JP2701165B2 - 接着性組成物、合成歯石用組成物および合成歯石用キット - Google Patents

接着性組成物、合成歯石用組成物および合成歯石用キット

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、合成歯石用組成物および合成歯石用キット
に関する。
詳しくは、本発明は、模型歯牙に対する接着力に優
れ、実際に口腔内に発生する歯石に類似したものを形成
することができる合成歯石用組成物及び合成歯石用キッ
トに関する。
更に詳しくは、本発明は、P2O5−CaO系結晶化ガラス
製などの模型歯牙に対する接着力に優れ、その性状及び
除去する際の感覚や特性などが実際に口腔内に発生する
歯石に類似した人工歯石を形成することができ、このた
め歯科医療技術の研究や歯科医学生及び歯科衛生士等の
実習教育用等の歯科分野に好適に利用することのできる
合成歯石用組成物、及びこの合成歯石用組成物の調製を
好適に行なうことができる合成歯石用キットに関する。
[従来技術] 歯科医療技術の研究分野、あるいは医療医学生及び歯
科衛生士のスケーリング実習等の歯科教育分野におい
て、新たな歯石除去技術を研究開発したり、的確な歯石
除去技術を修得するためには、歯石の付着した天然歯を
用いるのが理想的である。
しかしながら、歯科医学の研究や教育の場において、
歯石の付着した天然歯を用いることが益々困難になっき
ており不可能に近く、また臨床上、無資格者が患者の歯
石除去実習を行うことは、医事法制上全く不可能であ
る。
そこで、歯科医療技術の研究分野、歯科医学の教育分
野においては、従来より、例えばメラミン樹脂製模型歯
牙型の歯牙模型に対してMMA系即時重合樹脂からなる合
成歯石を接着したり、美容用爪マニキュアを歯面に塗布
した代用品が用いられている。
ところで、新たな歯石除去技術を研究開発したり、的
確な歯石除去技術を修得するためには、色、形状、厚
み、接着力等の諸性状、特に歯石の除去感覚や除去特性
が、実際に口腔内の天然歯に付着する歯石に類似してい
ることが望ましい。
したがって、合成歯石が接着されたり、美容用爪ミニ
キュアが塗布されたりする歯牙模型や人工歯において
も、外観、硬度、切削感等が天然歯に近似していること
が望まれる。
しかしながら、従来より用いられているメラミン樹脂
と他の樹脂との複合樹脂からなる歯牙模型や人工歯にお
いては、外観は天然歯に近似しているものの、硬度が低
くて、切削感も天然歯とは全く異なるものである。
そこで、これらの点を改良する目的で、P2O5−CaO系
結晶化ガラス製の歯牙模型が開発され、これに人工歯石
を接着したものが、歯石除去用教材として用いられるに
至っている。
一方、従来の人工歯石としては、メラミン樹脂製模型
歯牙とともに歯石セット(株式会社ニッシン製)として
市販されているものが知られている。
前記した人工歯石は、組成分析によると、ごく少量の
芳香族アミン類を含有するメチルメタクリレートからな
る液部と、SiO2 47.9重量%、Al2O3 14.8重量%、Na2O
1.8重量%、メチルメタクリレートポリマー及びその他
の成分よりなる直径30μm程度の球状物からなる粉部と
から構成されるものである。
しかしながら、前記した従来の人工歯石は、これを前
記P2O5−CaO系結晶化ガラス製の歯牙模型に接着したと
き、メラミン樹脂製模型歯牙に接触したときに比べて接
着性が著しく悪く、容易に剥離してしまうため、例えば
スケーリング実習用としては不適当なものである。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、前記の事情に基づいてなされたものであ
る。
本発明の第一の目的は、模型歯牙、特にP2O5−CaO系
結晶化ガラス製模型歯牙に対する接着力に優れ、その性
状及び除去する際の感覚や特性等が、実際に口腔内に発
生する歯石に近似した合成歯石を形成することができる
合成歯石用組成物を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、前記した実際に口腔内
に発生する歯石に近似した合成歯石を調製するために好
適に利用することができ、接着強度及び硬度を幅広く選
択することのできる合成歯石用キットを提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討
を重ねた。
その結果、本発明者らは、特定の重合性モノマー及び
硬化剤とともに、ガラス粉及び非反応性高沸点溶剤とを
含む特定の組成物は、模型歯牙、特にP2O5−CaO系結晶
化ガラス製模型歯牙に対する接着力に優れ、その性状及
び除去する際の感覚、特性等が、実際に口腔内に発生す
る歯石に近似した合成歯石を形成することができること
を見い出した。
また、本発明者らは、前記した組成物の構成成分をキ
ットの形態に構成することにより、合成歯石の調製が容
易に行なえること、及び模型歯牙に対する接着力や硬度
を幅広く調整することがでいることを見い出した。
本発明は、前記知見をベースにして完成されたもので
ある。
本発明を概説すれば、本発明の第一の発明は、ガラス
粉、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む二種以
上のメタクリレート系モノマー、硬化剤(例えば重合開
始剤と重合促進剤からなる。)及び溶剤を含むことを特
徴とする合成歯石用組成物に関する。
また、本発明の第二の発明は、前記合成歯石用組成物
の構成成分を、合成歯石の調製の便宜を図るためにキッ
ト化した合成歯石用キットに関する。
以下、本発明の技術的構成について詳しく説明する。
本発明の合成歯石用組成物は、ガラス粉、特定の重合
性モノマー、硬化剤及び非反応性高沸点溶剤からなるも
のである。
前ガラス粉として用いるガラスは、一般に化学耐久性
の高いガラス材料であれば、特に制限がなく、例えば窓
板ガラス、Na2O−BaO−SiO2系ガラス、ホウ珪酸ガラ
ス、アルミナシリケートガラス、シリカガラス及びP2O5
−CaO系結晶化ガラス、Li2O−Al2O5−SiO2系結晶化ガラ
ス、CaO−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス、MgO−Al2O3−Si
O2系結晶化ガラスなどの結晶化ガラスを用いることがで
きる。
前記ガラス粉の粒度は、特に限定されるものではない
が、本発明の合成石用組成物を模型歯牙に適用し、硬化
させて得られる合成歯石において、その分離を防止する
ためには、通常、100メッシュ以下であることが望まし
い。
前記ガラス粉は、一種または二種以上の少量の着色成
分を含有していてもよいものである。
この着色成分は、その一種または二種以上の使用によ
り、模型歯牙に形成される合成歯石と模型歯石との区別
を容易にする色を呈するものであれば、特に制限はな
い。一般に、歯牙の色調や口腔内に発生する歯石の色と
類似の色、即ち、通常、茶褐色ないし黄褐色を呈するも
のが好ましい。
前記した着色成分としては、例えばCeO2、MnO、Fe
2O3、V2O5、Fe−Cr−Zn系スピネルなどを挙げることが
できる。
なお、前記着色成分を用いることにより、合成歯石部
と模型歯牙部との区別が容易になるばかりでなく、前記
ガラス粉と他の成分との混合状態の判定を容易に行なう
ことができる。
本発明において、前記ガラス粉には、例えば石英粉、
シリカ、タルク、クレー、チタンホワイト、硫酸カルシ
ウム、亜硫酸カルシウム、マイカ、ゼオライト、ホウ珪
酸ガラス等の無機充填剤を添加することもできる。さら
に、これらの無機充填剤は、たとえばシランカップリン
グ剤等により表面処理が施されていてもよいものであ
る。
本発明において、前記した特定の重合性モノマーは、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2−HEMA
と略記することがある。)を含む二種以上のメタクリレ
ート系モノマーで構成される。
本発明において、重合性モノマーとして2−HEMAを必
須成分とする理由は、人体無害性であること、及び2−
HEMAが重合して得られる重合体は、親水性に富むため形
成される人工歯石が実際に口腔内で発生する歯石により
近いものになるためである。
本発明において、前記2−HEMA以外の前記重合性モノ
マーとしては、重合により硬化し得るものであれば、特
に制限はないが、ジメタクリレートモノマー類、モノメ
タクリレートモノマー類を好適に用いることができる。
具体的には、例えば、2,2−ビス(4−メタクリロキ
シフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタ
クリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEP
P)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェ
ニル)プロパン(Bis−MPEPP)、2,2−ビス[4−(3
−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェ
ニル]プロパン(Bis−GMA)、ヘキサメチレンジイソシ
アネートの2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−
HEMA)2モル付加物、2,2,4−トリメチルヘキサメチレ
ンジイソシアネートの2−HEMA2モル付加物、2,4−トリ
レンジイソシアネートの2−HEMA2モル付加物、イソホ
ロンジイソシアネートの2−HEMA2モル付加物、及びエ
チレングリコールジメタクリレート(1G)、ジエチレン
グリコールジメタクリレート(2G)、トリエチレングリ
コールジメタクリレート(3G)、さらには3−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンジメ
タクリレート、1,3−メタクリロキシ−2−プロパノー
ルなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよ
いし、二種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明の合成歯石用組成物は、2−ヒドロキシエチル
メタクリレートを含む二種以上のメタクリレート系モノ
マーを適宜に組合わせて用いることにより、本発明の合
成歯石用組成物を硬化させて得られる合成歯石の接着力
及び硬度を口腔内の歯に付着する歯石の接着力及び硬度
に合わせて幅広く選定することが可能になる。
本発明において、前記2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート(2−HEMA)を含む二種以上のメタクリレート系
モノマーの具体例として、2−HEMAと2,2−ビス[4−
(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−
フェニル]プロパン(以下Bis−GMAと略記することがあ
る。)及びジエチレングリコールジメタクリレートの組
合わせを挙げることができる。
本発明において、前記硬化剤は、重合開始剤と重合促
進剤とからなる。
前記重合開始剤は、前記重合性モノマーの種類や重合
硬化の方法等に応じて、公知のものの中から適宜に選択
して用いることができる。
具体的には、たとえば、ラジカル重合によって硬化さ
せる場合には、有機過酸化物、有機アゾ化合物などのラ
ジカル開始剤を好適に使用することが可能である。これ
らの中でも、ベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物
は特に好ましい。
前記重合促進剤としては、たとえばN,N−ジメチルア
ニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、p−トリル
ジエタノールアミン、N−メチル−N−β−ヒドロキシ
ルエチルアニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)
アニリン、N−メチルアニリン、N−メチル−p−トル
イジン、p,p′−テトラメチルジアミノジフェニルメタ
ン等の芳香族アミン化合物を好適に使用することができ
る。
前記硬化剤を用いることにより、前記重合性モノマー
の重合を促進して本発明の合成歯石用組成物の硬化を促
進することができる。
本発明において、前記溶剤としては、本発明の合成歯
石用組成物を硬化させる際に使用する重合開始剤に対し
て不活性であるとともに、沸点の高い液状の有機化合物
を挙げることができる。
具体的には、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフ
タレート、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタ
レート、ジ−n−オクチルテレフタレートなどのジアル
キルフタレート類などが挙げられる。
本発明において、非反応性高沸点溶剤を使用すること
により、本発明の合成歯石用組成物を硬化させて得られ
る合成歯石の接着性の低下を招かずに硬化物を砕け易く
することができるため、除去感覚が口腔内の歯に付着す
る天然の歯石に極めて類似したものになる。
本発明の前記非反応性高沸点溶剤は、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート(2−HEMA)を含む二種以上のメ
タクリレート系モノマーとして長鎖のモノアルキルメタ
クリレート類が使用される場合、これらのモノマーによ
って代替することができる。即ち、本発明において、前
記溶剤は、前記メタクリレート系モノマーに代替される
場合があると理解されるべきである。
本発明の合成歯石用組成物は、前記ガラス粉、前記重
合性モノマー、前記硬化剤及び前記非反応性高沸点溶剤
とともに、例えば酸化防止剤などの他の成分を含有して
いてもよい。特に前記重合性モノマーや重合促進剤に酸
化防止剤を添加した場合は、その保存安定性を向上させ
ることができる。
前記酸化防止剤としては、たとえば2,6−ジ−tert−
ブチル−p−クレゾール(BHT)、ヒドロキノン(H
Q)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)などが
挙げられる。
本発明の合成歯石用組成物において、前記ガラス粉と
前記重合性モノマーの配合割合は、使用する原料の種類
や添加物の使用量などによって異なるため、一様に規定
することはできないが、前記重合性モノマー100重量部
当り、前記ガラス粉を、通常は230〜400重量部、好まし
くは270〜360重量部の範囲内に設定するのが望ましい。
前記硬化剤は、使用する原料の種類、重合方法などに
応じて、適宜に適量を添加すればよい。重合開始剤は、
前記重合性モノマー100重量部に対し、通常は5重量部
以下、好ましくは0.5〜1.5重量部である。重合促進剤
は、前記重合性モノマー100重量部に対し、通常は5重
量部以下、好ましくは0.5〜1.5重量部である。
前記非反応性高沸点溶剤の使用量は、使用する原料の
種類等によって著しく異なるので一様に規定することは
できないが、前記重合性モノマー100重量部当り、通常
は5〜80重量部、好ましくは10〜50重量部である。
また、酸化防止剤を使用する場合、その使用量は、前
記重合促進剤100重量部当り、通常は0.1〜10重量部、好
ましくは0.5〜5重量部である。
本発明の合成歯石用組成物は、前記したように、ラジ
カル重合法によって硬化するが、必要に応じて、加熱し
たり、可視光、紫外線、電子線および放射線等を照射し
て硬化することができる。
前記した重合硬化は、常温でも行なうことができる
が、所望により加熱して行なうこともできる。
本発明の合成歯石用組成物を用いて合成歯石を得るに
あたっては、前記ガラス粉と前記重合性モノマーと前記
硬化剤と前記非反応性高沸点溶剤および所望により使用
する前記酸化防止剤などの他の添加剤とを、所定の割合
で混合して混練物として、その混練物を模型歯牙上に塗
布し、この塗布物を硬化させることにより得ることがで
きる。
混合方法には特に制限はなく、用いる原料を一度に混
合してもよいし、段階的に混合してもよい。
使用する模型歯牙については、特に制限はないが、本
発明の合成歯石用組成物を用いて得られる合成歯石は、
P2O5−CaO系結晶化ガラスに対する接着性に優れるた
め、P2O5−CaO系結晶化ガラス製の模型歯牙を用いる
と、特に効果的である。
本発明の合成歯石用組成物は、前記したように模型歯
牙、特に、P2O5−CaO系結晶化ガラス製模型歯牙に対す
る接着製に優れており、例えば歯石除去用教材等として
用いたとき、その除去感覚が口腔内に発生した実験の歯
石の除去感覚と著しく類似するなどの特性を有する合成
歯石を好適に調製することができる。
次に、前記した合成歯石用組成物をベースとした合成
歯石の調製に便宜なキット、即ち合成歯石用キットにつ
いて説明する。
本発明の第一の合成歯石用キットは、ガラス粉と重合
促進剤であるアミン化合物との混合物(A1)、ガラス粉
と重合開始剤である過酸化物との混合物(A2)、および
前記特定の重合性モノマーと非反応性高沸点溶剤との混
合物(A3)から構成される。
前記混合物(A1)におけるガラス粉は、前記合成歯石
用組成物におけるガラス粉と同様であるが、例えば、Si
O2 65、Al2O3 15、BaO 15、Na2O 8、MnO2 1.9、CaO 0.1
の組成(重量比)からなり、粒度が100メッシュ以下の
ものを好適に用いることができる。
前記混合物(A1)におけるアミン化合物は、前記合成
歯石用組成物における重合促進剤と同じである。したが
って、前記アミン化合物の好適例としては、前記合成歯
石用組成物におけるのと同様に、芳香族アミンを挙げる
ことができる。
前記混合物(A2)におけるガラス粉は、前記合成歯石
用組成物における前記ガラス粉と同様であるが、たとえ
ば、SiO2 65、B2O3 20、BaO 5、Al2O3 5、Na2O3 3、K2O
2、TiO2−Sb2O3スピネル 2の組成(重量比)からな
り、粒度が100メッシュ以下のものを好適に用いること
ができる。
前記混合物(A2)における過酸化物は、前記合成歯石
用組成物における重合開始剤と同じである。従って、前
記過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシドなどを好
適に用いることができる。
前記混合物(A3)における重合性モノマーおよび非反
応性高沸点溶剤は、共に前記合成歯石用組成物における
重合性モノマーおよび非反応性高沸点溶剤と同様であ
る。したがって、前記重合性モノマーは、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート(2−HEMA)を含む二種以上の
メタクリレート系モノマーであることが好ましい。
前記混合物(A1)、(A2)および(A3)における各成
分の配合割合については、適宜に選定することが可能で
あるが、最終的に各混合物(A1)、(A2)および(A3
を混合練和して調製される合成歯石用組成物における各
成分の配合割合が、前記混合物(A3)に配合される前記
重合性モノマー100重量部当り、前記ガラス粉が、通常
は230〜400重量部、好ましくは270〜360重量部であり、
前記アミンが、通常は5重量部以下、好ましくは0.5〜
1.5重量部であり、前記非反応性高沸点溶剤が、通常は
5〜80重量部、好ましくは10〜50重量部であり、前記過
酸化物が、通常は5重量部以下、好ましくは0.5〜1.5重
量部の範囲になるように選定することが望ましい。
本発明の前記第一の合成歯石用キットは、前記混合物
(A1)と混合物(A2)と混合物(A3)とを、適宜の割合
で均一に混合練和してから、たとえばP2O5−CaO系結晶
化ガラス製歯牙模型等の歯牙面上に塗布して硬化させる
ことにより、使用に供することができる。
そして、得られる合成歯石は、たとえば歯石除去用教
材等として用いたとき、その除去感覚が口腔内に発生し
た実際の歯石の除去感覚と著しく類似するなどの特性を
有するものである。
次に、本発明の第二の合成歯石用キットについて説明
する。
本発明の第二の合成歯石用キットは、ガラス粉と過酸
化物との混合物(B1)、および特定の重合性モノマーと
アミン化合物と非反応性高沸点溶剤との混合物(B2)と
から構成される。
前記混合物(B1)におけるガラス粉は前記合成歯石用
組成物におけるガラス粉と同様であり、過酸化物は前記
合成歯石用組成物における重合開始剤と同様のものであ
る。
前記混合物(B2)における特定の重合性モノマーは前
記合成歯石用組成物における重合性モノマーと同様であ
り、前記非反応性高沸点溶剤は前記合成歯石用組成物に
おける非反応性高沸点溶剤と同様である。また、前記混
合物(B2)におけるアミン化合物は、前記合成歯石用組
成物におけるアミン化合物、即ち重合促進剤と同じであ
る。
前記混合物(B1)におけるガラス粉および過酸化物の
配合割合は、最終的に前記混合物(B1)と前記混合物
(B2)とを混合練和して調製されたとき、前記合成歯石
用組成物における各成分の配合割合と同じになる割合で
あることが望ましく、適宜に選定可能である。一例を挙
げれば、前記重合性モノマー100重量部に対し、前記ガ
ラス粉は230〜400重量部であり、前記過酸化物は0.5〜
5重量部である。
前記混合物(B2)における前記重合性モノマー、前記
アミン化合物、および前記非反応性高沸点溶剤の配合割
合についても同様であり、一例を挙げれば、前記重合性
モノマー100重量部に対し、前記アミン化合物は0.5〜5
重量部であり、前記非反応性高沸点溶剤は5〜80重量部
である。
本発明の前記第二の合成歯石用キットは、前記混合物
(B1)と混合物(B2)とを、適宜の割合で均一に混合練
和してから、たとえばP2O5−CaO系結晶化ガラス製歯牙
模型等の歯牙面上に塗布して硬化させることにより、使
用に供することができる。
そして、得られる合成歯石は、たとえば歯石除去教材
等として用いたとき、その除去感覚が口腔内に発生した
実際の歯石の除去感覚と著しく類似するなどの特性を有
するものである。
[実施例] 次に、本発明の実施例および比較例を示し、本発明に
ついて更に具体的に説明する。
(実施例1) モノマー液の調製 2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロ
キシプロポキシ)−フェニル]プロパン(Bis−GMA、新
中村化学(株)製)50g、ジエチレングリコール(2G、
新中村化学(株)製)20g、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート(2−HEMA)10gおよびジオクチルフタレー
ト(DOP)30gを均一に混合溶解した。
混合物Iの調製 200mlのナス型フラスコを用いて、クロロホルム30ml
に、p−トリルジエタノールアミン30mgおよび2,6−ジ
−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.6mgを溶解さ
せた。
次に、ガラス粉20gを入れて混合してから、エバポレ
ーターにフラスコを取り付け、温度約40℃の温水浴を用
いて、水流ポンプで減圧状態にしながら大部分のクロロ
ホルムを留去した。
最後に真空ポンプを用いてクロロホルムを完全に除去
した。
その後、ガラス粉をガラス製ボールミルに移し、約1
時間かけて均一に混合することにより、混合物Iを得
た。
混合物IIの調製 200mlのナス型フラスコを用いて、塩化メチレン30ml
にベンゾイルペルオキシド60mlを溶解させた。
次に、ガラス粉20gを入れて混合してから、エバポレ
ーターにフラスコを取り付け、室温下、水流ポンプで減
圧状態にしながら大部分の塩化メチレンを留去した。
最後に真空ポンプを用いて塩化メチレンを完全に除去
した。
その後、ガラス粉をガラス製ボールミルに移し、約1
時間かけて均一に混合することにより、混合物IIを得
た。
硬化および硬化時間の測定 室温下に練板上で、前記で得られたモノマー液0.10
gに、前記で得られた混合物II 0.11gを加え、30秒か
けて均一に混合練和した。
これに前記で得られた混合物0.11gを加え、30秒か
けて均一に混合練和した。
練和液は、練和終了後3分30秒でゲル化し、4分30秒
で硬化した。また、後述の方法で評価した硬化物表面の
ベト付きは認められなかった。
結晶化ガラス都の接着強度の測定 模型歯牙に接着した歯石の接着強度を直接に測定する
ことは困難であるため、次の方法で測定した。
即ち、縦70mm、横20mm、厚み2mmの鋼板の片面に、模
型歯牙と同一組成を有し、縦40mm、横20mm、厚み2mmの
結晶化ガラス板を、エポキシ系接着剤により貼り合わせ
た。
次に、片面に離型面、その反対面に粘着面を有すると
ともに、5mm角の穴を開設してなる紙(縦40mm、横20m
m)の粘着面を前記結晶化ガラス板に粘着固定した。
続いて、この紙の離型面上に、7mm角の穴を有すると
ともに、縦70mm、横20mm、厚み2mmの鋼板を、7mm角の穴
の中心が紙に開設した5mm角の穴の中心にくるようにダ
ブルクリップを用いて固定することにより、接着強度測
定用型枠を作製した。
得られた接着強度測定用型枠の穴の部分に、練和終了
後1分経過した合成歯石を約20秒かけて自然に流し込ん
だ。
室温にて所定の硬化時間経過後、重ね合わせた2枚の
鋼板をチャックで挟んで、上下に引っ張って合成歯石が
ガラス面から剥離する際の最大加重を測定し、その数値
を接着面積(0.5cm×0.5cm=0.25cm2)で除して接着強
度を算出した。なお、引張速度は0.5mm/分とした。
なお、引張強度は、練和開始後20分が経過した時点、
60分が経過した時点の2点を測定した。
このようにして測定した合成歯石の接着強度は、20分
が経過して時点で28kg/cm2であり、60分が経過した時点
て41kg/cm2であった。
モノマー液の粘度の測定 後述の方法で測定したモノマー液の粘度は、25℃で65
0cpであった。
合成歯石の硬度の測定 後述の方法で合成歯石の硬度(ブリネル硬度、ビッカ
ーズ硬度)を測定した。合成歯石のブリネル硬度は13で
あり、合成歯石のビッカーズ硬度は12であった。
(実施例2) 前記実施例1において、におけるp−トリルジエタ
ノールアミンの使用量を60mgから80mgに変え、2,6−ジ
−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)の使用量を0.6
mgから0.8mgに変えるとともに、におけるベンゾイル
ペルオキシドの使用量を60mgから80mgに変えたほかは、
前記実施例1と同様にして実施した。
その結果、合成歯石は2分30秒でゲル化し、3分で硬
化した。
また、結晶化ガラス板に対する接着強度は、20分経過
した時点が36kg/cm2であり、60分経過した時点が47kg/c
m2であった。
ブリネル硬度とビッカーズ硬度はそれぞれ13と12であ
った。
(実施例3) 実施例2における被着体(結晶化ガラス板)と形状が
同一で材質がパイレックスガラスであるものを被着体と
して用いた以外は、実施例2と同様に行なった。
その結果、合成歯石は2分30秒でゲル化し、3分で硬
化した。
また、パイレックスガラス板に対する接着強度は、20
分が経過した時点で42kg/cm2であった。
なお、このパイレックスガラス板の組成は、下記の通
りである。
パイレックスガラス板の組成 SiO2 95 (重量部) B2O3 3 Al2O3 0.5 Na2O 0.05 K2O 0.05 (実施例4〜10、比較例1) 前記実施例1において、で得られたモノマー液に代
えて、それぞれ第1表に示した組成からなるモノマー液
を用いたほかは、前記実施例1と同様にして合成歯石組
成物を調製し、この合成歯石用組成物の液粘度、硬化物
の引張剪断強さ、ブリネル硬度およびビッカース硬度の
評価を行なった。
結果を第1表に示す。
なお、各項目の評価方法は次の通りである。
液粘度:東京計器(株)製B8型回転粘度計を用いて、
25℃における粘度を測定した。測定にはHM−3型のロー
ターを用い、回転開始後1分が経過した時点の値を読み
取り、規定の換算係数を掛けて算出した。
引張剪断強さ:実施例1のにおいて記述した方法で
実施した。引張試験機としては島津製作所(株)製1S−
5000を用いた。なお、合成歯石を付着させる結晶化ガラ
ス板面は、付着作業に入る前にアセトンを含んだ脱脂綿
で汚れを拭き取った。
ブリネル硬度:島津製作所(株)製 微小硬度計HMV
−2000にブリネル硬度用直径1mmの圧子を装着したもの
を用い、サンプルには内径10mm、肉厚2mm、高さ10mmのP
MMA製パイプに練和した合成歯石を充填し、一日静置
後、上下の面を800番の耐水研磨紙で研磨したものを用
いた。
ビッカース硬度:島津製作所(株)製 微小硬度計HM
V−2000を用い、荷重10g、加圧時間15秒の条件で測定し
た。サンプルはブリネル硬度に用いたものと同様の方法
で作製した。
(評価) 第1表から明らかのように本発明の合成歯石用組成物
は、比較例の合成歯石用組成物に比較して引張剪断強さ
に優れるとともに、硬度が適度のものであるので、膜型
歯牙に対する接着性に優れるとともに、除去感覚が口腔
内の歯に付着する歯石に類似していることがわかる。
[発明の効果] (1)本発明のガラス粉と、特定の重合性モノマーと、
硬化剤と、非反応性高沸点溶剤とを含む合成歯石用組成
物は、模型歯牙、特にP2O5−CaO系結晶化ガラス製模型
歯牙に適用されたとき、その性状および除去する際の感
覚や特性等が、実際に口腔内に発生する歯石に近似した
合成歯石を得ることができるという優位性を持ってい
る。
(2)特に、本発明の合成歯石用組成物は、重合性モノ
マーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−
HEMA)を含む二種以上のメタクリレート系モノマーを含
有するため、P2O5−CaO系結晶化ガラス製模型歯牙に対
する接着製が一段と向上しているとともに、接着性およ
び硬度を口腔内の歯に付着する歯石の接着性および硬度
に合わせて幅広く設定することのできる合成歯石用組成
物を提供することができる。
(3)本発明は、前記構成成分からなる合成歯石用組成
物をベースにして、実際の合成歯石の調製作業に便宜な
キットを提供することができる。
本発明の合成歯石用キットを使用することにより、合
成歯石を容易に調製することができるとともに、その接
着力や硬度を幅広く選択することができる。このため、
本発明の合成歯石用キットは、歯科医療技術の研究や歯
科医学生及び歯科衛生士などの実習教育用等の歯科分野
に有用なものてある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 潔 千葉県君津郡袖ケ浦町上泉1280番地 出 光興産株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−180808(JP,A) 特表 昭57−500150(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス粉、2−ヒドロキシエチルメタクリ
    レートを含む二種以上のメタクリレート系モノマー、硬
    化剤、及び溶剤を含むことを特徴とする合成歯石用組成
    物。
  2. 【請求項2】硬化剤が、重合開始剤と重合促進剤からな
    る請求項1に記載の合成歯石用組成物。
  3. 【請求項3】重合開始剤が過酸化物、及び重合促進剤が
    アミン化合物からなる請求項2に記載の合成歯石用組成
    物。
  4. 【請求項4】ガラス粉と重合促進剤との混合物(A1)、
    ガラス粉と重合開始剤との混合物(A2)、及び2−ヒド
    ロキシエチルメタクリレートを含む二種以上の6メタク
    リレート系モノマーと溶剤との混合物(A3)からなる合
    成歯石用キット。
  5. 【請求項5】ガラス粉と重合開始剤との混合物(B1)、
    及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む二種以
    上のメタクリレート系モノマーと重合促進剤と溶剤との
    混合物(B2)からなる合成歯石用キット。
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