JP2682697C - - Google Patents

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JP2682697C
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【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本発明は、不溶性担体を使用し免疫凝集反応に基づいて被測定物質を測定する
ために用いられ、高い検出感度で非特異反応が少ない免疫凝集反応測定試薬およ
び免疫凝集反応測定法に関する。特に抗原および抗体の測定に適した免疫凝集反
応測定試薬に関する。また、特に梅毒トレポネーマ抗体およびHBS抗体の測定
に適した免疫凝集反応測定試薬に関する。 【従来の技術】 体液中の微量成分などの測定方法のひとつとして、目的とする被測定物質であ
る抗原または抗体に対応する抗体または抗原を不溶性担体に担持させ、被測定物
質との抗原抗体反応により生じた不溶性担体の凝集の度合を検出することにより
、被測定物質を測定する免疫測定法がある。このような測定法として、ラテック
ス凝集反応法、赤血球凝集反応法などが知られている。 この凝集の程度を検出する方法としては、凝集の有無を肉眼で判定する方法と
、反応液に光を照射して散乱光あるいは透過光を測定する方法がある。 肉眼で判定する方法は試料中の抗原あるいは抗体の有無の判定法、あるいは半
定量法として用いられている。光学的な測定方法は試料中の抗原あるいは抗体の
定量に用いられている。 これらの凝集反応の測定法において、測定感度の向上あるいは抗原抗体反応の
促進を目的として、ポリエチレングリコール(以下、PEGと略すときがある)
を反応系に添加することが提案されている。例えば、特開昭58−47256号
公報では、抗原または抗体を担持した不溶性微粒子と抗体及び/または抗原とを
溶液中で反応させ、反応混合物に光を照射して反応の進行度を光学的に測定する
抗原抗体反応の測定法において、溶液中にポリエチレングリコールを共存させて
いる。これは測定感度の向上を目的とするものであり、ポリエチレングリコール
としては、平均分子量が1,000以上のものが効果ありとされ、実施例では1
,540〜8,000のものが使用されている。 また、特開昭59−54968号公報では、赤血球凝集反応の促進用試薬とし
て、リン酸緩衝液に溶解させたポリエチレングリコールが使用されている。この
実施例においては、平均分子量4,000〜20,000のポリエチレングリコ
ールが使用されている。 また、不溶性担体を使用した凝集反応を測定原理とするものではないが、特公
昭63−45066号公報では、変性ヒト免疫グロブリンを含有する溶液とリウ
マチ因子との反応において、凝集促進剤としてポリエチレングリコールを使用し
ており、平均分子量として1,000〜20,000のものが有効に使えるとの
記載がある。 このように、抗原抗体反応の反応系にポリエチレングリコールを使用すること
が提案されているが、その分子量は、平均分子量20,000以下のものである
。 【発明が解決しようとする課題】 従来、使用されてきたPEGは、平均分子量2万以下のものであるが、感度向
上または反応促進の効果はまだ不十分であり、更に効果の高いものが求められて いた。 本発明は、上記の問題点を解決するものであり、その目的とするところは、高
い検出感度で非特異反応が少ない免疫凝集反応測定試薬および測定方法を提供す
ることにある。 更に、梅毒トレポネーマ抗体またはHBS抗体の測定に適した免疫凝集反応測
定試薬を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 上記の問題点を解決するために、ポリエチレングリコールについて鋭意研究し
た。ポリエチレングリコールの感度向上または反応促進の効果は、反応系中での
濃度が高いほど大きくなる。しかし、ポリエチレングリコールの濃度を上げて行
くと試料そのものが混濁を生じたり、抗原あるいは抗体を感作した不溶性担体そ
のものが凝集を生じる。本発明者は、従来検討されたことのない末端基定量法に
よる平均分子量3万以上のポリエチレングリコールについて、反応系中での濃度
とその効果について検討し、平均分子量を大きくすると、末端基定量法による平
均分子量2万以下のものを使用したときと比較して極めて少量で、同等以上の感
度向上効果があり、かつ、試料を混濁させず、非特異的な凝集反応もひき起こさ
ないことを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の免疫凝集反応測定試薬は、被測定物質である抗原または抗
体に対応する抗体または抗原を担持した不溶性担体および末端基定量法による平
均分子量30,000以上のポリエチレングリコールから構成され、そのことに
より前記目的が達成される。 本発明の免疫凝集反応測定試薬は、被測定物質である抗体に対応する抗原を担
持した不溶性担体および末端基定量法による平均分子量30,000以上のポリ
エチレングリコールから構成され、そのことにより前記目的が達成される。 本発明の免疫凝集反応測定試薬は、梅毒トレポネーマ抗原またはHBS抗原を
担持した不溶性担体および末端基定量法による平均分子量30,000以上のポ
リエチレングリコールから構成され、そのことにより前記目的が達成される。 本発明の免疫凝集反応測定法は、被測定物質である抗原または抗体に対応する
抗体または抗原を不溶性担体に担持させ、被測定物質との抗原抗体反応により生 じた不溶性担体の凝集の度合を検出することにより、被測定物質を測定する方法
であって、該抗原抗体反応の反応系に末端基定量法による平均分子量30,00
0以上のポリエチレングリコールを存在させ、そのことにより前記目的が達成さ
れる。 本発明に用いられるPEGとしては、末端基定量法による平均分子量3万〜5
00万、好ましくは5万〜200万のものが好適である。 本発明で用いられる不溶性担体としては、有機高分子粉末、無機物質粉末、微
生物、血球および細胞膜片などが挙げられる。有機高分子粉末としては、不溶性
アガロース、セルロース、不溶性デキストランなどが例示でき、好ましくはラテ
ックス懸濁液がよい。ラテックスとしては、例えばポリスチレン、スチレン−ス
チレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、アクリ
ロニトリルブタジエンスチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重
合体、ポリ酢酸ビニルアクリレート等がある。用いるラテックスの平均粒径は、
測定対象物質の検出濃度或は測定機器によって、0.05〜1.0μmのものが
適宜選択される。無機物質粉末としてはシリカ、アルミナ、或は金、チタン、鉄
、ニッケル等の金属片などが例示される。 本発明により測定されるべき物質は特に限定されず、一般に抗原抗体反応を利
用して測定し得る生理活性物質はいずれも測定が可能である。被測定物質として
は、タンパク、脂質などがあり、それには例えば、各種抗原、抗体、レセプター
、酵素などが挙げられる。具体的には、CRP,ヒトフィブリノーゲン、リウマ
チ因子、アルファーフェトプロティン(AFP)、抗ストレプトリジンO抗体、
梅毒トレポネーマ抗体、梅毒脂質抗原に対する抗体、HBS抗体、HBc抗体、
HBe抗体、HLTV I、II、IIIに対する抗体などが例示される。 本発明により被測定物質を測定する場合の測定系は、例えばラテックス凝集反
応や血球凝集法などの凝集法が利用される。試薬の調製は、まず公知の方法によ
り、不溶性担体に抗原または抗体を物理的に吸着あるいは化学的に結合により担
持(感作)させる。用いる抗体は免疫グロブリンあるいはその断片、例えばF(a
b')2でも良い。 次に、測定系について述べる。例えば、ラテックス試薬を用いた抗原抗体反応 により被測定物質を測定する場合には、被測定物質である抗原または抗体に対応
する抗体または抗原を担持したラテックス試薬にあらかじめPEGを添加してお
く。あるいは、PEGを含まないラテックス試薬を使用することも可能で、この
場合には抗原抗体反応時にPEGが該反応系に存在するようにすればよい。例え
ば、検体にあらかじめPEGを添加しておく方法;使用する緩衝液にPEGを加
えておく方法などがあり、特に限定されない。言いかえれば、本発明の測定試薬
は、例えば、抗体または抗原を担持した不溶性担体、およびPEGを含む、1液
系の試薬;抗体または抗原を担持した不溶性担体を含む第1試薬と、PEGを含
む緩衝液でなる、第2試薬とで構成される2液系の試薬;など種々の形態であり
得る。 このような試薬を用いて凝集反応を行ない、生じた凝集の程度を光学的に観察
もしくは目視観察することにより被測定物質が測定され得る。具体的には、不溶
性担体の凝集の程度を光学的に検出する方法においては、測定は散乱光強度、吸
光度または透過光強度を測定する光学機器で行う。測定の波長は300〜240
0nmが使用できる。測定方法については公知の方法に従い、用いる不溶性担体
の大きさあるいは濃度の選択、反応時間の設定により、散乱光強度、吸光度また
は透過光強度の増加もしくは減少を測定することにより行われる。また、これら
の方法を併用することも可能である。 不溶性担体の凝集の程度を肉眼で判定する試薬においては、通常、試料と感作
不溶性担体を含む溶液を判定板上で混合し、1〜5分間揺り動かした後、凝集の
有無を判定する。凝集判定には、単に肉眼判定以外に、ビデオカメラで撮影し、
画像処理を施すことによって判定することも可能である。 この免疫凝集反応測定法において、抗原抗体反応の反応系に存在させるPEG
の濃度は、PEGの分子量、共存する塩、タンパク、糖類などの添加物の濃度に
よって適宜選ばれる。一般には、該反応系に0.01〜3%(w/w)、好まし
くは、0.05〜1.5%(w/w)の割合で含有されるように調製される。P
EG濃度が0.01%(w/w)を下まわると、PEGと抗原および抗体との相
互作用が小さくなる結果、増感効果が得られない。逆に3%(w/w)を上まわ
ると不溶性担体が非特異的に凝集し易くなる。 上記抗原抗体反応の条件は通常の場合と同様であり、反応媒体としては、被測
定物質の種類に応じた各種緩衝液が用いられる。この緩衝液は、被測定物質を失
活させることがなく、かつ抗原抗体反応を阻害しないようなイオン強度やpHを
有するものであればよい。例えば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝
液が使用される。反応のpHは、5〜10特に6〜8が好ましい。反応温度は0
〜50℃特に20〜40℃が好ましい。反応時間は適宜決められる。反応時には
、さらに測定系の特異性を高めるために、塩化コリンなどの第4級アンモニウム
塩、EDTA、ポリアニオン、カオトロピックイオン(Cl-、I-、SCN-
ど)、ゼラチンなどを添加することも可能である。 本発明によれば、末端基定量法による平均分子量3万以上のPEGの働きによ
り、高感度かつ非特異反応が少ない測定ができる。 なお、本発明の原理は、分子量の大きなPEGの抗原抗体反応の促進効果によ
っており、抗原または抗体を不溶性担体に担持しない免疫比濁法の試薬、測定方
法においても、その測定感度の向上、抗原抗体反応の促進効果がある。 以下に、本発明の実施例を述べ、その効果を具体的に説明する。 【実施例】 本発明を以下の実施例にて説明する。 本実施例および比較例においてPEGは、すべて和光純薬工業(株)のものが
使用された。 実施例1 ヒトCRPの測定試薬及び測定法−凝集像の肉眼観察による検出方法 (1)抗CRP抗体感作ラテックス液の調製 抗ヒトCRP抗体を1mg/mlのIgG濃度で0.1Mグリシン緩衝液(p
H8.8)に溶解した液10mlに、平均粒径が0.26μmのポリスチレンラ
テックス(固形分10%、積水化学社製)1mlを添加し、37℃にて60分間
攪拌した。次いで、この液を4℃にて60分間、18,000rpmで遠心分離
した。得られた沈殿物にウシ血清アルブミン(以下、BSAと略)を0.5重量
%含有する0.1Mグリシン緩衝液(pH8.8)10mlを添加し、ラテック
スを懸濁させ、抗CRP抗体感作ラテックス液を調製した。 (2)PEG溶液の調製 平均分子量500,000のPEGを、BSAを1重量%含有するリン酸−食
塩緩衝液[0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)、0.10M NaCl]に
、0、0.10、0.25、0.50、1.00重量%の濃度になるように溶解
した。 (3)ヒトCRP測定試薬 本実施例のヒトCRP測定試薬は、上記(1)項の抗CRP抗体感作ラテック
スからなる第1試薬と、上記(2)項のPEGを含む緩衝液からなる第2試薬と
から構成される2液系の試薬である。 (4)標準CRP液の調製 CRPを0.0、0.10、0.50、1.00、2.0μg/ml濃度で含
むヒト血清を上記(2)項のPEG溶液で1:1に希釈して、CRP濃度0.0
〜1.0μg/mlを含む標準CRP液を調製した。 (5)抗原抗体反応 標準CRP液50μlを判定板上に採り、これに上記(1)項の抗CRP抗体
感作ラテックス液50μlを滴下し混和する。判定板を手に持ち、ゆるやかに揺
動し2分後に凝集の度合を肉眼で観察した。結果を第1表に示した。 +:凝集を示したもの −:凝集を示さなかったもの 比較例1 実施例1におけるPEG溶液の調製の項を、次のように行ったことを除いては
、実施例1と同様にして、ヒトCRP測定試薬を作成した。 PEG溶液の調製:平均分子量7,500のPEGを、実施例1の(2)項で使
用したものと同じ緩衝液に0、1、2、3、4重量%の濃度になるように溶解し
た。 標準CRP液は次のように調製した。 標準CRP液の調製:CRPを0.0、0.10、0.50、1.00、2.0
μg/ml濃度で含むヒト血清を上記のPEG溶液で1:1に希釈して、CRP
濃度0.0〜1.0μg/mlを含む標準CRP液を調製した。 上記の標準CRP液を使用し、実施例1と同様に抗原抗体反応を行った。結果
を表2に示した。 +:凝集を示したもの −:凝集を示さなかったもの 第1表および第2表において、標準CRP液濃度が0.0(ゼロ)μg/ml
で凝集を示したものは、PEGによってラテックスそのものが凝集したことによ る。 第1表および第2表より、平均分子量500,000のPEGを使用した場合
の検出感度はCRP液濃度0.25μg/mlであるが、平均分子量7,500
のPEGの場合のそれは、0.5μg/mlであることがわかる。従って、50
0,000のPEGを使用した方が高い検出感度である。 実施例2 ヒトCRPの測定試薬及び測定法−光学的な検出方法 (1)抗CRP抗体感作ラテックス液の調製 実施例1の(1)項で使用した平均粒径が0.26μmのポリスチレンラテッ
クスの代わりに、0.13μmのポリスチレンラテックス(固形分10%、積水
化学社製)を用いたことを除いては、実施例1の(1)項と同様にして、抗CR
P抗体感作ラテックス液を調製した。 (2)PEG溶液の調製 末端基定量法による平均分子量50,000のPEGを、BSAを0.5重量
%含有する0.1Mグリシン緩衝液(pH8.8)に、0.0,0.5、1.0
、2.0、3.0重量%の濃度になるように溶解した。 (3)ヒトCRP測定試薬 本実施例のヒトCRP測定試薬は、上記(1)項の抗CRP抗体感作ラテック
スからなる第1試薬と、上記(2)項のPEGを含む緩衝液からなる第2試薬と
から構成される2液系の試薬である。 (4)標準CRP液 CRPを0、0.1、0.2、0.25、0.5μg/ml含むヒト血清を使
用した。 (5)抗原抗体反応 標準CRP液3μlを、上記(2)項のPEG溶液500μlで希釈する。こ
れに上記(1)項の抗CRP抗体感作ラテックス液50μlを添加し、攪拌混合
する。該ラテックス液の添加から5分後に570nmの吸光度を分光光度計で読
み取る。 なお、抗原抗体反応は37℃で行なった。 その結果をcell長1cmとして換算し第3表に示した。比較例2 実施例2で使用した末端基定量法による平均分子量50,000のPEGの代
わりに、末端基定量法による平均分子量が20,000のPEGを用いたことを
除いては、実施例2と同様にして抗原抗体反応を行なった。その結果を第4表に
示した。 第3表および第4表において、*印は血清そのものが混濁を生じたあるいはラ
テックスそのものがPEGにより凝集を生じたことを表わす。従って*印以下の
濃度のPEGを使用しなければならない。 第3表および第4表において、PEG濃度1%で末端基定量法による平均分子
量50,000のPEGと20,000のものを比較すると、各標準CRP液濃
度での反応性(波長570nmの吸光度)は末端基定量法による平均分子量50
,000のものの方が高い。すなわち、PEGの分子量は50,000のものを
用いる方が高い検出感度が得られることがわかる。 実施例3 ヒトフィブリノーゲン(Fg)の測定試薬及び測定法−光学的な検出方法 (1)抗ヒトフィブリノーゲン(抗Fg)抗体感作ラテックス液の調製 抗Fg山羊産生抗体を2mg/mlのIgG濃度で、0.3Mリン酸緩衝液(
pH7.0)に溶解した液10mlに、平均粒径が0.10μmのポリスチレン
ラテックス(固形分10%、積水化学社製)1mlを添加し、室温にて120分
間攪拌した。次いで、この液を4℃にて60分間、18,000rpmで遠心分
離した。得られた沈殿物にBSAを0.2重量%含有する0.3Mリン酸緩衝液
(pH7.0)10mlを添加し、ラテックスを懸濁させ、抗Fg抗体感作ラテ
ックス液を調製した。 (2)PEG溶液の調製 平均分子量500,000のPEGを、BSAを0.2重量%で含有する0.
3Mリン酸緩衝液(pH7.0)に、0.0、0.1、0.2、0.3、0.4
重量%の濃度になるように溶解した。 (3)Fg測定試薬 本実施例のFg測定試薬は、上記(1)項の抗Fg抗体感作ラテックスからな
る第1試薬と、上記(2)項のPEGを含む緩衝液からなる第2試薬とから構成
される2液系の試薬である。 (4)標準Fg液 Fgを0、1.0、2.0、4.0、8.0μg/mlを含むヒト血清を使用
した。 (5)抗原抗体反応 標準Fg液10μlを、上記(2)項のPEG溶液400μlで希釈する。こ
れに上記(1)項の抗Fg抗体感作ラテックス液60μlを添加し、攪拌混合す
る。該ラテックス液の添加から60秒後と160秒後の波長570nmの吸光度
の差を分光光度計で読み取る。抗原抗体反応は37℃で行なった。その結果を第
5表に示した。 比較例3 実施例3で使用したPEG溶液を代わりに、平均分子量3,000のPEGを
実施例5と同じ緩衝液に0.0、0.5、1.0、2.0、3.0重量%の濃度
になるように溶解したPEG溶液を用いたことを除いては、実施例3と同様にし
て抗原抗体反応を行なった。その結果を第6表に示した。 第5表および第6表において、*印は血清そのものが混濁を生じたあるいはラ
テックスそのものがPEGにより凝集を生じたことを表わす。従って*印以下の
濃度のPEGを使用しなければならない。 第5表および第6表において、平均分子量500,000のPEG濃度0.3
%使用のものと、分子量3,000のPEG濃度2.0%使用のものの吸光度を
比較すると、各フィブリノーゲン濃度での反応性(波長570nmの吸光度)は
平均分子量500,000のものの方が高い。すなわち、PEGの分子量は50
0,000のものを用いる方が高い検出感度を得られることがわかる。 実施例4 梅毒抗体の測定試薬及び測定法−凝集像の肉眼観察による検出方法 梅毒トレポネーマ抗原に対する抗体の測定を行なった。本実施例においては、
次に挙げる試薬および測定用検体を使用した。後述の実施例5〜7及び比較例4
〜7においても、特に指示されない限り、同名の試薬および検体については、同
様のものを使用した。 PBS(リン酸緩衝液):リン酸−ナトリウム(2水和物)、リン酸二ナトリウ
ム(2水和物)および塩化ナトリウムを、リン酸および塩化ナトリウムの終濃度
がそれぞれ0.02Mおよび0.15M、pHが7.4となるように精製水に加
えて、調製を行なった。 1%BSA・PBS:PBSにBSAを1%(w/w)となるように溶解させて
調製した。 1%トリトンX−100:リン酸緩衝液にトリトンX−100を1%(w/w)
となるように溶解させた。 梅毒抗原液:家兎睾丸中で10〜14日間培養したトレポネーマ パリダム[T
reponema pallidum;CDC (Center for Di
sease Control, Public Health Service
, U.S. Department of Health, Educati
on and Welfare, Atlanta, Georgia)より入
手したものを家兎睾丸に接種し、継代培養したものを用いた]を生理食塩水中に
109個菌体/mlとなるように懸濁した菌体懸濁液1mlを採り、リン酸緩衝
液中で遠心分離(6,000rpm×5分、3回)することにより洗浄した。次
いで、得られた沈殿に1%トリトンX−100を1ml添加し、37℃にて30
分間インキューベートした。その後、これを超遠心分離機にかけて(50,00
0rpm×1時間)上清を採取し、1%トリトン−100で1,000倍希釈し
て使用した。 梅毒陽性家兎血清:トレポネーマ パリダムを睾丸に接種後45日間飼育した家
兎から血清を採取した。この血清を1%BSA・PBSで100倍、200倍お
よび400倍に希釈して使用した。 正常家兎血清:トレポネーマ パリダムを接種されていない家兎から採取した血
清を用いた。市販のTPHAキット(セロディアTP;富士レビオ製)を用いて
タイターを測定したところ、結果は陰性を示した。この血清を1%BSA・PB
Sで100倍から400倍に希釈して用いた。 ラテックス:積水化学工業(株)製の粒子0.23μmのポリスチレンラテック
ス(固形分10%)を用いた。 0.20、0.5、1.00および2.00%PEG500,000:平均分子
量500,000のPEGを1%BSA・PBSに、それぞれ0.20、0.5
0、1.00および2.00%(w/w)となるように溶解させたもの。 (A)ラテックスへの梅毒抗原の感作:ラテックス100μlと、梅毒抗原液4
00μlとを速やかに混合し、室温で攪拌した。1時間後に1%BSA・PBS
を5ml加え、15000rpmで1時間得遠心した。これを2回繰り返してラ
テックスを洗浄した。洗浄後のペレットを2mlの0.20.0.50、1.0
0および2.00%PEG500,000に懸濁させ、よく分散して固形分0.
5%のラテックス試薬を得た。これを4℃にて保存した。 (B)梅毒抗体の測定:梅毒陽性家兎血清と(A)項で得られたラテックス試薬
とを50μlずつ判定板上に採り(このため反応時のPEG最終濃度は0.1〜
1.0%となる)、混合・攪拌したのち3分間反応させた。対照として、正常家
兎血清についても同様に反応を行なった。ラテックス試薬の凝集を目視観察した
。凝集した検体を陽性、凝集の認められなかった検体を陰性とした。その結果を
第7表に示す。第7表において+および++は陽性(++は凝集の度合が大きい
)、±は偽陽性、そして−は陰性を示す。 比較例4 0.20〜2.00%PEG500,000の代わりに、下記の2.0、4.
0、6.0、8.0%PEG7,500または1%BSA・PBSを用いて実施
例4と同様に反応を行なった。その結果を第7表に示す。 2.0、4.0、6.0および8.0%PEG7,500:平均分子量7,50
0のPEGを1%BSA・PBSに、それぞれ2.0、4.0、6.0および8
.0%(w/w)となるように溶解させたもの。 第7表より、PEGの分子量は500,000を使用する方が7,500より
も高い検出感度が得られることがわかった。 実施例5 梅毒抗体の測定試薬及び測定法−光学的な検出方法 実施例4と同様の検体および試薬を用い、日立7050型全自動分析装置によ
り測定を行なった。但し、梅毒抗原感作ラテックス試薬にはPEG500,00
0は加えず、1%BSA・PBSで希釈して固形分0.25%に調製した。 また、PEG500,000は1%BSA・PBSに0.1、0.25、0.
50および1.00%(w/w)に溶解させて使用した。すなわち、この試薬は
感作ラテックス液からなる第1試薬とPEG溶液からなる第2試薬とから構成さ れるものである。 測定方法と測定結果 検体として梅毒陽性家兎血清または正常家兎血清3μlを採り、これに上記の
PEG500,000の0.1〜1.00%溶液350μlを加えた。これに上
記の梅毒抗原感作ラテックス液50μlを添加後、この溶液を攪拌・混合した。
そして、該ラテックス液の添加から80秒後と320秒後の波長570nmにお
ける吸光度の差(ΔOD570)を分光光度計で読み取った。なお、抗原抗体反応
は37℃で行なった。ΔOD570を10,000倍して結果を第8表に示した。 また、使用したPEGの濃度とΔOD570との関係を第1図に示した。 比較例5 0.1〜1.0%PEG500,000の代わりに、PEG7,500を1%
BSA・PBSにそれぞれ1.0、2.0、3.0、4.0%(w/w)となる
ように溶解させたもの、または1%BSA・PBSを用いて、実施例5と同様に
反応を行なった。その結果を第8表に示した。 また、使用したPEGの濃度とΔOD570との関係を第2図に示した。 第8表、第1図および第2図よりPEG500,000の方がPEG7,50
0より高感度かつ非特異反応の少ない定量ができることが分かった。なお、第1
図をみると、PEG濃度0.5%で正常血清でのΔOD570値が低く、梅毒陽性
血清でのΔOD570値が高い値を示しているので至適PEG濃度は0.5%であ
る。 実施例6 HBS抗体の測定試薬および測定法−凝集像の肉眼観察による検出方法 本実施例において、実施例4と同一名の試薬は実施例4と同様に調製を行なっ
た。その他の試薬の調製法を次に示す。 HBs抗原液:ヒト血漿よりアフィニティークロマトグラフィーにより精製した
精製HBs抗原を使用した。抗原はリン酸緩衝液に溶解し、濃度をローリー法に
より測定した。使用直前に、リン酸緩衝液により希釈し、濃度を1〜10μg/
mlとなるように調製し、これをHBs抗原液とした。 抗HBs抗血清(陽性家兎血清):精製HBs抗原を、フロイントの完全アジュ
バントとともに家兎に免疫して得られた抗血清を、正常ヒト血清を結合させたカ
ラムで吸収操作をしてから用いた。正常ヒト血清を結合させたカラムはCNBr
活性化セファロースCL4B(ファルマシア社)を用い、メーカー(ファルマシ
ア)の使用説明書に従って行なった。吸収操作を行なった抗HBs抗血清は、1
%BSA・PBSにより80倍から800倍に希釈して用いた。 正常家兎血清:HBs抗原が接種されていない家兎から採取した血清を用いた。
市販PHAキットあるいはEIAキットにより抗体の有無を測定したところ、陰 性であった。この血清を1%BSA・PBSで80倍から800倍に希釈して用
いた。 0.2〜0.6%PEG500,000:平均分子量500,000のPEGを
1%BSA・PBSで0.2、0.3、0.35、0.4および0.6%(w/
w)に溶解したもの。 1.0〜2.0%PEG50,000:末端基定量法による平均分子量50,0
00のPEGを1%BSA・PBSで1.0、1.5および2.0%(w/w)
に溶解したもの。 (A)ラテックスへのHBs抗原の感作:ラテックス100μlと、HBs抗原
液400μlとを速やかに混合し、室温で攪拌した。1時間後に1%BSA・P
BSを5ml加え、15000rpmで1時間遠心した。これを2回繰り返して
ラテックスを洗浄した。洗浄後のペレットを2mlの0.2〜0.6%PEG5
00,000または1.0〜2.0%PEG50,000に懸濁させ、よく分散
して固形分0.5%のラテックス試薬を得た。これを4℃にて保存した。 (B)HBs抗体の測定 HBs陽性家兎血清と本実施例(A)項で得られたラテックス試薬とを50μ
lずつ判定板上に採り、混合・攪拌したのち3分間反応させた。対照として、正
常家兎血清についても同様に反応を行なった。ラテックス試薬の凝集を実施例4
と同様に行なった。その結果を第9表に示す。 比較例6 実施例6で使用したPEG500,000またはPEG50,000の代わり
に、下記の1.0〜4.0%PEG7,500、10〜20%PEG1,000
または1%BSA・PBSを用いて、実施例6と同様に反応を行なった。その結
果を第9表に示す。 1.0〜4.0%PEG7,500:平均分子量7,500のPEGを,1%B
SA・PBSに、1.0、2.0、3.0および4.0%(w/w)に溶解した
もの。 10〜20%PEG1,000:平均分子量1,000のPEGを1%BSA・
PBSに、10、15および20%(w/w)に溶解したもの。 第9表よりPEGの分子量は30,000以上を用いる方が高い検出感度が得
られることがわかった。また、PEGの分子量は50,000より500,00
0を用いる方が、より高い感度が得られることがわかった。 実施例7 HBS抗体の測定試薬及び測定法−光学的な検出方法 実施例6の検体および試薬を用い、日立7050型全自動分析装置により測定
を行なった。但し、HBS抗原感作ラテックス試薬にはPEG500,000ま
たは50,000は加えず、1%BSA・PBSで希釈して固形分0.25%に
調製した。また、PEG500,000は1%BSA・PBSに0.2、0.3 、0.35、0.4および0.6%(w/w)に、PEG50,000は1%B
SA・PBSに1.0、1.5および2.0%(w/w)に溶解させて使用した
。すなわち、この試薬は感作ラテックス液からなる第1試薬とPEG溶液からな
る第2試薬とから構成されるものである。 測定方法と測定結果 検体としてHBS陽性家兎血清または正常家兎血清20μlを採り、これに上
記の各濃度のPEG500,000またはPEG50,000の溶掖350μl
を加えた。これに上記のHBS抗原感作ラテックス液50μlを添加後、この溶
液を攪拌・混合した。そして、該ラテックス液の添加から80秒後と320秒後
の波長570nmにおける吸光度の差(ΔOD570)を分光光度計で読み取った
。なお、抗原抗体反応は37℃で行なった。ΔOD570を10,000倍して結
果を第10表に示した。 また、使用したPEGの濃度とΔOD570との関係をPEG500,000に
ついては第3図、PEG50,000については第4図に示した。 比較例7 PEG500,000またはPEG50,000の代わりに、PEG7,50
0を1%BSA・PBSにそれぞれ1.0、2.0、3.0および4.0%(w
/w)となるように溶解させたもの、PEG1,000を1%BSA・PBSに
それぞれ10、15および20%(w/w)となるように溶解させたものまたは
1%BSA・PBSを用いて、実施例7と同様に反応を行なった。その結果を第
10表に示した。 また、使用したPEGの濃度とΔOD570との関係をPEG7,500につい
て第5図、PEG1,000について第6図に示した。 第10表および第3〜6図より、PEGの分子量は30,000以上を用いる
方が高い検出感度が得られかつ非特異反応の少ない定量ができることがわかった
また、PEGの分子量は50,000よりも500,000を用いる方がさら
に高い検出感度が得られることが分かった。 PEG500,000を用いた場合、0.3〜0.35%で高い検出感度が得
られかつ非特異反応が少なく、至適であることがわかった。 【発明の効果】 本発明によれば、このように、不溶性担体を使用し免疫凝集反応に基づく被測
定物質の測定において、高い検出感度で非特異反応が少ない免疫凝集反応測定試
薬および免疫凝集反応測定法が提供される。従って、本発明の試薬及び測定法は
、各種の生理活性物質、特に、アルファーフェトプロティン抗原、梅毒トレポネ
ーマ抗体およびHBS抗体などの測定に適している。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明により血清中の梅毒トレポネーマ抗体を測定したときの、PE
G濃度と測定の結果得られる吸光度との関係を示すグラフである。第2図は、こ
の場合の比較例を示すグラフである。第3図および第4図は、本発明により血清
中のHBS抗体を測定したときの、PEG濃度と測定の結果得られる吸光度との 関係を示すグラフである。第5図、第6図は、この場合の比較例を示すグラフで
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 被測定物質である抗原または抗体に対応する抗体または抗原を
    担持した不溶性担体および末端基定量法による平均分子量30,000以上のポ
    リエチレングリコールから構成される免疫凝集反応測定試薬。 【請求項2】 被測定物質である抗体に対応する抗原を担持した不溶性担体お
    よび末端基定量法による平均分子量30,000以上のポリエチレングリコール
    から構成される免疫凝集反応測定試薬。 【請求項3】 被測定物質である抗体に対応する抗原が、梅毒トレポネーマ抗
    原またはHBS抗原である請求項2記載の免疫凝集反応測定試薬。 【請求項4】 被測定物質である抗原または抗体に対応する抗体または抗原を
    不溶性担体に担持させ、被測定物質との抗原抗体反応により生じた不溶性担体の
    凝集の度合を検出することにより、被測定物質を測定する免疫凝集反応測定法で
    あって、該抗原抗体反応の反応系に末端基定量法による平均分子量30,000
    以上のポリエチレングリコールを存在させる、免疫凝集反応測定法。

Family

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