JP2678301B2 - 樹脂金型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本発明は、射出成形に用いる樹脂金型の改良に関す
る。

b.従来の技術 樹脂の射出成形においては、製品、ゲート及びランナ
ーが一体となって成形される。そして従来は、離型後に
おいて、製品とゲートの境界を切り離してした。近年、
製品を離型する際、製品がゲートから自動的に切り離せ
るようにした金型が、提案されている。

第５図はその一例を示す縦断面図であって、１は固定
側金型、２は可動側金型である。これら金型1,2の間に
は、キャビティ３、ゲート４及びランナー５を形成して
ある。また可動側金型２には、複数の製品突出しピン６
と一対のランナー突出しピン７が上下動できるように挿
通してあり、これら突出しピン6,7は下端部にフランジ
部6a,7aを備えている。製品突出しピン６の下端部は上
部エジェクタプレート８に固定してある。このプレート
８は、２枚のプレート8a,8bを互いに接合してなり、貫
通孔９と円筒状の空洞10を備えている。そして、この空
洞10内に上記ランナー突出しピンのフランジ部7aが摺動
自在に配設してある。また下部エジェクタプレート11に
は、一対の連結ピン12が固設してあり、その上端部にフ
ランジ部12aが設けてある。そして、このフランジ部12a
も上記空洞10内に摺動自在に配設してある。なお上部エ
ジャクタプレート８は、図示しない昇降手段と連結して
上下動するとともに、下部エジェクタプレート11も連結
ピン12と連結して上下動するように構成してある。ま
た、連結ピンのフランジ部12aの下面と空洞10の下面と
の間には、常時クリアランスｌが形成されており、これ
によって、ランナー突出しピンは製品突出しピン６より
も所定の時間だけ遅れて上昇を開始するようにしてあ
る。

この金型はこのように構成してあり、製品の離型は次
の要領で行っている。まず、可動側金型２を固定側金型
１から引離し、上部エジェクタプレート８を第５図に示
す位置から上方（図中矢印方向）に移動させる。する
と、製品突出しピン６が上方に突出する状態となり、第
６図に示すように製品Ａを押あげ、ゲートＢの境界を破
断しながら製品Ａを離型させることとなる。

そして、上記空洞10の下面が連結ピンのフランジ部12
aの下面に当接すると、上部エジェクタプレート８がラ
ンナー突出しピン７を押上げ、このピン７がゲートＢと
ランナーＣを可動側金型２から剥離させることとなる。

c.発明が解決しようとする課題 しかし上記金型は、ゲートＢの可動側金型２に対する
接合強度が十分でなく、製品Ａを離型する際、ゲートＢ
が製品Ａに引張られてゲート構成面から浮き上がり、ゲ
ートＢの中間部が破断する場合があり、この結果、第７
図に示すように製品ＡにゲートＢの一部が残存した不良
品が多発するという問題があった。

d.課題を解決するための手段 本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、金型のゲート構成面に溝を形成する
ことにより、上記欠点を除くことができる樹脂金型を提
供することにあり、その要旨は、固定側金型と可動側金
型の間に、ゲートを介して連通するキャビティとランナ
ーを形成するとともに、上記両金型のいずれか一方に製
品突出しピンとランナー突出しピンを設け、該製品突出
しピンをランナー突出しピンよりも早く動作させること
により、製品をゲートとの境界で破断させて離型するよ
うにした樹脂金型において、上記両突出しピンを設けた
金型のゲート構成面に溝を形成したことにある。

以下、本発明の実施例を、添付図面を参照しながら詳
細に説明する。

本実施例では、第１図と第２図に示すように可動側金
型２のゲート構成面に型の分離面にほぼ平行に複数の溝
20を形成してある。その他の構成については、第５図に
示した従来例と同一であるので、同一の符号を符し、そ
の説明は省略する。

本実施例はこのように構成してあるので、ゲート４内
に射出された溶融材料は、溝20にも流入して硬化し、ゲ
ートＢは可動側金型２のゲート構成面に強固に固定され
る。したがって、製品Ａを離型する際、ゲートＢが製品
Ａに引張られても、従来のようにこれがゲート構成面か
ら簡単に浮上ることがなく、したがって、その中間部が
破断することはなく、製品ＡとゲートＢの境界が確実に
破断することとなる。

なお上記溝20は、第３図に示すようにゲート構成面の
底部に断面台形状に形成するか、あるいは第４図に示す
ようにその側部に断面三角形状に形成してもよい。ま
た、当然ではあるが、この溝20の深さ、幅、及び型分離
面に対する傾きは、ランナー突出しピン７の作動によっ
て容易に押し出せるように構成してある。

e.発明の作用 本発明によれば、製品の離型時にゲートが金型のゲー
ト構成面に残るように保持したので、製品をゲートとの
境界で確実に破断させて離型することができ、製品にゲ
ートの一部が残存した不良品の発生を押さえることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の一実施例を示し、第１図は
金型のゲートの付近を示す縦断面図、第２図は第１図に
示したＡ−Ａ線による断面図、第３図及び第４図はそれ
ぞれ第２図と対応する本発明の他の実施例を示す図、第
５図及び第６図は従来の金型を示す縦断面図であって、
第５図は溶融材料を射出する前の状態を示す図、第６図
は製品を離型した状態を示す図、第７図は従来の金型か
ら発生した不良品を示す図である。 １……固定側金型、２……可動側金型、３……キャビテ
ィ、４……ゲート、５……ランナー、６……製品突出し
ピン、７……ランナー突出しピン、20……溝。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定側金型と可動側金型の間に、ゲートを
   介して連通するキャビティとランナーを形成するととも
   に、上記両金型のいずれか一方に製品突出しピンとラン
   ナー突出しピンを設け、該製品突出しピンをランナー突
   出しピンよりも早く動作させることにより、製品をゲー
   トとの境界で破断させて離型するようにした樹脂金型に
   おいて、上記両突出しピンを設けた金型のゲート構成面
   に溝を形成したことを特徴とする樹脂金型。