JP2695643B2 - 圧力センサユニットの製造方法 - Google Patents

圧力センサユニットの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、半導体拡散抵抗のピエゾ抵抗効果を利用し
て圧力を電気信号に変換する圧力センサユニットの製造
方法に関するものである。
[従来の技術] 近年IC製造技術の発達とあいまって、単結晶シリコン
チップの表面に半導体拡散抵抗をひずみゲージとして利
用するダイヤフラム型半導体圧力センサチップを有する
圧力センサユニットが作られようになった。前記圧力セ
ンサユニットは、導体又は半導体に加えられた外力の応
力によって電気抵抗が変化するというピエゾ抵抗効果を
利用したもので、前記ひずみゲージをブリッジ型回路に
構成することにより圧力を電気抵抗変化に変換し、更に
これをブリッジ型回路の電圧変化として捕えようとする
もので、その性能が従来の圧力計あるいは、圧力変換器
に比べ、非常に優れているために、工業計測用、民生用
と需要が増えて来ている。
第5図は、以上のような圧力センサユニットの構造を
示す断面図であって、従来の圧力センサユニットの構造
を示している。
11は半導体拡散抵抗のピエゾ抵抗効果を利用して圧力
を電気信号に変換するダイヤフラム型半導体圧力センサ
チップ、12は台座、例えば#7740ホウ硅酸塩ガラスで、
前記圧力センサチップ11と台座12は気密的に固着されて
いる。14は気密端子体、15は前記圧力センサチップ11の
電源端子および出力端子となるステムで、ステム15は封
止ガラス16を使って気密端子体14に気密に固着されてい
る。
以上の様なステム15が固着された気密端子体14と、圧
力センサチップ11が固着された台座12は気密に固着さ
れ、さらに圧力センサチップ11とステム15間はワイヤボ
ンドにより電気的に接続されている。
17は硬化後ゲルの状態となるポッティング樹脂で、圧
力センサチップ11上で硬化されてゲル状となり、圧力セ
ンサチップ11の電気的、機械的保護を行なっている。
13は圧力センサチップ11や内部実装部分を機械的に保
護するための、圧力導入パイプ13a付きのケースで、圧
力センサチップ11とステム15間がワイヤボンドにより電
気的に接続され、且つゲル状のポッティング樹脂17で圧
力センサチップ11を覆った後、気密端子体14に気密に固
着され、こうして相対圧(差圧)型の圧力センサユニッ
ト20が構成されている。
所が、従来の圧力センサユニット20の場合、ポッティ
ング樹脂17は圧力センサチップ11の上面だけしか覆って
いない為、ステム15あるいはワイヤーボンド線18は常に
圧力媒体にさらされることになり、圧力媒体としては非
腐食性の気体例えばN2ガス等に限られるという欠点があ
った。
上記欠点を解決する方法として次のようなことが考え
られる。すなわち、第6図は圧力媒体として腐食性の圧
力媒体を選択する場合の圧力センサユニットの構造を示
す断面図であって、第5図の圧力センサユニットに適用
する場合を示した。
圧力媒体として腐食性の圧力媒体(例えば水)を選ぶ
場合は第6図の様にケース13のポッティング穴13b内に
あるワイヤーボンド線18及びステム15をポッティング樹
脂17で覆ってやれば良い。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、大気中でポッティング樹脂17を細長い
圧力導入パイプ13aの開口部13cから注入した場合、ポッ
ティング樹脂17内に気泡が残ってしまい、気泡を除去し
ないと圧力がうまく伝達できなくなる。そこで、残った
気泡を除去しようとして雰囲気を真空にして脱泡してい
ると、ポッティング樹脂17内の気泡の内部の圧力が気泡
外部の圧力に比べて非常に大きくなる為、気泡が風船の
ように膨張し、圧力導入パイプ13aの開口部13cより大き
くなり、大きくなった気泡はポッティング樹脂17内部か
ら抜け出そうとする。この時、気泡の径より圧力導入パ
イプ13aの開口部13cが細い為、気泡が圧力導入パイプを
介してケース13の外部へ出ようとする時に、気泡が細い
圧力導入パイプ13aに集中し、ポッティング樹脂17を押
し上げるかたちとなり、ポッティング樹脂17も圧力導入
パイプ13aから気泡と一緒に矢印19のようにケース13外
部へ出てしまうことになる。以上の事から、最終的には
ポッティング樹脂17はワイヤーボンド線18あるいはステ
ム15を覆いきれず、その一部が分離して圧力導入パイプ
13a内部に取り残され、ポッティング穴13bの内部に空気
室ができ、圧力をうまく伝達できなくなるという欠点が
あった。
ポッティング穴13bより小さい開口部13cを有するケー
ス13内のワイヤーボンド線18及びステム15をポッティン
グ樹脂17で覆ってやる方法としては、真空の雰囲気中で
圧力導入パイプ13aの開口部13cよりも細いチューブをポ
ッティング穴13b内に差し込み、ポッティング樹脂17を
前記チュープより注入する方法があるが、この場合は圧
力導入パイプ13a径よりも細くて長いチューブを使用し
なければならず、圧力導入パイプ13aの径の大きさにも
限界があり、特に小型電子機器のようにかなり細い圧力
導入パイプを有する圧力センサユニットには利用でき
ず、装置も複雑で大型になるばかりか、1回に注入でき
る量も限られ、コストの高い圧力センサユニットになっ
てしまうという欠点があった。
本発明の目的は、以上のような問題点を解消させ、製
造方法及び製造装置が簡単で、細い圧力導入パイプ径の
ものに適用でき、しかも圧力媒体の限定されない圧力セ
ンサユニットを提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本発明は次のような構成
となっている。すなわち、圧力を電気信号に変換するダ
イヤフラム型半導体圧力センサチップと、前記圧力セン
サチップを実装した基板を有する圧力センサユニットに
おいて、前記基板に位置決め固定された封止枠と、該封
止枠を用いて前記圧力センサチップ上に充填されたポッ
ティング樹脂と、前記封止枠の上面に形成された位置決
め固定部により、前記封止枠の上面に取り付けられ、前
記封止枠の内周径より小なる開口部を有するキャップと
を備えたことを特徴とする。
また、前記キャップは、前記ポッティング樹脂の脱泡
硬化後、前記封止枠に取り付けられたことを特徴とす
る。
[実施例] 第1図は本発明の一実施例を示す圧力センサユニット
の断面図であって、圧力センサユニットを圧力測定装置
に装着した状態を示している。第2図は第1図の圧力セ
ンサユニットの上面図、第3図は第1図の圧力センサユ
ニットの下面図、第4図は本発明の圧力センサユニット
に使用される圧力センサチップで、(A)は平面図、
(B)は断面図、(C)は電気的等価回路図を示してい
る。
1は半導体拡散抵抗のピエゾ抵抗効果を利用して圧力
を電気信号に変換するダイヤフラム型半導体圧力センサ
チップで、第4図の如くダイヤフラム面1aにゲージ抵抗
R1、R2、R3、R4、ダイヤフラム面外1bにオフセット電圧
調整用の拡散抵抗r1、r2が設けられている。該圧力セン
サチップ1は、端子Aと端子C1〜C3のいずれか1つある
いは2つの間に電圧又は電流を印加すると端子Bと端子
D間に出力を取り出せるようになっており、端子C1、C
2、C3の選び方によりオフセット電圧が調整できるよう
になっている。
2は台座、例えば#7740ホウ硅酸塩ガラスで、前記圧
力センサチップ1と台座2は気密的に固着されている。
なお、本実施例では圧力センサチップ1と台座2で囲ま
れた空間は真空となっている絶対圧の測定例を示した
が、相対圧を測定するときには穴の空いた台座2が使用
される。
3は圧力センサチップ1を実装するための基板であっ
て、例えばガラス入りエポキシ樹脂、あるいはセラミッ
クスから構成されており、圧力センサチップ1の固着さ
れた台座が基板3上にシリコーンゴム等の接着剤を使っ
てダイボンドされた後、圧力センサチップ1の入出力端
子A、B、D及びオフセット調整端子C1、C2、C3はすべ
てワイヤーボンドにより、基板3に形成された回路パタ
ーンと電気的に接続される(基板3に圧力センサチップ
1をワイヤーボンドする工程)。なお、本実施例では圧
力センサチップ1を台座2を介して基板3にダイボンド
したが、もちろん圧力センサチップ1を直接基板3にダ
イボンドしても良い。
4aは封止枠、4bは該封止枠4aのポッティング穴41より
小さい開口部42を有する圧力導入パイプ付のキャップで
ある。4cは封止枠4a上に形成された位置決め固定部であ
り本実施例では凸型形状となっている。4dはキャップ4b
に設けられた位置決め固定部であり本実施例では前記位
置決め固定部4cと係合する凹型形状となっている。そし
て封止枠4a、キャップ4b、位置決め固定部4c、位置決め
固定部4dより圧力センサチップ1を機械的に保護する為
のケース4が構成されている。
3a、3b、3cは半田付けによって前記圧力センサチップ
1のオフセット電圧の調整端子C1、C2、C3の出力と圧力
センサユニット10の(−)の電源端子Mとを接続する為
のケース4の外部に設けられた基板3のパターンであっ
て、圧力センサチップ1のオフセット電圧が最小となる
ように最終行程で選択的に半田付けされ、電気的接続が
行なわれる。
5は硬化後ゲルの状態となるポッティング樹脂で、圧
力センサチップ1上で硬化されてゲル状となり、圧力セ
ンサチップ1の電気的、機械的保護を行なうと同時に圧
力媒体としての働きをする。
一般に前記ポッティング樹脂5を圧力媒体として使用
する場合、ポッティング樹脂5内部に気泡があると、前
述の如く圧力が気泡の影響で正しく伝達されなくなる。
従って、前記ポッティング樹脂5を充填するときには、
気泡が樹脂内部に残らないように、ポッティング樹脂5
を充填した後、雰囲気を真空として脱泡する必要があ
る。本発明の実施例では圧力センサチップ1と基板3と
がワイヤーボンドによって電気的に接続された後、まず
封止枠4aを基板3上に固着し(封止枠4aを基板3に接合
する工程)、その後でポッティング樹脂5を広い開口部
をもつ封止枠4aのポッティング穴41内部に充填し、ポッ
ティング樹脂5内部に気泡がポッティング穴41から抜け
やすい状態にしてから雰囲気を真空として脱泡し、硬化
させ(封止枠4a内にポッティング樹脂5を充填し、脱泡
後硬化させる工程)、その後で封止枠4aのポッティング
穴41より小さい開口部42を有するキャップ4bを封止枠4a
の上に固着するようにしている(封止枠4aのポッティン
グ穴41より小さい開口部42を有するキャップ4bを封止枠
4aに接合する工程)。
こうしてキャップ4bを封止枠4aの上に固着した後、圧
力導入パイプ付のキャップ4bから圧力が印加され、圧力
センサの基本特性である感度、オフセット、及びインピ
ーダンスが測定される。
6は感度及びインピーダンスの測定結果に基づき選択
された抵抗であって、圧力センサユニット10の(+)の
電源端子Pと電源端子VDDの間に半田実装され、圧力セ
ンサチップ1の入力電流の制限を行ない、感度及びイン
ピーダンスのバラツキを吸収する役目をしている。又、
オフセットの測定結果に基づき基板3に形成されたパタ
ーン3a、3b、3cは圧力センサユニット10の(−)の電源
端子Mと半田付けによって最終行程で電気的に接続され
る。
以上のように、基板に前記圧力センサチップ1をワイ
ヤーボンドする工程と、封止枠4aを基板3に接合する工
程と、前記封止枠4a内にポッティング樹脂5を充填し、
脱泡後、硬化させる工程と、前記封止枠4aのポッティン
グ穴41より小さい開口部42を有するキャップ4bを封止枠
4aに接合する工程とを経て圧力センサユニット10が形成
されている。
[発明の効果] 以上の説明で明らかなように、本発明によればキャッ
プと封止枠を分けて、封止枠内にポッティング充填後キ
ャップを取り付ける構造としたため、従来のような狭い
キャップ開口部よりポッティング樹脂を流し込む方式に
比べ極めて量産性の高い圧力センサユニットを提供でき
る。またポッティング樹脂を脱泡硬化した後キャップを
取り付けるようにしたことにより、従来のようなポッテ
ィング樹脂内の気泡発生がなくなり信頼性の高い圧力セ
ンサユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例を示す圧力センサユニットの
断面図、第2図は第1図の圧力センサユニットの上面
図、第3図は第1図の圧力センサユニットの下面図、第
4図は本発明の圧力センサユニットに使用される圧力セ
ンサチップで、(A)図は平面図、(B)図は断面図、
(C)図は電気的等価回路図、第5図は従来の圧力セン
サユニットの断面図、第6図は圧力媒体として腐食性の
圧力媒体を選択する場合の圧力センサユニットの構造を
示す断面図である。 1、11……圧力センサチップ 3、……基板 4a……封止枠 4b……キャップ 5、17……ポッティング樹脂 10、20……圧力センサユニット

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧力を電気信号に変換するダイヤフラム型
    半導体圧力センサチップと、前記圧力センサチップを実
    装した基板を有する圧力センサユニットにおいて、前記
    基板に位置決め固定された封止枠と、該封止枠を用いて
    前記圧力センサチップ上に充填されたポッティング樹脂
    と、前記封止枠の上面に形成された位置決め固定部によ
    り、前記封止枠の上面に取り付けられ、前記封止枠の内
    周径より小なる開口部を有するキャップとを備え、該キ
    ャップは前記ポッティング樹脂の脱泡硬化後、前記封止
    枠に取り付けられることを特徴とする圧力センサユニッ
    トの製造方法。
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