JP2676329B2 - 金属条材の増肉加工方法 - Google Patents

金属条材の増肉加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一定断面の鋼材等の金
属条材(H形鋼、I形鋼、丸形鋼管、角形鋼管等)の長
手方向の少なくとも1ヶ所を、強度を上げるために増肉
させる金属条材の増肉加工方法に関し、特に増肉率β
(=肉厚の増加量/元の肉厚)が0.5以上という高増
肉の増肉加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼管等の管の長手方向の小領域を
局部的に一定幅に加熱して加熱部を形成し、該加熱部を
管の長手方向に相対的に移動させながら圧縮力を付与し
て増肉させ、前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却す
ることにより、管を長手方向に逐次増肉させて行く増肉
方法が知られている(例えば、特公平2−7738号公
報参照)。この方法において、ジャバラ等の不整変形の
ない良好な増肉を実現するには、加熱幅を狭くした方が
良いとされ、上記公報では肉厚の2倍以下が適当である
とされていた。また、従来の増肉方法において達成する
増肉率βは、多くても0.3程度であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近、長手方向の途中
の領域を局部的に増肉させた部分増肉金属条材が、建物
の柱等の建築資材として要望されてきた。この用途に使
用する場合、その増肉率としては、0.5以上というよ
うな高増肉が望まれている。そこで、本発明者等は、金
属条材の長手方向の一部に上記した増肉加工方法を適用
し、増肉率0.5以上という高増肉の増肉加工を行った
ところ、ジャバラ等の不整変形が生じ、良好な増肉は達
成されないという問題のあることが判明した。
【0004】本発明者等は、上述の問題を解決するた
め、鋭意検討の結果、高増肉を行う場合に加熱幅を肉厚
の2倍以下としておくと、狭い幅にきわめて大きい塑性
変形を生じさせる必要があり、このため、変形がきわめ
て不安定となり、不整変形を生じてしまうが、これより
もある程度広い加熱幅を採用すると、塑性変形がなめら
かとなって良好な増肉加工が可能であり、しかも、その
加熱幅は達成しようとする増肉率によって異なっている
ことを見出した。
【0005】本発明は、かかる知見に基づいて為された
もので、金属条材に対して、増肉率0.5以上という高
増肉を良好に行うことの可能な金属条材の増肉加工方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、増肉加工すべ
き金属条材の長手方向の小領域を局部的に加熱して赤熱
状態の加熱部を形成し、該加熱部を前記金属条材の長手
方向に相対的に移動させながら圧縮力を付与して増肉さ
せ、前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却する金属条
材の増肉加工方法において、増肉前の肉厚tに対する加
熱幅Wの比即ちW/tを、目標とする増肉率βに対し
て、 6≧W/t≧1.05β+1.7 の関係を保つ条件で、且つ増肉率βが0.5以上となる
条件で増肉加工することを特徴とする金属条材の増肉加
工方法を要旨とする。
【0007】以下、図面を参照して本発明を更に詳細に
説明する。図1は本発明方法の実施に用いる増肉加工装
置の1例を示すものであり、1は増肉加工すべき金属条
材である。本発明において、増肉の対象とする金属条材
(以下単に条材と略称する)は、丸形鋼管、角形鋼管、
H形鋼、I形鋼等任意であり、図1に示す例では角形鋼
管を示している。2は条材1の一端を定位置に固定、保
持するストッパ、3は条材1の反対端を押圧して条材に
圧縮力を作用させる油圧シリンダ等の圧縮装置、4は、
条材1の長手方向の小領域を局部的に加熱して赤熱状態
の加熱部5とすることの可能な環状の加熱装置、例えば
高周波加熱コイル、6は冷却水等の冷却媒体7を加熱部
5の移動方向に関して後端となる部分に吹き付ける冷却
装置、8は加熱装置4及び冷却装置6を条材1に沿って
所望の速度で移動させる駆動装置である。
【0008】上記構成の増肉加工装置を用いた増肉加工
動作は次のように行われる。すなわち、増肉加工すべき
条材1の一端をストッパ2に固定、保持させ、その反対
端を油圧シリンダ等の圧縮装置3で押圧して条材1に圧
縮力を作用させた状態で、加熱装置4によって条材1の
長手方向の小領域を加熱して、塑性変形容易な赤熱状態
の加熱部5とし、その加熱部5に圧縮力による増肉を生
じさせながら、その加熱装置4を条材1に沿って移動さ
せ、同時に冷却装置6から冷却媒体7を加熱部5の後端
部分に吹き付けて増肉直後の部分を冷却、固化する。こ
れにより条材1を長手方向に連続的に増肉させてゆくこ
とができる。本発明はこのように加熱部5を移動させな
がら連続的に増肉加工を行う方法に関するものである。
【0009】ここで、増肉前の肉厚をt、増肉後の肉厚
をT、加熱装置4の移動速度をv、圧縮装置3による条
材1の押し込み速度をVとすると、内外の増肉が略等し
いものとして増肉率βは次式で表される。すなわち、 β=(T−t)/t=V/v 従って、速度V、vの比を一定に保つことにより、例え
ば両速度V、vをそれぞれ一定に保つことにより、増肉
率βを一定とした増肉を実施することができる。この
際、圧縮装置3による条材1の押し込み速度Vを一定と
するには、圧縮装置3に用いる油圧シリンダをサーボ機
構で制御する等により、条材1の押し込み速度自体を制
御する方法を採ってもよいし、或いは、加熱部5の温度
を正確に制御し、且つ圧縮装置3の油圧シリンダへの供
給油圧を一定に保って、条材1の端部に加える圧縮力を
一定に保ち、その結果として押し込み速度Vが一定とな
る方法を採用してもよい。
【0010】上記した増肉加工の際、本発明では加熱部
5の幅、すなわち加熱幅Wを、目標とする増肉率βに対
して、 6≧W/t≧1.05β+1.7 の関係に保つことを特徴とする。すなわち、図3に示す
実験結果のグラフにおいて、直線10、11の間の領域
を選択したことを特徴とするものである。
【0011】ここで、加熱部5とは、赤熱状態となって
容易に塑性変形可能な領域を意味している。一般に鋼材
では、約600°C程度で赤熱状態となるので、加熱部
5の温度は約600°C以上である。本発明において、
加熱部5を赤熱状態としたのは、赤熱状態となると塑性
変形抵抗が急激に低下し、塑性変形による増肉を容易に
行うことができるためである。しかしながら、赤熱状態
においても、温度が上昇するほど塑性変形抵抗は低下
し、増肉加工が容易となることから、また、条材1に沿
って移動する加熱部5内では長手方向に大きい温度分布
が生じており、必要な加熱幅を確保する上から、加熱部
5の最高温度は高くすることが好ましい。また、条材が
炭素鋼の場合には、1100〜1450°Cにおいて延
性が特に優れるので、これらを勘案して、加熱部5の最
高温度を1100〜1450°Cとすることが好まし
い。
【0012】加熱幅Wとは、加熱部5の幅、すなわち赤
熱状態となっている部分の幅を意味している。この加熱
幅Wは、加熱に使用する加熱装置(高周波加熱コイル)
4の幅、出力、移動速度v、冷却媒体7の条材1に対す
る吹き付け位置、圧縮装置3による押し込み速度V等に
よって変化するものである。一般に、圧縮装置3による
押し込み速度Vと加熱装置4の移動速度vとの和(=V
+v)、すなわち、加熱部5の増肉前の条材部分に対す
る相対移動速度を0.5〜5.0mm/sec程度と
し、加熱部5の最高温度を1100°C程度とした場合
には、図2に拡大して示すように、加熱部5の先端位置
Aは、加熱装置4の先端位置にほぼ一致する状態とな
り、加熱部5の後端位置Bは冷却媒体7の吹き付け位置
Bにほぼ一致している。従って、これらを目安として、
加熱幅Wを設定できる。
【0013】本発明の実施に当たって、圧縮装置3によ
る押し込み速度Vと加熱装置4の移動速度vとの和(=
V+v)は、通常、0.5〜8.0mm/sec程度が
好ましく、0.8〜5.0mm/sec程度が更に好ま
しい。この速度の和(=V+v)が小さくなると、生産
性が低下し、一方大きくなると加熱能力を大きくする必
要があるため装置が大型化し、しかも温度むらを生じ易
い。これらを考慮して上記の範囲とすることが好まし
い。加熱装置4として高周波加熱コイルを用いる場合、
その幅としては、条材の肉厚tの1〜3倍程度が好まし
い。またその高周波加熱コイルに加える加熱周波数とし
ては、電流浸透深さをδとした場合、 δ≦t≦5δ が成立する範囲とすることが好ましい。この範囲内で条
材加熱を行うと、条材を効率良く加熱することができ且
つ厚み方向の温度分布を小さく抑制でき、良好な増肉加
工が可能である。
【0014】
【作用】本発明は上述のように、肉厚tに対する加熱幅
Wの比を、次式 6≧W/t≧1.05β+1.7 を満たす範囲としている。この比(W/t)が6よりも
大きくなると、加熱幅Wが大きくなりすぎ、この加熱部
5に軸方向の圧縮力を加えると、全体に座屈が生じて大
きい湾曲を生じ、増肉できなくなる。本発明では、6≧
W/tとしたことにより、この座屈を防止した増肉加工
が可能である。
【0015】一方、この比(W/t)をきわめて小さく
し、例えば、従来推奨されていた2以下とした場合に
も、不整変形が生じ、良好な増肉は生じない。この理由
は次のように考えられる。加熱部5における増肉の発生
状態を良く観察したところ、図2に示すように、加熱部
5の先端領域(A〜C間)と後端領域(D〜B間)はほ
どんど増肉しておらず、その間の領域(C〜D間)のみ
において増肉が生じ、その領域に傾斜角θの傾斜面が生
じている。そして、この増肉を生じる領域の長さは加熱
幅Wの長さに応じて変化しており、加熱幅Wが長い場合
には、領域C〜D間も長く、傾斜角θがさほど大きくな
らないが、加熱幅Wを小さくした場合には、それに応じ
て領域C〜D間も短くなり、傾斜面の傾斜角θがきわめ
て大きくなる。この傾斜角θが大きくなると、急激に増
肉が生じることとなり、材料が肉厚方向に急激に流動す
る必要が生じてくる。このような急激な材料の流動は不
安定となりやすく、表面に凹凸が生じてしまう。また、
増肉率を大きくする場合、当然加熱熱量を多くする必要
があるが、加熱幅が肉厚の2倍よりも小さい場合のよう
に極めて狭い場合には、狭い幅に大熱量を加える必要が
生じ、しかも、直ぐその下流を冷却媒体7で冷却するた
め、熱効率が悪く、この点からも供給熱量を多くする必
要がある。このように狭い幅に対して大熱量を加える加
熱を行う場合には、外乱の影響を受けやすく、例えば、
吹き付けられた冷却媒体7の跳ね返りの影響が大きく、
温度変動を生じやすい。このように加熱部5の温度が不
安定となると、増肉も不安定となりやすく、良好な増肉
ができない。かくして、加熱部5の幅を短くした状態で
大きい増肉を行った時には、例えば、図8、図9に示す
ように、傾斜角θが30°を越えるような大きいものと
なり、狭い幅で急激な増肉が生じ、増肉部の表面に凹凸
が生じてしまう。
【0016】ところが、加熱幅Wを増肉率βに応じて適
当に広くし、領域C〜D間の傾斜角θを小さく(例え
ば、27°程度以下)とすると、安定した増肉が可能で
あることが判明した。良好な増肉を可能とする条件を実
験(詳細は後述)で確認した結果、図3に示すように、
肉厚tに対する加熱幅Wの比を、直線10の上の領域と
すればよいことが確認された。従って、 W/t≧1.05β+1.7 とすることにより、良好な増肉加工が行われる。
【0017】更に、炭素鋼製の条材については、加熱部
の最高温度を1100〜1450°Cとすることによ
り、必要な加熱幅が確保しやすくなるばかりでなく、優
れた延性により、一層安定した増肉が行える。
【0018】
【実施例】以下、種々な条件で増肉を行った実施例及び
比較例を説明する。
【0019】〔実施例1〕増肉加工する条材1として、
角形鋼管(材質SS400、外形寸法300×300m
m、厚さ12mm)を用意し、この条材1に図1に示す
装置を用いて増肉加工を行った。ここで使用した加熱装
置4は、幅15mmの高周波誘導加熱コイルである。
【0020】図4に示すように、冷却媒体7の吹き付け
位置(B点)を加熱装置4の中心点Oから38mmに設
定し、圧縮装置3による押し込み速度Vと加熱装置4の
移動速度vとの和を2.0mm/secとして、条材を
加熱部最高温度が1300°Cとなるように加熱し、増
肉率β=0.5の増肉加工を行ったところ、滑らかな増
肉が可能であり、厚み約18mmの且つ表面平滑な増肉
部を得た。なお、この時の増肉率の制御は、圧縮装置3
の圧縮力制御により行った。この増肉加工中、加熱部5
を観察した結果、加熱装置4の先端位置とほぼ一致する
点(A点)からB点までの間が赤熱状態となっており、
従って加熱幅Wは約45.5mmであり、増肉前の肉厚
tに対する加熱幅Wの比即ちW/tは3.8であった。
【0021】この増肉加工中、加熱及び圧縮を停止する
と共に加熱部5を急冷して固め、その後、その部分を切
断して断面形状を観察した。その断面形状は、図4に示
す状態となっており、傾斜角θは約9°であった。
【0022】〔実施例2〕実施例1と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)のみを、加熱装置4の中心
点Oから22.5mmの位置に変更して、増肉率β=
0.5の増肉を行った。この場合にも良好な増肉が可能
であった。なお、この時の加熱幅Wは約30mm、W/
tは2.5であった。また、増肉を生じている部分の断
面形状は図5に示す通りであり、傾斜角θは約25°で
あった。
【0023】〔比較例1〕実施例1と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)のみを、加熱装置4の中心
点Oから16.5mmの位置に変更して、増肉率β=
0.5の増肉を行った。この場合には、図8に示すよう
に、条材1の外面に波状に小さい凹凸14が生じた不整
変形となっており、良好な増肉は出来なかった。なお、
この時の加熱幅Wは約24mm、W/tは2.0であっ
た。また、傾斜角θは約33°であった。
【0024】〔実施例3〕実施例1と同条件で、増肉率
βのみを0.75(従って、増肉後の肉厚は21mm)
として増肉加工を行ったところ、良好な増肉が可能であ
った。なお、この時のW/tは実施例1と同様に3.8
である。また、この時の傾斜角θを測定したところ、約
14°であった。
【0025】〔実施例4〕実施例1と同条件で、増肉率
βのみを1.0(従って、増肉後の肉厚は24mm)と
して増肉加工を行ったところ、良好な増肉が可能であっ
た。なお、この時のW/tは実施例1と同様に3.8で
ある。また、この時の増肉を生じている部分の断面形状
は図6に示す通りであり、傾斜角θは約20°であっ
た。
【0026】〔実施例5〕実施例4と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点O
から28.5mmの位置に変更して、増肉率β=1.0
の増肉を行ったところ、この場合にも良好な増肉が可能
であった。なお、この時のW/tは3.0である。
【0027】〔比較例2〕実施例4と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点O
から22.5mmの位置に変更して、増肉率β=1.0
の増肉を行ったところ、この場合には比較例1と同様に
波状の凹凸が発生し、良好な増肉はできなかった。な
お、この時のW/tは2.5である。
【0028】〔実施例6〕実施例1と同条件で、増肉率
βのみを1.25(従って、増肉後の肉厚は27mm)
として増肉加工を行ったところ、良好な増肉が可能であ
った。なお、この時のW/tは実施例1と同様に3.8
である。また、この時の傾斜角θは約25°であった。
【0029】〔実施例7〕実施例1と同条件で、増肉率
βのみを1.5(従って、増肉後の肉厚は30mm)と
して増肉加工を行ったところ、良好な増肉が可能であっ
た。なお、この時のW/tは実施例1と同様に3.8で
ある。また、この時の増肉を生じている部分の断面形状
は図7に示す通りであり、傾斜角θは約27°であっ
た。
【0030】〔実施例8〕実施例1と同条件で、増肉率
βのみを1.75(従って、増肉後の肉厚は33mm)
として増肉加工を行ったところ、良好な増肉が可能であ
った。なお、この時のW/tは実施例1と同様に3.8
である。また、この時の傾斜角θは約30°であった。
【0031】〔比較例3〕実施例8と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点O
から34mmの位置に変更して、増肉率β=1.75の
増肉を行ったところ、この場合には図9に示すように外
面に比較例1と同様に波状の凹凸が発生し、良好な増肉
はできなかった。なお、この時のW/tは3.4であ
る。また、傾斜角θは約36°であった。
【0032】〔実施例9〕実施例1と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点O
から60mmの位置に変更して、増肉率β=0.5の増
肉を行った。この場合にも良好な増肉が可能であった。
なお、この時の加熱幅Wは約67.5mm、W/tは
5.6であった。
【0033】〔比較例4〕実施例1と同条件で、冷却媒
体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点O
から70mmの位置に変更して、増肉率β=0.5の増
肉を行った。この場合には、大きい座屈状の変形が生
じ、増肉加工ができなかった。
【0034】〔実施例10〕実施例1と同条件で、冷却
媒体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点
Oから60mmの位置に変更し、且つ、増肉率βも1.
5に変更して増肉を行った。この場合にも良好な増肉が
可能であった。なお、この時の加熱幅Wは約67.5m
m、W/tは5.6であった。
【0035】〔比較例5〕実施例10と同条件で、冷却
媒体7の吹き付け位置(B点)を、加熱装置4の中心点
Oから70mmの位置に変更して、増肉率β=1.5の
増肉を行った。この場合には、大きい座屈状の変形が生
じ、増肉加工ができなかった。
【0036】以上の実施例1〜10及び比較例1〜5の
実験条件を図3のグラフに示す。図3において、○で示
す位置は実施例1〜10に対応し、良好な増肉が可能で
あった条件を示しており、×で示す位置は比較例1〜5
に対応し、良好な増肉ができなかった条件を示してい
る。図3から良く分かるように、増肉率βが0.5以上
の領域において、直線10、11で挟まれた領域では良
好な増肉が可能である。この直線10、11を示す式
は、それぞれ、 W/t=1.05β+1.7 W/t=6 であるので、本発明では、この直線10、11の間の領
域、すなわち、 6≧W/t≧1.05β+1.7 で増肉加工する構成としたものである。
【0037】なお、以上の説明では、図1に示すよう
に、条材1の後端側(増肉終了側)をストッパ2に押し
当て、先端側を圧縮装置3で圧縮する構成としている
が、本発明はこの構成に限らず、条材の先端側を固定
し、後端側を圧縮する構成としてもよい。また、図1で
は加熱装置4を条材1に沿って移動させることにより、
加熱部5を条材1の長手方向に移動させているが、この
代わりに加熱装置4は定位置に停止させておき、それに
対して条材を移動させる構成としてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
方法によれば、金属条材の長手方向の所望の領域を増肉
率0.5以上に増肉加工することが可能であり、肉厚の
厚い、強度の大きい増肉領域を備えた金属条材を容易に
製造することができるという効果を有している。このよ
うな強度の大きい増肉領域を備えた金属条材は、建築物
の柱や梁等の建築資材として利用しやすくなり、しか
も、それを使用することにより、建築等の仕様並びに作
業工程を改善できる。かくして、本発明は建築業界等に
とってもきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の概略
構成を示す概略断面図
【図2】図1に示す装置で増肉加工を施している部分を
拡大して示す概略断面図
【図3】本発明の実施例及び比較例によって増肉加工を
行った結果を示すグラフ
【図4】実施例1で増肉加工を行っている部分を拡大し
て示す概略断面図
【図5】実施例2で増肉加工を行っている部分を拡大し
て示す概略断面図
【図6】実施例4で増肉加工を行っている部分を拡大し
て示す概略断面図
【図7】実施例7で増肉加工を行っている部分を拡大し
て示す概略断面図
【図8】比較例1で増肉加工を行っている部分を拡大し
て示す概略断面図
【図9】比較例3で増肉加工を行っている部分を拡大し
て示す概略断面図
【符号の説明】
1 条材 2 ストッパ 3 圧縮装置 4 加熱装置 5 加熱部 6 冷却装置 7 冷却媒体 8 駆動装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 章 大阪府大阪市西区阿波座1丁目5番16号 大和ハウス工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−66736(JP,A) 特開 昭62−84850(JP,A) 特開 昭60−9542(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 増肉加工すべき金属条材の長手方向の小
    領域を局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該
    加熱部を前記金属条材の長手方向に相対的に移動させな
    がら圧縮力を付与して増肉させ、前記加熱部の後端部分
    を増肉直後に冷却する金属条材の増肉加工方法におい
    て、増肉前の肉厚tに対する加熱幅Wの比即ちW/t
    を、目標とする増肉率βに対して、 6≧W/t≧1.05β+1.7 の関係を保つ条件で、且つ増肉率βが0.5以上となる
    条件で増肉加工することを特徴とする金属条材の増肉加
    工方法。
  2. 【請求項2】 前記金属条材が炭素鋼であり、前記加熱
    部の最高温度を1100〜1450°Cとすることを特
    徴とする請求項1記載の金属条材の増肉加工方法。
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