JP2688644B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品の製造方法

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JP2688644B2 JP63052834A JP5283488A JP2688644B2 JP 2688644 B2 JP2688644 B2 JP 2688644B2 JP 63052834 A JP63052834 A JP 63052834A JP 5283488 A JP5283488 A JP 5283488A JP 2688644 B2 JP2688644 B2 JP 2688644B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ビデオテープレコーダ、液晶テレビ、OA機
器等の電気製品に広く用いられている積層セラミックコ
ンデンサ等の積層セラミック電子部品の製造方法に関す
るものであり、他にも、広く多層セラミック基板、積層
バリスタ、積層圧電素子等の積層セラミック電子部品を
製造する際においても、利用可能なものである。
従来の技術 近年、電子部品の分野においても、回路部品の高密度
化にともない、積層セラミックコンデンサ等のますます
の微小化及び高性能化が望まれている。ここでは、積層
セラミックコンデンサを例に採り説明する。
第7図は、積層セラミックコンデンサの一部を断面に
て示す図である。第7図において、1はセラミック誘電
体層、2は内部電極、3は外部電極である。前記内部電
極2は、2ケの外部電極3に交互に接続されている。
最近、電子部品のチップ化は著しく、前述した通りこ
のような積層セラミックコンデンサにおいても微小化が
望まれている。この積層セラミックコンデンサにおい
て、単なる面積の小型化はそのまま電気的容量の減少に
つながってしまう。このため積層セラミックコンデンサ
の小型化と同時に高容量化が行われなくてはならない。
そして、積層セラミックコンデンサの高容量化の方法
として、誘電体の高誘電率化の他に、誘電体層の薄層
化、誘電体層及び内部電極の多層化が考えられている。
まず、誘電体層の薄層化について説明する。この誘電
体の薄層化は、非常に難しい。まず、積層セラミックコ
ンデンサの製造方法について簡単に説明する。ここで、
初めにセラミック生シートの製造方法について説明す
る。この積層セラミックコンデンサを製造する際に使わ
れるセラミック生シートは、誘電体となる金属酸化物粉
末をポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリロイド等の樹脂を、キシレン等の溶剤中に溶解
して作ったビヒクル中に均一に分散させ、これをスラリ
ーとした後、連続的に高速でキャスチング法(溶液流
延)を用いて、十数ミクロンから数十ミクロンの厚さの
セラミック生シートとして成膜する。ここで用いられて
いるキャスチング法とは、金属またはポリエチレンテレ
フタレートフィルム(以下、PETフィルムと呼ぶ)等の
有機フィルムを支持体とし、この支持体の上にスラリー
をドクターブレード等を用いて、均一な膜厚に塗布し、
スラリー中の溶剤を温風乾燥もしくは自然乾燥により蒸
発させ、セラミック生シートとするものである。
そして、積層セラミックコンデンサを製造する場合
は、次にこのセラミック生シートを所定の大きさに切断
した後、電極をセラミック生シート上に印刷し、この印
刷したセラミック生シートを含む複数枚のセラミック生
シートを積層圧着、切断、焼成の工程を経て製造される
こととなる。
ここで、誘電体層を薄層化するためには、セラミック
生シートの薄層化が必要になるが、セラミック生シート
を薄層化するほど、セラミック生シートにピンホール等
が発生しやすくなる。このためにセラミック生シートの
薄層化により、急激に積層セラミックコンデンサの歩留
りを落としてしまう。また、電極インキもセラミック生
シートも同じように樹脂を溶剤中に溶解したものがビヒ
クルとなっている。このため、セラミック生シート上に
電極インキを印刷すると、電極インキ中の溶剤がセラミ
ック生シートの樹脂を溶解してしまう。このため、セラ
ミック生シート上に印刷した電極インキがセラミック生
シートを侵食し、膨潤を起こしてしまい、ショートを起
こしやすくなる。これを、以下に第8図を用いて説明す
る。
第8図は、セラミック生シート上に電極インキをスク
リーン印刷方法により印刷している様子を示す図であ
る。第8図において、4はスクリーン枠、5はスクリー
ン、6は電極インキ、7はスキージ、8は台、9はベー
スフィルム、10はセラミック生シート、11は前記セラミ
ック生シート10上に印刷された電極インキである。第5
図において、スクリーン枠4に張られたスクリーン5を
通して、電極インキ6がスキージ7によって、台8の上
に固定されたベースフィルム9表面のセラミック生シー
ト10上に印刷される。この時、印刷された電極インキ11
がセラミック生シート10に染み込み、ショートを起こし
やすくなる。
これに対してセラミック生シート中の樹脂の種類、量
等を変えて、侵食、膨潤の少ない組合せが検討されてい
るが、セラミック生シートの厚みが例えば30ミクロン以
下のように薄くなると、侵食、膨潤の起こらない組合せ
はほとんどない。また、侵食、膨潤の起こりにくいセラ
ミック生シートの組合せも、電極インキを印刷する時に
インキの乾燥が早すぎて印刷時での作業性が悪かった
り、電極インキが印刷後の乾燥工程中にクラックを生じ
たり、あるいは圧着した積層体を焼結した時にクラック
が発生する等の現象を生じ、実用になる組合せを得るこ
とは難しい状態にある。
このために実用的には、誘電体層及び内部電極の多層
化が行われている。しかし、従来の積層方法では、多層
化した時に内部電極における部分的な積層数の違いによ
る部分的な厚みムラあるいは段差が発生してしまう。こ
の厚みムラによる凹凸により、積層セラミックコンデン
サとしての均一な厚みの積層ができず、デラミネーショ
ン(層間剥離)やクラック(割れ)等の問題を発生して
しまう。
第9図は、多積層化した時の積層セラミックコンデン
サの断面図である。ここで、積層セラミックコンデンサ
の中心部(内部電極2の積層数が多い)の厚みAに比
べ、周辺部(内部電極2の積層数が少ない)の厚みBが
小さいことが解る。
第10図は、積層数に対する中心部と周辺部の厚みの差
を説明する図である。ここで、用いたセラミック生シー
トの厚みは20ミクロン、内部電極の厚みは4ミクロンで
ある。第10図より、積層数が10層を超えると中心部と周
辺部の厚みの差が20ミクロン、つまり用いたセラミック
生シートの厚みを超えてしまうことが解る。
従来より、この問題に対して、いくつかのアプローチ
が採られていた。まず、特開昭52-135050号公報、特開
昭52-133553号公報では、段差部つまり周辺部に新しく
内部電極の分だけ取り除いたセラミック生シートを介挿
し、これを積層後、焼成する方法が提案されている。し
かし、この方法によるとセラミック生シートを精度よ
く、例えば3.5×1.0ミリメートルの大きさに数百個以上
取り除く必要がある。特に、セラミック生シート単体で
は、その薄さ、やわらかさ等により、機械的に取り扱う
ことはほとんどできない。たとえ、取り扱えたとして
も、精度良くパンチング等で切抜き加工することは難し
い。
同様に、特開昭61-102719号公報のように、セラミッ
ク生シート及び電極シートの両方をパンチングで打ち抜
き、順次積層するという積層セラミックコンデンサの製
造方法もあるが、これも量産性に問題がある。例えば、
一度に多数パンチングすることは、印刷するより、コス
ト的にも精度的にも不利である。さらに、電極シートの
厚さを5ミクロン以下にした場合、電極シートの物理的
な強度がパンチングやハンドリングに耐えられないこと
にもなる。
また、特開昭52-135051号公報では、セラミック生シ
ート上にまず内部電極インキを塗布し、さらに内部電極
インキを塗布したセラミック生シートの残りの部分に誘
電体インキを塗布し、これを内部電極インキの取り出し
位置を異ならせて、積み重ね、加工,焼成する方法が提
案されている。しかし、この場合には、新しく印刷した
誘電体インキに含まれる溶剤により、下の積層体が侵さ
れる問題が残る。このために、セラミック生シートが薄
いほど、ショートや耐電圧特性を劣化させやすいという
問題がある。
また、電極インキに溶剤を用いない方法として、特開
昭53-51458号公報等の電極形成方法がある。また、特開
昭57-102166号公報のように活性化ペーストを用いた無
電解メッキ法による方法もあるが、電極形成を無電解メ
ッキ技術を用いて行うために、セラミック生シートをメ
ッキ液に浸す必要があることから、新たな問題が発生す
る。
他にも、特開昭53-42353号公報のようにセラミック生
シートを部分的に打ち抜くか、凹状に加工することも考
えられているが、実用的ではない。
また、特開昭56-94719号公報も同様なものであり、積
層体上に生じた段差の箇所にセラミック生シートを形成
しようとするもので、量産性が良いとは考えにくい。
その他にも電極インキ中の溶剤のセラミック生シート
への悪影響を防止するために、いくつかの方法が提案さ
れている。
例えば、特開昭56-106244号公報のように、ベースフ
ィルム上に電極のみをまず印刷形成しておき、次にこの
上にキャスチング法でセラミック生シートを形成する方
法がある。また、特公昭40-19975号公報のように、電極
ペイントを塗布、乾燥後、連続的に誘電体スラリーを塗
布し、これを支持体から剥離することにより、電極付き
セラミック未焼成薄膜を得る方法がある。しかし、これ
らの方法により作った電極埋め込みセラミック生シート
は、膜厚が5〜20ミクロン程度まで薄くなると、機械的
強度が極端に減少するために、もはやそれ自体で取り扱
いできなくなる。このために、20ミクロン以下の薄層化
は行えなかった。
発明が解決しようとする課題 したがって、前記のような積層セラミックコンデンサ
の構成では、セラミック生シート上に電極を印刷する積
層セラミックコンデンサの製造方法においては、電極イ
ンキ中に含まれる溶剤によりセラミック生シートが侵
食、膨潤を起こしてしまい、セラミック生シートが薄く
なるほどショートしやすくなる。一方、電極をセラミッ
ク生シートに埋め込み、この電極埋め込みセラミック生
シートを用いる積層セラミックコンデンサの製造方法で
は、前記電極埋め込みセラミックシートを支持体上より
剥離して用いることにより、薄層化に限度があった。ま
た、特に誘電体層及び内部電極の多層化を行う場合にお
いては、積層セラミックコンデンサの中心部と周辺部と
での、内部電極により発生する段差を取り除くことはで
きないという問題点を有していた。
本発明は、前記問題点に鑑み、電極が乾燥されている
ことにより、ショートを起こしにくく、電極をセラミッ
ク生シート中に埋め込むことにより、誘電体層及び内部
電極の多層化された積層セラミックコンデンサを製造す
る際に用いても、積層セラミックコンデンサの中心部と
周辺部とでの内部電極により発生する段差を低減し、20
ミクロン程度以下の薄いセラミック生シートにおいても
機械的強度を保ちながら取り扱いでき、転写することが
できる積層セラミック電子部品の製造方法を提供するも
のである。
課題を解決するための手段 前記問題点を解決するために本発明の積層セラミック
分子部品の製造方法は、乾燥された電極が形成されてな
る支持体上に、乾燥後に熱可塑性樹脂が10重量%以上40
重量%以下に、また可塑剤が熱可塑性樹脂に対して5重
量%以上30重量%以下になるように配合したセラミック
スのスラリーを塗布した後、前記セラミックスのスラリ
ーを乾燥させて、前記支持体上に電極埋め込みセラミッ
ク生シートを作り、次に前記電極埋め込みセラミック生
シートを前記支持体より剥離することなく、他のセラミ
ック生シートもしくは他の電極の上に熱圧着させた後、
支持体のみを剥離し、前記電極埋め込みセラミック生シ
ートを前記他のセラミック生シートもしくは他の電極上
に転写するという構成を備えたものである。
作用 本発明は前記した構成によって、電極が乾燥されてい
ることにより、電極インキ中に含まれる溶剤によってセ
ラミック生シートが侵食、膨潤を起こし、ショートする
といったことが低減され、多層化された積層セラミック
コンデンサを製造する際に用いても、電極をセラミック
生シートに埋め込むことにより、電極により発生する段
差を低減することができることになる。また、電極の埋
め込まれたセラミック生シートを、支持体より剥離する
ことなく、他のセラミック生シートもしくは他の電極の
上に熱圧着させた後、支持体のみを剥離し、前記電極埋
め込みセラミック生シートを転写することになる。
実施例 以下、本発明の一実施例の積層セラミックコンデンサ
の製造方法及び積層方法について、図面を参照しながら
説明する。
第1図及び第2図は、本発明の第1の実施例における
電極埋め込みセラミック生シートを積層する様子を説明
するための図である。第1図,第2図において、20は
台、21,21aはベースフィルム、22はセラミック生積層
体、23,23aは電極、24はセラミック生シート、25は電極
埋め込みセラミック生シートであり、電極23aとセラミ
ック生シート25より構成されている。26はヒータ、27は
熱盤、28は転写された電極、29は転写された電極埋め込
みセラミック生シート、30は転写された電極埋め込みセ
ラミック生シートであり、転写された電極28と転写され
たセラミック生シート29より構成されている。また、矢
印は熱盤27の動く方向を示す。
まず、第1図を用いて説明する。まず、ベースフィル
ム21aの電極埋め込みセラミック生シート25が形成され
ていない側に、ヒータ26により加熱された熱盤27を置
く。一方、ベースフィルム21aの電極埋め込みセラミッ
ク生シート25の形成された側に、台20上に固定したベー
スフィルム21及びセラミック生積層体22を置く。この
時、セラミック生積層体22の表面に転写、印刷等の適宜
の方法により電極23を形成しておく。ここで、セラミッ
ク生積層体22の表面には必ずしも電極23が形成されてい
る必要はない。次に、第1図に示す状態から、熱盤27に
よりセラミック生積層体22の表面に、ベースフィルム21
aの表面に形成された電極埋め込みセラミック生シート2
5を加熱圧着させる。
次に、第2図を用いて説明する。この第2図は、第1
図に示す電極埋め込みセラミック生シート25を転写した
後の図である。すなわち、第2図のように、熱盤27によ
ってベースフィルム21a上の電極埋め込みセラミック生
シート25は、セラミック生積層体22の表面に転写され、
これにより転写された電極28及び転写されたセラミック
生シート29より構成された転写された電極埋め込みセラ
ミック生シート30を形成する。
また、第3図及び第4図は、前記第1の実施例の変形
例を示し、電極23の形成されたセラミック生積層体22の
表面に、ベースフィルム21bの上に形成されたセラミッ
ク生シート24aを加熱圧着させ、転写されたセラミック
生シート29aを形成した後に、電極埋め込みセラミック
生シート25を加熱圧着する様子を示す。ここで、第1
図,第2図の工程や、第3図,第4図の工程を繰り返す
ことで多層にわたり積層することも可能である。
次に、さらに詳しく説明する。まず、電極を形成する
ための電極インキとしては、パラジウム粉末を用いた電
極インキを作成した。これは、粒径0.3ミクロンのパラ
ジウム粉末50.0重量部、樹脂としてのエチルセルロース
5.0重量部、分散剤0.1重量部に対して、適当な粘度にな
るように溶剤としてブチルカルビトールを加えた後、3
本ロールミルを用いて充分分散させ、もう一度3本ロー
ルミル上でブチルカルビトールを加え、粘度が100ポイ
ズになるまで分散させながら希釈した。
次に、電極23a(及びセラミック生シート24)用のベ
ースフィルム21aとして、フィルム幅200ミリメートル、
フィルム膜厚75ミクロン、中心コア径3インチ、長さ約
100メートルのロール状のポリエチレンテレフタレート
フィルム(以下、PETフィルムと呼ぶ)を用いて、この
上に乳剤厚10ミクロン、400メッシュのステンレススク
リーンを用いたスクリーン印刷法により、前記の電極イ
ンキを一定間隔を空けながら連続的に印刷した。ここ
で、電極の形状は3.5×1.0ミリメートルのものを用い
た。そして、印刷後の電極インキの乾燥は、印刷機の次
に約125℃に加熱した遠赤外のベルト炉を接続し、電極
インキ中の溶剤を蒸発させ、これを電極23aとした。
次に、誘電体スラリーの作り方について説明する。ま
ず、ポリビニールブチラール樹脂(積水化学株式会社
製、BL-2ブチラール樹脂)6.0重量部を、フタル酸ジブ
チル0.6重量部、エチルアルコール25.0重量部、トルエ
ン36.0重量部よりなる樹脂溶液中に、粒径1ミクロンの
チタン酸バリウム粉末31重量部と共に加え、よく攪拌し
た。次に、これをポリエチレン製の瓶に入れ、ジルコニ
アビースを加え、適当な分散状態になるまで混合分散し
た。次に、これを仮ろ過した後、10ミクロンのメンブレ
ンフィルムを用いて加圧ろ過して、誘電体スラリーとし
た。
次に、この誘電体スラリーをアプリケータを用いて、
電極23aの形成されたベースフィルム21a上に連続的に塗
布した。次に、これを乾燥させ電極埋め込みセラミック
生シート25とし、マイクロメータで膜厚を測定したとこ
ろ、セラミック生シート25の膜厚は18ミクロンであっ
た。
次に、この電極埋め込みセラミック生シート25を用い
た積層セラミックコンデンサの製造方法について説明す
る。まず、厚み200ミクロンの電極の形成されていない
セラミック生積層体22を、ベースフィルム21ごと第1図
の台20上に固定した。この上に第3及び第4図のよう
に、必要な積層数だけ電極埋め込みセラミック生シート
25を転写した。ここで、転写は温度180℃、圧力15キロ
グラム毎平方センチメートルの条件下で、ベースフィル
ム21aの側から熱盤27を用いて行い、電極埋め込みセラ
ミック生シート25を転写した後、ベースフィルム21aを
剥して行った。これは、第3図のように、セラミック生
シート24aを転写し、次に第4図のようにこの上に電極2
3,23aを一定のピッチだけずらせた状態で、次の電極埋
め込みセラミック生シートを、熱盤27を用いてベースフ
ィルム側から加熱することにより転写した。
以下、これを繰り返し電極が第7図のように交互にず
れるようにし、電極を51層になるようにした。そして、
最後に焼成時のソリ対策や機械的強度を上げるために、
厚み200ミクロンの電極が形成されていないセラミック
生シートを転写した。このようにして得た積層体を2.4
×1.6ミリメートルのチップ状に切断した後、1300℃で
1時間焼成した。
比較のために、従来法として前述と同じ組成、厚みか
らなるセラミック生シート上に同じ電極を直接第8図の
ようにスクリーン印刷法により内部電極として形成し、
その上にセラミック生シートを、膜厚が同じになるよう
に転写し、以下これを繰り返した。なお、積層時の圧
力,切断,焼成等の各条件はすべて前述と同じにした。
ここで、試料数は、n=100とした。次に、外部電極
を通常の方法を用いて形成し、ショート発生率を調べ
た。その結果を下記の第1表に示す。
以上のように、本発明による積層セラミックコンデン
サの製造方法を用いれば、ショート発生率、デラミネー
ション発生率ともに、従来法に比較して大きく改善され
ていることが解る。ここで、本発明におけるショート発
生の原因を調べると、その多くは、セラミック生シート
のピンホールによるものと考えられた。また同時に、本
発明では、電極をセラミック生シート中に埋め込んだた
めに、積層セラミックコンデンサの中心部と周辺部とで
の厚みの差が大幅に改善されており、これがデラミネー
ションの発生率を低下させていると推測された。
なおここで、本発明に用いた電極埋め込みセラミック
生シートの、セラミック生シート部は、それ自体に含む
ポリビニルブチラール樹脂の性質により熱による転写性
を有する。また、この熱による転写性は、セラミック生
シート中に含まれているポリビニルブチラール樹脂(以
下、PVB樹脂と呼ぶ)が少ないほど、転写性が悪くな
り、逆に含まれているPVB樹脂の量が多いほど、転写性
が良くなる。ここで用いたセラミック生シート中に含ま
れるPVB樹脂は、セラミック粉末100グラムに対し、20グ
ラム程度含まれているものが転写性が良かった。しか
し、ここで転写に必要なPVB樹脂量は、スラリー原料の
セラミック粉末の粒径によっても、PVB樹脂の重合度、
種類等によっても、あるいは転写時の温度によっても、
転写に必要な樹脂量は変化すると考えられる。そして、
樹脂量が不足すると、転写温度を上げる必要がある。
次に、実験に用いた粘径のチタン酸バリウム粉末につ
いて、セラミック生シート中に含まれる樹脂量と、この
セラミック生シートの転写性について実験した結果を下
記の第2表に示す。ここで、セラミック生シートは前述
のようにチタン酸バリウム粉末、可塑剤としてのフタル
酸ジブチル、及びPVB樹脂よりできており、ここに含ま
れるPVB樹脂の重量パーセントを変化させた場合の転写
性を調べた。ここで、セラミック生シート中に加えたフ
タル酸ジブチルの量は、PVB樹脂の10重量%と固定し
た。また、セラミック生シートの転写性については、第
1図のように表面に電極が形成されたセラミック生積層
体の上に、電極埋め込みセラミック生シートを転写する
ことで実験した。また、転写はベースフィルム側から、
転写圧力15キログラム毎平方センチメートルの圧力で、
温度180℃に加熱した熱盤を押し当てることで行った。
また、PVB樹脂量は、セラミック生シート中の重量%で
表した。
次に、前記第2表のセラミック生シートを用い、前記
第1表の場合の実施例と同じようにして、積層セラミッ
クコンデンサを製造した。この時のセラミック生シート
中に含まれるPVB樹脂量とデラミネーションの発生率と
の関係を下記の第3表に示す。
この第3表より、PVB樹脂量は10〜40重量%程度のも
のがデラミネーションを起こしにくいことが解る。以上
より、PVB樹脂量はセラミック生シートの10〜40重量
%、特に15重量%前後のものが転写性も良く、デラミネ
ーションの発生も少ないことがわかる。
また、次にPVB樹脂量を15重量%に固定し、加える可
塑剤の重量%を変化させた例を下記の第4表に示す。第
4表において、可塑剤量は、PVB樹脂量に対する重量%
であらわしている。
第4表において、カール性とはスラリーをPETフィル
ム上に塗布した後に、自然乾燥させセラミック生シート
を製造する際、セラミック生シート内に発生した応力を
緩和しきれずに、セラミック生シートがPETフィルムか
ら剥がれて丸まったり、PETフィルムごと波打ったりす
ることをいう。また、可塑剤の染み出しとは、PVB樹脂
内に溶けきらなかった可塑剤が、セラミック生シート表
面に染み出し、べたべたになることをいう。
以上より、可塑剤の量はPVB樹脂の5〜30重量%、特
に10〜30重量%のものがカール性も少なく、保存性が良
いことが解る。ここで、PVB樹脂量が10重量%〜40重量
%の範囲において、可塑剤の量はPVB樹脂の5〜30重量
%のものが良いことが確認された。
ここで、PVB樹脂のような転写性を有する樹脂として
は、他にもアクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース誘導
体樹脂等の熱可塑性樹脂がある。また、熱可塑性樹脂以
外に、硬化型樹脂、重合型樹脂であっても、その硬化条
件、重合条件を適当にし、例えば、ゴム状にすること
で、表面に粘着性を持たせることによって転写でき、セ
ラミック生シート用の樹脂として用いることができる。
さらに、第3図及び第4図のような場合に、セラミッ
ク生シート24aに、チタン酸バリウム100重量部に対し
て、樹脂が5重量部程度しか含まれていない転写性のな
いセラミック生シートを用いても、交互に本発明の転写
性の優れた電極埋め込みシートを用いることによって積
層できる。
次に、第5図は本発明の第2の実施例における熱ロー
ラを用いて電極埋め込みセラミック生シートを転写する
方法を説明するための図である。第5図において、31は
熱ローラであり、ヒータ26aにより一定温度に設定され
ている。そして、電極埋め込みセラミック生シート25が
セラミック生積層体22と熱ローラ31の間を通る時、電極
埋め込みセラミック生シート25は、セラミック生積層体
22表面に転写され、転写された電極埋め込みセラミック
生シート30となる。この方法によると、電極埋め込みセ
ラミック生シートの転写を連続的に行うことができる。
次に、第6図は、電極埋め込みセラミック生シートの
製造方法の一例を説明するための図である。第6図にお
いて、32はアプレケータ、33は誘電体スラリーであり、
アプリケータ32の中にセットされている。また、矢印は
ベースフィルム21aの動く方向を示す。第6図におい
て、予め電極23aが形成されたベースフィルム21aが、誘
電体スラリー33のセットされたアプリケータ32によっ
て、表面に誘電体スラリー33が塗布され、セラミック生
シート25を形成する。ここで、アプリケータ32は、5〜
20ミクロン程度の塗膜を形成できるものが良い。また、
ベースフィルム21aを固定しておいて、アプリケータ32
を動かしても良い。
なお、本発明において、転写時には熱の他に、光,電
子線,マイクロウエーブ,X線等を使用して転写を行って
も良い。また、PVB樹脂の種類、可塑剤の種類や添加量
を変えることにより室温での転写も可能である。
さらに、本発明方法は、前記実施例で述べた積層セラ
ミックコンデンサに適用する以外に、多層セラミック基
板、積層バリスタ等のその他の積層セラミック電子部品
においても適用できるものである。
発明の効果 以上のように本発明は、乾燥された電極が形成されて
なる支持体上に、乾燥後に熱可塑性樹脂が10重量%以上
40重量%以下に、また可塑剤が熱可塑性樹脂に対して5
重量%以上30重量%以下になるように配合したセラミッ
クスのスラリーを塗布した後、前記セラミックスのスラ
リーを乾燥させて、前記支持体上に電極埋め込みセラミ
ック生シートを作り、次に前記電極埋め込みセラミック
生シートを前記支持体より剥離することなく、他のセラ
ミック生シートもしくは他の電極の上に熱圧着させた
後、支持体のみを剥離し、前記電極埋め込みセラミック
生シートを前記他のセラミック生シートもしくは他の電
極上に転写することにより、電極が乾燥されていること
により、電極インキ中に含まれる溶剤の悪影響を極力少
なくし、またセラミック生シートを支持体と共に取扱う
ために取扱時に破損することなく、電極を埋め込むこと
により内部電極による凹凸の発生を低減しながら、歩留
り良く積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電
子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の第1の実施例における電極
埋め込みセラミック生シートを積層する様子を説明する
ための図、第3図及び第4図は前記第1の実施例の変形
例を説明するための図、第5図は本発明の第2の実施例
における熱ローラを用いて電極埋め込みセラミック生シ
ートを転写する方法を説明するための図、第6図は本発
明において電極埋め込みセラミック生シートの製造方法
の一例を説明するための図、第7図は積層セラミックコ
ンデンサの一部を断面にて示す図、第8図は従来例にお
いてセラミック生シート上に電極インキをスクリーン印
刷方法により印刷している様子を示す図、第9図は同じ
く多積層化した時の積層セラミックコンデンサの断面
図、第10図は同じく積層数に対する中心部と周辺部の厚
みの差を説明する図である。 20……台、21,21a,21b……ベースフィルム、22……セラ
ミック生積層体、23,23a……電極、24,24a……セラミッ
ク生シート、25……電極埋め込みセラミック生シート、
26……ヒータ、27……熱盤、28……転写された電極、29
……転写された電極埋め込みセラミック生シート、30…
…転写された電極埋め込みセラミック生シート、31……
熱ローラ、32……アプリケータ、33……誘電体スラリ
ー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 彦治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 沖中 秀行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−51616(JP,A) 特開 昭61−78114(JP,A) 特開 昭64−51610(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乾燥された電極が形成されてなる支持体上
    に、乾燥後に熱可塑性樹脂が10重量%以上40重量%以下
    に、また可塑剤が熱可塑性樹脂に対して5重量%以上30
    重量%以下になるように配合したセラミックスのスラリ
    ーを塗布した後、前記セラミックスのスラリーを乾燥さ
    せ、前記支持体上に電極埋め込みセラミック生シートを
    作り、次に前記電極埋め込みセラミック生シートを前記
    支持体より剥離することなく、他のセラミック生シート
    もしくは他の電極の上に熱圧着させた後、前記支持体の
    みを剥離し、前記電極埋め込みセラミック生シートを前
    記他のセラミック生シートもしくは他の電極上に転写す
    ることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方
    法。
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