JP2685208B2 - 地震体験車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、地震の模擬体験を行うことができる地震体
験車に関する。

（従来の技術およびその問題点） 地震体験車は車体に対して揺れ動く地震体験室を搭載
し、この地震体験室に体験者に入ってもらい、地震体験
室の揺れの中で適切な消火行動等がとれるように訓練で
きるものである。

しかしながら、従来の地震体験車は、地震体験室が車
体に対してカムまたはリンク機構により駆動されていた
ため、地震体験室を一方向にしか揺り動かすことしかで
きず、しかも機械的な振動となり、実際の地震の揺れと
はかけはなれた動きとなっていた。したがって、実際の
地震が起きた場合に体験者が戸惑って、訓練が役にたた
なくなるという心配があった。

本発明は、こうした従来の問題点に着目し、実際の地
震に近い感覚で揺れる地震体験室を提供することを目的
とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため本発明では、地震体験車にお
いて、車体に対して１方向にスライド可能な外フレーム
と、この外フレームに対して略直交方向にスライド可能
な内フレームを設け、内フレームに地震体験室を固定的
に連結し、車体と外フレームの間に油圧シリンダを外フ
レームのスライド方向と平行に連結するとともに、外フ
レームと内フレームの間に油圧シリンダを内フレームの
スライド方向と平行に連結し、各油圧シリンダを地震体
験室が２次元方向に揺れ動くように駆動する手段を設け
た。

（作用） 上記構成に基づき、油圧シリンダに導かれる油圧力に
より地震体験室の速度は滑らかに変化し、しかも２次元
的に変位が得られるので、実際の地震に近い感覚で揺れ
を体験することができる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図，第２図，第３図，第４図にそれぞれ示すよう
に、地震体験車１の略中央部には地震体験室15が設けら
れ、地震体験室15の後方には煙体験室23が地震体験車１
からオーバハングされるようにしてスライド可能に設け
られる。

第５図にも示すように、地震体験車１の車体フレーム
２には地震体験室15を挟むようにして四角型のガイドフ
レーム３が前後に一対で立設され、これら各ガイドフレ
ーム３の内側には複数の滑車５を介して同じく四角形の
水平な昇降フレーム４が昇降可能に設けられる。前後の
各昇降フレーム４の間に外フレーム７と内フレーム12を
介して地震体験室15が設置される。

前後の各ガイドフレーム３には昇降フレーム４の略中
央部を上下方向に貫通するネジ軸６が回転自在に支持さ
れ、昇降フレーム４にはこのネジ軸６に螺合するメネジ
部4Aが形成され、ガイドフレーム３の下部にはネジ軸６
を回転駆動するモータ９が設けられる。前後の各モータ
９が互いに同期して正逆同方向に回転駆動されることに
より、前後の各昇降フレーム４が同期的に上下し、地震
体験室15を昇降させるようになっている。

前後の各昇降フレーム４の間に設けられる外フレーム
７は、前後スパン部7A,7Bと左右スパン部7C,7Dを有する
四角型に形成され、前後スパン部7A,7Bには前後の水平
な昇降フレーム４に対して転動可能に収納される２つの
滑車８がそれぞれ連結され、左右方向へと移動自由に構
成されている。

外フレーム７の内側に設けられる内フレーム12は、前
後スパン部12A,12Bと左右スパン部12C,12Dを有する四角
型に形成され、左右スパン部12C,12Dには外フレーム７
に対して転動可能に収装される２つの滑車13がそれぞれ
連結され、前後方向に移動自由に構成されている。そし
て、内フレーム12の上に地震体験室15が固定的に連結さ
れる。

これにより、外フレーム７は昇降フレーム（車体）に
対して左右横方向に変位でき、内フレーム12は外フレー
ム７に対して前後方向に変位できるので、これら外フレ
ーム７と内フレーム12の変位が相互して行われることに
より、地震体験室15を２次元方向に変位させることがで
きる。

外フレーム７の前後スパン部7A,7Bと前後の各昇降フ
レーム４の間に、これらと平行に各油圧シリンダ11がそ
れぞれ連結される。２本の油圧シリンダ11は油圧サーボ
弁（図示せず）により互いに同期して伸縮駆動される。

外フレーム７の左右スパン部7C,7Dと内フレーム12の
左右スパン部12C,12Dの間にも、これらと平行に油圧シ
リンダ14がそれぞれ連結される。２本の油圧シリンダ14
は油圧サーボー弁により互いに同期して伸縮駆動され
る。

地震体験室15の前方には運転室21との間に前記油圧サ
ーボ弁や発電装置および放水装置等が収装されるボック
ス22が設けられる。

油圧シリンダ11と14は互いに直交して配置されている
ため、油圧シリンダ11と14が油圧サーボ弁により相互に
伸縮駆動されることにより地震体験室15を２次元方向に
揺り動かすことができる。

したがって、油圧サーボ弁の制御回路に過去に発生し
た地震の波形を入力して、これに基づいて油圧シリンダ
11と14を相互して駆動することにより、地震体験室15は
実際の地震に近い揺動を再現することができる。

また、地震体験室15の駆動力を伝達する媒体として作
動油（流体）を用いることにより、地震体験室15の速度
変化を滑らかにし、機械的な振動を打ち消すことがで
き、実際の地震に近い滑らかな動きを地震体験室15に与
えることができる。

地震体験室15の室内にはテーブル18、ガス台19、図示
しない電話等が設けられ、体験者は地震体験室15の揺れ
の中で適切な消火行動や通報行動等がとれるように訓練
できる。

煙体験室23の後部にはAV装置室24が設けられる。この
AV装置室24の後部には跳ね上げ式のスイングドア25が設
けられ、その内部にはモニターテレビ26や図示しない音
響装置が設けられる。音響装置は地震体験室15の揺動に
伴って、地鳴り音や家屋のきしみ音を発生させて、現実
的な地震を再現することができる。モニターテレビ26に
は地震体験室15および煙体験室23の様子を映して、外部
から大勢の人に見学してもらうことができる。

そして、各ネジ軸６を回転駆動して昇降フレーム４等
を介して地震体験室15を第１図，第４図に示すように持
ち上げることにより、建物の２階を想定した地震体験が
得られる。さらに、地震体験室15の左側側璧15Aから突
出するベランダ16および手すり17が格納可能に設けら
れ、ベランダ16に備えられた非常用梯子20を使用して非
難訓練もできる。

なお、地震体験室15の前後に位置して車体フレーム２
から降下する４本のアウトリガー30が格納可能に設けら
れ、上記地震体験室15を揺動させるときに４本の各アウ
トリガー30を接地させて、車体フレーム２を支持するよ
うになっている。

第６図，第７図にもそれぞれ示すように、地震体験室
15の後方の煙体験室23は左右側璧23A,23Bと天井部23Cが
一体となった箱型枠と、前後璧部23D,23Eおよび、複数
のパネル29から構成される折り畳み式床部23Fによって
形成される。前璧部23Dは後側のガイドフレーム３に固
定的に設けられる。

煙体験室23は左右側璧23A,23Bの下部に１対の滑車27
が設けられる一方、この滑車27を転動可能に収装する左
右のレール28が車体フレーム２に固定的に連結される。
左右の各レール28の後端には滑車39が設けられる一方、
この滑車39を転動可能に収装する左右のレール40が煙体
験室23の左右側璧23A,23Bの下端に固定的に連結され
る。

左右の各レール28に沿ってチェーン31がスプロケット
32,33を介して張設され、左右側璧23A,23Bの下端がリガ
ー34を介して左右の各チェーン31に連結される。図示し
ないモータを介して前方の各スプロケット32が回転駆動
されることにより、煙体験室23は各滑車27,39を回動さ
せながら前後方向に移動し、その格納時は折り畳み式床
部23Fの各パネル29を重ね合わせながら前方に移動し
て、最終的には箱型枠が下降している地震体験室15の外
側に覆い被さるようになっている。

煙体験室23は後方に移動した状態で、前璧部23Dと後
璧部23Eの間に所定の距離が確保される。煙体験室23の
左側側璧23Aには横開き式スイングドア35と、跳ね上げ
式のスイングドア36が設けられ、右側側璧23Bには横開
き式スイングドア37が設けられ、これらスイングドア3
5,37を開して体験者が煙体験室23に出入りできる。煙体
験室23の内部には火災発生時を想定して煙を発生させる
手段が設けてあり、体験者はこの煙の中で避難訓練が行
える。

なお、煙体験室23の左右側璧23A,23Bの後部から降下
するアウトリガー38が格納可能に設けられ、左右の各ア
ウトリガー38を接地させることにより、煙体験室23を支
持するようになっている。

（発明の効果） 以上の通り本発明によれば、地震体験室を油圧シリン
ダにより車体に対して２次元方向に揺れ動くようにした
ため、地震体験室には油圧シリンダに導かれる油圧力に
より機械的な振動を打ち消して滑らかな速度変化を２次
元方向に与えられ、実際の地震に近い揺動を再現するこ
とができる。したがって、この地震体験車を人々の集ま
る場所に出張させて、地震に備えて有効な訓練を行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図はそれぞれ本発明の一実施例を斜視図、
第３図は平面図、第４図は側面図、第５図は同図のＡ−
Ａ線に沿った断面図、第６図は同図Ｂ−Ｂ線に沿った断
面図、第７図は後方から見た正面図である。 １……地震体験車、７……外フレーム、８……滑車、11
……油圧シリンダ、12……内フレーム、13……滑車、14
……油圧シリンダ、15……地震体験室。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体に対して１方向にスライド可能な外フ
   レームと、この外フレームに対して略直交方向にスライ
   ド可能な内フレームを設け、内フレームに地震体験室を
   固定的に連結し、車体と外フレームの間に油圧シリンダ
   を外フレームのスライド方向と平行に連結するととも
   に、外フレームと内フレームの間に油圧シリンダを内フ
   レームのスライド方向と平行に連結し、各油圧シリンダ
   を地震体験室が２次元方向に揺れ動くように駆動する手
   段を設けたことを特徴とする地震体験車。