JP2684633B2 - 無菌充填装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は，容器に無菌充填する装置に関し，特に，内
部が無菌的に密封された状態で供給されるブロー成形容
器に対する無菌充填装置に関する。 〔従来の技術〕 最近，牛乳，ジュース，清涼飲料等の充填に無菌充填
が採用されるようになってきた。従来の無菌充填装置で
は，無菌空気供給により陽圧に保たれている無菌室に容
器を，例えばブロー成形容器を供給し，その無菌室内を
間欠的に搬送する間に，容器の外面及び内面の殺菌，洗
浄，乾燥を行い，次いで，内容物の充填及び容器開口の
密封を行っていた。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかし，かかる従来の無菌充填装置では，容器内面の
殺菌，洗浄，乾燥を必要とし，そのためには，容器内に
ノズルを挿入して殺菌剤を噴射し，次いで容器内にノズ
ルを挿入して洗浄水を噴射し，更に容器を下向けて内部
の洗浄水を排出する等の動作を必要とし，これらの動作
を行うための複雑な機構を必要とするという問題があっ
た。しかも，対象とする容器が単純な形状，例えば紙容
器のように単なる矩形状のものであれば良いが，入口が
小さくなったブロー成形容器では，内部を均一に殺菌し
たり，洗浄したりすることが極めて困難であり，現実に
は，細口容器に対する完全なる無菌充填装置は実用化さ
れていない。 本発明は上記問題点を解決すべく為されたもので，比
較的簡単な構造によって，細口のブロー成形容器に対し
ても無菌充填可能な装置を提供することを目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意検討の結
果，予め無菌状態で密封したブロー成形容器を製造すれ
ば，充填工程で容器内部の殺菌が必要なくなり，無菌充
填を容易に行うことが可能となることを見出し，本発明
を為したものである。即ち，本発明は，内部が無菌的に
密封された状態で供給されたブロー成形容器に対する無
菌充填装置であって，所定の経路を走行するように設け
られた容器保持具を備え，該容器保持具で容器を保持し
て搬送する容器搬送装置と，この容器搬送装置の容器保
持具の走行経路に沿って配置された，容器を容器保持具
に供給する容器供給ステーションと，第一外気遮断ゾー
ンと，容器外面に殺菌剤を付与する殺菌ゾーンと，殺菌
後の容器に洗浄液を付与して洗浄する洗浄ゾーンと，洗
浄後の容器を乾燥する乾燥ゾーンと，容器頭部を切断し
て開口する切断ゾーンと，容器内に内容物を充填する充
填ゾーンと，容器開口にシート材を接合して密封する密
封ゾーンと，第二外気遮断ゾーンと，容器保持具に保持
された容器を排出する容器排出ステーションとを備え，
前記殺菌ゾーンから密封ゾーンまでの各ゾーンの，少な
くとも容器全体が通過する容器通過部分を無菌空気で陽
圧に保持した無菌室とし，前記第一及び第二外気遮断ゾ
ーンを負圧に保持した負圧室としていることを特徴とす
る無菌充填装置を要旨とする。 〔実施例〕 以下，図面を示す本発明の好適な実施例を説明する。 第１図は本発明の実施例を概略的に示す平面図であ
り,1はブロー成形容器（以下単に容器という）,2はその
容器１を保持して所定の経路を搬送する容器搬送装置で
ある。ここで使用する容器１は，第２図に示すように，
本体部1aと，細い首部1bと，ねじ部1cと，その上の補助
部1dとを備えたものであり，予め無菌状態で密封されて
いる。このような容器１は，例えば，本出願人が先に出
願した特願昭62−54080号（特開昭63−221027号）に示
した無菌ブロー成形方法により製造可能である。勿論，
この方法に限らず，通常のブロー成形で容器を作り，そ
の後その内部の殺菌，洗浄，乾燥を行った後，密封する
ことによって製造してもよい。 容器搬送装置２は，第１図に示すように，チェーンホ
ィール３と，それに掛けられ無端状のローラチェーン４
と，第２図，第３図に示すようにローラチェーン４に取
付けられた多数の容器保持具５とを有している。この容
器保持具５は前端に開いたＵ字溝5aを有しており，この
Ｕ字溝5aに容器１の首部1bを挿入することにより容器１
を保持することができる。チェーンホィール３には，ロ
ーラチェーン４を間欠的に駆動する駆動装置（図示せ
ず）が連結されており，容器１を所定のピッチで間欠的
に移動させるようになっている。なお，第２図で６はロ
ーラチェーン４を案内するレールである。 容器搬送装置２の容器保持具５の走行経路に沿った領
域は，複数のゾーンに区切られており，以下の各ゾーン
が配置されている。以下，それぞれを説明する。 10は容器供給ステーションであり，容器供給装置11が
設けられている。この容器供給装置11は，容器１を容器
搬送装置２の容器保持具５のＵ字溝5aに供給する。 13は第一外気遮断ゾーンであり，内部が若干負圧にな
るように排気された負圧室となっている。 14は殺菌ゾーンであり，容器１の外面に殺菌剤例えば
過酸化水素を付与するスプレーノズルを備えた殺菌装置
が設けられ，容器外面の殺菌を行う。 15は熱風乾燥ゾーンであり，容器外面に熱風を吹付け
る手段が配置されている。このゾーンでは，殺菌剤を吹
付けられた容器に熱風を吹付けて加熱し，殺菌剤（過酸
化水素）の殺菌作用を活性化し，且つ乾燥させる。 16は洗浄ゾーンであり，容器外面に洗浄水を噴射する
ノズルを備えた洗浄装置が配置されている。このゾーン
では，容器に残存する殺菌剤を洗い流す。 17はエアーブローゾーンであり，洗浄後の容器に空気
を吹付け，付着水分を吹き飛ばすためのノズルが設けら
れている。 18はヘッドカットゾーンであり，容器頭部の補助部1d
を切り離して開口する切断装置が設けられている。第４
図，第５図はこの切断装置を示すもので,20は定位置に
固定されたブラケット,21はこのブラケット20に固定さ
れた切断刃,22は容器保持具５に保持された容器１のね
じ部1cをクランプする一対のクランプ爪,23はクランプ
爪22を揺動可能に保持したピン,24はピン23を固定した
摺動板,25は摺動板24に取付られた支持板,26はクランプ
爪22を開閉させるためのリンク機構であり，エアシリン
ダ（図示せず）に連結されている。摺動板24にはエアシ
リンダ（図示せず）が連結されており，第４図で左右方
向に往復動する構成である。かくして，第４図，第５図
に示すように，容器保持具５に保持された容器１のねじ
部1cをクランプ爪22でクランプし，その状態で摺動板24
を左右に移動させることにより，クランプ爪22が容器１
を保持した状態で左方に移動し，切断刃21で容器１のね
じ部1cと補助部1dとの間を切断することができ，次いで
摺動部24を右方に移動させることにより，その容器を容
器保持具５に戻すことができる。なお，切断された補助
部1dは切断刃21の上に残ることになるので，それを空気
で下方に落とす手段及びそれを集めるシュート（いずれ
も図示せず）が設けられている。 第１図において,28は充填ゾーンであり，ヘッドカッ
トゾーンで開口された容器１内に内容物を充填する充填
装置が配置されている。充填装置は，公知のものを使用
可能であるので説明は省略する。 30は密封ゾーンであり，容器開口にシート材を接合し
て密封する密封装置を有している。この密封装置は，第
６図に示すように，アルミ箔等のシート材31を繰り出す
フィードローラ32と，シート材31のガイド33と，シート
材31を切断する固定刃34及び可動刃35と，シート材31を
容器開口部にヒートシールする加熱ヘッド36と，可動刃
35及び加熱ヘッド36を保持して昇降する昇降板37等を有
しており，図示のようにシート材31を容器開口部上に供
給した状態で昇降板37が下降し，可動刃36でシート材31
を切断し，次いでそのシート材31を加熱ヘッド36で容器
開口部にヒートシールすることができる。なお、38,39
は加熱ヘッド36で容器開口部を押した時に，容器保持具
５を確実に支持するように設けたガイドレールである。 第７図は密封ゾーン内で前記密封装置の下流に設けら
れた折込具40を示している。この折込具40は下降して容
器開口部外周にかぶさり，容器開口部に接合したシート
材31の外縁部を容器開口部の周囲に折り込む作用をす
る。 第１図において,42は洗浄ゾーンであり，容器外面に
洗浄水を噴射するノズルを備えた洗浄装置が配置されて
いる。このゾーンでは，容器に残存する殺菌剤を洗い流
す。 43は第二外気遮断ゾーンであり，内部が若干負圧にな
るように排気された負圧室となっている。 44は容器排出ステーションであり，容器排出装置45が
設けられており，容器搬送装置２の容器保持具５に保持
された容器１を排出する。 これらの各ゾーンのうち，殺菌ゾーン14から洗浄ゾー
ン42に到るまでのゾーンの少なくとも容器全体が通過す
る容器通過部分は，過酸化水素等の殺菌剤を用いて内部
滅菌ができる構造の無菌室となっており，且つその無菌
室には，無菌空気製造装置（図示せず）からの無菌空気
が供給され，常時，陽圧に保たれている。 次に，上記構造の無菌充填装置の動作を説明する。 充填動作開始に先立って，殺菌ゾーン14から洗浄ゾー
ン４にに到る各ゾーンが殺菌処理され，その後，それら
各ゾーンに無菌空気が供給され，陽圧に保たれる。これ
によって殺菌ゾーン14から洗浄ゾーン42に到るゾーンが
無菌状態に保たれる。また，第一及び第二外気遮断ゾー
ン13,43は排気され，若干負圧に保たれる。これによ
り，外気が殺菌ゾーン14や洗浄ゾーン42に侵入すること
が確実に防止され，また，殺菌ゾーン14で噴霧した殺菌
剤が外部に漏れることが防止される。 この状態で，予め内部を無菌状態として密封してなる
容器１が，容器供給ステーションにおいて容器供給装置
11から容器搬送装置２の容器保持具５に供給される。こ
の容器１は容器搬送装置２により間欠的に送られ，各ゾ
ーンを通過する。この間，まず，殺菌ゾーン14において
その外面に殺菌剤が噴霧され，次いで熱風乾燥ゾーン15
において熱風が吹付けられ，容器外面の殺菌及び乾燥を
行う。次に，洗浄ゾーン16において容器外面に洗浄水が
噴射され，容器外面に残存する殺菌剤を洗い流し，その
後，エアーフローゾーン17において容器の付着水分が除
去される。 容器外部の殺菌，洗浄が終った後，ヘッドカットゾー
ン18において容器１の補助部1dが切断除去され，容器頭
部が開口される。ここで，容器内部は元々無菌状態であ
るので，内部が雑菌で汚染されることがなく，当然無菌
状態に保たれている。次いで充填ゾーン28によりその開
口から内容物が充填される。その後，その容器１はシー
ルゾーン30において開口にシート材を接合し且つ折込む
ことにより密封され，洗浄ゾーン42で洗浄された後，排
出ステーション44から容器排出装置45により排出され
る。以上の手順により，容器１に対する無菌充填が行わ
れる。 なお，上記実施例では，ヘッドカットゾーンにおい
て，容器頭部の切断に固定された切断刃21を用いたが，
この代わりに回転刃を使用してもよい。しかし，実施例
のような固定した切断刃21を用いると構造が簡単であ
り，しかも切り取った部分（補助部1d）が装置内で飛散
しないので好ましい。 〔発明の効果〕 以上に説明したように，本発明装置によれば，容器と
して，内部が無菌的に密封された状態で供給されるブロ
ー成形容器を用いたことにより，容器の外部に対する殺
菌を行うのみで，容器内部の殺菌，洗浄を行うことな
く，無菌充填可能であり，従って，容器内部の殺菌，洗
浄，乾燥に必要な複雑な装置を省略でき，装置を簡略化
でき，しかも内部の殺菌，洗浄の困難な細口容器に対し
ても容易に無菌充填可能である等の効果を有している。
また，容器外面に対する殺菌，洗浄，乾燥や，容器頭部
の切断，内容物充填，密封等を行うゾーンの，容器全体
が通過する部分を陽圧に保持した無菌室とし，且つその
上流の容器供給ステーションとの間，及び下流の容器排
出ステーションとの間にそれぞれ，負圧に保持した外気
遮断ゾーンを設けたことにより，容器に対する各種の処
理を行う無菌室への外気侵入を確実に防止し，その無菌
室を高度な無菌状態に保つことができ，従って各処理を
高度な無菌状態で行うことができ，更に，殺菌処理に使
用した殺菌剤が周囲に漏れ出すことを防止できる等の効
果も有している。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例になる無菌充填装置を概略的
に示す平面図，第２図〜第７図は上記装置における各部
の詳細を示すもので，第２図は容器搬送装置２で容器を
保持した状態を示す断面図，第３図はその上面図，第４
図は切断ゾーンの要部断面図，第５図は第４図のＶ−Ｖ
矢視断面図，第６図は密封ゾーンの要部断面図，第７図
はその密封ゾーンにおいてシート材を折り込む折込具を
示す断面図である。 １……容器,2……容器搬送装置,3……チェーンホィー
ル,4……ローラチェーン,5……容器保持具,10……容器
供給ステーション,11……容器供給装置,13……第一外気
遮断ゾーン,14……殺菌ゾーン,15……熱風乾燥ゾーン,1
6……洗浄ゾーン,17……エアーブローゾーン,18……ヘ
ッドカットゾーン,28……充填ゾーン,30……密封ゾー
ン,42……洗浄ゾーン,43……第二外気遮断ゾーン,44…
…容器排出ステーション,45……容器排出装置。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．内部が無菌的に密封された状態で供給されるブロー
   成形容器に対する無菌充填装置であって，所定の経路を
   走行するように設けられた容器保持具を備え，該容器保
   持具で容器を保持して搬送する容器搬送装置と，この容
   器搬送装置の容器保持具の走行経路に沿って配置され
   た，容器を容器保持具に供給する容器供給ステーション
   と，第一外気遮断ゾーンと，容器外面に殺菌剤を付与す
   る殺菌ゾーンと，殺菌後の容器に洗浄液を付与して洗浄
   する洗浄ゾーンと，洗浄後の容器を乾燥する乾燥ゾーン
   と，容器頭部を切断して開口する切断ゾーンと，容器内
   に内容物を充填する充填ゾーンと，容器開口にシート材
   を接合して密封する密封ゾーンと，第二外気遮断ゾーン
   と，容器保持具に保持された容器を排出する容器排出ス
   テーションとを備え，前記殺菌ゾーンから密封ゾーンま
   での各ゾーンの，少なくとも容器全体が通過する容器通
   過部分を無菌空気で陽圧に保持した無菌室とし，前記第
   一及び第二外気遮断ゾーンを負圧に保持した負圧室とし
   ていることを特徴とする無菌充填装置。