JP2689203B2 - 内燃機関の冷却システム - Google Patents

内燃機関の冷却システム

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JP2689203B2
JP2689203B2 JP26402792A JP26402792A JP2689203B2 JP 2689203 B2 JP2689203 B2 JP 2689203B2 JP 26402792 A JP26402792 A JP 26402792A JP 26402792 A JP26402792 A JP 26402792A JP 2689203 B2 JP2689203 B2 JP 2689203B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の冷却システム
に関し、特にサーモスタットを有する自動車用内燃機関
の冷却システムにおいて,冷態時における機関とラジエ
ータとの間の冷却水の流路の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の内燃機関の冷却システムは,図1
に示すようにエンジンのウォータジャケット4の流出口
5とラジエータ11の流入口12間の第1水路6と,ラ
ジエータの流出口13からサーモスタット・ハウジング
8,ウォータポンプ9を経てウオータジャケット4の流
入口10に至る第2水路14と,第1水路及び第2水路
間を連通する第1バイパス水路7とよりなる。第1バイ
パス水路を開閉するバイパス弁2及び第2水路を開閉す
る主弁3を有するバイパス型サーモスタット1はサーモ
スタットキャップ16によってサーモスタット・ハウジ
ング8内に固定される。従って、第1バイパス水路7は
バイパス孔18でサーモスタット・ハウジング8内に連
通している。尚,図に於いてA’はサーモスタット・ハ
ウジング8内,B’はサーモスタット・キャップ16内
に近接する部位の水温の測定点,Cは流量の測定点であ
る。
【0003】エンジンの冷態時,即ち,バイパス型サー
モスタット1のバイパス弁2は全開し,これと一体の主
弁3は閉弁しているのでウオータジャケット4の流出口
5からの冷却水はラジエータ11を環流出来ず,第1水
路6の分岐点Jから第1バイパス水路7→サーモスタッ
ト・ハウジング8→ウオータ・ポンプ9→ウオータジャ
ケット4の流入口10へと矢印の様に短絡環流する。従
ってサーモスタット・ハウジング8内の水温の上昇は早
くなる。
【0004】然し,ラジエータ11とサーモスタット・
キャップ16内の冷却水は流れないで滞留しているから
水温の上昇率は低く,図2に示す自記記録で明らかなよ
うに,サーモスタット・ハウジング8内の測定点A’に
おける水温Aがバイパス型サーモスタット1の主弁3の
開弁温度85℃になっても,第2水路14の図示測定点
B’の水温Bは56℃になるに過ぎず,その差は29℃
である。サーモスタット1の主弁3が開弁する瞬間,ラ
ジエータ11の下部からの低温冷却水が流入するため,
Bの水温は更に20℃下がり,結局,サーモスタット・
ハウジング8内の水温Aとの差は49℃に拡大する。
【0005】サーモスタット1の熱応答は冷却水の熱応
答よりかなり遅れる。従って,主弁3は水温が規定の開
弁温度よりかなり高くなってから弁を開らく。同様に,
水温が規定の閉弁温度よりかなり下がってから弁を閉じ
る。此の主弁3の開閉初期に大きな熱オーバシュートの
ピークが発生し,又,主弁が閉じた時,主弁の上流側に
サージ圧のピークが発生する。そしてこれ等は次第に減
衰し,主弁3の開きが増すと共にやがて消滅する。この
間の経緯は図2の自記記録で明らかである。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】この熱オーバ・シュー
トのピークによって,シリンダ・ブロック,シリンダ・
ヘッドに亀裂が発生することがあり,又サージ圧のピー
クによってサーモスタット1,ラジエータ11,ウォー
タポンプ9の寿命を縮める。又,主弁3の開弁直後の冷
却水温の異常な低下はシリンダ内の不完全燃焼を誘発
し,有害排気物の発生を多くし,更に燃料消費量を増
す。
【0007】以上の諸々のトラブルの原因は,サーモス
タット・ハウジング8内の水温Aと,第2水路14の図
示測定点B’の水温Bの間の大きな水温の差にある。従
って,その差を無くすることが課題解決の決め手にな
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、サーモスタッ
ト1の主弁3上流のサーモスタット・キャップ16の分
岐点J−1と,第1バイパス水路7の合流点J−2間を
第2バイパス水路15aで連通したことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の構成に依れば,エンジンの冷態時,即
ち,バイパス型サーモスタット1のバイパス弁2が開い
ている期間中,第2バイパス水路15aによって冷却水
の一部はラジエータ11内を環流する。即ち,ウォータ
ジャケット4からの高温の冷却水は分岐点Jで2方向に
別れ,一方は直接従来の第1バイパス水路7へ,他方は
ラジエータ11内を通過して第2バイパス水路15aを
経て第1バイパス水路7と合流して環流し続ける。この
時,ラジエータ11内を通る流量は毎分11.5リッタ
の少量に過ぎない。この少量の流量がラジエータ11内
を環流することによって,従来のA,B間の水温の差4
9℃が本発明によって1℃になり,主弁の開弁直後に発
生する熱オーバシュート及びサージ圧現象は完全に消え
る。
【0010】
【実施例】以下図3を参照して本発明の実施例を説明す
る。図において図1と同一部分は同一符号で示し説明を
消略する。本実施例では,バイパス型サーモスタット1
の主弁3から上流のサーモスタット・キャップの分岐点
J−1の開口16aと,第1バイパス水路7の合流点J
−2とを第2バイパス水路15aで連通させる。実施例
において第1水路6及びラジエータ11とサーモスタッ
ト・キャップ16間の第2水路14は共に内径を24m
mとし,第1バイパス水路7及び第2バイパス水路15
aの内径を夫々10mmとする。
【0011】バイパス型サーモンタット1のバイパス弁
2が開いている期間は,図4の自記記録で明らかな様に
A,B間の温度差は起点の75℃から1℃巾を保持す
る。この間,主弁3が開くが,水温Bの低下も熱オーバ
シュートも完全に発生しない。熱オーバシュートが発生
しないからサージ圧も無い。この期間,ラジエータ11
内を流れる流量は一定で毎分11.5リッタに過ぎな
い。
【0012】そして主弁3が開き始め,その開きを増す
につれ流量は増え,バイパス弁2がバイパス孔18を閉
ざす瞬間,第1と第2のバイパス水路の環流は同時に停
止する。この時の流量は30リッタで,A,B間の温度
差はゼロになる。以後冷却水はウォータジャケット4の
流出口5→ラジエータ11→サーモスタット・キャップ
16→サーモスタット・ハウジング8→ウオータ・ポン
プ9→ウォーダジャケットの流入口10へと主回路を環
流し,やがて流量は毎分60リッタになる。
【0013】バイパス弁2が開いている期間中,ラジエ
ータ11に冷却水を一部環流し続けるのであるが,水温
75℃を起点として,バイパス・バルブ2がバイパス孔
18を完全に閉ざす迄の時間は、約16分で従来の図2
と殆ど変わらない。
【0014】図3のバイパス型サーモスタット1は下向
きであるが冷却水がラジエータ11内を強制環流するか
ら,上向きでも,横向きでも同様の効果が得られる。
【0015】本発明は,A,B間の温度差を1℃に小さ
くするが,更にその差を縮めることも容易である。例え
ば,第2バイパス水路15の内径10mmを11mmに
して流動抵抗を減らすと図5に示す様にその差は0.7
mmになる。内径が増した分ラジエータを環流する流量
は毎分11.5リッタが,毎分13.5リッタに増え
る。
【0016】何れにしても本発明では,バイパス弁2が
開いている期間中,A,B間の水温の差は1℃前後で、
主弁3が開閉しても全く変化は無く,熱オーバシュー
ト,サージ圧現象は完全に姿を消した。従来の図2と,
本発明の図5を比較すればその差がいかに大きいかが分
かる。
【0017】
【発明の効果】従って,シリンダ・ブロック,シリンタ
・ヘッドに亀裂が発生することは無く,又,サーモスタ
ット,ラジエータ,ウォータポンプの寿命は増し,シリ
ンダ内の完全燃焼にも貢献し,有害排気物の発生は減
り,燃費の節約もあり,更にエンジンの寿命を増す。そ
の効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の内燃機関の冷却システムを示す
【図2】 図1の流量,温度,時間の測定値の記録を示
【図3】 本発明の内燃機関の冷却システムを示す
【図4】 図3の流量,温度,時間の測定値の記録を示
【図5】 図3の他の実施例の流量,温度,時間の測定
値の記録を示す
【符号の説明】
1 バイパス型サーモスタット 8 サーモスタット
・ハウジング 2 バイパス弁 11 ラジエータ 3 主弁 14 第2水路 6 第1水路 15 第2バイパス水
路 7 第1バイパス水路 16 サーモスタット
・キャップ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンのウォータジャケットの流出口
    とラジエータの流入口間の第1水路と,ラジエータの流
    出口とサーモスタット・キャップ,サーモスタット・ハ
    ウジング,ウォータポンプを経てウォータジャケットの
    流入口間に至る第2水路と,第1水路及び第2水路間を
    連通する第1バイパス水路と,第1バイパス水路を開閉
    するバイパス弁と第2水路を開閉する主弁とを有するサ
    ーモスタットからなる内燃機関の冷却システムに於い
    て, サーモスタットの主弁から上流側のサーモスタット・キ
    ャップの分岐点と,第1バイパス水路の合流点とを連通
    する第2バイパス水路を設け,サーモスタットのバイパ
    ス弁が開いている期間中,冷却水がサーモスタット・キ
    ャップの分岐点から第2バイパス水路を通って第1バイ
    パス水路に合流し,冷却水の一部がラジエー内を環流し
    続けることを特徴とする内燃機関の冷却システム。
JP26402792A 1992-07-28 1992-08-21 内燃機関の冷却システム Expired - Lifetime JP2689203B2 (ja)

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US07/989,524 US5275231A (en) 1992-07-28 1992-12-11 Cooling system for an automotive engine
CA 2085209 CA2085209C (en) 1992-07-28 1992-12-11 Cooling system for an automotive engine
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TW081110319A TW267205B (ja) 1992-07-28 1992-12-23
CN92115160A CN1081741A (zh) 1992-07-28 1992-12-26 汽车发动机冷却系统
EP93100897A EP0580934B1 (en) 1992-07-28 1993-01-21 Cooling system for an automotive engine
DE69305446T DE69305446T2 (de) 1992-07-28 1993-01-21 Kühlanlage für Kraftwagenbrennkraftmaschine
KR1019930000966A KR960012137B1 (ko) 1992-07-28 1993-01-27 자동차용 내연기관의 냉각 장치
RU9393004460A RU2055993C1 (ru) 1992-07-28 1993-02-19 Система охлаждения для автомобильного двигателя

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