JP2706096B2 - 高炉排出Znの測定方法 - Google Patents

高炉排出Znの測定方法

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健一 松本
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は高炉操業において炉外に排出されるZn量の測
定方法に関するものである。
<従来の技術> 高炉内において、Zn,アルカリはそのガス相,凝縮相
温度領域において循環するか、または炉壁付着物中成分
として蓄積されており、前者は循環の過程で徐々に濃縮
し、コークス,鉱石の熱間性状劣化等を誘発するに伴
い、炉内通気性を悪化させ操業の不安定化を招き、高炉
燃料比の上昇,銑中Siのバラツキ増加の原因となる。
また、後者はZn,アルカリが比較的温度の低い領域に
凝縮し、これが装入原料の結合物の役割を果たし、強固
な炉壁付着物を発生、成長せしめ、原料装入物の棚吊
り、及び荷下り不順を誘発し、これに伴い高炉本来の機
能が発揮できなくなり、高炉燃料比上昇の原因となる。
従来から炉壁付着物の発生メカニズムは、特公昭42−
26377号公報(特許No.518010)によって知られていた。
すなわち炉壁付着物は鉱石によって入ってきた亜鉛,ア
ルカリ類が温度の高い炉内下部で蒸発し、シャフトや炉
腹と称される比較的温度の低い部分に凝縮し、これが結
合物となって装入された鉱石やコークスを固め、強固な
付着物となる。
この付着物が炉壁に発生し、成長すると、それが要因
となって混合層が発生し、還元ガスの偏流を誘発し、融
着帯の円周方向でのバランスを乱し炉内ガス還元効率η
co=CO2÷(CO+CO2)×100,(ここでCO2:炉頂ガス中CO
2(%),CO:炉頂ガス中CO(%))の低下を起こし、銑
中〔Si〕のバラツキを大きくする。従って高炉のZn,ア
ルカリバランス(装入,排出)を常に管理することは高
炉操業にとって欠くことのできないことである。
従来、アルカリやZnバランスを見た高炉操業法として
は、例えば特開昭55−44585号公報に開示されているよ
うに高炉からアルカリおよびZn蒸気を含む炉内ガスの一
部を導出し、このガスを脱アルカリおよび脱Zn処理した
後、再び高炉内に吹込む方法が提案されている。
また、特公昭56−14131号公報には高炉への装入Zn量
を低減するため分級能可変型分級機を用いることによっ
て装入Zn目標値を維持するに必要な最低限の脱Znを行う
方法が提案されており、種々の努力が払われている。
上記のような技術により高炉操業を順調に推移させる
ためにはアルカリやZnの装入量と排出量を出来るだけ正
確に把握することが重要である。
ところで、高炉へのZn,アルカリの装入量については
装入物の分析値から常時推定することができる。また排
出量の中でも排出アルカリについては第1表に示すよう
にその大部分がスラグ中に含まれており、通常10回/日
程度サンプリングしているスラグの分析項目の中にアル
カリを入れておくことによりほぼ常時把握することがで
きる。
<発明が解決しようとする課題> しかるに高炉から排出されるZnについては、高炉灰で
あるスラジ,ダスト中への含有割合が多く、またスラ
ジ,ダストの自動サンプリング,分析が困難であるた
め、人手によりせいぜい1回/日のサンプリング,分析
を行うことによってZnの排出量を把握しているのが実状
である。従ってZn排出量の把握には多くの労力を必要と
するとともにタイムリーな値を得るのが難しいという問
題点があった。
本発明は上記従来の問題点を解消し、迅速かつ正確に
高炉から排出されるZn量を測定することができる方法を
提供することを目的とするものである。
<課題を解決するための手段> 本発明の方法は、Zn排出量を把握するにあたり、ダス
ト,スラジのような固体であるために自動サンプリン
グ,分析の困難なものでなく、気体あるいは液体のよう
なもので連続かつ自動分析が可能なものからの推定がで
きないかを種々検討した結果得られたものである。
上記目的を達成するための本発明の方法は高炉炉外に
排出されるZn量を測定するに当たり、高炉からの排出Zn
量と高炉排ガスの集塵に使用された洗浄水中のZn量との
関係を予め求めておき、高炉排ガスの集塵に使用された
洗浄水を分析し、該洗浄水中に含有されるZn量に基づい
て高炉排出Zn量を求めることを特徴とするものである。
分析する洗浄水としてはベンチュリスクラバおよび電
気集塵機から排出されたスラリーのシックナにおける上
澄液またはスラジ処理の脱水排液を使用するのが好まし
い。
<作 用> 高炉排ガスの洗浄水は好ましくはベンチュリスクラ
バ,電気集塵機から排出されるスラリーをシックナによ
って固体物を分離した上澄液あるいはスラジ処理時に発
生する脱水排液中のZnを分析し、上記洗浄水中のZnを分
析し、上記洗浄水中に含有されるZn量に基づいて高炉排
出Zn量を求める。
第2図は長期間に亘って分析したシックナの上澄液中
のZn濃度と高炉から排出されるZn量(銑鉄,スラジ,ダ
ストの分析から求めた量)との関係を示しているが、両
者の間にはほぼ直線的な相関関係があり、このような関
係を予め求めておき洗浄水中のZn分析によりトータルの
排出Zn量を求めるのである。
洗浄水の分析では例えばシックナの上澄液またはスラ
ジ処理時の脱水排液を定期的かつ自動的にサンプリング
するだけで容易にトータル排出Zn量を求めることが可能
である。
<実施例> 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。第
1図に示すように高炉1から排出される排ガスは乾式集
塵器2,ベンチュリスクラバ3および電気集塵機4によっ
て集塵されるが高炉排ガスの洗浄設備であるベンチュリ
スクラバ3および電気集塵機4から含塵スラリーが発生
する。
このスラリーをシックナ5に集めて濃縮し、上澄液は
循環水として再利用し、濃縮されたスラリーはスラジ処
理工場6に送られここで懸濁固体物(スラジ)を分離
し、脱水排液は循環水として再利用されるようになって
いる。
高炉1から排出されるZnは前述のように大部分がスラ
ジ中に混入するが5〜10%は洗浄水(上澄液や脱水排
液)に残るので、洗浄水が流れる循環水径路7より一部
を定期的に自動サンプリングして分析計8に導いてZn濃
度を分析する。
洗浄水中のZn濃度はスラジ中のZnに比較して比較的均
一であり、サンプリング精度が良く、また前述のように
高炉から排出されるトータルのZn量とも良い相関があり
代表性がある。
特に、シックナ5の上澄液であればベンチュリスクラ
バ3や電気集塵機4から10分程度の時間遅れでサンプリ
ングできるのでタイムリーに高炉排出Zn量を測定するこ
とができる。スラジ処理工場6からの脱水排液をサンプ
リングする場合はシックナ5の沈澱処理などに要する時
間遅れが付加されるが、同様にして高炉排出Zn量の測定
に用いることができる。
第3図は3回/日シックナ上澄液を自動サンプリング
して分析したときのZn濃度を、変化が比較的大きかった
場合について示している。第3図において、上澄液中の
濃度が2日余りに亘り目標値より下がったため、高炉の
コークスを上げることにより高炉の炉頂温度を高めて高
炉からのZn排出量を促進させた結果、高炉操業を安定に
推移させることができた。
上記のようなアクションを採ったのは、排出Zn量が装
入Zn量より低下する傾向が見られた場合の代表的な処理
は炉頂温度を高めることであり、コークス比を上げて炉
頂温度を高め蒸発Znの高炉内部での滞留を阻止すること
によって高炉からの排出が促進されるからである。
<発明の効果> 以上説明したように本発明によれば、高炉排出Zn量が
高炉排ガス洗浄水を分析することによって測定すること
ができるので、自動サンプリング,自動分析が可能とな
り、測定頻度・速度の上昇が図れ、高炉操業への反映が
早期に行えるようになり、またサンプリング,分析に要
するランニングコストの低減が達成される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す概略工程説明図、第2図
は洗浄水中Zn濃度と高炉からの排出Znとの関係を示すグ
ラフ、第3図は洗浄水中Zn濃度,コークス比および炉頂
温度の推移を示すグラフである。 1……高炉、2……乾式集塵器、 3……ベンチュリスクラバ、4……電気集塵機、 5……シックナ、6……スラジ処理工場、 7……循環水径路、8……分析計。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高炉炉外に排出されるZn量を測定するに当
    たり、高炉からの排出Zn量と高炉排ガスの集塵に使用さ
    れた洗浄水中のZn量との関係を予め求めておき、高炉排
    ガスの集塵に使用された洗浄水を分析し、該洗浄水中に
    含有されるZn量に基づいて高炉排出Zn量を求めることを
    特徴とする高炉排出Znの測定方法。
  2. 【請求項2】前記洗浄水がベンチュリスクラバおよび/
    または電気集塵機から排出されたスラリーのシックナに
    おける上澄液であることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】前記洗浄水がスラジ処理の脱水排液である
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
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