JP2682818B2 - 害虫誘引阻止材 - Google Patents

害虫誘引阻止材

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JP2682818B2
JP2682818B2 JP7199944A JP19994495A JP2682818B2 JP 2682818 B2 JP2682818 B2 JP 2682818B2 JP 7199944 A JP7199944 A JP 7199944A JP 19994495 A JP19994495 A JP 19994495A JP 2682818 B2 JP2682818 B2 JP 2682818B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、害虫が感応性を示
す波長の光が外部へ透光するのを遮断して、光による害
虫の積極的な飛来を阻止する害虫誘引阻止材、特にかか
る阻止機能を有するシート、フィルム等の成形品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】昆虫が光の刺激に対して飛来する走光性
を有することはすでに知られており、昆虫の走光性の波
長特性は360〜380nmを中心に200〜600nmに
あり、この間の光に感応して活動するものが多い。そこ
で、昆虫が官能性を示す波長の光透過率を抑制するシー
ト等が提案された。そのようなシートとしては特公平4
−65651「合成樹脂シートおよび合成樹脂シートを
間仕切り材に使用する防虫方法」記載のシートが知られ
ている。この種のシートは380nm以下の波長の光を実
質上阻止し、400〜480nm以上の波長の光透過率は
30%以下とし、520nm以上の波長の光透過率は50
%以上であり、580nm以上の波長の光透過は実質上阻
止しないことを特徴とするシートであり、防虫効果を有
しながら人間の視覚性を確保するためには人間の可視光
線領域の400〜480nmの波長の光透過率を30%以
下としさらに520nm以上の波長の光透過率は50%以
上としておく必要があると考えられていた。また同様な
阻止材として、特開昭63−133933「害虫誘引阻
止材」記載の阻止材が知られている。この種の阻止材は
黄色及び黒色染料を少なくとも含み、波長200〜50
0nmの光を選択的に吸収し、透過率が50%以下になる
ように遮光されていることを特徴とする合成樹脂であり
防虫効果を発揮させる遮光材として染料が選択されてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の先行技術にみら
れるように、光学的特性を発現させるには分子状態で溶
解する染料を用いることが透明なフィルムを提供する上
で有利であるが故に耐光性のよくないことを理解しつつ
も染料を採用せざるを得なかったのが実状である。これ
には、微結晶である顔料を用いた方が耐光性がよいのは
理解しても、これを染料なみに微分散することが困難で
あったため採用されるに至らなかったのも事実である。
また仮に肉眼的に透明に近いものが顔料から得られたと
しても、ミクロに見れば結晶粒子間には隙間がありその
隙間からもれて来る光を昆虫が感応するかもしれぬとい
う不安があって採用を回避していたのも事実である。従
って耐光性の高い顔料系で光学的に透明なまで微分散さ
せた系で効率のよい害虫誘引阻止機能を有するものが求
められていた。本発明者らはこの点に着目し不透明な顔
料系でも微分散すれば透明となりかつ透明となれば顔料
が分子状態に分散していなくても相当な効果を発現しう
ることを見い出した。波長範囲についても波長480〜
600nm付近に感応する昆虫も多く、520nm以上の光
透過率が50%以上であるシートもある程度防虫効果は
あるが、480nm以上の光透過率も人間の視覚性をあま
り阻害しない程度に(光透過率20〜50%)調整され
ることによってさらに防虫効果を高めることを見い出し
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、光学
的に透明なまで微分散された、黄、オレンジ、及び青、
黒顔料を単独で若しくは組合せて含有する合成樹脂チッ
プ(カラーチップ)、及び紫外線吸収剤、及び基材で構
成される合成樹脂−顔料−紫外線吸収剤組成物において
該組成物の光学的性質である光透過率が波長200〜4
20nmは10%以下とし、420〜480nmは30%以
下とし、さらに480nm以上の波長の光も人の視覚性を
阻害しない程度に20〜50%程度になるように調整さ
れているものであって、該組成物を主成分として含有す
る害虫誘引阻止材を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】更に詳しく説明すると、400〜
500nmの波長の光を吸収する顔料としては主に黄、オ
レンジ顔料が用いられ、例えばキナクリドン系のシンカ
シャファーストゴールドYT−915D(チバガイギー
社製)、シンカシャゴールドYT−823D(チバガイ
ギー社製)が分散性、透明性、耐光性の面ですぐれ好ま
しい。500nm以上の波長の光を吸収する顔料としては
主に青、黒顔料、例えばフタロシアニン系のシアニンブ
ルー4940N(大日精化社製)、カーボンブラックF
W−2(デグサ社製)が用いられる。200〜400nm
の波長の光を吸収するものとしてはハイドロキノン系、
サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール
系等公知の紫外線吸収剤が用いられる。本願発明の目的
とする透過光のスペクトルを害虫に見えない光であるた
めのスペクトルにするためには前述のようにきめ細いテ
ストを行ない、関与する構造物の透過スペクトルが該当
する要件を満たすように実質的な顔料コンテントを決め
てゆかねばならない。透過光量は同じコンテントでも厚
みで変わるし、顔料のスペクトルも夫々異るわけである
のでこれらを透過光テストを行ないながら配合し決めて
ゆくことになる。
【0006】合成樹脂チップ中の構成樹脂としては熱可
塑性樹脂、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエステ
ル、ポリエチレン、アクリル、硝化綿等が用いられる。
光学的に微分散された合成樹脂チップの製造にはフラッ
シング方式又は乾式顔料からニーティング、2本ロール
混練方式が用いられ、特に2本ロールにより得られたカ
ラーチップは透明性、分散性が高く好ましい。なおフラ
ッシング方式とは微細な粒子状態で生成した水相系の顔
料を乾燥せずに油相系に置換する方法であり、2本ロー
ル混練方式は粉末顔料に樹脂と少量の溶剤や可塑剤を加
えたものをロールの間げき(Nip)を調整できる強力
な2本ロールミルでロールを加熱しながらシート状に練
り、ロールの回転速度の差によるせん断応力を受けて凝
集していた顔料素粒子を微粒子に分散させる方法であ
る。
【0007】該カラーチップを得るための組成上の制約
をないが、一般的に云って、出来上ったチップに対して
占める顔料分(PWC)で示すならば10〜90%の範
囲が好ましく、無機系顔料であれば90%に近く、有機
顔料系であれば60%以下で実施するのが好ましい。本
願の目的に沿うためには光学的透明性の点で有機顔料を
選択するのがよい。上記のPWCで微分散せしめるため
には顔料表面をぬらすことと使用する樹脂分を可塑化す
る必要があり、この目的のために有機溶剤、可塑剤が用
いられる。例えば有機溶剤であれば樹脂分を溶解するも
のであれば何でもよく酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ト
ルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が外割で20%以下
使用される。これらの溶剤は微分散後のチップには殆ん
ど含まれない。同じ目的に使用される可塑剤はフタル酸
エステル、単官能エポキシ化合物(例えば不飽和脂肪酸
のエポキシ化物)、アミン酸類等が用いられる。これら
の使用量はやはり外割で20%以下程度であるが、チッ
プ中に残存するものである。また顔料分散剤も使用する
ことが出来る。顔料分散剤は顔料と樹脂によって試行錯
誤的に選択されるべきものであるが、代表的なものとし
ては、オレイン酸銅などの脂肪酸のメタル塩類、レシチ
ン等のアミン酸誘導体及び両性化合物、あるいはパラフ
ェニレンジアミン等のアミノ誘導体類、他に高分子化合
物で上記官能基をペンダントに保有するものがあげられ
る。
【0008】組成物中の合成樹脂としては、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、アクリル樹脂、成形加工後シュリンク
機能を発揮できる合成樹脂、即ち熱収縮性フィルムを与
えるポリエチレンテレフタレート樹脂等が用いられ、本
発明の害虫誘引阻止材は、通常の溶融押出法、コーター
法、カレンダー法等任意の方法によって製造してもよ
い。そして以上の材料、手段によって、波長調整された
本願の発明品は光学的に透明性が高くまた耐光性も優
れ、かつ防虫効果も高いのである。
【0009】
【実施例】以下、比較例もあげながら実施例により、更
に本発明について詳述する。実施例−1 合成樹脂チップ シンカシャゴールドYT−823D(オレンジ顔料) 40%重量部 シアニンブルー494ON(青顔料) 5% 〃 バイロン200(飽和共重合ポリエステル) 55% 〃 有機溶剤 10% 〃 以上の組成にて加熱した2本ロールでシート状にしシー
トをくりかえしロールに100回行ない、これを粉砕し
合成樹脂チップとした。次に熱収縮性ポリエチレン系樹
脂100重量部に対し合成樹脂チップ1.0重量部、紫
外線吸収材0.4重量部含有させ通常の溶融押出法によ
り0.1mm厚の黄緑色のシュリンク機能を有するポリエ
チレンテレフタレート系熱収縮チューブを作製した。こ
のチューブを蛍光灯にかぶせ120℃1分加熱して被覆
させた。これは飛散防止と防虫機能を有する蛍光灯とし
て、工場、レストラン等の建築物の内部、外部、出入口
等に設置して利用される。
【0010】実施例−2 合成樹脂チップ シンカシャゴールドYT−823D(オレンジ顔料) 22.5%重量部 カーボンブラックFW−2(黒顔料) 7.5% 〃 硝化綿 RS1/2(樹脂) 55.0% 〃 ジブチルフタレート(可塑剤) 15.0% 〃 有機溶剤 20.0% 〃 以上の組成にて2本ロールでシート状にしシートをくり
かえしロールに100回行ないこれを粉砕し合成樹脂チ
ップとした。 の混合物にて合成樹脂チップを攪拌しながら溶解し、バ
ーコーターにてポリエステルフィルムに20μ厚にコー
ティングしこれに離型フィルムを貼り合わせてブラウン
色の接着機能を有するフィルムを作製した。これは防虫
機能を有するフィルムとして離型フィルムを剥離し工
場、レストラン等の建築物の透明な窓ガラス、アクリル
板等に貼り付けて利用される。
【0011】実施例−3 合成樹脂チップ シンカシャゴールドYT−823D(オレンジ顔料) 40%重量部 シアニンブルー494ON(青顔料) 5% 〃 VYHH (塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂) 55% 〃 有機溶剤 10% 〃 以上の組成にて加熱した2本ロールでシート状にしシー
トをくりかえしロールに100回行ない、これを粉砕し
合成樹脂チップとした。次にポリ塩化ビニル樹脂100
重量部に対し可塑剤50重量部、合成樹脂チップ0.0
8重量部、紫外線吸収剤0.03重量部含有させ、通常
の押出法またはカレンダー法により2.0mm圧の黄緑色
のシートを作成した。これは防虫機能を有するシートと
して、工場等の建築物の間仕切り、また短冊状に切断し
てカーテンとして利用される。
【0012】実施例−4 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、可塑剤50重
量部、実施例−3における合成樹脂チップ0.5重量
部、紫外線吸収剤0.2重量部含有させ、通常の押出法
またはカレンダー法により0.3mm厚の黄緑色の防虫機
能を有するシートを作成した。このシートをポリエステ
ル繊維の密度3本×3本/cmの織物の両面から熱融着
し、0.6mm厚の基布加工した強度のあるシートとし
た。このシートは工場等建築物のシャッターに取り付け
視覚性のある防虫機能を有するシートシャッター用シー
トとして利用される。
【0013】実施例−5 合成樹脂チップ シンカシャゴールドYT−823D(オレンジ顔料) 40%重量部 シアニンブルー494ON(青顔料) 5% 〃 VAGH (塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂) 55% 〃 有機溶剤 10% 〃 以上の組成にて加熱した2本ロールでシート状にしシー
トをくりかえしロール100回行ない、これを粉砕し合
成樹脂チップとした。 の混合物にて合成樹脂チップを攪拌しながら溶解し、バ
ーコーターにてポリエステルフィルムに15μ厚にコー
ティングし乾燥した。乾燥後さらにその上にアクリル系
粘着剤をコーティングしこれに離型フィルムを貼り合わ
せてグリーン色の接着機能を有するフィルムを作成し
た。これは防虫機能を有するフィルムとして離型フィル
ムを剥離し工場、レストラン等の建築物の透明な窓ガラ
ス、アクリル板等に貼り付けて利用される。
【0014】比較例−1 合成樹脂チップ シンカシャファーストゴールドYT−915D(黄色顔料) 40%重量部 バイロン200(飽和共重合ポリエステル) 60% 〃 有機溶剤 10% 〃 以上の組成にて加熱した2本ロールでシート状にしシー
トをくりかえしロール100回行ない、これを粉砕し合
成樹脂チップとした。次に熱収縮性ポリエチレンテレフ
タレート系樹脂100重量部に対し合成樹脂チップ1.
2重量部、紫外線吸収剤0.4重量部含有させ通常の溶
融押出法にて0.1mm厚のイエロー色のチューブを作成
した。これを蛍光灯にかぶせ120℃1分加熱して被覆
させた。
【0015】比較例−2 ザポンイエロー073 (黄色染料) 0.32%重量部 バリオゾールブラック3808T(黒色染料) 0.48% 〃 アクリル系樹脂 23.8% 〃 紫外線吸収剤 0.5% 〃 有機溶剤 74.9% 〃 以上の組成物をバーコーターにてポリエステルフィルム
に20μ厚にコーティングし黄緑色のフィルムを作成し
た。実施例1〜5および比較例1、2に示す組成物の光
透過率を測定したところ図1〜図7に示す通りとなり、
本実施例1〜5のものは波長200〜420nmは10%
以下で、420〜480nmは30%以下で、さらに48
0nm以上の波長も20〜50%程度であることがわか
る。又、透明性も高く人間の視覚性を確保するにも充分
である。次にこれら組成物を水銀ランプ式退色試験機に
100時間照射し、照射前と照射後の光透過率を測定し
た。また防虫効果について試験を行なった。実施例1〜
5および比較例1、2の結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】防虫試験方法 実施例1〜5及び比較例1、2の試験片で10Wの白色
蛍光灯の周囲を固定したものとブランクとして10Wの
白色蛍光灯計15種を直線上に5m間隔で配置し、夜間
点灯30分間に蛍光灯に誘引される飛翔昆虫を蛍光灯の
左右に取りつけられた粘着シートによって捕獲し誘引阻
止率を求めて防虫性能を比較した。 なお、試験は照明器の位置を変えて3回繰り返した総和
の結果である。実験照明装置を図8に示す。本発明はい
ずれも優れた誘引阻止率を示す。
【0018】
【発明の効果】以上に述べたように本発明は居住環境を
ほとんど損ねることなく薬剤等の二次的弊害もなく、有
効に長時間優れた害虫誘引を阻止することができ、居住
環境に貢献できるので極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のチューブの光透過率を示す。
【図2】図2は実施例2のフィルムの光透過率を示す。
【図3】実施例3のシートの光透過率を示す。
【図4】実施例4のシートの光透過率を示す。
【図5】実施例5のフィルムの光透過率を示す。
【図6】比較例1のチューブの光透過率を示す。
【図7】比較例2のフィルムの光透過率を示す。
【図8】防虫実験装置の概略を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明なまでに微粉砕された黄、
    オレンジ、青及び黒色顔料から成る群より選ばれる1種
    以上の顔料を主剤とする合成樹脂カラーチップと、紫外
    線吸収剤を基材中に含み、波長200〜420nmでは1
    0%以下、波長420〜480nmでは30%以下及び波
    長480nm以上では20〜50%の光透過率を有する害
    虫誘引阻止材。
  2. 【請求項2】 合成樹脂カラーチップが、フラッシング
    方式または乾式顔料からニーディング及び2本ロール混
    練方式を用いて得られるものである請求項1に記載の害
    虫誘引阻止材。
  3. 【請求項3】 基材が、蛍光体被覆用熱収縮性合成樹脂
    筒状フィルムである請求項1記載の害虫誘引阻止材。
  4. 【請求項4】 フィルムが、ポリエチレンテレフタレー
    ト系樹脂からなる請求項3記載の害虫誘引阻止材。
  5. 【請求項5】 基材が、合成樹脂接着剤である請求項1
    記載の害虫誘引阻止材。
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