JP2695223B2 - 2―ヒドロキシナフタレン―6―カルボン酸の精製方法 - Google Patents

2―ヒドロキシナフタレン―6―カルボン酸の精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸
(以下「2,6−酸」と略称する。)の再結晶による精製
方法に関する。
(従来の技術および発明が解決しようとする課題) 単量体として特定の耐熱性プラスチックの製造に使用
される2,6−酸は重縮合の際に「ファイバー・グレード
品質(fiber grade quality)」を有していなければな
らない。即ち、非常に純粋でなければならない。しかし
ながら、この要求を満たすことは困難である。なぜなら
ば2−ナフトールのカリウム塩とCO2との反応によるKol
be-Schmit反応変法に従って粗生成物が生成されるから
である(米国特許第1,593,816号、米国特許第4,287,357
号、ヨーロッパ特許第0,081,753号)。この反応におい
て多量の分解生成物(タールおよび樹脂状物)が生成さ
れるが、これらを生成の都度副生成物として分離するの
は困難である 従来、粗酸は2−ナフトールから分離後費用のかかる
方法で、特に抽出し、炭素吸着しそして水に溶解し再沈
澱させることにより処理されていた。この方法で得られ
る製品品質をどの程度に保つかは無色でなく多少茶色が
かった製品の色によって決定される。
驚くべきことに、本発明者らは所望の高純度を有する
2,6−酸が粗酸をある種の水混和性エーテルまたはその
水溶液から再結晶することにより製造され得ることを見
出した。
(課題を解決するための手段) 従って、本発明は2−ヒドロキシナフタレン−6−カ
ルボン酸を再結晶により精製する方法において、粗酸を
水混和性直鎖状もしくは環状脂肪族エーテル、脂肪族ポ
リエーテルまたは脂肪族ヒドロキシエーテルからあるい
はこれらのエーテルの少なくとも10重量%濃度の水溶液
から再結晶することを特徴とする2−ヒドロキシナフタ
レン−6−カルボン酸の精製方法に関する。
エーテルまたはその水溶液を用いて粗2,6−酸を処理
することにより、着色成分に加えて、2−ナフタレンス
ルホン酸、2−ナフトール、2−ヒドロキシナフタレン
−3−カルボン酸、6−ヒドロキシナフタレン−2,7−
ジカルボン酸、2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ジナフチル
のような2,6−酸の類似不純物を同様に分離するのが特
に有利である。
本発明による結晶方法の一手順は粗2,6−酸を上述の
エーテルまたはその水溶液に加熱して溶解し次いで冷却
することにより精製された酸を晶出させることよりな
る。異なる手順によれば、粗酸を上述のエーテルに溶解
した溶液に、結晶化が始まるような量で水を添加する。
さらに、結晶化が始まるような量のエーテルを、粗酸を
上述のエーテルに溶解した溶液またはその水溶液から留
去することもできる。
本発明による結晶化の前に粗2,6−酸から存在する2
−ナフトールの大部分を除去するのが好ましい。例えば
2−ナフトールのカリウム塩とCO2との減圧下(例えば5
0〜65mbar)かつ高められた温度(例えば260℃)での反
応で生じた2−ナフトールを副生成物としてカルボキシ
ル化溶融物から留去することが可能である。
2,6−酸の結晶化は室温でまたは高められた(沸点ま
で)もしくは低められた(約−20℃まで)温度で行われ
得る。結晶化は高められた圧力に対応する上昇した沸点
の下でも可能である。
本発明による結晶化方法はバッチ法でまたは連続法で
行われ得る。冷却または蒸発による結晶化あるいは所謂
減圧結晶化のいずれかを使用し得る。結晶化を不活性雰
囲気下で行うことが有利である。適当な不活性ガスは特
に窒素である。さらに二酸化炭素またはアルゴンがこの
目的に使用され得る。
例えば、水を添加してまたは添加せずに、次のエーテ
ルまたはその混合物が本発明による方法において使用さ
れ得る。
−モノエチレングリコールジメチルエーテル(1,2−ジ
メトキシエタン) −ジエチレングリコールジメチルエーテル(2,2'−ジメ
トキシジエチルエーテル) −トリエチレングリコールジメチルエーテル(1,2−ビ
ス(2'−メトキシエトキシ)エタン −テトラエチレングリコールジメチルエーテル(混合物
または同族体) −ジエチレングリコール −トリエチレングリコール −ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコ
ール400(分子量380-420) −ペンタエチレングリコールジメチルエーテル −トリエチレングリコールメチルエチルエーテル −テトラエチレングリコールメチルt−ブチルエーテル −モノエチレングリコールモノメチルエーテル −ジエチレングリコールモノメチルエーテル −トリエチレングリコールモノメチルエーテル −テトラエチレングリコールモノメチルエーテル −1,4−ジオキサン −1,3,5−トリオキサン −トリオキセパン −テトラキサン −ビシクロテトラキサン −ジメチルビシクロテトラキサン −メチルジシクロテトロキサン −水溶性短鎖エチレンオキシド/プロピレンオキシド共
重合体 −2−メトキシ−1−ブタノール −グリセロールモノメチルエーテル −グリセロールジメチルエーテル −グリセロールトリメチルエーテル 好ましくは、1,4−ジオキサンまたは以下のエーテル
の1つの少なくとも10重量%濃度の水溶液が使用され
る:1,4−ジオキサン、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコールまたはエチレ
ングリコールジメチルエーテル。1,4−ジオキンまたは
エチレングリコールジメチルエーテルの少なくとも10重
量%濃度の水溶液、特に最初に記載した溶液が特に適し
ている。この溶液の1,4−ジオキサン含有量は一般に10
〜90重量%、好ましくは20〜90重量%、特に35〜90重量
%である。90重量%より高い1,4−ジオキサン含有量を
有する溶液または無水1,4−ジオキサンは同様に工業的
に適しているが、経済的にはこれらは、同一の工業効果
を得るためにより多量のエーテルを使用しなければなら
ないため好ましくない。溶液のエーテル含有量(一般に
10〜90、好ましくは20〜90、特に35〜90重量%)および
純粋なエーテルの適合性に関して1,4−ジオキサンの水
溶液に当てはまることは同様にエチレングリコールジメ
チルエーテルの水溶液または別の上述のエーテルにも当
てはまる。
本発明による方法の大きな利点は得られる2,6−酸の
純度が高いことだけでなく精製が1つの基本的単位操作
のみからなるということにもある。
生じる高純度の2,6−酸は貴重な生成物である。例え
ば、耐熱性プラスチックまたは繊維に加工され得る芳香
族ポリエステルは2,6−酸とp−ヒドロキシ安息香酸と
から製造され得る(米国特許第4,393,191号)。プラス
チック、繊維および糸を得るための単量体として役立つ
ばかりでなく、2,6−酸は、例えば染料または織物助剤
を得るための合成構成単位(building block)としても
役立ち得る。
(実施例) 以下、実施例を用いて本発明による方法を説明する。
粗製または精製2,6−酸の色数(color number)は次の
ように測定した。
超音波浴中で1gの2,6−酸を100%濃度の酢酸80mlに溶
解し、この溶液を100%濃度の酢酸で100mlとする。次に
400nmでの吸収を分光光度計を用いて測定する。測定は
常にサンプルの溶解の開始後2時間以内に行う。次いで
400nmでの色数を式 から計算する。
100mlあたり1gを10,000ppmとして換算する。例1〜10
において、粗2,6−酸の色数は常に25.6×10-6であり例1
1においてそれは61.2×10-6であった。
例1 粗2,6−酸12.5gを水100mlと共に攪拌し、エチレング
リコールジメチルエーテル40mlの添加と加熱を用いて溶
解する。溶液を活性炭素2.5gで処理しそして濾過した
後、結晶が冷却時に沈澱し、これを濾取する。次いで得
られる物質を35容量%濃度のエタノール150mlから再結
晶する。乾燥後結晶性2,6−酸8.0gが得られた:融点246
〜247.5℃、色数5.3×10-6
例2 粗2,6−酸10gを、水100mlとジエチレングリコール45m
lとの混合物に加熱して溶解する。この溶液を30分間活
性炭素0.16gの存在下に還流し次いで濾過する。溶液か
ら晶出する生成物を濾取し水で洗浄する。乾燥後色数1
0.7×10-6が得られた。
例3 粗2,6−酸25gを水200mlと共に攪拌しながら加熱し1,4
−ジオキサン150mlを添加して溶解する。活性炭素5gで
処理した後、この溶液を冷却し晶出した2,6−酸を回収
し、水100容量部と1,4−ジオキサン60容量部との混合物
で洗浄する。結晶を35容量%濃度のエタノール200mlか
ら再結晶し洗浄する。
乾燥後、無色の結晶の収量は18gであった。融点は247
〜248.5℃そして色数は1.4×10-6であった。不純物(重
量%):2−ナフタレンスルホン酸0.002%未満;2−ヒド
ロキシナフタレン−3−カルボン酸0.05%未満;2−ナフ
トール0.05未満;6−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカ
ルボン酸0.05%;2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ジナフチ
ル0.05%未満。
粗2,6−酸は次の不純物を有している(重量%):2−
ナフタレンスルホン酸0.002%未満;2−ヒドロキシナフ
タレン−3−カルボン酸0.227%;2−ナフトール0.065
%;6−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸0.421
%;2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ジナフチル0.018%。
例4 粗2,6−酸12.5gを、水100mlおよびエチレングリコー
ル55mlに加熱して溶解する。熱溶液を13分間活性炭素1g
を用いて処理した後濾過する。濾液中に沈澱した結晶を
加熱して再び溶解する。次いで生成物をゆっくりと晶出
させる。濾過後結晶を25容量%濃度のエタノールで洗浄
する。乾燥後の収量:9.7g。
35容量%濃度のエタノール120mlから再結晶した生成
物の色数は9.2×10-6であった。
例5 粗2,6−酸12.5gを、水100mlおよび1,4−ジオキサン75
mlに加熱して溶解する。この溶液を活性炭素2.5gで処理
しそして濾過した後、溶液から色数3.4×10-6の2,6−酸
11.9gを晶出させる。
例6 粗2,6−酸12.5gを、水100mlおよびエチレングリコー
ルジメチルエーテル40mlに加熱して溶解しこの溶液を活
性炭素2.5gで処理する。次いで、濾過した溶液を結晶化
の目的で冷却する。次に、少量の希エタノールで洗浄し
た結晶を水とエチレングリコールジメチルエーテルとの
上記組成の混合物から再び再結晶する。収量:8.1g、色
数8.5×10-6
例7 粗2,6−酸12.5gを、水100mlおよび1,3−ジオキソラン
50mlに加熱して溶解する。活性炭素2.5gで処理後、溶液
を濾過し冷却して結晶を回収する。35容量%濃度のエタ
ノール120mlからの再結晶による収量は7.3gであった。
融点:246〜247.9℃、色数:7.8×10-6
例8 粗2,6−酸12.5gを、水100mlおよび1,3−ジオキソラン
50mlに加熱して溶解しそして活性炭素2.5gで処理する。
結晶を冷溶液から濾取し35容量%濃度のエタノールで洗
浄したのち再び水100mlおよび1,3−ジオキソラン50mlに
溶解しそこから再結晶する。収量:5.1g、色数:6.8×10
-6
例9 粗2,6−酸12.5gを1,4−ジオキサン180mlに加熱して溶
解する。この溶液を活性炭素2.5gで処理し濾過し冷却し
た後晶出した2,6−酸9.1gをこの溶液から回収する。35
容量%濃度のエタノール100mlからの再結晶および該結
晶の同一溶剤での洗浄による乾燥後の収量は6.7gであっ
た。色数は3.3××10-6であった。
例10 粗2,6−酸25gを、ジオキサン96mlおよび水24mlに攪拌
し加熱して溶解する。活性炭素1gで処理し濾過しそして
冷却した後、この溶液から晶出した2,6−酸が得られ、
これを濾取し25容量%濃度のエタノールで洗浄する。乾
燥後収量は18.2gであり色数は3.6×10-6であった。
例11 粗2,6−酸(色数61.2×10-6)25gを、水200mlおよび
ジオキサン150mlに攪拌し加熱して溶解する。活性炭素2
gで処理し濾過した後、冷却時の該溶液から結晶が得ら
れ、これを分離し25容量%濃度のエタノールで洗浄す
る。活性炭素1gで処理しながらこの生成物を再び水180m
lおよびジオキサン135mlから再結晶する。25容量%濃度
のエタノールで洗浄し乾燥した後、色数2.7×10-6の精
製した2,6−酸21.5gが得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハインリッヒ・フォルク ドイツ連邦共和国、バート・フイルベ ル、アム・ウアイセン・シュタイン、1 (72)発明者 ウエルネル・ウイキピール ドイツ連邦共和国、ロートガウ、エーゲ ルストラーセ、7 (72)発明者 ルドルフ・ネプ ドイツ連邦共和国、オッフェンバッハ、 アム・クリンゲルンライン、23 (56)参考文献 特開 平2−15046(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン
    酸を再結晶により精製する方法において、粗酸を水混和
    性直鎖状もしくは環状脂肪族エーテル、脂肪族ポリエー
    テルまたは脂肪族ヒドロキシエーテルからあるいはこれ
    らのエーテルの少なくとも10重量%濃度の水溶液から再
    結晶することを特徴とする2−ヒドロキシナフタレン−
    6−カルボン酸の精製方法。
  2. 【請求項2】再結晶がエチレングリコールジメチルエー
    テルの20〜90重量%濃度の水溶液から行われる請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】再結晶が1,4−ジオキサンの20〜90重量%
    濃度の水溶液から行われる請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】再結晶がジエチレングリコールの20〜90重
    量%濃度の水溶液から行われる請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】再結晶がトリエチレングリコールの20〜90
    重量%濃度の水溶液から行われる請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】再結晶がポリエチレングリコールの20〜90
    重量%濃度の水溶液から行われる請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】再結晶がエチレングリコールジメチルエー
    テルの35〜90重量%濃度の水溶液から行われる請求項1
    記載の方法。
  8. 【請求項8】再結晶が1,4−ジオキサンの35〜90重量%
    濃度の水溶液から行われる請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】再結晶が1,4−ジオキサンの少なくとも90
    重量%濃度の水溶液からまたは無水1,4−シオキサンか
    ら行われる請求項1記載の方法。
JP1005044A 1988-01-15 1989-01-13 2―ヒドロキシナフタレン―6―カルボン酸の精製方法 Expired - Lifetime JP2695223B2 (ja)

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