JP2688235B2 - 医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キットおよび医薬物質含有脂肪乳剤の調製方法 - Google Patents

医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キットおよび医薬物質含有脂肪乳剤の調製方法

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JP2688235B2 JP50707688A JP50707688A JP2688235B2 JP 2688235 B2 JP2688235 B2 JP 2688235B2 JP 50707688 A JP50707688 A JP 50707688A JP 50707688 A JP50707688 A JP 50707688A JP 2688235 B2 JP2688235 B2 JP 2688235B2
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高橋  健
悠治 牧野
嘉樹 鈴木
達之 成智
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/107Emulsions ; Emulsion preconcentrates; Micelles
    • A61K9/1075Microemulsions or submicron emulsions; Preconcentrates or solids thereof; Micelles, e.g. made of phospholipids or block copolymers

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キットに
関する。更に詳しくは、本発明は用時に(I)脂肪乳剤
と(II)(a)医薬物質と溶剤を含む医薬物質組成物ま
たは(b)医薬物質と賦形剤を含む医薬物質組成物を混
合することにより、医薬物質が脂肪乳剤粒子に包埋され
た医薬物質含有脂肪乳剤を調製することを可能とする、
脂肪乳剤(I)と医薬物質組成物(II)とからなる医薬
物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット、および医薬物質
含有脂肪乳剤の調製方法に関する。
背景技術 脂肪乳剤は、脂肪が微粒子状に水中に均一に分散され
た乳剤である。特に、経口摂取できない患者に対するカ
ロリー補給の目的で経静脈投与に使用される脂肪乳剤が
開発され、市販されている(「高カロリー輸液の基礎と
調製法」第2版 島田慈彦著,薬事日報社刊、1981.p.7
4〜p.81)。通常脂肪乳剤といえば、このような経静脈
投与用の脂肪乳剤をさす。
この脂肪乳剤は通常、大豆油,綿実油,サフラワーオ
イル等の油分,卵黄リン脂質,レシチン,大豆リン脂質
等の乳化剤、及びその他の添加剤を混合加温し、これに
必要量の水を加えホモミキサーを用いて粗乳化し、次い
で噴射型高圧ホモジナイザーを用いて精乳化し、更に高
圧蒸気滅菌することによって製造される。
こうして製造された脂肪乳剤は、その表面を乳化剤で
覆われた油滴の粒子(平均粒子径1μm以下)が水中に
均一に分散しているものである。この表面を乳化剤で覆
われた油滴粒子を「脂肪乳剤粒子」と定義する。
さて近年、医薬物質をそれを含有する製剤として生体
に投与した後、製剤からの医薬物質の放出を制御した
り、体内での不活性化を防いだり、体内での分布を制御
したり、局部での貯留性を延長する等して医薬物質の有
効性・安全性を高め、より合理的な薬物治療をめざす各
種の試みが活発に行なわれている。このような試みの一
つとして医薬物質製剤中の医薬物質が包埋される担体
(carrier)を工夫する方法がある。この方法では医薬
物質が製剤から放出され単独で生体内に吸収,分布,代
謝,排泄される通常の製剤の場合と異なり、医薬物質が
包埋され担体の生体内における吸収,分布,代謝,排泄
に大きく影響される。
ここで「医薬物質が担体に包埋される」ということを
次のように定義する。
即ち、医薬物質,担体及びその他賦形剤等からなる製
剤中の医薬物質全分子の一部又は全部が、個々の医薬物
質1分子としては、担体中にその分子全体又は分子の一
部分が存在する状態であるということとする。
医薬物質1分子の全体が担体中に存在する例として
は、担体中に医薬物質が溶解している状態が挙げられ、
医薬物質1分子の一部分が担体中に存在する例としては
担体中に医薬物質1分子の一部分が存在し、残りの部分
が担体から外側に露出している状態が挙げられる。
このような医薬物質の担体の例としては脂質二重膜か
らなるリポソームが古くから知られている。
ところが、最近、医薬物質を包埋する担体として前述
の脂肪乳剤粒子を利用する試みが報告された。医薬物質
を油分,乳化剤等とともに乳化して製した医薬物質含有
脂肪乳剤は、医薬物質を脂肪乳剤なしで投与した場合と
比較して医薬物質の生体内での半減期が延長したり、標
的部位へ選択性高く運搬されることが報告されている。
その具体例としては、ステロイド脂肪乳剤(特開昭57
−16818号公報),ビフェニルプロピオン酸誘導体脂肪
乳剤(特開昭60−16923号公報),プロスタグランジンE
1脂肪乳剤(特開昭58−222014号公報)等が挙げられ
る。
脂肪乳剤を担体とした医薬物質含有脂肪乳剤と脂肪乳
剤なしの製剤(例えば界面活性剤による可溶化溶液)と
を比較して、医薬物質含有脂肪乳剤の生体内挙動が異な
るのは、医薬物質が脂肪乳剤粒子内に包埋されているた
めと考えられている。
このような医薬物質含有脂肪乳剤の製造法は、前述の
脂肪乳剤の製造法とほぼ同じである。すなわち、所定量
の油分に包埋すべき医薬物質を溶解し,乳化剤及びその
他の添加物と混合・加温し、これに必要量の水を加えホ
モミキサーを用いて粗乳化し、次いで噴射型高圧ホモジ
ナイザーを用いて精乳化して平均粒子径1μm以下の微
粒子とし、容器に封入後高圧蒸気滅菌することにより製
造される。
前記の方法で製造される医薬物質含有脂肪乳剤は、医
療上極めて有用な製剤であるが、いくつかの欠点を有し
ている。
第一に、脂肪乳剤中で不安定な医薬物質を含有する医
薬物質含有脂肪乳剤は長期間保存できない。この欠点に
対しては、医薬物質を不安定にする原因成分を除去する
か、あるいは医薬物質を安定化する添加物を添加する方
法が対策として挙げられる。前者の例としては、リン脂
質からホスファチジールエタノールアミンを除去するこ
とにより安定化されたプロスタグランジン脂肪乳剤(特
開昭60−149524号公報)がある。しかし、これらの方法
は医薬物質の種類によって安定化の要因が異なるために
多くの医薬物質の安定化が可能な普遍的方法ではない。
したがって、脂肪乳剤中で不安定な医薬物質を脂肪乳
剤中に包埋させて投与することを可能にする製剤が望ま
れている。
第二に、前記の方法では製造できない医薬物質含有脂
肪乳剤がある。例えば、前記の方法では噴射型高圧ホモ
ジナイザーを使用するため、衝撃により爆発するような
医薬物質については該医薬物質含有脂肪乳剤を製造する
ことはできない。更に、注射剤とする時は高圧蒸気滅菌
工程が必要であるが、熱に不安定な医薬物質あるいは揮
発性の高い医薬物質については、高圧蒸気滅菌工程中に
かかる医薬物質は分解あるいは消失してしまう。すなわ
ち、熱に不安定あるいは揮発性の高い医薬物質について
は該医薬物質含有脂肪乳剤を製造することができない。
したがって、熱,衝撃等に対して不安定な、あるいは
揮発性の高い医薬物質を脂肪乳剤中に包埋させて投与す
ることを可能にする製剤が望まれている。
これらの問題点を解決する方法として、発明者らは脂
肪乳剤と医薬物質組成物を混合することによって医薬物
質含有脂肪乳剤を調製する方法について鋭意研究した。
脂肪乳剤は表面を界面活性剤で覆われた油の粒子が水に
分散したものであるから、医薬物質組成物を脂肪乳剤粒
子に混合すれば、医薬物質が水と大豆油間の分配係数に
応じて脂肪乳剤粒子に取りこまれると考えられたからで
ある。
医薬物質組成物と脂肪乳剤を混合することによって医
薬物質含有脂肪乳剤が調製できれば、医薬物質組成物が
高圧噴射型ホモジナイザーによる乳化過程や高圧蒸気滅
菌工程を避けることができるし、用時に医薬物質組成物
と脂肪乳剤を混合することによって医薬物質含有脂肪乳
剤を調製するキットができれば、医薬物質の脂肪乳剤中
における安定性も問題とならない。
このような医薬物質含有脂肪乳剤を調製する方法につ
いての従来技術としては、以下のものが知られている。
フォートナーらは、不溶性のニトロソウレア系の制癌
剤含有脂肪乳剤を製造する方法として、この制癌剤の無
水アルコール溶液と脂肪乳剤とを混合する方法について
記載している(C.L.Fortner et al.,Am.J.Hosp.Pharm.
(1975),32,582−584)。
また、エルセイドらは、制癌剤である水不溶性のカル
バミン酸誘導体を含有する脂肪乳剤を、この制癌剤をジ
メチルアセトアミドとクレムフォアの混合液に溶解し
た後に脂肪乳剤と混合して製造する方法について記載し
ている(A.A.El−Sayed et al.,International Journal
of Pharmaceuties,13(1983),303−312)。
しかしながら本発明者によれば、治療に必要十分な濃
度の医薬物質を含有する脂肪乳剤を調製するのに必要な
比率で、無水アルコールあるいはジメチルアセトアミド
とクレムフォアの混合液を脂肪乳剤と混合すると脂肪
乳剤に気泡を生じ、このような医薬物質含有脂肪乳剤を
注射剤として使用することは安全性の面から好ましくな
いことがわかった。
そこで、脂肪乳剤が安定なままに医薬物質含有脂肪乳
剤を調製でき、かつ安全な医薬物質の溶剤等が求められ
ていた。
発明の開示 本発明者らは、脂肪乳剤の安定性に影響を与えない医
薬物質組成物について鋭意検討した結果、以下の事実を
見い出し本発明に到達したものである。
すなわち、医薬物質とこの医薬物質の溶剤として
水,液状ポリアルキレングリコール類,液状トリア
ルキルアミン類,液状多価アルコール類の少なくとも
1つの溶剤を含む医薬物質組成物と脂肪乳剤を混和する
と、医薬物質が脂肪乳剤粒子内に速やかに移行し包埋さ
れ、しかも治療に必要十分な濃度の医薬物質を含む医薬
物質含有脂肪乳剤が調製できることを知見した。
またさらに、医薬物質とこの医薬物質の賦形剤として
の糖類および/またはアミノ酸類を含む医薬物質組成物
と脂肪乳剤を混和すると、医薬物質が脂肪乳剤粒子内に
速やかに移行し包埋され、しかも治療に必要十分な濃度
の医薬物質を含む医薬物質含有脂肪乳剤ができることと
これらの賦形剤を脂肪乳剤に添加しても脂肪乳剤が安定
であることを知見した。
先に「医薬物質が担体に包埋される」ことについて定
義したが、ここで「医薬物質が脂肪乳剤粒子に包埋され
る」とは、先の定義中「担体」を「脂肪乳剤粒子」に置
き換えたものである。具体的には、脂肪乳剤粒子とは、
水中に分散しているその表面を乳化剤で覆われた油滴の
粒子であるから、医薬物質1分子全体が脂肪乳剤粒子内
に存在するとは、医薬物質1分子全体が脂肪乳剤粒子の
乳化剤部分のみ、又は油滴内のみ、又は乳化剤部分及び
油滴部分の双方に溶解するか分散している状態を示す。
一方、医薬物質1分子の一部分が脂肪乳剤粒子内に存在
するとは、医薬物質1分子の一部分が脂肪乳剤粒子の乳
化剤部分のみ、又は乳化剤部分と油滴部分の双方に存在
し、残りの部分が乳化剤部分の表面から外側すなわち水
相側に露出している状態を示す。
従来の製造工程で安定な医薬物質を用いて比較したと
ころ、上記医薬物質組成物と脂肪乳剤を混和して調製し
た医薬物質含有脂肪乳剤は、あらかじめ油成分に医薬物
質を溶解した後に乳化する従来の方法により製造した医
薬物質含有脂肪乳剤とほぼ同様のものであった。
このように医薬物質組成物と脂肪乳剤とを用時に混和
して医薬物質含有脂肪乳剤とすれば、長期保存安定性に
欠けるため従来の製法による脂肪乳剤中では不安定な医
薬物質も医薬物質含有脂肪乳剤の形で使用することがで
きる。また、医薬物質が噴射式高圧ホモジナイザーや高
圧蒸気滅菌工程を経ないために、熱,衝撃等に不安定で
あったり揮発性の高い医薬物質も医薬物質含有脂肪乳剤
として使用できる。
しかも、従来の脂肪乳剤と同様に、医薬物質の生体内
での半減期が延長され、標的部位への選択性も高いとい
う、優れた薬効及び低副作用の製剤として使用すること
ができる。
しかして、本発明はキットの構成要素としての (1)油成分、リン脂質,レシチン,水素添加レシチン
からなる群から選ばれる少なくとも一種の乳化剤、及び
水からなる脂肪乳剤と (2)ステロイド類,制癌剤,プロスタグランジン類,
脂溶性ビタミン類,抗炎症薬,強心薬,不整脈用薬,血
管拡張薬,カルシウム拮抗薬からなる群から選ばれる少
なくとも一種の医薬物質と (a) 液状ポリアルキレングリコール類,液状アルキ
ルエタノールアミン類,液状多価アルコール類からなる
群から選ばれる少なくとも1種の溶剤、または (b) 賦形剤としての糖類および/またはアミノ酸類
と を含む医薬物質組成物 とからなる医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製形型キッ
ト、及び (1)油成分、リン脂質,レシチン,水素添加レシチン
からなる群から選ばれる少なくとも一種の乳化剤、及び
水からなる脂肪乳剤と (2)ステロイド類,制癌剤,プロスタグランジン類,
脂溶性ビタミン類,抗炎症薬,強心薬,不整脈用薬,血
管拡張薬,カルシウム拮抗薬からなる群から選ばれる少
なくとも1種の医薬物質と (a) 液状ポリアルキレングリコール類,液状アルキ
ルエタノールアミン類,液状多価アルコール類からなる
群から選ばれる少なくとも1種の溶剤、または (b) 賦形剤としての糖類および/またはアミノ酸類
と を含む医薬物質組成物 とを混和して該医薬物質を脂肪乳剤粒子内に包埋せしめ
ることからなる医薬物質含有脂肪乳剤の調製方法。
発明を実施するための最良の状態 本発明を構成する脂肪乳剤は、(a)0.1〜50w/v%の
油成分、(b)油成分100部に対して1〜50部、好まし
くは5〜30部の乳化剤、及び(c)適当量の水よりな
る。更に必要に応じて乳化補助剤,安定化剤,等張化
剤,抗酸化剤,pH調整剤等を添加することもできる。
また、脂肪乳剤粒子の表面が、標的部位へのターゲッ
ティングの能率向上や脂肪乳剤粒子の構造強化や網内系
への取り込みを抑制すること等を目的とする修飾を受け
ていてもかまわない。
標的部位へのターゲッティングの能率向上を目的とす
る修飾としては、例えば抗原と特異的に結合する免疫グ
ロブリンや免疫グロブリンの活性フラグメントまたは、
肝実質細胞への取り込みを増加させるためにアシアロフ
ェツインを表面に結合させた脂肪乳剤粒子が挙げられ
る。
網内系への取り込みを抑制することを目的とする修飾
としては、例えば赤血球膜の蛋白質であるグリコフォリ
ンを表面に結合させた脂肪乳剤粒子が挙げられる。
脂肪乳剤粒子の構造強化を目的とする修飾としては、
例えばプルランやアミロペクチンの一級アルコール基に
パルミチン酸を結合させたものや、架橋剤を介してコレ
ステロールを結合させたもので表面を被覆した脂肪乳剤
粒子などが挙げられる。
本発明の脂肪乳剤の油成分としては、大豆油,綿実
油,サフラワー油,コーン油,ゴマ油,オリーブ油,中
鎖脂肪酸トリグリセライド,エイコサペンタン酸,トリ
アセチン等が使用できるが、医薬用として使用可能なも
のであれば、特に制限はない。なかでも、高純度の精製
大豆油(精製大豆油を例えば水蒸気蒸留法[H.J.Lips.,
J.Am.Oil Chemist,Soc.,27,422〜423(1950)]により
更に精製して得た高純度の精製大豆油(純度:トリグリ
セリド、ジグリセリド及びモノグリセリドとして99.9%
以上含有))が好適である。
本発明の脂肪乳剤の乳化剤としては、リン脂質,レシ
チン,水素添加レシチン,非イオン性界面活性剤等が使
用できるが、医薬品として使用可能なものであれば特に
制限はない。リン脂質,レシチン,水素添加レシチン等
は、その由来を特に限定されず、例えば、大豆油等の植
物油,卵黄等の動物由来のもの等が用いられる。リン脂
質は精製されたものが好適であり、これは常法の有機溶
媒による分画法によって調製することができる。すなわ
ち、例えば粗卵黄リン脂質130gを冷n−ヘキサン200ml
及び冷アセトン100mlに溶解後、攪拌下、徐々に冷アセ
トン1170mlを添加し、不溶物をろ別回収し、再び冷n−
ヘキサン260mlおよび冷アセトン130mlに溶解する。攪拌
下、再び冷アセトン1170mlを加え、不溶物をろ別回収し
たのち、溶媒を留去し、乾燥物60gを得る。このもの
は、ホスファチジルコリンを70〜80%,ホスファチジル
エタノールアミンを12〜25%含有し、これ以外のリン脂
質として、ホスファチジルイノシトール,ホスファチジ
ルセリン,スフィンゴミエリンを含有する[D.J.Hanaha
n et al.,J.Biol.Chem.,192.623〜628(1951)]。レ
シチンはホスファチジルコリンの別称で、精製したリン
脂質を更にカラムクロマトグラフィーにより精製する方
法や、CDPコリンと1,2−ジアシルグリセロールによるエ
ステル化のような化学合成法やリゾレシチンへのアシル
CoAからのアシル化のような酵素反応を利用する方法な
どにより得られる。レシチンは不飽和脂肪酸を持つもの
が多いが、その不飽和結合に接触還元などにより水素添
加し酸化しにくくさせたものが水素添加レシチンであ
る。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレ
ン共重合体,ポリアルキレングリコール,硬化ヒマシ油
ポリオキシアルキレン誘導体,ヒマシ油ポリオキシアル
キレン誘導体等があるが、分子量2000〜20000のポリオ
キシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー,硬化
ヒマシ油ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ヒマシ
油ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が好適であ
る。
乳化剤がリン脂質の場合には抗酸化剤の配合が好まし
いが、この抗酸化剤としては医薬品として使用可能なも
のであれば特に制限はないが、特にビタミンEが好適で
ある。
本発明の脂肪乳剤の乳化補助剤としては炭素数6〜2
2、好ましくは炭素数12〜20の脂肪酸又はその塩が使用
できるが、医薬品に添加可能なものであれば特に制限は
ない。当該脂肪酸は直鎖状,分子状のいずれでもよい
が、好ましくは直鎖状のものが使用される。なかでも、
天然脂肪酸が好都合に使用される。好ましい脂肪酸の具
体例としては、たとえばステアリン酸,オレイン酸,リ
ノール酸,パルミチン酸,リノレン酸等が挙げられる。
上記脂肪酸の塩としては、生理的に受け入れられる
塩、たとえばアルカリ金属塩(ナトリウム塩,カリウム
塩など),アルカリ土類金属塩(カルシウム塩など)等
が挙げられる。
これらの乳化補助剤の添加量は通常脂肪乳剤の0.3%
(w/v)以下である。
本発明の脂肪乳剤の安定化剤としては、コレステロー
ル,ホスファチジン酸,高分子物質等が使用できるが、
医薬品に添加可能なものであれば特に制限はない。なか
でも、高分子物質としてはアルブミン,ビニル重合体,
非イオン性界面活性剤が好ましい。アルブミンは、抗原
性の問題からヒト由来のものが好ましい。
ビニル重合体としては、ポリビニルピロリドン等を挙
げることができる。
また、非イオン性界面活性剤としては、ポリアルキレ
ングリコール(例えば、平均分子量1000〜10000、好ま
しくは4000〜6000のポリエチレングリコール),ポリオ
キシアルキレン共重合体(例えば、平均分子量1000〜20
000、好ましくは6000〜10000のポリオキシエチレン−ポ
リオキシプロピレン共重合体),硬化ヒマシ油ポリアル
キレン誘導体(例えば、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレ
ン−(40)−エーテル,同−(20)−エーテル,同−
(100)−エーテル),ヒマシ油ポリオキシアルキレン
誘導体(例えば、ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)
−エーテル,同−(40)−エーテル,同−(100)−エ
ーテル)等を用いることができる。
これらの安定化剤の添加量はそれぞれ異なり、たとえ
ばコレステロールでは0.5%(w/v)以下、好ましくは0.
1%(w/v以下)てあり、ホスファチジン酸では5%(w/
v)以下、好ましくは1%(w/v)以下である。
本発明の脂肪乳剤のpH調整剤としては、例えば水酸化
ナトリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,塩
酸等が使用できるが、医薬品として使用可能なものであ
れば特に制限はない。
本発明の脂肪乳剤の等張化剤としては例えばグリセリ
ン,ブドウ糖等が挙げられる。
本発明は構成する医薬物質組成物は(a)医薬物質
と、水,液状ポリアルキレングリコール類,液状アルキ
ルエタノールアミン類,液状多価アルコール類から選ば
れる少なくとも1種の溶剤、または(b)医薬物質と、
賦形剤としての糖類および/またはアミノ酸類よりな
る。更に必要に応じて医薬物質の安定性を高める安定化
剤を添加することができる。
また、溶剤が水の場合の具体例としては注射用蒸留水
などがあり、必要に応じて等張化剤,pH調整剤等を添加
することができる。等張化剤,pH調整剤を添加したもの
としては、例えば生理食塩水などがある。
液状ポリアルキレングリコール類の具体例としては、
平均分子量800以下のポリエチレングリコール、例えば
ポリエチレングリコール200,ポリエチレングリコール30
0,ポリエチレングリコール400,ポリエチレングリコール
700などがある。
液状アルキルエタノールアミン類としては、ジエタノ
ールアミン,トリエタノールアミンなどが挙げられる。
液状多価アルコール類としては、プロピレングリコー
ル等が挙げられる。
糖類としては、ブドウ糖,マンニトール,イノシトー
ル,キシリトール,乳糖等が挙げられる。
アミノ酸類としては、グリシン,アラニン,アルギニ
ン等が挙げられる。
医薬物質組成物に添加することのできる安定化剤とし
ては、例えば医薬物質の酸化を防ぐためのアスコルビン
酸,EDTA,トコフェロール,ブチルヒドロキシトルエン,
ブチルヒドロキシアニソール,没食子酸プロピル,テト
ラヒドロキシジメチル等や、防腐作用を持つフェノー
ル,ソルビン酸,クレゾール,サリチル酸,プロピオン
酸,メチルパラヒドロキシベンゾエイト等が挙げられ
る。
溶剤が水の場合に添加することのできる等張化剤,pH
調整剤の具体的例としては、前述の脂肪乳剤の等張化
剤,pH調整剤の項に挙げたものと同様のものが挙げられ
る。
本発明の医薬物質としては、以下のような薬物及びそ
の誘導体や塩等があるが、これらの中でも脂溶性の高い
もの又は油溶性誘導体が好ましい。
ステロイド類としては、デキサメサゾン,デキサメサ
ゾンパルミテート,デキサメサゾンステアレート,デキ
サメサゾンミリステート,ハイドロコーチゾン,ハイド
ロコーチゾンパルミテート,ハイドロコーチゾンステア
レート,ハイドロコーチゾンミリステート,プレドニゾ
ロン,プレドニゾロンパルミテート,プレドニゾロンス
テアレート,プレドニゾロンミリステート,プロゲステ
ロン等がある。
プロスタグランジン類としては、プロスタグランジン
A1,プロスタグランジンE1,プロスタグランジンE2,プロ
スタグランジンF1α,プロスタグランジンF2α,プロス
タグランジンI2及びそれらの誘導体等が、例えば9
(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグランジンI1
(イソカルバサイクリン),9(0)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1メチルエステル,20
−メチル−9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタ
グランジンI1,6−オキソプロスタグランジンE1,15−メ
チル−プロスタグランジンE2,7−チアプロスタグランジ
ンE1メチルエステル,17,20−ジメチル−7−チアプロス
タグランジンE1メチルエステル,17,20−ジメチル−6−
オキソプロスタグランジンE1メチルエステル,18,18,19,
19−テトラデヒドロ−16−メチル−9(0)−メタノ−
Δ6(9α)−プロスタグランジンI1,18,18,19,19−テ
トラヒドロ−16,20−ジメチル−9(0)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1等が挙げられる。
脂溶性ビタミン類としては、ビタミンA1,ビタミンA2,
ビタミンA3,ビタミンA1パルミテート,ビタミンD1,ビタ
ミンD2,ビタミンD3,ビタミンD4,α−トコフェロール,
β−トコフェロール,γ−トコフェロール,δ−トコフ
ェロール,ビタミンK1,ビタミンK2,ビタミンK3,ビタミ
ンK4,ビタミンK5.ビタミンK6及びそれらの誘導体等があ
る。
特にビタミンD3の誘導体としては活性化型ビタミンD3
類が挙げられ、例えば1α−ヒドロキシコレカルシフェ
ロール(1α−OH−D3),1α,25−ジヒドロキシコレカ
ルシフェロール(1α,25−(OH)−D3),1α,24−ジ
ヒドロキシコレカルシフェロール(1α,24(OH)−D
3),1α,24,25−トリヒドロキシコレカルシフェロール
(1α,24,25(OH)−D3),1α−ヒドロキシ−24−オ
キソコレカルシフェロール,1α,25−ジヒドロキシ−24
−オキソコレカルシフェロール,1α,25−ジヒドロキシ
コレカルシフェロール−26,25−ラクトン,1α,25−ジヒ
ドロキシコレカルシフェロール−26,23−パーオキシラ
クトン,26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1α,25
−ジヒドロキシコレカルシフェロールなどの1α位に水
酸基を有する活性型ビタミンD3類;あるいは25−ヒドロ
キシコレカルシフェロール(25−OH−D3),24−ヒドロ
キシコレカルシフェロール(24−OH−D3),24−オキソ
コレカルシフェロール,24,25−ジヒドロキシコレカルシ
フェロール(24,25−(OH)−D3),25−ヒドロキシ−
24−オキソコレカルシフェロール,25−ヒドロキシコレ
カルシフェロール−26,23−ラクトン,25−ヒドロキシコ
レカルシフェロール−26,23−パーオキシラクトンなど
の1α位に水酸基を有しない活性型ビタミンD3類などが
挙げられる。
抗炎症薬としては、イブプロフェン,フルフェナム
酸,ケトプロフェン,インドメサシン及びそれらの誘導
体等がある。
抗ウイルス薬としては、アシクロビア,インターフェ
ロン,アジドチミジン及びそれらの誘導体等がある。
抗生物質としては、グラム陰性菌,グラム陽性菌に作
用する薬物のうちセファロスポリン類,ペニシリン類,
エリスロマイシン系,キタサマイシン系,クロラムフェ
ニコール系,テトラサイクリン系,ストレプトマイシン
系,カナマイシン系,オレアンドマイシン系,コリスチ
ン系,ゲンタマイシン系,ジベカシン系,リボスタマイ
シン系,リンコマイシン系の薬物及びその誘導体等があ
り、カビや原虫に作用するものとしてはアムホテリシン
B及びその誘導体等がある。
制癌剤としては、ヘキサメチルメラミン,ダウノルビ
シン,ドキソルビシン,ダウノマイシン,フトラフー
ル,5−FU,ブレオマイシン,メトトレキセート,アクチ
ノマイシンD,マイトマイシンC,クロラムブシル及びそれ
らの誘導体等がある。
抗潰瘍薬としては、シメチジン,ゲファルナート及び
それらの誘導体等がある。
抗ヒスタミン薬としては、マレイン酸クロルフェニラ
ミン,塩酸ジフェンヒドラミン,クロルフェニラミンや
ジフェンヒドラミンの誘導体等がある。
不整脈用薬としては、プロプラノロール,アジマリ
ン,ベラパミル,アルプレノロール及びそれらの誘導体
等がある。
強心薬としては、ジゴキシン,デスノラシド,G−スト
ロファンチン,イソプロテレノール,エチレフリン,ド
パミン,ユビデカレノン及びそれらの誘導体等がある。
血管拡張薬としては、オキシフェドリン,カルボクロ
メン,ジピリダモール,硝酸イソソルビド,ニトログリ
セリン及びそれらの誘導体等がある。
血栓溶解薬としては、ウロキナーゼ及びその誘導体等
がある。
利胆剤としてはデヒドロコール酸及びその誘導体等が
ある。
生理活性ペプチドとしては、インシュリン,カルシト
ニン,グルカゴン,リポコルチン,心房性ナトリウム利
尿ペプチド,エリスロポエチン,レニン,アンジオテン
シン,カリクレイン,インターロイキン1,インターロイ
キン2,インターロイキン3,インターロイキン4,腫瘍壊死
因子,及びそれらの脂溶性誘導体等がある。
カルシウム拮抗薬としては、ニフェジピン,ニカルジ
ピン及びそれらの誘導体等がある。
これらの中でも特に、プロスタグランジン類とその油
溶性誘導体,ビタミンD3とその活性化誘導体,ニトログ
リセリン等が好適である。
本発明を構成する脂肪乳剤は、たとえば次の方法によ
って製造される。
すなわち、乳化剤例えばリン脂質、および必要により
前記の添加剤例えば乳化補助剤,安定化剤,抗酸化剤,p
H調整剤等を油成分例えば大豆油と混合し、40〜75℃に
加熱溶解して溶液となし、この溶液に必要量の水を加
え、通常のミキサー(例えばホモミキサー)を用いて20
〜80℃で乳化を行ない粗乳化液を得る。この段階で安定
化剤及び等張化剤を加えてもよい。
次いでこの粗乳化液をホモジナイザー(例えばマント
ン−ガウリン型ホモジナイザーの如き加圧噴射型ホモジ
ナイザー,超音波型ホモジナイザーなど)を用いて20〜
80℃で微粒子化することにより均質化された極めて微細
な脂肪乳剤が得られる。この乳剤の平均粒子径は1.0μ
以下であり、その保存安定性はきわめて良好である。
ホモジナイザーとして例えばマントン−ガウリン型ホ
モジナイザーを用いた場合の粗乳化液の均質化は、例え
ば粗乳化液を該ホモジナイザーに100〜150Kg/cm2の第一
段圧力に0〜2回通し、次いで400〜700Kg/cm2の第二段
圧力下に5〜15回通すことによって行なわれる。
得られた脂肪乳剤は容器に封入されるが、その後高圧
蒸気滅菌を施すのが望ましい。
次に表面を修飾した脂肪乳剤の調製法であるが、例え
ば、免疫グロブリンの活性フラグメントを結合させた脂
肪乳剤は次のようにして調製される。
脂肪乳剤と免疫グロブリンの活性フラグメントとの結
合方法は、親油性物質を導入した免疫グロブリンのフラ
グメントと医薬物質含有脂肪乳剤との接触による方法
(以下、方法1という)および親油性物質を脂肪乳剤の
調製時に混合し、乳剤調製法、免疫グロブリンのフラグ
メントと直接もしくは架橋剤を介して結合する方法(以
下、方法2という)がある。方法1において親油性物質
を導入した免疫グロブリンのフラグメントの調製は、親
油性物質として、例えば、リン脂質,糖脂質,脂肪酸な
どが好適に用いられる。リン脂質の1種であるフォスフ
ァチジルエタノールアミン(PE)を用いる場合は、サク
シニミジル−4−(P−マレイミドフェノール)ブチレ
ート(SMPB)との反応で得られるN−4−(P−マレイ
ミドフェノール)ブチルフォスファチジルエタノールア
ミン(P−MPB)を免疫グロブリンのフラグメントと反
応することにより得られる(J.Biol.Chem.257,286.(19
82))。糖脂質の1種であるガングリオシドを用いる場
合は、過ヨウ素酸により酸化した後、免疫グロブリンの
フラグメントと反応することにより得られ(Biochem.Bi
ophys.Acta.640,66,(1981))、また、例えば脂肪酸の
1種であるパルミチン酸を用いる場合は、N−ハイドロ
オキシサクシニイミドのパルミチン酸エステルと免疫グ
ロブリンのフラグメントと反応することにより得られる
(Biochem.Biophys.Acta.689,31,(1982))。このよう
にして得られた免疫グロブリンのフラグメントと親油性
物質な複合体の水溶液または水懸濁液は、前述の如くし
て調製した脂肪乳剤と接触することにより、脂肪乳剤の
油粒子表面に結合される。この接触は、例えば脂肪乳剤
10重量部に0.01〜10重量部の複合体の0.1〜10%の水溶
液、または水懸濁液として混合することにより行なわれ
る。接触温度は、通常4〜37℃で、接触時間は通常30分
〜24時間であり、攪拌もしくは振盪することが好まし
い。方法2においては、例えば、前述のPE−MPBを脂肪
乳剤の乳化時に0.01〜10w/v%となるように加え、乳剤
を調製し得られた乳剤と免疫グロブリンのフラグメント
と接触することにより、免疫グロブリンのフラグメント
結合脂肪乳剤が得られる。この接触は、例えば、乳剤10
重量部に0.01〜10重量部の免疫グロブリンのフラグメン
トの0.1〜10%の水溶液と混合することにより行なわれ
る。接触温度は通常4〜37℃で接触時間は通常30分〜24
時間であり、攪拌もしくは振盪することが好ましい。
本発明を構成する医薬物質組成物のうち医薬物質と溶
剤とを含む医薬物質組成物は、例えば、次の方法によっ
て製造される。
すなわち、医薬物質を溶剤に溶解して溶液とし、その
溶液を濾過滅菌する。しかる後、その溶液を容器に封入
することによって、液状医薬物質組成物が製造される。
かかる液状医薬物質組成物の量は、医薬物質が必要とさ
れる量によりあるいは溶剤の種類によって異なるが脂肪
乳剤と混和したときに気泡を生ぜず、脂肪乳剤の安定
性,薬物の移行性の点から、溶剤が水の場合では、脂肪
乳剤100部に対して容量比で100部以下であり、溶剤が液
状ポリアルキレングリコール類の場合では、脂肪乳剤10
0部に対して容量比で20部以下であり、なかでも好まし
くは10部以下である。その他の溶剤の場合では、脂肪乳
剤100部に対して容量比で10部以下であるのが好まし
い。
また、本発明を構成する医薬物質組成物のうち、医薬
物質と賦形剤とを含む医薬物質組成物は脂肪乳剤と速や
かに混和される必要があるので、微粒子状及び表面積が
大きい状態にあることが好ましい。具体的には注射用蒸
留水に溶解し、0.2μmメンブランフィルターで濾過滅
菌を施した後、容器に分注し凍結乾燥して製造される。
医薬物質と賦形剤とを含む医薬物質組成物の量は医薬
物質が必要とされる量により異なるが、脂肪乳剤100部
に対して重量比で10部以下であるのが好ましい。
本発明の医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット
は、例えば次のように使用される。
用時に医薬物質組成物が封入された容器に脂肪乳剤封
入容器から脂肪乳剤を注入しよく混和する。注入操作は
無菌的に行なうこともできる。ここでいう混和とは通
常、少なくとも1分間以上、手にもってよく振盪するこ
とまたはボルテックス型振盪機を用いて最大振盪強度で
少なくとも30秒間振盪することによって施される。
このようにして調製された医薬物質含有脂肪乳剤は用
いた医薬物質が安定な時間内に使用するのが好ましい。
また、本発明のキットを用いて調製された医薬物質含
有脂肪乳剤は注射剤として使用されるが、静脈内投与が
望ましく、また、生理食塩水や5%ブドウ糖液等の輸液
に混和した後に投与してもよい。
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 下記に示した処方からなる脂肪乳剤を製造し、2mlず
つバイアルに分注した後、ゴム製キャップで密栓した。
<脂肪乳剤の処方> 精製ダイズ油 50.0g 精製卵黄レシチン 6.0g 注射用グリセリン 12.5g 注射用蒸留水 適 量 全 量 500ml b.インドメサシン組成物 インドメサシンをポリエチレングリコール400に10mg/
mlの濃度で溶解し、0.2μmのメンブランフィルターで
濾過滅菌を行った後に、0.1mlずつバイアルに分注しゴ
ム製キャップで密栓した。
(2) インドメサシン含有脂肪乳剤の調製 (1)で作成したキットを用い、インドメサシン組成
物の入っているバイアル(b)に脂肪乳剤の入っている
バイアル(a)から注射器で脂肪乳剤を取り出して注入
し、よく混和してインドメサシン含有脂肪乳剤を調製し
た。
得られたインドメサシン含有脂肪乳剤を120,000xg、
2時間の条件で遠心して油相と水相を分離し、油相に含
まれるインドメサシンを定量したところ、製剤中の全イ
ンドメサシンの54.0%が油相に含まれていた。
一方、インドメサシンを大豆油に溶解し、(1)aの
処方で従来の方法通りに、すなわち大豆油を卵黄レシチ
ンで乳化して製造したインドメサシン含有脂肪乳剤は、
製剤中の全インドメサシンの50.0%が油相に含まれてい
るものだった。
このように、医薬物質組成物と脂肪乳剤を混和しても
従来の方法で製造した医薬物質含有脂肪乳剤と同様のも
のが製造できた。
本発明のキットを用いた場合のインドメサシンは、脂
肪乳剤中で少なくとも24時間は安定であった。
実施例2 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 実施例1と同様にして脂肪乳剤を製造し、脂肪乳剤5m
lの入ったバイアルを得た。
b.液状クロラムブシル組成物 制癌剤クラムブシルをプロピレングリコールに10mg/m
lの濃度で溶解し、0.2μmのメンブランフィルターで濾
過滅菌を行った後に、0.2mlずつバイアルに分注しゴム
製キャップで密栓した。
(2) クロラムブシル含有脂肪乳剤の調製 クロラムブシル組成物の入っているバイアル(a)に
脂肪乳剤の入っているバイアル(b)から脂肪乳剤を取
り出して注入し、1分間よく混和してクロラムブシル含
有脂肪乳剤を調製した。
実施例1と同様にして、得られたクロラムブシル含有
脂肪乳剤の油相に含まれるクロラムブシルを定量したと
ころ、製剤中の全クロラムブシルの65.0%が油相に含ま
れていた。
一方、クロラムブシルを大豆油に溶解し、実施例1の
(1)aの処方で従来の方法通りに、すなわち大豆油を
卵黄レシチンで乳化して製造したクロラムブシル含有脂
肪乳剤は、製剤中の全クロラムブシルの65.0%が油相に
含まれているものだった。
このように、医薬物質組成物と脂肪乳剤を混和して
も、従来の方法で製造した医薬物質含有脂肪乳剤と同様
のものが製造できた。
本発明のキットを用いた場合のクロラムブシルは、脂
肪乳剤中で少なくとも72時間は安定であった。
さらにまた、比較のためにエタノールにクロラムブシ
ルを10mg/mlの濃度で溶解した組成物を用いて、上記と
同様にクロラムブシル含有脂肪乳剤の調製を試みたとこ
ろ、脂肪乳剤に気泡が生じ、注射剤として用いるには不
都合なものができた。それに対してプロピレングリコー
ルを用いた本発明のキットでは、脂肪乳剤に変化がなく
注射剤として使用可能であった。
実施例3 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 実施例1と同様にして、脂肪乳剤2mlの入ったバイア
ルを得た。
b.9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグランジ
ンI1メチルエステル組成物 9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグランジ
ンI1メチルエステルをトリエタノールアミンに40μg/ml
の濃度で溶解し、0.2μmのメンブランフィルターで濾
過滅菌を行った後に50μずつバイアルに分注しゴム製
キャップで密栓した。
(2) 9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグ
ランジン I1メチルエステル含有脂肪乳剤の調製 薬物組成物の入っているバイアル(b)に脂肪乳剤の
入っているバイアル(a)から脂肪乳剤を取り出して注
入し、よく混和して9(0)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1メチル含有脂肪乳剤を調製した。
実施例1と同様にして、得られた薬物含有脂肪乳剤の
油相に含まれる9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロ
スタグランジンI1メチルエステルを定量したところ、製
剤中の全9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグ
ランジンI1メチルエステルの70%が油相に含まれてい
た。
一方、9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグ
ランジンI1メチルエステルを大豆油に溶解し、実施例1
の(1)aの処方で従来の方法通りに、すなわち大豆油
を卵黄レシチンで乳化して製造した9(0)−メタノ−
Δ6(9α)−プロスタグランジンI1メチルエステル含
有脂肪乳剤は、製剤中の全9(0)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1メチルエステルの6
8.5%が油相に含まれているものだった。
比較のためにN,N−ジメチルアセトアミドとクレモフ
ォアを1:1で混合した液に9(0)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1メチルエステルを40
μg/mlの濃度で溶解した組成物を用いて、上記と同様に
9(0)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグランジン
I1メチルエステル含有脂肪乳剤の調製を試みたところ、
脂肪乳剤にかなりの気泡が生じ、注射剤として用いるに
は不都合なものができた。それに対してトリエタノール
アミンを用いた本発明のキットでは、脂肪乳剤に変化が
なく注射型として使用可能であった。
実施例4 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 下記に示した処方からなる脂肪乳剤を製造し、5mlず
つバイアルに分注した後、ゴム製キャップで密栓し、12
1℃で20分間高圧蒸気滅菌した。
<脂肪乳剤の処方> 精製ダイズ油 50.0g 精製卵黄レシチン 6.0g 注射用グリセリン 12.5g 注射用蒸留水 適 量 全 量 250ml b.液状ニトログリセリン組成物 ニトログリセリンを注射用蒸留水に0.5mg/mlの濃度で
溶解し、0.2μmのメンブランフィルターで濾過滅菌を
行なった後、5mlずつバイアルに分注し、ゴム製キャッ
プで密栓した。
(2) ニトログリセリン含有脂肪乳剤の調製 (1)で作成したキットを用い、ニトログリセリンの
入っているバイアル(a)にニトログリセリン組成物の
入っているバイアル(b)からニトログリセリン組成物
を注射器で取り出して注入し、約1分間よく混和したと
ころ、ニトログリセリン2.5mlを含有するニトログリセ
リン含有脂肪乳剤が調製できた。
一方、用時調製型キットとの比較のために、脂肪乳剤
10mlあたり2.5mgのニトログリセリンを含有するニトロ
グリセリン含有脂肪乳剤を製造する目的で、大豆油1gあ
たり2.5mgのニトログリセリンを溶解し、実施例1の
(1)のaの処方で従来の方法によってニトログリセリ
ン含有脂肪乳剤を製造したところ、最大でも脂肪乳剤10
mlあたり1mgのニトログリセリンを含有するニトログリ
セリン含有脂肪乳剤しかできなかった。ニトログリセリ
ンは途中の工程で分解したものと考えられた。
以上のように用時調製型キットとすることにより、従
来法のように途中の工程でニトログリセリンの含量を低
下させることなく、ニトログリセリン含有脂肪乳剤を調
製できた。
実施例5 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 実施例1と同様にして、脂肪乳剤1mlの入ったバイア
ルを得た。
b.粉末状1α,25−(OH)−D3組成物 1α,25−(OH)−D3を含む粉末状医薬物質組成物
を以下のように調製しバイアルに封入した。
1α,25−(OH)−D30.1mgをとり日本薬局方エタノ
ール0.1mlに溶解した。この溶液を、グリシン50gを注射
用蒸溜水1,000mlに溶解した液に加え、攪拌した後、メ
ンブレンフィルターで濾過し、濾液を凍結乾燥用バイア
ルに1mlずつ分注した。このバイアルを凍結乾燥し、バ
イアル内を窒素ガスで充填した後、滅菌したゴム栓,ア
ルミ製キャップで密栓した。このようにしてできた1
α,25−(OH)−D3を含む組成物は1バイアル中、1
α,25−(OH)−D30.1μgおよびグリシン50mgを含ん
でいた。
(2) 1α,25−(OH)−D3含有脂肪乳剤の調製 脂肪乳剤の封入してあるバイアル(a)から脂肪乳剤
を取り出し、1α,25−(OH)−D3組成物(b)の封
入してあるバイアルに脂肪乳剤を注入し、2〜3分間よ
く混和した。
得られた1α,25−(OH)−D3脂肪乳剤の全薬物量
に対して、油相に存在する薬物量の比率は、従来の方法
で製造した1α,25−(OH)−D3脂肪乳剤とほぼ同じ
であった。1α,25−(OH)−D3は脂肪乳剤中で、少
なくとも6時間は安定であった。
(3) 1α,25−(OH)−D3含有脂肪乳剤の用時調
製型キットにおける1α,25−(OH)−D3の安定性 (1)で作製した1α,25−(OH)−D3含有脂肪乳
剤の用時調製型キットを10℃で18カ月保存した後にその
キットから調製した1α,25−(OH)−D3含有脂肪乳
剤の1α,25−(OH)−D3の含有量は、保存前に調製
したものとほとんど同じであった。
一方、1α,25−(OH)−D3含有脂肪乳剤を10℃で1
8カ月保存したところ、その1α,25−(OH)−D3の含
有量は保存前の78%になった。
以上のように用時調製型キットとすることにより、長
期の保存でも1α,25−(OH)−D3含有量の低下しな
い1α,25−(OH)−D3含有脂肪乳剤を作製すること
ができた。
実施例6 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 実施例1と同様にして、脂肪乳剤1mlの入ったバイア
ルを得た。
b.粉末状1α,24−(OH)−D3組成物 1α,24−(OH)−D3を含む粉末状医薬物質組成物
を以下のように調製しバイアルに封入した。
1α,24−(OH)−D31mlをとり、日本薬局法エタノ
ール0.1mlに溶解した。この溶液をEDTA1g,アスコルビン
酸ナトリウム5g,マンニトール50gを注射用蒸留水1,000m
lに溶解した液に加え、攪拌した後メンブランフィルタ
ーで濾過し濾液を凍結乾燥用バイアルに1mlずつ分注し
た。このバイアルを凍結乾燥し、バイアル内を窒素ガス
で充填した後、滅菌したゴム栓,アルミ製キャップで密
栓した。このようにして得られた1α,24−(OH)−D
3を含む組成物1バイアル中、1α,24−(OH)−D31
μg,EDTA 1mg,アスコルビン酸ナトリウム5mgおよびマ
ンニトール50mgを含んでいた。
(2) 1α,24−(OH)−D3含有脂肪乳剤の調製 (1)で作成したキットを用い、1α,24−(OH)
−D3組成物入っているバイアル(b)に脂肪乳剤の入っ
ているバイアル(a)から注射器で脂肪乳剤を取り出し
て注入し、約2分間よく混和したところ、1α,24−(O
H)−D31μgを含有する、注射剤として使用可能な1
α,24−(OH)−D3含有脂肪乳剤が製造できた。
一方、用時調製型キットとの比較のために1α,24−
(OH)−D3を大豆油1gあたり10μg溶解し、実施例1
の(1)aの処方で従来の方法によって、1α,24−(O
H)−D3含有脂肪乳剤を製造したところ、脂肪乳剤1ml
あたり1μgの1α,24−(OH)−D3を含有する1α,
24−(OH)−D3含有脂肪乳剤ができた。
次に従来法により製造した1α,24−(OH)−D3
有脂肪乳剤を注射剤として使用できるように、2mlずつ
バイアルに分注しゴム製キャップで密栓し、121℃で20
分間高圧蒸気滅菌したところ、1α,24−(OH)−D3
の含量が滅菌前の81%に低下した。
以上のように用時調製型キットとすることにより、従
来法のように途中の滅菌工程で1α,24−(OH)−D3
の含量を低下させることなく、注射剤として使用できる
1α,24−(OH)−D3含有脂肪乳剤を容易に作製でき
た。
実施例7 (1) 用時調製型キットの作成 a.抗体結合脂肪乳剤の調製 1)脂肪乳剤の調製 精製大豆油100g,精製卵黄リン脂質12gを加え、65〜75
℃に加温し、ホモミキサーにより溶解物質化した。次い
で、これに注射用蒸留水およびグリセリン(日局)25g
を加え全量800mlとし、マントン−ガウリン型ホモジナ
イザを用い、1段目120Kg/cm2で1回通過、500Kg/cm2
加圧下で10回通過させ乳化した。
2)免疫グロブリンのFab′フラグメントの調製 抗Tリンパ球特異抗体のFab′フラグメントの調製
は、Martinらの方法(J.Biol.Chem.257,286,(1982))
によった。すなわち、抗リンパ球特異抗体をペプシン消
化した後、pH5.5でDTT(dithio Threitol)処理を行な
い、セファデックスG25で精製し、Fab′フラグメントを
得た。
3)N−4−(P−マレイミドフェノール)ブチルフォ
スファチジルエタノールアミン(PE−MPB)の調製 卵黄油来フォスファチジルエタノールアミン(PE)1.
5gを0.28mlトリエチルアミンを含む100mlの脱水メタノ
ールに溶解し、1gのサクシニミジル−4−(P−マレイ
ミドフェノール)ブチレート(SMPB)を加え、窒素ガス
下、室温で2時間反応させた。反応終了後、シリカゲル
カラム(クロロホルム,メタノール)で精製しPE−MPB
とした。
4)PE−MPBとFab′フラグメントの結合 PE−MPB1.2mlに0.27w/v%のFab′フラグメント水溶液
(20mMクエン酸,35mMリン酸2ナトリウム,108mM NaCl,
1mM EDTAを含む、pH6.0)10mlを加え、攪拌しながら窒
素ガス下室温で10時間反応させた。得られた複合体を、
セファデックスG−25により精製し、PE−MPB−Fab′複
合体とした。
5)抗体と脂肪乳剤の結合 上記4)で得られたPE−MPB−Fab′複合体(1.38mg/m
l)2mlを、上記1)で得られた脂肪乳剤8mlに加え、振
盪しながら、窒素ガス下室温で、16時間反応し、抗Tリ
ンパ球特異抗体結合脂肪乳剤を調製した。
得られた抗体結合脂肪乳剤は2mlづつバイアルに分注
し、ゴム製キャップで密栓した。
b.液状デキサメサゾンパルミテート組成物の調製 デキサメサゾンパルミテートをプロピレングリコール
に10mg/mlの濃度で溶解し、0.2μmのメンブランフィル
ターて濾過滅菌を行ない、その後0.1mlずつバイアルに
分注し、ゴム製キャップで密栓した。
(2) デキサメサゾンパルミテート含有抗体結合脂肪
乳剤の調製 (1)のbで得られた液状デキサメサゾンパルミテー
ト組成物の入っているバイアルに、(1)のaで得られ
た脂肪乳剤のバイアルから抗体結合脂肪乳剤を取り出し
て注入し、よく混和した。得られたデキサメサゾンパル
ミテート含有抗体結合脂肪乳剤は、従来の方法で製造し
た抗体を結合していないデキサメサゾンパルミテート含
有脂肪乳剤と、全薬物量に対して油相に存在する薬物量
の比率が同じものであった。
実施例8 (1) 用時調製型キットの作成 a.脂肪乳剤 実施例1と同様にして脂肪乳剤を製造し、脂肪乳剤1m
lの入ったバイアルを得た。
b.アクチノマイシンD組成物 注射用蒸留水とプロピレングリコールを1:1で混合し
た液にアクチノマイシンDを2.5mg/mlの濃度で溶解し、
0.2μmのメンブランフィルターで濾過滅菌を行った後
に、0.1mlずつバイアルに分注しゴム製キャップで密栓
した。
(2) アクチノマイシンD含有脂肪乳剤の調製 アクチノマイシンD組成物の入っているバイアル
(a)に脂肪乳剤の入っているバイアル(b)から脂肪
乳剤を取り出し注入し、1分間よく混和した。
得られたアクチノマイシンD含有脂肪乳剤は、製剤中
の全アクチノマイシンDの75.0%が油相に含まれてい
た。
一方、アクチノマイシンDを大豆油に溶解し、実施例
1の(1)aの処方で従来の方法通りに、すなわち大豆
油を卵黄レシチンで乳化して製造したアクチノマイシン
D含有脂肪乳剤は、製剤中の全アクチノマイシンDの7
3.0%が油相に含まれているものだった。
産業上の利用可能性 本発明により、従来、脂肪乳剤粒子中に包埋させた投
与が望まれてはいるが脂肪乳剤中では不安定で長期間保
存が不可能であった医薬物質が、脂肪乳剤中に包埋され
た型で投与されることが可能になった。また、従来、
熱,衝撃等に不安定であるか、あるいは揮発性が高く脂
肪乳剤中に包埋させることが不可能であった医薬物質
が、脂肪乳剤中に包埋された型で投与されることが可能
となった。
したがって、本発明により優れた薬効を持ちかつ副作
用の少ない、医薬上極めて有用な医薬物質含有脂肪乳剤
の開発が可能となり、その意義は大きい。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キットの構成要素としての (1) 油成分、リン脂質,レシチン,水素添加レシチ
    ンからなる群から選ばれる少なくとも一種の乳化剤、及
    び水からなる脂肪乳剤と (2) ステロイド類,制癌剤,プロスタグランジン
    類,脂溶性ビタミン類,抗炎症薬,強心薬,不整脈用
    薬,血管拡張薬,カルシウム拮抗薬からなる群から選ば
    れる少なくとも一種の医薬物質と (a) 液状ポリアルキレングリコール類,液状アルキ
    ルエタノールアミン類,液状多価アルコール類からなる
    群から選ばれる少なくとも1種の溶剤、または (b) 賦形剤としての糖類および/またはアミノ酸類
    と を含む医薬物質組成物 とからなる医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット。
  2. 【請求項2】脂肪乳剤が (a) 0.1〜50%(W/V)の油成分、 (b) 油成分100部に対し重量比で1〜50部の乳化剤
    及び (c) 適当量の水 とからなる脂肪乳剤である請求の範囲第1項記載の医薬
    物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット。
  3. 【請求項3】油成分が、大豆油,綿実油,サフラワー
    油,コーン油,ゴマ油,オリーブ油,中鎖脂肪酸トリグ
    リセリド,エイコサペンタン酸,トリアセチンからなる
    群から選ばれる少なくとも一種の油成分である請求の範
    囲第2項記載の医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キッ
    ト。
  4. 【請求項4】脂肪乳剤が、その粒子の平均粒子径が1μ
    m以下である請求の範囲第1項または第2項記載の医薬
    物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット。
  5. 【請求項5】脂肪乳剤が、その表面が修飾された脂肪乳
    剤粒子を含む脂肪乳剤である請求の範囲第1項記載の医
    薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット。
  6. 【請求項6】医薬物質組成物の量が容量比または重量比
    で脂肪乳剤100部に対して10部以下である請求の範囲第
    1項記載の医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型キット。
  7. 【請求項7】液状ポリアルキレングルコール類が、平均
    分子量800以下のポリアルキレングルコールである請求
    の範囲第1項記載の医薬物質含有脂肪乳剤の用時調製型
    キット。
  8. 【請求項8】液状多価アルコール類がプロピレングリコ
    ールである請求の範囲第1項記載の医薬物質含有脂肪乳
    剤の用時調製型キット。
  9. 【請求項9】(1) 油成分、リン脂質,レシチン,水
    素添加レシチンからなる群から選ばれる少なくとも一種
    の乳化剤、及び水からなる脂肪乳剤と (2) ステロイド類,制癌剤,プロスタグランジン
    類,脂溶性ビタミン類,抗炎症薬,強心薬,不整脈用
    薬,血管拡張薬,カルシウム拮抗薬からなる群から選ば
    れる少なくとも1種の医薬物質と (a) 液状ポリアルキレングリコール類,液状アルキ
    ルエタノールアミン類,液状多価アルコールからなる群
    から選ばれる少なくとも1種の溶剤、または (b) 賦形剤としての糖類および/またはアミノ酸類 とを含む医薬物質組成物 とを混和して該医薬物質を脂肪乳剤粒子内に包埋せしめ
    ることからなる医薬物質含有脂肪乳剤の調製方法。
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