JP2692247B2 - 光学活性1,3‐ジオールの製造方法 - Google Patents

光学活性1,3‐ジオールの製造方法

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JP2692247B2
JP2692247B2 JP6111089A JP6111089A JP2692247B2 JP 2692247 B2 JP2692247 B2 JP 2692247B2 JP 6111089 A JP6111089 A JP 6111089A JP 6111089 A JP6111089 A JP 6111089A JP 2692247 B2 JP2692247 B2 JP 2692247B2
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祐三 藤原
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住友化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は光学活性1,3−ジオールの製造方法に関し、
詳しくは芳香族ジアリールケトンに希土類金属を反応さ
せ、次いで光学活性エポキシドを反応させることによる
光学活性1,3−ジオールの製造方法に関するものであ
る。
〈従来の技術、発明が解決しようとする課題〉 本発明者等は、芳香族ジアリールケトンに希土類金属
を反応させ、次いでエポキシドを反応させることによ
り、1,3−ジオールが製造し得ることを既に見出してい
る(例えば、J.Org.Chm.,53,6077(1988))。
その後、本発明者は、生理活性物質であるマクロリ
ド、イオノフォアーなどの中間体や単糖類、各種医農薬
などの中間体として有用な光学活性1,3−ジオールの効
率的な製造方法を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、上
記方法において、エポキシドとして光学活性体を用いれ
ば、意外にも高い光学収率で光学活性1,3−ジオールが
得られることを見出すとともに、更に検討を加えて本発
明を完成した。
〈課題を解決するための手段〉 すなわち本発明は、一般式〔I〕 (式中、R1,R2はアリール基を表わす。) で示されるジアリールケトンに、イッテルビウム、サマ
リウム、ルテチウム、エルビウム、ユーロピウムから選
ばれる希土類金属を反応させ、次いで一般式〔II〕 (式中、R3はアルキル基、アリール基、アルキルオキ
シメチレン基、アラルキルオキシメチレン基もしくはア
シルオキシメチレン基を表わし、*は不斉炭素を表わ
す。) で示される光学活性エポキシドを反応させることを特徴
とする一般式〔III〕 (式中、R1,R2,R3,*は前記と同じ意味を表わ
す。) および/または一般式〔IV〕 (式中、R1,R2,R3,*は前記と同じ意味を表わ
す。) で示される工業的に優れた光学活性1,3−ジオールの製
造方法を提供するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、原料として一般式〔I〕で示されるジアリ
ールケトンを用いるものであるが、アリール基R1,R2
同一であっても、異なっていても良く、また両者は結合
していても良く、例えばフエニル基、ナフチル基、ビフ
ェニル−2,2−ジイル基などが挙げられる。これらは、
メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの低級アルキル
基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの
低級アルコキシ基などで置換されていても良い。
また、本発明に用いられる希土類金属としては、イッ
テルビウム、サマリウム、ルテチウム、エルビウム、ユ
ーロピウムなどが挙げられるが、イッテルビウムが好ま
しい。希土類金属はジアリールケトン〔I〕に対して、
通常ほぼ当量使用される。
反応は、溶媒の存在下に通常実施される。かかる溶媒
としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
メチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キ
シレンなどの芳香族系溶媒、クロロホルム、四塩化炭
素、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒等が
挙げられる。中でもエーテル系溶媒が好ましい。また少
量のヘキサメチルホスホロトリアミドを共存させること
も効果的である。
溶媒の使用量は、ジアリールケトン〔I〕に対して、
通常1〜20wt倍である。
反応は、通常、−10〜50℃で実施され、反応時間は、
通常0.5〜10時間程度である。
次いで、反応させる一般式〔II〕で示される光学活性
エポキシドとしては、R3として、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、などのアル
キル基、R1と同様のアリール基、メチルオキシメチレ
ン、エチルオキシメチレン、プロピルオキシエチレン、
ブチルオキシエチレン、ペンチルオキシエチレン、ヘキ
シルオキシエチレン、ヘプチルオキシエチレン、オクチ
ルオキシメチレン、ノニルオキシメチレン、デシルオキ
シメチレン、ドデシルオキシメチレンなどのアルキルオ
キシメチレン基、ベンジルオキシメチレンなどのアラル
キルオキシメチレン基、アセチルオキシメチレン、プロ
ピオニルオキシメチレン、ブテニルオキシメチレン、ベ
ンゾイルオキシメチレンなどのアシルオキシメチレン基
等を有するものである。
代表的な化合物を示すと、例えば1,2−エポキシプロ
パン、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、
1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシノナン、1,2−
エポキシデカン、(1,2−エポキシエチル)ベンゼン、
(1,2−エポキシエチル)ナフタレン、1−メチルオキ
シ−2,3−エポキシプロパン、1−ブチルオキシ−2,3−
エポキシプロパン、1−ペンチルオキシ−2,3−エポキ
シプロパン、1−ノニルオキシ−2,3−エポキシプロパ
ン、1−ベンジルオキシ−2,3−エポキシプロパン、1
−アセチルオキシ−2,3−エポキシプロパン、1−プロ
ピオニルオキシ−2,3−エポキシプロパン、1−ベンゾ
イルオキシ−2,3−エポキシプロパンなどの光学活性体
が挙げられる。
光学活性エポキシド〔II〕は、通常、ジアリールケト
ンに対して等モル程度使用される。
反応は、−10〜50℃で通常実施され、反応時間は通常
1〜10時間程度である。
目的物は、通常、反応混合物に塩酸などの水溶液を加
えたのち、抽出等を行うことにより取り出すことができ
る。
得られた目的物は、例えば再結晶、カラムクロマトグ
ラフィーあるいは蒸留などを行うことによって、精製す
ることもできる。
〈発明の効果〉 本発明によれば、容易に、しかも高い光学収率で、目
的とする光学活性1,3−ジオールが得られるので本発明
は工業的に極めて有利である。
〈実施例〉 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、
本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1 50mlの反応管に、40メッシュのイッテルビウム1mmol
を入れ、窒素気流下でヨウ化メチル2μl、テトラヒド
ロフラン2ml、ヘキサメチルホスホロトリアミド1mlを加
え、次いで、室温下で9−フルオレノン1mmolを加えて3
0分間撹拌した。
しかる後、(S)−(−)−1,2−エポキシプロパン1
mmolを加え、同温度で2時間撹拌した。
反応後、2Nの塩酸約5mlを加えた後、エーテルで抽出
(30ml×3回)した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾
燥、溶媒留去した後、中圧液体クロマトグラフ(シリカ
ゲル)により、(S)−(+)−2−(9−ヒドロキシ
−9−フルオレニル)−2−メチルエタノール〔III−
1〕96mg(収率40%)、(S)−(−)−2−(9−ヒ
ドロキシ−9−フルオレニル)−1−メチルエタノール
〔IV−1〕88mg(収率37%)を得た。
光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー
により分析したところ、〔III−1〕および〔IV−1〕
の光学純度はそれぞれ、99%ee、90%eeであった。
実施例2 実施例1において、9−フルオレノンの代りに、ベン
ゾフェノンを用いる以外は実施例1と同様に行った。結
果を表1に示した。
実施例3 実施例1において、(S)−(−)−1,2−エポキシ
プロパンの代わりに、(R)−(+)−1,2−エポキシ
オクタンを用いる以外は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示した。
実施例4 実施例1において、(S)−(−)−1,2−エポキシ
プロパンの代わりに、(R)−(+)−1,2−エポキシ
オクタンを用い、9−フルオレノンの代りに、ベンゾフ
ェノンを用いる以外は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示した。
実施例5 実施例1において、(S)−(−)−1,2−エポキシ
プロパンの代わりに、(R)−(+)−1−ペンチルオ
キシ−2,3−エポキシプロパンを用いる以外は実施例1
と同様に行った。
結果を表1に示した。
実施例6 実施例1において、(S)−(−)−1,2−エポキシ
プロパンの代わりに、(R)−(+)−1−ペンチルオ
キシ−2,3−エポキシプロパンを用い、9−フルオレノ
ンの代りに、ベンゾフェノンを用いる以外は実施例1と
同様に行った。結果を表1に示した。
実施例7 実施例1において、(S)−(−)−1,2−エポキシ
プロパンの代わりに、(R)−(−)−(1,2−エポキ
シエチル)ベンゼンを用いる以外は実施例1と同様に行
った。
結果を表1に示した。
実施例8 実施例1において、(S)−(−)−1,2−エポキシ
プロパンの代わりに、(R)−(−)−(1,2−エポキ
シエチル)ベンゼンを用い、9−フルオレノンの代り
に、ベンゾフェノンを用いる以外は実施例1と同様に行
った。結果を表1に示した。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1,R2はアリール基を表わす。) で示されるジアリールケトンに、イッテルビウム、サマ
    リウム、ルテチウム、エルビウム、ユーロピウムから選
    ばれる希土類金属を反応させ、次いで一般式 (式中、R3はアルキル基、アリール基、アルキルオキシ
    メチレン基、アラルキルオキシメチレン基もしくはアシ
    ルオキシメチレン基を表わし、*は不斉炭素を表わ
    す。) で示される光学活性エポキシドを反応させることを特徴
    とする一般式 (式中、R1,R2,R3,*は前記と同じ意味を表わす。) および/または一般式 (式中、R1,R2,R3,*は前記と同じ意味を表わす。) で示される光学活性1,3−ジオールの製造方法
JP6111089A 1989-03-13 1989-03-13 光学活性1,3‐ジオールの製造方法 Expired - Lifetime JP2692247B2 (ja)

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