JP2681682B2 - 分岐状ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

分岐状ポリカーボネートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は分岐状ポリカーボネートの製造方法の改良に
関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、分
岐剤を効率よく利用することができ、かつ排水汚染を抑
制しうる界面重縮合法による分岐状ポリカーボネートの
製造方法に関するものである。
[従来の技術] 近年、ポリカーボネートは耐熱性、耐衝撃性、透明性
などに優れたエンジニアリングプラスチックとして、例
えば電気部品、機械部品、各種容器などの用途に幅広く
用いられている。
しかしながら、通常のポリカーボネートは溶融した場
合、ほぼニュートン流体としての挙動を示し、その見掛
け粘度は剪断速度に依存せず、しかも溶融弾性や溶融強
度が極めて小さいという特色を有しているため、押出成
形、特に押出成形機を用いたブロー成形において大型の
押出バリソンを安定して得ることが困難であるという欠
点を有している。
従来、ポリカーボネートの溶融特性を改良する方法と
して、分子量が大幅に異なる2種のポリカーボネートを
混合する方法、及びポリカーボネートを分岐化する方法
が知られている。後者の分岐状ポリカーボネートを製造
する方法としては、3個以上の官能基を有する多官能性
有機化合物を二価フェノールとともに用いる方法が開示
されており(特公昭44−17149号公報)、また該分岐剤
の反応性を向上させるための種々の方法(特開昭58−18
5619号公報、同59−43518号公報、同59−47228号公報、
同60−163919号公報)や、反応性、分岐剤効率、色相、
溶融強度などを改良する目的で各種の分岐剤(特開昭62
−10071号公報、同63−30524号公報、同63−16825号公
報)などが提案されている。
しかしながら、このような分岐剤を用いて分岐状ポリ
カーボネートを製造する場合、該分岐剤は比較的反応性
が悪く、前記の反応性を向上させた方法においても未反
応の分岐剤の残存は免れず、その結果、特にフロログリ
シンやトリメリット酸などの親油性に劣る分岐剤を使用
する場合、未反応分岐剤は大部分が排水中に混入して、
排水汚染をもたらすため、煩雑な排水処理工程を必要と
するなどの問題が生じる。
ところで、該分岐状ポリカーボネートの製造において
は、通常界面重縮合法が用いられる。この界面重縮合法
としては、一般に、不活性有機溶媒、二価フェノールの
アルカリ水溶液、分岐剤及び必要に応じて用いられる一
価フェノールを含有する混合液にホスゲンを導入して、
ポリカーボネートコオリゴマーを生成させたのち、該コ
オリゴマーを含有する有機相と水相とに分離し、次いで
該コオリゴマーを含有する有機相と二価フェノールのア
ルカリ水溶液とを接触させて高分子量の分岐状ポリカー
ボネートを生成させる方法、あるいは不活性有機溶媒、
二価フェノールのアルカリ水溶液及び所望に応じて用い
られる一価フェノールを含有する混合液にホスゲンを導
入して、ポリカーボネートオリゴマーをまず生成させ、
次いでこれに分岐剤を加えてプレ縮合を行ったのち、ポ
リカーボネートプレ縮合物を含む有機相と水相とに分離
し、さらに該プレ縮合物を含む有機相に二価フェノール
のアルカリ水溶液を接触させて高分子量の分岐状ポリカ
ーボネートを生成させる方法などが用いられる。
これらの方法においては、未反応分岐剤の大部分は、
有機相と水相とに分離する際に、水相に移行し、通常は
回収されず、そのまま排水とともに廃棄されているの
で、排水CCD(化学的酸素要求量)は通常100mg/以上
となり、煩雑な排水処理を必要とするとともに、分岐剤
の使用効率も低く経済的に不利である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、このような事情のもとで界面重縮合法によ
る分岐状ポリカーボネートの製造において、反応後に分
離した水相中に含有する未反応分岐剤を効率よく抽出回
収し、反応系に循環使用することにより、分岐剤の使用
効率を上げるとともに、排水汚染を抑制しうる分岐状ポ
リカーボネートの製造方法を提供することを目的として
なされたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を
重ねた結果、分岐剤として分配係数(使用する塩化メチ
レンの濃度/水中の濃度比)が1以上のものを用いるこ
とにより、水相中の未反応分岐剤を反応に使用する塩化
メチレンで効率よく抽出回収することができ、その目的
を達成しうることを見い出し、この知見に基づいて本発
明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、塩化メチレン、二価フェノール
のアルカリ水溶液、分岐剤及びホスゲンを用いて界面重
縮合法により分岐状ポリカーボネートを製造するに当た
り、該分岐剤として分配係数(塩化メチレン中の濃度/
水中の濃度比)が1以上のものを用い、かつポリカーボ
ネートオリゴマー又はポリカーボネートと未反応分岐剤
とを含む反応混合液を塩化メチレン相と水相とに分離し
たのち、水相中の未反応分岐剤を塩化メチレンで抽出
し、この未反応分岐剤を含む塩化メチレンを反応系に循
環使用することを特徴とする分岐状ポリカーボネートの
製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法においては、ジクロロメタン(塩化メチレ
ン)を溶媒として用いる。
原料の二価フェノールとしてはビスフェノール類が好
ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン(ビスフェノールA)が好適である。またこのビ
スフェノールAの一部又は全部を他の二価フェノールと
置換してもよい。ビスフェノールA以外の二価フェノー
ルとしては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピル
フェニル)メタン、ジフェニル−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビ
ス(ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−
エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンなどのジヒ
ドロキシアリールアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシアリール
スルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,
4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テト
ラメチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの
ジヒドロキシアリールケトン類、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシ
アリールスルフィド類、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホキ
シド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルなどのジヒド
ロキシジフェニル類、ヒドロキノン、レゾルシノール、
メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,
5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタ
レンなどのジヒドロキシナフタレン類などが挙げられ
る。これらの二価フェノールは1種用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる分岐剤は、分配係数(使用
する塩化メチレン中の濃度/水中の濃度比)が1以上の
少なくとも3個の官能基を有する化合物であることが必
要である。この分配係数が1未満のものでは、水相中に
含有する未反応分岐剤を該塩化メチレンで効率よく抽出
回収することができない。
このような分岐剤としては、例えば2,4,4′−トリヒ
ドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロ
キシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキシジフェ
ニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェ
ニルエーテル、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニル−
2−プロパン、2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパ
ン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルメタ
ン、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニルメタン、1−
〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕−4−〔α′,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エチル〕ベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベン
ゼン、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−5′−メチルベ
ンジル)−4−メチルフェノール、4,6−ジメチル−2,
4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン
−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキ
シフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリス(4′−ヒド
ロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリス(4′−
ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2−ビス〔4,4−ビス
(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕−プロ
パン、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−5′−イソプロ
ピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス
〔2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−イ
ソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン、
テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス
(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2′,
4′,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリメチル−
2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、1,3−ビス
(2′,4′−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベン
ゼンなどを挙げることができる。これらの分岐剤はそれ
ぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用い
てもよく、また、その使用量は、得られる分岐状ポリカ
ーボネート中の分岐剤単位の含有量が二価フェノール単
位に対して通常0.05〜2.0モル%、好ましくは0.1〜1.0
モル%の範囲になるように選ばれる。
前記分岐剤の分配係数は、水/塩化メチレン(重量比
1/1)混合液に、分岐剤0.1重量%を加え、振とう機で10
分間振とうさせたのち、塩化メチレン相濃度/水相濃度
比より求めることができる。
本発明方法においては、分離された水相中の未反応分
岐剤を反応に用いる塩化メチレンで抽出回収する操作を
行う以外は、通常の界面重縮合法によって分岐状ポリカ
ーボネートを製造するが、この場合、コオリゴマー法又
はプレ縮合法を採用することが好ましい。
次に、該コオリゴマー法の好適な1例について説明す
ると、まずアルカリ金属水酸化物の水溶液に二価フェノ
ールと分岐剤を溶解させて、分岐剤を含む二価フェノー
ルのアルカリ水溶液を調製したのち、この水溶液と塩化
メチレンとの混合液にホスゲンを導入してポリカーボネ
ートコオリゴマーを生成させる。前記アルカリ金属水酸
化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどが挙げられる
が、これらの中で水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム
が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好適である。
また、この反応においては、所望に応じ分子量調節剤
や触媒などを用いることができる。該分子量調節剤とし
ては一価フェノール、例えばフェノールや、p−クレゾ
ール、p−t−ブチルフェノールなどの炭素数1〜4の
アルキルフェノール、ペンタブロモフェノールなどのハ
ロゲン化フェノール、さらにはp−クミルフェノールな
どが好ましく挙げられ、一方触媒としては、例えば第三
級アミンや第四級アンモニウムのハロゲン塩などが好ま
しく挙げられる。さらに、反応温度は、通常0〜50℃、
好ましくは5〜40℃の範囲で選ばれ、反応時間は10分な
いし3時間程度である。
このようにして生成したポリカーボネートコオリゴマ
ーは分子の末端にヒドロキシル基とクロロギ酸エステル
残基(−OCOCl)を有するコオリゴマーであって、これ
らの2つの基の比率は、ホスゲンの導入方法、二価フェ
ノールの水酸化アルカリ水溶液の濃度、反応温度などを
適宜選ぶことにより、任意に変えることができる。ま
た、該コオリゴマーの重合度は、前記分子量調節剤の種
類や量を適宜選ぶことによって、調節することができる
が、通常は20以下、好ましくは2〜10程度である。
次に、このようにして得られたポリカーボネートコオ
リゴマーと、未反応分岐剤とを含む反応混合液を塩化メ
チレン相と水相とに分離したのち、該水相中の未反応分
岐剤を反応に用いる塩化メチレンで抽出回収する。この
際、該水相のpHは通常10以下、好ましくは5以下にする
ことが望ましく、また水相と塩化メチレンとの割合は、
通常容量に基づき1:0.05ないし1:2、好ましくは1:0.1な
いし1:1の範囲で選ばれる。この抽出処理により得られ
た未反応分岐剤を含む塩化メチレンは、前記反応系にリ
サイクルされる。
一方、ポリカーボネートコオリゴマーを含む塩化メチ
レン相は、二価フェノールのアルカリ水溶液と接触させ
て、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度に
おいて10分ないし6時間程度界面重縮合させたのち、通
常の方法に従って、生成ポリマーの回収操作を行うこと
により、所望の分岐状ポリカーボネートを得ることがで
きる。なお、該界面重縮合反応においては、所望に応
じ、前記に例示した触媒を用いることもできる。
次に、プレ縮合法の好適な1例について説明すると、
まず、アルカリ金属水酸化物の水溶液に、二価フェノー
ルを溶解させて、二価フェノールのアルカリ水溶液を調
製したのち、この水溶液と塩化メチレンとの混合液にホ
スゲンを導入してポリカーボネートオリゴマーを生成さ
せる。該アルカリ金属水酸化物としては、前記に例示し
たものを用いることができるし、また、この際所望に応
じ、前記に例示した分子量調節剤や触媒などを用いるこ
とができる。反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは5
〜40℃の範囲で選ばれ、反応時間は10分ないし3時間程
度である。このようにして、通常重合度が20以下、好ま
しくは2〜10程度のポリカーボネートオリゴマーが得ら
れる。
次いで、このポリカーボネートオリゴマーを含有する
反応混合液に分岐剤を加え、通常0〜50℃、好ましくは
5〜40℃の範囲の温度において、10分ないし3時間程度
プレ縮合させる。この際、所望に応じ前記に例示した触
媒を反応系に添加することができるし、また、二価フェ
ノールのアルカリ水溶液の一部を重縮合反応を完結せし
めるには至らない範囲で加えてもよい。
次に、このようにして得られたポリカーボネートプレ
縮合物と未反応分岐剤とを含む反応混合液を塩化メチレ
ン相と水相とに分離したのち、該水相中の未反応分岐剤
を反応に用いる塩化メチレンを用い、前記コオリゴマー
法の場合と同様な条件で抽出回収する。この抽出処理に
より得られた未反応分岐剤を含む塩化メチレンは、前記
のプレ縮合工程にリサイクルされる。
一方、ポリカーボネートプレ縮合物を含む塩化メチレ
ン相は、二価フェノールのアルカリ水溶液と接触させ
て、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度に
おいて、10分ないし6時間程度界面重縮合させたのち、
通常の方法に従って、生成ポリマーの回収操作を行うこ
とにより、所望の分岐状ポリカーボネートを得ることが
できる。なお、該界面重縮合反応においては、所望に応
じ、前記に例示した触媒を用いることができる。
このようにして得られた分岐状ポリカーボネートは、
溶融特性が良好で、剪断速度に対する依存性が大きい
上、ドローダウンが小さく、押出成形、特に押出成形機
を用いたブロー成形に好適であり、良質のシートや構造
物を与えることができる。また、本発明方法は、排水中
の未反応分岐剤を効率よく抽出回収し、反応系に循環使
用するので、排水汚染を抑制しうるとともに、分岐剤の
使用効率が高いなどの特徴を有している。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
実施例1 内容積50の撹拌機付き容器に、p−t−ブチルフェ
ノール、ビスフェノールA及びホスゲンから得られたポ
リカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液8(濃
度320g/、クロロホーメート基濃度0.7モル/、数平
均分子量850)、分岐剤の2,4,4′−トリヒドロキシベン
ゾフェノン15.9g(0.069モル)、トリエチルアミン4.4g
(0.043モル)、3重量%水酸化ナトリウム水溶液368g
を加え50分間撹拌したのち、水相と塩化メチレン相とに
分離し、水相に水19.6を加えた。この水相中の未反応
分岐剤量をUV測定法により求めたところ、27mg/であ
った。この値からCOD(化学的酸素要求量)は50mg/で
あった。
次に、水相に塩化メチレン20を加え、希塩酸により
pH5以下に調整したのち、10分間抽出操作を行った。抽
出後、未反応分岐剤量をUV測定法により求めたところ2m
g/であった。この値からCODは4mg/であった。
一方、塩化メチレン相に、ビスフェノールA573g(2.5
モル)、0.0725重量%の水酸化ナトリウム水溶液4000
g、塩化メチレン6を加え、60分間界面重縮合を行っ
たのち、反応混合物を水相と生成ポリマーを含有する塩
化メチレン相とに分離し、この塩化メチレン相を水、酸
(0.1規定塩酸)、水の順に洗浄した。次いで、この塩
化メチレン相から塩化メチレンを40℃にて減圧下で留去
し、白色のポリカーボネート粉体を得た。このものの粘
度平均分子量は24,100であった。なお、抽出によって得
られた未反応分岐剤を含む塩化メチレンは反応系にリサ
イクルして使用することができる。
実施例2 内容積50の撹拌機付き容器に、p−t−ブチルフェ
ノール70.4g(0.47モル)、ビスフェノールA2200g(9.7
モル)、分岐剤の2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェ
ノン15.6g(0.069モル)、トリエチルアミン4.4g(0.04
3モル)、2.0規定水酸化ナトリウム水溶液13.6及び塩
化メチレン8を入れて撹拌しながら、これにホスゲン
を70分間吹き込んだ。反応後、水相と塩化メチレン相と
に分離し、水相に水19.6を加えた。この水相中の未反
応分岐剤量をUV規定法により求めたところ、38mg/で
あった。この値からCODは72mg/であった。
次に、該水相に塩化メチレン20を加え、希塩酸によ
りpHを5以下に調整したのち、10分間抽出操作を行っ
た。抽出後、水相中の未反応分岐剤量をUV測定法により
求めたところ、3mg/であった。この値からCODは6mg/
であった。
一方、塩化メチレン相にビスフェノールA573g(2.5モ
ル)、0.0725重量%水酸化ナトリウム水溶液4000g、塩
化メチレン6を入れ、60分間撹拌したのち、反応混合
物を水相と生成ポリマーを含有する塩化メチレン相とに
分離し、この塩化メチレン相を水、酸(0.1規定塩
酸)、水の順に洗浄した。次いで、この塩化メチレン相
から塩化メチレンを40℃にて減圧下で留去し、白色のポ
リカーボネート粉体を得た。このものの粘度平均分子量
は24,700であった。なお、抽出によって得た未反応分岐
剤を含む塩化メチレンは反応系にリサイクルして使用す
ることができる。
実施例3 実施例1において、分岐剤として1,1,1−トリス
(4′−ヒドロキシフェニル)エタンを用いたこと以外
は、実施例1と同様にして実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は2mg/、COD
は5mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は26,700であった。
実施例4 実施例2において、分岐剤として1,1,1−トリス
(4′−ヒドロキシフェニル)エタンを用いたこと以外
は、実施例2と同様にして実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は6mg/、COD
は15mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は26,500であった。
実施例5 実施例1において、分岐剤としてα,α′,α′−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプ
ロピルベンゼンを用いたこと以外は、実施例1と同様に
して実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は6mg/、COD
は15mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は27,000であった。
実施例6 実施例2において分岐剤として、α,α′,α″−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプ
ロピルベンゼンを用いたこと以外は、実施例2と同様に
して実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は4mg/、COD
は10mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は26,800であった。
実施例7 実施例1において、分岐剤として1−〔α−メチル−
α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−
〔α′,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕ベンゼンを用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は5mg/、COD
は12mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は26,800であった。
実施例8 実施例2において、分岐剤として1−〔α−メチル−
α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−
〔α′,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕ベンゼンを用いたこと以外は、実施例2と同様にし
て実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は5mg/、COD
は12mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は26,500であった。
実施例9 実施例1において、分岐剤として2,6−ビス(2′−
ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−4−メチルフェ
ノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施
した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は8mg/、COD
は15mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は27,000であった。
実施例10 実施例2において、分岐剤として2,6−ビス(2′−
ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−4−メチルフェ
ノールを用いたこと以外は、実施例2と同様にして実施
した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は8mg/、COD
は15mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は26,800であった。
実施例11 実施例1において、分岐剤として2,4,4−トリメチル
−2′,4′,7−トリヒドロキシフラバンを用いたこと以
外は、実施例1と同様にして実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は6mg/、COD
は13mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は27,200であった。
実施例12 実施例2において、分岐剤として2,4,4−トリメチル
−2′,4′,7−トリヒドロキシフラバンを用いたこと以
外は、実施例2と同様にして実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は8mg/、COD
は18mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量、COD
はともに0mg/であった。またポリカーボネートの粘度
平均分子量は27,000であった。
比較例1 実施例1において、分岐剤としてフロログルシンを用
いたこと以外は、実施例1として同様にして実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は108mg/、CO
Dは165mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量は1
05mg/、CODは160mg/であった。また、ポリカーボネ
ートの粘度平均分子量は23,200であった。
比較例2 実施例2において、分岐剤としてフロログルシンを用
いたこと以外は、実施例2と同様にして実施した。
塩化メチレン抽出前の未反応分岐剤量は130mg/、CO
Dは198mg/、塩化メチレン抽出後の未反応分岐剤量は1
29mg/、CODは198mg/であった。また、ポリカーボネ
ートの粘度平均分子量は22,800であった。
得られたポリカーボネートの粘度平均分子量、塩化メ
チレン抽出後のCOD、使用分岐剤の分配係数を第1表に
示す。
[発明の効果] 本発明によると、分岐剤として特定の分配係数を有す
る多官能性化合物を用いることにより、従来廃棄されて
いた水相中の未反応分岐剤を、反応に用いる塩化メチレ
ンにて効率よく抽出回収することができ、また該未反応
分岐剤を含有する塩化メチレンは反応系に循環使用しう
るので排水汚染が抑制されるとともに、分岐剤の使用効
率を向上させることができる。また、本発明方法で得ら
れた分岐状ポリカーボネートは溶融特性が良好で、剪断
速度に対する依存性が大きい上、ドローダウンが小さ
く、押出成形、特に押出成形機を用いたブロー成形に好
適に用いられる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化メチレン、二価フェノールのアルカリ
    水溶液、分岐剤及びホスゲンを用いて界面重縮合法によ
    り分岐状ポリカーボネートを製造するに当たり、該分岐
    剤として分配係数(塩化メチレン中の濃度/水中の濃度
    比)が1以上のものを用い、かつポリカーボネートオリ
    ゴマー又はポリカーボネートと未反応分岐剤とを含む反
    応混合液を塩化メチレン相と水相とに分離したのち、水
    相中の未反応分岐剤を塩化メチレンで抽出し、この未反
    応分岐剤を含む塩化メチレンを反応系に循環使用するこ
    とを特徴とする分岐状ポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】反応混合液が、塩化メチレンと二価フェノ
    ールのアルカリ水溶液と分岐剤とを含有する混合液にホ
    スゲンを導入して反応させて成るものである請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】反応混合液が、塩化メチレンと二価フェノ
    ールのアルカリ水溶液とを含有する混合液にホスゲンを
    導入して反応させたのち、これに分岐剤を加えてさらに
    反応させて成るものである請求項1記載の製造方法。
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