JP2694548B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents
タイヤトレッド用ゴム組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、グリップ性能が幅広い温度範囲に渡って安
定であり、さらに雪氷路面の把握力にも優れたタイヤト
レッド用のゴム組成物に関する。
定であり、さらに雪氷路面の把握力にも優れたタイヤト
レッド用のゴム組成物に関する。
従来、自動車用タイヤに要求される性能としては、安
全性、経済性、乗り心地性等がある。近年、特に高速道
路網の発達に伴い車両の高速走行時におけるコーナリン
グ特性、ブレーキ性能等の操縦性、安全性をより向上さ
せたタイヤの出現が強く望まれている。タイヤの運動性
能、特にグリップ性能を高める方策として、トレッドゴ
ムの高ヒステリシスロス化を図ることにより路面との摩
擦力を高めることが重要である。すなわち、路面と摩擦
しているトレッド表面は、路面の微細な凹凸によって高
速度の変形を受けており、この周期的変形過程において
生じるヒステリシスロスによるエネルギー散逸が大きい
程、摩擦力が大きくなる。しかも摩擦面での変形はきわ
めて高速であるため、ウイリアムス−ランデル−フェリ
ーの温度時間換算則によれば、タイヤが使用される温度
よりも低い温度で測定されたヒステリシスロスに依存す
ることが知られている。実際、ヒステリシスロスの尺度
であるtanδ(損失係数)とタイヤの摩擦係数とは良い
相関を示すが、この場合、タイヤが使用される温度より
も30〜40℃低い温度で測定されたtanδが関与してい
る。従来、ゴム組成物のヒステリシスロスを大きくする
ためには、高スチレン含有スチレン−ブタジエン共重合
体ゴムのようなガラス転移温度(Tg)の高いゴムを配合
する方法に依っていた。これは、ゴムのtanδがTg付近
でピークを持つことから、摩擦性能に関与している温度
域(タイヤの走行温度を30℃とすれば、0℃に相当す
る)にtanδのピークを近づけることで、高いtanδを利
用しようとするものである。
全性、経済性、乗り心地性等がある。近年、特に高速道
路網の発達に伴い車両の高速走行時におけるコーナリン
グ特性、ブレーキ性能等の操縦性、安全性をより向上さ
せたタイヤの出現が強く望まれている。タイヤの運動性
能、特にグリップ性能を高める方策として、トレッドゴ
ムの高ヒステリシスロス化を図ることにより路面との摩
擦力を高めることが重要である。すなわち、路面と摩擦
しているトレッド表面は、路面の微細な凹凸によって高
速度の変形を受けており、この周期的変形過程において
生じるヒステリシスロスによるエネルギー散逸が大きい
程、摩擦力が大きくなる。しかも摩擦面での変形はきわ
めて高速であるため、ウイリアムス−ランデル−フェリ
ーの温度時間換算則によれば、タイヤが使用される温度
よりも低い温度で測定されたヒステリシスロスに依存す
ることが知られている。実際、ヒステリシスロスの尺度
であるtanδ(損失係数)とタイヤの摩擦係数とは良い
相関を示すが、この場合、タイヤが使用される温度より
も30〜40℃低い温度で測定されたtanδが関与してい
る。従来、ゴム組成物のヒステリシスロスを大きくする
ためには、高スチレン含有スチレン−ブタジエン共重合
体ゴムのようなガラス転移温度(Tg)の高いゴムを配合
する方法に依っていた。これは、ゴムのtanδがTg付近
でピークを持つことから、摩擦性能に関与している温度
域(タイヤの走行温度を30℃とすれば、0℃に相当す
る)にtanδのピークを近づけることで、高いtanδを利
用しようとするものである。
第3図は、スチレン含有量の異なる乳化重合スチレン
−ブタジエン共重合体ゴムのtanδ温度依存性を示した
ものである。スチレン含有量が多くなるとtanδのピー
ク温度が高温側に移動し、tanδのピークの裾野にあた
る0℃付近ではtanδ値が大きくなる。しかし同時に、
0℃付近でのtanδの温度依存性もまた大きくなり、従
ってタイヤのグリップ性能もまた、環境温度に因って大
きく変化してしまう。さらに、tanδのピークに対応し
て弾性率も急激に変化する。即ち、低温になるに従っ
て、弾性率が急激に大きくなるため、ゴムが路面の凹凸
に追従できない。あるいは、氷路面等の場合にはゴムが
全く変形できなくなってしまい、操縦性、制動性が低下
してしまうという問題があった。
−ブタジエン共重合体ゴムのtanδ温度依存性を示した
ものである。スチレン含有量が多くなるとtanδのピー
ク温度が高温側に移動し、tanδのピークの裾野にあた
る0℃付近ではtanδ値が大きくなる。しかし同時に、
0℃付近でのtanδの温度依存性もまた大きくなり、従
ってタイヤのグリップ性能もまた、環境温度に因って大
きく変化してしまう。さらに、tanδのピークに対応し
て弾性率も急激に変化する。即ち、低温になるに従っ
て、弾性率が急激に大きくなるため、ゴムが路面の凹凸
に追従できない。あるいは、氷路面等の場合にはゴムが
全く変形できなくなってしまい、操縦性、制動性が低下
してしまうという問題があった。
反対に高シスBRに代表されるようにTgの低いポリマー
を用いると、低温でのグリップ性能は良くなるが、一
方、0℃付近のtanδは低下してしまい、高温ではグリ
ップ能力が不足してしまうという矛盾を生じる。そこ
で、SBR/BRという異種ポリマー同士をブレンドすること
によって、あるいは小粒径カーボンを多量配合して、上
記した二律背反を調和させることが試みられている(D.
F.Moore,“The Friction of Pneumatic Tyres",Elasevi
er Scientific Publishing Company:1975,U.S.Patent N
o.4,748,168、特開昭62−12932号公報など)。
を用いると、低温でのグリップ性能は良くなるが、一
方、0℃付近のtanδは低下してしまい、高温ではグリ
ップ能力が不足してしまうという矛盾を生じる。そこ
で、SBR/BRという異種ポリマー同士をブレンドすること
によって、あるいは小粒径カーボンを多量配合して、上
記した二律背反を調和させることが試みられている(D.
F.Moore,“The Friction of Pneumatic Tyres",Elasevi
er Scientific Publishing Company:1975,U.S.Patent N
o.4,748,168、特開昭62−12932号公報など)。
しかしながら、このようなゴムはブレンドしたポリマ
ーの中間的性質を示すため、構成ポリマーの固有の長所
を生かしきれず、高温でのグリップも低温でのグリップ
も完全に満足できるものではないという欠点があり、ま
た小粒径カーボンの多量配合は加工性に難点があり、発
熱性が大きくなってしまう点が問題であった。
ーの中間的性質を示すため、構成ポリマーの固有の長所
を生かしきれず、高温でのグリップも低温でのグリップ
も完全に満足できるものではないという欠点があり、ま
た小粒径カーボンの多量配合は加工性に難点があり、発
熱性が大きくなってしまう点が問題であった。
このような二律背反に対する方策として、特開昭61−
66733号公報、特開昭62−62840号公報には、これらのブ
レンドポリマーに低温可塑剤を加える技術が開示されて
いるが、この場合、確かに低温グリップの向上は認めら
れるものの、高温ではゴム弾性率の低下が著しく、高温
での操縦安定性と低温でのグリップとの両立は満足でき
るレベルではない。この原因が、ポリマーの粘弾性的性
質に依存することは明らかである。従って、粘弾性の温
度依存性を制御するために、近年、主として有機リチウ
ム系開始剤を用いて作製されるSBR、BRの改質が試みら
れている。
66733号公報、特開昭62−62840号公報には、これらのブ
レンドポリマーに低温可塑剤を加える技術が開示されて
いるが、この場合、確かに低温グリップの向上は認めら
れるものの、高温ではゴム弾性率の低下が著しく、高温
での操縦安定性と低温でのグリップとの両立は満足でき
るレベルではない。この原因が、ポリマーの粘弾性的性
質に依存することは明らかである。従って、粘弾性の温
度依存性を制御するために、近年、主として有機リチウ
ム系開始剤を用いて作製されるSBR、BRの改質が試みら
れている。
ところで、自動車が遭遇する環境は様々であり、路面
温度だけを考えても数十度の変化がある。このような広
い温度範囲に渡ってグリップ性能を安定させるために
は、tanδピーク温度が比較的高く、且つ温度変化が少
ない、即ちtanδのピークがブロードであるようなゴム
が理想的である。tanδのピークをブロードにする試み
としては、ブロックポリマーが知られている。例えば、
特開昭57−102912号公報、特開昭57−109817号公報で
は、スチレンおよびブタジエン部のビニル結合量の異な
る2種類のSBRブロックからなるブロックポリマーが提
案されている。これらのブロックポリマーは、従来型の
ポリマーに比べると確かにtanδのピークが拡がっては
いるが、上述の如き数十度の温度範囲をカバーできる程
ではないし、2種類のブロックの組合せ方によってはピ
ーク温度位置がずれてしまい、グリップ性能の向上が望
めない場合もある。また、耐アイススキッド性について
は考慮されていず、満足するレベルではない。
温度だけを考えても数十度の変化がある。このような広
い温度範囲に渡ってグリップ性能を安定させるために
は、tanδピーク温度が比較的高く、且つ温度変化が少
ない、即ちtanδのピークがブロードであるようなゴム
が理想的である。tanδのピークをブロードにする試み
としては、ブロックポリマーが知られている。例えば、
特開昭57−102912号公報、特開昭57−109817号公報で
は、スチレンおよびブタジエン部のビニル結合量の異な
る2種類のSBRブロックからなるブロックポリマーが提
案されている。これらのブロックポリマーは、従来型の
ポリマーに比べると確かにtanδのピークが拡がっては
いるが、上述の如き数十度の温度範囲をカバーできる程
ではないし、2種類のブロックの組合せ方によってはピ
ーク温度位置がずれてしまい、グリップ性能の向上が望
めない場合もある。また、耐アイススキッド性について
は考慮されていず、満足するレベルではない。
さらに、特開昭54−62248号公報には、ブタジエン中
の1,2−ビニル結合量を増やすことによって、ウェット
グリップ性能の向上と転動抵抗の減少を両立させる技術
が開示されているが、これらのポリマーはTgが高く、必
然的に低温でのグリップ能力が劣ってしまう。二元ブロ
ック共重合体の組成については特開昭57−109817号公
報、特開昭57−108142号公報に開示されている。これら
は、スチレン量20〜50重量%、ビニル量40〜75重量%
で、高TgのSBRブロックと、スチレン量10重量%以下、
ビニル量20〜50重量%で、低TgのSBRブロックとを供重
合させるものであり、ウェットグリップ性能の向上と転
動抵抗の低減をはかれるとしている。特開昭57−102912
号公報には、二元ブロック共重合体にスチレン量、ビニ
ル量がそれぞれ10〜50重量%、20〜50重量%のブロック
と、1〜30重量%、60重量%以上のブロックとを使用す
ると、それらは互いにソリュービリティーパラメーター
が異なるため未加硫時には各ブロックに対応したTgを示
すが、加硫工程によって相互に相溶し、単一のTgを持つ
ようになり、その結果、tanδ−温度曲線のピークが極
めてブロードなものになることが示されている。特開昭
60−192739号公報では、スチレン量10〜80重量%、ビニ
ル量30〜70重量%のSBRブロックにビニル量60重量%以
下のブタジエンをブロック共重合させる際に、両者のTg
の差を30℃以上とし、ビニル結合の分布幅を広くし、転
移領域の温度幅を広げることによってtanδのピークを
ブロードとすることが可能であり、従ってウェットスキ
ッド物性、アイススキッド物性、転動抵抗、破壊特性の
高度のバランス化がはかれるとしている。特開昭61−55
135号公報では、特開昭60−192739号公報に開示された
ブロック共重合体の重量平均分子量/数平均分子量の比
を1.8〜5.0とすることによってさらに性能バランスが良
くなるとしている。しかしながら、これらの技術ではta
nδのピークはブロードになるものの、同時にtanδの絶
対値そのものの低下が不可避であり、ウェットグリップ
性能、操縦安定性、アイススキッド性能をバランスさせ
ることは可能であっても、各性能を非常に高いレベルで
達成するという目標には未だ不満である。特開昭61−23
1016号公報においても、3つのSBRブロックからなるブ
ロックポリマーが開示されており、比較的良好な耐アイ
ススキッド性能と良くバランスしたウェットグリップ性
能を有しているが、未だ要求されるレベルを満足するに
は致っていない。
の1,2−ビニル結合量を増やすことによって、ウェット
グリップ性能の向上と転動抵抗の減少を両立させる技術
が開示されているが、これらのポリマーはTgが高く、必
然的に低温でのグリップ能力が劣ってしまう。二元ブロ
ック共重合体の組成については特開昭57−109817号公
報、特開昭57−108142号公報に開示されている。これら
は、スチレン量20〜50重量%、ビニル量40〜75重量%
で、高TgのSBRブロックと、スチレン量10重量%以下、
ビニル量20〜50重量%で、低TgのSBRブロックとを供重
合させるものであり、ウェットグリップ性能の向上と転
動抵抗の低減をはかれるとしている。特開昭57−102912
号公報には、二元ブロック共重合体にスチレン量、ビニ
ル量がそれぞれ10〜50重量%、20〜50重量%のブロック
と、1〜30重量%、60重量%以上のブロックとを使用す
ると、それらは互いにソリュービリティーパラメーター
が異なるため未加硫時には各ブロックに対応したTgを示
すが、加硫工程によって相互に相溶し、単一のTgを持つ
ようになり、その結果、tanδ−温度曲線のピークが極
めてブロードなものになることが示されている。特開昭
60−192739号公報では、スチレン量10〜80重量%、ビニ
ル量30〜70重量%のSBRブロックにビニル量60重量%以
下のブタジエンをブロック共重合させる際に、両者のTg
の差を30℃以上とし、ビニル結合の分布幅を広くし、転
移領域の温度幅を広げることによってtanδのピークを
ブロードとすることが可能であり、従ってウェットスキ
ッド物性、アイススキッド物性、転動抵抗、破壊特性の
高度のバランス化がはかれるとしている。特開昭61−55
135号公報では、特開昭60−192739号公報に開示された
ブロック共重合体の重量平均分子量/数平均分子量の比
を1.8〜5.0とすることによってさらに性能バランスが良
くなるとしている。しかしながら、これらの技術ではta
nδのピークはブロードになるものの、同時にtanδの絶
対値そのものの低下が不可避であり、ウェットグリップ
性能、操縦安定性、アイススキッド性能をバランスさせ
ることは可能であっても、各性能を非常に高いレベルで
達成するという目標には未だ不満である。特開昭61−23
1016号公報においても、3つのSBRブロックからなるブ
ロックポリマーが開示されており、比較的良好な耐アイ
ススキッド性能と良くバランスしたウェットグリップ性
能を有しているが、未だ要求されるレベルを満足するに
は致っていない。
本発明は、グリップ性能が幅広い温度範囲に渡って安
定であり、さらに雪氷路面の把握力にも優れたタイヤト
レッド用ゴム組成物を提供することを目的とする。この
組成物は、オールシーズンタイプの高性能タイヤに好適
である。
定であり、さらに雪氷路面の把握力にも優れたタイヤト
レッド用ゴム組成物を提供することを目的とする。この
組成物は、オールシーズンタイプの高性能タイヤに好適
である。
本発明者らは、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムに
おいてtanδのピークをブロードにし、さらに摩擦に関
与する温度域でのtanδの絶対値を高めるべく鋭意検討
した結果、特定範囲に限定されたスチレン含有量および
ガラス転移温度を有し、かつTg転移温度幅の狭いスチレ
ン−ブタジエン共重合体ブロックと、特定範囲のガラス
転移温度を有し、かつTg転移温度幅の狭いブタジエンブ
ロックとから成るブロック共重合体が上記目的を達成し
得ることを見出し本発明に到達した。本発明の骨子は、
Tgが高い、従ってグリップ性能の高いSBRと、Tgが低
い、すなわちスノー・アイス性能の優れたBRを組み合わ
せて両者の長所のみを合わせ持った単一ポリマーを作る
ことであり、そのためには従来技術とは逆に二元ブロッ
ク共重合体を構成するブロックポリマーのTgが60℃以上
離れており、かつ転移温度幅が12℃以下である必要があ
ることを見出したことが本発明の動機となっている。
おいてtanδのピークをブロードにし、さらに摩擦に関
与する温度域でのtanδの絶対値を高めるべく鋭意検討
した結果、特定範囲に限定されたスチレン含有量および
ガラス転移温度を有し、かつTg転移温度幅の狭いスチレ
ン−ブタジエン共重合体ブロックと、特定範囲のガラス
転移温度を有し、かつTg転移温度幅の狭いブタジエンブ
ロックとから成るブロック共重合体が上記目的を達成し
得ることを見出し本発明に到達した。本発明の骨子は、
Tgが高い、従ってグリップ性能の高いSBRと、Tgが低
い、すなわちスノー・アイス性能の優れたBRを組み合わ
せて両者の長所のみを合わせ持った単一ポリマーを作る
ことであり、そのためには従来技術とは逆に二元ブロッ
ク共重合体を構成するブロックポリマーのTgが60℃以上
離れており、かつ転移温度幅が12℃以下である必要があ
ることを見出したことが本発明の動機となっている。
本発明は、ガラス転移温度が−100℃〜−70℃で、転
移温度幅が12℃以下のブタジエンブロック(A)と、結
合スチレンを20〜50重量%含み、ガラス転移温度が−20
℃〜+15℃で、転移温度幅が12℃以下のスチレン−ブタ
ジエン共重合体ブロック(B)とからなり、前記ブロッ
ク(A)と前記ブロック(B)とのガラス転移温度の差
は60℃以上であり、共重合体全体として全結合スチレン
が10〜25重量%、全ブタジエン部のビニル結合量が20〜
45重量%であり、重量平均分子量が20×104以上である
スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを90〜50重
量部、天然ゴム又はイソプレンゴムを残部としたゴム分
合計100重量部に対し、窒素比表面積100m2/g以上である
カーボンブラックを80〜130重量部、粘度比重恒数0.90
〜0.98の石油系軟化剤を20〜90重量部配合し、−30℃に
おける剪断貯蔵弾性率が500MPa以下であることを特徴と
するタイヤトレッド用ゴム組成物を要旨とする。
移温度幅が12℃以下のブタジエンブロック(A)と、結
合スチレンを20〜50重量%含み、ガラス転移温度が−20
℃〜+15℃で、転移温度幅が12℃以下のスチレン−ブタ
ジエン共重合体ブロック(B)とからなり、前記ブロッ
ク(A)と前記ブロック(B)とのガラス転移温度の差
は60℃以上であり、共重合体全体として全結合スチレン
が10〜25重量%、全ブタジエン部のビニル結合量が20〜
45重量%であり、重量平均分子量が20×104以上である
スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを90〜50重
量部、天然ゴム又はイソプレンゴムを残部としたゴム分
合計100重量部に対し、窒素比表面積100m2/g以上である
カーボンブラックを80〜130重量部、粘度比重恒数0.90
〜0.98の石油系軟化剤を20〜90重量部配合し、−30℃に
おける剪断貯蔵弾性率が500MPa以下であることを特徴と
するタイヤトレッド用ゴム組成物を要旨とする。
以下、この手段につき詳しく説明する。
(1) ゴム分。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム90〜50重
量部と天然ゴム又はイソプレンゴム(IR)の残部(10〜
50重量部)からなる。
量部と天然ゴム又はイソプレンゴム(IR)の残部(10〜
50重量部)からなる。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムは、Tg
が−00℃〜−70℃で、転移温度幅が12℃以下のブタジエ
ンブロック(A)と、結合スチレンを20〜50重量%含
み、Tgが−20℃〜+15℃で、転移温度幅が12℃以下のス
チレン−ブタジエン共重合体ブロック(B)とからな
り、ブロック(A)とブロック(B)とのガラス転移温
度の差は60℃以上であって、共重合体全体として全結合
スチレンが10〜25重量%、全ブタジエン部のビニル結合
量が20〜45重量%であり、重量平均分子量が20×104以
上である。
が−00℃〜−70℃で、転移温度幅が12℃以下のブタジエ
ンブロック(A)と、結合スチレンを20〜50重量%含
み、Tgが−20℃〜+15℃で、転移温度幅が12℃以下のス
チレン−ブタジエン共重合体ブロック(B)とからな
り、ブロック(A)とブロック(B)とのガラス転移温
度の差は60℃以上であって、共重合体全体として全結合
スチレンが10〜25重量%、全ブタジエン部のビニル結合
量が20〜45重量%であり、重量平均分子量が20×104以
上である。
ブロック(A)のTgは−100℃〜−70℃であり、もう
一方のブロック(B)のTgは−20℃〜+15℃であること
が必須であり、さらにその差は60℃以上である必要があ
る。即ち、各ブロックのTgの差が60℃未満では、各ブロ
ックが互いに相溶してしまい、tanδのピークが充分に
ブロードにならない。さらに、転移温度幅がそれぞれ12
℃以下でなければならない。というのは、仮にTgが60℃
以上離れていても転移温度幅が12℃以上であると、部分
的ではあるが両者は相溶してしまい、得られるtanδ−
温度曲線が両者の中間の性質を示すものとなってしまい
好ましくない。
一方のブロック(B)のTgは−20℃〜+15℃であること
が必須であり、さらにその差は60℃以上である必要があ
る。即ち、各ブロックのTgの差が60℃未満では、各ブロ
ックが互いに相溶してしまい、tanδのピークが充分に
ブロードにならない。さらに、転移温度幅がそれぞれ12
℃以下でなければならない。というのは、仮にTgが60℃
以上離れていても転移温度幅が12℃以上であると、部分
的ではあるが両者は相溶してしまい、得られるtanδ−
温度曲線が両者の中間の性質を示すものとなってしまい
好ましくない。
特開昭60−192739号公報、61−55135号公報では、二
元ブロック共重合体の各ブロックのTg差が30℃以上でか
つ転移温度幅が広いことによってtanδ−温度曲線がブ
ロードなものとなることが指摘されている。このような
ブロック共重合体は、未加硫時に2つのTg点を持つが加
硫により両者は相溶し一体化するので、一つのブロード
なピークを持つに至るのであるが、本発明者らの見解に
よれば、Tgが合一化してしまっては各ブロックの単体と
しての長所を生かすことができず、結果的にその物性は
構成ポリマーをブレンドしたものと同じになってしま
う。つまり、従来技術であるSBR/BRのポリマーブレンド
に比較して物性バランスという点では改良されるもの
の、飛び抜けて良い物性を示すというわけではない。従
って、逆に二元ブロックポリマーの性質を共重合化の後
でも残しておくために、積極的にブロックポリマー同士
を非相溶にできないかと考え、そのためのポリマー構成
を検討したところ、ここに述べたような条件下でならば
各構成ポリマー単体の特有の性質を残した改良された二
元ブロックポリマーを得ることができたのである。
元ブロック共重合体の各ブロックのTg差が30℃以上でか
つ転移温度幅が広いことによってtanδ−温度曲線がブ
ロードなものとなることが指摘されている。このような
ブロック共重合体は、未加硫時に2つのTg点を持つが加
硫により両者は相溶し一体化するので、一つのブロード
なピークを持つに至るのであるが、本発明者らの見解に
よれば、Tgが合一化してしまっては各ブロックの単体と
しての長所を生かすことができず、結果的にその物性は
構成ポリマーをブレンドしたものと同じになってしま
う。つまり、従来技術であるSBR/BRのポリマーブレンド
に比較して物性バランスという点では改良されるもの
の、飛び抜けて良い物性を示すというわけではない。従
って、逆に二元ブロックポリマーの性質を共重合化の後
でも残しておくために、積極的にブロックポリマー同士
を非相溶にできないかと考え、そのためのポリマー構成
を検討したところ、ここに述べたような条件下でならば
各構成ポリマー単体の特有の性質を残した改良された二
元ブロックポリマーを得ることができたのである。
高温側Tgを持つブロック(B)のTgは、−20℃〜+15
℃である必要がある。というのは−20℃未満では、グリ
ップ性能に関与している温度領域のtanδを大きくする
ことができず、+15℃より高い場合には、発熱性が悪化
してしまいタイヤの耐久性に悪影響を与えると共に、雪
氷路面グリップが救い難い程悪化してしまう。このよう
なTgを得るためのスチレン量と1,2−ビニル量としては
ブロック(B)のスチレン含有量は20重量%以上が望ま
しく、スチレン含有量が20重量%未満では要件とするTg
を有する共重合体を得ることができず、また反対にスチ
レン含有量が50重量%より多い場合はスチレンブロック
ができやすくなり、耐摩耗性、破断特性の点で好ましく
ない。Tgとスチレン量の関係からビニル量は制限される
が、おおむね40〜75重量%が望ましい範囲である。
℃である必要がある。というのは−20℃未満では、グリ
ップ性能に関与している温度領域のtanδを大きくする
ことができず、+15℃より高い場合には、発熱性が悪化
してしまいタイヤの耐久性に悪影響を与えると共に、雪
氷路面グリップが救い難い程悪化してしまう。このよう
なTgを得るためのスチレン量と1,2−ビニル量としては
ブロック(B)のスチレン含有量は20重量%以上が望ま
しく、スチレン含有量が20重量%未満では要件とするTg
を有する共重合体を得ることができず、また反対にスチ
レン含有量が50重量%より多い場合はスチレンブロック
ができやすくなり、耐摩耗性、破断特性の点で好ましく
ない。Tgとスチレン量の関係からビニル量は制限される
が、おおむね40〜75重量%が望ましい範囲である。
また、ブロック(A)のTgは−100℃〜−70℃である
必要がある。−70℃より高い場合には低温における弾性
率が高くなり、雪氷路面グリップ性能が低下してしまう
からである。一方、−100℃より低いTgを持つブタジエ
ンブロックを得るには実用的に問題がある。ビニル含有
量はTgにより決まるが、おおむね5〜25重量%になる。
さらに、ブロック(A)とブロック(B)のTgの差が60
℃未満であると両者は相溶して一つのブロードなtanδ
−温度曲線を持つようになる。このような相溶系共重合
体粘弾性の温度依存性は、例えば低転動抵抗タイヤ用と
しては適切なものであるが、本発明の目的であるオール
シーズン高性能タイヤ用トレッドゴム物性としては、ta
nδ−温度曲線が単にブロードなだけでなく、台形状
で、かつtanδの絶対値そのものが大きいことが必要で
ある(「ヒステリシス摩擦の温度依存性について」:日
本ゴム協会誌'88.10月号)。そのためには、ブロック
(A)とブロック(B)は非相溶ないしは半相溶の状態
にあることが重要であり、Tgの温度差は60℃以上でなけ
れば、このような台形状のtanδ−温度曲線は得ること
ができない。
必要がある。−70℃より高い場合には低温における弾性
率が高くなり、雪氷路面グリップ性能が低下してしまう
からである。一方、−100℃より低いTgを持つブタジエ
ンブロックを得るには実用的に問題がある。ビニル含有
量はTgにより決まるが、おおむね5〜25重量%になる。
さらに、ブロック(A)とブロック(B)のTgの差が60
℃未満であると両者は相溶して一つのブロードなtanδ
−温度曲線を持つようになる。このような相溶系共重合
体粘弾性の温度依存性は、例えば低転動抵抗タイヤ用と
しては適切なものであるが、本発明の目的であるオール
シーズン高性能タイヤ用トレッドゴム物性としては、ta
nδ−温度曲線が単にブロードなだけでなく、台形状
で、かつtanδの絶対値そのものが大きいことが必要で
ある(「ヒステリシス摩擦の温度依存性について」:日
本ゴム協会誌'88.10月号)。そのためには、ブロック
(A)とブロック(B)は非相溶ないしは半相溶の状態
にあることが重要であり、Tgの温度差は60℃以上でなけ
れば、このような台形状のtanδ−温度曲線は得ること
ができない。
ブロック(A)、(B)共に転移温度幅は12℃以下で
なければならない。12℃より大きい場合には、Tgの差が
60℃以上であっても各ブロックが部分的に相溶してしま
い、tanδ−温度曲線がオールシーズン高性能タイヤと
して望ましくない。重量平均分子量は、加工および破断
物性のために20×104以上、好ましくは100×104以下で
あることが必要である。
なければならない。12℃より大きい場合には、Tgの差が
60℃以上であっても各ブロックが部分的に相溶してしま
い、tanδ−温度曲線がオールシーズン高性能タイヤと
して望ましくない。重量平均分子量は、加工および破断
物性のために20×104以上、好ましくは100×104以下で
あることが必要である。
従来公開された特許公報に見られる二元共重合体ブロ
ックの目的は低転動抵抗とウェット摩擦の両立であり、
この点で本発明の目的とするオールシーズン高性能タイ
ヤとは異なっている。従って、望ましい粘弾性の温度依
存性もまた異なり、その結果として各ブロックのスチレ
ン−ビニル組成、あるいは結合方法なども従来特許と大
幅に異なるものとならざるを得ない。
ックの目的は低転動抵抗とウェット摩擦の両立であり、
この点で本発明の目的とするオールシーズン高性能タイ
ヤとは異なっている。従って、望ましい粘弾性の温度依
存性もまた異なり、その結果として各ブロックのスチレ
ン−ビニル組成、あるいは結合方法なども従来特許と大
幅に異なるものとならざるを得ない。
従って、本発明は次の点で従来の発明と異なってお
り、得られたポリマーは十分新規性を有すると言える。
り、得られたポリマーは十分新規性を有すると言える。
1.ブロック(A)、(B)を構成するスチレン量、ビニ
ル量が異なる。
ル量が異なる。
2.ブロック(A)、(B)のTgの差が60℃以上である。
3.ブロック(A)、(B)のTg転移温度幅がそれぞれ12
℃以下であること。
℃以下であること。
本発明においては、高分子量成分ほど、ブロック
(A)をより多く含むようにすることはさらに良い。と
いうのは、各ブロックの比率が分子量によらず一定であ
る場合には、低温時、高Tgブロックの分子鎖が凍結した
時に、低Tg側ブロックの分子鎖の運動が阻害されるた
め、低温時の弾性率を低くすることが困難になるからあ
る。さらに、より高温になり、高Tg側ブロックの分子鎖
が運動し始めると、今度は全体のモビリティの温度依存
性が急激に大きくなるため、tanδが急激に低下してし
まい、曲線がブロードなものになりにくいからである。
同時に末端変性、又はカップリング等、共重合体の改質
技術として公知の技術を応用することも、本発明の目標
である粘弾性の温度依存性の改良に悪影響を与えない範
囲で、望ましいことである。
(A)をより多く含むようにすることはさらに良い。と
いうのは、各ブロックの比率が分子量によらず一定であ
る場合には、低温時、高Tgブロックの分子鎖が凍結した
時に、低Tg側ブロックの分子鎖の運動が阻害されるた
め、低温時の弾性率を低くすることが困難になるからあ
る。さらに、より高温になり、高Tg側ブロックの分子鎖
が運動し始めると、今度は全体のモビリティの温度依存
性が急激に大きくなるため、tanδが急激に低下してし
まい、曲線がブロードなものになりにくいからである。
同時に末端変性、又はカップリング等、共重合体の改質
技術として公知の技術を応用することも、本発明の目標
である粘弾性の温度依存性の改良に悪影響を与えない範
囲で、望ましいことである。
このようなブロック共重合体を製造する方法として
は、例えばブロック(A)およびブロック(B)それぞ
れのスチレン量と1,3−ブタジエン量を所定の率にあわ
せて、炭化水素溶媒中でエーテル等の極性化合物を分散
剤として用い、リチウム系重合開始剤の存在下でスチレ
ンおよびブタジエンを重合温度、比率および仕込み量、
重合開始剤等を制御しつつ共重合させれば良い。この方
法は回分式であっても連続重合式でもかまわない。
は、例えばブロック(A)およびブロック(B)それぞ
れのスチレン量と1,3−ブタジエン量を所定の率にあわ
せて、炭化水素溶媒中でエーテル等の極性化合物を分散
剤として用い、リチウム系重合開始剤の存在下でスチレ
ンおよびブタジエンを重合温度、比率および仕込み量、
重合開始剤等を制御しつつ共重合させれば良い。この方
法は回分式であっても連続重合式でもかまわない。
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムに
対し、天然ゴム又はIRをブレンドすることは、実用的見
地から重要である。というのは、自動車タイヤは舗装路
のみならず、悪路、不整路を走行する機会がすくなから
ずあり、そのような時には天然ゴムをブレンドすること
によってチッピング、カットなどの急激な外力によるト
レッド損傷を軽減することができるからである。このた
めには、10重量部以上の配合量を必要とする。反対にん
天然ゴム又はIRの配合量が多すぎては、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体ゴムの本質的な性質が薄められ
てしまい、グリップ性能が低下してしまうため、50重量
部以下の配合量に抑える必要がある。
対し、天然ゴム又はIRをブレンドすることは、実用的見
地から重要である。というのは、自動車タイヤは舗装路
のみならず、悪路、不整路を走行する機会がすくなから
ずあり、そのような時には天然ゴムをブレンドすること
によってチッピング、カットなどの急激な外力によるト
レッド損傷を軽減することができるからである。このた
めには、10重量部以上の配合量を必要とする。反対にん
天然ゴム又はIRの配合量が多すぎては、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体ゴムの本質的な性質が薄められ
てしまい、グリップ性能が低下してしまうため、50重量
部以下の配合量に抑える必要がある。
(2) カーボンブラック。
窒素比表面積100m2/g以上のものである。具体的に
は、例えば、ISAF、SAFなどである。なお、窒素比表面
積が100m2/g未満の場合には、グリップ性能が劣り、さ
らに耐摩耗性が不十分なものとなる。
は、例えば、ISAF、SAFなどである。なお、窒素比表面
積が100m2/g未満の場合には、グリップ性能が劣り、さ
らに耐摩耗性が不十分なものとなる。
(3) 石油系軟化剤。
粘度比重恒数0.90〜0.98のものである。例えばパラフ
ィン油の如く粘度比重恒数が0.90未満であるものはグリ
ップ性能に劣り、0.98超では混合時の軟化作用が不十分
となる。。この石油系軟化剤としては、例えば、芳香族
系アロマ油、高芳香族系アロマ油が挙げられる。
ィン油の如く粘度比重恒数が0.90未満であるものはグリ
ップ性能に劣り、0.98超では混合時の軟化作用が不十分
となる。。この石油系軟化剤としては、例えば、芳香族
系アロマ油、高芳香族系アロマ油が挙げられる。
(4) 本発明のゴム組成物は、上記ゴム分100重量部
に対し、上記カーボンブラック80〜130重量部、および
上記石油系軟化剤20〜90重量部を配合してなるものであ
る。
に対し、上記カーボンブラック80〜130重量部、および
上記石油系軟化剤20〜90重量部を配合してなるものであ
る。
自動車タイヤ用トレッドとして実用化されるために耐
摩耗性、操縦安定性などにも充分な性能を有していなけ
ればならない。操縦安定性を高性能タイヤにふさわしい
程度に高めるためには、窒素比表面積で100m2/g以上の
小粒径カーボンブラックを80重量部以上配合する必要が
ある。しかしながら、130重量部超であっては、耐摩耗
性と発熱性が著しく劣るため、それ以下にしなければな
らない。また、タイヤの他の特性としては、乗心地、騒
音、制動性能などがあるが、これらの性質を向上させる
ために、さらにはタイヤ製造時の加工性のためにも進展
油(石油系軟化剤)を配合する必要がある。伸展油の粘
度比重恒数は0.90未満では制動性能の向上が認められ
ず、0.90〜0.98の芳香族系伸展油がよい。伸展油の配合
量は、カーボンブラックの配合量に応じて適宜増減し
て、トレッドゴム弾性率を調節することが必要である。
ただし、20重量部未満では配合ゴムの伸びが出ないため
チッピング、カット性に劣り、また、加工性も困難であ
るため好ましくない。反対に90重量部を越えては強度が
低下してしまい、さらに耐摩耗性が著しく不良となるた
め実用にすることは困難である。
摩耗性、操縦安定性などにも充分な性能を有していなけ
ればならない。操縦安定性を高性能タイヤにふさわしい
程度に高めるためには、窒素比表面積で100m2/g以上の
小粒径カーボンブラックを80重量部以上配合する必要が
ある。しかしながら、130重量部超であっては、耐摩耗
性と発熱性が著しく劣るため、それ以下にしなければな
らない。また、タイヤの他の特性としては、乗心地、騒
音、制動性能などがあるが、これらの性質を向上させる
ために、さらにはタイヤ製造時の加工性のためにも進展
油(石油系軟化剤)を配合する必要がある。伸展油の粘
度比重恒数は0.90未満では制動性能の向上が認められ
ず、0.90〜0.98の芳香族系伸展油がよい。伸展油の配合
量は、カーボンブラックの配合量に応じて適宜増減し
て、トレッドゴム弾性率を調節することが必要である。
ただし、20重量部未満では配合ゴムの伸びが出ないため
チッピング、カット性に劣り、また、加工性も困難であ
るため好ましくない。反対に90重量部を越えては強度が
低下してしまい、さらに耐摩耗性が著しく不良となるた
め実用にすることは困難である。
本発明のゴム組成物は、このようにしてなるものであ
るが、−30℃における剪断貯蔵弾性率が500MPa以下であ
ることを必要とする。一般にゴム状物質はTg以下の温度
ではガラス状態であり、弾性率は常温下の100倍以上に
もなり、もろく、わずかの歪で破壊するようになる。こ
のときの温度を低温脆化温度といい、ゴム材料の低温性
能の指標として知られている。しかし、本発明のゴム組
成物のように、弾性率の温度変化が緩やかな場合には、
単純にTgから脆化温度を推定することはできない。第1
図は、種々のゴム組成物について、低温脆化温度と、そ
の温度における剪断貯蔵弾性率(G′)をプロットした
ものである。これより、どの試料も脆化温度における
G′値が500MPaを越えていることが判る。従って、500M
Pa以下であれば脆化温度を越えていないといえる。ま
た、−30℃での剪断貯蔵弾性率としたのは、−30℃より
も低温でタイヤが使用されることは、通常無いからであ
る。なお、この剪断弾性率は、動的ねじり試験機を用い
て、歪0.5%、周波数20Hzで測定されるものである。
るが、−30℃における剪断貯蔵弾性率が500MPa以下であ
ることを必要とする。一般にゴム状物質はTg以下の温度
ではガラス状態であり、弾性率は常温下の100倍以上に
もなり、もろく、わずかの歪で破壊するようになる。こ
のときの温度を低温脆化温度といい、ゴム材料の低温性
能の指標として知られている。しかし、本発明のゴム組
成物のように、弾性率の温度変化が緩やかな場合には、
単純にTgから脆化温度を推定することはできない。第1
図は、種々のゴム組成物について、低温脆化温度と、そ
の温度における剪断貯蔵弾性率(G′)をプロットした
ものである。これより、どの試料も脆化温度における
G′値が500MPaを越えていることが判る。従って、500M
Pa以下であれば脆化温度を越えていないといえる。ま
た、−30℃での剪断貯蔵弾性率としたのは、−30℃より
も低温でタイヤが使用されることは、通常無いからであ
る。なお、この剪断弾性率は、動的ねじり試験機を用い
て、歪0.5%、周波数20Hzで測定されるものである。
以下に実施例および比較例を示す。
表1に示す構造を持つ二元ブロック共重合体A〜Dを
作製した。さらに、これらの共重合体と配合剤を表2に
示す配合で加硫した。表中の数字は、断らない限り重量
部である。加硫の条件は160℃×20分であり、2mm厚のゴ
ムシートを得た。このシートの物性を測定した。なお、
この測定は下記の方法で行なった。ブタジエン部分のビ
ニル結合量はモレロ法により、スチレン含量は赤外分光
計を用い、ハンプトン法により求めた。Tgおよび転移温
度幅はデュポン社製のTHERMAL ANALYZERを用い、昇温速
度10℃/分で測定し、それぞれ外挿開始温度および第2
図に示す方法により決定した。第2図は、DSC曲線を示
したもので、縦軸はガラス転移点付近における熱流量を
示す。また、重量平均分子量MWは、GPCによりポリスチ
レン換算で示した。引張強度TBおよび破断伸びEBは、JI
S K6301によった。−30℃における剪断弾性率G′(−3
0℃)および0℃におけるtanδは、RHEOMETRICS社製動
的粘弾性測定装置を用い、周波数20Hz、剪断歪0.5%で
測定した。
作製した。さらに、これらの共重合体と配合剤を表2に
示す配合で加硫した。表中の数字は、断らない限り重量
部である。加硫の条件は160℃×20分であり、2mm厚のゴ
ムシートを得た。このシートの物性を測定した。なお、
この測定は下記の方法で行なった。ブタジエン部分のビ
ニル結合量はモレロ法により、スチレン含量は赤外分光
計を用い、ハンプトン法により求めた。Tgおよび転移温
度幅はデュポン社製のTHERMAL ANALYZERを用い、昇温速
度10℃/分で測定し、それぞれ外挿開始温度および第2
図に示す方法により決定した。第2図は、DSC曲線を示
したもので、縦軸はガラス転移点付近における熱流量を
示す。また、重量平均分子量MWは、GPCによりポリスチ
レン換算で示した。引張強度TBおよび破断伸びEBは、JI
S K6301によった。−30℃における剪断弾性率G′(−3
0℃)および0℃におけるtanδは、RHEOMETRICS社製動
的粘弾性測定装置を用い、周波数20Hz、剪断歪0.5%で
測定した。
比較例3,4は乳化重合SBRと天然ゴムのブレンドの例で
ある。比較例3では、低温性能は良好であるがtanδ
(0℃)が低くウェット性能は劣る。逆に、比較例4で
はtanδは高いが低温性能は不可である。また、比較例
1、2は、トータルのビニル量が高いスチレン−ブタジ
エン共重合体ゴムを使用した天然ゴムとのブレンドの例
であって、tanδ(0℃)は充分であるが、低温性能は
不可である。これらに比べ実施例1〜2は、両性能のバ
ランスの取れたものとなっている。
ある。比較例3では、低温性能は良好であるがtanδ
(0℃)が低くウェット性能は劣る。逆に、比較例4で
はtanδは高いが低温性能は不可である。また、比較例
1、2は、トータルのビニル量が高いスチレン−ブタジ
エン共重合体ゴムを使用した天然ゴムとのブレンドの例
であって、tanδ(0℃)は充分であるが、低温性能は
不可である。これらに比べ実施例1〜2は、両性能のバ
ランスの取れたものとなっている。
以上説明したように、本発明のゴム組成物は、従来技
術のものに比べ、グリップ性能が幅広い温度範囲に亘っ
て安定であり、さらに雪氷路面の把握力にも優れている
ことから、空気入りタイヤトレッド部、特にオールシー
ズンタイプの高性能タイヤトレッド部に好適に使用する
ことができる。
術のものに比べ、グリップ性能が幅広い温度範囲に亘っ
て安定であり、さらに雪氷路面の把握力にも優れている
ことから、空気入りタイヤトレッド部、特にオールシー
ズンタイプの高性能タイヤトレッド部に好適に使用する
ことができる。
第1図はゴム配合物の低温脆化温度と剪断弾性率の関係
図、第2図はDSC曲線のガラス転移点付近の転移温度幅
を示す説明図、第3図はスチレン含量のみ異なる乳化重
合SBRのtanδ−温度曲線であって、スチレン含量の高い
ものがピーク温度は高温であることを示す説明図であ
る。
図、第2図はDSC曲線のガラス転移点付近の転移温度幅
を示す説明図、第3図はスチレン含量のみ異なる乳化重
合SBRのtanδ−温度曲線であって、スチレン含量の高い
ものがピーク温度は高温であることを示す説明図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 9/06 C08L 9/06 //(C08L 53/02 7:00) (C08L 53/02 9:00) (C08L 9/06 7:00) (C08L 9/06 9:00)
Claims (1)
- 【請求項1】ガラス転移温度が−100℃〜−70℃で、転
移温度幅が12℃以下のブタジエンブロック(A)と、結
合スチレンを20〜50重量%含み、ガラス転移温度が−20
℃〜+15℃で、転移温度幅が12℃以下のスチレン−ブタ
ジエン共重合体ブロック(B)とからなり、前記ブロッ
ク(A)と前記ブロック(B)とのガラス転移温度の差
は60℃以上であり、共重合体全体として全結合スチレン
が10〜25重量%、全ブタジエン部のビニル結合量が20〜
45重量%であり、重量平均分子量が20×104以上である
スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを90〜50重
量部、天然ゴム又はイソプレンゴムを残部としたゴム分
合計100重量部に対し、窒素比表面積100m2/g以上である
カーボンブラックを80〜130重量部、粘度比重恒数0.90
〜0.98の石油系軟化剤を20〜90重量部配合し、−30℃に
おける剪断貯蔵弾性率が500MPa以下であることを特徴と
するタイヤトレッド用ゴム組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63285724A JP2694548B2 (ja) | 1988-11-14 | 1988-11-14 | タイヤトレッド用ゴム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63285724A JP2694548B2 (ja) | 1988-11-14 | 1988-11-14 | タイヤトレッド用ゴム組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02132142A JPH02132142A (ja) | 1990-05-21 |
JP2694548B2 true JP2694548B2 (ja) | 1997-12-24 |
Family
ID=17695212
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63285724A Expired - Fee Related JP2694548B2 (ja) | 1988-11-14 | 1988-11-14 | タイヤトレッド用ゴム組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2694548B2 (ja) |
-
1988
- 1988-11-14 JP JP63285724A patent/JP2694548B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH02132142A (ja) | 1990-05-21 |
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