JP2697186B2 - チェーンカッタ - Google Patents

チェーンカッタ

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JP2697186B2
JP2697186B2 JP1250157A JP25015789A JP2697186B2 JP 2697186 B2 JP2697186 B2 JP 2697186B2 JP 1250157 A JP1250157 A JP 1250157A JP 25015789 A JP25015789 A JP 25015789A JP 2697186 B2 JP2697186 B2 JP 2697186B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、石材や木材等の大形被削材の切断を行なう
ためのチェーンカッタに関する。
「従来の技術」 例えば、大形の石材を切断する場合、従来では一般
に、切断ブレード、バンドソー、ワイヤソー等が使用さ
れている。
前記切断ブレードは、圧延加工により得られた円板状
台金の外周に、ダイヤモンド砥粒をメタルボンド等で固
定した砥粒層チップを等間隔に固定してなるもので、現
在は最大で3.5mφ、台金肉厚10mmのものまで製造されて
いる。この寸法であると、切断しうる最大厚さは1.5m程
度、切断代は15mm程度となる。
一方、前記バンドソーは、厚さ1〜6mm程度の幅広で
帯状の金属薄板を無端状に溶接し、その一側縁に砥粒層
チップを等間隔で固定したもので、同一水平面に配置さ
れた一対の高速回転されるプーリ間に巻回され、これら
プーリの間の直線部により石材等を切断する。
また、前記ワイヤソーは、直径数mm〜10mm程度の太さ
の撚線ワイヤに、円筒形のダイヤモンド砥粒層チップを
等間隔で同軸に固定してなる無端状のもので、被削材に
直接巻回し、駆動装置により一定の張力をかけて高速で
走行させることにより、被削材を切断する。
「発明が解決しようとする課題」 しかし上記の切断手段は、いずれも以下のような問題
を有していた。
まず、切断ブレードは、大径化すると強度上の要求か
ら必然的に台金の肉厚を厚くせざるを得ず、それに伴っ
て砥粒層チップの厚みも増す。このため切断代が大きく
なって被削材の歩留まりが悪化するうえ、切断抵抗の増
大が原因となって刃先に振れが生じ、切断精度が低下す
る欠点を有していた。また、直径3.5mを越える台金の製
造は極めて困難であるため、前述のように切断できる被
削材の厚さに限界があった。さらに、このように大形の
切断ブレードは運搬等の取り扱いに極めて不便であるう
え、切断時の振動による騒音が凄まじいという欠点も有
していた。
一方、バンドソーは、長尺であっても台金の肉厚が小
さく、切断代が4〜8mm程度と比較的少なく歩留まりは
良好であるが、切断面に対し垂直に配置されたプーリの
間に巻回されるため切断装置が大形化し、広い設置スペ
ースが必要である。また、バンドソーはプーリに巻回し
た曲線部において繰り返し応力が働くので、使用につれ
て台金に金属疲労が生じ、破断に至るまでの寿命が短い
欠点を有していた。
ワイヤソーでは、使用される砥粒層チップの直径が大
きいため、切断ブレードやバンドソーに比して切断代が
大きいうえ、それ自体に切り込み方向を規制する作用が
ないため、他の切断手段に比して切断面の平面度や面粗
さが劣る。さらに、切断時には砥粒層チップの両端部分
ワイヤに大きな曲げ応力がかかるため、チップ破損やワ
イヤ破断に至る寿命が短い欠点を有していた。
そこで本発明者らは、上記各問題を解決しうる全く新
規な切断工具として、平板状の金属製フラップをフラッ
プと同一平面内で回動可能に連結して無端状のチェーン
体を構成し、これらフラップの一部に切断刃を固定して
なるチェーンカッタの検討を行なっている。
しかしながら、このようなチェーンカッタを製造する
上で特に問題になるのは、連結部における各フラップの
振れに起因する切断精度の低下であり、この点を解決す
ることが、この種のチェーンカッタの開発上重要な課題
であった。
「課題を解決するための手段」 本発明は上記課題を解決するためになされたものであ
り、本願発明に係るチェーンカッタは、平板状をなす多
数枚のフラップを、これらフラップと同一平面内で回動
可能かつ面一に連結して無端状のチェーン体を構成し、
少なくとも一部の前記フラップのチェーン体外周側の端
部に切断刃を設けたチェーンカッタであって、前記フラ
ップのチェーン体長手方向における一端面のチェーン体
外周側部分には、先細りの断面形状を有する係合凸部を
形成する一方、前記フラップのチェーン体長手方向にお
ける他端面のチェーン体外周側部分には、前記係合凸部
と相補的な断面形状をなす係合凹部を形成し、個々のフ
ラップの前記係合凸部は、前記チェーン体が直線状に延
びた場合には、隣接する別のフラップの前記係合凹部と
噛み合い、これにより隣接し合うフラップの厚さ中心が
合致させられるとともに、チェーン体が円弧状に曲げら
れた場合には、係合凹部と離間することを特徴としてい
る。
「作 用」 第1項のチェーンカッタは、一対のスプロケット(ま
たはプーリ)間に巻回されて回転され、スプロケットの
間の直線部の外周を被削材に当てることにより切断を行
なう。この直線部においては、隣接するフラップの係合
部が厚さ方向移動不能に嵌合するので、全てのフラップ
が一枚の剛性を有する板状に一体化され、切断に際し個
々のフラップの振れが生じず、切断刃の切り込み方向が
安定して切断面の面粗さおよび平面度の向上が図れると
ともに、切断代の低減により被削材の歩留まりが向上で
きる。
一方、第2項のチェーンカッタは、被削材の外周に巻
回され、一定張力をかけつつ回転されて切断を行なう。
この場合、被削材が角張っていると、切断開始時には被
削材の角に当たる部分でチェーンカッタが最小曲率半径
で屈曲し、この屈曲部において切断刃が被削材への切り
込みを開始するため、切断刃に多大な力が加わる。
しかしこのチェーンカッタでは、前記屈曲部で各フラ
ップの係合部が厚さ方向移動不能に嵌合し、各フラップ
が一枚の剛性を有する板状に連結されるため、切り込み
に際し個々のフラップの振れが生じず、切り込み方向が
安定して切断面の面粗さおよび平面度の向上が図れると
ともに、切断代の低減により被削材の歩留まりが向上で
きる。
また、上記いずれのチェーンカッタにおいても、多数
の平板状フラップを同一平面内で回動可能に連結して無
端状チェーン体を構成しているので、比較的肉厚の薄い
フラップで十分な抗張力を得ることができ、切断刃の厚
さが小さくて済み、被削材の切断代を低減して歩留まり
の向上が図れる。
また、各フラップは回動可能に連結されており、チェ
ーンカッタの曲線部においても応力疲労が生じず、その
分大きな張力をかけて使用可能であるから、従来の切断
手段よりも切り込み量を大きく設定でき、切断効率が高
められる。
また、フラップの連結個数を増減するだけでチェーン
の長さを自在に伸縮できるため、切断可能な被削材の寸
法が限定されないうえ、個々のフラップは小形かつ同一
形状で、量産によりコスト低化が図れるため、チェーン
カッタ全体としての製造コストも低減できる。
さらに、切断面と同一の平面内に配置したスプロケッ
ト(またはプーリ)間に巻回して使用されるので、装置
の設置スペースが小さくて済むという利点も有する。
さらにまた、チェーン状でしかも比較的軽量であるか
ら運搬等の取り扱いも容易であるうえ、切断で生じた振
動は各フラップの連結部で減衰するので、騒音も他の切
断工具に比して低減できる。
一方、第3項のチェーンカッタでは、切断刃セグメン
トがフラップから着脱可能とされ、磨耗したら交換可能
であるから、チェーン体の再利用により切断コストの低
下が図れる。同時に、前述のように切断刃に多大な力が
かかる直線部または屈曲部において、係合部が嵌合して
各フラップの両側面を圧迫し、弾性係止部の変位を阻止
して切断刃セグメントの係止を解除不可能にするため、
切断作業中での切断刃セグメントの脱落を完全に防止で
きる利点を有する。
「実施例」 第1図および第2図は、本発明に係わるチェーンカッ
タの第1実施例として、外周刃形チェーンカッタを示す
正面図およびII−II線視断面図である。
この外周刃型チェーンカッタは、一定厚で矩形状をな
す金属製のフラップ1を、フラップ1と同一平面内にお
いてのみ回動可能に多数連結して無端状のチェーン体2
を構成し、さらに各フラップ1の外周側の端面に砥粒セ
グメント(切断刃)4をそれぞれ固定するとともに、各
フラップ1の内周側には被駆動用凹部6A,6Bを形成した
ものである。
フラップ1は、SK鋼、ステンレス鋼、SKD鋼、SUP鋼、
SNCM鋼等から成形され、その硬度は焼き入れ処理等によ
りHRc30〜65とされている。HRc30未満では十分な強度が
得られず、HRc65より大では成形が困難になる。
フラップ1の寸法は、チェーンカッタの用途によって
異なるが、例えば通常の大形石材切断用の場合、肉厚は
2〜6mm程度、高さHは50〜150mm程度、幅Wは40〜100m
m程度とされる。この範囲の寸法であれば、大形石材カ
ッタとして十分な抗張力、切断性能を得ることができ
る。また、フラップ1の内周側端面と外周側端面は互い
に平行とされている。
次に、フラップ1の連結構造について説明する。各フ
ラップ1には、第3図に示すように、回転方向前側の側
面中央部に、フラップ1の表面と面一に円板状の連結用
凸部8が一体形成されるとともに、回転方向後方側の側
面には連結用凸部8とほぼ同寸法の円弧状をなす連結用
切欠部10が形成されている。これら連結用凸部8の中心
O1と、連結用切欠部10の中心O2とを結ぶ線は、フラップ
1外周側端面および内周側端面と平行に設定されてい
る。
連結用凸部8の外周面8Aは、第4図に示すように、全
長に亙って断面角が60〜170゜程度の凸V字形に形成さ
れている。60゜より小では形成困難で強度も低下し、17
0゜より大ではフラップ1の厚さ方向に連結が外れるお
それが生じる。
一方、連結用切欠部10の内周面は、連結前の状態にお
いて、第5図に示すようにフラップ1の厚さ中心から裏
面側の部分のみ、連結用凸部8の断面形状と相補的なテ
ーパ面10Aとされる一方、厚さ中心からフラップ表面側
に至る部分は、表面に対し垂直な面10Bとされ、その開
口径は連結用凸部8の最大径より僅かに大きい程度に設
定されている。
さらに、フラップ1の表面側には、連結用切欠部10の
周縁から0.5〜3mm程度離れた位置に、深さがフラップ肉
厚のほぼ半分に達する円弧状の加締め溝12が形成されて
いる。周縁から3mmより離れていては後述する加締め作
業が困難になり、0.5mm未満では加締めの強度が不足す
る。
そして連結用凸部8を、フラップ1の表面側から連結
用切欠部10内に嵌め入れたうえ、加締め溝12を全周に亙
って押し広げ、その内側の突条部14を内方に変形させる
ことにより、連結用切欠部10の断面は連結用突部8と相
補的な凹V字形にされ、連結用凸部8が連結用切欠部10
で回動可能に支持されている。
連結用凸部8のくびれ部分8Bの両縁は、第3図に示す
ように、応力集中を防ぐためにいずれも円弧形に形成さ
れている。また、連結用切欠部10の開口部の両側部分10
Cも、前記くびれ部分8Bよりも小さな曲率半径を有する
円弧形に面取りされている。
連結用切欠部10の両端部を挾む中心角βは60〜150
゜、望ましくは90〜120゜とされる。150゜より大では連
結用切欠部10による連結用凸部8の係止力が小さく、連
結強度が低下する。また60゜より小では連結用凸部8の
くびれ部分8の幅が小さくなり、この部分での抗張力が
低下する。
一方、連結用凸部8の両くびれ面が挾む中心角αは、
連結用切欠部10内で連結用凸部8が回動しうるように、
中心角βよりも一定角度小さく形成されている。また、
連結用切欠部10の中心O2からフラップ側面の延長線まで
の距離L2は、連結用凸部の中心O1からフラップ側面まで
の距離L1より小とされている。
次に、寿命判定機構について詳述する。前記連結用切
欠部10の中央には、フラップ1と垂直に断面が浅いコ字
状をなす寿命判定溝16が、その底面が連結用切欠部10の
接線方向と平行になるように形成されている。また連結
用切欠部10の中心O2から寿命判定溝16の底面までの距離
は、連結用凸分8の最大半径よりも若干大きく設定され
ている。
これにより、フラップ連結状態において、寿命判定溝
16と連結用凸部8の外周との間には僅かな隙間があき、
この間隙量を隙間ゲージ等で計れば連結部分の磨耗量が
判定でき、寿命の目安とすることができる。なお、寿命
判定溝16の形成位置は連結用切欠部10の中央に限らず、
周方向のどの位置でもよいが、中央に形成した方が磨耗
量に対する感度が良好である。
次に、砥粒セグメント4の固定構造について説明す
る。各フラップ1のチェーン外周側の端面には、端面の
中央部から回転方向前方側に偏った位置に、円弧形のセ
グメント装着用凹部18が形成されている。このセグメン
ト装着用凹部18の内周面は断面が全長に亙って凹V字状
とされ、また装着用凹部18の両端が挾む中心角γは90〜
170゜、望ましくは120〜160゜とされている。90゜より
小では砥粒セグメント4の着脱が困難になり、170゜よ
り大では砥粒セグメント4の脱落が起こるおそれがあ
る。
また、フラップ1の外周側端面には、セグメント装着
用凹部18より回転方向後方位置に、小さな断面半円形の
治具挿入溝20が垂直に形成されている。この治具挿入溝
20の半径A2は、装着用凹部18の中心からフラップ1の外
周画端面までの距離A1より大とされている。それより小
であると、後述する着脱用治具32により砥粒セグメント
4を外すことができなくなる。なお、治具挿入溝20の位
置は、第3図中(イ)に示すように装着用凹部18の底に
変更してもよい。
また、装着用凹部18には、一端がこの装着用凹部18の
回転方向前方側部分に開口する細いスリット22が内周側
に向けて形成され、その末端には応力緩和用の円孔24が
形成されている。そしてこのスリット22が句切られる細
長い部分は弾性係止片26とされ、これを回転方向前方に
向けて撓めると砥粒セグメント4の着脱が行なえるよう
になっている。
一方、砥粒セグメント4は、フラップ1と同厚で金属
製でチップ支持体28と、このチップ支持体28の端面に固
定された直方体形の砥粒層チップ30とから構成されてい
る。
砥粒層チップ30の肉厚はチップ支持体28よりも0.5〜4
mm厚く設定され、0.5mmより小さいとチップ支持体28や
フラップ1が被削材の切断面と磨擦するおそれが生じ、
4mmより大では切断代が大きくなって必要以上に歩留ま
りが低下する。また、砥粒層チップ30の長さはチップ支
持体28と等しく、フラップ1の外周端面よりも若干短か
く20〜70mm程度とされている。
砥粒層チップ30は、ダイヤモンドまたはCBN等の超砥
粒を含むメタルボンド砥粒層であり、チップ支持体28に
ろう付け、一体焼結、レーザー溶接、電子ビーム溶接等
の手段により固定されている。なお、砥粒の粒度、集中
度および厚さは、外周刃型チェーンカッタの用途に応じ
て決定すべきである。
チップ支持体28には、装着用凹部18と相補形状をなす
半円板状の凸部28Aが一体形成され、その断面は凸V字
状とされている。そしてこの凸部28Aは、弾性係止片26
を広げた状態でセグメント装着用凹部18に嵌入可能、か
つ弾性係止片26を戻すと強固に係止されるようになって
いる。
なお、第6図および第7図は着脱治具32を示すもの
で、この着脱治具32は、ハンドル34と軸36とからなるT
字状をなし、軸36の先端部36Aは治具挿入溝20と同寸法
の断面半円形とされている。そして、この先端部36Aを
治具挿入溝20に差し入れ、ハンドル34を90゜回転するこ
とにより、弾性係止片26の係止力に抗して砥粒セグメン
ト4が取り外される。
次に、フラップ1の振れ防止用の係合部について説明
する。各フラップ1の両側面は、連結用切欠部10および
連結用凸部8よりも外周側の部分で互いに平行とされ、
そのうち回転方向前方の側面には、外周側の端部から側
面の長手方向に延びる断面V字状の係合満38が形成され
ている。
また、フラップ1の回転方向後方側の側面の外周側に
は、前記係合溝38と相補的な断面形状をなす係合突条40
が側面に沿って形成されている。そして、隣接するフラ
ップ1の係合溝38と係合突起40とが、各フラップ1が直
線状に並んだ状態ではフラップ1の厚さ方向移動不能に
隙間なく嵌合するとともに、チェーン体2が屈曲した状
態では互いに離間するように設定されている。
次に、被駆動用凹部6A,6Bについて説明する。これら
被駆動用凹部6A,6Bは、各フラップ1の内周側の回転方
向前方側および後方側の角部にそれぞれ形成された円弧
状のもので、その中心角はいずれも90゜程度とされてい
る。
被駆動用凹部6A,6Bの曲率半径は、第1図に示すよう
に後述する切断装置のスプロケット88,112の外周に固定
されたピン126の半径と等しく、また被駆動用凹部6A,6B
からフラップ1の内周側端面に至る部分は滑らかな曲面
状に面取りされている。
また、同一フラップ1における被駆動用凹部6Aと6Bの
曲率中心間の距離は、ピン126の中心間距離に等しく、
フラップ1がスプロケット88,112の外周に巻回された状
態で、隣接するフラップ1の被駆動用凹部6Aおよび6Bは
同一円弧面を構成し、この円弧面にピン126ががたつき
なく嵌まるように設定されている。
次いで、後述するバックプレート118用の摺動溝につ
いて説明する。各フラップ1の内周側端面には、断面V
字状の摺動溝42が端面の全長に亙って形成されている。
この摺動溝42の断面角度は60〜160゜であることが望ま
しく、60゜より小ではバックプレート118の楔作用によ
りフラップ1に亀裂が生じるおそれがあり、また160゜
より大では、バックプレート118による厚さ方向の振れ
防止力が低くなる問題が生じる。
次に、第8図および第9図を用いて、上記構成からな
る外周刃型チェーンカッタを用いた切断装置を説明す
る。第8図は装置の正面図、第9図は一部破断した平面
図で、以下の説明で用いる上下左右は第8図に基づくも
のとする。
図中符号50は床面に間隔を空けて立てられた一対の円
柱で、これら円柱50にはそれぞれ第9図に示すように上
下方向に延びるキー52を介して、角筒状のベース54A
(左側)と54B(右側)が昇降自在かつ軸回り回転不能
に同じ高さで取り付けられている。
円柱50の上端には天板56が水平に掛け渡して固定され
ている。この天板56の左端部には昇降モータ58が取り付
けられ、このモータ58は図示しないギヤボックスを介し
て、左側の円柱50の背面に沿って配置されたスクリュウ
軸60を回転させる。そして、このスクリュウ軸60には、
左側ベース54Aの背面に固定された昇降部材62が螺合さ
れている。
一方、天板56の右端部にはギヤボックス64が固定さ
れ、このギヤボックス64と前記ギヤボックスの間には回
転軸66が掛け渡されて、モータ58の動力がギヤボックス
64にも伝達される。ギヤボックス64の出力軸は右側の円
柱50の背面に沿って配置されたスクリュウ軸68に連結さ
れ、このスクリュウ軸68には右側ベース54Bの背面に固
定された昇降部材70が螺合されている。これにより、昇
降モータ58を作動させると、両方のベース54A,54Bが常
に互いに同じ高さを維持しつつ低速で昇降する。
左側ベース54Aの前面部分には、前面中央を中心とす
る円環溝72および円板部74が形成されている。また円板
部74の前面に沿って傾動板76が配置されるとともに、こ
の傾動板76の両側に形成された爪部76Aが円環溝72の両
側に噛合され、円環溝72内で爪部76Aを摺動させること
により、傾動板76は円板部74と同軸に回動する。
また、傾動板76の前面には、左右方向に延びる矩形状
のガイドレール部78が形成されている。このガイドレー
ル部78には、右端が前方に屈曲したL字状のプレート支
持板80が左右方向移動可能に取り付けられ、図示しない
付勢機構により左側に一定力で引かれる構成となってい
る。
また、傾動板76の前面中央には前方に突き出た軸部82
が形成され、この軸部82はプレート支持板80に形成され
た左右方向に延びる長孔84を通って前方に突出してい
る。そしてこの軸部82には、互いに同軸に連結されたプ
ーリ86およびスプロケット88が回転自在に支持されてい
る。
一方、左側ベース54Aの左側面には、高さ調整可能な
取付板90を介して駆動モータ92が前向きに取り付けられ
ている。この駆動モータ92の回転軸にはプーリ94が固定
され、このプーリ94と前記プーリ86との間にはベルト96
が巻回されている。このベルト96の張力は取付板90を上
下させることにより調整可能である。
一方、右側ベース54Bの前面部分には、上下方向に延
びる一対の円弧溝98および一定幅の円弧板部100が形成
され、これら円弧溝98および円弧板部100は左側のスプ
ロケット88の回転軸心を中心とする円弧形をなしてい
る。
円弧板部100の前面には、この面に沿ってプレート支
持板102が配置され、このプレート支持板102の両側に形
成された爪部104が前記各円弧溝98に差し入れられて、
プレート支持板102は円弧板部100に沿って左側のスプロ
ケット88を中心として5゜以上傾動可能とされている。
この傾動角が5゜未満であると被削材Wへの切り込み開
始が困難になる。
プレート支持板102の前面には左右方向に延びるスラ
イドレール部106が形成され、このスライドレール部106
にはプーリ取付板108が左右方向移動可能に取り付けら
れている。このプーリ取付板108の前面中央には軸部110
が前向きに形成され、この軸部110には軸受を介して従
動スプロケット112が回転自在に取り付けられている。
また、プレート支持板102の右端面には油圧シリンダ114
が左向きに固定され、そのロッドがプーリ取付板108に
連結されている。
なお、右側ベース54Bの右側面には操作盤116が固定さ
れ、この操作盤116により各部への通電が制御される。
プレート支持板102の左端は、前向きにL字状に曲げ
られ、右側のプレート支持板80の間にはスプロケット8
8,112と同一平面において矩形のバックプレート118が張
られている。このバックプレート118はSUP鋼、SNCM鋼、
SKD鋼、SK鋼、ステンレス鋼等の材質からなり、肉厚は
フラップ1と同一である。また、バックプレート118の
幅はスプロケット88,112によるチェーンカッタCの巻回
径に等しくされている。さらに、バックプレート118の
上端縁および下端縁は全長に亙って、チェーンカッタC
の内周側に形成された摺動溝42と相補的な凸V字状に形
成されている。
そしてスプロケット88,112間にはチェーンカッタCが
巻回され、スプロケット88,112の間の直線部では、各フ
ラップ1の摺動溝42にバックプレート118の上下端がそ
れぞれ摺動可能にはめ込まれている。
スプロケット88,112は、いずれも第2図に示すように
一対の円板120,122に張り合わせたもので、その外径は
巻回したチェーンカッタCの連結用凸部8の中央部に達
する値に設定されている。円板120,122の対向面の外周
部にはフラップ1の肉厚よりも僅かに開口幅が大きいス
リット124が形成され、このスリット124の内部には、ス
プロケット中心からチェーンカッタCの巻回半径だけ離
れた位置に、超硬合金製の円柱形ピン126が周方向等間
隔に垂直に嵌め込まれている。隣接しあうピン126とス
プロケット中心とがなす中心角がスプロケット角であ
る。
一方、床面には、両円柱50の間に前後方向に延びる浅
い排水溝128が形成され、この排水溝128の中央には、一
対のガイドレール130が平行に設置されている。これら
ガイドレール130上には、下面に2対の車輪132が備えた
ワークテーブル134が載置され、さらにテーブル134の前
後端には図示しない駆動器に接続された牽引ワイヤ136
が連結されて、テーブル134がカードレール130に沿って
移動可能とされている。
さて、以上の装置を用い、チェーンカッタCで切断を
行なうには、まず昇降モータ58を作動してベース54A,54
Bを上昇させるとともに、テーブル134に載せた石材等の
被削材Wを前後方向に位置決めする。
次いで、ブレード支持板102を円弧板部100に沿って下
降させ、チェーンカッタCとバックプレート118の全体
を傾け、この下降位置で固定する。さらに、左側のプレ
ート支持板80を左方に付勢してバックプレート118に適
正張力を加えるとともに、油圧シリンダ114を作動して
プーリ取付板108を右方に引き、チェーンカッタCの張
力を適正値に保つ。
この状態で駆動モータ92を作動し、チェーンカッタC
を図中矢印方向に回転させつつ、昇降モータ58を作動し
てチェーンカッタC全体を所定の切り込み速度で降下さ
せ、下がった右側から被削材Wに切り込んでいく。やが
てある程度の切断深さに達したら、プレート支持板102
を円弧板部100に沿って引き上げ、チェーンカッタCを
水平位置に戻して固定し、さらに被削材Wの下端まで切
断を続行する。
以上のようなチェーンカッタCによれば、以下のよう
な優れた効果が得られる。
切断を行なうチェーン直線部において、隣接するフ
ラップ1の係合突条40と係合溝38がフラップ1の厚さ方
向移動不能に嵌合するので、全てのフラップ1が一枚の
剛性を有する板状に一体化され、切断に際し個々のフラ
ップ1の振れが生じない。そして、砥粒層チップ30はフ
ラップ1により方向規制されて被削材Wに切り込んでい
くから、切断の進行方向が正確かつ安定で、得られる切
断面の平面度および面粗さが良好である。同時に、切断
代の低減により被削材の歩留まりが向上できるととも
に、砥粒層チップ30が全長に亙り均一に磨耗するから砥
粒の使用効率が高い。
砥粒セグメント4をフラップ1に対して着脱可能に
固定しているので、砥粒層チップ30が磨耗した場合、ス
プロケット88,112に装着した状態のまま、チェーンの曲
線部において砥粒セグメント4を交換することができ、
チェーン体2は再利用可能で、切断コスト低減が図れ
る。しかも、前述のように砥粒層チップ30に多大な力が
かかる直線部において、係合突条40係合溝38が嵌合して
各フラップ1の両側面を圧迫し、弾性係止片26の変位を
阻止して砥粒セグメント4の係止を解除不可能にするた
め、切断作業中での砥粒セグメント4の脱落を完全に防
止できる利点を有する。
平板状の金属製フラップ1の一端にフラップ表面と
面一かつ一体に形成された連結用凸部8を、隣接する他
のフラップ1の連結用切欠部10にはめ込んで各フラップ
1を連結しているので、比較的肉厚の小さいフラップ1
で十分な連結強度および抗張力を得ることができ、従来
の大径切断ブレードやワイヤソー等に比べて砥粒層チッ
プ30の厚さが小さくて済み、切断代を大幅に低減して被
削材Wの歩留まり向上が図れる。
各フラップ1は回動可能に連結されているので、長
期使用後も応力疲労が生じにくく、その分大きな張力を
かけて使用できる。したがって、従来の切断手段よりも
切り込み速度を大きく設定でき、切断効率が高められ
る。
フラップ1の連結個数を増減するだけでチェーンC
の長さを自在に設定できるため、切断可能な被削材の寸
法が限定されず、極めて大形の被削材も効率良く切断で
きるうえ、個々のフラップ1は小形かつ全て同一形状で
あるから、量産すればコスト低下が図れるうえ、フラッ
プ連結には別部材を必要としないので、チェーンカッタ
C全体としての製造コストも安い。
切断方向と平行な面内に配置したスプロケット88,1
12間に巻回して使用されるので、バンドソー等に比して
装置の設置スペースが少なくて済む。
チェーン状であるから比較的軽量で、運搬等の取り
扱いも容易であるうえ、切断時に生じる振動はフラップ
1の連結部で減衰し、騒音レベルが低い。
内周側に形成された摺動溝42がバックプレート118
で摺動可能に支持される構成であるから、切り込み方向
に対するチェーンCの剛性を高め、切断速度および精度
の向上が図れる。
フラップ1の被駆動用凹部6A,6Bが形成されている
ので、スプロケット88,112による駆動に空転が生じず、
切削抵抗の大きい切断も問題なく行なえるうえ、これら
はフラップ1の内周側の両端に形成されているため、隣
接する凹部6A,6Bの間の開口幅がチェーン曲線部よりも
直線部で広がり、回転するスプロケット88,112のピン12
6が円滑に凹部6A,6B内に進入および離脱し、凹部6A,6B
の開口縁と干渉することがない。
なお、上記実施例では、振れ防止用係合部として係合
溝38および係合突状40を設けていたが、その代わりに、
フラップの一方の側面に半球状や三角錘、四角錘、円錐
等の凸部、他方の側面にこの凸部と相補的な凹部を形成
した構成も可能である。
また、前記の実施例ではフラップ1を加締め構造によ
り連結していたが、貫通ピン等を用いた他の連結構造
や、チェーン体を構成するフラップの一部または全部を
着脱可能な連結構造で連結した構成も可能である。
なお、上記実施例では、フラップ1の内周側の端面に
被駆動用凹部6A,6Bが形成されていたが、その代わりに
各フラップ1の連結用凸部8の中央等に被駆動用貫通孔
を形成するとともに、フラップの表面にその外周面が当
接する駆動スプロケットを設け、この駆動スプロケット
の外周面に形成されたピンを順次貫通孔に嵌合させ、フ
ラップ1を送る構成としてもよい。
また、前記砥粒セグメント4の代わりに、鋸歯等を有
する切刃セグメントを各フラップ1に装着することによ
り、他の構成は全く変えずに木材等の切断に用いること
もできる。
さらに、砥粒層チップを着脱可能とせず、フラップ1
の外周端面に直接ろう付けした構成としてもよい。
次に、第10図ないし第12図は本発明の第2実施例とし
て内周刃型チェーンカッタを示し、第10図は部分正面
図、第11図はA−A線断面図、第12図はB−B線断面図
である。
この内周刃型チェーンカッタは、フラップ300を無端
状に連結してなるチェーン体302の内周側において、各
フラップ300に砥粒セグメント4を固定したもので、従
来のワイヤソーと同様に、被削材の外周に巻回して一定
張力を引っぱりつつ切断を行なう。
前記フラップ300は、第13図ないし第15図に示す形状
をなし、前述した外周刃型チェーンカッタと同様に、一
方の側面には連結用凸部304が、他方の側面には連結用
切欠部306が形成され、これらの中心を結ぶ中心線はフ
ラップ300の外周側縁面および内周側端面と平行に設定
されている。
第10図に示すように、連結用凸部304のくびれ部分の
中心角αは第1実施例と同様とされている。またフラッ
プ300が前記中心線を一致させて並んだ状態において、
連結用切欠部306の外周側端部と連結用凸部304の外周側
くびれ面とがなす中心角βは、フラップ300の最大外曲
がり角P以上、また連結用切欠部306の内周側端部と連
結用凸部304の内周側くびれ面とがなす中心角γはフラ
ップ300の最大内曲がり角Q以上とされている。なおこ
れらP,Qは、このチェーンカッタを使用する切断装置や
被削材に対応して決定すべき角度である。
また、チェーンの直線部で隣接するフラップ300の内
周側の側面同士がなす角Rは、最大内曲まり角Qに等し
く、また隣接するフラップ300の外周側の側面同士がな
す角Sは、最大外曲がり角Pと等しくされている。
そしてフラップ300の内周側の側面の一方には第1実
施例と同様に断面凹V字状の係合溝308、他方には断面
が凸V字状の係合突条310が形成され、各フラップ300が
内側に最大内曲がり角Qだけ曲がると、これらが隙間な
く噛合してフラップ300の厚さ方向の振れが防止され
る。
また、第13図に示すように連結用凸部304の中心O1か
ら砥粒層チップ30のエッジまでの距離L1と、連結用切欠
部306の中心O2から砥粒層チップ30の反対側のエッジま
での距離L2は等しく設定され、これら線分の交差角度T
は、フラップ300が内側に曲がった際に砥粒層チップ30
が互いに干渉しないように、最大内曲がり角Qよりも若
干大きく設定されている。
なお、連結用凸部304と連結用切欠部306の連結構造は
第1実施例と同様で、また連結用凸部304の中央には、
円形の被駆動用貫通孔312がそれぞれ形成されている。
その他の構成は第1実施例とほぼ同様であるが、この内
周刃型チェーンカッタでは切断時にバックプレートを使
用しないため、他の実施例のようにフラップ300の内周
側端面に摺動溝を形成する必要はない。
次に、上記構成からなる内周刃型チェーンカッタの使
用方法を説明する。
第16図は構築物等の被削材Wの水平切断を行なってい
る状態を示す平面図で、内周刃型チェーンカッタCは構
築物Wの周囲に水平に渡されたうえ、同じ高さに配置さ
れた内側支持プーリ320、外側支持プーリ322、および移
動プーリ324の間で水平に巻回されている。これらプー
リ320,322,324の配置は、作業現場の状況により便宜上
決定されるもので、図示の配置に限定されることはな
い。
内側支持プーリ320および外側支持プーリ322は、それ
ぞれ地面に固定された台座(図示略)に取り付けられ、
水平回動自在されている。また内側支持プーリ320には
チェーンカッタCの外周側を位置規制するガイド体326
が設けられる一方、外側支持プーリ322の外周にはチェ
ーンカッタCの外周側半分がはまるスリット328が形成
されている。
一方、移動プーリ324は、レール等(図示略)の上を
走行する移動架台(図示略)に水平回転自在に取り付け
られ、この移動架台は一定の力でチェーン直線部の延長
方向に漸次移動可能とされ、さらに移動プーリ324には
チェーン外周側を位置規制するガイド体330が設けられ
ている。
また、チェーンカッタCの直線部には、外周面が個々
のフラップ300に当接する駆動スプロケット332が垂直に
配置され、駆動モータ334で回転されるようになってい
る。この駆動スプロケット332の外周面には、駆動用貫
通孔312と同間隔でピン336が固定されており、駆動スプ
ロケット332の回転につれて順次貫通孔312に嵌まり、フ
ラップ300を送る構成となっている。
一方、図中符号338は、チェーンカッタCの切り込み
位置を規制するためのガイド治具である。このガイド治
具338は平面視円弧状をなし、その断面は第17図(C−
C線断面図)に示すように、内周側に幅広の鍔部340が
形成されたT字状とされている。また、ガイド治具338
の内周面中央には、砥粒層チップ30を内側に向けてチェ
ーンカッタCの全容を収容できる溝342が全長に亙って
形成されているとともに、ガイド治具338の壁面を貫通
し溝342に達するボルト孔344が形成され、ここにボルト
346が螺合されている。
この装置で切断を行なうには、まず前記ガイド治具33
8の溝にチェーンカッタCを収めたうえ、第17図に示す
ようにチェーンカッタCが切り込みを開始すべき被削材
Wの角にガイド治具338を水平に配置し、その壁面に鍔
部340を固定する。その固定手段としては、被削材Wが
コンクリート等である場合、ドライヴィット、ホーリン
アンカー、ケミカルアンカー等が適し、その他にボルト
固定等も可能である。
次いで、移動プーリ324を移動架台ごと図中矢印の方
向へ水平移動させ、チェーンカッタCに常に一定の張力
を加えつつ、駆動モータ334を作動して駆動スプロケッ
ト332によりチェーンカッタCを走行させる。
すると、チェーンカッタCは被削材Wの角部から切り
込みを開始し、徐々にガイド治具338から抜けて被削材
Wの内部へ進行していく。やがて第18図に示すようにチ
ェーンカッタCが完全にガイド治具338から抜け出た
ら、ガイド治具338の溝342が被削材Wの重さで潰れない
ようにボルト346を締め、切断により生じた被削材の溝
が閉じることを防止する。
こうして移動プーリ324を徐々に移動させつつ、必要
に応じて切断後の切断溝にスペーサ等を差し込み、チェ
ーンカッタCが被削材Wの反対側から抜け出るまで切断
を続行する。
このような内周刃型チェーンカッタCによれば、被削
材Wに巻回して切断が行なえるので、被削材Wの形状の
制限がなく、例えばビルなどの建造物を内部の鉄筋を含
めて丸ごと効率良く切断することができる。
また、切断開始時に被削材Wの角に当たって屈曲した
部分において、各フラップ300の係合突条310および係合
溝308が厚さ方向移動不能に嵌合し、各フラップ300が一
枚の剛性を有する板状に一体化されるため、切り込みに
際し砥粒層チップ30に多大な力がかかっても個々のフラ
ップ300の振れが生じず、砥粒層チップ30の切断方向が
安定して切り込み効率が高く、切断面の面粗さおよび平
面度の向上が図れるとともに、切断代の低減により被削
材の歩留まりが向上できる。
また、砥粒セグメント4がフラップ300から着脱可能
とされ、磨耗したら交換可能であるから、チェーン体30
2の再利用により切断コストの低下が図れる。しかも、
前述のように砥粒層チップ30に多大な力がかかる屈曲部
において、係合突条310および係合溝308が嵌合して各フ
ラップ300の両側面を圧迫し、弾性係止片26の変位を阻
止して砥粒セグメント4の係止を解除不可能にするた
め、切断作業中での砥粒セグメント4の脱落が完全に防
止できる利点を有する。
また、主に切り込みを行なうチェーンの内曲がり曲線
部において、砥粒層チップ30の配置間隔が小さくなり、
チップ密度が高くなるので、効率良く切断が行なえるう
え、チェーンの最小曲率半径は最大内曲がり角Qにより
制限されるので、従来のワイヤソーのように被削材Wの
角でワイヤが折れ曲がり、疲労が生じて破断に至る等の
問題が生じない。
また、第10図中矢印(ロ)に示すように、常に砥粒層
チップ30の研削面はチェーンの曲率半径に対し垂直に向
けられ、したがって研削面の長手方向中央部が被削材W
に当接するため、砥粒層チップ30の回転方向前方側のエ
ッジが被削材Wに引っ掛かってチェーンカッタCの回転
を阻害したり、砥粒層チップ30が破損する等の問題が生
じない。
なお、上記実施例では水平に被削材を切断する例であ
ったが、この内周刃型チェーンカッタCを垂直や斜め方
向に切断に用いることも可能であるし、砥粒セグメント
4の代わりに切刃セグメントをフラップ300に固定すれ
ば、大形木材等の切断も行なえる。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明の第1項に係わるチェー
ンカッタによれば、被削材の切断を行なうチェーン直線
部において、隣接するフラップの係合部が厚さ方向移動
不能に嵌合するため、直線部にある全てのフラップが一
枚の剛性を有する板状に一体化され、個々のフラップの
振れが生じず、切断方向が安定して切断面の面粗さおよ
び平面度の向上が図れるとともに、切断幅の広がりを防
いで被削材の歩留まりが向上できる。
一方、第2項のチェーンカッタでは、切断開始時に被
削材の角に当たるチェーン屈曲部において、各フラップ
の係合部が厚さ方向移動不能に嵌合し、各フラップが一
枚の剛性を有する板状に一体化される。したがって、屈
曲部での切り込みに際して個々のフラップの振れが生じ
ず、切り込み方向が安定して切り込み効率が高く、切断
面の面粗さおよび平面度の向上が図れるとともに、切断
代の低減により被削材の歩留まりが向上できる。
また、上記いずれのチェーンカッタにおいても、個々
のフラップは回動可能に連結されているため、長期使用
後にも応力疲労が生じず、その分大きな張力をかけて使
用可能である。したがって、従来の切断工具より切り込
み量を大きく設定でき、切断効率が高められる。
また、フラップの連結個数を増減するだけでチェーン
の長さを自在に設定でき、切断可能な被削材の寸法が限
定されない。
さらに、個々の金属製フラップは小形かつ同一形状で
加工により容易に成形でき、量産すればコスト低下が図
れるうえ、フラップ連結には別部材を必要としないの
で、チェーンカッタ全体としての製造コストが安く済
む。
さらにまた、切断面と同一の平面内に配置したスプロ
ケット(またはプーリ)間に巻回して使用されるので、
装置の設置スペースが小さくて済むという利点も有す
る。
一方、第3項のチェーンカッタでは、切断刃セグメン
トがフラップから着脱可能とされ、磨耗したら交換でき
るから、チェーン体の再利用により切断コストの低下が
図れる。同時に、前述のように切断刃に多大な力がかか
る直線部または屈曲部において、係合部が嵌合して各フ
ラップの両側面を圧迫し、弾性係止部の変位が阻止され
て切断刃セグメントの係止が解除不可能となるため、切
断作業中での切断刃セグメントの脱落を完全に防止でき
る利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の第1実施例として外周刃
型チェーンカッタを示す部分正面図およびII−II線視断
面図、第3図ないし第5図は同チェーンカッタのフラッ
プを示す正面図、平面図および左側面図、第6図および
第7図は同フラップ用の着脱治具、 第8図および第9図は、前記チェーンカッタを使用した
切断装置の正面図および一部破断した平面図である。 また、第10図ないし第12図は本発明の第2実施例の内周
刃型チェーンカッタの一部を示す平面図、A−A線視断
面図およびB−B線視断面図、 第13図ないし第15図は内周刃型チェーンカッタに使用す
るフラップの正面図、左側面図および平面図、 第16図は同内周刃型チェーンカッタで切断を行なってい
る状態を示す平面図、第17図および第18図はC−C線視
断面図である。 1……フラップ、2……チェーン体、4……砥粒セグメ
ント(切断刃)、6A,6B……被駆動用凹部、8……連結
用凸部、10……連結用切欠部、12……加締め溝、16……
寿命判定溝、18……セグメント装着用凹部、26……弾性
係止片、30……砥粒層チップ、32……着脱治具、38……
振れ防止用係合溝(係合部)、40……振れ防止用係合突
条(係合部)、42……バックプレート用摺動溝、88……
駆動スプロケット、112……従動スプロケット、118……
バックプレート、C……チェーンカッタ、W……被削
材、300……内周刃型用フラップ、302……チェーン体、
304……連結用凸部、306……連結用切欠部、308……振
れ防止用係合溝(係合部)、310……振れ防止用係合突
条(係合部)、312……被駆動用貫通孔、320……内側支
持プーリ、322……外側支持プーリ、324……移動プー
リ、332……駆動スプロケット。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平板状をなす多数枚のフラップを、これら
    フラップと同一平面内で回動可能かつ面一に連結して無
    端状のチェーン体を構成し、少なくとも一部の前記フラ
    ップのチェーン体外周側の端部に切断刃を設けたチェー
    ンカッタであって、前記フラップのチェーン体長手方向
    における一端面のチェーン体外周側部分には、先細りの
    断面形状を有する係合凸部を形成する一方、前記フラッ
    プのチェーン体長手方向における他端面のチェーン体外
    周側部分には、前記係合凸部と相補的な断面形状をなす
    係合凹部を形成し、 個々のフラップの前記係合凸部は、前記チェーン体が直
    線状に延びた場合には、隣接する別のフラップの前記係
    合凹部と噛み合い、これにより隣接し合うフラップの厚
    さ中心が合致させられるとともに、チェーン体が円弧状
    に曲げられた場合には、係合凹部と離間することを特徴
    とするチェーンカッタ。
  2. 【請求項2】前記各フラップのチェーン体長手方向の一
    端に、その外周面が先細りの段面形状を有する円板状の
    連結用凸部を形成する一方、前記フラップのチェーン体
    長手方向の他端には、その内周面の断面形状が前記連結
    用凸部の外周面と相補的な形状をなす略円状の連結用切
    欠部を形成し、個々のフラップの前記連結用切欠部内
    に、隣接する他のフラップの前記連結用凸部を収容し、
    前記連結用凸部の外周面と、前記連結用切欠部の内周面
    とを噛み合わせることにより、各フラップをフラップ厚
    さ方向に離脱不能、かつフラップと同一平面内で回動可
    能に連結したことを特徴とする請求項1記載のチェーン
    カッタ。
  3. 【請求項3】前記一部のフラップの前記切断刃を設ける
    側の端部には、その開口幅が前記チェーン体の長手方向
    に弾性的に拡大可能な凹部をそれぞれ形成する一方、前
    記切断刃を有するセグメントには前記凹部と相補的な形
    状を有する凸部を形成し、前記凹部に前記凸部を嵌合す
    ることにより、前記凹部の開口幅を前記チェーン体の長
    手方向に拡大した場合にのみ前記セグメントが取り外せ
    る状態で、前記セグメントを前記フラップに装着したこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のチェーンカッ
    タ。
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