JP2680776B2 - 人形またはあやつり人形の体のための関節構造体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、人形またはあやつり人
形の体（以下、“人形”という。この人形はあやつり人
形の体でもある）のための関節構造体に関する。

【０００２】

【従来の技術】関節手段を組み込むことは人形の分野で
既に知られている。この関節手段は、様々な姿勢をとる
ための人形の部品の動きを可能にする。この様々な姿勢
は、人形に対して現実性をもたせると同時に、遊びの現
実性を伸ばし、非関節構造体を有する人形を越えた遊び
ができるようにする。現在の技術では例外なく、進展が
ないし、関節手段は抵抗が小さいという主たる欠点があ
る。この小さな抵抗のため、非常に重い部品は部品の位
置が変化し、または小さな力を加えただけで部品の位置
が変化する。上記種類の関節構造体は米国特許第２１２
９４２１号明細書によって知られている。この明細書は
骨格状の骨組み構造体を示している。この骨組み構造体
の要素は関節によって互いに可動に連結されている。こ
の関節は上記要素の一方に固着された球を備えている。
この球は他方の要素に形成された半球形の凹部内に配置
されている。この他方の要素には可動の押圧板が配置さ
れ、この押圧板はコイルばねによって球に押しつけら
れ、摩擦を生じ、それによって動きを制限する。コイル
ばねを要素内に配置できるようにするために、要素はお
ねじとめねじを有する、互いにねじ込まれる複数の部品
によって形成されている。従って、この構造は複雑であ
り、製作にかなりのコストがかかる。フランス国特許第
１３８６５１０号明細書により、人形のための関節構造
体が知られている。この関節構造体は管によって形成さ
れた骨組み要素を備え、この骨組み要素の端部は横穴を
備えている。棒によって互いに一体的に連結された２個
の球からなる中央リンク継手は、管の端部分に装着され
ている。この球を管に挿入により、管の端部分は弾性的
に広がり、横穴に部分的に係合することにより管内で固
定保持される。球が管を破って出ることによって管が互
いに分離しないようにするために、安全シェルが管の弾
性的に拡げられた端部分の周りに固着されている。従っ
て、この構造体も複雑である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、人形
が任意の多くの位置および姿勢を取ることができ、不特
定の長い時間にわたって人形が安定した状態に保持さ
れ、人形の操作の妨害をせず、その要素が分離されない
ように連結され、構造が簡単で低コストで製作可能であ
る、人形の関節構造体を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この課題は、Ｔ字形の要
素を備え、このＴ字形要素の横方向部分が骨格状の骨組
みの肩部分を形成し、縦方向部分が胴体部分を形成し、
Ｔ字形要素の下端に山形要素が関節で連結されて骨組み
の尻と骨盤の部分を形成し、円筒形の要素が中央でＴ字
形要素の上部延長部に関節で連結されて骨組みの頭部分
を形成し、手足部分がそれぞれ、互いに関節で連結され
た一対の直線的な要素からなり、この各対の要素の一方
がそれぞれ、Ｔ字形要素の肩部分の端部と山形要素の端
部に関節で連結され、すべての関節がボールソケット関
節である、人形のための関節構造体において、関節がそ
れぞれリンク継手によって形成され、このリンク継手が
それぞれ、骨組みの要素に形成された半球部の凹部と組
み合わせられる２個の球からなり、この球が直径方向の
付属物によって互いに一体的に連結され、半球部の凹部
に球が回転可能に収容され、球が半球部の凹部の内面に
対して摩擦抵抗を生じるために、それぞれ複数の小平
面、窪みまたは突出部を備え、骨組みの要素がリンク継
手の球上に射出成形された半球部の材料によってリンク
継手に取付けられ、分離不能なユニットを形成している
ことによって解決される。

【０００５】リンク継手は好ましくはベース部分を備
え、このベース部分の端部は環状の突起を備え、この端
部上に材料が射出成形され、均一な球形に形成されてい
る。

【０００６】

【実施例】図を参照して本発明の実施の形態を説明す
る。実施例による人形用の関節構造体は、骨格状の骨組
み構造体からなっている。この骨組み構造体は、人の胴
体、尻および首に対応する、１，２および３で示した要
素と、上肢および下肢を形成する部品４，５および６，
７と、この部品を前述の要素１，２および３に連結しか
つこの要素を相互に連結するリンク継手８から組み立て
られている。

【０００７】要素１はＴ字形の射出成形材で作られた部
品からなっている。この要素の横断面は図３に示してあ
り、直交するリブ１１によって形成されている。この要
素の部品のアーム１ａはやや傾斜しており、端部が凹部
１０を有する半球部９となっている。

【０００８】要素２は要素１の部品の横断面と同じ横断
面を有し、互いに鈍角をなす部品かなっている。この山
形要素２の部品はその端部と頂部に半球部９を備えてい
る。要素１に連結された要素３は回転円筒部品の形を
し、中空で上側が開放しており、そして環状のリブ３ａ
を有し、その底部に半球部９を備えている。この半球部
は外側へ開放している。

【０００９】両上肢を形成する部品４は図３にＡ−Ａ′
断面が示してあり、直交するリブ１１によって形成され
ている。更に、部品４のＣ−Ｃ断面が図５に示してあ
り、この断面では部品４が直交するリブ１２によって形
成されている。上肢の他の構成部品である部品５は、図
６にＤ−Ｄ′断面が示してあり、交叉するリブ１３によ
って形成されている。このリブの一つは真っ直ぐであ
り、他のリブはダブルの“ｔ”の形をしている。端部５
ｂに接続する区間５ａは横断面が小さくなっている。

【００１０】部品４はその端部に半球部９を備えてい
る。この半球部の開口は９０度の角度をなして開放して
いる。一方、部品５はその上端に、横断面の大きな半球
部を備えている。

【００１１】部品６は図３に示すようなＡ−Ａ′横断面
を有し、半球部９と同じような二つの半球部を備えてい
る。この半球部の開口は横方向に配置され、かつこの部
品の長手軸線に対して傾斜している。

【００１２】部品７は図６に示すような横断面Ｄ−Ｄ′
と、図７に示すような横断面Ｅ−Ｅ′を有し、交叉する
リブ１４によって形成されている。このリブは端部７ａ
に接続されている（図には示していない）。

【００１３】上記構成要素のリンク継手は、部品８を備
えている。この部品は直径方向の付属品８ｂによって連
結された２個の球体８ａからなっている。この球体の表
面は滑らかに形成可能であり、そうでない場合には小平
面を有してもよいし、８ｃのように凹形に湾曲していて
もよいし、細長い裂け目８ｄであってもよいし、また半
球形の穴９ − この穴内で球体が回転する − の
表面に対して摩擦抵抗を生じるために、他の種類の突出
部または窪みを有していてもよい。この摩擦抵抗は、骨
格状骨組みの位置を固定し、不動にするための抵抗であ
る。半球形の穴の凹部１０は、腕や脚等の各々の構成要
素の自然の動きに一致し、この動きの方向に揺動させる
ために大きな傾斜を可能にする。

【００１４】或るケースでは、リンク継手８の球形を改
良するために、予めベース部分１５が形成されている。
このベース部分の端部には環状の突起１５ａが形成され
ている。この端部上に材料１６が射出成形され、材料は
均一な球形となる。

【００１５】要素と部品は、実際の製造プロセスの間、
リンク継手８に連結されている。この製造プロセスは、
分割できない関節接合の全体を構成するように、球８ａ
上に部品の材料を射出成形することからなっている。

【００１６】直交する縦方向のリブによって形成された
部品は、図３〜７から判るように、ほぼ円形の横断面を
有する。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように本発明による人形の
関節構造体は、人形が任意の多くの位置および姿勢を取
ることができ、不特定の長い時間にわたって人形が安定
した状態に保持され、人形の操作の妨害をせず、その要
素が分離されないように連結され、構造が簡単で低コス
トで製作可能であるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】構造体を示す図である。

【図２】構造体の上側部分を“Ａ”に沿って見た詳細図
である。

【図３】構造体のＡ−Ａ′に沿った断面図である。

【図４】構造体のＢ−Ｂ′に沿った断面図である。

【図５】構造体のＣ−Ｃ′に沿った断面図である。

【図６】構造体のＤ−Ｄ′に沿った断面図である。

【図７】構造体のＥ−Ｅ′に沿った断面図である。

【図８】構造体の構成要素のリンク継手を示す図であ
る。

【図９】構造体の構成要素のリンク継手を示す図であ
る。

【図１０】関節部を外側から見た詳細図である。

【図１１】関節部を直径方向平面（球の中心を通る平
面）Ｆ−Ｆ′に沿って切断して示す詳細図である。

【図１２】改良された球体を得る目的で、リンク継手を
形成するために設けられたベース部分を示す図である。

【図１３】改良された球体を得る目的で、新しい材料を
注意深く射出成形することによってベース部分から形成
されるリンク継手を示す図である。

【符号の説明】

１ 胴体部分 ２ 尻部分 ３ 首部分 ４，５ 上肢 ６，７ 下肢 ８ リンク継手

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｔ字形の要素（１）を備え、このＴ字形
   要素の横方向部分が骨格状の骨組みの肩部分を形成し、
   縦方向部分が胴体部分を形成し、前記Ｔ字形要素（１）
   の下端に山形要素（２）が関節で連結されて前記骨組み
   の尻と骨盤の部分を形成し、円筒形の要素（３）が中央
   で前記Ｔ字形要素（１）の上部延長部に関節で連結され
   て前記骨組みの頭部分を形成し、手足部分がそれぞれ、
   互いに関節で連結された一対の直線的な要素（４，５；
   ６，７）からなり、この各対の要素の一方（４，６）が
   それぞれ、前記Ｔ字形要素（１）の肩部分の端部と前記
   山形要素（２）の端部に関節で連結され、前記のすべて
   の関節がボールソケット関節である、人形のための関節
   構造体において、前記関節がそれぞれリンク継手（８）
   によって形成され、このリンク継手がそれぞれ、骨組み
   の要素（１〜７）に形成された半球部（９）の凹部と組
   み合わせられる２個の球（８ａ）からなり、この球が直
   径方向の付属物（８ｂ）によって互いに一体的に連結さ
   れ、半球部の凹部に球（８ａ）が回転可能に収容され、
   球（８ａ）が半球部（９）の凹部の内面に対して摩擦抵
   抗を生じるために、それぞれ複数の小平面、窪み（８
   ｄ）または突出部を備え、骨組みの要素（１〜７）がリ
   ンク継手の球（８ａ）上に射出成形された前記半球部
   （９）の材料によってリンク継手（８）に取付けられ、
   分離不能なユニットを形成していることを特徴とする人
   形の関節構造体。
2. 【請求項２】 リンク継手（８）がベース部分（１５）
   を備え、このベース部分の端部が環状の突起（１５ａ）
   を備え、この端部上に材料（１６）が射出成形され、均
   一な球形に形成されていることを特徴とする請求項１記
   載の人形の関節構造体。