JP2678107B2 - 歯列矯正用接着剤 - Google Patents

歯列矯正用接着剤

Info

Publication number
JP2678107B2
JP2678107B2 JP27339491A JP27339491A JP2678107B2 JP 2678107 B2 JP2678107 B2 JP 2678107B2 JP 27339491 A JP27339491 A JP 27339491A JP 27339491 A JP27339491 A JP 27339491A JP 2678107 B2 JP2678107 B2 JP 2678107B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
bracket
meth
acrylate
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27339491A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0585912A (ja
Inventor
幸二 西田
淳一 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP27339491A priority Critical patent/JP2678107B2/ja
Publication of JPH0585912A publication Critical patent/JPH0585912A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2678107B2 publication Critical patent/JP2678107B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は歯科用ブラケットとエナ
メル質とを接着する歯列矯正用接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現在歯列矯正治療はダイレクトボンディ
ングシステム(マルチブラケット法)と呼ばれる治療法
が最も一般的に行われている。この方法は各々の歯のエ
ナメル質をリン酸等でエッチングしたのち接着剤を用い
て歯科用ブラケットを接着し、各ブラケットへ1本のワ
イヤーを通して歯列を矯正するというものである。従来
の金属バンドを用いた治療法に比べ簡便でしかも審美性
も優っていることから急速に普及してきた。しかしなが
ら各々の歯にブラケット、ワイヤーを装着しているた
め、ブラッシングが十分にゆきとどかず歯面が不潔にな
りやすく(歯垢がたまりやすい)、通常数年という長い
治療期間が必要なことも手伝って矯正治療中にう蝕に罹
患することがしばしばある。また治療後はブラケットを
歯面より取り除く(デボンディング)必要があるが、従
来の歯列矯正用接着剤(メタクリル酸メチル−ポリメタ
クリル酸メチル系、多官能メタクリル酸エステル系コン
ポジットが主流)では、ほとんどの場合接着剤が歯面に
残存するためこれを削除しなければならず、その際同時
にエナメル質も削り取ってしまうという懸念があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明が解
決しようとする課題は、エナメル質を強化して抗う蝕性
(耐酸性)を向上し、矯正治療中のう蝕発生を抑制する
とともに、治療後のブラケットおよび接着剤の除去が容
易でかつ歯面に接着剤が残存しにくい歯列矯正用接着剤
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題は親水性重合
性単量体を組成物Iの重量に対し1〜50重量%含むオ
レフィン性重合性単量体、組成物Iの重量に対し0.1
〜20重量%の金属フッ化物および重合開始剤を含有し
て成る組成物Iと、親水性重合性単量体を含有しないオ
レフィン性重合性単量体、重合開始剤および充填剤を含
有して成る組成物IIとから成る歯列矯正用接着剤を提供
することにより解決される。
【0005】本発明の接着剤はリン酸等で前処理された
エナメル質に組成物Iを塗布したのち組成物IIを積層す
る形で歯科用ブラケットを圧接して歯に接着する。
【0006】組成物Iに含まれる金属フッ化物としては
常温、常圧において固体であり、水に溶解してフッ素イ
オンを生成するものであればいずれでもよい。具体例と
してLiF,NaF,KF,CaF↓2 ,SnF↓2 ,
ZnF↓2 ,SrF↓2 ,BaF↓2 ,AlF↓3 ,A
gF,SbF↓3 ,MnF↓2 ,CoF↓2 ,TlF,
CdF↓2 ,BeF,BiF↓3 ,CsF,フッ化スズ
酸塩Mx[SnF↓4],Mx[SnF↓6 ],フルオ
ロケイ酸塩Mx[SiF↓6 ](Mは1価または2価の
金属,X=1または2)、フルオロホウ酸塩M[BF↓
4 ](Mは1価の金属)等が例示される。この中でも水
への溶解性や安全性(毒性)の点でNaFが好ましく用
いられる。金属フッ化物は組成物I中0.1〜20重量
%の範囲で加えられるが、1〜10重量%加えるのが好
ましい。金属フッ化物はフッ素徐放のためのフッ素イオ
供給源だけでなく溶出後に組成物I硬化物層内に小さ
な空隙を生じせしめ組成物I硬化物層の強度を低下させ
てブラケットおよび接着剤の除去を容易ならしめる働き
をも有している。かかる目的で金属フッ化物を歯列矯正
用接着剤に用いることは、本発明者らの新しい知見であ
る。
【0007】組成物Iに含まれる親水性重合性単量体の
具体例としては2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(HEMA),2−ヒドロキシエチルアクリレート,2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート,グリセリルモノ(メタ)
アクリレート,グリセリルジ(メタ)アクリレート,ジ
エチレングリコール(メタ)アクリレート,トリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート,ジプロピレングリ
コール(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールモ
ノ(メタ)アクリレート,メソエリスリトールモノ(メ
タ)アクリレート等の水酸基を有したものや、(メタ)
アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビ
ン酸、イタコン酸、4−メタクリロイロキシエトキシカ
ルボニルフタル酸、10−メタクリロイロキシデシルマ
ロン酸等のカルボキシル基を有したもの、2−メタクリ
ロイロキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10
−メタクリロイロキシデシルジハイドロジェンホスフェ
ート等のリン酸基を有したものが例示される。この中で
も水酸基を有したものが好ましく用いられるが、特にH
EMA,グリセリルモノメタクリレートが好ましく用い
られる。親水性重合性単量体は組成物I中1〜50重量
%の範囲で加えられるが5〜30重量%用いるのが好ま
しい。
【0008】親水性の重合性単量体は組成物I硬化物
の吸水性を高めることによりフッ素の徐放を促すととも
に組成物I硬化物層の吸水による経時的な強度低下を
引き起こし、ブラケットおよび接着剤の除去を容易にす
る。
【0009】組成物Iに含まれる他の重合性単量体の具
体例としてはα−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル
酸、ウレタン(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮
酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等の1価また
は2価アルコールとのエステル類さらに、N−イソブチ
ルアクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、
酢酸ビニルなどのようなカルボン酸のビニルエステル
類、ブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル類、
N−ビニルピロリドンのようなモノ−N−ビニル化合
物、スチレン誘導体などが挙げられるが特に下記のよう
な一官能性、多官能性の(メタ)アクリル酸エステル類
およびウレタン(メタ)アクリル酸エステル類が好適で
ある。
【0010】(i)一官能性 (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−も
しくはi−プロピル、(メタ)アクリル酸n−、i−も
しくはt−ブチルなど。
【0011】(ii)二官能性 一般式
【0012】
【化1】
【0013】[ここでnは3〜20の整数、Rは水素ま
たはメチル基を表す。]で示される化合物。例えばプロ
パンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オ
クタンジオール、デカンジオール、エイコサンジオール
などのジ(メタ)アクリレート類。一般式が
【0014】
【化2】
【0015】[ここでnは1〜14の整数、Rは水素ま
たはメチル基を表す。]で示される化合物。例えば、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ドデカエチ
レングリコール、テトラデカエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラデ
カプロピレングリコールなどのジ(メタ)アクリレート
類の他、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキ
シ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン
(Bis−GMA)、ビスフェノールAジメタクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
2,2'−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフェニ
ル)プロパン(1分子中にエトキシ基2〜10)、1,
2−ビス(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポ
キシ)ブタンなど。
【0016】(iii)三官能性以上 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど。
【0017】(iv)ウレタン(メタ)アクリレート系 ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート単量体2
モルとジイソシアネート1モルの反応生成物、両末端N
COのウレタンプレポリマーとヒドロキシル基を有する
(メタ)アクリレート単量体の反応生成物などが挙げら
れ、かかる反応生成物の構造は、次式に示すものが挙げ
られる。
【0018】
【化3】
【0019】[ここでR↓1 は水素またはメチル基、R
↓2 はアルキレン基、R↓3 は有機残基である。]
【0020】具体的なものとして特公昭51−3696
0号に記載されている2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネートとメタクリル酸オキシプロピル
との反応生成物、特公昭55−33687号に記載され
ている両末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと
メタクリル酸−2−オキシエチルとの反応生成物が挙げ
られる。また、特開昭56−152408号に開示され
ているような四官能性のモノマーも用いられる。
【0021】組成物Iに加えられる重合開始剤として
は、ベンゾイルパーオキサイド−芳香族第3級アミン
系、クメンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物、ト
リブチルポラン、芳香族スルフィン酸(またはその塩)
−芳香族第2級または第3級アミン−アシルパーオキサ
イド系などの化学重合開始剤が挙げられる。更にカンフ
ァーキノン、カンファーキノン−第3級アミン系、カン
ファーキノン−過酸化物、カンファーキノン−アルデヒ
ド系、カンファーキノン−メルカプタン系、アシルフォ
スフィンオキサイドなどの光重合開始剤を挙げることが
できる。また、紫外線照射による光重合を行う場合には
ベンゾインメチルエーテル、ベンジルメチルケタール、
ベンゾフェノン、2−メチルチオキサントン、ジアセチ
ル、ベンジル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメ
チルチウラムジスルフイドなどが好適である。重合開始
剤は組成物II中に0.1〜10重量%の範囲で加えられ
るが、1〜5重量%加えられるのが好ましい。化学重合
開始剤を用いるような場合、組成物Iは2分割包装型で
あっても良い。
【0022】組成物Iには金属フッ化物、親水性重合性
単量体、重合性単量体、重合開始剤の他充填剤(フィラ
ー)、重合禁止剤、着色剤、紫外線吸収剤等を必要に応
じて添加することができる。
【0023】またフッ素供給源として金属フッ化物に加
えて下記に示すようなフッ素徐放性ポリマーを添加して
も良い。
【0024】
【化4】
【0025】[ここでRは水素またはメチル基、R’は
メチル、エチル、プロピル基のいずれかである。]
【0026】組成物IIに含まれる重合性単量体ならびに
重合開始剤としては、先に例示したものが好適に用いら
れる。
【0027】組成物IIに添加される充填剤(フィラー)
としては石英粉末、アルミナ粉末、ヒドロキシアパタイ
ト、炭酸カルシウム、フルオロアルミノシリケートガラ
ス、硫酸バリウム、酸化チタン、ジルコニア粉末、ガラ
ス粉末、超微粒子シリカおよび有機成分と無機成分を含
有する有機複合フィラーなどを用いることができる。ま
た、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル等のポリマー粉末などが必要に応じて添加され
る。かかるガラスとしてはシリカガラス、ソーダ石灰ケ
イ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムボロアルミノ
シリケートガラス、アルミナケイ酸ガラス、ストロンチ
ウムボロアルミノシリケートガラス、合成シリカ、チタ
ニウムシリケートガラスなどが挙げられる。
【0028】組成物IIは歯科用ブラケットを強固に保持
する必要があるため強度の高い無機充填剤が好んで用い
られるが、無機充填剤には表面処理をして用いることが
望ましい。表面処理剤としてはγ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラ
ンおよびビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン等の有
機ケイ素化合物が用いられ、シラン化は、通常の方法に
より行われる。充填剤は組成物II中に30〜90重量%
の範囲で加えられる。
【0029】組成物IIには重合性単量体、重合開始剤、
充填材の他必要に応じて重合禁止剤、着色剤、紫外線吸
収剤等を添加することができる。また組成物IIは必要に
応じて2分割包装型であっても良い。
【0030】組成物Iと組成物IIの使用方法は前述のご
とくエナメル質に組成物Iを塗布したのち組成物IIを積
層する形でブラケットを圧接して接着するが、組成物I
と組成物IIの使用比率(重量)は1対100〜10対1
が好ましい(さらに好ましくは1対10〜2対1)。
【0031】
【実施例】以下実施例によりさらに詳しく本発明の内容
を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0032】(実施例1)牛歯エナメル唇側面を研磨紙
(#1000)で平坦に研磨したのち、リン酸水溶液
(40%)で40秒間エッチング処理を行い水洗、乾燥
した。この処理面に下記に示す組成物Aを塗布し、ライ
テルII(可視光照射器、ウシオ電機製)により20秒間
光照射したのち、下記に示す組成物Bを歯科用金属ブラ
ケット(上顎中切歯用、スタンダードエッジワイズ、メ
ッシュ付き、トミーインターナショナル製No.131
−13)のベース面に適量盛ってブラケットとともに組
成物Aの上に圧着した。ブラケット両側からライテルII
により各々30秒間ずつ光照射を行い接着剤を硬化させ
たのち37℃水中に1日浸漬してから剪断試験(インス
トロン万能試験機、クロスヘッドスピード1.0mm/
分)を行った。剪断接着強度は174kg/cm↑2 (5試
料平均)であった。破壊はエナメル界面及び組成物Aの
凝集破壊が主体であった。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例2) 実施例1と同様に試料を調製し加速試験として50℃
水中に2ケ月間浸漬したのち剪断試験を行った。剪断接
着強度は166kg/cm↑2 (5試料平均)であった。破
壊は全てエナメル界面もしくは組成物Aの凝集破壊であ
り、歯面にはほとんどレジンは残っていなかった。
【0035】(実施例3)人抜去小臼歯頬側面エナメル
質をブラシコーンで清掃したのち、リン酸水溶液(40
%)で40秒間エッチング処理を行い水洗、乾燥した。
組成物A、組成物B、ブラケット(上下顎小臼歯用、ス
タンダードエッジワイズ、メッシュ付、トミーインター
ナショナル製、No.131−43)を用いて実施例1
と同様にブラケットを歯面に接着し、50℃水中に2ケ
月間浸漬したのちブラケットリムーバーを用いてブラケ
ットを取り除いた。5試料とも歯面にレジンが残ること
なくブラケットを取り除くことができた。
【0036】(実施例4〜7)組成物AにおけるNaF
の代わりに下表に示す各々の金属フッ化物を用いて実施
例2と同様の剪断接着試験を行った。
【0037】
【表2】
【0038】(実施例8〜13)組成物AにおけるHE
MAの代わりに下表に示す各々の親水性重合性単量体を
用いて実施例2と同様の剪断接着試験を行った。
【0039】
【表3】
【0040】(実施例14)組成物Aの代わりに下記に
示す組成物Cを用いて実施例2と同様の剪断接着試験を
行った。剪断接着強度は平均189kg/cm↑2 であり5
試料とも全て歯面の残存レジンは認められなかった。
【0041】
【表4】
【0042】(実施例15)組成物Bの代わりに組成物
D(ペーストA、ペーストBを等量混和して用いる)を
用いて実施例3と同様の試験を行った(ただしブラケッ
ト圧着後の光照射は省いた)。5試料中4試料は歯面上
残存レジンは認められなかった。
【0043】
【表5】
【0044】(実施例16)組成物Aを直径20mmφ厚
さ0.1mmの円板状に硬化させたのちリン酸バッファー
(37℃,pH7.0)10ml中に浸漬し、溶出したフ
ッ素イオン濃度をフッ素イオン電極により定量した。結
果を図1に示す。
【0045】(実施例17)実施例3と同様の方法によ
り試料を調整し、これを37℃水中に1ケ月間浸漬した
のちブラケットを取り除いた。面積を規定するため直径
3mmφの穴の開いたテープを貼付し、6N塩酸によりエ
ナメル質を脱灰(溶解)し、脱灰液のフッ素イオン濃度
及びカルシウムイオン濃度を各イオン電極により定量
し、エナメル質中に取り込まれたフッ素量を算出した。
結果を図2に示す。
【0046】(実施例18)実施例3と同様の方法によ
り試料を調製し、37℃水中に1ケ月間浸漬したのちブ
ラケットを取り除いた。この部分に直径3mmφのウィン
ドウを形成するため、残りの歯質全面を歯科用シーラン
トで被覆したのち、歯垢中の酸性度と同等の酢酸バッフ
ァー(pH4.6,37℃)中に浸漬し、脱灰された
(溶出した)カルシウム量をカルシウムイオン電極によ
り定量した。結果を図3に示す。
【0047】(比較例1)組成物Aの代わりに組成物E
を用いて実施例1と同様の剪断接着試験を行ったとこ
ろ、剪断接着強度は平均199kg/cm↑2 であったが、
5試料とも全て組成物Bとブラケットとの界面で破壊し
ておりレジンはほとんど歯面に残存していた。
【0048】
【表6】
【0049】(比較例2)組成物Aの代わりに組成物E
を用いて実施例2と同様の加速試験を行ったところ、剪
断接着強度は平均232kg/cm↑2 であり、5試料中4
試料は組成物Bとブラケットとの界面で破壊し、レジン
はほとんど歯面に残存した。
【0050】(比較例3)組成物Aの代わりに組成物E
を用いて実施例3と同様の試験を行ったところ5試料中
4試料は組成物Bとブラケットの界面ではがれてレジン
が歯面に残存していた。
【0051】(比較例4)市販の光重合型矯正用接着材
Transbond(Unitek/3M製、BisG
MA/トリエチレングリコールジメタクリレート/光重
合開始剤より成るプライマーとBisGMA/トリエチ
レングリコールジメタクリレート/フィラー/光重合開
始剤より成るペーストで構成されている)を用い、組成
物Aの代わりにプライマー、組成物Bの代わりにペース
トを用いて実施例2と同様の試験を行ったところ、剪断
接着強度は平均205kg/cm↑2 であったが、5試料と
もペーストとブラケットとの界面で破壊しておりレジン
はほとんど歯面に残存していた。
【0052】(比較例5)組成物Aの代わりに組成物F
を用いて実施例2と同様の試験を行ったところ、剪断接
着強度は平均195kg/cm↑2 であったが、5試料中3
試料は組成物Bとブラケットとの界面で破壊しておりレ
ジンがほとんど歯面に残存していた。
【0053】
【表7】
【0054】(比較例6)組成物Aの代わりに下記に示
す組成物Gを用いて実施例2と同様の試験を行ったとこ
ろ、剪断接着強度は平均176kg/cm↑2 であり5試料
中3試料は組成物Bとブラケットの界面で破壊してお
り、レジンはほとんど歯面に残存していた。
【0055】
【表8】
【0056】(比較例7)組成物Aの代わりに組成物F
を用いて実施例16と同様の試験を行いフッ素放出量を
測定した。組成物Aに比べフッ素放出量は少なかった。
結果を図1に示す。
【0057】(比較例8)組成物Aの代わりに組成物E
を用いて実施例17と同様の試験を行いエナメル質中の
フッ素量を測定した。結果を図2に示す。
【0058】(比較例9)組成物Aの代わりに組成物E
を用いて実施例18と同様の試験を行い、エナメルから
溶出したカルシウム量を測定した。実施例17に比べカ
ルシウム溶出量はかなり多く、脱灰されやすかった。結
果を図3に示す。
【0059】
【発明の効果】以上示したように本発明の歯列矯正用接
着材はフッ素徐放性によりエナメル質の耐酸性(抗う蝕
性)を向上するばかりでなく、治療終了時にブラケット
を取り除く際歯面に接着剤が残らずデボンディング性に
も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】円盤状硬化物からリン酸バッファー(pH7,
37℃)中へ溶出するフッ素イオンの量を示す図であ
る。
【図2】エナメル質中に取り込まれたフッ素濃度を示す
図である。
【図3】エナメル質から酢酸バッファー(pH4.6、
37℃)中へ溶出するカルシウムイオンの量を示す図で
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性重合性単量体を組成物Iの重量に
    対し1〜50重量%含むオレフィン性重合性単量体、組
    成物Iの重量に対し0.1〜20重量%の金属フッ化物
    および重合開始剤を含有して成る組成物Iと、親水性重
    合性単量体を含有しないオレフィン性重合性単量体、重
    合開始剤および充填剤を含有して成る組成物IIとから成
    ることを特徴とする歯列矯正用接着剤。
JP27339491A 1991-09-24 1991-09-24 歯列矯正用接着剤 Expired - Fee Related JP2678107B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27339491A JP2678107B2 (ja) 1991-09-24 1991-09-24 歯列矯正用接着剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27339491A JP2678107B2 (ja) 1991-09-24 1991-09-24 歯列矯正用接着剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0585912A JPH0585912A (ja) 1993-04-06
JP2678107B2 true JP2678107B2 (ja) 1997-11-17

Family

ID=17527291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27339491A Expired - Fee Related JP2678107B2 (ja) 1991-09-24 1991-09-24 歯列矯正用接着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2678107B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4759149B2 (ja) * 2000-03-06 2011-08-31 株式会社クラレ 歯科用組成物
WO2007139207A1 (ja) 2006-05-26 2007-12-06 Tokuyama Dental Corporation 1液型歯科用接着性組成物
JP5282980B2 (ja) * 2007-05-31 2013-09-04 学校法人日本大学 歯列矯正部材用接着材
WO2009045752A2 (en) * 2007-10-01 2009-04-09 3M Innovative Properties Company Orthodontic composition with polymeric fillers
JP5669753B2 (ja) 2009-12-04 2015-02-18 株式会社トクヤマデンタル 歯科用接着性組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0585912A (ja) 1993-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7226960B2 (en) Self-etching primer adhesive and method of use therefor
EP2022463B1 (en) One-part dental adhesive composition
US7619016B2 (en) Remineralizing dental cements
EP1262530B1 (en) Adhesive composition for hard tissues
JP2000159621A (ja) 歯科用光重合性組成物
JP5268478B2 (ja) 歯科用硬化性材料キット
EP1550428B1 (en) Dental coating kit
JPH0782115A (ja) プライマー組成物
JP2678107B2 (ja) 歯列矯正用接着剤
US20240050195A1 (en) Dental compositions and related methods of use
JP2004525220A (ja) 金属高分子複合体用接着剤
EP0980233B1 (en) Method and composition for adhering to tooth structure
JPH07215814A (ja) 抗菌性歯科用組成物
JP2678108B2 (ja) フッ素徐放性歯科用組成物
US9427382B2 (en) Method and composition for adhering to tooth structure
JPH07206621A (ja) 抗菌性を有する歯科用組成物
JPH11209213A (ja) フッ素徐放性歯科用接着性組成物
WO2010033515A1 (en) Single-container dental adhesive
US20050203207A1 (en) Dental compositions and kits containing bitterness inhibitors, and related methods
JP4514470B2 (ja) 2液型の無柱エナメル質用接着剤
JP2001322908A (ja) 歯科用組成物
JP4514469B2 (ja) 2液型の無柱エナメル質用接着剤
JP7393915B2 (ja) 歯科用プライマー
JP2023537854A (ja) 歯科用アマルガムの代替修復材料として使用される歯科用組成物、キット、および方法
JP4583035B2 (ja) 接着性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080725

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090725

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100725

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees