JP2706677B2 - 縫合針の加工方法 - Google Patents

縫合針の加工方法

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    • B21GMAKING NEEDLES, PINS OR NAILS OF METAL
    • B21G1/00Making needles used for performing operations
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は手術用縫合針の加工方法に係り、詳しくは縫
合針に縫合糸を挿通する孔を形成するための縫合針を加
工方法に関するものである。
<従来の技術> 従来より手術用縫合針にあっては、該縫合針に縫合糸
を容易に挿通し得ること、及び挿通された縫合糸が離脱
しないことが必要とされている。
前記縫合針としては、針材の端部から該針材の軸心と
一致させて縫合糸を装着するための盲穴を形成したアイ
レス針、及び針材の針元部に該針材を軸心と直交させて
縫合糸を挿通するための通り孔を形成したアイド針等が
ある。またアイド針には単に通り孔のみを形成したもの
と、通り孔の両側にバネ効果を有する孔柱を形成したも
のがある。
前記通り孔の両側にバネ効果を有する孔柱を形成した
アイド針は、針元部所定位置に略三角形状の孔を形成す
ると共に、針元部の端部に三角状切欠を形成し、更に該
切欠の頂点から前記孔の元端底辺に連続した糸入口を形
成することで、前記孔及び糸入口の両側にバネ効果を有
する孔柱を形成して構成されている。従って、縫合糸を
前記切欠に沿わせて孔側に付勢すると、孔柱が弾性変形
して糸入口が拡開して縫合糸を孔に挿通することが出
来、且つ縫合糸が孔に挿通された後、前記孔柱が元の姿
勢に復帰することで、該孔柱から縫合糸を離脱させない
ものである。
上記の如きアイド針は、針材の径が約φ0.3〜φ1.2と
非常に細いため、以下の点で加工が困難である。
即ち、前記針材に通り孔を形成するには微細な加工技
術が必要となる。前記針材を加工する際に該針材を固定
することが困難である。バネ効果を有するアイド針は針
元部の構造が複雑である。
更に、近年に至り、縫合針の材料としてオーステナイ
ト系ステンレスを用いることが一般的となっている。前
記材料は熱処理硬化を期待することが出来ない。従っ
て、素材の有する硬度のまま加工することとなるが、こ
の加工が困難である。
本件出願人は、上記諸問題を解決した縫合針の製造方
法(特公昭55−39337号公報,同59−38854号公報等)を
開発している。
前記技術は第8図(A)〜(F)に示すように、針材
1を針元部1aの孔2を形成すべき位置に一方側からプレ
ス成形し(同図(A))、次いで反対側からプレス成形
し(同図(B))、更にパンチ加工を施すことで孔2を
形成する(同図(C))。次に針材1の端部と孔2の底
辺との間をプレス成形して、該針材1の軸方向に糸逃溝
3を形成する(同図(D))。次に針材1の端部をパン
チ加工して略三角状の切欠4を形成する(同図
(E))。そして切欠4の頂点と孔2の底辺との間を切
削加工して糸入口5を形成する(同図(F))ことによ
って、孔2の両側にバネ効果を有する孔柱6を形成する
ものである。
<発明が解決しようとする課題> 上記技術によって縫合針を製造するに際し、孔2及び
三角状の切欠4をプレス加工によって形成している。
このため,得られた縫合針は第9図に示すように、針
材1の針元部1aに孔2を形成する際に、加工時の集中応
力によって孔2の頂部2a及び底辺の角部2bにヒビワレ2
c,2dが発生したり、或いは針材1の端部から切欠4を形
成する際に該三角の頂点に対応したパンチ部分に集中応
力が作用し、パンチの頂点部分に欠けが生じ、切欠4と
糸入口5との交点に段部4aが形成される虞がある。
前記ヒビワレ2c,2dが発生した場合、孔2に縫合糸を
挿通する際にヒビワレ2c或いは2dを基点として孔柱6が
欠ける虞がある。またヒビワレ2dを防止するために底辺
の角部に丸みを付した面取り2b′を形成した場合、挿通
された縫合糸が脱落し易くなるという問題が生ずる虞が
ある。
また切欠4と糸入口5との交点に段部4aが形成された
場合、縫合糸を切欠4に沿わせて孔2に挿通する際に該
縫合糸が前記段部4aによって切断される虞がある。
本発明の目的は、上記技術を更に発展させた縫合針の
加工方法を提供するものであり、製造工程を削減してコ
ストを低減すると共に、縫合糸を円滑に孔に挿通するこ
とが出来、且つ孔に挿通された縫合糸が離脱することが
無く、更に孔柱が欠けることのない縫合針を提供するも
のである。
<課題を解決するための手段> 上記課題を解決する本発明の縫合針の加工方法は、縫
合針の針元部に縫合糸を挿通するための孔を形成するた
めの加工方法であって、前記針元部を塑性加工法によっ
て偏平状に形成すると共に該針元部の軸方向略中央に前
記縫合糸を沿わせるための糸逃溝部を塑性加工法によっ
て形成し、次いで前記針元部の端部からレーザービーム
又は電子ビーム或いは放電加工によって三角状切欠,糸
入口及び該糸入口に連通する前記孔を形成することを特
徴とするものである。
<作用> 上記縫合針の加工方法に於いて、先ず縫合針の針元部
をプレス等の塑性加工法を用いて偏平状に形成すると共
に糸逃溝を形成する。この加工は二工程に分割しても良
いが、糸逃溝部に対応する位置に突起を形成したパンチ
及びダイを用いて同時加工することが好ましい。そして
前述の如くして得られた針材を水平に保持して、該針材
の針元部の端部からレーザービーム又は電子ビーム或い
は放電加工によって三角状の切欠,糸入口及び略三角形
状の孔を連続して形成することで、糸入口及び孔の両側
にバネ効果を有する孔柱を形成して縫合針を得ることが
出来る。
<実施例> 以下上記手段を適用した縫合針の加工方法について図
を用いて説明する。
第1図(A)〜(D)は本発明に係る縫合針の加工工
程の説明図、第2図(A),(B)は縫合針の説明図、
第3図は第1工程の説明図、第4図は第2工程の説明図
である。
図に於いて、縫合針Aは第1図(A)に示す針材1の
針元部1aを塑性加工法によって偏平状に形成すると共に
糸逃溝3を形成する第1工程(同図(B),(C))、
及び前記針元部1aに切欠4,糸入口5,孔2を形成すると共
に孔柱6を形成する第2工程(同図(D))を経て製作
される。
前記縫合針Aは、例えば該縫合針Aが腸を縫合するも
のである場合、第2図(A)に示すようにφ0.6の針材
1を用いている。そして第1工程に於いて、針材1の針
元部1aを厚さ0.4mmの偏平状に塑性変形させると共に、
該針元部1aの軸方向略中央であって且つ厚み方向両側に
糸逃溝3を形成する。このとき、針元部1aは両側(図に
於ける上下方向)に膨出し、この寸法は約0.8mmとな
る。次いで第2工程に於いて、同図(B)に示すよう
に、厚さ0.4mmに形成された針元部1aに切欠4,幅約0.1m
m、好ましくは0.1mm以下の糸入口5及び底辺の長さ0.4m
mを有する略三角形状の孔2を切り抜き形成する。針元
部1aに前記切欠4,糸入口5,孔2を連続して切り抜き形成
することによって、孔2の頂部2aから二本のバネ効果を
有する孔柱6が形成され、これにより縫合針Aが完成す
る。
前記の如く構成された縫合針Aに於いて、孔2は、縫
合糸を挿通すると共に該縫合糸を保持するためのもので
ある。また糸逃溝3は、孔2に挿通された縫合糸を該溝
3に沿わせることで、全体の径を小さくするためのもの
である。また切欠4は、縫合糸を孔2に挿通する際のガ
イドとなるものである。更に糸入口5は、縫合糸を孔2
に挿通する際の通路である。カンチレバー状に形成され
た孔柱6はバネ効果を有し、孔2に挿通された縫合糸が
該孔2から脱落することを防止するものである。
前記第1工程は針材1の針元部1aを偏平状に形成する
工程と、偏平状に形成された針元部1aに糸逃溝3を形成
する工程との二工程により構成しても良いが、第3図に
示す如く、ダイ7a及びパンチ7bによって構成されたプレ
スを用いることによって一工程で成形することが好まし
い。
即ち、前記ダイ7a及びパンチ7bの中央部には針材1に
糸逃溝3を形成するための突起7cが設けられている。そ
して針材1の針元部1aをダイ7a,パンチ7bの間に挿入
し、パンチ7bを矢印方向に押圧することで針材1を同図
(B)に示すように押し潰し、針元部1aを偏平状に加工
すると共に糸逃溝3を同時に加工することが出来る。
この第1工程は、プレス加工の外に例えば転造加工に
よって置き換えることも可能である。
前記第2工程は第4図に示す如く、糸逃溝3を有し且
つ偏平状に形成された針元部1aに、レーザービーム又は
電子ビームを照射しつつ、或いは針材1と放電ワイヤと
の間で放電させつつ、前記各ビーム、或いはワイヤと針
材1とを矢印の経路に沿って一筆書き的に相対移動させ
ることで、切欠4,糸入口5,孔2を切り抜き、これにより
孔柱6を形成するものである。
前記第2工程に於いて、針元部1aには糸逃溝3が形成
されていない方が厚さが均一となり好ましい。然し、針
元部1aに前記切欠4,糸入口5,孔2を形成した後、孔柱6
に糸逃溝3を例えばプレス成形しようとすると、該孔柱
6が外側に逃げるため、良好な形状を有する糸逃溝3を
形成することが困難であるばかりか、糸逃溝3の底付近
に不規則なワレが生ずるため、該ワレの発生を防止する
ために別工程によって局部的に軟化させることが必要と
なる等の不都合が多い。このため、糸逃溝3は第1工程
に於いて形成しておく必要がある。
次に、前記第2工程に於ける切り抜き切断について詳
説する。
先ず、前記第2工程をレーザービーム又は電子ビーム
によって行う場合について説明する。
前記各ビームによって針材1の針元部1aに切欠4,糸入
口5,孔2を切り抜き形成する場合、各ビームを細く集束
すると共に該ビームを針元部1aに照射する。このとき、
針材1の針元部1aの幅が約0.8mmと非常に狭く、且つ厚
さが0.4mmと幅寸法に比して比較的厚いため、前記ビー
ムを細く且つ長く集束することが必要である。
即ち、第5図に示す如く、針元部1aの厚さをtとし、
ビームの焦点距離をfとすると、 f≧30t とすることが必要である。
例えば焦点距離fが前式の数値以下となった場合、針
材1の厚さ方向の特定位置が焦点となり、ビームの針材
1に対する出入口、即ち、針元部1aに対する切断面の上
下縁が乱れ、円滑な切断面を得ることが出来ない。
またビームを細く集束すると共にエッジを明確にした
集束が必要である。即ち、切断に必要なビームを細く集
束した時、該ビームの周辺にぼやけた弱いビームがある
と、該ビームによって孔柱6が加熱されて硬度が低下
し、これにより孔柱6のバネ効果を喪失する虞がある。
前記レーザービーム又は電子ビームを用いた加工装置
の一例を第6図に示す。
図に於いて、多数の針材1が載置台8上に並べられて
いる。この載置台8はテーブル9上の所定位置に並行し
て載置されている。テーブル9はモーター10〜12により
駆動され、x,y,zの各軸方向に移動し得るように構成さ
れている。
テーブル9の上方であって、針材1に対向した位置に
レーザービーム銃或いは電子ビーム銃等の照射銃13が配
置されている。前記照射銃13としては公知のパルスビー
ムを発射し得る銃を用いることが可能である。前記照射
銃13は制御部14と接続されており、ビームの発射時期或
いはビーム発射の終了時期等を制御されている。
テーブル9の上方所定位置には、例えばCCDカメラ等
の撮像装置15が配置されている。この撮像装置15はビー
ムの照射位置、或いはテーブル9全体を撮影し得るよう
に構成されている。そして撮像装置15によって撮影され
た映像信号は画像処理装置16に転送され、該画像処理装
置16に於いて所定の画像処理を施されると共に、画像信
号が制御部14に転送される。前記画像信号としては、テ
ーブル9に於ける個々の針材1の位置情報がある。
前記制御部14は、照射銃13の動作プログラムや加工プ
ログラム或いは針材1に形成する形状情報等を格納した
ROM、後述する入力装置17から入力される針材1の径等
の情報や針材1に形成すべき形状の指示情報等を一時記
憶するRAM、及びCPUから構成されている。
また18〜20は夫々モーター10〜12に対応して設けられ
たドライバである。
上記の如く構成された加工装置によって針材1を加工
するには、先ずテーブル9上に多数の針材1を載置した
載置台8を並列させる。次いで入力装置17によって針材
1に形成すべき形状を指示すると共に針材1の径等の情
報を入力する。そして加工装置をスタートさせると、RO
Mに格納された加工プログラム及び形状情報が読み出さ
れ、撮像装置15がテーブル9上にある針材1を撮影し、
該映像が画像処理装置16に於いて画像処理されて制御部
14に転送される。この結果テーブル9上にある針材1の
位置がRAMに一時記憶される。次いで、加工プログラム
に従ってモーター10,11が駆動され、第1に加工すべき
針材1が照射銃13に対応した位置に移動される。針材1
が照射銃13の位置に到達したことが確認されると、加工
プログラム及び照射銃13の動作プログラムに従って照射
銃13からビームが発射されて針材1が所定の形状に加工
される。そして加工が終了すると、該針材1に対する加
工を終了した旨の信号が出され、制御部14に記憶され
る。
上記加工を順次針材1に施し、全ての針材1に対する
加工が終了すると、加工装置の動作が終了する。
尚、上記加工装置ではテーブル9をx,y,z方向に移動
し得るように構成したが、テーブル9を固定し照射銃13
を移動し得るように構成することも可能である。
次に、前記第2工程をワイヤ放電加工法によって行う
場合について説明する。
この場合、用いるワイヤの太さが問題となる。即ち、
第2図(B)に示すように糸入口5の幅寸法が0.1mmで
ある場合、ワイヤの太さはφ0.1以下であることが必要
である。従来このような太さのワイヤを用いた放電加工
は困難であったが、近年の放電加工技術の発達により充
分可能になっている。
前記放電加工法を用いた加工装置の一例を第7図に示
す。
図に於いて、針材1の加工装置は第6図に示す加工装
置と略同様に構成されている。特に、多数の針材1を載
置する載置台8,テーブル9は同一の構造を有するものを
用いることが出来る。即ち、多数の針材1が載置台8上
に載置されている。この載置台8はx,y方向に移動可能
に構成され、且つ作動オイルを収容した容器21内に収容
されている。ワイヤ22は上部リール23から下部リール24
に送給されている。
上記の如く構成した加工装置に於いて、針材1の加工
はワイヤ22と針材1との間の放電によって行われる。こ
の加工プロセスは公知である。そしてワイヤ22と針材1
との間で放電しつつ針材1をx,y方向に移動して針元部1
aに切欠4,糸入口5及び孔2を切り抜き形成することが
出来る。
前述の各加工装置に於いて、制御部14に針材1に形成
すべき切欠4,糸入口5及び孔2として複数の形状情報を
格納した場合には、入力装置17によって前記形状情報の
中から所定の形状を指示することで、針材1を容易に加
工することが出来る。従って、容易に多品種少量生産を
実施することが出来る。このため、従来行われていた製
造ラインに於ける型交換の必要が無く製造コストを低減
することが出来る。
<発明の効果> 以上詳細に説明したように、本発明の縫合針の加工方
法によれば、該縫合針の製造工程を、針材の針元部を偏
平状に成形すると共に糸逃溝を形成する第1工程と、針
元部に切欠,糸入口,孔を形成する第2工程とによって
構成することが出来る。このため、従来の方法と比較し
て工程数を削減することが出来、従って、生産コストを
低減することが出来る。
また切欠,糸入口,孔を針材の端部から一筆書き的に
形成することが出来るため、美麗な切断面を得ることが
出来、且つ切欠から糸入口への接合位置に於いて段部が
形成されることが無く、また針材に機械的な力がかから
ないため、ヒビワレが発生することが無く、このため縫
合糸を孔に挿通する際に該縫合糸が切断することが無
く、且つ孔柱が欠けることも無い。
また針元部に切欠等を形成するに際し、加工工具とし
てレーザービーム又は電子ビーム或いは放電加工を用い
るため、針材に対する荷重の負担を無くすことが出来
る。このため、針材の固定が容易となり、該針材に精度
の良い加工を施すことが出来る。
また、糸入口の加工に際し、レーザービーム又は電子
ビームの太さを調整し、或いはワイヤの太さを選択する
ことで、糸入口の幅寸法を0.1mm以下に設定することが
容易である等の特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)〜(D)は本発明に係る縫合針の加工工程
の説明図、第2図(A),(B)は縫合針の説明図、第
3図は第1工程の説明図、第4図は第2工程の説明図、
第5図はビームの焦点距離の説明図、第6図はレーザー
ビーム又は電子ビームを用いた加工装置の説明図、第7
図はワイヤ放電加工法を用いた加工装置の説明図、第8
図及び第9図は従来技術の説明図である。 Aは縫合針、1は針材、1aは針元部、2は孔、3は糸逃
溝、4は切欠、5は糸入口、6は孔柱、7aはダイ、7bは
パンチ、7cは突起、9はテーブル、10〜12はモーター、
13は照射銃、14は制御部、15は撮像装置、16は画像処理
装置、17は入力装置、18〜20はドライバ、21は容器、22
はワイヤ、23,24はリールである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】縫合針の針元部に縫合糸を挿通する孔を形
    成するための加工方法であって、前記針元部を塑性加工
    法によって偏平状に形成すると共に該針元部の軸方向略
    中央に前記縫合糸を沿わせるための糸逃溝部を塑性加工
    法によって形成し、次いで前記針元部の端部からレーザ
    ービーム又は電子ビーム或いは放電加工によって三角状
    切欠,糸入口及び該糸入口に連通する前記孔を形成する
    ことを特徴とした縫合針の加工方法。
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