JP2698513B2 - 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
用いられる方向性電磁鋼板、特に高磁束密度方向性電磁
鋼板の製造方法に関するものである。
密度B8 が1.88T以上のものである。周知の如く、
方向性電磁鋼板に必要な基本特性は鉄損が少ないこと
と、磁束密度が高いことである。この基本特性はゴス方
位、すなわち(110)〈001〉方位粒を如何に安定
して製品に形成させるかに係っている。製造の方法とし
ては所謂、2次再結晶と呼ばれる異常現象を利用する。
る適正な、鋼中成分および析出物の分散状態は極めて狭
いのが実態である。このため従来、極力工程条件を一定
ならしめるべく努力してきた。しかしながら、今日、自
動制御装置の高度な発達もあり、前工程の条件変化に対
応して後工程の条件を自動でセットすることも容易にな
ったこともあり、全ての製造工程で条件を固定すること
に意味がなくなって来つつある。
ちで、成分のSolAl量は特に適正範囲が狭く、数1
0ppm オーダの変化が最終品質に大きく影響を与えるた
め、従来の磁気特性の不安定性の最大の要因であった。
ところで、特開昭57−198214号公報は析出焼鈍
のヒートサイクルを二段階とすることにより、上記So
lAlなどの変動に対処したものである。なるほどこの
方法によりAlN微細析出物の量が制御されて安定し磁
気特性が向上した。
がSolAl量で変化し、SolAlが少なすぎる時と
多すぎる時は鉄損と磁束密度が不満足の結果となり、工
業製品として著しい歩留りの低下を来していた。従っ
て、この成分変化によらない析出焼鈍の一定操炉には限
界があった。
み、SolAl量に応じて析出焼鈍の条件を制御するこ
とにより、高磁束密度方向性電磁鋼板の磁気特性を高位
に安定化する技術を提供する。
である。 重量%でC:0.03〜0.10%、Si:2〜4
%、Mn:0.03〜0.12%、S+Se:0.01
〜0.04%、SolAl:0.015〜0.04%、
N:0.003〜0.01%、Sn+Sb:0.01〜
0.3%、Cu≦0.3%、Mo≦0.2%を含むスラ
ブを熱延後、1回以上の冷延を挟む1回以上の析出焼鈍
を行い、脱炭焼鈍に続いて、仕上焼鈍を実施する方法で
あって、75〜95%の冷延率で実行される最終冷延の
前の析出焼鈍は、SolAl量に応じて下記式(1),
(2)を満足する温度範囲とし60秒以内均熱後、1〜
20℃/secで880〜980℃まで冷却し、均熱時間を
10〜200秒とり、次いで室温まで10℃/sec以上の
冷却速度で急冷することを特徴とする高磁束密度方向性
電磁鋼板の製造方法。 1000℃≦x℃≦1200℃ …(1) −5714×(SolAl)量+1186≦x℃≦−7667×(SolAl)量+1392 …(2)
i:2〜4%、Mn:0.03〜0.12%、S+S
e:0.01〜0.04%、SolAl:0.015〜
0.04%、N:0.003〜0.01%、Sn+S
b:0.01〜0.3%、Cu≦0.3%、Mo≦0.
2%を含むスラブを熱延後、1回以上の冷延を挟む1回
以上の析出焼鈍を行い、脱炭焼鈍に続いて、仕上焼鈍を
実施する方法であって、75〜95%の冷延率で実行さ
れる最終冷延の前の析出焼鈍は、まず1000〜120
0℃で60秒以内均熱後、1〜20℃/secで880〜9
80℃まで冷却し、均熱時間を10〜200秒とり、次
いで室温まで、SolAl量に応じて下記式(3),
(4)を満足する冷却速度範囲とすることを特徴とする
高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法。 10℃/sec≦y℃/sec≦200 ℃/sec …(3) -20.07×(SolAl)量+1.602≦log y≦-36.62×(SolAl)量+2.942 …(4)
第1にSolAl量の大小によるAlNサイズは析出焼
鈍の到達ピーク温度を制御することによって一定化させ
得ること。第2に析出焼鈍の急冷での冷速を制御するこ
とによってもSolAl変動に対する2次再結晶の安定
化ができること。第3にこれらの方法は工業的な手段と
して容易に実施可能であることである。
量を0.03〜0.10%に限定したのは、この範囲内
で熱延と析出焼鈍工程に必要なオーステナイト量が確保
されて二次再結晶が安定となるためである。Si量を2
〜4%に限定したのは、2%未満では仕上焼鈍時にα−
γ変態が生じ結晶方位変化により、二次再結晶不良とな
り、また4%超では製品の脆性が問題となるためであ
る。
Se量の一方または両者合計量を0.01〜0.03%
に限定したのはこの範囲以外ではMn(S,Se)の
量、サイズが不適切となり、二次再結晶が不安定となる
ためである。
に、N量を0.003〜0.01%に限定したのは、こ
の範囲以外では本発明を採用してもAlN量とサイズが
不適切で、二次再結晶が不安定となるためである。
0.01〜0.3%に限定したのは、両者とも2次再結
晶を強化・補助する元素であり、0.01%未満ではそ
の効果がなくまた添加コストの問題から0.3%以下と
する。
の問題からCu量を0.3%以下とする。Moは、Sb
やSeを添加した場合の熱延での粒界割れを抑制し、製
品でのスリバー状ヘゲ疵を防止する働きがあるが、添加
コストの問題からMo量を0.2%以下とする。
i,B,Co,Bi,Te,Ti,Vなどを一種または
複数添加しても本発明の効果を損なうものでないが、経
済的理由から量はそれぞれ0.3%以下が好ましい。
延板を得る。この後、図1に示す(a),(b)または
(c)のいずれの工程も採用できるが、(c)の2回の
析出焼鈍では以下のSolAl量に応じた制御析出焼鈍
を、熱延後または冷延後の一方または両者の析出焼鈍に
適用することが可能である。
出焼鈍への効果がより大きい。なお、3回以上の冷延を
含むプロセスにも本発明の析出焼鈍条件を採用できる。
以下、析出焼鈍の条件限定理由を実験例で述べる。
3%、Mn:0.8%、S:0.018%、Se:0.
005%、SolAl:0.010〜0.05%、N:
0.0073%、Mo:0.01%、Sb:0.012
%、Cu:0.12%の熱延板である。まず、析出焼鈍
は2分で900〜1300℃に到達させ3sec 均熱後、
7℃/secで炉冷して920℃とし均熱時間を20sec と
し、スプレー水で40℃/secの冷却速度で室温まで冷や
した。炉の雰囲気ガスはN2 を用いた。
とした。この時、加工熱で鋼板が200℃になるように
した。次に、脱脂後、840℃で脱炭焼鈍を実施してか
ら1200℃で仕上焼鈍を行った。この試験結果を図2
に示した。
る磁束密度が得られたが、その他の領域では高磁束密度
方向性電磁鋼板にはならない。この良好域を式で表すと
下記、(1)と(2)式になる。
あるのは、AlNの析出を適正なサイズにするためであ
る。
例を示す。用いた供試材は上記と同じ熱延板で、まず析
出焼鈍は2分で室温から昇温し1100℃に到達させ1
sec均熱後、5℃/secで炉冷して900℃とし均熱時間
を50sec とし、スプレー水の水量調節で5〜300℃
/secの室温までの平均冷却速度で冷やした。炉の雰囲気
ガスはN2 を用いた。
とした。この時、加工熱で鋼板が200℃になるように
した。次に、脱脂後、840℃で脱炭焼鈍を実施してか
ら1200℃で仕上焼鈍を行った。得られた鋼板の磁束
密度B8 を測定して、図2の凡例と同じように区分して
図3に示した。
る磁束密度が得られたが、その他の領域では高磁束密度
方向性電磁鋼板にはならない。この良好域を式で表すと
下記、(3)と(4)式になる。
のは、AlNの微細析出物と固溶C,N量が冷延時のす
べり変形での結晶回転挙動に影響を与えるために起きる
現象であろうと推定している。なお、供試材として本発
明範囲の各種成分系でも同様の実験を実施したが、図
2,3と同じ結果が得られた。
振った実験も行ったが、B8 が1.88T以上を確保す
るには、いずれか一方をSolAl量に対応して制御す
れば良い。また、両者を同時に本発明範囲内に制御すれ
ば更に好ましい磁気特性を得ることができる。
出焼鈍の条件を変化させ磁気特性を安定化させる方法と
して特開昭60−7689号公報が知られている。この
方法は析出焼鈍における均熱温度または水冷開始温度を
制御するものであるが、一段の熱処理サイクルである点
で得られる磁気特性に限界があった。
クルの温度と急冷開始温度なので本発明と異なる。な
お、本発明での二段目均熱温度や急冷開始温度を制御し
てもなんら効果は認められなかったし、N量についても
得られた磁気特性との相関関係が明確でなかった。
から1200℃としたのは、図2に示す通りこの範囲で
磁束密度が満足されるからで、その理由は1000℃未
満ではAlNの析出が不十分で、1200℃を超えると
AlNが粗大化するからである。また、この時の均熱時
間を60秒以内としたのは、60秒を超えるとAlNが
粗大化して磁気特性が劣化するからである。1000〜
1200℃の温度から880〜980℃の温度までの冷
却速度は0.5〜20℃/sec程度が好ましいが特に限定
するものではない。
定するのは、下限を切るとAlNの析出量が少なすぎ
て、また上限を超えるとAlNが粗大化して磁気特性が
劣化するためである。また均熱時間を10〜300秒に
限定するのは、10秒未満ではAlNの析出量が少なす
ぎて磁気特性が劣化するからで、300秒を超えても析
出量は殆ど増えないので経済的理由から上限とする。
図3に示すように磁束密度が劣化するために限定する。
実施形態の例を示す。
しないが特公昭54−13866号公報に示す如く温間
圧延またはレーバース圧延が磁束密度向上の面から好ま
しい。また、析出焼鈍後の冷延での圧下率は75〜95
%である必要がある。75%未満では2次再結晶後のゴ
ス方位集積度が低下するため磁束密度が劣化し、また9
5%超では2次再結晶不良が発生するため制限する。脱
炭焼鈍、仕上焼鈍、絶縁皮膜焼き付け焼鈍並びに形状矯
正焼鈍は通常の方法で行う。
330℃に加熱し熱延した。得られた熱延板を酸洗した
成分は以下の通りである。C:0.08%、Si:3.
5%、Mn:0.77%、S:0.028%、SolA
l:0.01〜0.05%、N:0.008%、Cu:
0.1%、Sn:0.1%。これをN2 雰囲気中で10
00℃で1分間の均熱焼鈍してから1.4mmまで冷延し
た。
昇温して表1に示す到達温度に5秒均熱後、N2 雰囲気
中で5℃/secの冷速で910℃まで徐冷し20秒均熱し
てから、表1の冷速で水冷した。次に、冷延して0.2
0mmとした。その後、840℃で脱炭焼鈍を行ってから
MgOを塗布、焼き付けた。仕上焼鈍は890℃で30
時間均熱後、1180℃で20時間均熱焼鈍した。余剰
のMgOを水洗除去してから絶縁皮膜を両面で5g/m
2 焼き付けて磁気特性を測定した。
もので、B8 ≧1.88Tの優れた磁束密度を有する方
向性電磁鋼板が得られた。
動しても析出焼鈍の制御により、極めて高位に安定した
磁気特性を得ることができる。
得られる製品の磁束密度の関係を示す図表である。
却温度、得られる製品の磁束密度の関係を示す。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で C :0.03〜0.10%、 Si:2〜4%、 Mn:0.03〜0.12%、 S+Se:0.01〜0.04%、 SolAl:0.015〜0.04%、 N :0.003〜0.01%、 Sn+Sb:0.01〜0.3%、 Cu≦0.3%、 Mo≦0.2% を含むスラブを熱延後、1回以上の冷延を挟む1回以上
の析出焼鈍を行い、脱炭焼鈍に続いて、仕上焼鈍を実施
する方法であって、75〜95%の冷延率で実行される
最終冷延の前の析出焼鈍は、SolAl量に応じて下記
式(1),(2)を満足する温度範囲とし60秒以内均
熱後、1〜20℃/secで880〜980℃まで冷却し、
均熱時間を10〜200秒とり、次いで室温まで10〜
200℃/sec以上の冷却速度で急冷することを特徴とす
る高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法。 1000℃≦x℃≦1200℃ …(1) −5714×(SolAl)量+1186≦x℃≦−7667×(SolAl)量+1392 …(2) - 【請求項2】 75〜95%の冷延率で実行される最終
冷延の前の析出焼鈍は、まず1000〜1200℃で6
0秒以内均熱後、1〜20℃/secで880〜980℃ま
で冷却し、均熱時間を10〜200秒とり、次いでSo
lAl量に応じて下記式(3),(4)を満足する冷却
速度範囲で冷やすことを特徴とする請求項1記載の高磁
束密度方向性電磁鋼板の製造方法。 10℃/sec≦y℃/sec≦ 200℃/sec …(3) -20.07×(SolAl)量+1.602≦log y≦-36.62×(SolAl)量+2.942 …(4)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4266097A JP2698513B2 (ja) | 1992-10-05 | 1992-10-05 | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4266097A JP2698513B2 (ja) | 1992-10-05 | 1992-10-05 | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06116644A JPH06116644A (ja) | 1994-04-26 |
JP2698513B2 true JP2698513B2 (ja) | 1998-01-19 |
Family
ID=17426281
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4266097A Expired - Lifetime JP2698513B2 (ja) | 1992-10-05 | 1992-10-05 | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2698513B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5948934B2 (ja) * | 1981-05-30 | 1984-11-29 | 新日本製鐵株式会社 | 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 |
JPH02101120A (ja) * | 1988-10-06 | 1990-04-12 | Nippon Steel Corp | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 |
-
1992
- 1992-10-05 JP JP4266097A patent/JP2698513B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06116644A (ja) | 1994-04-26 |
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