JP2694699B2 - ポリビニルアセタール系複合多孔体の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアセタール系複合多孔体の製造方法

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JP2694699B2 JP2062396A JP6239690A JP2694699B2 JP 2694699 B2 JP2694699 B2 JP 2694699B2 JP 2062396 A JP2062396 A JP 2062396A JP 6239690 A JP6239690 A JP 6239690A JP 2694699 B2 JP2694699 B2 JP 2694699B2
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幸治 長坂
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はポリビニルアセタール系多孔体中に、それと
は異なる構造,風合,色等をしたポリビニルアセタール
系多孔体が固定化されているポリビニルアセタール系複
合多孔体の製造方法に関する。
(従来の技術) ポリビニルアセタール(以下、「PVAt」と略記する)
系多孔体は、湿潤状態で好ましい柔軟性とゴム弾性を有
し、その独特の風合と気孔構造によって、例えば化粧用
のパフや化粧落し用の拭浄材あるいは洗顔具、更には角
質部分に対する擦過材等として汎用されている。
ところで、PVAt系多孔体の組織内に不連続的に異なっ
た構造,物性あるいは色等を有する部分を混在できれ
ば、様々な意匠を形成することもでき、外観的にも風合
としても、また機能的にも極めて面白いものであり、PV
At系多孔体の用途を更に拡大することが可能となる。
一般に、PVAt系多孔体は次のようにして製造される。
即ち、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記す
る)の水溶液に澱粉等の気孔形成材および架橋剤,酸触
媒を添加混合して反応原液となし、次にこの原液を型枠
に注型したのち加熱して架橋反応をさせ、反応生成物と
し、続いて得られた反応生成物を充分水洗いして気孔形
成材および未反応の架橋剤と酸触媒を除去する方法であ
る。
上述の方法において、気孔形成材の種類,大きさ,量
を変えることで、気孔径や気孔率を変えることができ、
また架橋条件を変えることでアセタール化度の異なるも
のが得られる。PVAt系多孔体は上記製造条件等を変える
ことで、それぞれの目的に応じた気孔構造や風合のもの
が製造され、それぞれの用途に用いられている。
しかしながら、従来の製造方法では、得られるPVAt系
多孔体の構造や物性は全体として均質なものであり、方
向性もなく、ひとつの組織の中に異なった構造や物性あ
るいは色を有する部分が混在する複合体を得ることはで
きなかった。
そこで、そのような複合体を得る方法として、例え
ば、単にPVAt系多孔体の切片を反応原液中に投入する方
法が考えられるが、この方法では切片が浮き上がり、分
散不良や偏在といった問題がおきやすく、また切片と原
液の界面における脱泡不良、更には反応後においても剥
離,分離等を起こしやすく、正常な製品を得ることが極
めて困難である。また、PVAt系多孔体の切片内部に反応
原液を含浸させる方法も考えられるが、この方法では、
切片の架橋反応が更に進み高アセタール化物となって、
投入されたPVAt系多孔体の切片は高アセタール化物とな
り、湿潤状態での柔軟性やゴム弾性に欠けたものしか得
られないといった欠点がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、PVAt系多孔体中に異種の構造,物
性,色等を有するPVAt系多孔体を混在させたPVAt系複合
多孔体を製造する方法を提供するにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の目的は、PVAt系多孔体が混入し、PVA,気孔形
成材,架橋剤よりなる反応原液を触媒の存在下で反応さ
せて得られた生成物から気孔形成材を除去してPVAt系複
合多孔体を製造するに際し、前記PVAt系多孔体が塩水溶
液を含浸し、見かけ上の比重が反応原液の比重と略等し
いことを特徴とするPVAt系複合多孔体の製造方法によっ
て達成される。
本発明においては、反応原液に投入するPVAt系多孔体
に対し、あらかじめ塩水溶液を含浸せしめ、PVAt系多孔
体の見かけ上の比重を反応原液の比重と同程度に調整す
る必要がある。ただし、PVAt系多孔体の見かけ比重をさ
ほど厳密なものではなく、肝要な点は反応原液中でPVAt
系多孔体が浮いたり偏在したりするのを実質的に防止せ
しめることである。従って、PVAt系多孔体の見かけ比重
は反応原液の比重よりも若干高めであってもよい。本発
明に用いるPVAt系多孔体は、公知のものから適宜のもの
を選択して使用すればよい。
本発明に用いる塩水溶液とは、水溶性の塩類を水に溶
解したものであって、反応原液と不活性なもので、具体
的には例えば硫酸ナトリウム,塩化ナトリウム等、強酸
と強塩基よりなる中性の塩の水溶液が好ましい。塩水溶
液の比重は、通常1.01〜1.20程度であるが、反応原液の
比重と同程度ないしやや高めに調整するのが好適であ
る。
本発明において、上記塩水溶液を含浸したPVAt系多孔
体は、PVAt系多孔体中の気孔を塩水溶液で満たし、気泡
をなくしたものが好ましく、例えば塩水溶液中にPVAt系
多孔体を浸漬し、圧搾復元をくり返し行ったものを使用
すると好ましい結果が得られる。
本発明の反応原液に用いるPVAは、特に限定されるも
のではなく、例えば平均重合度300〜3000、ケン化度80
モル%以上のものである。
本発明に用いる気孔形成材とは、澱粉やその他の有機
物の微粉末を用いることができるが、好ましくは植物か
ら抽出される澱粉粒である。澱粉粒は、植物の種類によ
って粒径が異なるので、目的とする気孔径に応じ適宜選
定すればよい。また大きな気孔径を得るために澱粉を一
旦α化させて乾燥したのち粉砕し必要に応じ分級した加
工化澱粉を用いることもできる。
本発明に用いる架橋剤としては、例えばホルムアルデ
ヒド,アセトアルデヒド等の脂肪族系のアルデヒド類、
ベンズアルデヒド等の芳香族系のアルデヒド類等が挙げ
られる。またアルデヒド基を1つ有するものでも、複数
有するものでもよい。
本発明に用いる酸触媒としては、例えば塩酸,硫酸等
の無機酸,酢酸,修酸,クエン酸,酪酸,マレイン酸,
ベンゼンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、通常塩酸,
硫酸が用いられる。
本発明の方法でPVAt系複合多孔体を製造するには、ま
ずPVAを温水に溶解してPVA水溶液となし、これに気孔形
成材の水分散液を加えて混合する。次に架橋剤及び酸触
媒を加えて充分撹拌混合し、得られた反応原液に上述の
塩水溶液を含浸したPVAt系多孔体を混入し、これを加熱
して架橋反応させる。反応終了後、得られた反応生成物
を取り出し水洗等により気孔形成材および未反応物を除
去すれば本発明のPVAt系複合多孔体が得られる。上記反
応原液には、必要に応じて着色材を添加してもよい。
上述の方法において、塩水溶液を含浸したPVAt系多孔
体は反応原液中に入れられた後中で押したりもんだりせ
ずそのまま反応工程に持ちこむ事が肝要である。そのま
ま置いておく事で、中に含まれた塩の水溶液とそれをと
りかこむ反応原液とは入れかわる事なく、即ちPVAt系多
孔体の内部に架橋剤が入りこむ事がないのでその部分の
アセタール化度が異常に進んだりする事がなく当初の状
態がそのまま維持される事が出来る。
しかしながらその界面においてのみ液の拡散現象が起
りわずかに反応原液が入りこみそこで反応を起すが、む
しろそれは混入されたPVAt系多孔体と新たに反応生成物
としてその周囲に出来上るPVAt系多孔体との接着の役割
をはたし、よりすぐれた製品を生みだす事になる。この
現象は、中に入れこむPVAt系多孔体の気孔径が、その周
囲に新たにできるPVAt系多孔体の気孔径よりも粗い(大
きい)場合においてより顕著でありより強く固着するも
のであり分離や剥離と言った好ましからざる現象の発生
をより効果的に防止する事が可能となる。実に上述の気
孔径の差をより大きいものとすると界面での液の入り込
む層が厚くなりその部分が周囲よりもやや密な層である
ため、部分的にやや硬い異和感をもつものとなるが、そ
れはそれで例えば摩擦,擦過を行なうためのヘチマの如
き感触を持つものとなり大いに利用価値はあるのであ
る。
従って、本発明に用いる気孔形成材としては、反応原
液に混入するPVAt系多孔体の気孔径よりも小さな気孔径
の気孔を形成させるものが好適である。
(発明の効果) 本発明の方法によれば、PVAt系多孔体に、それとは異
なる構造,物性,外観等をしたPVAt系多孔体が固定化さ
れている。従来にないPVAt系複合多孔体を製造すること
ができる。
本発明の方法で得られたものは、機能性もさる事なが
ら、異なった外観や色調を有するものを自在にくみ合わ
せる事による美観のよさを強調する事が出来、単色の美
しさやプリントの美しさに加えてモザイク調の配色の美
しさを加える事も出来る。また単純なPVAt系多孔体では
なく、他の機能性物質を含有したPVAt系多孔体を配する
事も可能である。更にPVAt系多孔体を規則的に配する事
によって例えば二層構造のシートやブロックを得る事も
可能である。
このように本発明方法は、産業界に資する事極めて大
であり、その利用価値は極めて高いものと言えよう。
以下、実施例により本発明を詳述する。
(実施例1) 平均気孔径250μm,気孔率92容量%のピンク色をしたP
VAt系多孔体をたて10mm,よこ50mm,厚さ1mmのシート状に
成形したPVAt系多孔体を数枚用意した。次に硫酸ナトリ
ウムの10重量%水溶液(比重1.085)を作り、この中に
先に用意したシート状のPVAt系多孔体を浸漬し、中で圧
搾復元をくり返して、完全に気泡を追い出し硫酸ナトリ
ウム水溶液を含浸せしめ、更に2時間そのまま放置し準
備した。
平均重合度1700のPVAの8重量%水溶液を800ml採取
し、これに馬鈴薯澱粉38gを水100mlに分散した分散液を
加え、充分に撹拌混合したのち水を加えて全量を1050ml
に調整した。更にこれに37%ホルムアルデヒド水溶液12
6mlと50%硫酸100mlを加え撹拌して均一スラリー状の液
を得た。得られた液に、先に準備したシート状のPVAt系
多孔体を数枚型枠の中に載置しておき、その中に前記反
応原液を静かに注入した後、この型枠をそのまま静かに
60℃で約20時間反応させた。反応原液は載置したシート
状のPVAt系多孔体が浮上したり偏在することなく反応が
進んだ。得られた反応生成物を型枠より取り出し、充分
水洗いして澱粉及び未反応物等を除去しPVAt系複合多孔
体を得た。得られたPVAt系複合多孔体は、新たに反応し
PVAt系多孔体となった部分が平均気孔径120μmの柔軟
なスポンジ状物性を示すものであった。これを約2mmの
厚味にスライスしチーフ状のものとしたところ、白地の
生地の中にピンクの粗地の部分が短冊状に配列された美
麗な製品を得る事が出来た。粗目の部分の肌ざわりと生
地の部分の肌ざわりのちがいが微妙なコントラストを生
み、タオルとして極めて使い勝手の良いものであった。
(実施例2) 青森ヒバの微粉末を約30重量%分散含有し、平均気孔
径500μm,気孔率92容量%のPVAt系多孔体を、1片7mm角
のサイコロ状に加工したものを用意し、実施例1と同様
にして硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた。
次に実施例1と同様にしてPVAt系複合多孔体としたの
ち、同様に厚さ2mmにスライスしチーフ状に加工した
所、白地の生地中にサイコロ状をした青森ヒバ入りスポ
ンジが点在するものであった。
このものは、青森ヒバ入りスポンジ自体のザラついた
タオル的感覚と界面の若干硬目の部分の感触がマッチ
し、浴用のスポンジとしてすぐれており、更に青森ヒバ
の芳香を有する高級感を伴なう製品を得る事が出来た。
また異質部分と生地部分の接着力は極めてすぐれており
長期間使用後も、剥離,損傷という現象は認められなか
った。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルアセタール系多孔体が混入し、
    ポリビニルアルコール,気孔形成材,架橋剤よりなる反
    応原液を触媒の存在下で反応させて得られた生成物から
    気孔形成材を除去してポリビニルアセタール系複合多孔
    体を製造するに際し、前記ポリビニルアセタール系多孔
    体が塩水溶液を含浸し、見かけ上の比重が反応原液の比
    重と略等しいことを特徴とするポリビニルアセタール系
    複合多孔体の製造方法。
JP2062396A 1990-03-12 1990-03-12 ポリビニルアセタール系複合多孔体の製造方法 Expired - Lifetime JP2694699B2 (ja)

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