JP2702573B2 - 磁気ディスク装置の制御方法および磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク装置の制御方法および磁気ディスク装置

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JP2702573B2
JP2702573B2 JP1318577A JP31857789A JP2702573B2 JP 2702573 B2 JP2702573 B2 JP 2702573B2 JP 1318577 A JP1318577 A JP 1318577A JP 31857789 A JP31857789 A JP 31857789A JP 2702573 B2 JP2702573 B2 JP 2702573B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気ディスク装置の制御技術およびそれを
用いた磁気ディスク装置に関し、特に、コンタクト・ス
タート・ストップ方式の磁気ディスク装置に適用して有
効な技術に関する。
〔従来の技術〕
たとえば、電子計算機システムや電子事務処理機器な
どにおける外部記憶装置などとして用いられる回転型情
報記録装置の一種として、磁気ディスク装置が知られて
いる。
このような磁気ディスク装置においては、回転する磁
気ディスクに対して、磁気ヘッドにより磁気を媒介とし
ての情報の記録・再生動作を行うため、磁気ヘッドと磁
気ディスクとの間隙が小さいほど磁気ディスクにおける
情報の記録密度を大きくできる。
このため、近年では、磁気ディスクと磁気ヘッドとを
極めて薄い空気層で分離するいわゆる浮動ヘッド方式が
一般化しており、さらなる記録密度向上の要請に対応す
べく、磁気ディスクの表面を鏡面加工するなどして高度
に平坦化するとともに、磁気ヘッドを磁気ディスクに接
近させる方向に作用する支持構造からの付勢力をより大
きく設定して、回転する磁気ディスクの表面に形成され
る気流による磁気ヘッドの揚力に抗して両者の間隙を狭
小な間隙を実現し、磁気ディスクの停止時には当該磁気
ディスクと磁気ヘッドとが接触した状態となる、いわゆ
るコンタクト・スタート・ストップ方式が用いられるに
至っている。
すなわち、この方式では、磁気ディスクの回転起動時
には、磁気ヘッドは磁気ディスクの表面に摺接しつつ当
該磁気ディスクの表面に形成される気流から作用する揚
力などによって徐々に浮上し、安定回転に到達した状態
では所定の間隙をなして浮動状態となり、逆に、電源切
断時には、磁気ディスクの回転数の減少とともに磁気ヘ
ッドは徐々に降下し、磁気ディスクの静止状態では完全
な接触状態となるという、いわゆるコンタクト・スター
ト・ストップが繰り返される。
従来、このようなコンタクト・スタート・ストップ方
式の磁気ディスク装置においては、磁気ディスクおよび
磁気ヘッドの双方の損耗を緩和する目的で、磁気ディス
クの表面に潤滑剤を塗布しているが、鏡面加工などによ
って磁気ディスクの表面粗さが小さくなると、潤滑剤に
よる磁気ディスクと磁気ヘッドとの粘着力が大きくなる
という問題を生じる。
このため、従来では、たとえば特開昭61−3322号公報
に記載されているように、磁気ディスクのコンタクト・
スタート・ストップが行われる特定領域の面粗さを他の
データ記録領域などよりも大きくすることで、磁気ディ
スクと磁気ヘッドとの粘着を防止しようとする技術が提
示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記の従来技術の場合には、コンタクト・
スタート・ストップ領域の面粗さが大きいため、回転起
動時および停止時に磁気ディスクと磁気ヘッドとが摩擦
する時間が長くなり、コンタクト・スタート・ストップ
領域における潤滑剤の塗布膜が損なわれるなどして、コ
ンタクト・スタート・ストップ動作からみた磁気ディス
クや磁気ヘッドの寿命が短くなるという問題がある。
このことは、磁気ディスクにおける一層の記録密度向
上を実現すべく、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隙を
より狭小化しようとする場合に特に顕著となる。
そこで、本発明の目的は、磁気ディスクにおける潤滑
剤の減少を考慮し、長期間にわたって安定なコンタクト
・スタート・ストップ動作を行わせることが可能な磁気
ディスク装置の制御技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、磁気ディスクにおける潤滑剤の
減少を考慮し、コンタクト・スタート・ストップ動作の
観点からみた寿命を延長することが可能な磁気ディスク
装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、
本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろ
う。
〔課題を解決するための手段〕
本願において開示される発明のうち、代表的なものの
概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、本発明になる磁気ディスク装置の制御方式
は、磁気ディスクと、この磁気ディスクに対する情報の
記録および再生動作の少なくとも一方を行うヘッドと、
このヘッドの磁気ディスクの任意の領域への位置決め動
作を行うヘッド位置決め機構とからなり、磁気ディスク
の安定回転時にはヘッドが当該磁気ディスクの表面から
浮上し、磁気ディスクの静止時には当該磁気ディスクと
ヘッドとが接触状態となるコンタクト・スタート・スト
ップ方式の磁気ディスク装置の制御方法であって、潤滑
剤の減少量が予め求めた許容限度になるようなコンタク
ト・スタート・ストップの実行回数または稼働時間の経
過に応じて、稼働停止時におけるヘッド位置決め機構の
最終停止位置をコンタクト・スタート・ストップ領域内
で変化させ、ヘッドの磁気ディスクにおけるコンタクト
・スタート・ストップ位置を移動させるようにしたもの
である。
また、本発明になる磁気ディスク装置は、磁気ディス
クと、この磁気ディスクに対する情報の記録および再生
動作の少なくとも一方を行うヘッドと、このヘッドの磁
気ディスクの任意の領域への位置決め動作を行うヘッド
位置決め機構とからなり、磁気ディスクの安定回転時に
はヘッドが当該磁気ディスクの表面から浮上し、磁気デ
ィスクの静止時には当該磁気ディスクとヘッドとが接触
状態となるコンタクト・スタート・ストップ方式の磁気
ディスク装置であって、稼働停止時におけるヘッド位置
決め機構の最終停止位置を規制する停止位置規制手段
と、コンタクト・スタート・ストップの実行回数および
稼働時間の少なくとも一方を計数するカウンタと、コン
タクト・スタート・ストップの実行回数および稼働時間
の少なくとも一方の値が潤滑剤の減少量が予め求めた許
容限度になるように停止位置規制手段の位置をコンタク
ト・スタート・ストップ領域内で移動させる駆動機構と
を設けたものである。
〔作用〕
一般に、コンタクト・スタート・ストップの実行回数
の増加に伴い、コンタクト・スタート・ストップ領域に
おける潤滑剤の量は単調に減少し、それにともなって磁
気ディスクと磁気ヘッドとの間の摩擦係数が漸増し、あ
る限界を超えると磁気ディスクの損耗が加速的に進行す
ることが知られている。
そこで、本発明の磁気ディスク装置の制御方式では、
潤滑剤の減少量が実験的に求めた許容限度(たとえば10
〜20%)になるようなコンタクト・スタート・ストップ
の実行回数の規定値を設け、この規定値を超えた場合
に、電源切断時などにおけるヘッド位置決め機構の最終
停止位置を変化させ、磁気ディスクにおけるコンタクト
・スタート・ストップ位置を磁気ディスクの記録面の任
意の他の位置に移動させるという動作を繰り返させる。
これにより、移動先の領域では、これまでコンタクト
・スタート・ストップが行われておらず、したがって潤
滑剤の減少がないので、磁気ディスクと磁気ヘッドとの
間の摩擦係数が初期の小さな値に復帰する。
この結果、磁気ディスクや磁気ヘッドの局部的な損耗
を招くことなく、長期間にわたって安定なコンタクト・
スタート・ストップ動作を行わせることが可能となり、
磁気ディスク装置の寿命を延長することができる。
また、本発明の磁気ディスク装置では、コンタクト・
スタート・ストップの回数および稼働時間の少なくとも
一方を計数しているカウンタの値が、潤滑剤の減少によ
って磁気ディスクや磁気ヘッドの急速な損耗が発生する
限界の所定の規定値に達する毎に、稼働停止時における
ヘッド位置決め機構の最終停止位置を規制する最終停止
位置規制手段の位置を変化させて、磁気ディスクにおけ
るコンタクト・スタート・ストップ位置を磁気ディスク
の記録面の任意の他の位置に移動させる動作を繰り返
す。
これにより、移動先の領域では、これまでコンタクト
・スタート・ストップが行われておらず、したがって潤
滑剤の減少が少ないので、磁気ディスクと磁気ヘッドと
の間の摩擦係数が初期の小さな値に復帰し、磁気ディス
クや磁気ヘッドの局部的な損耗を招くことなく、長期間
にわたって安定なコンタクト・スタート・ストップ動作
を行わせることが可能となる結果、磁気ディスク装置の
寿命を延長することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例である磁気ディスク装置の制
御方式およびそれを用いた磁気ディスク装置の一例につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1図は、本発明の一実施例である磁気ディスク装置
の要部の構成の一例を模式的示す平面図であり、第2図
および第3図は、その作用の一例を示す線図である。
本実施例の磁気ディスク装置は、図示しないスピンド
ルモータなどによって回転される磁気ディスク1と、こ
の磁気ディスク1の回転時に形成される気流などによっ
て揚力を発生するヘッドスライダ2とを備えている。
ヘッドスライダ2には、情報の記録領域として磁気デ
ィスク1に同心円上に配置されている複数の図示しない
トラックに対する情報の記録・再生動作を行う図示しな
い磁気ヘッドが固定されている。
ヘッドスライダ2は、板バネ3aを介してヘッドアーム
3の一端に固定されており、さらにヘッドアーム3は、
磁気ディスク1に平行な平面内において回動自在に揺動
軸4に支持されている。
ヘッドスライダ2は、板バネ3aによって磁気ディスク
1に接近する方向に常時付勢されており、磁気ディスク
1の定常回転時には、当該磁気ディスク1の表面に形成
される気流によってヘッドスライダ2に発生する揚力と
板バネ3aによる付勢力とが均衡することにより、当該ヘ
ッドスライダ2に固定された図示しない磁気ヘッドと磁
気ディスク1の表面との間に所定の間隙が形成されると
ともに、磁気ディスク1の静止状態では、当該磁気ディ
スク1とヘッドスライダ2(磁気ヘッド)とが接触状態
となるものである。
すなわち、本実施例の磁気ディスク装置では、磁気デ
ィスク1の回転始動直後から定常回転に達するまでの間
のある期間、および電源切断後、磁気ディスク1が静止
するまでのある期間、回転する磁気ディスク1とヘッド
スライダ2とが摺接状態となる、いわゆるコンタクト・
スタート・ストップ(以下CS/Sと略記する)が行われ
る。
また、磁気ディスク1の表面には、ヘッドスライダ2
と磁気ディスク1との粘着を生じない範囲で、所望の潤
滑剤が塗布されており、ヘッドスライダ2と磁気ディス
ク1との接触状態における摩耗が緩和されるようになっ
ている。
揺動軸4と、ヘッドアーム3との間には、両端が当該
揺動軸4およびヘッドアーム3にそれぞれ係止されたコ
イルばね5が介設されており、ヘッドアーム3が、常
時、第1図における時計回り方向に付勢される構造とな
っている。
ヘッドアーム3の他端側には、当該ヘッドアーム3に
支持されたボイスコイル6aと、図示しない筐体側に支持
された図示しな永久磁石などからなるアクチュエータ6
が設けられており、ボイスコイル6aに対する通電によっ
て、コイルばね5の付勢力に抗してヘッドアーム3を揺
動軸4の回り所望の方向に回動させるトルクが発生され
る構造となっている。
そして、このアクチュエータ6からヘッドアーム3に
作用するトルクの大きさや方向を適宜制御することによ
り、当該ヘッドアーム3の他端部に支持されているヘッ
ドスライダ2(磁気ヘッド)の、磁気ディスク1の径方
向における変位方向、速度、変位量などを制御して、磁
気ディスク1の表面に同心円状に形成されている複数の
トラックの任意の一つの直上部に対してヘッドスライダ
2(磁気ヘッド)を位置決めするシーク動作が行われる
ものである。
この場合、ヘッドアーム3を駆動するアクチュエータ
6の近傍には、回動軸7aを中心として、アクチュエータ
6(ヘッドアーム3)の回動平面に平行な平面内におい
て回動自在に設けられた歯車7が設けられている。
この歯車7には、当該歯車7の回動変位によって、ア
クチュエータ6の可動範囲に交差する領域を移動するよ
うにストッパ8が固定されており、さらに、この歯車7
には、たとえば、ステップモータ9によって駆動される
歯車9aが噛合している。
そして、このステップモータ9の回動方向および回動
量を適宜制御することにより、アクチュエータ6(ヘッ
ドアーム3)の可動範囲内における当該アクチュエータ
6(ヘッドアーム3)に対するストッパ8の当接位置が
所望の位置に設定可能となっている。
ステップモータ9の回動方向および回動量などは、ス
テップモータ駆動回路10によって制御されるようになっ
ており、このステップモータ駆動回路10には、前述のよ
うなCS/Sの実行回数を計数するCS/Sカウンタ11が接続さ
れている。
そして、CS/Sカウンタ11は、たとえば、CS/Sの実行回
数が所定の値(たとえば、1000〜5000回)に到達した時
点で、当該CS/Sの実行に際して、後述のように、ステッ
プモータ駆動回路10に指令を発してステップモータ9を
作動させることにより、電源切断状態で遊動状態となっ
てコイルばね5により時計回り方向に付勢されるアクチ
ュエータ6(ヘッドアーム3)とストッパ8との当接位
置を、これまでの当接位置から変化させ、ヘッドアーム
3に支持されたヘッドスライダ2(磁気ヘッド)の磁気
ディスク1に対するCS/Sの位置を変化させる動作を行う
ものである。
なお、前記CS/Sの実行回数の規定値(本実施例の場合
には、1000〜5000回)は、磁気ディスク1の同一位置に
おいてCS/Sを繰り返した時に潤滑剤の減少による摩擦力
の増大によって、磁気ディスク1およびヘッドスライダ
2などの摩耗が急速に進行する限界の値を予め測定して
おくことで設定される。
以下、本実施例の磁気ディスク装置およびその制御方
法の作用の一例を説明する。
まず、磁気ディスク1が所定の定常回転数で回転して
いる磁気ディスク装置の通常の稼働状態では、ストッパ
8は、ヘッドスライダ2が磁気ディスク1の最内周に移
動したときにアクチュエータ6に当接する位置(ホーム
ポジション)に退避しており、アクチュエータ6による
ヘッドスライダ2のシーク動作の妨げになることを回避
している。
次に、磁気ディスク装置の電源が切断されると、予備
電源などによってステップモータ9を作動させ、歯車9a
を介して歯車7を回動させることにより、歯車7に固定
されているストッパ8を、アクチュエータ6の可動範囲
の所定の位置まで移動させる。
一方、電源切断状態のため、アクチュエータ6および
ヘッドアーム3(ヘッドスライダ2)は遊動状態とな
り、コイルばね5の付勢力によって、アクチュエータ6
は第1図中の矢印Cで示される方向に回動し、ストッパ
8に当接する位置で停止するとともに、当該コイルばね
5の付勢力によって静止状態が維持される。
そして、アクチュエータ6(ヘッドアーム3)の停止
位置において、磁気ディスク1に対するヘッドスライダ
2の位置が決まり、その位置において、磁気ディスク1
の回転数の減少とともにヘッドスライダ2が徐々に降下
し、当該ヘッドスライダ2と磁気ディスク1の表面が摺
接しながら当該磁気ディスク1が静止状態となるCS/Sが
行われる。
次に、磁気ディスク装置に電源が投入され、磁気ディ
スク1が回転を開始すると、ヘッドアーム3(アクチュ
エータ6)に支持されたヘッドスライダ2(磁気ヘッ
ド)は、前述の電源切断時とは逆に、磁気ディスク1と
摺接しながら、当該磁気ディスク1の回転数の増加とと
もに浮上するCS/Sを行う。
そして、たとえば、磁気ディスク1が定常回転に到達
した時点で、ステップモータ9を作動させ、ストッパ8
を前記ホームポジションに退避させ、その後、ヘッドア
ーム3を介してアクチュエータ6によってヘッドスライ
ダ2のシーク動作を行わせる通常の稼働を開始する。
ここで、本実施例の場合には、このような、電源投入
および切断時のたびにおこなわれるCS/Sの実行回数をCS
/Sカウンタ11で計数する。
そして、当該実行回数が所定の値(例えば1000〜5000
回)に到達した時点で、電源切断時におけるCS/Sの実行
に際して、CS/Sカウンタ11からステップモータ駆動回路
10に所定の信号を発行することにより、当該ステップモ
ータ駆動回路10は、それまでのCS/Sの実行時とは、スト
ッパ8とアクチュエータ6との当接位置が異なるよう
に、すなわち、磁気ディスク1に対するヘッドスライダ
2のCS/Sの実行位置が変化するように、ステップモータ
9に対する指令値を変える。
すなわち、磁気ディスク1において、同一位置でCS/S
を繰り返すことに起因して、CS/Sが実行される領域に塗
布されている潤滑剤の被膜の厚さ(量)が、当該磁気デ
ィスク1およびヘッドスライダ2(磁気ヘッド)の損耗
を急速に進行させるまでに減少する前に、CS/Sの実行位
置を他の場所に移動させるという制御動作を行うもので
ある。
これにより、磁気ディスク1の同一の領域を使用して
CS/Sを繰り返すことに起因する、磁気ディスク1やヘッ
ドスライダ2(磁気ヘッドスライダ)などの損耗の促進
が回避され、長期間にわたって安定なCS/S動作を行わせ
ることが可能となる。
ここで、従来のように、CS/Sの実行位置を磁気ディス
ク1の特性位置に固定した場合と、本実施例のように、
CS/Sの回数が、たとえば5000回に達した時点でヘッドス
ライダ2を外周側に4mm程度移動させるようにした場合
の各々において、CS/Sの実行回数に対する潤滑剤の残存
率の変化を本発明者らが測定した結果を第2図に、同じ
く摩擦係数の変化を第3図に示す。
すなわち、第2図および第3図において、破線(イ)
で示される従来の場合では、CS/Sの実行回数の増加に伴
って潤滑剤の残存量が減少しているとともに、摩擦係数
は増大しており、一方、実線(ロ)で示される本実施例
の場合には、CS/Sの実行回数が増大しても潤滑剤の減少
量は少なく、しかも摩擦係数は小さな値に安定してい
る。
これらのことから、本実施例の場合には、CS/Sの同一
位置における繰り返しによる潤滑剤の減少を懸念して過
剰の潤滑剤を塗布する必要がなく、磁気ディスク1に対
するヘッドスライダ2(磁気ヘッド)の粘着力を小さく
できるとともに、磁気ディスク1とヘッドスライダ2と
の間の摩擦力の増大による両者の損耗の促進が回避さ
れ、CS/Sの繰り返し数などの観点からみた磁気ディスク
1装置の寿命を延長することができるという効果がある
ことが判る。
また、従来のように、磁気ディスク1の表面を、CS/S
を行わせる領域とそれ以外の領域とに区分けして、それ
ぞれに異なる面粗度を設定するなどの煩雑な配慮が不要
となり、磁気ディスク装置の製造工程における生産性を
向上させることができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき
具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定される
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可
能であることはいうまでもない。
たとえば、上記の実施例における磁気ディスク装置の
制御方式の説明では、コンタクト・スタート・ストップ
の実行位置を移動させる契機として、当該コンタクト・
スタート・ストップの実行回数を用いる場合について説
明したが、これに限らず、たとえば磁気ディスクの回転
時間(稼働時間)の経過などによる、潤滑剤の内周から
外周側への移動を見積もり、潤滑剤の塗着量が適正な位
置を順次選択して、コンタクト・スタート・ストップを
行わせるようにしてもよい。
〔発明の効果〕
本願において開示される発明のうち、代表的なものに
よって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおり
である。
すなわち、本発明になる磁気ディスク装置の制御方式
によれば、磁気ディスクと、この磁気ディスクに対する
情報の記録および再生動作の少なくとも一方を行うヘッ
ドと、このヘッドの前記磁気ディスクの任意の領域への
位置決め動作を行うヘッド位置決め機構とからなり、前
記磁気ディスクの安定回転時には前記ヘッドが当該磁気
ディスクの表面から浮上し、前記磁気ディスクの静止時
には当該磁気ディスクと前記ヘッドとが接触状態となる
コンタクト・スタート・ストップ方式の磁気ディスク装
置の制御方法であって、潤滑剤の減少量が予め求めた許
容限度になるようなコンタクト・スタート・ストップの
実行回数または稼働時間の経過に応じて、稼働停止時に
おける前記ヘッド位置決め機構の最終停止位置をコンタ
クト・スタート・ストップ領域内で変化させ、前記ヘッ
ドの前記磁気ディスクにおけるコンタクト・スタート・
ストップ位置を移動させるようにしたので、たとえば、
潤滑剤の減少量が実験的に求めた許容限度になるような
コンタクト・スタート・ストップの実行回数の規定値を
設け、この規定値を超えた場合に、電源切断時などにお
けるヘッド位置決め機構の最終停止位置を変化させ、磁
気ディスクにおけるコンタクト・スタート・ストップ位
置を磁気ディスクの記録面の任意の他の位置に移動させ
る動作を繰り返すという制御を行うことができる。
これにより、移動先の領域では、これまでコンタクト
・スタート・ストップが行われておらず、したがって潤
滑剤の減少がないので、磁気ディスクと磁気ヘッドとの
間の摩擦係数が初期の小さな値に復帰する。
この結果、磁気ディスクや磁気ヘッドの局部的な損耗
を招くことなく、長期間にわたって安定なコンタクト・
スタート・ストップ動作を行わせることが可能となり、
磁気ディスク装置の寿命を延長することができる。
また、本発明になる磁気ディスク装置によれば、磁気
ディスクと、この磁気ディスクに対する情報の記録およ
び再生動作の少なくとも一方を行うヘッドと、このヘッ
ドの前記磁気ディスクの任意の領域への位置決め動作を
行うヘッド位置決め機構とからなり、前記磁気ディスク
の安定回転時には前記ヘッドが当該磁気ディスクの表面
から浮上し、前記磁気ディスクの静止時には当該磁気デ
ィスクと前記ヘッドとが接触状態となるコンタクト・ス
タート・ストップ方式の磁気ディスク装置であって、稼
働停止時における前記ヘッド位置決め機構の最終停止位
置を規制する停止位置規制手段と、コンタクト・スター
ト・ストップの実行回数および稼働時間の少なくとも一
方を計数するカウンタと、前記コンタクト・スタート・
ストップの実行回数および前記稼働時間の経過の少なく
とも一方の値が潤滑剤の減少量が予め求めた許容限度に
なるように停止位置規制手段の位置をコンタクト・スタ
ート・ストップ領域内で移動させる駆動機構とを設けた
ので、たとえば、カウンタの値が潤滑剤の減少によって
磁気ディスクや磁気ヘッドの急速な損耗が発生する限界
の所定の規定値に達する毎に、稼働停止時におけるヘッ
ド位置決めの最終停止位置を規制する最終停止位置規制
手段の位置を変化させて、磁気ディスクにおけるコンタ
クト・スタート・ストップ位置を磁気ディスクの記録面
の任意の他の位置に移動させる動作を繰り返すことがで
きる。
これにより、移動先の領域では、これまでコンタクト
・スタート・ストップが行われておらず、したがって潤
滑剤の減少がないので、磁気ディスクと磁気ヘッドとの
間の摩擦係数が初期の小さな値に復帰し、磁気ディスク
や磁気ヘッドの局部的な損耗を招くことなく、長期間に
わたって安定なコンタクト・スタート・ストップ動作を
行わせることが可能となる結果、磁気ディスク装置の寿
命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例である磁気ディスク装置の要
部の構成の一例を模式的に示す平面図、 第2図はその作用の一例を示す線図、 第3図は同じくその作用の一例を示す線図である。 1……磁気ディスク、2……ヘッドスライダ、3……ヘ
ッドアーム、3a……板バネ、4……揺動軸、5……コイ
ルばね、6……アクチュエータ、6a……ボイスコイル、
7……歯車(駆動機構)、7a……回動軸、8……ストッ
パ(停止位置規制手段)、9……ステップモータ(駆動
機構)、9a……歯車(駆動機構)、10……ステップモー
タ駆動回路(駆動機構)、11……CS/Sカウンタ(カウン
タ)、C……電源切断時におけるアクチュエータの回動
方向を示す矢印。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ディスクと、この磁気ディスクに対す
    る情報の記録および再生動作の少なくとも一方を行うヘ
    ッドと、このヘッドの前記磁気ディスクの任意の領域へ
    の位置決め動作を行うヘッド位置決め機構とからなり、
    前記磁気ディスクの安定回転時には前記ヘッドが当該磁
    気ディスクの表面から浮上し、前記磁気ディスクの静止
    時には当該磁気ディスクと前記ヘッドとが接触状態とな
    るコンタクト・スタート・ストップ方式の磁気ディスク
    装置の制御方法であって、潤滑剤の減少量が予め求めた
    許容限度になるようなコンタクト・スタート・ストップ
    の実行回数または稼働時間の経過に応じて、稼働停止時
    における前記ヘッド位置決め機構の最終停止位置をコン
    タクト・スタート・ストップ領域内で変化させ、前記ヘ
    ッドの前記磁気ディスクにおけるコンタクト・スタート
    ・ストップ位置を移動させるようにしたことを特徴とす
    る磁気ディスク装置の制御方法。
  2. 【請求項2】磁気ディスクと、この磁気ディスクに対す
    る情報の記録および再生動作の少なくとも一方を行うヘ
    ッドと、このヘッドの前記磁気ディスクの任意の領域へ
    の位置決め動作を行うヘッド位置決め機構とからなり、
    前記磁気ディスクの安定回転時には前記ヘッドが当該磁
    気ディスクの表面から浮上し、前記磁気ディスクの静止
    時には当該磁気ディスクと前記ヘッドとが接触状態とな
    るコンタクト・スタート・ストップ方式の磁気ディスク
    装置であって、稼働停止時における前記ヘッド位置決め
    機構の最終停止位置を規制する停止位置規制手段と、コ
    ンタクト・スタート・ストップの実行回数および稼働時
    間の少なくとも一方を計数するカウンタと、前記コンタ
    クト・スタート・ストップの実行回数および前記稼働時
    間の経過の少なくとも一方の値が潤滑剤の減少量が予め
    求めた許容限度になるように前記停止位置規制手段の位
    置をコンタクト・スタート・ストップ領域内で移動させ
    る駆動機構とを設けたことを特徴とする磁気ディスク装
    置。
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