JP2696560B2 - ジェットルームの緯入れ制御方法と、その装置 - Google Patents

ジェットルームの緯入れ制御方法と、その装置

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ジェットルームにおいて、その運転回転
数が変動しても、常に安定な緯入れ動作を実現すること
ができる、ジェットルームの緯入れ制御方法と、その装
置に関する。
従来技術 ジェットルームにおいては、水またはエアによる流体
ジェットを使用して緯入れが行なわれるが、そのときの
緯糸の挙動は、大むね次のとおりである(第3図)。
いま、織機機械角θ=θsにおいて、緯糸の係止状態
が解除されて、その飛走が開始され、θ=θeにおい
て、所定長さの緯入れが完了するものとする。すなわ
ち、緯糸は、開始角度θsにおいて、経糸開口内への緯
入れが開始されると、到達角度θeにおいて、反緯入れ
側に到達し、緯糸測長装置によって、その後端部が係止
される。ただし、同図においては、緯糸の飛走速度は、
その全工程Sにおいて同一であるとみなして図示してあ
る。
到達角度θeにおいて後端部が係止された緯糸は、そ
のときのショックによって、一旦反緯入れ側に引き伸ば
され、つづいて、反動的に縮む傾向があるから、到達角
度θe以降における緯糸の先端部は、大きく伸縮して振
動する。そこで、緯糸飛走路の最下流側のサブノズル
や、反緯入れ側に配設したストレッチノズル等は、到達
角度θe以降においても継続作動せしめ、緯糸を再び直
線状に引き伸ばす。その後、拘束角度θH>θeにおい
て経糸を閉口し、引き伸ばした状態の緯糸をそのまま拘
束することにより、織布内における緯糸緩み欠陥の発生
を防止することができる。
一方、緯入れは、織機機械角θに対して、所定の角度
範囲内に行なわれなければならないから、その開始角度
θs、到達角度θeは厳密に制御されており、その制御
方法は、各種のものが提案されている(たとえば、特公
昭64−3969号公報、特開昭59−71459号公報、同60−259
652号公報)。
この第1の技術は、緯入れ開始から到達までの緯入れ
時間Tを実測し、これを一定に制御することにより、到
達角度θeも一定に制御することができる。また、第
2、第3の技術は、緯糸の到達角度θeを実測して、こ
れを一定に制御するが、いずれの技術においても、開始
角度θsは、織機の主軸と連動して緯糸の飛走を開始さ
せることにより、これを一定に保つ一方、その制御対象
は、緯入れ速度を決定する緯入れノズル、サブノズルへ
の供給エア圧である。
なお、一般に、これらの従来技術における到達角度θ
eは、次のようにして設定することができる。まず、到
達角度θe以降、伸縮振動する緯糸が再び直線状に引き
伸ばされるに要する時間(以下、ストレッチ時間とい
う)tを想定し、to≧tとなるようにして一定の余裕時
間toを定める。つづいて、経糸の開口運動から決まる拘
束角度θHよりも、時間的に、余裕時間toだけ早い時点
に一致するように、到達角度θeを定めればよい。
発明が解決しようとする課題 而して、かかる従来技術によるときは、織機回転数が
一定に保たれる場合はよいとしても、人為的に、または
不測の原因により、織機回転数が変動する場合には、安
定な緯入れを継続することができなくなるおそれがあっ
た。
すなわち、一般に、ストレッチ時間tは、織機回転数
に拘らず一定であり、したがって、余裕時間toも一定に
定めることができる反面、織機機械角θが、到達角度θ
eから拘束角度θHにまで進行するに要する時間δt
は、織機回転数に反比例して変動するものである。そこ
で、前述の手順によって到達角度θeを定める際には、
織機回転数は、特定の基準回転数を想定しなければなら
ないから、いま、織機回転数が、この基準回転数より高
速側に変動するときは、δt<toとなって、ストレッチ
時間tを確保することができず、緯糸緩み欠陥が生じる
おそれがある。逆に、織機回転数が低速側に変動するこ
とは、δt≫toとなる結果、緯入れ速度が過剰に大きく
制御され、これによる緯入れ不良の発生が少なくない。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の実情に
鑑み、到達角度を一定に制御するのではなく、緯糸の到
達時点と、織機機械角が拘束角度となる時点との時間差
が一定となるように緯入れ条件を制御することによっ
て、織機回転数が変動しても、常に安定な緯入れ動作を
実現することができるジェットルームの緯入れ制御方法
と、その装置を提供することにある。
課題を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの出願に係る第1発明
の構成は、緯入れされた緯糸を経糸が拘束する拘束角度
と、反緯入れ側への緯糸の到達から、織機機械角が拘束
角度となるまでの余裕時間とを与え、緯糸の反緯入れ側
への到達時点と、織機機械角が拘束角度となる時点との
時間差が、与えられた余裕時間となるように、緯入れ条
件を制御することをその要旨とする。
第2発明の構成は、織機機械角が所定の拘束角度にな
ったことを検出する拘束角度検出器と、拘束角度検出器
の出力信号と緯糸フィーラからの緯糸信号とを使用し、
緯糸の反緯入れ側への到達時間と、織機機械角が拘束角
度になる時点との時間差を計測するタイマ、このタイマ
からの時間差を所定の余裕時間と比較して制御信号を出
力する比較器とを備えることをその要旨とする。
また、第3発明の構成は、緯糸が反緯入れ側に到達し
たときの織機機械角を到達角度として検出する到達角度
検出器と、所定の拘束角度と余裕時間と現在の織機回転
数とを使用して目標到達角度を演算する目標到達角度演
算器と、到達角度と目標到達角度とを比較して制御信号
を出力する比較器とを備えることをその要旨とする。
作 用 而して、この第1発明の構成によるときは、経糸が緯
糸を拘束する拘束角度は、経糸の開口運動によって機械
的に決まる一定値である一方、余裕時間も、伸縮振動す
る緯糸が直線状に引き伸ばされるに必要なストレッチ時
間に基づく一定時間であるから、この両者は、設定値と
して外部から与えることができる。そこで、緯糸の到達
時点と、織機機械角が拘束角度となる時点との時間差
が、与えられた余裕時間に一致するように制御すれば、
そのときの緯入れ速度は、織機回転数に拘らず、常に、
この与えられた余裕時間を実現するように設定されるか
ら、ストレッチ時間が不足したり、緯入れ速度が過剰に
大きく設定されたりしてしまうことがない。
第2発明の構成によれば、タイマは、緯糸の到達時点
と、織機機械角が拘束角度となった時点との時間差を計
測することができ、比較器は、この時間差を余裕時間と
比較して制御信号を出力することができるので、第1発
明をそのまま実施することが可能である。
第3発明の構成によれば、目標到達角度演算器によっ
て演算される目標到達角度は、拘束角度から、現在の織
機回転数に応じて、与えられた余裕時間を織機機械角に
換算したもの(以下、余裕角度という)を差し引いた角
度にとることができ、この目標到達角度は、拘束角度に
対して、時間的に余裕時間だけ早い織機機械角に他なら
ない。したがって、この目標到達角度に緯糸が到達する
ように制御すれば、実質的に、第1発明と同一内容の制
御を実行することができる。
以上のように作用するものである。
実施例 以下、図面を以って実施例を説明する。
ジェットルームの緯入れ制御装置(以下、単に、制御
装置という)10は、拘束角度検出器11と、タイマ13と、
比較器14とを主要部材としてなる(第1図)。
拘束角度検出器11には、織機機械角θを検出するエン
コーダENからの機械角信号Seが入力されるとともに、所
定の拘束角度θHを設定するための拘束角度設定器12が
接続されている。拘束角度検出器11の出力は、タイマ1
3、比較器14を経て制御増幅器15a、15bに入力されてい
る。タイマ13には、反緯入れ側への緯糸Wの到達を検知
する緯糸フィーラWfからの緯糸信号Swが入力されてお
り、また、比較器14には、所定の余裕時間toを設定する
余裕時間設定器15が接続されている。
制御増幅器15a、15bの各出力は、主ノズルMN用、サブ
ノズル群SN、SN…用の各エア圧供給回路に介装された圧
力調整弁PVa、PVbに接続されている。ただし、各エア圧
供給回路は、図示しないエア源から、圧力調整弁PVa、P
Vb、エアタンクTKa、TKb、開閉弁SVa、SVb、SVb…を経
て、主ノズルMN、サブノズル群SN、SN…にエア圧を供給
するものとする。
織機は、エアジェットルームであるものとし、緯糸W
は、図示しない給糸体から供給されて、一旦、ドラム式
測長貯留装置DのドラムD1上に巻き付け貯留される、ド
ラムD1上の緯糸Wは、所定の織機機械角θ=θsにおい
て、係止ピンD2を解舒位置に駆動することによって、ド
ラムD1から解舒され、主ノズルMN、サブノズル群SN、SN
…からのエアジェットによって、図示しない経糸開口中
に緯入れされる。ただし、主ノズルMNは、開始角度θs
より、いくぶん早くからその作動を開始し、また、緯糸
Wの飛走経路に沿って配設されるサブノズル群SN、SN…
は、各サブノズル群SNごとの開閉弁SVb、SVb…を介し、
飛走しつつある緯糸Wの先端部分に所定の牽引力を連続
的に加えることができるように、その上流側のものから
下流側のものへと順にリレー的に作動するものとする。
係止ピンD2は、ドラムD1から所定長さの緯糸Wが解舒
されるように、適当な時点で、その係止位置に復帰する
から、緯糸Wは、その緯入れの最終段階においては、先
端部が反緯入れ側の緯糸フィーラWfの位置に到達する一
方、後端部は、係止ピンD2によって係止される。このと
き、緯糸Wには、前述の伸縮振動が発生する。
拘束角度設定器12には、緯入れされた緯糸Wが、閉口
する経糸によって拘束されるときの織機機械角θを、拘
束角度θHとして設定することができる。また、余裕時
間設定器15には、緯入れされた緯糸Wの後端部が係止ピ
ンD2によって係止されるとき、伸縮振動後、再び、直線
状に引き伸ばされるまでに要するストレッチ時間tより
いくぶん長くなるように、余裕時間toを設定する(第3
図)。なお、ストレッチ時間tは、試織の段階で、緯糸
Wの先端部が反緯入れ側に到達する時点の織機機械角θ
1と、それが直線状に引き伸ばされる時点の織機機械角
θ2とをストロボを使って観測し、角度差Δθ=θ2−
θ1をそのときの織機回転数から時間に換算して求める
か、緯糸Wが反緯入れ側に到達する織機機械角θを徐々
に遅らせていき、織布に緩みが発生し始めた時の緯糸W
の到達角度θ1から、経糸が開口するときの織機機械角
θ2までの角度差Δθ=θ2−θ1を、時間に換算して
求めることができる。
いま、係止ピンD2、主ノズルMN、サブノズル群SN、SN
…によって緯入れされた緯糸Wの先端部が反緯入れ側に
到達すると、緯糸フィーラWfから緯糸信号Swが出力され
るから、タイマ13は、その内容がクリアされるととも
に、時間計測動作を開始することができる。
つづいて、織機機械角θが、θ=θHとなると、拘束
角度検出器11が、その旨を検出して、タイマ13を停止す
るので、このときのタイマ13は、緯糸Wの反緯入れ側へ
の到達時点から、織機機械角θが拘束角度θHとなる時
点までの時間差Δtを計測することができる。
比較器14は、時間差Δtを余裕時間toと比較すること
により、制御増幅器15a、15bに制御信号Saを出力するこ
とができる。制御増幅器15a、15bは、制御信号Saによ
り、圧力調整弁PVa、PVbを介して、主ノズルMN、サブノ
ズルSN、SN…に供給するエア圧を制御するから、このと
きの制御装置10は、前述の時間差Δtが、余裕時間設定
器15を介して与えられる余裕時間toに一致するように、
緯糸Wの緯入れ速度を制御することができる。
また、このときの余裕時間to、時間差Δtは、それぞ
れ、時間を単位として設定され、計測されるから、この
ようにして制御される緯入れ動作は、織機回転数の変動
に拘らず、常に、Δt=toの関係を維持することができ
る。
他の実施例 制御装置10は、到達角度検出器16と、拘束角度設定器
12と余裕時間設定器15と演算器17とからなる目標到達角
度演算器18と、比較器14とを備えるものとしてもよい
(第2図)。到達角度検出器16は、緯糸フィーラWfから
の緯糸信号Swと、エンコーダENからの機械角信号Seとを
入力することにより、緯糸Wが反緯入れ側に到達したと
きの織機機械角θを、到達角度θeとして検出し、これ
を、比較器14に入力する。また、演算器17は、拘束角度
設定器12からの拘束角度θHと、余裕時間設定器15から
の余裕時間toと、現在の織機回転数nを検出する回転計
Nから回転数信号Snとを入力し、目標到達角度θeoを算
出して、比較器14に出力する。比較器14は、到達角度θ
eと目標到達角度θeoとを比較して、制御信号Saを出力
する。
いま、演算器17の演算内容として、 θoc=θH−6n to ただし、θeo(度)、θH(度)、n(rpm)、to
(秒)とすれば、得られる目標到達角度θeoは、拘束角
度θHに対して、余裕時間toに相当する余裕角度Δθ=
6n toだけ先行する織機機械角に対応する。換言すれ
ば、このようにして与えられる目標到達角度θeoは、織
機回転数nにおいて、拘束角度θHより、時間的に余裕
時間toに相当するだけ早い織機機械角であり、このこと
は、織機回転数nに拘らず成立する。よって、この実施
例は、実質的に、前実施例と同一の制御動作をなすこと
ができる。
以上の説明において、制御装置10の制御対象は、圧力
調整弁PVa、PVbに代えて、係止ピンD2とすることができ
る。すなわち、係止ピンD2は、織機機械角θ=θsにお
いて解舒位置に駆動され、緯糸Wの緯入れを開始するも
のであるから、制御信号Saにより、開始角度θsを制御
することによって、同様に緯入れ条件を調節制御するこ
とが可能である。また、これとともに、主ノズルMNの噴
射開始角度を制御して、係止ピンD2による緯糸Wの係止
解舒に対する先行角を一定にするようにすればなお好ま
しい。さらに、圧力調整弁PVa、PVbと係止ピンD2との双
方を併せ制御するようにしてもよく、そのときは、後者
を前者より優先して制御し、開始角度θsをできるだけ
早くするとともに、緯入れ速度を必要最低限に定めるこ
とにより、一層安定な緯入れを実現することができる。
なお、この発明は、サブノズル群SN、SN…の他に専用
のストレッチノズルを使用する場合、ドラム式緯糸測長
貯留装置Dに代えて、他の形式の測長貯留装置を使用す
る場合にも同様に適用することができ、そのときの制御
装置10は、緯糸Wの緯入れ条件を定める任意の緯入れ部
材を制御対象に選択するものとする。また、この発明
は、エアジェットルームのみならず、ウォータジェット
ルームに対しても、そのまま適用できることはいうまで
もない。なお、この発明を多色緯入れに適用する場合に
は、あらかじめ緯糸Wの種類に対応した複数の余裕時間
to、to…を余裕時間設定器15に設定しておき、緯糸Wの
選択信号に従って、各緯糸Wに対応する余裕時間toを選
択し、これに基づいて制御すればよい。
発明の効果 以上説明したように、この出願に係る第1発明によれ
ば、拘束角度と余裕時間とを与え、緯糸の到達時点と、
織機機械角が拘束角度となる時点との時間差が余裕時間
となるように緯入れ条件を制御することによって、緯糸
は、常に、拘束角度より、時間的に余裕時間だけ早く反
緯入れ側に到達するようにすることができるから、織機
回転数が変動しても、ストレッチ時間が不足したり、緯
入れ速度が過剰に大きく設定されたりするおそれがな
く、したがって、常に安定な緯入れ動作を実現すること
ができる。
また、第2発明によるときは、タイマにより、緯糸の
到達時点と、織機機械角が拘束角度となる時点との時間
差を計測し、これと余裕時間とを比較して制御信号を作
ることができるから、第1発明をそのまま実施すること
ができる。
第3発明によれば、拘束角度から、現在の織機回転数
における余裕時間相当の余裕角度だけ先行するようにし
て目標到達角度を演算することができ、これに対して、
到達角度を制御することができるから、実質的に、第1
発明と同一の制御内容を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例を示す全体系統説明図である。 第2図は、他の実施例を示す要部系統図である。 第3図は、動作説明線図である。 W……緯糸、Wf……緯糸フィーラ n……織機回転数 θ……織機機械角 θH……拘束角度、θeo……目標到達角度 to……余裕時間、Δt……時間差 Sw……緯糸信号、Sa……制御信号 10……緯入れ制御装置 11……拘束角度検出器 13……タイマ 14……比較器 16……到達角度検出器 18……目標到達角度演算器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジェットルームにおいて緯糸を緯入れする
    に際し、緯入れされた緯糸を経糸が拘束する拘束角度
    と、反緯入れ側への緯糸の到達から、織機機械角が前記
    拘束角度となるまでの余裕時間とを与え、緯糸の反緯入
    れ側への到達時点と、織機機械角が前記拘束角度となる
    時点との時間差が前記余裕時間となるように緯入れ条件
    を制御することを特徴とするジェットルームの緯入れ制
    御方法。
  2. 【請求項2】織機機械角が所定の拘束角度になったこと
    を検出する拘束角度検出器と、該拘束角度検出器の出力
    信号と緯糸フィーラからの緯糸信号とを使用し、緯糸の
    反緯入れ側への到達時点と、織機機械角が拘束角度にな
    る時点との時間差を計測するタイマと、該タイマからの
    時間差を所定の余裕時間と比較して制御信号を出力する
    比較器とを備えてなるジェットルームの緯入れ制御装
    置。
  3. 【請求項3】緯糸が反緯入れ側に到達したときの織機機
    械角を到達角度として検出する到達角度検出器と、所定
    の拘束角度と余裕時間と現在の織機回転数とを使用して
    目標到達角度を演算する目標到達角度演算器と、到達角
    度と目標到達角度とを比較して制御信号を出力する比較
    器とを備えてなるジェットルームの緯入れ制御装置。
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