JP2686997B2 - 紙送り装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は記録装置の紙送り装置に係り、特に摩擦力を
利用して用紙を搬送する所謂フリクションフィード方式
の紙送り装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、プリンタやファクシミリなどの記録装置におけ
るフリクションフィード方式の紙送り装置としては第６
図に示すものが知られている。紙送りローラ１は図示し
ないモータにより回転可能に構成されている。また、紙
送りローラ１の材質としてはゴムを用いる場合が多く、
まれに、ウレタンフォーム等も用いられる。ペーパパン
２は前記紙送りローラ１の外周と所定の隙間をもって、
用紙を案内するようになっている。また、紙押え板３は
ステンレス板等の薄板から成り、所定の圧力で紙送りロ
ーラ１に押し付けられており、印字ヘッド近傍での用紙
の浮きを防止している。さらに、ピンチローラ４は用紙
の幅に応じて２個又は３個と複数用いられており、一端
はピンチローラホルダ５に保持されている。該ピンチロ
ーラホルダ５はピンチローラ４と反対側の端部がリリー
ス軸６に固着されている。ピンチばね７は、前記ピンチ
ローラホルダ５を押圧付勢しており、前記ピンチローラ
４が所定の圧力で前記紙送りローラ１に押圧されるよう
になっている。なお、符号８はベースである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述した従来の構成では、第７図に示
すように、用紙９を挿入する場合、紙送りローラ１とペ
ーパパン２との隙間Δｌのために紙押え板３に先端が当
接する角度θが小さくなる。このため、用紙９が、特に
厚い場合では搬送力が必要になり、一方薄い場合では用
紙９の先端が折れ、さらには紙ジャム等が発生し易いと
いう欠点があった。

また、用紙９がセットされたとしても、紙送りローラ
１とペーパパン２とが離れているため、用紙９が破線9A
で示すように、隙間Δｌ内で遊んでしまい、その結果用
紙９の送りが不正確になるという問題もあった。

さらに、ハガキ等の厚い用紙９は該用紙９の後端がピ
ンチローラ４から外れる時に、該ピンチローラ４の外周
Ｒ面で押し出され、その結果紙送りローラ１が回動し
て、送りピッチムラを生じさせる、所謂けとばし現象が
発生していた。

また、ピンチローラ４の圧接を解いて、リリース動作
をしても、紙押え板３がリリースできないという問題も
あった。

しかも、部品点数が多いばかりでなく、ペーパパン２
は紙送りローラ１の外周に合うように精度よく作る必要
があり、部品自体も高価であるため、装置全体が高価に
なってしまうという欠点もあった。

本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであ
り、本発明の目的は、紙送り精度の向上を図るととも
に、簡単な構成でピンチシート及び紙押え板の圧接解除
を同時に確実に行うことができる紙送り装置を提供する
ことである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の紙送り装置は、上記目的を達成するため、硬
質の円筒基台の外周に軟質樹脂を塗布したローラから成
り周面の摩擦力により用紙を搬送する紙送りローラと、
前記紙送りローラの所定の円周角度範囲に当接可能に円
弧状に配された低摩擦係数の材質のシート状部材から成
るピンチシートと、前記ピンチシートに張力を加えるこ
とにより該ピンチシートを前記紙送りローラに圧接させ
るテンション付与手段と、前記テンション付与手段に抗
して前記ピンチシートの張力を解除して該ピンチシート
を紙送りローラから離間させるリリース手段と、前記ピ
ンチシートを介して該ピンチシートとともに前記紙送り
ローラに対して圧接離間されるように該ピンチシートの
一端に固定された紙押え板と、を備え、前記ピンチシー
トにより前記紙送りローラに圧接された用紙を搬送する
ことを特徴とする。

〔作 用〕

このように本発明に係る紙送り装置によれば、用紙を
搬送するのに、紙送りローラの所定の円周角度範囲に巻
付くシート部材により、用紙を圧接するようにしため、
用紙の供給時の紙ジャムをなくし、又搬送中も全面で密
着させるので、送り精度が向上するばかりでなく、紙押
え板の圧接解除を簡単な構成で実現できる。

〔実施例〕

以下、図に示す実施例を用いて本発明の詳細を説明す
る。

第１図は本発明に係る紙送り装置の一実施例を示す斜
視図である。紙送りローラ10は、アルミや鉄等の金属、
又はPC、ABS等の硬質プラスチック製の円筒基台に、数
十ミクロン（約15〜30μ程度が好ましい）の軟質ウレタ
ン樹脂塗料を構成したものである。紙送りローラ10の中
心には軸11が貫通固定されていると共に、該軸11の一端
は後述する右側板14bに回転自在に支持されかつ他端は
後述する紙送りモータ13のシャフトに連結されている。

ベース14はその両側に左、右側板14a、14bが形成され
ており、かつ該左側板14aには折曲げ部14c及びクリック
部14dが一体に形成されている。該ベース14の左、右側
板14a、14bには紙押え板15が取り付けられていると共
に、該紙押え板15は、前記紙送りローラ10の外周より若
干離れた位置に設けられており、弾性を有する材質（ス
テンレス板、リン青銅板等）で形成されている。紙送り
モータ13は前記ベース14の右側板14bに取り付けられて
いると共に、シャフト（図示せず）は前記紙送りローラ
10の軸11と連結しており、紙送りモータ13の回転に周期
して前記紙送りローラ10も回転するようになっている。
ピンチシート17は、フッ素樹脂フィルム等の低摩擦係数
の材質で形成されており、前記紙押え板15に一端が固着
され、かつ前記紙送りローラ10の下部外周に沿って所定
の円周角度（およそ100〜150度）巻付いた後、テンショ
ン軸18に巻付いた状態で固定されている。該テンション
軸18は前記ベース14の左側板14a、右側板14bに回動自在
に支持されている。また、該テンション軸18にはスリッ
ト18aが全長に入っており、前記ピンチシート17の端部
が約3/4〜7/8回転巻付いてから、該スリット18aに巻込
まれて固定されている。リリースレバー19は前記テンシ
ョン軸18の端部に嵌入しており、前記スリット18aに係
合部19aが嵌合して、回転方向に固着されている。

また、リリースレバー19の下部にはばね掛け部19bが
設けられており、該ばね掛け部19bにはテンションばね2
0の端末が掛けられている。

さらに、該リリースレバー19のリリース部19cは前記
ベース14の折曲げ部14cより上部に突出しており、回動
したときクリック部14dを乗り込えるので、前記テンシ
ョンバネ20の張力に逆らって該リリース部19cは停止
し、リリース状態になるよう構成されている。一方、ば
ね掛け軸21は前記ベース14に立設されている。

また、ガイド軸22は桁方向に沿って平行に配設されて
おり、２本が前記ベース14の左側板14a、右側板14bに取
り付けられている。該ガイド軸22にはキャリア23が摺動
自在に取り付けられており、図示しない駆動機構によ
り、印字桁方向に走査可能に設けられている。

キャリア23に搭載された記録ヘッド24はインクジェッ
トヘッドとインクタンクが一体になった、所謂使い捨て
型の構成となっている。なお、電気接続用の部品は図示
を省略している。

次に、以上の構成においてその動作を説明する。

ピンチシート17はテンションばね20の張力により、テ
ンション軸18に巻付けられるように引張られているた
め、紙送りローラ10に所定の圧力が均一にかかった状態
で巻付けられている。また、紙押え板15も引張られて紙
送りローラ10にピンチシート17を介して当接している。

一方、用紙25をセットする際、最初は用紙25がないた
め、紙送りローラ10とピンチシート17は直接当接してい
るが、本実施例での軟質ウレタン樹脂塗装の紙送りロー
ラ10ではピンチシート17との静摩擦係数は0.3程度であ
り、紙送りモータ13の負荷にはならない。ちなみに、用
紙25との摩擦係数として0.9〜１は確保できるため、用
紙25の搬送は問題ない。次に用紙25を後方より挿入し、
紙送りローラ10を回転すると、用紙25は搬送され、紙押
え板15の前を通過して上方に送られる。この時、用紙25
の先端は、紙押え板15の前方まで、常に紙送りローラ10
に圧接されるため、用紙25の先端の変形や、紙厚等に左
右されず、確実にセットされる。該用紙25のセット状態
では、常に、紙送りローラ10に密着しているため、紙送
りローラ10の回動に完全に周期し、紙送り精度が保証さ
れる。

次に、リリース機構について述べる。第２図（ａ）、
（ｂ）はリリース動作を説明するための図で、通常の紙
送り時は第２図（ａ）に示すように、上述したテンショ
ンばね20（第１図参照）によりテンション軸18は、矢印
Ａ方向に回転しようとして、ピンチシート17にテンショ
ンをかけている。

リリース時は、第１図に示すリリースレバー19を回動
して、ベース14のクリック部14dに係合させる。この
時、第２図（ｂ）に示すようにテンション軸18は、矢印
Ｂ方向に回動して、ピンチシート17へのテンションを解
除するので、たるむことになり、紙送りローラ10との間
に隙間が生じる。また、紙押え板15に対する張力も解除
されるので、同様に紙送りローラ10との間に隙間が生
じ、用紙25は自由な状態となる。

第３図は本発明の第２実施例を示すもので、上述した
第１実施例と同一部品には同一符号を付し、その説明を
省略する。テンション軸18は、ベース14の左側板14a、
右側板14bに回動自在に支持されている。また、該テン
ション軸18にはテンション板26が固着されており、ピン
チシート17はその後端が該テンション板26に取付け固定
されている。

用紙25の搬送動作は、上述した第１の実施例と同様で
あり、又、リリース時もリリースレバー19をベース14の
クリック部14dに係合させることにより、ピンチシート1
7及び紙押え板15の圧接を解除するようになっている。
本実施例においては、テンション軸18の位置と、ピンチ
シート17の後端との間に、テンション板26を介在する構
造のため、配置の自由度が増すと共に、ピンチシート17
の固定方法に自由度が得られるという利点がある。

第４図は本発明の第３実施例で、上述した第２実施例
と同様、同一部品には同一符号を付けてその説明を省略
する。リリース軸27はベース14の左側板14a、右側板14b
に回動自在に支持されており、一端にはリリースレバー
19が固着されている。該リリースレバー19には、紙押え
板15を保持するための腕部19dが一体に形成されてい
る。また、リリース軸27の他端には、テンションレバー
28が固着されており、前記リリースレバー19及びテンシ
ョンレバー28の先端部19e、28aは紙押え板15を保持して
いる。テンションばね29は、前記リリースレバー19、テ
ンションレバー28の下部に当接し、これらレバー19、28
の先端部19e、28aを押し上げている。保持板30はベース
14の左側板14a、右側板14bに取り付けられており、ピン
チシート17の端部が固着されている。ピンチシート17
は、紙押え板15が上方に上がる力（テンションばね29に
よる）により、紙送りローラ10に圧接されるようになっ
てい。

リリース時には、リリースレバー19をベース14のクリ
ック部14dに係合させることにより、反対側にあるテン
ションレバー28も回動し、紙押え板15を押し下げること
によりピンチシート17の圧接が解除される。これによっ
て用紙25は自由な状態になる。本実施例では、紙押え板
15を揺動させるために、該紙押え板15は弾性材料である
必要はない。これはリリース軸27の位置を紙送りローラ
10の中心より下に設定することにより、リリース時に、
紙押え板15が紙送りローラ10より離れる方向に移動する
ためである。

第５図（ａ）、（ｂ）は本発明の第４実施例で、紙送
りローラ10に巻付けて矢印Ｃのように用紙25を送る場合
と厚紙やラベル紙のように曲げる不都合を生じる用紙の
ために、直進（矢印Ｄ方向）搬送用に、ボトムパスを設
けた場合である。紙押え板15は下方よりの用紙25を案内
するために、下方に案内部15aを設け、かつピンチシー
ト17を取り付けるための取付面15bが当接面15cより、ピ
ンチシート17の厚さ分下がった位置に設けられている。
また、該当接面15cは、フッ素樹脂コート等の低摩擦処
理が施されている。ピンチシート17はボトムパスを考慮
して、ボトムパスより搬送される用紙25の幅に対応した
開口部17aを有しており、前面部では紙押え板15の当接
面15cが圧接している。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本発明の紙送り装置
によれば、硬質の円筒基台の外周に軟質樹脂を塗布した
ローラから成り周面の摩擦力により用紙を搬送する紙送
りローラと、前記紙送りローラの所定の円周角度範囲に
当接可能に円弧状に配された低摩擦係数の材質のシート
状部材から成るピンチシートと、前記ピンチシートに張
力を加えることにより該ピンチシートを前記紙送りロー
ラに圧接させるテンション付与手段と、前記テンション
付与手段に抗して前記ピンチシートの張力を解除して該
ピンチシートを紙送りローラから離間させるリリース手
段と、前記ピンチシートを介して該ピンチシートととも
に前記紙送りローラに対して圧接離間されるように該ピ
ンチシートの一端に固定された紙押え板と、を備え、前
記ピンチシートにより前記紙送りローラに圧接された用
紙を搬送する構成としたので、紙送り精度の向上を図る
とともに、簡単な構成でピンチシート及び紙押え板の圧
接解除を同時に確実に行うことができる紙送り装置が提
供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る紙送り装置の一実施例を示す斜視
図、第２図（ａ）、（ｂ）は同装置の動作説明図、第３
図は本発明装置の第２実施例を示す斜視図、第４図は本
発明装置の第３実施例を示す斜視図、第５図（ａ）は本
発明装置の第４実施例を示す断面図、第５図（ｂ）は同
装置の拡大断面図、第６図は従来の装置を示す概略構成
図、第７図は同装置の一部拡大構成図である。 10……紙送りローラ、14……ベース、15……紙押え板、
17……ピンチシート、18……テンション軸、19……リリ
ースレバー、27……リリース軸。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】硬質の円筒基台の外周に軟質樹脂を塗布し
   たローラから成り周面の摩擦力により用紙を搬送する紙
   送りローラと、前記紙送りローラの所定の円周角度範囲
   に当接可能に円弧状に配された低摩擦係数の材質のシー
   ト状部材から成るピンチシートと、前記ピンチシートに
   張力を加えることにより該ピンチシートを前記紙送りロ
   ーラに圧接させるテンション付与手段と、前記テンショ
   ン付与手段に抗して前記ピンチシートの張力を解除して
   該ピンチシートを紙送りローラから離間させるリリース
   手段と、前記ピンチシートを介して該ピンチシートとと
   もに前記紙送りローラに対して圧接離間されるように該
   ピンチシートの一端に固定された紙押え板と、を備え、
   前記ピンチシートにより前記紙送りローラに圧接された
   用紙を搬送することを特徴とする紙送り装置。
2. 【請求項２】前記紙送りローラは、アルミ等の金属又は
   硬質プラスチックの円筒基台の外周に軟質ウレタンを塗
   布して形成したことを特徴とする請求項１に記載の紙送
   り装置。
3. 【請求項３】前記ピンチシートはフッソ樹脂フィルム等
   の低摩擦係数の材質で形成されていることを特徴とする
   請求項１に記載の紙送り装置。