JP2703041B2 - 水栓用弁装置 - Google Patents

水栓用弁装置

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JP2703041B2 JP6815189A JP6815189A JP2703041B2 JP 2703041 B2 JP2703041 B2 JP 2703041B2 JP 6815189 A JP6815189 A JP 6815189A JP 6815189 A JP6815189 A JP 6815189A JP 2703041 B2 JP2703041 B2 JP 2703041B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、水道水用水栓、温水・冷水混合水栓、便
器用温水洗浄器の流路切換栓等の水栓用弁装置におい
て、摺動自在に重ね合わせた弁体により止水または流量
調整を行なうようにした弁装置に関する。
〔従来の技術〕
切欠または開口を有する弁体を摺動自在に重ね合わせ
て配置し、この弁体の回転もしくはスライドによって止
水または流量調整を行なうようにした水栓は既によく知
られている。
第1図ないし第4図は、従来の液体混合弁の具体例と
して家庭用水道に用いられている温水・冷水混合栓の構
造を示したものである。
これらの図において、ハウジング1の側面に流出路2
とパッキンガイドに流入路3と流入路4とが設けられ、
これら両流入路のいずれか一方が水道管、他方が湯沸器
に接続されることになる。
そして、上記のハウジング1の内部に設けた弁収納凹
部5内に、弁体6と弁体7および案内板8とが下から順
に重なった状態で収納され、ハウジング1上に固定され
た上蓋9に弁を操作するレバー10が取付けられている。
ここで、弁体6は、ハウジング1の内径面およびベー
ス12に設けた突起11との嵌り合いによってベース12に固
定され、中央に流出路2とその周囲に一対の流入路13、
14がハウジング1の流出路2および流入路3、4と連通
するように形成されている。また、弁体7は案内板8と
弁体6ではさまれ、弁収納凹部5の内径よりも小径の円
板であり、弁体6および案内板8に対して摺動が自在に
なっているとともに、弁体6に対する摺動面に流出路2
と連通する流通路15が設けられている。
さらに、上記の弁体6がとベース12との間にゴム製の
Oリング16が組込まれ、このOリング16の弾性によっ
て、ベース12と弁体6、弁体6と弁体7、弁体7と案内
板8の間がそれぞれシールされている。また、前記の弁
体7とレバー10とはリンク棒17を介して連動され、この
リンク棒17が上蓋9にピン18で支持され、レバー10を上
下および回動させることによって弁体7を駆動し、流通
路15の変位により、温水・冷水および混合水の取出しと
閉栓とが行なえるようになっている。
なお、第1図および第2図は弁体7が同図右側に最も
変位し、流通路15が両流入路13、14の何れにも連通しな
い閉栓状態を、第3図は流通路15が一方の流入路13と連
通する弁体7の位置を示し、温水または冷水が単独で取
出される状態を、また、第4図は流通路15が両流入路13
および14と連通する弁体7の位置を示し、混合水の取り
出し状態をそれぞれ示している。
以上述べたような弁装置は、弁体6および7による摺
動面間のすり合わせ状態に応じて、流量調整または流路
変更等を行なうものであって、温水・冷水の混合栓に限
らず、便器などに設置される温水洗浄器の流路切替等に
も使用することが出来る。
このように従来の混合栓には通常銅合金またはステン
レス銅製の弁体7が用いられている。しかし、金属製の
弁体7では弁体6との摺動面間に配管工事等による切削
粉、さび、砂、小石等の異物が侵入すると摺接面に喰い
込み傷が付き、シール性の劣化による水漏れまたは吐水
不能などの現象が発生する。一方、弁体7と弁体6との
高硬質セラミックスを用いて摺接面の表面粗度を非常に
小さくすることにより、異物の摺接面への喰い込みを防
止しようとする方法も行なわれてはいるが、このような
構造では弁体7の摺動抵抗が大きくなるから、レバー回
転時の駆動力を低減させるための新たな潤滑手段を必要
とすること、衝撃強度が小さいため運搬、組み込み、使
用などの際の温度差によって割れまたはクラックが発生
すること、しかも、セラミックスは摺接面の平坦度、面
粗度を極度に高めるための長時間の表面研磨を必要と
し、加工費が高くつくばかりでなく、潤滑剤を塗布して
動きを軽くしても、潤滑剤は使用中に流出して、短期間
のうちに駆動力が大きくなるなどの問題がある。
したがって、このような問題を解決するためには高硬
質セラミックス自体に潤滑性をもたせばよいことになる
が、潤滑剤が成形温度に耐えられず熱分解してしまうた
め、この方法も現実的には不可能である。また、セラミ
ックスの弱点である、非潤滑性、機械的または熱的な衝
撃によるクラッチ発生等を一掃するために、弁体をフッ
素樹脂、超高分子量ポリエチレン等の自己潤滑性を有す
る樹脂または二硫化モリブデン、カーボン等の自己潤滑
性を有するフィラーを充填した樹脂で構成するという試
み(たとえば特開昭63−36765号公報)もあるが、自己
潤滑性樹脂を用いたものは確かに潤滑性には優れるが、
耐クリープ性に劣り、たとえ繊維類で補強しても、樹脂
と補強剤とのヌレ性の悪さから充分な補強効果が得られ
ず、結果として低い水圧にしか耐えられないか、また
は、この樹脂弁体の肉厚を実用レベルとはかけ離れた大
きなものとする必要があった。また、補強効果の大きい
樹脂に、自己潤滑性を有するフィラーを充填した系にお
いても、充分な潤滑性を得るためには相当量の潤滑性フ
ィラーを使用する必要があり、その結果、衝撃強度また
は耐クリープ性は著しく低下し、クラック発生または止
水不良等の問題が起こり、逆に潤滑性フィラーの量が少
な過ぎると、弁体摺接面の潤滑性が悪くなり、そのため
に弁装置を操作するレバー等のハンドルトルクが大きく
なって問題が生じる。さらに、水栓用弁装置の弁体の摺
接面で確実に止水出来るようにするためには、弁体摺接
面の面粗さ(中心線平均粗さRaで)および平面度をとも
に1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが必
要であって、樹脂成形品において成形面の面粗さをこの
範囲に入れることは金型の面粗さをおさえれば容易であ
るが、平面度を満足させることは樹脂の溶融固化に伴う
収縮率が大きいことから難しく、量産化に対して非常に
有利な方法である射出成形法においては、射出流れ方向
による収縮率の異方性の大きさまたは肉厚による固化速
度の差から収縮率の大きさに差が生じやすく、特に難し
い成形上の問題もあった。
また、充填剤類により充分に補強した樹脂の摺動面の
摩擦抵抗を小さくするために、その樹脂成形体の表面
に、フッ素樹脂フィルムを貼り合わせる方法(以下貼着
法と略記する)、オレフィン系樹脂を熱融着させる方法
(以下融着法と略記する)、ポリイミド樹脂、ポリアミ
ドイミド樹脂、エポキシ樹脂のような密着性の良い造膜
性重合体を溶解した有機溶剤中にフッ素樹脂(たとえば
四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロ
ピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂など)等の固
体潤滑剤を分散させた液を塗布して焼き付ける方法(以
下塗布法と略記する)を試みたが、これらの方法にはそ
れぞれつぎのような欠点がある。すなわち、貼着法また
は融着法においては、フッ素樹脂フィルムもしくはオレ
フィン樹脂フィルムの基材に対する接着性が非常に悪
く、特にフッ素樹脂フィルムの場合は予め表面処理(ア
ルカリ金属もしくはイオンスパッタリング等による処
理)をする必要があり、たとえ表面処理が施されている
フッ素樹脂フィルムであっても、またオレフィン系樹脂
の場合であっても、接着性は不充分であって、使用中に
フィルムはよく剥離するし、またフィルムの膜厚が大き
いために水圧が少し大きくなると水漏れが生じた。そし
て、塗布法においては、接着力の点では前記の貼着法、
融着法よりは勝っているが、前述したごとく密着性の良
い造膜性樹脂中に潤滑性樹脂を分散させてあるため、摺
動面側には潤滑性に富む樹脂等の層を、また弁体基材に
接する側には密着性に富む樹脂層を形成することが望ま
しいことは言うまでもないことであって、そのためには
潤滑剤の粒径以上の膜厚にしなければならないことはも
とより、凝集エネルギー密度等の差を利用するなどして
形成しなければならなくなる。その結果形成される被膜
は必然的に厚くなり、平坦度等の寸法精度が悪く、止水
性に劣る。このような場合、摺接面に施された被膜を研
磨またはラッピング等の後加工によって仕上げることも
不可能とはいえないが、被膜を厚くする必要があり、さ
らに後加工すると基材に接する側の反対側の被膜の相当
量を取り除く結果、潤滑成分に富んだ部分がなくなり、
ハンドルトルクが重くなるという問題があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上述べたように、従来の技術においては、駆動操作
が長期にわたって軽快であり、機械的または熱的な衝撃
に強く、水漏れ、吐水不能などの事故を未然に防止でき
るような水栓用弁装置は得られていないという問題があ
り、さらにこれを構成する弁体を安価に量産するという
方法が確立されていないという問題もあり、これらを解
決することが課題となっていた。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題を解決するために、この発明は、水栓用弁
装置の弁体の少なくとも一つがガラス転移点が100℃以
上の熱可塑性樹脂の成形品からなり、その摺接面に炭素
数2〜20のポリフルオロアルキル基を有するポリフルオ
ロアルキル重合体またはフルオロポリエーテル重合体か
ら選ばれる含フッ素重合体からなる薄膜を形成した水栓
用弁装置とする手段を採用するものである。以下その詳
細を述べる。
まず、この発明において少なくとも一つの弁体を構成
する熱可塑性樹脂においては、水栓用弁装置として、冷
水から熱湯まで広い水温差のある水に対して、確実に止
水し、流量調整できるようにするために、使用温度範囲
で熱膨張率などの物理的性質および弾性率などの機械的
強度が安定していることが重要である。すなわち、示差
走査熱量計(以下DSCと略記する)で測定した吸熱開始
点であるガラス転移点が100℃以上のものである。ま
た、後述する薄膜形成時の熱処理温度も100℃以上が好
ましい。したがって、この発明で使用される熱可塑性樹
脂の具体例としては、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエ
ーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂、さらにはポリエーテ
ルケトン樹脂、耐熱性ポリアミド樹脂、耐熱性ポリエチ
レンテレフタレート樹脂等の結晶性熱可塑樹脂を挙げる
ことができる。そして、これらガラス転移点が100℃以
上の熱可塑性樹脂の中で、非晶性のものは溶融冷却固化
に伴う収縮が小さいので、有利であり好ましい。
しかし、これらの熱可塑性樹脂単独では、かなり低圧
の水もしくは湯の止水または流量調整の場合は別とし
て、止水のための充分な弾性率、耐クリープ性を有して
いないので、通常の場合、補強剤または増量剤等として
用いられる充填剤類を添加する。繊維状充填剤として
は、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、チタン
酸カリウムホイスカー、シリコンカーバイドハイスカー
などの無機繊維類および芳香族ポリアミド繊維などの耐
熱性有機繊維類等を、また粉末充填剤としては、マイ
カ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、カーボン、グ
ラファイト、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、ガ
ラスビーズ、ガラスバルーン等の無機粉末およびポリイ
ミド樹脂粉末、オキシベンゾイルポリエステル樹脂粉
末、フッ素樹脂分末などの耐熱性有機粉末等を挙げるこ
とができる。そして、これら充填剤類の配合量は特に限
定するものではないが、充分に止水または流量調整が出
来る弾性率を最低限確保出来る量を下限とし、また成形
性、衝撃強度に悪影響を及ぼさない量、実質的には、75
重量%を上限とすることが望ましい。
上記の充填剤類と熱可塑性樹脂とを混合する方法は、
特に限定されるものでなく、たとえば、諸原材料をそれ
ぞれ別個に、または二種以上を同時にヘンシェルミキサ
ー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機を用い
て乾式混合した後に、熱ロール、ニーダ、バンバリーミ
キサー、溶融押出機等で溶融混合したものを所定の形状
に溶融成形すればよい。
また、この発明の弁装置の弁体を溶融成形する方法
は、特に限定するものではなく、いずれの方法でもよい
が、量産性、低コスト化を考えれば射出成形法が好まし
い。しかし射出成形だけで最終形状を得ることは非常に
難しいので、射出成形直後に同金型内で圧縮成形をも併
用するいわゆる射出圧縮成形を利用することは有効であ
る。
通常、成形後には摺動面の平面度を出すために後加工
を行なうが、それは具体的には平面研削盤または両頭研
削盤等で成形品の平行度および平面度をそろえた後、ラ
ップ機で10〜50μm程表面を磨き取って表面粗さも小さ
くするなどの操作であり、射出成形時に平面度が50μm
以下であれば研削工程を省くこともできる。そして、ラ
ップ機に用いる砥粒は、特に限定するものでなく、アル
ミナ、炭化ケイ素などを主成分とした通常のものを用い
ることができる。また、砥粒の粒度は非常に細かいもの
ほどよく、#2000以下、好ましくは#4000以下が適当で
ある。ここで金属よりも軟質の樹脂を硬質の砥粒でラッ
プした際に、樹脂に砥粒がめり込んでしまうのではない
かと危惧されたが、上記のような微細な粒度のものを用
いるならば、砥粒が樹脂にめり込むことはほとんどな
く、小さくて良好な平面度および表面粗さが得られたこ
とはおどろきであった。この理由は定かではないが、一
つには硬質の方がかえって被ラップ材料の発熱が少な
く、表面硬度または降状点応力の低下が少なくなって、
砥粒の埋没が小さいからかもしれない。また、この時平
面度も同時に仕上げるが、このような研削機およびラッ
プ機は、多数個取りが容易であり、また樹脂であること
からセラミックまたは金属に比べて非常に短時間で加工
することが出来るため低コストで製品化することができ
る。
以上の熱可塑性樹脂弁体成形品(摺動面後加工するも
のも含む)の摺動面に含フッ素重合体からなる薄膜を形
成すれば弁体としての寸法精度を損うことなく優れた摺
動特性が付加され、その被膜ははく離されることなく摺
動特性を長期間保持できるようになる結果、弁装置のハ
ンドルトルクは長期にわたって軽快に作動するととも
に、確実な止水、流量調整ができるようになる。
この発明で使用する含フッ素重合体は、炭素数2〜20
のポリフルオロアルキル基を有するポリフルオロアルキ
ル重合体またはフルオロポリエーテル重合体などであ
る。そしてポリフルオロアルキル重合体とは炭素数2〜
20のポリフルオロアルキル基、たとえば、 CF3(CF2−、H(CF2−、CF2CI(CF211−、 などのポリフルオロアルキル基を有する重合体であり、
また、フルオロポリエーテル重合体は、一般式 −CxF2x−O−(ここで、Xは1〜4の整数)で示され
る単位を主要構造単位とし、好ましくは平均分子量1000
〜5000の重合体である。このような含フッ素重合体は、
弁体を構成する母材樹脂に対して親和性の高い官能基、
たとえばエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸
基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフォン基等
を有しているものが望ましく、具体的にはつぎに示すよ
うなものを挙げることができる。すなわち、 C6F13COOH、C8F17C2H4OH、C8F17C2H4SH、 C8F17SO2F、 C10F21CONHC2H4OH、C10F21SO3H、 などである。
このような含フッ素重合体は単独で用いてもよいが、
エポキシ基を用いるときはアミン類、酸無水物等を加え
てエポキシ基同士を反応させるとよい。また、イソシア
ネート基を単独で用いる場合はスズ化合物などイソシア
ネート三量化触媒を加えるとよい。
また、含フッ素重合体を2種類以上併用してもよい
が、その際にはエポキシ基含有のものとアミノ基、カル
ボキシル基、水酸基、メルカプト基などの少なくとも1
種類の基を有するものとを組合わせるか、またはカルボ
キシル基を含有するものとアミノ基、水酸基の少なくと
も1種類の基を含むものとを組合わせるか、さらにはイ
ソシアネート基含有のものと水酸基、アミノ基、メルカ
プト基、カルボキシル基などの少なくとも1種類の基を
含むものとを組合わせるかして、組合わせた基を互いに
反応させて重合体をより高分子量化し、耐摩耗性の優れ
た膜が得られるような配慮をすることがのぞましい。
また、これら官能基を有する含フッ素重合体に対し
て、それぞれの官能基と化学反応を起こす官能基を有す
る有機化合物を加えて高分子量化させてもよい。このよ
うな組合わせの好適な例としてイソシアネート基含有含
フッ素重合体にエチレングリコールもしくはジアミノジ
フェニルメタンなどを加える組合わせ、または水酸基含
有含フッ素重合体にイソシアネート化合物などを加える
組合わせなどを挙げることができる。
以上述べた含フッ素重合体はそれ自体で弁体の材料表
面に対してかなりの親和性を示すものであるが、弁体を
構成する材料の種類によっては必ずしも充分な被着強度
を示すとは限らないので、このようなときには被膜と相
手材との間に両者に対して親和性のある薄膜(プライマ
ーと呼ぶ)を介在させることが好ましく、このプライマ
ーの一つの例としてポリメチルメタクリレートを枝成分
とし、メチルメタクリレト単位またはヒドロキシルエチ
ルメタクリレート単位を幹成分とするグラフト重合体を
挙げることができる。
そして、このような含フッ素重合体を塗布する方法
は、通常の塗装に用いられる方法でよく特に限定される
ものではないが、スプレー法、浸漬法などは簡便で実用
的であり、塗装液の歩留りの点からは浸漬法が最も好ま
しいといえる。これらの塗装に際しては、含フッ素重合
体を適当な溶剤に溶解させて適度の濃度に調整した塗液
が用いられるが、このような重合体の溶液濃度は通常0.
3〜10.0重量%、特に薄膜塗装を行なうときは0.3〜3.0
重量%が好ましい。なぜならば、分散液の濃度が10重量
%を越えると塗膜が厚くなり、その結果、弁体を構成す
る材料との反応性、親和性に関与しない遊離反応性末端
基を多くすることになって、潤滑性が劣る恐れがある。
また、弁体表面の寸法精度を悪くさせないためにも、被
覆する膜厚は3μm以下、好ましくは1μm以下であ
る。なお、塗装が終われば溶剤を除去するために乾燥
(たとえば溶剤としてフレオンを使用したときは50℃程
度の熱風乾燥炉などを利用して)、さらには充分な乾燥
および塗膜中の重合体の官能基と弁体を構成する樹脂と
の反応または親和性促進を兼ねた高温(100℃以上)で
熱処理を行なうことが望ましく、このような高温処理に
よってさらに耐久性(密着強度)に優れた被膜が得られ
ることになる。
〔作用〕
この発明の水栓用弁装置は、各弁体の一部または全部
が樹脂で構成されているため、機械的または熱的な衝撃
に強く、耐腐食性に優れるばかりでなく、含フッ素重合
体からなる薄膜を弁体の摺接面に施すことによって、確
実な止水に必要な高弾性、耐クリープ性および摺接面の
寸法精度等弁体基材自体の性質を全く劣化させることな
く、長期にわたって良好な潤滑特性を発現させることが
可能となる。
〔実施例〕
以下、実施例および比較例を示すが、原材料の配合割
合はすべて重量%である。樹脂製弁体は、二軸押出機で
溶融ブレンドを行ない造粒し、得られたペレットを金型
に射出成形し、第1図から第4図に示した弁体7を得
た。また、膜厚、実用的機能試験の測定法はつぎのとお
りである。
(1)膜厚: 塗膜を形成した各実施例および比較例の弁体成形品に
対して、弁体基材の成形時、後加工時および塗膜成形時
のいずれの場合においても弁体の摺接面の約半分の面に
塗膜を形成させ残る約半分の面に塗膜を形成させないよ
うにして、塗膜を形成した部分と形成しない部分との膜
厚の段差を表面粗さ計(日本真空技術社製:Dektak II A
型)で測定する。なお、油膜状の被膜については測定し
ない。
(2)実用的機能試験: 北村バルブ社製のシングルレバー式混合水栓KM300Nを
用い、第1図の弁体7にあたるディスクをこの実施例の
樹脂製とし、摺接する弁体6をアルミナ製または樹脂製
として取付け、耐久試験前の初期のトルク試験と止水試
験とを行なった。トルク試験においては、レバーの上下
(止水、流れ、流量調節)、左右(温水、冷水の温度調
節)のトルクを、シンポ工業社製のデジタルフォースゲ
ージDFG−2Kを用いて測定し、止水試験においては、レ
バーを中央下部(止水状態)とし、ポンプによって水圧
を最大17.5kgf/cm2までかけ、1分間全く水漏れしない
最大水圧を測定した。
これらの初期試験において、止水試験で水圧17.5kgf/
cm2において完全に止水したものについて、シングルレ
バー式混合水栓耐久試験機(図示省略)に初期試験した
ものと同じシングルレバー式混合栓のレバー10を連結
し、第5図に示すように、レバー10を右端上部Ruから右
端下部Rd(冷水)→左端下部Ld(熱湯90℃)→左端上部
Lu(止水)→左端下部Ld(熱湯90℃)→中央下部Cd(温
水)→中央上部Cu(止水)→中央下部Cd(温水)右端下
部Rd(冷水)→右端上部Ru(止水)を1サイクル(所用
時間約25秒)として、20万サイクルの耐久試験を行な
い、10万サイクルおよび20万サイクルの試験後のトルク
と止水性とを初期と同様の方法で確認した。なお、止水
性の低下したものについては、それ以上の耐久試験は行
なわなかった。
さらに、各実施例および比較例に使用した主要原材料
はつぎのとおりである。なお、これら原材料をそれぞれ
に付記した番号および〔 〕内に示す略号によって表わ
し簡略化することとする。
潤滑性被膜形成用材料: 不官能性オルガノポリシロキサン〔ポリシロキサ
ン〕 (信越化学工業社製:シリコーンオイルKF96、粘度30
00cp)、 水酸基含有オルガノポリシロキサン〔シリコーンジ
オール〕 (同上社製:シリコーンジオールX−22−160C)、 〔触媒〕 (ジブチルシンジラウレート) 〔PAI〕 (洋ベア・ルーロン工業社製:R600、ポリアミドイミ
ド樹脂にフッ素樹脂を分散させたもの)、 樹脂弁体成形用材料: ポリエーテルイミド樹脂〔PEI−1〕 ポリエーテルイミド樹脂(米国ジー・イー社製:ウル
テム1000、ガラス転移点217℃)70%と炭素繊維(東邦
レーヨン社製:ベスファイトHTA、繊維径7.2μm、引張
り弾性率24000Kg/mm2)30%との溶融ブレンド組成物、 ポリエーテルイミド樹脂〔PEI−2〕 上記のポリエーテルイミド樹脂70%とガラス繊維(旭
ファイバーグラス社製、繊維径13μm、繊維流3mm)30
%との溶融ブレンド組成物、 ポリエーテルイミド樹脂〔PEI−3〕 上記のポリエーテルイミド樹脂60%と炭素繊維(東邦
レーヨン社製:ベスファイトHTA、繊維径7.2μm、引張
り弾性率24000Kg/mm2)20%と、マイカ(カナダマイカ
社製:マイカS−325、平均粒径13μm、50μm以下焼
く99%)20%との溶融ブレンド組成物、 ポリエーテルサルホン樹脂〔PES〕 ポリエーテルサルホン(英国アイ・シー・アイ社製:
ビクトレックスPES4800P、ガラス転移点200℃)20%
と、炭素繊維(東邦レーヨン社製:ベスファイトHTA、
繊維径7.2μm、引張り弾性率)30%との溶融ブレンド
組成物、 耐熱製ポリアミド樹脂〔PA〕 ポリアミド樹脂(三井石油化学工業社製:アーレンAA
−300、ガラス転移点125℃)70%、炭素繊維(東邦レー
ヨン社製:アスファイトHTA、繊維径7.2μm、引張り弾
性率24000kg/mm2)30%との溶融ブレンド組成物。
実施例1〜10: 第1図から第4図に示すような構造の北村バルブ社
製:シングルレバー混合栓KM300Nの弁体(第1図の弁体
7)を、第1表に示す成形用材料〜を用いて射出成
形し、成形後その摺接面を平面研削盤によって平面度を
出し、さらにラップ機で表面粗さを出した。ついで、第
1表に示すような含フッ素重合体〜を実施例2以外
はそれぞれ1.0%濃度(ただし実施例6についてはと
との和、また実施例2は4.0%濃度になるように溶解
したフレオン113溶液に弁体7を浸漬し、取り出した
後、これを50℃で乾燥、さらに実施例1〜9においては
200℃、実施例10においては100℃で熱処理し、潤滑性被
膜の形成を弁体7の摺接面上に完成させ、膜厚の測定
(実施例1を除く)および弁体6の材料をアルミナとし
たときの実用的機能試験を行なった。得られた結果を第
1表に併記した。
実施例11および13: 弁体7はいずれの場合も実施例3と全く同様にし、ま
た弁体6を、第1表に示すように実施例11および12にお
いてはとし、実施例13においてはとしたこと以外は
実施例1〜4と全く同様の操作を行ない、得られた弁体
7の被膜の膜厚測定と、実用的機能試験を行なった。得
られた結果を第1 表に併記した。
比較例1〜10: 実施例1〜13におけると同じ弁体7を第2表に示す原
材料〜を用いて射出成形し、成形後その摺接面を平
面研削盤にて平面度を出し、さらにラップ機で表面粗さ
を出した。比較例6〜9においては、さらに弁体7に第
2表に示すような潤滑性被膜形成材料、およびを
用いて被膜を形成させたが、比較例6〜8においてはそ
れぞれ1.0%濃度になるように、比較例9においては12
%濃度になるように溶解したフレオン113溶液に弁体7
を浸漬し、取り出した後50℃で乾燥さらに比較例6、7
および9については200℃、比較例8については100℃で
熱処理をして潤滑性被膜を弁体7の摺接面に形成させ
た。また、比較例10においては第2表に示すようなフッ
素樹脂含有重合体をスプレーコートし、200℃で焼き
付けた。これら被膜の膜厚測定および弁体6をアルミナ
としたときの実用的機能試験を行ない、その結果を第2
表に併記した。
比較例11および12: 弁体7を比較例11および12においては比較例7と全く
同様にした。なお、弁体6は、比較例11においては
を、また比較例12においてはをそれぞれ成形材料とし
て射出成形した後、摺接面を平面研削盤にて平面度を出
し、さらにラップ機で表面粗さを出したものであり、前
記の実施例、比較例と同様に膜厚と実用的機能試験を行
なった。得られた結果を第2表に併記した。
第1表および第2表からつぎのことが明らかである。
すなち、実施例1〜13は実用的機能試験における20万サ
イクル後の耐久試験結果も耐久試験開始前と同様に、最
大17.5kg/cm2の水圧で全く漏れがなく、ハンドルトルク
も非常に小さく優れている。中でもこの発明において特
定した潤滑性被膜形成材料の中で、樹脂に対して親和性
の高い官能機を含有しているものを使用した実施例2〜
13は、20万サイクルの試験においてもハンドルトルクの
変化率が小さく特に優れている。
これに対して、弁体の摺接面に潤滑性被膜を施さなか
った比較例1〜5の中で、比較例2以外は止水性に問題
がなかったもののハンドルトルクが初期から非常に大き
く、比較例2においては、ハンドルトルクも初期から大
きく、さらに止水性も10万サイクル後に17.5kgf/cm2
水圧を止水することが出来なかった。この発明において
特定した潤滑性薄膜が用いられた比較例6、7、8、11
および12は止水性については問題はないが、ハンドルト
ルクについては初期は非常に小さい値を示していたが耐
久試験の進行に伴って急激に増大した。さらにこの発明
において特定した潤滑性薄膜が用いられてもその膜厚が
厚過ぎる比較例9、およびこの発明以外のバインダー樹
脂にフッ素樹脂が分散させてある厚膜の潤滑性被膜を用
いた比較列10は耐久試験前から17.5kgf/cm2の水圧を止
水することが出来なかった。このように比較例1〜12
は、実施例1〜13と比較して、いずれも遥かに劣った結
果を示した。
〔効果〕
以上述べたように、この発明の摺接面に潤滑性薄膜を
有する樹脂弁体は、潤滑性および耐摩耗性に優れ、機械
的および熱的な衝撃に強く、薄膜であることから、摺接
面の表面粗さ、平面度においてもきわめて精度の高いも
のに仕上がった弁体の表面精度になんら悪影響を及ぼす
ことがない。その結果、この弁体を使用した水栓用弁装
置は、冷水から熱水までの幅広い温度領域において、レ
バー等による駆動操作が長期にわたって軽快であり、落
したり乱暴な取り扱いをしても亀裂が入ることはなく、
冷水と熱水のくり返し(サーマルショック)にもきわめ
て強いので、水漏れ、吐水不能などを確実に防止できて
信頼性は高く、弁体の製造も射出成形法で安価に量産で
き、後加工する場合にも多数個を短時間で処理すること
が出来るものである。したがって、この発明の意義はき
わめて大きいということが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は家庭用水道に用いられる温水・冷水混合栓の構
造を例示する縦断面図、第2〜4図はその弁体の作動機
構を示すための弁体横断面図、第5図は第1図の外観を
示すための斜視図である。 1……ハウジング、2……流出路、 3、4……流入路、5……弁収納凹部、 6、7……弁体、8……案内板、 9……上蓋、10……レバー、 11……突起、12……ベース、 13、14……流入路、15……流通路、 16……Oリング、17……リンク棒、 18……ピン。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】摺動自在に重ね合わされた切欠または開口
    を有する少なくとも二つ以上の弁体の組み合わせによっ
    て止水または流量調整を行なう水栓用弁装置において、
    この弁体の少なくとも一つが、ガラス転移点が100℃以
    上の熱可塑性樹脂の成形品からなり、その摺接面に炭素
    数2〜20のポリフルオロアルキル基を有するポリフルオ
    ロアルキル重合体またはフルオロポリエーテル重合体か
    ら選ばれる含フッ素重合体からなる薄膜を形成したこと
    を特徴とする水栓用弁装置。
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