JP2679248B2 - 光学活性アミン類の製造方法 - Google Patents

光学活性アミン類の製造方法

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JP2679248B2 JP13401889A JP13401889A JP2679248B2 JP 2679248 B2 JP2679248 B2 JP 2679248B2 JP 13401889 A JP13401889 A JP 13401889A JP 13401889 A JP13401889 A JP 13401889A JP 2679248 B2 JP2679248 B2 JP 2679248B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は光学活性アミン類の製造方法に関し、詳しく
は一般式(IV) (式中、R8,R9はアルキル基、アリール基またはアラル
キル基を表し、同一であることはない。*は不斉炭素を
表す。) で示される光学活性アミン類の製造方法に関するもので
ある。
<従来の技術、発明が解決しようとする課題> 一般式(IV)で示される光学活性アミン類は医薬、農
薬あるいはその中間体などの光学分割剤等として重要な
化合物であり、従来よりラセミ体を一旦製造し、次いで
これを光学活性な酸等を用いて光学分割することにより
製造することも良く知られている(例えばOptical Reso
lution Procedures for Chemical Compounds Vol.1)。
光学分割により光学活性アミン類を製造するという従
来法は、一旦ラセミ体を製造し、次いでこれに光学活性
な酸類を作用させて塩を形成せしめ、生成したジアステ
レオマー塩の溶解度差を利用して一方のジアステレオマ
ー塩を晶析させ、次いで該塩を分離し、しかる後にアル
カリを作用させて該塩を分解することによって一方の対
掌体である光学活性アミン類を分離回収するという方法
であり、操作が煩雑で効率が悪いという問題があった。
本発明者等は、かかる問題点を解決すべく不斉合成に
よる方法について鋭意検討を重ねた結果、光学活性アミ
ン誘導体と水素化ホウ素化合物から得られる不斉還元剤
を、オキシム誘導体に反応せしめて一挙に光学活性アミ
ン類を製造する方法を見出すとともに、オキシム誘導体
のアンチ体とシン体を使い分けることにより任意の絶対
立体配置を有する光学活性アミン類を製造し得ることを
見出し、既に提案している(特開昭63−99041号公報、T
etrahedron Lett.,29223(1988))。
その後、本発明者等は水素化ホウ素化合物として、よ
り取り扱いが容易でしかも安価な水素化ホウ素金属を用
いる方法について更に検討を続けた結果、これを特定の
ルイス酸と組み合わせて使用すれば、目的物の収率の向
上、水素化ホウ素金属の使用量の削減等を計り得ること
を見出すとともに、さらに種々の検討を加えて本発明を
完成した。
<課題を解決するための手段> すなわち本発明は、一般式(I) (式中、R1,R2は水素原子、アルキル基またはアルコキ
シ基を、R3は水素原子またはアルキル基を、R4はアルキ
ル基を表し、*は不斉炭素を表す。) または一般式(II) (式中、R5は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基
を、R6はアルキル基を表わす。*は不斉炭素を表す。) で示される光学活性アミン誘導体と水素化ホウ素金属と
ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化チタン、ハロゲン
化スズ、ハロゲン化銅、ハロゲン化コバルトから選ばれ
る少なくとも一種のルイス酸とから得られる不斉還元剤
を、一般式(III) (式中、R7はアルキル基、アラルキル基またはアルキル
置換シリル基を表す。R8,R9はアルキル基、アリール基
またはアラルキル基を表し、同一であることはない。) で示されるオキシム誘導体のシン体またはアンチ体の一
方、もしくはそれのいずれかに富んだ混合物に反応させ
ることを特徴とする一般式(IV) (式中、R8,R9,*は前記と同じ意味を表す。)で示され
る光学活性アミン類の工業的に優れた製造方法を提供す
るものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、光学活性アミン誘導体と水素化ホウ素金属
と特定のルイス酸とから得られる不斉還元剤を用いる点
に大きな特徴を有するものであるが、光学活性アミン誘
導体としては、例えば一般式(I)で示される光学活性
アミノアルコール、一般式(II)で示される光学活性ヒ
ドロキシベンジルアミン等が挙げられる。
一般式(I)における置換基R1およびR2としては、例
えば水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペ
ンチル、ヘキシル等の低級アルキル基、メトキシ、エト
キシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシ
ルオキシ等の低級アルコキシ基などを挙げることができ
る。その置換位置は特に限定されない。
置換基R3としては、例えば水素原子、R1と同様の低級
アルキル基を例示することができ、R4としてはR1と同様
の低級アルキル基を例示することができる。
より具体的な化合物としては、光学活性なノルエフェ
ドリン、エフェドリン、2−アミノ−1−(2−メチル
フェニル)−1−プロパノール、2−アミノ−1−(2
−エチルフェニル)−1−プロパノール、2−アミノ−
1−(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、2
−アミノ−1−(2−エトキシフェニル)−1−プロパ
ノール、2−アミノ−1−(2,5−ジメチルフェニル)
−1−プロパノール、2−アミノ−1−(2,5−ジエチ
ルフェニル)−1−プロパノール、2−アミノ−1−
(2,5−ジメトキシフェニル)−1−プロパノール、2
−アミノ−1−(2,5−ジエトキシフェニル)−1−プ
ロパノール、2−アミノ−1−(2−メトキシ−5−メ
チルフェニル)−1−プロパノール、2−アミノ−1−
フェニル−1−ブタノール、2−アミノ−1−(2−メ
チルフェニル)−1−ブタノール、2−アミノ−1−
(2−エチルフェニル)−1−ブタノール、2−アミノ
−1−フェニル−1−ペンタノール、2−アミノ−1−
(2,5−ジメトキシフェニル)−1−ペンタノール、2
−アミノ−1−フェニル−1−ヘキサノール、2−アミ
ノ−1−フェニル−1−ヘプタノール、2−アミノ−1
−フェニル−1−オクタノール等を例示できる。
また一般式(II)で示される光学活性ヒドロキシベン
ジルアミンにおける置換基R5としては例えば、水素原
子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘ
キシル等の低級アルキル基、メトキシ、エトキシ、プロ
ポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等
の低級アルコキシ基などを挙げることができる。R6とし
ては、例えばR5と同様の低級アルキル基が挙げられる。
具体化合物としては、例えば光学活性な1−(2−ヒ
ドロキシフェニル)エチルアミン、1−(2−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)エチルアミン、1−(2−ヒ
ドロキシ−3−エチルフェニル)エチルアミン、1−
(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)エチルアミ
ン、1−(2−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル)エ
チルアミン、1−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェ
ニル)エチルアミン、1−(2−ヒドロキシ−5−エト
キシフェニル)エチルアミン、1−(2−ヒドロキシ−
4−メチルフェニル)エチルアミン、1−(2−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)エチルアミン、1−(2−
ヒドロキシフェニル)プロピルアミン、1−(2−ヒド
ロキシ−3−エチルフェニル)プロピルアミン、1−
(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピルア
ミン、1−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)
プロピルアミン、1−(2−ヒドロキシ−6−メチルフ
ェニル)エチルアミン、1−(2−ヒドロキシ−3−エ
チルフェニル)エチルアミン、1−(2−ヒドロキシ−
6−メトキシフェニル)プロピルアミン等が例示でき。
またかかる光学活性ヒドロキシベンジルアミン誘導体
は、例えば対応するケトン化合物のオキシム誘導体を不
斉還元することにより製造することができる(特開昭63
−252773号および63−249528号)。
本発明は、上記のような光学活性アミン誘導体と水素
化ホウ素金属と特定のルイス酸から得られる不斉還元剤
を用いるものであるが、水素化ホウ素金属としては例え
ば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、
水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛等が挙げられ
る。通常は水素化ホウ素ナトリウムが用いられる。水素
化ホウ素金属の使用量は光学活性アミン誘導体に対し
て、ボラン換算で通常0.3〜10モル倍程度、好ましくは
約0.5〜8モル倍である。
ルイス酸としては、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲ
ン化チタン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化銅、ハロゲン
化コバルト等が用いられ。かかるルイス酸を用いること
により目的物の収率の向上、水素化ホウ素金属の使用量
の削減等を計ることができる。本発明に使用されるルイ
ス酸の具体化合物としては、例えば塩化アルミニウム、
臭化アルミニウム、四塩化チタン、三塩化チタン、四塩
化スズ、二塩化スズ、二塩化銅、二塩化コバルト等が挙
げられる。これらの混合物も使用し得る。
ルイス酸の使用量は、光学活性アミン誘導体に対し、
通常0.3〜3モル倍程度、好ましくは0.6〜2モル倍程度
である。
不斉還元剤を調製するにあたっては、溶媒として、例
えばジオキサン、テオラヒドロフラン、ジグライム等の
エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水
素類、クロルベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロ
エタン等のハロゲン化炭化水素類、あるいはこれ等の混
合溶液が用いられる。光学活性アミン誘導体、水素化ホ
ウ素金属、ルイス酸等を加える順序は特に限定はない
が、光学活性アミン誘導体とルイス酸とを混合した後に
水素化ホウ素金属を加える、または水素化ホウ素金属に
光学活性アミン誘導体とルイス酸の混合物を加える方法
が光学収率の点で好ましい。調製温度は、通常100℃以
下、好ましくは50℃以下である。
本発明は、かくして得られる不斉還元剤を前記一般式
(III)で示されるオキシム誘導体のアンチ体またはシ
ン体もしくはこれ等のいずれかに富んだ混合物に反応さ
せるものであるが、該オキシム誘導体におけるR7として
は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプ
チル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、ノ
ニル、デシル等炭素数1〜10のアルキル基、ベンジル、
β−フェネチル、ナフチル等炭素数7〜12のアラルキ
ル、トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、
トリ−n−プロピルシリル、トリ−n−ブチルシリル等
の炭素数3〜12のアルキルシリル基などが例示できる。
置換基R8,R9としてはフェニル、o−,m−,p−クロロ
フェニル、o−,m−,p−ブロモフェニル、2,3−、2,4
−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−ジクロロフェニルなど
のハロゲン化置換フェニル、o−,m−,p−メチルフェニ
ル、o−,m−,p−エチルフェニル、o−,m−,p−ブチル
フェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−
ジメチルフェニルなどの炭素数が1〜6のアルキル基が
置換したフェニル、o−,m−,p−メトキシフェニル、o
−,m−,p−エトキシフェニル、o−,m−,p−プロポキシ
フェニルなどの炭素数2〜6のアルコキシが置換したフ
ェニル、o−,m−,p−ベンジルオキシフェニル、2−ベ
ンジルオキシ−3−メチルフェニル、2−ベンジルオキ
シ−4−メチルフェニル、2−ベンジルオキシ−5−メ
チルフェニル、2−ベンジルオキシ−5−t−ブチルフ
ェニル、2−ベンジルオキシ−3−メトキシフェニル、
2−ベンジルオキシ−4−メトキシフェニル、2−ベン
ジルオキシ−5−メトキシフェニル、2−ベンジルオキ
シ−3,5−ジクロロフェニルなどのベンジルオキシが置
換したフェニル、o−,m−,p−シアノフェニル、2−,3
−,4−ピリジル、α−,β−ナフチル等の全炭素数が5
〜17のアリール基、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキ
シルなどの低級アルキル、クロロメチル、ジクロロメチ
ル、トリクロロメチル、トリプロモメチル、トリフルオ
ロメチル、2−クロロエチル、3−クロロプロピル、4
−クロロブチルなどのハロゲン化アルキル等の全炭素数
が1〜6のアルキル基、ベンジル、o−,m−,p−トリル
メチル、o−,m−,p−エチルベンジル、o−,m−,p−メ
トキシベンジル、o−,m−,p−エトキシベンジル、2,3
−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−ジメチルベン
ジル、3−スルファモイル−4−メトキシベンジル、
(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−ジメトキシフェニル)エ
チル、2−フェニルエチル、2−(o−,m−,p−トリ
ル)エチル、(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、
3,5−ジメチルフェニル)エチル、3−フェニルプロピ
ル、ナフチルメチル等の全炭素数が7〜11のアラルキル
基などが例示できる。
代表的なオキシム誘導体としては、例えばアセトフェ
ノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、イソブチロ
フェノン、クロロメチル(フェニル)ケトン、ブロモメ
チル(フェニル)ケトン、2−アセチルピリジン、o−
メトキシアセトフェノン、o−エトキシアセトフェノ
ン、o−プロポキシアセトフェノン、o−ベンジルオキ
シアセトフェノン、α−アセトナフトン、β−アセトナ
フトン、(p−クロルフェニル)メチルケトン、(p−
ブロムフエニル)メチルケトン、(p−シアノフェニ
ル)メチルケトン、3−スルファモイル−4−メトキシ
ベンジルメチルケトン、フエニルベンジルケトン、フェ
ニル(o−トリルメチル)ケトン、フエニル(m−トリ
ルメチル)ケトン、フェニル(p−トリルメチル)ケト
ン、フェニル(2−フェニルエチル)ケトン、2−ブタ
ノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノ
ン、2−オクタノン、3−ヘプタノン、3−オクタノ
ン、シクロヘキシルメチルケトン、シクロヘキシルエチ
ルケトン、シクロヘキシルベンジルケトン、α−フェニ
ルアセトン、(2−フェニルエチル)メチルケトン、
(2−フェニルエチル)エチルケトン、(3−フェニル
プロピル)メチルケトンなどのo−メチル、o−オクチ
ル、o−シクロヘキシル、o−ベンジル、o−トリメチ
ルシリル等のオキシム誘導体が挙げられ、これらのシン
体、アンチ体もしくはシン体、アンチ体のいずれか一方
に富んだ混合物が用いられる。
オキシム誘導体は、対応するケトンより公知の方法で
容易に製造することができる。またシン体もしくはアン
チ体の一方を用いる場合は分離した残りの異性体を公知
の方法でシン体/アンチ体の異性化反応を行うことによ
り、再び必要な異性体に変換でき、原料を有効に利用し
得る。
還元反応を行うにあたり、用いる溶媒としては例え
ば、還元剤の調製に用いられるのと同様のエーテル類、
炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒およびこれ
らの混合物を例示することができる。その使用量はオキ
シム誘導体に対して通常2〜50重量倍程度である。
また還元剤は予め調製したものを用いても良いし、オ
キシム誘導体の存在下で調製することもできる。その使
用量はオキシム誘導体に対し、光学活性アミン誘導体換
算で通常0.2〜6モル倍、好ましくは0.3〜3モル倍であ
り、ボラン換算で通常1〜5モル倍であり、2〜3モル
倍でも反応は十分進行する。
反応温度は、通常150℃以下である。好ましくは−20
〜60℃であるが、必要に応じさらに加温することができ
る。
反応の進行はガスクロマトグラフィー等の分析手段に
より確認することができる。
反応終了後、例えば反応液に塩酸等の鉱産を加えるこ
とによって還元剤を失活させた後、不斉助剤として光学
活性アミノアルコール(I)を用いた場合は、例えば、
アルカリ性にしてトルエンのような溶媒を用いて抽出す
ることにより、有機層から目的とする光学活性アミン類
および該不斉助剤を得、次いで蒸留等の通常の分離手段
を用いることにより目的物、該不斉助剤をそれぞれ単離
回収することができる。ここで抽出溶媒としてヘキサン
のような溶媒を用いると目的物と該不斉助剤との溶解度
差を利用することにより、有機層から目的物を、水層か
ら該不斉助剤をそれぞれ単離回収できる。また不斉助剤
として光学活性ヒドロキシベンジルアミン(II)を用い
た場合は、例えば還元剤を失活させた後、苛性ソーダ水
溶液などでアルカリ性にして有機溶媒で抽出することに
より有機層から目的物を単離回収でき、水層を中和する
ことにより該配位子を単離回収することができる。
このようにして得られた目的とする光学活性アミン類
はさらに蒸留、カラムクロマトグラフィー等の精製手段
により、更に一層精製することもできる。
<発明の効果> かくして目的とする光学活性アミン類が製造される
が、本発明の方法によれば、目的物の収率の向上、水素
化ホウ素金属の使用量の削減等を計ることができるので
工業的な光学活性アミン類の製造方法として有利であ
る。
<実施例> 以下、本発明を実施例による更に詳細に説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 窒素雰囲気下、室温で(+)−ノルエフェドリン3ミ
リモル(0.454g)と塩化アルミニウム4ミリモル(0.53
3g)とテトラヒドロフラン(THF)4mlからなる混合物
に、アンチ−フェニル(p−トリルメチル)ケトン(o
−メチルオキシム)1ミリモル(0.239g)とTHF0.5mlか
らなる溶液を加えた。
次いで、これに水素化ホウ素ナトリウム3ミルモル
(0.114g)とトリグライム1.7mlからなる混合物を加え2
5℃で20時間撹拌した後、6時間還流した。
その後、室温まで冷却して10%塩酸10gを加え、同温
度で1時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。これ
に、カセイソーダ水溶液を加えて塩基性にした後、ヘキ
サン抽出し、分液したヘキサン層を濃縮して1−フェニ
ル−2−(p−トリル)エチルアミン0.21gとトリグラ
イム0.19gの混合物を得た。
ガスクロマトグラフィーによる分析したところ反応率
は100%であり、生成物の組成はアミン体99.8%であ
り、N−メトキシ体(C=N二重結合のみが還元された
もの)0.2%であった。
光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー
により、アミン体のエナンチオマー比を求めたところR
体95.2%、S体4.8%であった。
実施例2 窒素雰囲気下、室温で水素化ホウ素ナトリウム3ミリ
モルとTHF1.5mlの混合物に(+)−ノルエフェドリン3
ミリモルと塩化アルミニウム4ミルモルとTHF4mlからな
る混合物を加え、次いでアンチ−フェニル(p−トリル
メチル)ケトン(o−メチルオキシム)1ミリモルとTH
F0.7mlからなる溶液を加えた後、25℃で19時間撹拌後、
6時間還流した。
以後実施例1と同様に処理して、1−フェニル−2−
(p−トリル)エチルアミンを得た。
反応率100%、アミン体100%であり、エナンチオマー
比はR体95.7%、S体4.3%であった。
実施例3 窒素雰囲気下、室温で塩化アルミニウム3.2ミルモル
とTHF3mlの混合物に水素化ホウ素ナトリウム2.4ミリモ
ルとトリグライム1.3mlからなる混合物を加え、次いで
(+)−ノルエフェドリン2.4ミリモルとTHF1mlからな
る溶液を加えて2時間撹拌した。
次いで、これにアンチ−フェニル(p−トリルメチ
ル)ケトン(o−メイルオキシム)1ミリモルとTHF0.5
mlからなる溶液を加え25℃で23時間撹拌した後、4時間
還流した。
以後実施例1と同様に処理して、1−フェニル−2−
(p−トリル)エチルアミンを得た。
反応率100%、アミン体98.3%、N−メトキシ体1.7%
であり、アミン体のエナンチオマー比はR体93%、S体
7%であった。
実施例4 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンを0.6
ミリモル、塩化アルミニウムの代わりに四塩化チタン1
ミリモルを用い、反応を25℃で36時間実施する以外は実
施例1に準拠し、実施して1−フェニル−2−(p−ト
リル)エチルアミンを得た。
反応率100%、アミン体100%であり、エナンチオマー
比はR体88%、S体12%であった。
実施例5 実施例3において、塩化アルミニウムの代わりに臭化
アルミニウム3.3ミリモル、水素化ホウ素ナトリウム2.5
ミルモル、(+)−ノルエフェドリン2.5ミリモルを用
い、反応を25℃で44時間、次いで還流を9時間行う以外
は実施例3に準拠して実施した。
反応率は72.4%、生成物の組成はアミン体100%であ
り、アミン体のエナンチオマー比は、R体91.2%、S体
8.8%であった。
実施例6 実施例1において、THFの代わりにクロロホルムを用
いる以外は実施例1と同様に実施した。
反応率は91.6%、生成物の組成はアミン体98.6%、N
−メトキシ体1.4%であり、アミン体のエナンチオマー
比は、R体80.9%、S体19.1%であった。
実施例7 実施例4において、THFの代わりにジオキサンを用
い、四塩化チタンを1.2ミリモル用いて、反応を25℃で2
4時間実施する以外は、実施例4と同様に実施した。
反応率は99%、生成物の組成はアミン体100%エナン
チオマー比は、R体87.2%、S体12.8%であった。
実施例8 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンを0.6
ミリモル、塩化アルミニウムの代わりに四塩化スズ1ミ
ルモルを用い、反応を25℃で19時間、次いで還流下5時
間実施する以外は、実施例1に準拠して実施した。
反応率100%、生成物中のアミン体100%であり、アミ
ン体のエナンチオマー比はR体89.9%、S体10.1%であ
った。
実施例9 実施例1において、(+)−ノルえフェドリンを0.6
ミリモル、塩化アルミニウムの代わりに三塩化チタン1
ミルモルを用い、反応を25℃で36時間実施する以外は実
施例1に準拠して実施した。
反応率は97.4%、生成物中のアミン体100%、であ
り、アミン体のエナンチオマー比はR体87.6%、S体1
2.4%であった。
実施例10 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンを0.6
ミリモル、塩化アルミニウムの代わりに二塩化銅1ミル
モルを用い、反応を25℃で36時間、次いで還流下に11時
間実施する以外は実施例1に準拠して実施した。
反応率77.2%、生成物中のアミン体100%、であり、
アミン体のエナンチオマー比はR体67.3%、S体32.7%
であった。
実施例11 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンを0.6
ミリモル、塩化アルミニウムの代わりに二塩化コバルト
1ミルモルを用い、反応を25℃で76時間実施する以外は
実施例1に準拠して実施した。
反応率63.1%、生成物中のアミン体100%、であり、
アミン体のエナンチオマー比はR体65.1%、S体34.9%
であった。
実施例12 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンを0.6
ミリモル、塩化アルミニウムの代わりに二塩化スズ1ミ
ルモルを用い、反応を25℃で92時間、次いで還流下に5
時間実施する以外は実施例1に準拠して実施した。
反応率55.2%、生成物中のアミン体55.4%、N−メト
キシ体44.6%であり、アミン体のエナンチオマー比はR
体70.5%、S体29.5%であった。
実施例13〜21 実施例1において、アンチ−フェニル(p−トリルメ
チル)ケトン(o−メチルオキシムの)代わりに、シン
−フェニル(p−トリルメチル)ケトン(o−メチルオ
キシム)、アンチ−フェニル(p−トリルメチル)ケト
ン(o−ブチルオキシム)、アンチ−2−オキタノン
(o−ベンジルオキシム)、シン−2−オクタノン(o
−ベンジルオキシム)、アンチ−アセトフェノン(o−
メチルオキシム)、アンチ−2−アセトナフトン(o−
メチルオキシム)、アンチ−4′−ブロモアセトフェノ
ン(o−メチルオキシム)、アンチ−2′,4′−ジクロ
ロアセトフェノン(o−メチルオキシム)、アンチ−2
−クロロアセトフェノン(o−メチルオキシム)をそれ
ぞれ1ミルモルを用いる以外は実施例1に準拠して実施
し、それぞれ1−フェニル−2−(p−トリル)エチル
アミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミ
ン、2−オクチルアミン、2−オクチルアミン、1−フ
ェニルエチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミ
ン、1−(4−ブロモフェニル)エチルアミン、1−
(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、1−フェニ
ル−2−クロロエチルアミンを得た。結果を表1に示し
た。
実施例22 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンの代わ
りに(−)−エリスロ−2−アミノ−1−(2,5−ジメ
トキシフェニル)−1−プロパノールを3ミリモル用い
る以外は、実施例1に準拠して実施した。
反応率99.3%、生成物組成アミン体99.8%、N−メト
キシ体0.2%であり、アミン体のエナンチオマー比R体
4.2%、S体95.8%であった。
実施例23 実施例1において、(+)−ノルエフェドリンの代わ
りに(−)−エフェドリン3ミリモルを用い、25℃で72
時間反応させる以外は、実施例1に準拠して実施した。
反応率69.8%、生成物組成アミン体43.8%、N−メト
キシ体56.2%であり、アミン体のエナンチオマー比R体
12.7%、S体87.3%であった。
実施例24 実施例2において、(+)−ノルエフェドリンの代わ
りに(+)−エリスロ−2−アミノ−1−(2,5−ジメ
トキシフェニル)−1−プロパノールを用い、アンチ−
フェニル(p−トリルメチル)ケトン(o−メチルオキ
シム)の代わりにアンチ−3−スルファモイル−4−メ
トキシベンジルメチルケトン(o−メチルオキシム)を
用い、実施例2に準拠して反応を実施した。
反応液に10%塩酸10gを加えた後、苛性ソーダ水溶液
を加えてクロロホルムで抽出し、カラムクロマトグラフ
ィーにより単離精製することにより、(R)−(−)−
1−(3−スルファモイル−4−メトキシフェニル)−
2−アミノプロパン0.178gを得た。
〔α〕25−12.4゜(C1.0,MeOH)、光学純度71% 実施例25 窒素雰囲気下、室温で水素化ホウ素ナトリウム3ミリ
モルとTHF3.5mlの混合物に(−)−1−(2−ヒドロキ
シフェニル)エチルアミン3ミリモル(0.142g)と塩化
アルミニウム4ミリモルとTHF5mlからなる混合物を加
え、2.5時間撹拌した。次いで、これにアンチ−フェニ
ル(p−トリルメチル)ケトン(o−メチルオキシム)
1ミリモルとTHF2.5mlからなる溶液を加えた後、25℃で
24時間撹拌した。
次いで、反応液に10%塩酸10gを加え40℃で1時間撹
拌した後、室温まで冷却して25%苛性ソーダ水溶液約6g
を加えて塩基性にし、クロロホルムで抽出した。有機層
を濃縮することにより、1−フェニル−2−(p−トリ
ル)エチルアミン0.223gを得た。
ガスクロマトグラフィーにより分析したところ反応率
は100%であり、生成物の組成はアミン体80.3%であ
り、N−メトキシ体(C=N二重結合のみが還元された
もの)19.7%であった。
光学活性カラム用いた高速液体クロマトグラフィーに
より、アミン体のエナンチオマー比を求めたところR体
80.9%、S体19.1%であった。
実施例26 実施例25において、(−)−1−(2−ヒドロキシフ
ェニル)エチルアミンの代わりに(+)−(2−ヒドロ
キシ−5−メトキシフェニル)エチルアミンを用い、反
応を25℃で15時間、還流下に6時間実施する以外は実施
例25に準拠して実施した。
反応率95.8%、生成物組成アミン体86.8%、N−メト
キシ体13.2%であり、アミン体のエナンチオマー比R体
76.5%、S体23.5%であった。
実施例27 実施例25において、(−)−1−(2−ヒドロキシフ
ェニル)エチルアミンの代わりに(+)−(2−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)エチルアミンを用い、反応
を25℃で15時間、還流下に6時間実施する以外は実施例
25に準拠して実施した。
反応率100%、生成物組成アミン体89.8%、N−メト
キシ体10.2%であり、アミン体のエナンチオマー比R体
81.6%、S体18.4%であった。
実施例28〜30 実施例25において、アンチ−フェニル(p−トリルメ
チル)ケトン(o−メチルオキシム)の代わりに、アン
チ−4−ブロモアセトフェノン(o−メチルオキシ
ム)、アンチ−2−オクタノン(o−ベンジルオキシ
ム)、アンチ−シクロヘキシルベンジルケトン(o−メ
チルオキシム)を用い、反応を25℃で15時間、次いで還
流下で6時間実施する以外は実施例25に準拠して行なっ
た。結果を表2に示した。
実施例31 実施例26において、アンチ−フェニル(p−トリルメ
チル)ケトン(o−メチルオキシム)の代わりに、アン
チ−アセトフェノン(o−メチルオキシム)を用いる以
外は実施例26に準拠して行なった。結果を表2に示し
た。
比較例1 実施例1において、塩化アルミニウムの代わりに三フ
ッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体を用いる以外は、実
施例1に準拠して実施した。
反応率3.4%、生成物組成アミン体33.3%、N−メト
キシ体66.7%であり、アミン体のエナンチオマー比R体
85.5%、S体14.5%であった。
比較例2 実施例25において、塩化アルミニウムの代わりに三フ
ッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体を用いる以外は、実
施例24に準拠して実施した。
反応率81.6%、生成物組成アミン体66.1%、N−メト
キシ体33.9%であり、アミン体のエナンチオマー比R体
23.7%、S体76.3%であった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、R1,R2は水素原子、アルキル基またはアルコキ
    シ基を、R3は水素原子またはアルキル基を、R4はアルキ
    ル基を表し、*は不斉炭素を表す。) または一般式(II) (式中、R5は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基
    を、R6はアルキル基を表わす。*は不斉炭素を表す。) で示される光学活性アミン誘導体と水素化ホウ素金属と
    ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化チタン、ハロゲン
    化スズ、ハロゲン化銅、ハロゲン化コバルトから選ばれ
    る少なくとも一種のルイス酸とから得られる不斉還元剤
    を、一般式(III) (式中、R7はアルキル基、アラルキル基またはアルキル
    置換シリル基を表す。R8,R9はアルキル基、アリール基
    またはアラルキル基を表し、同一であることはない。) で示されるオキシム誘導体のシン体またはアンチ体の一
    方、もしくはそれらのいずれかに富んだ混合物に反応さ
    せることを特徴とする一般式(IV) (式中、R8,R9,*は前記と同じ意味を表す。)で示され
    る光学活性アミン類の製造方法。
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