル中に高温側から低温側に向かって入る温かいエネルギーと低温側から高温側に向かって出る冷たいエネルギーは、冷凍機の場合、冷たいエネルギーの方が大きい。これを蓄冷器全体で見ると、蓄冷器3内の第1冷媒は一種の膨張ピストンと考えることができ、すなわち、蓄冷器3は寒冷を発生することになる。
【0033】
また、請求項1の発明に係る分流熱交換器21は、蓄冷器3に単に一体化されるのではなく、第1冷媒により蓄冷器3の高温端から低温端に変化する部分に熱接触されるため、カルノー効率の観点から検討すると、特定の温度部分から寒冷を得る場合より、冷凍量が多く得られることになる。
カルノー効率は、次表に示すように、同一の所要電力では、膨張室5(すなわち、寒冷取出口)の温度が高い程、大きくなる。ここで、カルノー効率ηは、圧縮室1の温度をTC 、膨張室5の温度をTE として、η=TE /(TC − TE )とする。
【0034】
【表1】
Figure 0003674791
このことは、例えば50Kの特定の温度で冷却するより、300〜50Kの温度範囲で連続して冷却した方が、寒冷量が大きくなる。蓄冷器の場合も高温から低温の連続した温度範囲で冷却した方が、蓄冷器の低温端の温度又は膨張室5の温度で冷却するより遙に大きな冷凍量が得られる。
【0035】
こうして本第1実施例では、蓄冷器3中の第1冷媒の流動による連続した温度から寒冷を得ているため、冷却効率を高めることができる。実験によると、分流熱交換器21で第2冷媒が冷却される冷却量は、予冷熱交換器22と23の両方で冷却される冷却量の略3倍以上にも達した。
また、本第1実施例では、膨張室の低温端で冷却する予冷熱交換器22と、蓄冷器3の低温端で冷却される予冷熱交換器23とによる冷却量も加わって、冷却効率をより高くしている(請求項の発明)。
【0036】
本実施例の変形例として、蓄冷器3の容器301の外周にろう付けにより、冷却回路27の一部としての螺旋状の配管を設けても、第1実施例の場合と同様の効果が得られる。
第2実施例
本第2実施例は請求項の発明を具体化したもので、その概念は図3に示すように、分流熱交換器21を蓄冷器3の内部に設けたことにある。
【0037】
この分流熱交換器21を蓄冷器3の内部に設ける具体的構成は、図4(A),(B)に示す。図4(A)、(B)において、符号401は蓄冷器3の容器を示し、該容器401の内部は、第1実施例と同様の構成の細管201を有する冷却器2と連設されている。そして、容器401の低温端には、膨張室5へ連通した配管4の一部が連設されている。また、容器401の高温端と低温端には、それぞれディストリビュータ404,405が嵌合されており、これらディストリビュータ404,405の間の空間には、図4(B)に示すように、蓄冷材303のスペースをあけて高温端より低温端へと複雑曲折して積層状の導管402からなる分流熱交換器21が配設される。そして、導管402の高温端側は、容器401の外部に突出して圧送手段20からの冷却回路27に対する入口部27aとなり、導管402の低温端側は、予冷熱交換器23からの冷却回路27への出口部27aとなっている。
【0038】
このような蓄冷器3と分流熱交換器402との熱接触構造によれば、蓄冷器3と分流熱交換器402との熱接触率を極めて高めることができ、寒冷を効率的に取得して、高冷却効率化を図ることができる。
第3実施例
この第3実施例における蓄冷器と分流熱交換器の熱接触構造は、図5に示すように、膨張シリンダ13を構成する筒軸501に、2重同軸状に蓄冷器3と分流熱交換器21とを形成している。すなわち、筒軸501の外周に更に大きな外筒502を重ね、該筒軸501と外筒502との間に更に隔壁503が介装されている。そして、筒軸501と隔壁503とで仕切られる内側空間に蓄冷材303を充填して蓄冷器3とし、隔壁503と外筒502とで仕切られる外側空間に、隔壁503から螺旋状に突出させた外周フィン505を形成して分流熱交換器21としている。外周フィン505の形成により高温端から低温端までの螺旋溝506が形成される。また、蓄冷材303が充填された内側空間は、導管507を介して図示しない冷却器と連通されている。また、螺旋溝506の高温端側には、冷却回路27の圧送手段20へ連通する入口部27aが形成され、螺旋溝506の低温端側には、冷却回路27の予冷熱交換器23へ連通する出口部27bが形成される。
【0039】
このような構成によれば、図2の実施例より、蓄冷器3と分流熱交換器21との容積を大きくでき、それだけ熱接触の度合いを大きくして、冷却効率を稼ぐことができると同時に、膨張シリンダ13、蓄冷器3及び分流熱交換器21が一体となってコンパクトな冷却装置となる。
第4実施例
この第4実施例における蓄冷器と分流熱交換器の熱接触構造も、膨張シリンダ13の一部13′を構成する筒軸501と一体に蓄冷器3と分流熱交換器21とを設けたものであるが、第3実施例と異なる点は、筒軸501と外筒502との空間内にドーナツ状に蓄冷材303が充填されて蓄冷器3をなす二重隔壁508を収嵌したものである。二重隔壁508はそれぞれ外周と内周にフィン505が突設して二重螺旋溝506が形成される。そして、二重隔壁508の空間の一端は、導管507を介して図示しない冷却器と連通され、他端は導管4aを介して膨張室5(図1)と連通している。
【0040】
この構成によれば、第3実施例と同様にコンパクト化できるとともに、二重螺旋溝506により、第2冷媒がフィン505と熱接触する表面積が更に確保でき、冷却効率をより高めることができる。
第5実施例
次に請求項5の発明を具現した冷却装置を図7を参照して説明する。
【0041】
図7に示す第5実施例の冷却装置も、図1の実施例と同様に、単動二ピストン型で蓄冷器3を有する冷凍機11と、被冷却体25を冷却するための冷却回路27とから構成されているが、冷却回路27の分流熱交換器(寒冷伝達用熱交換器)21の代わりに向流型熱交換器28が使用される点が図1の実施例と異なっている。
【0042】
すなわち、冷却回路27は、圧送手段20によって高圧側回路22aと低圧側回路22bに分けられ、圧送手段20の吐出口から吐出された第2冷媒は、高圧側回路22aに設けられた向流型熱交換器28の一方の熱交換エレメント(以下、高圧側熱交換路という)21aを流動して予冷熱交換器23に送給され、更に冷却用熱交換器24を流動する間に被冷却体25を冷却し、その後、向流型熱交換器28の他方の熱交換エレメント(以下、低圧側熱交換路という)21bを流動して圧送手段20の吸入口に吸入されるようになっている。
【0043】
本実施例の特徴は、上記向流型熱交換器28の高圧側熱交換路21aを、冷凍機11における蓄冷器3の高温から低温に変化する部分に熱接触(蓄冷器3内の第1冷媒の流動方向に沿って高圧側熱交換路21aを延在し熱接触)させたものである。
この蓄冷器3の高温から低温に変化する部分に向流型熱交換器28の高圧側熱交換路21aを熱接触させる具体的な構成は、例えば図8及び図9に示めされる。
【0044】
図8及び図9において、蓄冷器3は四つの容器301内に蓄冷材302を充填したものである。そして向流型熱交換器28は、上記蓄冷材302内を流動する第1冷媒と熱接触するように高圧側熱交換部材21a′が装填された外側の四つの配管221と、低圧側熱交換部材21b′が装填された外套容器220とから構成されている。配管221と容器301は、それぞれ上端及び下端で連通しており、配管221の下端の入口部284は圧送手段20の吐出口に連通され、配管221の上端の出口部283は予冷熱交換器23へ連通されている。また、外套容器220の上端の入口部281は冷却用熱交換器24へ連通され、配管220の下端の出口部282は圧送手段20の吸入口に連通されている。また、蓄冷器3を構成する容器301の上端(低温端)の出口部311は膨張室5へ連通され、下端の高温端は入口部312より冷却器2へ連通されている。
【0045】
このような構成の冷却装置では、向流型熱交換器28の高圧側熱交換器21aが蓄冷器3直接に熱接触されており、向流型熱交換器28の高圧側熱交換器21aを流れる第2冷媒は、蓄冷器3を流れている第1冷媒によって冷却されるとともに、低圧側熱交換器21bを流れている第2冷媒によっても冷却される。
このような第2冷媒が圧送手段20によって高圧側回路22aと低圧側回路22bとを循環する冷却回路27において、高圧側回路22aと低圧側回路22bとを向流型熱交換器28で結合した場合では、単に高圧側回路22aを流れる高温の第2冷媒を低圧側回路22bを流れる低温の第2冷媒で冷却するだけであるが、本実施例では、高圧側回路22aを流れる第2冷媒を、蓄冷器3を流れている第1冷媒によっても冷却している。しかも、この蓄冷器3を流れている第1冷媒に対し高圧側回路22aの第2冷媒を熱接触させているため、すなわち、蓄冷器3の高温から低温に変化する部分に熱接触させているため、図1の実施例で説明したように、冷凍機11の膨張室5で発生した特定の低い温度の冷凍で冷却するよりも効率が良くなる。従って、向流型熱交換器28の熱交換率も高めることになり、冷却用熱交換器24を介して被冷却体25を冷却する冷却量が増大し、
冷却装置の冷却効率を格段に向上させることができるものである。
【0046】
また、上記第5実施例の変形例として、向流型熱交換器28の低圧側熱交換路21bを流れる第2冷媒を蓄冷器3に熱接触させてもよいし、高圧側熱交換路21aを流れる第2冷媒と低圧側熱交換路21bを流れる第2冷媒をそれぞれ蓄冷器3に熱接触させてもよい。前者の構成は図13(図14,図15)の実施例に示し、後者の構成は図16(図17)の実施例で説明する。
【0047】
第6実施例
次に上記第5実施例の構成は、そのままJ−T回路にも適用できる。図10は、J−T回路を図7の実施例の冷却回路27として請求項6を具現したものである。この実施例に用いる冷凍機11aは、膨張シリンダ13aが2段膨張室の構成を採り、第1膨張室55と第2膨張室59をもつようにピストン10aが段状に形成されている。これに対応して冷却器2には、第1蓄冷器53と第2蓄冷器57とが2段積みされている。但し、両蓄冷器53,57の間にディストリビュータ54が介在されている。
【0048】
J−T回路78は、液体ヘリウム温度の寒冷を発生する発生させ、超電導磁石等の被冷却体77を冷却したり、液体ヘリウムを生成することができるもので、被冷却体77は液溜め76に浸漬されている。液溜め76にはジュールトムソン弁75の吐出口より生成される液体ヘリウムが溜まり、溜まった液体ヘリウムは被冷却体78の熱と外部侵入熱(伝導熱、輻射熱)で気化される。気化したヘリウム(第2冷媒)は、低圧側回路78bに各配設された第2向流型熱交換器74の低圧側熱交換路74b並びに第1向流型熱交換器72及び71の各低圧側熱交換路72b,71bを順次流動して圧送手段70の吸入口に吸入されるようになっている。
【0049】
圧送手段70で昇圧された高圧の第2冷媒は、高圧側回路78aに各配設された第1向流型熱交換器71及び72の各高圧側熱交換路71a,72a及び第2膨張室59に熱接触した予冷熱交換器73並びに第2向流型熱交換器74の高圧側熱交換路74aを順次流動してジュールトムソン弁75の吸入口に流入される。ここで、第1向流型熱交換器71,72の各高圧側熱交換路71a,72aは、それぞれ第1蓄冷器53及び第2蓄冷器57の高温から低温に変化する部分に熱接触されている。
【0050】
上記J−T回路78の動作は次のようになる。圧送手段70で昇圧された高圧の第2冷媒は、第1向流型熱交換器71,72の各高圧側熱交換路71a,72aを流動するとき、それぞれ第1蓄冷器53,第2蓄冷器57を流動する第1冷媒によって冷却されるとともに、各低圧側熱交換路71b,72bの低圧の第2冷媒によって冷却される。
【0051】
高圧側熱交換路72aを流動した高圧の第2冷媒は、予冷熱交換器73で更に低温に冷却され、続いて第2向流型熱交換器74の高圧側熱交換路74aを流動する時にその低圧側熱交換路74bを流動する第2冷媒によって冷却され、ジュールトムソン弁75の前では第2冷媒の温度が略5.7Kとなる。この第2冷媒は、ジュールトムソン弁75を経ると、等エンタルピ膨張しガスの一部が液化する。
【0052】
ところで、本実施例によっても、第1向流型熱交換器71,72の高圧側熱交換路71a,72aを流動する第2冷媒は、それぞれ第1蓄冷器53,第2蓄冷器57を流動する第1冷媒と、低圧側熱交換路71b,72bの第2冷媒とによって冷却されるため、各第1向流型熱交換器71,72の熱変換率が高率となり、ジュールトムソン弁前の第2冷媒の温度が格段に効率良く低下され、ジュールトムソン弁75から流出する第2冷媒の液化現象を高効率に行わせることができる。その結果、超電導磁石等の被冷却体77を冷却する冷却効率を一層向上する。
【0053】
第7実施例
次に本発明の第7実施例を示す図11の冷却装置は、請求項7の発明を具現したものである。
この図11に示す冷却装置は、冷却器2と膨張室5との間で第1冷媒を並列に往復流動させる複数、但しここでは二つの蓄冷器3a,3bを設けている。そして、一方の蓄冷器3aは膨張シリンダ14内の膨張ピストン10内に装置されている。他方の蓄冷器3bは、図7の実施例と同様に、向流型熱交換器28の高圧側熱交換路21aと熱接触されている。
【0054】
このような構成によれば、蓄冷器を膨張シリンダ内に設けても、膨張ピストン内の蓄冷器3aに対して向流型熱交換器28を熱接触させる必要がなく、構造の複雑化を招くことがない。
第8実施例
また、図7の実施例のように蓄冷器に熱交換器を熱接触させる場合、回転数の高い冷凍機では、蓄冷器での圧力損失を小さくするために該蓄冷器を比較的短く(径を太く)しなければならない。これに対し熱交換器は、効率を高めるため長い方が好ましい。このような場合、図12に示す第8実施例のように、複数個(ここでは2個)の蓄冷器3a,3b(この場合、2個共膨張シリンダ14の外へ出してある)を設け、向流型熱交換器28が熱接触される蓄冷器3bは、圧力損失が問題とならない程度の流量が流れるように径を小さくして長くし、向流型熱交換器の効率を確保できることになる。同時に、向流型熱交換器28と熱接触させない蓄冷器3aは比較的短めにできる。
【0055】
第9実施例
さて、第5実施例〜第8実施例は、すべて蓄冷器を向流型熱交換器の高圧側熱交換路に熱接触させたものであるが、第9実施例として、蓄冷器を向流型熱交換器の低圧側熱交換路に熱接触させてもよい。
図13は第9実施例(図12の変形例)であって、蓄冷器3bを向流型熱交換器28の低圧側熱交換路28bに熱接触させたものである。
【0056】
図14及び図15は上記低圧側熱交換路28bを蓄冷器3bに熱接触させた向流型熱交換器28の具体的構造の一例を示す。すなわち、向流型熱交換器28は、低圧側熱交換部材21b′が装填された外套容器220内に、高圧側熱交換部材21a′が装填された配管221と、蓄冷材302が充填された容器301とが独立に配設されており、外套容器220内を通る第2冷媒が容器301を介して蓄冷材302と熱接触するようにしている。
【0057】
この構造では、低圧側熱交換路28bに流れる第2冷媒が蓄冷器3を流動する蓄冷材302によって冷却され、その冷却を受けて高圧側熱交換路28aを流れる第2冷媒が冷却される。
このように向流型熱交換器28の低圧側熱交換路21bを流れる第2冷媒を蓄冷器3に熱接触させた場合、向流型熱交換器28の高圧側熱交換路21aを流れる第2冷媒は、向流型熱交換器28の低圧側熱交換路21bを流れる第2冷媒によって冷却され、更に、低圧側熱交換路21bを流れる第2冷媒該が蓄冷器3を流れる第1冷媒により冷却されるので、向流型熱交換器28の高圧側熱交換路21bを流れる第2冷媒は、間接的に蓄冷器3を流れる第1冷媒によっても冷却されることになり、図7の実施例とほぼ同様に、向流型熱交換器28の熱交換率を高め、冷却装置の冷却効率を格段に向上させることができる。
【0058】
次に、第16図及び図17は、高圧側熱交換路を流れる第2冷媒と低圧側熱交換路を流れる第2冷媒をそれぞれ蓄冷器3に熱接触させた場合の具体的構成の一例を示す。各符号は図14及び図15と共通に用いている。
この構造では、低圧側熱交換部材21b′が装填された外套容器220内に蓄冷材302が充填された容器301を配設するとともに、同外套容器220内に配設された高圧側熱交換部材21a′装填の配管221内にも蓄冷材302が充填された容器301を配設しているので、高圧側熱交換路を流れる第2冷媒と低圧側熱交換路を流れる第2冷媒をそれぞれ蓄冷器3に熱接触され、更に向流型熱交換器28の熱交換率が高まり、冷却装置における冷却効率の一層の向上を図ることができる。
【0059】
上記各具体例は、同軸或いは平行に配設した配管構造のものに対して、蓄冷器と向流型熱交換器とを熱接触させた構成を列挙したものであるが、以下は、多数の冷媒通孔が形成されたプレートを積層したタイプの向流型熱交換器で本発明の熱接触構造を具体化した例を示す。
図18において、中央には蓄冷材351cが流動する蓄冷器3が設けられており、該蓄冷器3を同軸状に囲うように、多数枚で環状のプレート351が積層されている。各プレート351には、その内周域、すなわち蓄冷器3側に高圧側の第2冷媒が通過する小通孔351aが形成され、その外周域に低圧側の第2冷媒が通過する小通孔351bが形成されている。また、各プレート351は、蓄冷器3と内周域との間に介在されたスペーサ354、内周域と外周域との間に介在されたスペーサ353及び外郭をなすスペーサ352によって相互間及び外部との気密が保持されている。そして、各プレート351の積層体は、両端の蓋体3
55,356に挟持され、各蓋体355,356にはそれぞれ所定の入口部281,284及び出口部282,283が設けられている。
このようなスペーサによる向流型熱交換器でも既述の実施例と同様に、各実施例の冷却装置を構成することができる。
【0060】
また、図19は、蓄冷器3も積層したスペーサ361で構成したものである。すなわち、本スペーサ361は円盤状であり、その中央部にも極めて多数の小通孔361cが形成され、該小通孔361cに蓄冷材を流動させるようになっている。そして、小通孔361cの外周域には高圧側の第2冷媒が通過する小通孔361aが形成され、更に外周域には低圧側の第2冷媒が通過する小通孔361bが形成されている。
【0061】
このような向流型熱交換器も各実施例の冷却装置を構成することができる。
更に、図20に示すように、中央で流動する蓄冷材351cを円筒容器3aで覆った構造としてもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、蓄冷器の高温から低温に変化する部分に、被冷却体を冷却するための冷却回路の寒冷伝達用熱交換器を熱接触したので、蓄冷器中を高温から低温、低温から高温の1サイクルで流れる第1冷媒が発生する寒冷を利用することになり、冷却効率を高めることができる。
【0063】
請求項2の発明によれば、寒冷伝達用熱交換器が蓄冷器の中に配置されることにより、蓄冷器から取り得る寒冷量を能率的に寒冷伝達用熱交換器が取得でき、冷却効率の有効な向上法となる。
請求項3の発明によれば、膨張シリンダに寒冷伝達用熱交換器と蓄冷器とを一体化し、請求項1の発明より高い冷却効率を維持しつつ、コンパクト化を図ることができる。
【0064】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の寒冷伝達用熱交換器と、冷凍機の膨張室又は蓄冷器の低温端に熱接触させた寒冷伝達用熱交換器とによる相乗効果で冷却効率を更に高めることができる。
請求項5の発明によれば、第2冷媒が圧送手段によって高圧側回路と低圧側回路とを循環する冷却回路における向流型熱交換器の熱交換率を高め、冷却装置の冷却効率を格段に向上させることができる。
【0065】
請求項6の発明によれば、請求項5と同様の作用により、ジュールトムソン弁に流入する高圧の第2冷媒の温度を効率良く低下でき、ジュールトムソン弁から流出する低圧の第2冷媒の液化効率を向上するとともに、被冷却体に対する冷却効率が格段と向上する。
請求項7の発明によれば、蓄冷器を膨張室内に配設して冷却装置をコンパクト化する場合に、膨張室の外側に配設される蓄冷器に向流型熱交換器を熱接触させることにより、構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1及びの発明を具現した第1実施例にかかる冷却装置の概念図である。
【図2】 第1実施例における蓄冷器と分流熱交換器との熱接触構造の具体的な一例を示す断面図である。
【図3】 請求項の発明を具現した第1実施例にかかる冷却装置の概念図である。
【図4】 第2実施例における蓄冷器と分流熱交換器との熱接触構造の具体的な一例を示し、(A)は側断面図、(B)は(A)のI−I線断面図である。
【図5】 請求項1の発明における蓄冷器と分流熱交換器との熱接触構造の別の具体例を示す断面図である。
【図6】 請求項1の発明における蓄冷器と分流熱交換器との熱接触構造の更に別の具体例を示す断面図である。
【図7】 本発明の第5実施例に係る冷却装置の概念図である。
【図8】 上記第5実施例に採用した蓄冷器と向流型熱交換器の熱接触構造の一例を示す説明図である。
【図9】 上記図8のII−II線に沿う断面構成を示す説明図である。
【図10】 本発明の第6実施例に係る冷却装置の概念図である。
【図11】 本発明の第7実施例に係る冷却装置の概念図である。
【図12】 本発明の第8実施例に係る冷却装置の概念図である。
【図13】 本発明の第9実施例に係る冷却装置の概念図である。
【図14】 上記第9実施例に採用可能な蓄冷器と向流型熱交換器の熱接触構造を示す説明図である。
【図15】 図14のIII−III線に沿う断面構成を示す説明図である。
【図16】 蓄冷器と向流型熱交換器の熱接触構造の他の例を示す説明図である。
【図17】 図12のIV−IV線に沿う断面構成を示す説明図である。
【図18】 蓄冷器と向流型熱交換器の熱接触構造の更に他の例を示す説明図である。
【図19】 蓄冷器と向流型熱交換器の熱接触構造の更に他の例を示す説明図である。
【図20】 蓄冷器と向流型熱交換器の熱接触構造の更に他の例を示す説明図である。
【図21】 従来の蓄冷式冷凍機を用いた冷却装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1は圧縮室、2は冷却室、3は蓄冷器、4は配管、5は膨張室、11は蓄冷式冷凍機、20は圧送手段、21は分流熱交換器(寒冷伝達用熱交換器)、27は冷却回路、22aは高圧側回路、22bは低圧側回路、28は向流型熱交換器である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (7)

  1. 第1冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮された該第1冷媒の圧縮熱を放熱する冷却器と、該冷却器と連通した蓄冷器と、該蓄冷器を経た該第1冷媒が膨張する膨張室とを有する蓄冷式冷凍機と、
    第2冷媒が流動する回路であって、被冷却体を冷却する冷却手段と、該冷却手段に該第2冷媒を搬送する圧送手段と、該圧送手段の吐出側と該冷却手段とを結ぶ高圧側回路と、該冷却手段と該圧送手段の吸入側とを結ぶ低圧側回路と、該高圧側回路に設けられ前記蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触された寒冷伝達用熱交換器とを有する冷却回路と、を備え、
    前記蓄冷器に流れる前記第1冷媒により前記寒冷伝達用熱交換器に流れる前記
    第2冷媒が冷却されることを特徴とする冷却装置。
  2. 前記寒冷伝達用熱交換器は、前記蓄冷器の中に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記寒冷伝達用熱交換器と前記蓄冷器とは、前記膨張室の周壁をなすシリンダ外周に同軸状に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
  4. 第1冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮された該第1冷媒の圧縮熱を放熱する冷却器と、該冷却器と連通する蓄冷器と、該蓄冷器を経た該第1冷媒が膨張する膨張室とを有する蓄冷式冷凍機と、
    第2冷媒が流動する回路であって、被冷却体を冷却する冷却手段と、該冷却手段に該第2冷媒を搬送する圧送手段と、該圧送手段の吐出側と該冷却手段とを結ぶ高圧側回路と、該冷却手段と該圧送手段の吸入側とを結ぶ低圧側回路と、該高圧側回路に設けられ前記蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触された第1寒冷伝達用熱交換器と、前記膨張室又は前記蓄冷器の低温端に熱接触された第2寒冷伝達用熱交換器と、を備え、
    前記蓄冷器及び前記膨張室に流れる前記第1冷媒により前記第1及び第2寒冷伝達用熱交換器に流れる前記第2冷媒が冷却されることを特徴とする冷却装置。
  5. 第1冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮された第1冷媒の圧縮熱を放熱する冷却器と、該冷却器と連通する蓄冷器と、該蓄冷器を経た第1冷媒が膨張する膨張室とを有する蓄冷式冷凍機と、
    第2冷媒が流動する回路であって、被冷却体を冷却する冷却手段と、該冷却手段に該第2冷媒を搬送する圧送手段と、該圧送手段の吐出側と該冷却手段とを結ぶ高圧側回路と、該冷却手段と該圧送手段の吸入側とを結ぶ低圧側回路と、該高圧側回路を前記蓄冷器の高温から低温に変化する部分と、前記低圧側回路とに熱接触させ向流型熱交換器とを有する冷却回路と、を備え、
    前記蓄冷器に流れる前記第1冷媒と前記低圧側回路に流れる前記第2冷媒とにより前記高圧側回路に流れる第2冷媒が冷却されることを特徴とする冷却装置。
  6. 第1冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮された第1冷媒の圧縮熱を放熱する冷却器と、該冷却器と連通する蓄冷器と、該蓄冷器を経た第1冷媒が膨張する膨張室とを有する蓄冷式冷凍機と、
    第2冷媒が流動する回路であって、被冷却体を冷却する冷却手段と、該冷却手段に該第2冷媒を搬送する圧送手段と、該圧送手段の吐出側と該冷却手段とを結ぶ高圧側回路と、該冷却手段と該圧送手段の吸入側とを結ぶ低圧側回路と、高圧側回路を前記蓄冷器の高温から低温に変化する部分と該低圧側回路とに熱接触させる第1向流型熱交換器と、該第1向流型熱交換器下流側の該高圧側回路を前記第1向流型熱交換器上流側の該低圧側回路に熱接触させる第2向流型熱交換器と、該第2向流型熱交換器と前記冷却手段との間の該高圧側回路に配設されたジュールトムソン弁とを有する冷却回路と、から構成されたことを特徴とする冷却装置。
  7. 第1冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮された第1冷媒の圧縮熱を放熱する冷却器と、該冷却器とそれぞれ連通する複数個の蓄冷器と、該複数個の蓄冷器を経た第1冷媒が膨張する膨張室とを有する蓄冷式冷凍機と、
    第2冷媒が流動する回路であって、圧送手段と、被冷却体を冷却する冷却手段と、該圧送手段の吐出側と該冷却手段とを結ぶ高圧側回路と、該冷却手段と該圧送手段の吸入側とを結ぶ低圧側回路と、該高圧側回路を流れる第2冷媒と、該低圧側回路を流れる第2冷媒とを熱接触させ、且つ、該高圧側回路及び低圧側回路のうち少なくとも一方が前記蓄冷式冷凍機における複数個の蓄冷器のうち少なくとも1個を除く他の蓄冷器の高温から低温に変化する部分に熱接触された熱交換手段を含む冷却回路と、から構成されたことを特徴とする冷却装置。
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