JP2698550B2 - 結露防止性積層フィルムあるいはシート - Google Patents
結露防止性積層フィルムあるいはシートInfo
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- JP2698550B2 JP2698550B2 JP20654494A JP20654494A JP2698550B2 JP 2698550 B2 JP2698550 B2 JP 2698550B2 JP 20654494 A JP20654494 A JP 20654494A JP 20654494 A JP20654494 A JP 20654494A JP 2698550 B2 JP2698550 B2 JP 2698550B2
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浴室等の鏡面、自動
車、電車、家屋等の窓ガラス、温室内のガラス板、眼鏡
のレンズ、ゴーグルあるいはカーブミラー等、高湿度環
境下または温度が著しく異なる境界にあるガラス面など
に貼付して長期間持続的に結露を防止するのに有用な、
結露防止性積層フィルムあるいはシート(以下、単にフ
ィルムとする)に関する。
車、電車、家屋等の窓ガラス、温室内のガラス板、眼鏡
のレンズ、ゴーグルあるいはカーブミラー等、高湿度環
境下または温度が著しく異なる境界にあるガラス面など
に貼付して長期間持続的に結露を防止するのに有用な、
結露防止性積層フィルムあるいはシート(以下、単にフ
ィルムとする)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透明なガラスやプラスチック製品
の結露を防止するために種々の提案がなされ、また実用
化されている[筏 義人編:高分子表面の基礎と応用
(下)、化学同人社 p81〜 106(1989)]。これを大別
すると、 a)界面活性剤を混練して成形品の表面の濡れ性を改善
する方法:例えば、ソルビタン脂防酸エステル、グリセ
リン脂防酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
防酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂防酸
エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび
ショ糖脂防酸エステル等の界面活性剤を樹脂中に添加
し、フィルム状に成形すると、樹脂との相溶性から成形
品の表面に界面活性剤がブリードしてくる。そこに水滴
が付着すると界面活性剤が水滴内に入り込み、水滴の表
面張力を低下させ水滴を広がらせ透明性を維持する。 b)疎水性物質を成形品の表面に塗布して表面の撥水性
を向上させる方法:例えば、フィルム等の成形品の表面
にシリコーンオイル、流動パラフィン、ワセリン等の疎
水性物質を塗布し、表面の撥水性を向上させて水滴を流
下させる。 c)水に対して親和性の高い樹脂を成形物の表面に塗布
し、表面に付着した水滴を吸水してしまう方法:例え
ば、水に対して親和性の高い樹脂として、澱粉/ポリア
クリル酸系吸水樹脂、ポリビニルアルコール、メチルセ
ルロースなどを用い、これをフィルム等の表面に塗布
し、表面に付着した水滴を吸収する。 d)成形品の表面を常に露点以上の温度に保ち結露を防
ぐ方法:例えば、ガラスの内面に発熱体を取付けて加熱
し、結露を防止する。
の結露を防止するために種々の提案がなされ、また実用
化されている[筏 義人編:高分子表面の基礎と応用
(下)、化学同人社 p81〜 106(1989)]。これを大別
すると、 a)界面活性剤を混練して成形品の表面の濡れ性を改善
する方法:例えば、ソルビタン脂防酸エステル、グリセ
リン脂防酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
防酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂防酸
エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび
ショ糖脂防酸エステル等の界面活性剤を樹脂中に添加
し、フィルム状に成形すると、樹脂との相溶性から成形
品の表面に界面活性剤がブリードしてくる。そこに水滴
が付着すると界面活性剤が水滴内に入り込み、水滴の表
面張力を低下させ水滴を広がらせ透明性を維持する。 b)疎水性物質を成形品の表面に塗布して表面の撥水性
を向上させる方法:例えば、フィルム等の成形品の表面
にシリコーンオイル、流動パラフィン、ワセリン等の疎
水性物質を塗布し、表面の撥水性を向上させて水滴を流
下させる。 c)水に対して親和性の高い樹脂を成形物の表面に塗布
し、表面に付着した水滴を吸水してしまう方法:例え
ば、水に対して親和性の高い樹脂として、澱粉/ポリア
クリル酸系吸水樹脂、ポリビニルアルコール、メチルセ
ルロースなどを用い、これをフィルム等の表面に塗布
し、表面に付着した水滴を吸収する。 d)成形品の表面を常に露点以上の温度に保ち結露を防
ぐ方法:例えば、ガラスの内面に発熱体を取付けて加熱
し、結露を防止する。
【0003】しかし、a)の方法は、樹脂中に混練した
界面活性剤等がフィルム等の表面にブリードアウトする
ことで結露防止効果を示すもののため、この界面活性剤
が水と繰り返し接触すると、界面活性剤が溶解流出して
結露防止効果を示さなくなる。すなわち、この方法によ
る結露防止効果は、初期効果のみで持続性に乏しい;
b)の方法も成形品表面に塗布した撥水性物質が水と繰
り返し接触すると流出するため持続性に乏しく、また細
かい水滴に対しては全く効果がない。さらに均一に塗布
しにくく、かつこの塗布により形成された塗膜がべとつ
いたり、塗布後の成形物の透明性が阻害されるなどの欠
点がある;c)の方法による結露防止効果の持続性は
a)およびb)の方法よりも優れているもののまだ十分
ではなく、さらには水に対する親和性が高いため、水滴
に接触した部分が膨潤して表面硬度が低下したり皺ある
いは剥離が生じる。d)の方法は初期投資が大きく電力
費も高く、また特殊な用途にしか利用できない。このよ
うな理由から結露防止成形物を得る方法としては、一般
にc)の方法をさらに改良した方法が用いられている。
しかし、この方法では主にポリビニルアルコール系樹脂
が用いられているため水に対する親和性が高く、水滴に
接触した部分が膨潤してシワを発生する。またポリビニ
ルアルコール系樹脂の吸水量では高湿度下または温度が
著しく異なる境界面で長期間持続的に防曇効果を示すこ
とができない。
界面活性剤等がフィルム等の表面にブリードアウトする
ことで結露防止効果を示すもののため、この界面活性剤
が水と繰り返し接触すると、界面活性剤が溶解流出して
結露防止効果を示さなくなる。すなわち、この方法によ
る結露防止効果は、初期効果のみで持続性に乏しい;
b)の方法も成形品表面に塗布した撥水性物質が水と繰
り返し接触すると流出するため持続性に乏しく、また細
かい水滴に対しては全く効果がない。さらに均一に塗布
しにくく、かつこの塗布により形成された塗膜がべとつ
いたり、塗布後の成形物の透明性が阻害されるなどの欠
点がある;c)の方法による結露防止効果の持続性は
a)およびb)の方法よりも優れているもののまだ十分
ではなく、さらには水に対する親和性が高いため、水滴
に接触した部分が膨潤して表面硬度が低下したり皺ある
いは剥離が生じる。d)の方法は初期投資が大きく電力
費も高く、また特殊な用途にしか利用できない。このよ
うな理由から結露防止成形物を得る方法としては、一般
にc)の方法をさらに改良した方法が用いられている。
しかし、この方法では主にポリビニルアルコール系樹脂
が用いられているため水に対する親和性が高く、水滴に
接触した部分が膨潤してシワを発生する。またポリビニ
ルアルコール系樹脂の吸水量では高湿度下または温度が
著しく異なる境界面で長期間持続的に防曇効果を示すこ
とができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、これを改善し
た結露防止フィルムとして、さらにポリビニルアルコ
ール系樹脂を有機ケイ素化合物(シラン化合物あるいは
シランカップリング剤)で架橋させたもの(特開昭48-4
7939号、特開平3-181586号、3-181587号、3-181588号、
3-181589号各公報)、分子内にシリル基を有する変性
ポリビニルアルコールと無機物とよりなる組成物(特開
昭59−179684号公報)を用いたもの、ポリエステルフ
ィルム上にポリビニルアルコールとイソブチレン−無水
マイレン酸共重合体との混合溶液を塗布したもの(特開
平5-310978号公報)等が提案されている。しかし、お
よびより得られるフィルムは膨潤による表面硬度の低
下およびシワの発生を十分に防ぐことができるが、フィ
ルムが疎水性化するため高湿度の環境下および温度が著
しく異なる境界面では結露防止効果の持続性に乏しい。
により得られるフィルムは吸水量が乏しいため同様の
条件下で長期間持続的に結露防止効果を示すことができ
ない。したがって、本発明の目的は高湿度環境下または
温度あるいは湿度差が著しく異なる境界面で長期間持続
的に結露を防止することができ、またシワが発生せず、
貼り付けや剥すことが容易にできる、結露防止効果の優
れた透明な積層フィルムを提供するものである。
た結露防止フィルムとして、さらにポリビニルアルコ
ール系樹脂を有機ケイ素化合物(シラン化合物あるいは
シランカップリング剤)で架橋させたもの(特開昭48-4
7939号、特開平3-181586号、3-181587号、3-181588号、
3-181589号各公報)、分子内にシリル基を有する変性
ポリビニルアルコールと無機物とよりなる組成物(特開
昭59−179684号公報)を用いたもの、ポリエステルフ
ィルム上にポリビニルアルコールとイソブチレン−無水
マイレン酸共重合体との混合溶液を塗布したもの(特開
平5-310978号公報)等が提案されている。しかし、お
よびより得られるフィルムは膨潤による表面硬度の低
下およびシワの発生を十分に防ぐことができるが、フィ
ルムが疎水性化するため高湿度の環境下および温度が著
しく異なる境界面では結露防止効果の持続性に乏しい。
により得られるフィルムは吸水量が乏しいため同様の
条件下で長期間持続的に結露防止効果を示すことができ
ない。したがって、本発明の目的は高湿度環境下または
温度あるいは湿度差が著しく異なる境界面で長期間持続
的に結露を防止することができ、またシワが発生せず、
貼り付けや剥すことが容易にできる、結露防止効果の優
れた透明な積層フィルムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の
解決のため特開昭59-64650号公報および特開昭60−2104
44号公報の記載を基にさらに研究を重ねた結果、ポリビ
ニルアルコール系樹脂にイソブチレン−マイレン酸−マ
イレン酸アルカリ金属塩共重合体を添加して得られた組
成物をポリビニルアルコール系樹脂表面に積層した積層
フィルムは、同じ厚みのポリビニルアルコール系樹脂フ
ィルムと比較して吸水性が著しく向上することに着目
し、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に上記
組成物を塗布して吸水層として用いることで、ポリビニ
ルアルコール系樹脂フィルムの吸水力を向上させること
ができることを見出した。また、支持基体層とポリビニ
ルアルコール系樹脂層との接着強さに、吸湿、吸水ある
いは排湿、排水による、吸水層とポリビニルアルコール
系樹脂層との伸縮力よりも強い剪断強度が与えられるこ
と、疎水性樹脂からなる支持基体層の一方の面に、ポリ
ビニルアルコール系樹脂層を積層し、その表面に上記吸
水層を形成すると共に、支持基体層の他方の面に粘着剤
層を設ければ、この積層フィルムをガラスなどの表面に
容易に貼付することが可能となり結露防止効果を付与で
きること等を見出し、本発明に到達した。
解決のため特開昭59-64650号公報および特開昭60−2104
44号公報の記載を基にさらに研究を重ねた結果、ポリビ
ニルアルコール系樹脂にイソブチレン−マイレン酸−マ
イレン酸アルカリ金属塩共重合体を添加して得られた組
成物をポリビニルアルコール系樹脂表面に積層した積層
フィルムは、同じ厚みのポリビニルアルコール系樹脂フ
ィルムと比較して吸水性が著しく向上することに着目
し、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に上記
組成物を塗布して吸水層として用いることで、ポリビニ
ルアルコール系樹脂フィルムの吸水力を向上させること
ができることを見出した。また、支持基体層とポリビニ
ルアルコール系樹脂層との接着強さに、吸湿、吸水ある
いは排湿、排水による、吸水層とポリビニルアルコール
系樹脂層との伸縮力よりも強い剪断強度が与えられるこ
と、疎水性樹脂からなる支持基体層の一方の面に、ポリ
ビニルアルコール系樹脂層を積層し、その表面に上記吸
水層を形成すると共に、支持基体層の他方の面に粘着剤
層を設ければ、この積層フィルムをガラスなどの表面に
容易に貼付することが可能となり結露防止効果を付与で
きること等を見出し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明による結露防止性積層フ
ィルムは、図1および図2に縦断面図で例示するよう
に、水不溶性で全光線透過率が90%以上の通常の厚さが
10〜 800μmの支持基体層1に、接着剤層2を介して通
常の厚さが5〜 500μmのポリビニルアルコール系樹脂
層3を積層し、その表面に通常の厚さが1〜15μmの吸
水層4を設けたものからなり、この吸水層が、ケン化度
95モル%以上、重合度 500〜2500のポリビニルアルコー
ル系樹脂(A)と、共重合体中のカルボキシル基の25〜
50%がアルカリ金属塩の形であるイソブチレン−マレイ
ン酸−マレイン酸アルカリ金属塩共重合体(B)とから
なる、重量比(A)/(B)=90/10〜20/80の組成物
から得られるものであること、またさらに前記支持基体
層1の他方の面に粘着剤層5を設けたものである。な
お、図中、6は離型紙である。
ィルムは、図1および図2に縦断面図で例示するよう
に、水不溶性で全光線透過率が90%以上の通常の厚さが
10〜 800μmの支持基体層1に、接着剤層2を介して通
常の厚さが5〜 500μmのポリビニルアルコール系樹脂
層3を積層し、その表面に通常の厚さが1〜15μmの吸
水層4を設けたものからなり、この吸水層が、ケン化度
95モル%以上、重合度 500〜2500のポリビニルアルコー
ル系樹脂(A)と、共重合体中のカルボキシル基の25〜
50%がアルカリ金属塩の形であるイソブチレン−マレイ
ン酸−マレイン酸アルカリ金属塩共重合体(B)とから
なる、重量比(A)/(B)=90/10〜20/80の組成物
から得られるものであること、またさらに前記支持基体
層1の他方の面に粘着剤層5を設けたものである。な
お、図中、6は離型紙である。
【0007】本発明をさらに詳細に説明する。本発明の
結露防止性積層フィルムに使用される支持基体層1とし
ては、透明性が高く、水不溶性のフィルムであれば特に
制限はなく、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリメチルメタクリレートなどの透明な合成樹脂
が挙げられる。これらのフィルムの厚さが10μm未満で
は吸排湿層の吸排湿による伸縮によりシワが発生し易
く、また 800μmを越えると施工が困難になり易く、か
つコストがアップするので、通常10〜 800μmの範囲の
厚さのものが用いられる。また、全光線透過率が90%未
満では透明性が不足し易く好ましくない。
結露防止性積層フィルムに使用される支持基体層1とし
ては、透明性が高く、水不溶性のフィルムであれば特に
制限はなく、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリメチルメタクリレートなどの透明な合成樹脂
が挙げられる。これらのフィルムの厚さが10μm未満で
は吸排湿層の吸排湿による伸縮によりシワが発生し易
く、また 800μmを越えると施工が困難になり易く、か
つコストがアップするので、通常10〜 800μmの範囲の
厚さのものが用いられる。また、全光線透過率が90%未
満では透明性が不足し易く好ましくない。
【0008】この支持基体層1に接着剤層2を介して積
層されるポリビニルアルコール系樹脂層3に使用可能な
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニル、蟻
酸ビニル等のビニルエステルあるいはt−ブチルエーテ
ル、トリメチルシリルビニルエーテル等のビニルエーテ
ルを重合させた重合体を酸あるいはアルカリで加水分解
して得られるものであるが、一般的には酢酸ビニルを重
合した重合物を加水分解したものがコストの面から好適
である。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は95モ
ル%以上、好ましくは98モル%以上、重合度は 500以
上、好ましくは1000〜2500、より好ましくは1000〜2000
である。ケン化度が95モル%未満の場合はポリビニルア
ルコール系樹脂層の耐水性が劣るため、ポリビニルアル
コール系樹脂層が膨潤してシワが発生したり、ポリビニ
ルアルコール系樹脂層が溶解して支持基体層から剥離し
てしまう。重合度が500未満では、得られるフィルムの
機械的強度が低くなり好ましくない。また重合度が2500
を越えると、ポリビニルアルコール系樹脂の溶融状態で
の粘度が著しく高いためフィルムへの成形が困難にな
る。
層されるポリビニルアルコール系樹脂層3に使用可能な
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニル、蟻
酸ビニル等のビニルエステルあるいはt−ブチルエーテ
ル、トリメチルシリルビニルエーテル等のビニルエーテ
ルを重合させた重合体を酸あるいはアルカリで加水分解
して得られるものであるが、一般的には酢酸ビニルを重
合した重合物を加水分解したものがコストの面から好適
である。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は95モ
ル%以上、好ましくは98モル%以上、重合度は 500以
上、好ましくは1000〜2500、より好ましくは1000〜2000
である。ケン化度が95モル%未満の場合はポリビニルア
ルコール系樹脂層の耐水性が劣るため、ポリビニルアル
コール系樹脂層が膨潤してシワが発生したり、ポリビニ
ルアルコール系樹脂層が溶解して支持基体層から剥離し
てしまう。重合度が500未満では、得られるフィルムの
機械的強度が低くなり好ましくない。また重合度が2500
を越えると、ポリビニルアルコール系樹脂の溶融状態で
の粘度が著しく高いためフィルムへの成形が困難にな
る。
【0009】これらポリビニルアルコール系樹脂を成膜
する方法は、独立薄膜を得ることができる成膜法であれ
ばどのような方法でもよいが、工業的にはインフレーシ
ョン成形法あるいはT−ダイを用いた溶融押出成形法が
成形能率が高く好ましい。このようにして得られたポリ
ビニルアルコール系樹脂フィルムは必要に応じて熱処理
または延伸を行ってもかまわない。この成膜原液には、
必要に応じて、フィルムの透明性および耐水性を損なわ
ない程度に、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉あるいは
その誘導体、キサンタンガム、カラギナン等の多糖類、
ポリアクリル酸またはその誘導体、ポリアクリルアミ
ド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレンオキサ
イド等の水溶性合成高分子等の水溶性樹脂、グリセリ
ン、ポリエチレングリコールあるいはエタノールアミン
等の可塑剤、ノニオン性あるいはアニオン性の界面活性
剤、pH調節剤、各種消泡剤、防腐剤等も添加すること
ができる。ポリビニルアルコール系樹脂層の厚さは5μ
m未満では結露防止効果が不十分となり易く、 500μm
を越えると施工が困難となり易くコストもアップするの
で好ましくない。
する方法は、独立薄膜を得ることができる成膜法であれ
ばどのような方法でもよいが、工業的にはインフレーシ
ョン成形法あるいはT−ダイを用いた溶融押出成形法が
成形能率が高く好ましい。このようにして得られたポリ
ビニルアルコール系樹脂フィルムは必要に応じて熱処理
または延伸を行ってもかまわない。この成膜原液には、
必要に応じて、フィルムの透明性および耐水性を損なわ
ない程度に、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉あるいは
その誘導体、キサンタンガム、カラギナン等の多糖類、
ポリアクリル酸またはその誘導体、ポリアクリルアミ
ド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレンオキサ
イド等の水溶性合成高分子等の水溶性樹脂、グリセリ
ン、ポリエチレングリコールあるいはエタノールアミン
等の可塑剤、ノニオン性あるいはアニオン性の界面活性
剤、pH調節剤、各種消泡剤、防腐剤等も添加すること
ができる。ポリビニルアルコール系樹脂層の厚さは5μ
m未満では結露防止効果が不十分となり易く、 500μm
を越えると施工が困難となり易くコストもアップするの
で好ましくない。
【0010】ポリビニルアルコール系樹脂層3と支持基
体層1との間に介在する接着剤層2を構成する接着剤と
しては、吸排湿に伴う吸排湿層の伸縮を防止する能力が
あり、この伸縮力よりも大きい剪断強度を有する接着力
が要求されるので、ウレタン系2液反応型(ポリエチレ
ングリコールまたは両末端に水酸基を有するポリエステ
ル、ポリアミンまたはポリカルボキシル基とイソシアネ
ートとの反応型)接着剤、エポキシ樹脂系接着剤が好適
である。これらの接着剤は耐水性、耐高温多湿性に優れ
ている。なお、吸水層とポリビニルアルコール系樹脂層
の伸縮力以下の剪断強度の接着力しかない接着剤で接着
するとシワが発生し易くなる。
体層1との間に介在する接着剤層2を構成する接着剤と
しては、吸排湿に伴う吸排湿層の伸縮を防止する能力が
あり、この伸縮力よりも大きい剪断強度を有する接着力
が要求されるので、ウレタン系2液反応型(ポリエチレ
ングリコールまたは両末端に水酸基を有するポリエステ
ル、ポリアミンまたはポリカルボキシル基とイソシアネ
ートとの反応型)接着剤、エポキシ樹脂系接着剤が好適
である。これらの接着剤は耐水性、耐高温多湿性に優れ
ている。なお、吸水層とポリビニルアルコール系樹脂層
の伸縮力以下の剪断強度の接着力しかない接着剤で接着
するとシワが発生し易くなる。
【0011】吸水層4の形成に使用されるポリビニルア
ルコール系樹脂は、酢酸ビニル、蟻酸ビニル等のビニル
エステルあるいはt−ブチルエーテル、トリメチルシリ
ルビニルエーテル等のビニルエーテルを重合させた重合
体を酸あるいはアルカリで加水分解して得られるが、一
般的には酢酸ビニルを重合した重合物を加水分解したも
のがコストの面から好適である。ポリビニルアルコール
系樹脂のケン化度は95モル%以上、好ましくは98モル
%、重合度は 500〜2500、好ましくは1000〜2000であ
る。ケン化度が95モル%未満では積層フィルムの透明性
が劣るため好ましくない。重合度が 500未満では、薄膜
の強度が低下しフィルム表面にクラックが発生する。重
合度が2500を越えると、粘度が著しく高くなり吸水層の
形成が困難となる。
ルコール系樹脂は、酢酸ビニル、蟻酸ビニル等のビニル
エステルあるいはt−ブチルエーテル、トリメチルシリ
ルビニルエーテル等のビニルエーテルを重合させた重合
体を酸あるいはアルカリで加水分解して得られるが、一
般的には酢酸ビニルを重合した重合物を加水分解したも
のがコストの面から好適である。ポリビニルアルコール
系樹脂のケン化度は95モル%以上、好ましくは98モル
%、重合度は 500〜2500、好ましくは1000〜2000であ
る。ケン化度が95モル%未満では積層フィルムの透明性
が劣るため好ましくない。重合度が 500未満では、薄膜
の強度が低下しフィルム表面にクラックが発生する。重
合度が2500を越えると、粘度が著しく高くなり吸水層の
形成が困難となる。
【0012】このポリビニルアルコール系樹脂と共に吸
水層4の形成に用いられるイソブチレン−マレイン酸−
マレイン酸アルカリ金属塩共重合体には、イソブチレン
−無水マレイン酸共重合体をアルカリ金属化合物あるい
はアルカリ土類金属塩化合物の水溶液で加水分解したも
のが用いられる。なお、ここでいうアルカリ金属化合物
あるいはアルカリ土類金属化合物とは、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムおよび水酸化マグ
ネシウム等である。イソブチレン−マレイン酸−マレイ
ン酸アルカリ金属塩共重合体中のカルボキシル基がアル
カリ金属塩を形成している割合(以後中和度と記す)
は、25〜50%、好ましくは30〜50%である。イソブチレ
ン−無水マレイン酸をアルカリ金属化合物あるいはアル
カリ土類金属化合物で加水分解し、中和度が25%未満の
イソブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金属塩
共重合体を作製することは非常に困難である。中和度が
50%を越える場合は、ポリビニルアルコール系樹脂との
相溶性が悪くなり、フィルムが白濁し透明なフィルムが
得れらなくなるだけでなく、ポリビニルアルコール系樹
脂とイソブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金
属塩共重合体が相分離し、不透明な積層フィルムとなっ
てしまう。
水層4の形成に用いられるイソブチレン−マレイン酸−
マレイン酸アルカリ金属塩共重合体には、イソブチレン
−無水マレイン酸共重合体をアルカリ金属化合物あるい
はアルカリ土類金属塩化合物の水溶液で加水分解したも
のが用いられる。なお、ここでいうアルカリ金属化合物
あるいはアルカリ土類金属化合物とは、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムおよび水酸化マグ
ネシウム等である。イソブチレン−マレイン酸−マレイ
ン酸アルカリ金属塩共重合体中のカルボキシル基がアル
カリ金属塩を形成している割合(以後中和度と記す)
は、25〜50%、好ましくは30〜50%である。イソブチレ
ン−無水マレイン酸をアルカリ金属化合物あるいはアル
カリ土類金属化合物で加水分解し、中和度が25%未満の
イソブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金属塩
共重合体を作製することは非常に困難である。中和度が
50%を越える場合は、ポリビニルアルコール系樹脂との
相溶性が悪くなり、フィルムが白濁し透明なフィルムが
得れらなくなるだけでなく、ポリビニルアルコール系樹
脂とイソブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金
属塩共重合体が相分離し、不透明な積層フィルムとなっ
てしまう。
【0013】ポリビニルアルコール系樹脂(A)とイソ
ブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金属塩共重
合体(B)との重量組成比は(A)/(B)の重量比で
90/10〜20/80の範囲であり、とくには70/30〜40/60
の範囲であることが好ましい。ポリビニルアルコール系
樹脂の重量組成比が90/10より多くなると吸水層として
の機能を十分発揮できない。また、この重量組成比が20
/80より小さくなるとポリビニルアルコール系樹脂とイ
ソブチレン−マイレン酸−マイレン酸アルカリ金属塩共
重合体組成物がポリビニルアルコール系樹脂層から剥離
してしまう。この吸水層中には、必要に応じてアセチレ
ンアルコール、アセチレングリコールあるいはグレセリ
ン脂防酸エステル等の界面活性剤を添加しても構わな
い。
ブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金属塩共重
合体(B)との重量組成比は(A)/(B)の重量比で
90/10〜20/80の範囲であり、とくには70/30〜40/60
の範囲であることが好ましい。ポリビニルアルコール系
樹脂の重量組成比が90/10より多くなると吸水層として
の機能を十分発揮できない。また、この重量組成比が20
/80より小さくなるとポリビニルアルコール系樹脂とイ
ソブチレン−マイレン酸−マイレン酸アルカリ金属塩共
重合体組成物がポリビニルアルコール系樹脂層から剥離
してしまう。この吸水層中には、必要に応じてアセチレ
ンアルコール、アセチレングリコールあるいはグレセリ
ン脂防酸エステル等の界面活性剤を添加しても構わな
い。
【0014】形成する吸水層4の厚みは 1.0〜15μmが
用いられ、さらには3〜10μmが好ましい。これが 1.0
μm未満では吸水量が小さいため高湿度あるいは温度差
が著しく異なる環境下での防曇効果が乏しくなり易く、
15μm越えると吸水後吸水層の体積増加が著しくなり易
い。ポリビニルアルコール系樹脂層3上への吸水層4の
形成方法は、一般にはキャスティング方式で行うのが好
ましい。具体的にはポリビニルアルコール系樹脂とイソ
ブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金属塩共重
合体の混合溶液を所定の濃度に溶解した後、ポリビニル
アルコール系樹脂層上にワイヤーバー、ダイコーター、
リバースコーターあるいはナイフコーター等を用いて塗
工した後、乾燥することにより得られる。また乾燥後、
必要に応じて熱処理を施しても構わない。
用いられ、さらには3〜10μmが好ましい。これが 1.0
μm未満では吸水量が小さいため高湿度あるいは温度差
が著しく異なる環境下での防曇効果が乏しくなり易く、
15μm越えると吸水後吸水層の体積増加が著しくなり易
い。ポリビニルアルコール系樹脂層3上への吸水層4の
形成方法は、一般にはキャスティング方式で行うのが好
ましい。具体的にはポリビニルアルコール系樹脂とイソ
ブチレン−マレイン酸−マレイン酸アルカリ金属塩共重
合体の混合溶液を所定の濃度に溶解した後、ポリビニル
アルコール系樹脂層上にワイヤーバー、ダイコーター、
リバースコーターあるいはナイフコーター等を用いて塗
工した後、乾燥することにより得られる。また乾燥後、
必要に応じて熱処理を施しても構わない。
【0015】本発明の結露防止性積層フィルムには、必
要に応じて支持基体層1の他方の面に粘着剤層5を設け
ることができるが、この粘着剤層5には、一般に使用さ
れている粘着剤、例えば、ポリアクリル酸エステル系粘
着剤やシリコーン系粘着剤が使用される。ただしこの場
合、粘着剤自体の透明性や耐水白化性等が良好なものを
選択的に使用することが好ましい。
要に応じて支持基体層1の他方の面に粘着剤層5を設け
ることができるが、この粘着剤層5には、一般に使用さ
れている粘着剤、例えば、ポリアクリル酸エステル系粘
着剤やシリコーン系粘着剤が使用される。ただしこの場
合、粘着剤自体の透明性や耐水白化性等が良好なものを
選択的に使用することが好ましい。
【0016】
【作用】本発明による結露防止性積層フィルムはポリビ
ニルアルコール系樹脂フィルム上にポリビニルアルコー
ル系樹脂とイソブチレン−マレイン酸−マレイン酸アル
カリ金属塩共重合体組成物からなる層を形成することに
より、ポリビニルアルコール系樹脂層の吸水量を増加さ
せ表面の結露を防止する作用を有する。また、本発明に
用いられる支持基体層は、上記吸水層とポリビニルアル
コール系樹脂層が吸湿、吸水や排湿、排水を行うときの
寸法変化を抑えるための支持体として作用し、これら
は、吸水層とポリビニルアルコール系樹脂層の吸排湿に
よる伸縮力よりも大きな剪断強度を有する接着剤等の接
着力と組み合わさって有効に作用する。
ニルアルコール系樹脂フィルム上にポリビニルアルコー
ル系樹脂とイソブチレン−マレイン酸−マレイン酸アル
カリ金属塩共重合体組成物からなる層を形成することに
より、ポリビニルアルコール系樹脂層の吸水量を増加さ
せ表面の結露を防止する作用を有する。また、本発明に
用いられる支持基体層は、上記吸水層とポリビニルアル
コール系樹脂層が吸湿、吸水や排湿、排水を行うときの
寸法変化を抑えるための支持体として作用し、これら
は、吸水層とポリビニルアルコール系樹脂層の吸排湿に
よる伸縮力よりも大きな剪断強度を有する接着剤等の接
着力と組み合わさって有効に作用する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の具体的実施態様を実施例およ
び比較例により説明するが、本発明はこれらの記載に限
定されるものではない。 (実施例1〜7、比較例1〜10) ・吸水層形成剤の調製:吸水層形成剤は表1および表2
(吸水層の欄)に示す種類と量割合の成分を用いて、ま
ずイオン交換水中にポリビニルアルコール樹脂(表中、
PVA樹脂とする)を添加し、80℃以上に加熱し溶解し
た。溶解後、ポリビニルアルコール樹脂水溶液の濃度を
10重量%に調節した。イソブチレン−マレイン酸−マレ
イン酸ナトリウム金属塩共重合体溶液(クラレ社製、表
中、共重合体とする)を濃度10重量%に調節した後、上
記ポリビニルアルコール樹脂水溶液に添加して作製し
た。なお、表中の防曇剤には2,4,7,9−テトラメ
チル−5−デシン−4,7−ジオールを使用した。
び比較例により説明するが、本発明はこれらの記載に限
定されるものではない。 (実施例1〜7、比較例1〜10) ・吸水層形成剤の調製:吸水層形成剤は表1および表2
(吸水層の欄)に示す種類と量割合の成分を用いて、ま
ずイオン交換水中にポリビニルアルコール樹脂(表中、
PVA樹脂とする)を添加し、80℃以上に加熱し溶解し
た。溶解後、ポリビニルアルコール樹脂水溶液の濃度を
10重量%に調節した。イソブチレン−マレイン酸−マレ
イン酸ナトリウム金属塩共重合体溶液(クラレ社製、表
中、共重合体とする)を濃度10重量%に調節した後、上
記ポリビニルアルコール樹脂水溶液に添加して作製し
た。なお、表中の防曇剤には2,4,7,9−テトラメ
チル−5−デシン−4,7−ジオールを使用した。
【0018】・積層フィルムの作製:支持基体層として
の厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
に、T−ダイ溶融押出成形法により作製した表1および
表2(PVA樹脂層の欄)に示すケン化度と重合度を有
するポリビニルアルコール樹脂フィルム(厚み50μm)
を、ウレタン系2液反応性接着剤(両末端に水酸基を有
するポリエステル、イソシアネート反応型接着剤、主
剤:武田薬品工業社製、タケラックA310 、硬化剤:同
社製、タケネートA10)を用いてワイヤーバーにより、
接着剤固形分の厚さが5μmになるように塗布乾燥後、
ニップ部にて60℃のロールでニップし積層フィルムを得
た。この積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂側
に、上記吸水層形成剤の10重量%水溶液を、ワイヤーバ
ーにて乾燥後の塗工膜の厚みが表1および表2の値とな
るように塗工した。塗工後 100℃で10分間乾燥し、さら
に 170℃で30秒間熱処理を行って図1に示す積層フィル
ムを得た。
の厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
に、T−ダイ溶融押出成形法により作製した表1および
表2(PVA樹脂層の欄)に示すケン化度と重合度を有
するポリビニルアルコール樹脂フィルム(厚み50μm)
を、ウレタン系2液反応性接着剤(両末端に水酸基を有
するポリエステル、イソシアネート反応型接着剤、主
剤:武田薬品工業社製、タケラックA310 、硬化剤:同
社製、タケネートA10)を用いてワイヤーバーにより、
接着剤固形分の厚さが5μmになるように塗布乾燥後、
ニップ部にて60℃のロールでニップし積層フィルムを得
た。この積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂側
に、上記吸水層形成剤の10重量%水溶液を、ワイヤーバ
ーにて乾燥後の塗工膜の厚みが表1および表2の値とな
るように塗工した。塗工後 100℃で10分間乾燥し、さら
に 170℃で30秒間熱処理を行って図1に示す積層フィル
ムを得た。
【0019】得られた積層フィルムの内、状態の良かっ
た実施例1〜7、比較例1〜2および8〜10の各試料に
ついて下記の方法で吸水量の測定を行い、その結果を表
1および表2に併記した。また、この積層フィルムのポ
リエチレンテレフタレート側に、ポリアクリル酸エステ
ル系粘着剤(主剤:綜研化学社製、SKダイン1811L、硬
化剤:同社製、D-90)を固形分の厚さが20μmとなるよ
うにワイヤーバーで塗布して乾燥後、ニップロールを用
いて離型紙(厚さ20μm)を貼り合わせて図2に示す積
層物を得た。この積層物を10cm角に切り出して厚み5mm
のアクリル樹脂製板に貼り付け、下記の方法で高温結露
防止性、低温結露防止性および結露防止効果の持続性の
各試験を行い、その結果を表1および表2に併記した。
た実施例1〜7、比較例1〜2および8〜10の各試料に
ついて下記の方法で吸水量の測定を行い、その結果を表
1および表2に併記した。また、この積層フィルムのポ
リエチレンテレフタレート側に、ポリアクリル酸エステ
ル系粘着剤(主剤:綜研化学社製、SKダイン1811L、硬
化剤:同社製、D-90)を固形分の厚さが20μmとなるよ
うにワイヤーバーで塗布して乾燥後、ニップロールを用
いて離型紙(厚さ20μm)を貼り合わせて図2に示す積
層物を得た。この積層物を10cm角に切り出して厚み5mm
のアクリル樹脂製板に貼り付け、下記の方法で高温結露
防止性、低温結露防止性および結露防止効果の持続性の
各試験を行い、その結果を表1および表2に併記した。
【0020】・吸水量の測定: 得られた積層フィルムを5cm角に切り出し、23℃のイオ
ン交換水中に1時間浸漬した後、取り出し、濾紙にて両
表面の付着水を十分に除去し、フィルムの重量W1 を求
めた。ついで、このフィルムを 110℃で3時間乾燥し
て、乾燥状態のフィルムの重量W2 を求めた。これらの
値から次式により吸水量を求めた。 吸水量=(W1 −W2 )/ 2.5×10 -3 ・高温結露防止性試験: 外部温度20℃の恒温室中で 300mlのビーカー中に40℃に
保持したイオン交換水を 200ml入れ、ビーカーの上部に
積層物の吸水層側を内部に向けて設置し、15分後に内面
の結露状態を目視により観察し、下記の基準で評価し
た。観察後、20℃のイオン交換水中に8日間浸漬し、一
昼夜自然乾燥した後、再び上記と同じ試験を行った。な
お、◎、○については結露防止効果有りとした。 ◎:フィルム表面には、全く水滴が付着していない。 ○:直径10mmを越える水滴がフィルムの一部に付着して
いた。 △:直径2〜10mmの水滴がフィルムの全面に付着してい
た。 ×:直径2mm未満の水滴がフィルムの全面に多数付着し
ていた。
ン交換水中に1時間浸漬した後、取り出し、濾紙にて両
表面の付着水を十分に除去し、フィルムの重量W1 を求
めた。ついで、このフィルムを 110℃で3時間乾燥し
て、乾燥状態のフィルムの重量W2 を求めた。これらの
値から次式により吸水量を求めた。 吸水量=(W1 −W2 )/ 2.5×10 -3 ・高温結露防止性試験: 外部温度20℃の恒温室中で 300mlのビーカー中に40℃に
保持したイオン交換水を 200ml入れ、ビーカーの上部に
積層物の吸水層側を内部に向けて設置し、15分後に内面
の結露状態を目視により観察し、下記の基準で評価し
た。観察後、20℃のイオン交換水中に8日間浸漬し、一
昼夜自然乾燥した後、再び上記と同じ試験を行った。な
お、◎、○については結露防止効果有りとした。 ◎:フィルム表面には、全く水滴が付着していない。 ○:直径10mmを越える水滴がフィルムの一部に付着して
いた。 △:直径2〜10mmの水滴がフィルムの全面に付着してい
た。 ×:直径2mm未満の水滴がフィルムの全面に多数付着し
ていた。
【0021】低温結露防止性試験:上記試験におけるイ
オン交換水の温度を20℃にしたほかは、同様にして結露
状態を目視により観察し、上記と同じ基準で評価した。
観察後、20℃のイオン交換水中に8日間浸漬し、一昼夜
自然乾燥した後、再び上記と同じ試験を行った。なお、
◎、○については結露防止効果有りとした。 持続性試験:富士テスター社製の建具結露防止性能試験
により効果の確認を行った。防曇性試験の条件は恒温恒
湿室側の温度25℃、湿度70%、恒温室側の温度5℃の条
件下で行った。放置2週間後の結露防止性効果を目視に
より観察し、上記と同じ基準で評価した。なお、◎、○
について結露防止効果有りとした。さらにシワの発生の
有無も観察した。
オン交換水の温度を20℃にしたほかは、同様にして結露
状態を目視により観察し、上記と同じ基準で評価した。
観察後、20℃のイオン交換水中に8日間浸漬し、一昼夜
自然乾燥した後、再び上記と同じ試験を行った。なお、
◎、○については結露防止効果有りとした。 持続性試験:富士テスター社製の建具結露防止性能試験
により効果の確認を行った。防曇性試験の条件は恒温恒
湿室側の温度25℃、湿度70%、恒温室側の温度5℃の条
件下で行った。放置2週間後の結露防止性効果を目視に
より観察し、上記と同じ基準で評価した。なお、◎、○
について結露防止効果有りとした。さらにシワの発生の
有無も観察した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】(実施例1〜7)本発明で得られた各積層
フィルムでは、高温下および低温下においてもフィルム
内面の結露は認められなかった。8日間イオン交換水中
に浸漬した後も効果は失われていなかった。また結露防
止効果の持続性も確認できた。さらにフィルム表面にシ
ワの発生も認められなかった。 (比較例1)結露防止性効果はフィルム表面に直径2mm
未満の水滴が多数付着しており全く認められなかった。
しかし、フィルム表面にはシワの発生は認めらなかっ
た。 (比較例2)高温結露防止性および低温結露防止性とも
初期効果は認められたが、浸漬後の効果はフィルム全表
面に2mm未満の水滴が多数付着しており消失していた。
また効果の持続性も認められなかった。しかしフィルム
表面にはシワの発生は認めらなかった。 (比較例3)塗工、乾燥後、吸水層が白濁し透明なフィ
ルムは得られなかった。 (比較例4)吸水層形成剤の粘度が著しく高く、表面の
平滑なフィルム得られなかった。このため、吸水層形成
剤水溶液の濃度をさらに1重量%希釈したが、表面の平
滑なフィルムは得られなかった。
フィルムでは、高温下および低温下においてもフィルム
内面の結露は認められなかった。8日間イオン交換水中
に浸漬した後も効果は失われていなかった。また結露防
止効果の持続性も確認できた。さらにフィルム表面にシ
ワの発生も認められなかった。 (比較例1)結露防止性効果はフィルム表面に直径2mm
未満の水滴が多数付着しており全く認められなかった。
しかし、フィルム表面にはシワの発生は認めらなかっ
た。 (比較例2)高温結露防止性および低温結露防止性とも
初期効果は認められたが、浸漬後の効果はフィルム全表
面に2mm未満の水滴が多数付着しており消失していた。
また効果の持続性も認められなかった。しかしフィルム
表面にはシワの発生は認めらなかった。 (比較例3)塗工、乾燥後、吸水層が白濁し透明なフィ
ルムは得られなかった。 (比較例4)吸水層形成剤の粘度が著しく高く、表面の
平滑なフィルム得られなかった。このため、吸水層形成
剤水溶液の濃度をさらに1重量%希釈したが、表面の平
滑なフィルムは得られなかった。
【0025】(比較例5)塗工、乾燥後、フィルムの吸
水層にクラックが発生した。 (比較例6)得られた積層フィルムは不透明で表面の平
滑性も劣っていた。 (比較例7)塗工、乾燥後、吸水層がポリビニルアルコ
ール樹脂層から剥離した。 (比較例8)高温時および低温時の結露防止性効果はフ
ィルム表面に直径2〜5mmの水滴が多数付着しており認
められなかった。また持続性効果も認められなかった。
しかしフィルム表面にシワの発生は認められなかった。 (比較例9)結露防止性効果はフィルム表面に直径2〜
5mmの水滴が多数付着し認められなかった。フィルム表
面にシワの発生は認められなかった。 (比較例10)高温および低温での初期結露防止効果は優
れていたが、イオン交換水に浸漬中にポリビニルアルコ
ール系樹脂層が溶解し、支持基体層から剥離してしまっ
た。また持続性効果を測定中にポリビニルアルコール系
樹脂層が膨潤し、フィルム表面にシワの発生が認められ
た。
水層にクラックが発生した。 (比較例6)得られた積層フィルムは不透明で表面の平
滑性も劣っていた。 (比較例7)塗工、乾燥後、吸水層がポリビニルアルコ
ール樹脂層から剥離した。 (比較例8)高温時および低温時の結露防止性効果はフ
ィルム表面に直径2〜5mmの水滴が多数付着しており認
められなかった。また持続性効果も認められなかった。
しかしフィルム表面にシワの発生は認められなかった。 (比較例9)結露防止性効果はフィルム表面に直径2〜
5mmの水滴が多数付着し認められなかった。フィルム表
面にシワの発生は認められなかった。 (比較例10)高温および低温での初期結露防止効果は優
れていたが、イオン交換水に浸漬中にポリビニルアルコ
ール系樹脂層が溶解し、支持基体層から剥離してしまっ
た。また持続性効果を測定中にポリビニルアルコール系
樹脂層が膨潤し、フィルム表面にシワの発生が認められ
た。
【0026】(実施例8)実施例1で得られた積層フィ
ルムについて、持続性試験前後のポリビニルアルコール
系樹脂層とポリエチレンテレフタレート層間の接着剤の
強度を、90°および 180°剥離強度で求め、その結果を
表3に示した。 ・測定条件:引張速度 300mm/分、サイズ15mm×50mm これより、ポリビニルアルコール系樹脂層とポリエチレ
ンテレフタレート層間の接着強度は、結露試験試験機内
に2週間放置しても全く衰えていなかった。
ルムについて、持続性試験前後のポリビニルアルコール
系樹脂層とポリエチレンテレフタレート層間の接着剤の
強度を、90°および 180°剥離強度で求め、その結果を
表3に示した。 ・測定条件:引張速度 300mm/分、サイズ15mm×50mm これより、ポリビニルアルコール系樹脂層とポリエチレ
ンテレフタレート層間の接着強度は、結露試験試験機内
に2週間放置しても全く衰えていなかった。
【表3】
【0027】
【発明の効果】本発明による結露防止性積層フィルムは
ポリビニルアルコール系樹脂フィルム上にポリビニルア
ルコール系樹脂とイソブチレン−マレイン酸−マレイン
酸アルカリ金属塩混合物からなる吸水層を形成したこと
により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面の吸
水力を増加させて表面の結露を防止することができる。
また、吸水層とポリビニルアルコール系樹脂層を支持基
体層上に接着させ、それを吸水層が表面層となるように
ガラスなどに粘着施工することにより、吸湿、吸水や排
湿、排水によるポリビニルアルコール系樹脂の膨潤、伸
縮から引き起こされるシワを完全に防止することができ
る。本発明の結露防止性積層フィルムに粘着剤層を設け
たものでは容易にガラスなどの表面に貼付したり剥した
りできて利便性に優れている。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルム上にポリビニルア
ルコール系樹脂とイソブチレン−マレイン酸−マレイン
酸アルカリ金属塩混合物からなる吸水層を形成したこと
により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面の吸
水力を増加させて表面の結露を防止することができる。
また、吸水層とポリビニルアルコール系樹脂層を支持基
体層上に接着させ、それを吸水層が表面層となるように
ガラスなどに粘着施工することにより、吸湿、吸水や排
湿、排水によるポリビニルアルコール系樹脂の膨潤、伸
縮から引き起こされるシワを完全に防止することができ
る。本発明の結露防止性積層フィルムに粘着剤層を設け
たものでは容易にガラスなどの表面に貼付したり剥した
りできて利便性に優れている。
【図1】実施例1〜7および比較例1〜10で得られた積
層フィルムの縦断面図である。
層フィルムの縦断面図である。
【図2】実施例1〜7および比較例1、2、8〜10で得
られた積層物の縦断面図である。
られた積層物の縦断面図である。
1:支持基体層、 2:接着剤層、 3:ポリビニルア
ルコール系樹脂層、4:吸水層、 5:粘着剤層、
6:離型紙。
ルコール系樹脂層、4:吸水層、 5:粘着剤層、
6:離型紙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 C08L 23/26
Claims (1)
- 【請求項1】水不溶性で全光線透過率が90%以上の支持
基体層に、接着剤層を介してポリビニルアルコール系樹
脂層を積層し、その表面にケン化度95モル%以上、重合
度 500〜2500のポリビニルアルコール系樹脂(A)と、
共重合体中のカルボキシル基の25〜50%がアルカリ金属
塩の形であるイソブチレン−マレイン酸−マレイン酸ア
ルカリ金属塩共重合体(B)とからなる、重量比(A)
/(B)=90/10〜20/80の組成物から得られる吸水層
を設けたことを特徴とする結露防止性積層フィルムある
いはシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20654494A JP2698550B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 結露防止性積層フィルムあるいはシート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20654494A JP2698550B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 結露防止性積層フィルムあるいはシート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0866991A JPH0866991A (ja) | 1996-03-12 |
JP2698550B2 true JP2698550B2 (ja) | 1998-01-19 |
Family
ID=16525144
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20654494A Expired - Lifetime JP2698550B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 結露防止性積層フィルムあるいはシート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2698550B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4797300B2 (ja) * | 2000-09-04 | 2011-10-19 | 東レ株式会社 | 液体展開用シート |
JP2010253392A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Daikin Ind Ltd | 吸着素子 |
JP6887225B2 (ja) * | 2015-07-10 | 2021-06-16 | 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 | 結露抑制シート |
FR3122481B1 (fr) * | 2021-04-30 | 2023-06-30 | Valeo Vision | Dispositif lumineux pour véhicule automobile |
-
1994
- 1994-08-31 JP JP20654494A patent/JP2698550B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0866991A (ja) | 1996-03-12 |
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