JP2706129B2 - プラズマ照射溶鋼直接分析方法 - Google Patents

プラズマ照射溶鋼直接分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、製鋼プロセスの操業管理をより綿密に行う
ために必要な、溶鋼中含有成分の分析に関し、特に、溶
鋼表面に原子発光を励起して原子発光スペクトルを分光
分析装置で分析することにより溶鋼中成分を測定する方
法に関する。
〔従来の技術〕
溶鋼の含有成分の分析は、通常、溶鋼試料をサンプラ
ーで採取して得たブロック試料を対象に分析する方法が
一般的であるが、溶鋼採取から分析結果を得るまでに人
手と時間がかかる。
これを改善するため、溶鋼表面にレーザを照射して溶
鋼表面に原子発光を励起して、レーザ照射点(火点)の
光を光ファイバで分光分析装置に導入して、原子発光ス
ペクトルを分光分析して溶鋼中成分を、溶鋼サンプルの
採取をすることなく、リアルタイムで測定する方法が提
案されている(特願昭57−191087号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
測定対象の溶鋼が存在する場所は、熱,煙,ダスト,
振動等が存在し、レーザ機器を設置する環境には適して
いない。したがってレーザ発振器は溶鋼からかなり離れ
た所に設置し、レーザ発振器から溶鋼表面までにレーザ
を伝幡するなどの方法をとるが、この光学系の光路長が
長く、光学系の保守および光学系をきれいに維持するた
めのガスパージ系などの付加手段が多くその装置と維持
がむつかしいという問題がある。また、レーザ光による
原子の発光強度は弱いが、更に光路長が長いため、レー
ザパワーを特に大きくしなければならず、高パワーレー
ザ装置は高価格となり、設備コストが高い。
本発明は、又元素の発光強度出力を高めて分析感度・
精度を向上すること、および設備コストおよび維持コス
トを低減し、かつ保守を簡単にすることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、プラズマ照射により溶鋼表面にレーザ照
射等に比べてより以上強い原子発光を励起する。プラズ
マ照射法によって溶鋼成分を原子発光する場合に特に問
題になるのは、第1は溶鋼表面上のスラグを励起しない
ためにそのスラグの排除であり、第2は、溶鋼湯面レベ
ル変動による発光スペクトルの集光のための光軸の変動
に伴う分析精度の低下を防ぐことにあると言える。そこ
で本発明では、下端が開口した耐火物筒の内部にプラズ
マトーチと受光端が該プラズマトーチの火点に指向した
光ファイバを支持したプローブを、溶鋼中にその下端開
口部を浸漬し、前記プラズマトーチによりプラズマを溶
鋼表面に照射して溶鋼含有成分を原子化して原子発光ス
ペクトルを前記光ファイバを介して分光分析装置に導入
して分光分析により溶鋼中成分を測定する新規な方法を
提案するものである。すなわち、溶鋼面に対してプラズ
マを照射する際に大気開放状態でなく、耐火円筒を用い
て、その先端に鉄製キャップをし、なお、不活性ガスを
排出しながらスラグ層を通過して溶鋼中に浸漬してスラ
グ対策を実施し、次に耐火円筒内のプラズマ用ガスによ
る加圧でその円筒底面位置に湯面レベルを保持すること
を可能にしたものである。
〔作用〕
プラズマトーチは、それよりプラズマを噴射するとき
には、センターガスおよびシールドガスをトーチ先端よ
り噴射するので、プローブが溶鋼中にガスを噴射するこ
とになり、このガスによりプローブ内が自動的にガスパ
ージされる。プローブ外においてガスパージを行なう必
要はないので、付加設備を格別に要しない。
プラズマトーチは小形であって、それにはセンターガ
ス供給管,シールドガス供給管およびプラズマトーチ電
源線を接続すればよいので、溶鋼に浸漬するプローブ内
に容易に設備しうる。しかして、プラズマトーチの構造
は単純であるので、保守,点検および取り替えが容易で
ある。
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下
の実施例の説明より明らかになろう。
〔実施例〕
第1図に、本発明を一態様で実施する装置構成を示
す。測定プローブ1の、下端が開口した釣り鐘形の耐火
物筒2の内部には、ベース材3でプラズマトーチ4およ
び光ファイバ5が支持されている。プラズマ用ガスの噴
出により耐火物筒2の底面6からガスは排出され、ここ
に溶鋼の湯面が形成され、この底面6の位置から、プラ
ズマトーチ4の設計対物距離(最適プラズマ長)分高い
位置にプラズマトーチ4のプラズマ噴射口が位置する。
光ファイバ5の集光端は、プラズマトーチ4の中心電極
の垂直降下線と、耐火筒の底面6を横切る水平面との交
点を指向している。
測定プローブ1は、支持具7に着脱自在に装着されて
いる。支持具7は、昇降装置8で上下駆動され、測定を
しない間は、昇降装置8で支持具7を上退避位置に駆動
しておく。すなわち測定プローブ1を溶鋼9より引き上
げて、上方に退避させておく。
プラズマトーチ4には、センターガス管10を通してセ
ンターガスが供給され、また、シールドガス管を通して
シールドガスが供給される。プラズマトーチ4には、プ
ラズマ電源装置12がプラズマ電力を供給する。
溶鋼中成分の測定を行なうときには、流量調節弁13で
センターガス供給量を所定値に設定し、流量調節弁14を
所要流量のシールドガスを供給する開度に調節し、かつ
流量調節弁15は、所要流量のパージガスを供給する開度
に調節しておく。切換弁16は、11−15接続に設定して、
圧力計17の指示値を見ながら、昇降装置8で支持具7を
降下させる。
切換弁16が11−15接続であるので、パージガスボンベ
20のパージガスボンベのガスがプラズマトーチ4の下端
から耐火物筒2内に出て、筒2の下開口から下方に噴出
する。これにより、支持具7が降下して鉄製のキャップ
をかぶせたプローブ1がスラグ層を通過し、溶鋼面に達
すると鉄製キャップは溶解するか、Ar等不活性ガスが一
般的であるパージガスが溶鋼中に噴出し、スラグの侵入
を防止すると共に溶鋼湯面レベルをプローブ底面6の位
置に保持する。プローブ1の下端が溶鋼中に入ると、噴
射ガスはプローブ底面6から出るようになるので、その
背圧により圧力計17の指示値が急激に高くなる。プロー
ブ1が更に降下して、溶鋼面レベルにプローブ底面6が
到達すると、溶鋼によりプローブ底面6が閉じられるの
で、そこで圧力計17の圧力が更に高くなる。そこを起点
に、圧力計17の圧力が所定値上昇した時点に、又は、該
起点からプローブ1の降下量を監視して、それから所定
深さになったときに、昇降装置8の降下駆動を停止す
る。すなわち、プローブ底面6が溶鋼上面より所定深さ
になった時に、プローブ1の降下を止める。
次に切換弁16を11−14接続に切換えて、プラズマトー
チ4にシールドガスを供給し、プラズマ電源装置12でプ
ラズマトーチ4を起動してプラズマ噴射を開始する。こ
れによりプラズマがトーチ4より、プローブ内溶鋼上面
に噴射され該溶鋼上面に火点(原子発光点)が形成され
るが、トーチ4により噴射されたセンターガスおよびシ
ールドガスが溶鋼面を押し下げてプローブ底面6からプ
ローブ1の外方に出るので、溶鋼面はプローブ底面6の
位置となっている。すなわちプローブ1内で溶鋼面は設
計対物距離(最適プラズマ長)にあり、光ファイバ5の
集光端が、この溶鋼面上の、プラズマ衝突位置を指向し
ている。したがって、溶鋼面で発生した原子発光が光フ
ァイバ5に集光されて分光分析装置21に導入される。そ
こで分光分析装置21で成分分析を行なう。
所要の分析を終了すると、プラズマ電源をオフにし
て、ガスは噴出したまま昇降装置8でプローブ1を低速
で上昇させる。その後比較的に高速でプローブ1を引き
上げて退避位置まで上昇駆動し、そして昇降装置8を停
止する。
なお、図示は省略したが、プローブ1内において、ト
ーチ4にシールドガスを供給する管路より小管路が分岐
してこの小管路が光ファイバ5の集光端部にパージガス
を供給する。プローブ1を支持具7に装着している間
は、光ファイバ5の集光端が汚れるのを防ぐために、所
要流量で、シールドガス又はパージガスがトーチ4に供
給される。溶鋼中のMn濃度を本発明によって分析した結
果を従来の溶鋼を採取してスパーク発光分析で分析した
値との相関を調べるためにMn定量用検量線例を第2図に
示したが、従来法とよく一致した結果が得られた。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明によれば、プラズマ噴射により
溶鋼表面に原子発光を励起して、これを光ファイバで分
光分析装置に導入して、分光分析装置で、原子発光スペ
クトルを分析して溶鋼中成分を、溶鋼サンプルの採取を
することなく、リアルタイムで測定することができる。
プラズマトーチは、それよりプラズマを噴射するとき
には、センターガスおよびシールドガスをトーチ先端よ
り噴射するので、プローブが溶鋼中にガスを噴射するこ
とにより、このガスによりプローブ内が自動的にガスパ
ージされる。プローブ外においてガスパージを行なう必
要はないので、付加設備を格別に要しない。
プラズマトーチは小形であって、それにはセンターガ
ス供給管,シールドガス供給管およびプラズマトーチ電
源線を接続すればよいので、溶鋼に浸漬するプローブ内
に容易に設備しうる。しかして、プラズマトーチの構造
は単純であるので、保守,点検および取り替えが容易で
あって、しかも比較的に低価格であり、これまでのレー
ザ等の励起源と比べても有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を一態様で実施する装置構成の概観ブ
ロックとと、主要部の拡大縦断面を示す図面である。 第2図は、本発明実施例による溶鋼中Mn定量用の検量線
作成例である。 1:測定プローブ、2:耐火物筒 3:ベース材、4:プラズマトーチ 5:光ファイバ、6:耐火物筒底面 7:支持具、8:昇降装置 9:溶鋼、10:センターガス管 11:シールドガス管、13〜15:流量調節弁 16:切換弁、17:圧力計
フロントページの続き (72)発明者 柴田 敬大郎 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭62−67430(JP,A) 特開 平2−141539(JP,A) 特開 昭59−81539(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下端が開口した耐火物筒の内部にプラズマ
    トーチと受光端が該プラズマトーチの火点に指向した光
    ファイバを支持したプローブを、溶鋼中にその下端開口
    部を浸漬し、前記プラズマトーチによりプラズマを溶鋼
    表面に照射して溶鋼含有成分を原子化して原子発光スペ
    クトルを前記光ファイバを介して分光分析装置に導入し
    て分光分析により溶鋼中成分を測定する、プラズマ照射
    溶鋼直接分析方法。
  2. 【請求項2】下端が開口した耐火物筒の内部にプラズマ
    トーチと受光端が該プラズマトーチの火点に指向した光
    ファイバを支持したプローブを、下端開口からガスを噴
    出しつつその下端開口部を浸漬して溶鋼湯面レベルを一
    定位置に保持し、前記プラズマトーチによりプラズマを
    溶鋼表面に照射して溶鋼含有成分を原子化して原子発光
    スペクトルを前記光ファイバを介して分光分析装置に導
    入して分光分析により溶鋼中成分を測定する、プラズマ
    照射溶鋼直接分析方法。
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