JP2005046860A - フープ材の打ち抜き加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】品種ごとに切欠部の長さが異なる加工製品の製造に好適なフープ材の打ち抜き加工装置を提供する。
【解決手段】フープ材10に切欠部11を形成する第1のポンチ21と、フープ材を所定の長さに切断する第2のポンチ22を備える。第1のポンチ及び第2のポンチを同時に下降させて、切欠部を形成すると同時にフープ材を切断する第1の打ち抜きモードと、第1のポンチのみを下降させる第2の打ち抜きモードとを有し、第1の打ち抜きモードの動作を行った後、フープ材を長さ方向に間欠的に移動させながら第2の打ち抜きモードの動作を複数回行って切欠部を拡大する。フープ材10の移動量が加工製品の長さに達した時点で再び第1の打ち抜きモードの動作を行う。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば平角線からなる巻線型のコイル材料を製造する際に使用されるフープ材の打ち抜き加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9及び図10に示すような平角線からなるコイル1を使用した大電流用のチョークコイルが用いられている。このコイル1は、金属板を図11のように打ち抜いて切欠部11を有する加工製品10aを形成した後、巻線部12を曲げ加工して作られる。巻線部12の両側は電極部13となる。数種類の仕様のチョークコイルが製造されるが、巻線部12の長さLはコイルの巻数が多いほど長くなる。したがって、コイルの仕様、品種ごとに巻線部12の長さ、すなわち切欠部11の長さLが異なる数種の加工製品10aが必要となる。
【0003】
従来の打ち抜き加工装置としては、例えば特許文献1に記載されたようなものがある。これは、金型とポンチのみを加工製品の外形寸法に合わせた専用のものと交換し、それ以外の部品は他の加工製品の場合も共用化することにより、コストダウンを図るものである。
【0004】
【特許文献1】特開平9−155464号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、金型は高価であり、その製作には時間がかかる。このため、加工製品ごとに異なる専用の金型及びポンチを用いる方法では、なおコスト高となるうえ、加工製品の仕様変更への対応に遅れがでる問題があった。本発明は、前述のコイル材料のような、品種ごとに切欠部の長さが異なる加工製品の製造に好適なフープ材の打ち抜き加工装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長尺のフープ材10に打ち抜き加工を施して、切欠部11を有する所定の長さの加工製品10aを連続的に製造するフープ材の打ち抜き加工装置であって、フープ材10に切欠部11を形成する第1のポンチ21と、フープ材10を所定の長さに切断する第2のポンチ22と、第2のポンチ22の動作、非動作を切り替える動作切替部50と、フープ材10を長手方向に移動させるフープ送り部30と、フープ送り部30と第1のポンチ21、第2のポンチ22、動作切替部50の動作を制御する制御部とを備え、第1のポンチ21及び第2のポンチ22を同時に下降させて、切欠部11を形成すると同時にフープ材10を切断する第1の打ち抜きモードと、第1のポンチのみを下降させる第2の打ち抜きモードとを有し、第1の打ち抜きモードの動作を行った後、フープ材10を長さ方向に間欠的に移動させながら第2の打ち抜きモードの動作を複数回行って切欠部11を拡大し、フープ材10の移動量が加工製品10aの長さに達した時点で再び第1の打ち抜きモードの動作を行う構成を特徴とする。
【0007】
【実施例】
本発明においては、打ち抜き用の金属板として、金属板を長尺の帯状に成形したフープ材10を使用する。特に、あらかじめスリッター加工等を施すことにより、一定の幅寸法に精度よく成形したフープ材10が好ましい。図3は本発明による打ち抜き加工装置の一実施例を示すもので、装置全体の概要図である。
【0008】
この装置は、共通のベース3上に取付けられた打ち抜き部20とフープ送り部30とテンション部40を備えている。打ち抜き部20には、後述する切断用のポンチの動作、非動作を切り替えて、二つの打ち抜きモードを交互に切り替える動作切替部50が設けてある。図示は省略してあるが、打ち抜き部20や動作切替部50、フープ送り部30の動作を制御する制御部も備えている。フープ材10には公知の構造のテンション部40によって張力が付与される。
【0009】
フープ送り部30は、フープ材10を図3で右から左方向に送る動作を行う。フープ送り部30は、フープ材10を挟んで保持する挟持部31と、この挟持部31を図で左右に往復運動させる駆動部を備えている。実施例の駆動部は、モーター35と、モーター35によって回転される図示しないボールネジで構成してある。図4に示すように、挟持部31はエアシリンダ32で上下動される可動体33と固定板34を有し、可動体33と固定板34の間が開閉して、これらの間に通したフープ材10を挟んで保持したり解放したりする。
【0010】
打ち抜き部20には、フープ材10に切欠部を形成するためのポンチ21と、フープ材10を所定の長さに切断するためのポンチ22を設けてある。これらの二つのポンチ21、22は、シリンダ5のピストン6に連結したホルダー7に保持されており、ピストン6の動きに伴って上下動する。切断用のポンチ22は、切断動作の動作、非動作状態が動作切替部50によって切り替えられる。23は支持台4を介してベース3上に固定された金型である。
【0011】
二つのポンチ21、22の位置関係は図5のようになっている。図5は、打ち抜き部20の要部を上方から見た図である。金型23の上面に送られてきたフープ材10は、その側面が押さえ板24によってガイド25の側面に押し付けられて、幅方向の位置決めがなされる。ポンチ21、22は、ピストン6(図3)で押し下げられたとき、金型23と噛み合ってフープ材10の打ち抜きや切断を行う。
【0012】
図1及び図2は、打ち抜き部20の要部を正面から見た図であり、部分的に断面にしてある。図1はポンチ22が動作する第1の打ち抜きモード、図2はポンチ22が非動作の第2の打ち抜きモードにある場合を示している。このポンチ22は図示しないスプリングで常に上方に付勢されている。金型23の真上の位置には上金型28を設けてある。上金型28はピン26を介してホルダー7に支持されている。ホルダー7と上金型28の間にはスプリング27が取付けてある。
【0013】
上金型28はスプリング27を伸縮しながらホルダー7に対して上下動可能になっている。このため、ピストン6が押し下げられると、まず、上金型28がそれ自身の重さとスプリング27を介したピストン6の力でフープ材10を金型23に押し付けて固定する。そしてピストン6がさらに降下すると、ポンチ21や動作状態にあるポンチ22が上金型28の下面から突出して、フープ材10の打ち抜きや切断動作が行われる。
【0014】
図1の第1の打ち抜きモードでは、動作切替部50におけるエアシリンダ51のピストン52が右方に前進している。ピストン52に押されたスライダ53は右方に移動し、ホルダー7の側面に突き当たって停止している。ポンチ22は、スライダ53で押し下げられたうえ、上端をスライダ53で押さえられた状態にある。このときピストン6が押し下げられると、ポンチ22はポンチ21と共に下降して上金型28の下面から突出する。そして、金型23と噛み合ったポンチ22、21によって、フープ材10の切断及び切欠部の打ち抜きが行われる。
【0015】
図2の第2の打ち抜きモードでは、エアシリンダ51のピストン52は後退している。このためスライダ53は、ホルダー7との間に取付けたスプリング54に押されて左方に移動し、スライダ53に固定したストッパ55がホルダー7の内壁に当たって停止している。スプリングで上方に付勢されているポンチ22は、スライダ53による押さえが解除され、僅かに上昇して停止する。このときポンチ22が上昇する距離はフープ材10の厚みにもよるが数mm程度でよい。この状態では、ピストン6が押し下げられてもポンチ22がフープ材10まで届かず、他方のポンチ21のみが上金型28の下面から突出してフープ材10を打ち抜くことになる。
【0016】
図3は第1の打ち抜きモードでフープ材10の切断と切欠部の打ち抜きを行った直後の状態を示している。挟持部31はその移動範囲の左端の位置にあり、フープ材10の先端部は金型23と上金型28との間に挟んで保持されている。なお、フープ送り部30が働いてフープ材10を送る際は、上金型28がホルダー7と共に上昇してフープ材10を解放する。
【0017】
次に、この後の打ち抜き加工装置の動作を、図11に示したコイルの加工製品10aを作る場合を例にとって説明する。図6、図7は、それぞれ加工製品10aの切欠部の長さLが45mm、63mmの場合の動作例である。なお、ポンチ21の長さAが30mmの打ち抜き加工装置を使用するものとする。
【0018】
図3の状態から、挟持部31を開いてフープ材10を解放し、挟持部31を加工製品10aの全体の長さ分だけ、図で右方に後退させた後、挟持部31を閉じてフープ材10を保持する。これが図6及び図7の(イ)の状態であり、この時点でフープ材10には長さ30mmの切欠部が形成されている。
【0019】
そこで、切欠部の長さLが45mmの加工製品10aを製造する場合は、図6の(ロ)のように残りの距離15mm(=45−30)だけ、挟持部31を前進させてフープ材10を送って停止する。そして、第2の打ち抜きモード、すなわちポンチ21のみを動作させて切欠部11を打ち抜いて拡大する。次いで、再びフープ材10を送り、(イ)の時点からの挟持部31の移動距離が加工製品10aの長さに達した時点で停止させて、第1の打ち抜きモード、すなわち二つのポンチ21、22によってフープ材10の切断と切欠部11の打ち抜きを行う。これが(ハ)の段階であり、一つの加工製品10aが完成する。この後、開いた挟持部31を加工製品10aの長さ分だけ後退させて(イ)の段階に戻る。以後はこれらの一連の動作を繰り返し行えばよい。
【0020】
切欠部の長さLが63mmの加工製品10aの場合は、2回の打ち抜き動作では切欠部11を形成できないので、3回に分けて行う。まず、図7(ロ)のように例えば17mmだけフープ材10を送って停止させ、第2の打ち抜きモードで切欠部11を拡大する。次いで(ハ)のように、フープ材10を16mm送って停止し、第2の打ち抜きモードで切欠部11をさらに拡大する。これで63mmの切欠部11が形成されたことになる。
【0021】
再びフープ材10を送って、(イ)の時点からの挟持部31の移動距離が加工製品10aの長さに達した時点で停止させる。そして第1の打ち抜きモードでフープ材10の切断と切欠部11の打ち抜きを行うことにより、(ニ)のように一つの加工製品10aが完成する。この後、開いた挟持部31を加工製品10aの長さだけ後退させて(イ)の段階に戻り、以後はこの動作を繰り返す。
【0022】
第2の打ち抜きモードの動作回数と各段階の間欠的なフープ材10の送り量は、加工製品10aや切欠部11の長さに応じて予め制御部に設定しておくようにする。あるいは、別の方法として、加工製品の長さを入力すると、この値を基にして、第2の打ち抜きモードの動作回数とフープ材10の送り量を自動計算して動作させることもできる。
【0023】
通常のポンチ21で切欠部11を拡大しようとすると、ポンチ21の一部が同じ位置を再度打ち抜くことになり、その部分でポンチ21とフープ材10の噛み込みが発生することがある。この噛み込みが起きると、図9及び図10に示したコイル1の巻線部12の一部にバリが発生して短絡不良の原因となる。この噛み込みを避けるためには、図8の(イ)に示すように、ポンチ21の一側面にはフープ材10の幅方向の段差21aを設けておくとよい。段差21aのあるポンチ21でフープ材10を打ち抜くと、(ロ)のように段差のある切欠部11が形成される。
【0024】
その結果、第2の打ち抜きモードで切欠部11を拡大する際には、同じく(ロ)のように、ポンチ21の一部は切欠部11の中を通過することになる。このようにして切欠部11を拡大すると、(ハ)のような形の切欠部11となる。同じ部分を再度打ち抜くことがなくなるので、ポンチ21とフープ材10の噛み込みが防止できる。なお、図では極端に拡大してあるが、実際には0.05mm程度の僅かな段差で十分な効果が得られる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、切欠部の長さが異なる数種の加工製品を、同じ金型を使用して、同じ打ち抜き加工装置で生産できる。金型の交換作業が不要であり制御部の設定を変えるだけで品種の変更に対応できるので、きわめて生産性のよいフープ材の打ち抜き加工装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の第1の動作状態における一部断面正面図
【図2】本発明の装置の第2の動作状態における一部断面正面図
【図3】本発明の装置の概略の構成を示す一部断面正面図
【図4】挟持部を拡大して示す一部断面正面図
【図5】打ち抜き部の要部の一部断面平面図
【図6】打ち抜き工程の第1実施例を示す動作説明図
【図7】打ち抜き工程の第2実施例を示す動作説明図
【図8】ポンチの変形例による動作説明図
【図9】コイルの平面図
【図10】同コイルの正面図
【図11】加工製品の一例を示す平面図
【符号の説明】
10 フープ材
10a 加工製品
11 切欠部
21 第1のポンチ
22 第2のポンチ
30 フープ送り部
50 動作切替部

Claims (3)

  1. 長尺のフープ材に打ち抜き加工を施して、切欠部を有する所定の長さの加工製品を連続的に製造するフープ材の打ち抜き加工装置であって、
    フープ材に切欠部を形成する第1のポンチと、
    フープ材を所定の長さに切断する第2のポンチと、
    第2のポンチの動作、非動作を切り替える動作切替部と、
    フープ材を長手方向に移動させるフープ送り部と、
    フープ送り部と第1のポンチ、第2のポンチ、動作切替部の動作を制御する制御部とを備え、
    第1のポンチ及び第2のポンチを同時に下降させて、切欠部を形成すると同時にフープ材を切断する第1の打ち抜きモードと、
    第1のポンチのみを下降させる第2の打ち抜きモードとを有し、
    第1の打ち抜きモードの動作を行った後、フープ材を長さ方向に間欠的に移動させながら第2の打ち抜きモードの動作を複数回行って切欠部を拡大し、フープ材の移動量が加工製品の長さに達した時点で再び第1の打ち抜きモードの動作を行うことを特徴とするフープ材の打ち抜き加工装置。
  2. フープ材の幅方向の段差を第1のポンチに設けて、段差のある切欠部が形成されるようにし、第2の打ち抜きモードで該切欠部を拡大する際に、第1のポンチの少なくとも一部が該切欠部の中を通過するようにした請求項1のフープ材の打ち抜き加工装置。
  3. フープ送り部が、開閉してフープ材の保持と解放を交互に行う挟持部と、該挟持部を往復運動させる駆動部とからなり、第1の打ち抜きモードの動作終了後から、挟持部を加工製品の長さ分の距離だけ後退させる間のみ、挟持部を開いてフープ材を解放する請求項1のフープ材の打ち抜き加工装置。
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