JP2686987B2 - 鏡面切削用ダイヤモンドバイト - Google Patents

鏡面切削用ダイヤモンドバイト

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JP2686987B2 JP63264300A JP26430088A JP2686987B2 JP 2686987 B2 JP2686987 B2 JP 2686987B2 JP 63264300 A JP63264300 A JP 63264300A JP 26430088 A JP26430088 A JP 26430088A JP 2686987 B2 JP2686987 B2 JP 2686987B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、非鉄金属材料や非金属材料を鏡面状態に切
削加工するためのダイヤモンドバイトに関する。
〔従来の技術〕
メモリデイスクの基盤、ポリゴンミラー等の製造に
は、ダイヤモンドバイトを用いてアルミニウムや銅等の
非鉄金属材料又はプラスチツク等の非金属材料からなる
円筒状面や円盤周面を高精度に切削し、鏡面状態に仕上
げる鏡面切削加工が行なわれる。
ダイヤモンドバイトでの切削によつて表面粗さの良
い、所謂鏡面に近い切削面が得られるのは、すくい面、
逃げ面及び横逃げ面が交わつて形成される切刃での良好
な切削と、切削跡を逃げ面で平滑にするバニシングとの
協同したメカニズムによるものと考えられる。
しかし、新たに研磨されたダイヤモンドバイトにおい
ては、すくい面と逃げ面とがなす主切刃稜及びすくい面
と横逃げ面とがなす副切刃稜が極めて鋭利であるうえ、
その研磨時に発生した欠陥や加工変質相のため不安定な
状態にあるので、切削時にこの鋭利で欠陥等の多い切刃
稜へ被削材の溶着及びその後の脱落が起こりやすく、こ
れらが切削面を荒して良好な鏡面が得られないことが知
られている。
そこで従来から、ダイヤモンドバイトを切削加工に供
する前に、実機上でダミー被削材を切削する慣らし切削
を行なうことによつて、研磨直後の鋭利な切刃稜を適度
に摩耗させてから鏡面切削を開始している。慣らし切削
により研磨時の欠陥等が除かれて高品位の切刃稜が得ら
れる結果、良好な切削及びバニシングが行なわれて、被
削材に優れた鏡面が形成されるのである。
又、慣らし切削を無くして最初から高品位な切刃稜を
得る目的で、第3図に示す如く実際の慣らし切削により
摩耗させる体積を予め取り除くように、すくい面1と逃
げ面2とがなす主切刃稜に幅0.2〜0.8μmの面取り6を
設けることが提案されている(特開昭62−271605号公報
参照)。しかしながら、このように面取りしたダイヤモ
ンドバイトでも、慣らし切削無しに使用したのでは、最
初から良好な鏡面切削を行なうことは難しく、被削材に
優れた鏡面を安定して形成することできなかつた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記したように、従来は鏡面切削可能な高品位の切刃
稜を得るために実機上での慣らし切削が必要であり、生
産性が非常に悪かつた。又、切刃稜を面取りしても、慣
らし切削と同様な高品位な切刃稜を得ることは困難であ
つた。
本発明はかかる従来の事情に鑑み、慣らし切削が不要
であるか又は極めて僅かな慣らし切削で充分に高品位な
切刃稜となり、良好な鏡面切削が可能なダイヤモンドバ
イトを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明においては、すくい
面、逃げ面及び横逃け面が交わつて切刃を形成する鏡面
切削用ダイヤモンドバイトにおいて、すくい面と逃げ面
とがなす主切刃稜を曲率半径0.15〜3.5μmの曲面で形
成し、主切刃稜とこれに交わる前記各面とを屈曲点なく
滑らかに連続させた。
更に、前記主切刃稜に加え、逃げ面と横逃げ面との交
わる稜の一方又は両方を曲率半径0.02〜0.2mmの曲面
に、及び/又はすくい面と横逃げ面との交わる副切刃稜
の一方又は両方を曲率半径0.1〜2.0μmの曲面に夫々形
成させたダイヤモンドバイトが好ましいものである。
〔作用〕
第1図及び第2図に例示するように、本発明の鏡面切
削用ダイヤモンドバイトにおいは、すくい面1と逃げ面
2とが交わつて計される主切刃稜4が、慣らし切削終了
時の形状に近似した曲面をなしており、主切刃稜4の曲
面はすくい面1及び逃げ面2と夫々屈曲点なく滑らかに
連続している。
このように本発明のダイヤモンドバイトの主切刃稜4
は慣らし切削終了時の形状に近似した曲面となつている
ので、通常は慣らし切削を行なわなくても使用開始と同
時に良好な鏡面切削を実施でき、更に広範囲で高品位な
鏡面を得たい場合でも従来のものに比較して慣らし切削
の時間を大幅に短縮できる。
主切刃稜4を構成する曲面の曲率半径R1を0.15〜3.5
μmとしたのは、0.15μm未満ではまだ切刃稜が鋭利で
欠陥等の不安定要素が多く、良好な鏡面切削が出来ない
からであり、R1が3.5μmを超えると逆に切刃稜の摩擦
が多すぎ切削寿命が少なくなるからである。実施例で
は、R1は0.70〜0.80μmが最も良好であつた。
又、従来において第3図の如く、主切刃稜に面取り6
を設けたダイヤモンドバイトで良好な鏡面切削が困難で
あつた理由は、逃げ面2と面取り6とが交わる部分に大
きな屈折点7が存在し、この屈折点7のため良好なバニ
シングが行なわれなかつたものと考えられる。
これに対して本発明のダイヤモンドバイトにおいて
は、曲面をなす主切刃稜4と逃げ面2が屈曲点なく滑ら
かに連続しているので良好なバニシングが行なわれ、被
削材の切削面に筋目等の傷を生じることがなくなり、切
削開始時から良好な鏡面を得ることができる。
又、逃げ面2と横逃げ面3との交わる稜8は、被削材
をこするので主切刃稜4に設けた曲面より大きな0.02〜
0.2mmの曲率半径の丸味を、すくい面1と横逃げ面3と
の交わる副切刃稜5は主切刃稜4の曲面より小さな0.1
〜2.0μmの曲率半径の丸味を持たすことが少ない慣ら
し切削で済むので好ましい。
特に、主切刃稜と共に、逃げ面と横逃げ面とが交わっ
て形成する稜、及び/又は副切刃稜を形成する場合、こ
れらの各稜とこれに交わる上記すくい面、逃げ面、横逃
げ面の各面とを屈曲点なく連続させることが最も好まし
い。
〔実施例〕
第1図の1及び第2図に示すように、すくい面1と逃
げ面2のなす角βが85゜である略三角柱状のダイヤモン
ドバイトを準備し、すくい面1と逃げ面2とがなす主切
刃稜4を全長3mmに亘り曲面研磨して曲率半径R1が0.8μ
mの曲面に形成した。尚、曲面をなす主切刃稜4はすく
い面1及び逃げ面2と夫々屈折点なく接続させることに
より、これらが接続する変曲点間の直線距離dは2.2μ
mとなつた。
この第1図の1のダイヤモンドバイトについて、第1
図の2に示すように、更に逃げ面2と横逃げ面3との交
わる稜8を曲率半径R20.09mmの曲面に形成して、実施例
のダイヤモンドバイトとした。この曲面はすくい面1よ
り10〜40μmの長さにわたつて形成することが好まし
い。
更に別の実施例として第1図の3に示すように、第1
図の1のダイヤモンドバイトに更にすくい面1と横逃げ
面3とがなす副切刃稜5を長さ0.2mmにわたり同様に曲
率半径R3が0.3μmの曲面に形成したダイヤモンドバイ
トを製造した。
更に別の実施例として第1図の4に示すように、主切
刃稜4、副切刃稜5及び稜8の夫々に前記各実施例で形
成したと同じ曲率半径の曲面を形成したダイヤモンドバ
イトを製造した。
これらのダイヤモンドバイト(本発明例)をシヤンク
に取付けて実機にセツトし、下記条件で切削テストを行
なつた。
被削材:Al合金円筒 回転数:3000rpm 送り:0.2mm/rev. 切込み:20μm 比較のために、主切刃稜と副切刃稜が曲面ではなく、
通常の研磨直後の鋭利なまゝであるダイヤモンドバイト
(従来例1)、及び第3図のように鋭利な主切刃稜の全
長に幅2.3μmの面取り6を設けたもの(従来例2)を
準備し、上記と同様の条件で夫々切削テストを行なつ
た。
上記の切削テストにおいて、各テストバイト毎に良好
な鏡面が得られるまでの切削距離を求め、下表に慣らし
切削距離として列挙した。テストバイト 慣らし切削距離 本発明例 0〜10km(10個の平均=3km) 従来例1 80〜150km 従来例2 50〜100km 尚、上記データーは、被削材がAl合金の場合について
示したものであるが、純アルミニウムでも同様な傾向が
認められた。
尚、実施例の図面において右勝手のものについて示し
たが、勿論逆のものでも又両勝手のものにおいても実施
できることは云うまでもない。
〔発明の効果〕
本発明によれば、慣らし切削が不要である又は極めて
僅かな慣らし切削で充分に高品位な切削稜が得られるの
で、非鉄金属材料や非金属材料の鏡面切削加工の生産性
を飛躍的に向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図の1、2、3、4は夫々本発明による鏡面切削用
ダイヤモンドバイトの具体例を示す斜視図であり、第2
図は第1図のダイヤモンドバイトの主切刃稜の部分を示
す要部断面図であり、第3図は主切刃稜に面取りを設け
た従来技術によるダイヤモンドバイトの斜視図である。 1……すくい面、2……逃げ面 3……横逃げ面、4……主切刃稜 5……副切刃稜、6……面取り 7……屈折点、8……稜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 豊次 東京都八王子市石川町2970 コニカ株式 会社内 (72)発明者 小柳 誠 東京都八王子市石川町2970 コニカ株式 会社内 (72)発明者 岡 幸嗣 大阪府堺市鳳北町2丁80番地 大阪ダイ ヤモンド工業株式会社内 (72)発明者 小畠 一志 大阪府堺市鳳北町2丁80番地 大阪ダイ ヤモンド工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−271605(JP,A) 実開 昭52−35680(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】すくい面、逃げ面及び横逃げ面が交わって
    切刃を形成する鏡面切削用ダイヤモンドバイトにおい
    て、すくい面と逃げ面とがなす主切刃稜を曲率半径0.15
    〜3.5μmの曲面で形成し、この主切刃稜と逃げ面とを
    屈曲点なく連続させると共に、逃げ面と横逃げ面とが交
    わって形成する一方又は両方の稜を曲率半径0.02〜0.2
    μmの曲面で形成することを特徴とする鏡面切削用ダイ
    ヤモンドバイト。
  2. 【請求項2】すくい面、逃げ面及び横逃げ面が交わって
    切刃を形成する鏡面切削用ダイヤモンドバイトにおい
    て、すくい面と逃げ面とがなす主切刃稜を曲率半径0.15
    〜3.5μmの曲面で形成し、この主切刃稜と逃げ面とを
    屈曲点なく連続させると共に、逃げ面と横逃げ面とが交
    わって形成する副切刃稜の一方又は両方を曲率半径0.1
    〜2.0μmの曲面に形成することを特徴とする鏡面切削
    用ダイヤモンドバイト。
  3. 【請求項3】すくい面、逃げ面及び横逃げ面が交わって
    切刃を形成する鏡面切削用ダイヤモンドバイトにおい
    て、すくい面と逃げ面とがなす主切刃稜を曲率半径0.15
    〜3.5μmの曲面で形成し、この主切刃稜と逃げ面とを
    屈曲点なく連続させると共に、すくい面と横逃げ面とが
    交わって形成する一方又は両方の稜を曲率半径0.02〜0.
    2μmの曲面で形成し、すくい面と横逃げ面とが交わっ
    て形成する副切刃稜の一方又は両方を曲率半径0.1〜2.0
    μmの曲面に形成することを特徴とする鏡面切削用ダイ
    ヤモンドバイト。
  4. 【請求項4】前記主切刃稜、逃げ面と横逃げ面とが交わ
    って形成する稜、及び副切刃稜と、これらに交わる上記
    各面とを屈曲点なく連続させたことを特徴とする、請求
    項3に記載の鏡面切削用ダイヤモンドバイト。
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