JP2693333B2 - 可溶性インスタントコーヒーの製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、粉末状の可溶性インス
タントコーヒーの製造法に関する。更に詳細には、本発
明はこの種の方法であって、コーヒー油を工程中に回収
してコーヒー粉末に再配合して、挽いた焙煎コーヒー床
に沸騰水を通して浸透させて直接得られるコーヒーのフ
レーバに匹敵する強めたフレーバを有する生成物を得る
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】可溶性コーヒーは、従来は挽いた焙煎コ
ーヒーを満たしたセルに通して抽出液体を浸透させて得
られるコーヒー抽出物を蒸発させた後、凍結乾燥または
噴霧乾燥によって製造される（Ｓｉｖｅｔｚ，Ｃｏｆｆ
ｅｅ ＰｒｏｃｅｓｓｉｎｇＴｅｃｈｎｏｌｏｇｙ，Ｖ
ｏｌ．１，ｐｐ．２６２，２５３，ＡＶＩ，１９６
３）。

【０００３】抽出は向流で行われ、すなわち加圧下１５
０〜１８０℃の温度の水を、徹底的に抽出した（Ｎ回抽
出を行った）挽いた焙煎コーヒーのバッチを含むセル中
にセルの底部から導入するのである。この抽出セルの液
状抽出物を次に（Ｎ−１）回抽出したコーヒーのバッチ
等を含む抽出セル中を通過させて、新たに挽いた焙煎コ
ーヒーを満たしたセル中を通過するようにする。

【０００４】極めて新鮮なコーヒーを含む抽出セルの出
口で得られる最終抽出物は少量の挽いたコーヒー粒子を
含み、すなわち微粉が抽出液に同伴したままであり、抽
出物を濾過するのが望ましい。

【０００５】最後に、大きさが約１ｍｍを上回る粒子を
除く濾過相の後、多糖類のような固形物は懸濁状態で含
まれたままになっており、抽出物の濃縮および凍結乾燥
または噴霧乾燥の後に、カップにおいて固形物がまった
く生じないほど完全に溶解するコーヒー粉末を得ること
ができるように極めて良好に除去する。懸濁した固形物
は、通常は遠心分離によって除去される。最終的な抽出
物を蒸発によって濃縮し、凍結乾燥または噴霧乾燥によ
って粉末へと変換する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この種の方法の主要な
問題点の一つは、特に、必然的にアロマをかなり損失す
る蒸発および凍結乾燥または噴霧乾燥工程による、焙煎
コーヒーのフレーバを得られた生成物が持たないことで
ある。

【０００７】コーヒー油をコーヒー粉末へ噴霧したり、
可溶性コーヒー粉末を満たしたジャーにコーヒー油を注
射器などによって配合するなどの各種の解決策が提案さ
れてきた。用いるコーヒー油は、挽いた焙煎コーヒーの
アロマを回収するなどして、コーヒーアロマを高めるこ
とができる。この種の一つの方法は、例えば米国特許第
３，４０６，０７４号明細書に記載されている。これま
では、通常に用いられるコーヒー油は、挽いた焙煎コー
ヒーを抽出する前にプレスすることによって得られたも
のであり、例えば英国特許第１，５３２，６６２号明細
書に記載されている。

【０００８】しかしながら、このプレスによるコーヒー
油の回収法は、効果的にフレーバに富んだ生成物を得る
ことができるが、プレスに要する温度および圧条件のた
めに多少顕著になった焦げ臭を伴う。更に、揮発性の高
いアロマはどうしても飛びやすい。更に、得られた油は
微粒子の比率が高いために直接に用いることはできず、
この油を例えば遠心分離によって精製しなければならな
いのである。最後に、この方法は、油を生じる挽いた焙
煎コーヒーによって形成される固形残渣を生じる。

【０００９】抽出することができるこのコンパクトな固
形残渣を除去しないようにするためには、寸法を小さく
してコーヒー抽出カラムへ再導入し得るようにしなけれ
ばならないが、この場合には必然的に最終生成物の味が
変化してしまい、これは挽いた焙煎コーヒーの総量に対
するリサイクルされる固形残渣の比率が高くなればなる
ほど顕著になる。

【００１０】したがって、この方法は必要な装置が複雑
であり、煩わしいものであり、品質の変化を避けるため
に固形残渣をリサイクルさせないことが望ましいときに
はプレスされた焙煎コーヒーの価格が出発材料の価格に
加わり、最終的には得られる油は粗製状態では高い耐酸
化性を有するが水蒸気で脱臭した後には耐酸化性が著し
く低くなるので、得られる油に関して全く満足できない
ものである。また、この操作は一方では生成した焦げ臭
のため、また他方では出発材料の価格を低くするために
ロブスタコーヒーを用いるためにほとんど強制的なもの
である。また、焙煎したロブスタコーヒーのプレスから
得られる油を直接に用いてアラビカコーヒーから生産さ
れるコーヒー粉末にフレーバ付けすることが望ましくな
いことは極めて明らかである。

【００１１】これらの欠点を部分的に克服するために、
抽出前に挽いた焙煎コーヒーをプレスするのではなく抽
出した後に挽いたコーヒーを用いることが提案されてい
る。一つのこの様な方法は、例えば米国特許第３，０３
５，９２１号明細書によって知られている。しかしなが
ら、この方法により未抽出の焙煎コーヒーの使用が避け
られるとしても、用いられる手法は複雑であり、更に、
粗製状態では焙煎コーヒーから直接生産される油ほど安
定ではない油を生じる。

【００１２】したがって、本発明によって記載された問
題点は、一方において未焙煎コーヒーのプレスによって
製造される一層安定であり且つもう一方では容易に得ら
れ且つ追加の出発材料源を使用する必要のないコーヒー
油の使用によって、米国特許第３，４０６，０７４号明
細書に記載されているようなコーヒー粉末にフレーバ付
けする方法を用いることができるようにすることであっ
た。

【００１３】

【課題を解決するための手段】抽出セルから生じる最終
的な液状抽出物は、この液状抽出物に含まれる固形物質
に対して０．２重量％〜０．５重量％の量のコーヒー油
を含むことを見出した。この油源は、一見したところは
極めて貧弱であるが、極めて興味あるものであることが
判った。例えば、濾過相の後に懸濁した物質を液状抽出
物から分離する遠心分離機の後に配置した単純な油分抽
出遠心分離機によって、この抽出物に含まれる油分の総
量の約９０％を回収することが可能である。

【００１４】もう一つの態様では、懸濁した物質、すな
わち油と液状抽出物とを分離する一つの単純な装置で２
つの操作を行うことができる。例えば、この油（極めて
容易に回収可能な）は、あらゆる既知のコーヒー油より
も遙かに安定であり、更に、香りが高いという利点を有
する。したがって、本発明は、抽出液体を抽出セル中を
向流に循環させ、得られた液状抽出物を濾過し、次いで
遠心分離した後、濃縮し、次いで粉末状に変換する、粉
末状の可溶性のインスタントコーヒーの製造法であっ
て、液状抽出物に含まれる油を遠心分離工程中に分離し
て可溶性のコーヒー粉末中に再導入することができるよ
うにすることを特徴とする方法に関する。

【００１５】液状抽出物に含まれる油の使用により、他
の源の焙煎コーヒーを用いる必要がなくなり、またこの
単純な方法は、コーヒー粉末の通常の生産サイクルに配
合することができ、最少限の追加工程しか必要としな
い。最後に、得られた油は、あらゆる既知のコーヒー油
よりもかなり安定である。本発明の方法により、純度が
９６％〜９９％の油を得ることが可能であり、挽いた焙
煎コーヒーのプレスによって製造される油の場合とは異
なり、例えば、次に遠心分離のような精製を行う必要が
なくなる。

【００１６】更に、抽出物に含まれる油の回収を最大に
する最適温度があることを見出した。更に詳細には、最
適収率は７０〜８０℃の温度の抽出物より得られる。そ
れ故、本発明の一つの態様では、液状抽出物を油分抽出
遠心分離機に入れる前にこの温度に再加熱する。場合に
よっては、得られた油は（コーヒー粉末に噴霧した後ま
たはコーヒー粉末を含むジャーに注射器で注入した後）
数か月後にコーヒー粉末を含むジャー中で挽いたコーヒ
ーの匂いを生じることがあることも見出した。それ故、
油を脱臭するのが望ましいことがある。この処理は１ま
たは２工程で行うことができる。

【００１７】処理を１工程で行うときには、油を水蒸気
で蒸留することによって脱臭する。この工程では、蒸気
対油の重量比は好ましくは５０：１であり、１０段蒸留
カラム中の油の滞留時間は好ましくは１時間である。こ
の処理により、官能的に中性の油を得ることができる。
次に、油中の凝縮水の画分を遠心分離によって分離す
る。しかしながら、粗製油を遠心分離の直後に脱臭する
ときには、沈澱が時に装置中に形成するので、この場合
には予備的脱ガムが必要なことがある。

【００１８】任意の予備段階において、油に含まれるガ
ムの量が水蒸気を高速度で注入することによって減少す
るのはこのためである。この工程では、１４０℃／３〜
４バールで水蒸気を油に注入して、油の温度をただちに
上昇させ、この温度に２〜３分間維持する。次いで、油
を急速に９０〜１００℃に冷却して、ガムを沈澱させ、
水を遠心分離等によって除去する。次に、油に前記のよ
うにして脱臭を施す。任意には前記のようにして脱臭し
た液状抽出物からの油を、必要であればコーヒーのアロ
マを高めた後に、コーヒー粉末に噴霧しまたはコーヒー
粉末を含むジャーに注入する。このようにして、安定な
官能特性を有する生成物を供するために、アロマの高い
油が固定された可溶性のコーヒー粉末を得ることができ
る。

【００１９】例１ この例では、製造された油の安定性を他の既知のコーヒ
ー油と比較することによって説明する。これは、１３０
℃でのランシマット法を用いる耐酸化性試験に基づいて
いる。この試験では、高純度の空気を所定の速度で所望
な温度に加熱した油の試料中を通過させる。有機酸及び
アルデヒドのような揮発性の酸化生成物は空気の流れに
よって連行されて、蒸溜水を満たした装置に入り、そこ
で水に溶解される。この装置では、溶解した酸化生成物
の量によって変わる水の導電率を連続的に測定して記録
する。導電率の増加を反映する曲線により、所定の温度
に対して時間で表わされた安定性因子を決定することが
できる。測定は、粗製の油及び水蒸気で脱臭した油につ
いて行った。なお、実施例における本発明の抽出条件な
らびに遠心分離条件は以下のとおりである。抽出条 件 焙煎・粉砕コーヒーを明細書第２頁に記載されるよう
に、向流で抽出し、セルの数Ｎが６である場合、抽出は
最初の３つのセルでは１００℃以上の温度で加圧下で行
い、そして後の３つのセルでは大気圧下で行った。最後
のセルから出る抽出液を濾過し、濾過抽出液は約１０〜
２０％、望ましくは約１２〜１５％の固形含量を有して
いた。遠心分離条件 濾過抽出液を約７０〜８０℃で加熱し、４５６０ｒｐｍ
で回転するＫＲＰＸ−２１３ ＨＧＶ−７４型アクファ
・ラバル社の分離機にて遠心分離した。分離機の出口の
脱油抽出液の圧力は約２．０〜２．２バールであり、出
口の油の圧力は約２．３〜２．５バールであった。

【表１】

【００２０】例２ この例では、各種の油の（水蒸気で蒸留して、凝縮し
た）揮発性画分の総有機炭素含量（乾燥分１００ｇ当た
りのｍｇで表わしたもの）を例示する。総有機炭素含量
はアロマ含量によって変わるので、アロマにおける油分
の豊富さを反映するものである。

【表２】 したがって、この油は芳香性が極めて高くなくとも、
アロマに極めて富んでいる。

【００２１】例３ この例では、抽出物に含まれる油分の量に関して回収さ
れる油分の量に対する処理された液状抽出物の温度の影
響を示す。

【表３】

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 焙煎コーヒーを充填した抽出セル中を向
   流的に抽出液体を循環させ、得られた液状抽出物を濾過
   し、濾液に存在する油を油分抽出遠心分離機により回収
   し、脱油抽出液を濃縮し、続いて粉末状に変換し、つい
   でこの粉末コーヒーに、予め回収したコーヒー油を再導
   入することを特徴とする、粉末状の可溶性インスタント
   コーヒーの製造法。
2. 【請求項２】 液状抽出物を、濾過の後でかつ遠心分離
   の前に再加熱する、請求項１に記載の方法。
3. 【請求項３】 得られた油を可溶性のコーヒー粉末中に
   再導入する前に脱臭する、請求項１に記載の方法。
4. 【請求項４】 得られた油を最初に脱ガムし、次いで水
   蒸気で蒸留して脱臭する、請求項１に記載の方法。