JP2686515B2 - 鋼管等の打込杭 - Google Patents

鋼管等の打込杭

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、港湾、岸壁、護岸、河
川等の土木建築工事に於いて地盤に打ちこまれる鋼管、
鋼管矢板等からなる打込杭に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、河川等の土木建築工事をする
際に土留め等の為、鋼管等の打込杭が地盤に打ちこまれ
る。そして、かかる打込杭を打設するには、打込杭に起
振機等によって振動を加えると共に、その打込杭の先端
側、即ち、地盤に打ちこまれる側から加圧水を噴射して
地盤を軟化させて掘削しながら打込杭を打設する。とこ
ろで、打込杭をスムーズに打設するには、地盤に貫入さ
れた打込杭の体積に略相当する量の土砂が排出除去され
なければならない。よって、前記加圧水は、打設される
地盤の土砂を液状化し、その水圧によって液状化した泥
水を打込杭の外壁や内壁に沿って上昇させて地盤表面に
排出除去するという役割をも担っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、打込杭
を打設する地盤の地層がシルト、粘土等の粘性土から構
成されている場合にあっては、その粘性土からなる泥水
が打込杭の周壁面に沿って上昇し排出除去される過程に
於いて、次第にその粘性土が打込杭の先端側の内外周壁
面に付着して泥水が上昇するための通路を塞ぐこととな
る。かかる状態では、掘削した泥水を地盤表面に排出す
ることができず、それ以上打込杭を打設することが非常
に困難になるという問題点があった。一方、打込杭を打
設する地盤に固い岩盤等があった場合、加圧水を噴射す
るだけでは破砕されず、打設作業が遅々として進まない
という問題点もあった。
【0004】本発明は、上記の如き従来の問題点に鑑み
てなされたもので、加圧水を噴射しながら地盤に打込杭
を打ちこむ際に生ずる泥水を、効率よく地盤表面に排出
でき、しかも、加圧水の噴射だけでは破砕できない固い
地盤にも打設することができる鋼管等の打込杭を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたもので、その課題を解決するため
の手段は、地盤に打ち込まれる打込杭本体1 の先端側に
導水管2 を通じて地盤に加圧水を噴射可能な噴射口5 が
設けられた鋼管等の打込杭に於いて、前記打込杭本体1
の先端側の内周壁1d又は外周壁1cの少なくとも何れか一
方には、前記加圧水の噴射により生ずる泥水の流れを前
記打込杭本体1 の周壁に沿って上昇方向に整えるための
整流手段が設けられてなることにある。
【0006】さらに、請求項4記載の手段は、前記打込
杭本体1 の先端又は掘削体10の先端が、尖状に突出され
てなることにある。
【0007】
【作用】上記構成を特徴とする鋼管等の打込杭を起振機
に取付け打設すると、噴射口5から地盤に対して噴射さ
れる加圧水によって泥水が生じ、水圧によってその泥水
が打込杭本体1 に沿って上昇して排出されるのである
が、その打込杭本体の先端側の内周壁1d又は外周壁1cの
少なくとも何れか一方には、前記加圧水の噴射により生
ずる泥水の流れを上昇方向に整えるための整流手段が設
けられているので、泥水は打込杭本体1 の先端側で乱水
流を起こすこともなく、速やかに上昇水流をつくり地盤
表面に排出される。従って、地盤を構成する土砂が粘性
土であっても、打込杭本体1 に粘性土が付着するよりも
早く、整流手段によってその泥水が上昇方向に流れて排
出除去される。
【0008】さらに、請求項4記載の手段のように、打
込杭本体1 の先端が、尖状に突出されていれば、打設す
る地盤に固い岩盤等があった場合でも、打込杭本体1 の
先端が、その岩盤に食い込むと共に、起振機の振動によ
って固い岩盤が破砕されて打込杭本体1 は打設される。
【0009】
【実施例】以下、本発明に係る鋼管等の打込杭の一実施
例について、図面を参照しながら説明する。 <第1実施例>図1及び図2に於いて、1 は、上方側を
起振機のチャック(図示せず)に挟着される筒状の鋼管
からなる打込杭本体を示し、その外周壁1cには、打込杭
本体1の長手方向と略平行に10本の耐圧の導水管2 が
略等間隔に取付けられている。さらに、前記導水管2 の
上方側には、3〜4本の導水管2 を集管する主導水管3
が設けられ、その主導水管3 の接続口3aは、打込杭本体
1 の上端1aから突出されている。一方、前記各導水管2
の先端側には、鋼管杭が打ち込まれる地盤に対して加圧
水を噴射する噴射口5 が夫々設けられ、その噴射口5
は、打込杭本体1 の先端1bからやや上方に設けられてい
る。
【0010】また、打込杭本体1 の先端側の外周壁1cに
は、整流手段として、前記各導水管2 の間であって打込
杭本体1 の長手方向と略平行に長状凸部8 である外壁棒
状体6 が10本設けられている。さらに、その外壁棒状
体6 は打込杭本体1 の下端1bから突出すべく延設され、
且つその先端6aは尖状に形成されている。一方、打込杭
本体1 の先端側の内周壁1dには、整流手段として、前記
各外壁棒状体6 の間であって打込杭本体1 の長手方向と
略平行に長状凸部8 である内壁棒状体7 が10本設けら
れている。さらに、その内壁棒状体7 は、外壁棒状体6
と同様に打込杭本体1 の先端1bから突出すべく延設さ
れ、且つその先端7aは尖状に形成されている。
【0011】上記構成からなる鋼管等の打込杭は、起振
機等による振動と共に、噴射口5 から噴射される加圧水
によって地盤を軟化させて掘削しながら目的とする地盤
に打設され、打込杭本体1 の先端1bに生ずる液状化した
泥水は、打込杭本体1 の外周壁1c及び内周壁1dに沿って
地盤表面に排出される。特に、打込杭本体1 の先端側の
内外周壁1c,1d には複数の内壁棒状体7 及び外壁棒状体
6 が打込杭本体1 の長手方向に夫々設けられているの
で、水圧により上昇する泥水は、それら内壁棒状体7 及
び外壁棒状体6 によって流れる方向性が整えられること
となって乱れた水流を生ずることなく、打込杭本体1 の
長手方向に内外周壁に沿って上昇して地盤表面に排出除
去される。従って、打設する地盤の地層が粘性土から構
成されていても、整流手段によって泥水が速やかに上昇
するため、打込杭本体1 の壁面に粘性土が付着して泥水
の排出通路を塞ぐこともない。
【0012】また、整流手段たる内壁棒状体7 及び外壁
棒状体6 の先端は尖状に形成され、且つ打込杭本体1 の
先端1bから突出しているので、打設する地盤にその尖状
の先端が食い込んでいき、地盤の掘削を補助する作用が
ある。
【0013】<第2実施例>図3に於いて、10は、先端
10b が尖状に形成され、且つ上端側が打込杭本体1の先
端1b側に嵌合された掘削体を示し、その掘削体10の内周
壁11及び外周壁12には、整流手段として、打込杭本体1
の長手方向と略平行に長状凸部8 である内壁棒状体14及
び外壁棒状体15が夫々複数設けられている。但し、打込
杭本体1 には、内壁棒状体7 及び外壁棒状体6 が設けら
れていない点を除いて上記第1実施例と同様である。
【0014】かかる掘削体10を打込杭本体1 の先端1b側
に固着して打設した場合であっても上記第1実施例と同
様に泥水を速やかに上昇させて排出除去できるので、打
込杭の打設作業を円滑に行なえるという利点がある。
【0015】<他実施例>尚、上記各実施例に於いて、
整流手段は、長状凸部8 からなるが、必ずしも整流手段
はこれに限定されず、例えば、図4に示すように、長状
の溝からなる長状凹部16であってもよい。また、上記各
実施例に於いて、長状凸部8 は、棒状体からなるが、必
ずしも状凸部はこれに限定されず、例えば、図5に示す
ように、複数の凸部17が打込杭本体1 の長手方向と略平
行に連設されているものであってもよい。要は、整流手
段は、打込杭本体1 又は掘削体10の下端側に生ずる泥水
の上昇を整えるべく方向付けができればよいのであっ
て、凸部又は凹部の何れでもよく、又その本数、形状等
も適宜変更可能である。
【0016】また、上記各実施例に於いて、整流手段
は、打込杭本体1 又は掘削体10の内周壁及び外周壁に夫
々設けられているが、必ずしも整流手段は内外周壁に設
けられていなければならないわけではなく、内周壁又は
外周壁の何れか一方だけに設けられていてもよい。
【0017】さらに、上記各実施例に於いて、導水管2
は打込杭本体1 の外周壁に設けられているが、必ずしも
導水管2 は外周壁に設けられていなければならないわけ
ではなく、打込杭本体1 の内周壁に設けられていてもよ
く、又内外周壁の双方に設けられていてもよい。尚、導
水管2 が、打込杭本体1 の長手方向と略平行に設けられ
ていることにより、泥水の上昇方向を整える整流手段に
もなり得るものである。
【0018】尚、上記第1実施例は打込杭に係るもの
で、第2実施例は掘削体に係るものであるが、双方の構
成を置換、転用等しても同様の効果を得られることは勿
論である。
【0019】
【発明の効果】叙上のように、本発明に係る鋼管等の打
込杭によれば、打設時に打込杭本体の先端側に生ずる液
状化した泥水は、整流手段によって打込杭本体の先端側
で乱れた水流を起こすこともなく速やかに上昇水流をつ
くり地盤表面に排出されるので、地盤を構成する土砂が
粘性土であっても、打込杭本体に粘性土が付着すること
なく排出除去される。さらに、請求項4記載の手段によ
れば、打設する地盤に固い岩盤等があった場合でも、尖
状の下端がその岩盤に食い込みながら固い岩盤を破砕す
る。
【0020】従って、鋼管杭の打ち込みが途中で粘性土
や岩盤等が現れたとしても、打設作業が中断することも
なく、作業を円滑に進めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋼管杭の一実施例を示す一部省略
斜視図。
【図2】同底面図。
【図3】本発明に係る掘削体の一実施例を示す斜視図。
【図4】本発明に係る鋼管杭の他実施例を示す一部省略
斜視図。
【図5】本発明に係る鋼管杭の他実施例を示す一部省略
斜視図。
【符号の説明】
1 …打込杭本体、1c…外周壁、1d…内周壁、2 …導水
管、5 …噴射口、8 …長状凸部、10…掘削体、16…長状
凹部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤に打ち込まれる打込杭本体(1) の先
    端側に導水管(2) を通じて地盤に加圧水を噴射可能な噴
    射口(5) が設けられた鋼管等の打込杭に於いて、前記打
    込杭本体(1) の先端側の内周壁(1d)又は外周壁(1c)の少
    なくとも何れか一方には、前記加圧水の噴射により生ず
    る泥水の流れを前記打込杭本体(1) の周壁に沿って上昇
    方向に整えるための整流手段が設けられてなることを特
    徴とする鋼管杭。
  2. 【請求項2】 地盤に打ち込まれる打込杭本体(1) の先
    端側に導水管(2) を通じて地盤に加圧水を噴射可能な噴
    射口(5) が設けられた鋼管等の打込杭に於いて、該打込
    杭本体(1) の先端には、該打込杭本体(1) に嵌合する掘
    削体(10)が取付けられ、しかも、該掘削体(10)には、前
    記加圧水の噴射により生ずる泥水の流れを前記打込杭本
    体(1) の周壁に沿って上昇方向に整えるための整流手段
    が設けられてなることを特徴とする鋼管等の打込杭。
  3. 【請求項3】 前記整流手段が、前記打込杭本体(1) の
    長手方向と略平行に設けられた長状凸部(8) 又は長状凹
    部(16)の少なくとも何れか一方である請求項1又は2記
    載の鋼管等の打込杭。
  4. 【請求項4】 前記打込杭本体(1) の先端又は掘削体(1
    0)の先端が、尖状に突出されてなる請求項1〜3の何れ
    かに記載の鋼管等の打込杭。
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