JP2673781B2 - 電子機器用高力高導電性銅合金材の製造方法 - Google Patents

電子機器用高力高導電性銅合金材の製造方法

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JP2673781B2 JP7542594A JP7542594A JP2673781B2 JP 2673781 B2 JP2673781 B2 JP 2673781B2 JP 7542594 A JP7542594 A JP 7542594A JP 7542594 A JP7542594 A JP 7542594A JP 2673781 B2 JP2673781 B2 JP 2673781B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、トランジスタや集積
回路(IC)等のような半導体機器のリ−ド材として好
適な、高い強度や電気伝導性等に加えて優れたエッチン
グ性及び曲げ加工性をも備えた電子機器用高力高導電性
銅合金材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年のICパッケ−ジの動向は
“軽薄短小化”に象徴されてきたが、最近、表面パッケ
−ジの普及によってその傾向は益々促進され、更にIC
チップの高機能化に伴う多ピン化及び低発熱化も同時に
進んでいる。一方、ICパッケ−ジの形態に係る具体的
な変遷過程を見ると、従来はDIPに代表されるピン挿
入型パッケ−ジが多用されてきたが、実装密度向上を目
的とした“表面実装”が主流になるにつれてSOJ,S
OP,QFP等の表面実装型への移行が進んでいる。そ
して、最近では、多ピン化に伴ってリ−ドピッチを縮小
したファインピッチQFPが増加し、更にTSOP,T
QFP等に代表される薄板化が進行している。
【0003】ところで、多ピン,狭ピッチのフレ−ムの
大半はエッチング加工により作られるのが一般的である
が、このエッチング加工では狙いとする板厚方向への食
刻のみならず板幅方向へのサイドエッチも起こることか
ら、リ−ド幅やリ−ド間隔に関する加工精度の観点から
素材板厚は薄いほど加工上有利となる。また、パッケ−
ジの薄肉化要求からもリ−ドフレ−ム材を薄くする必要
があり、そのため最近では板厚が0.15mmから0.125 mm、
更には0.10mmへと薄くなる傾向を示している。
【0004】しかし、このようなリ−ドフレ−ムの薄板
化やリ−ドの狭小化はリ−ド強度を低下させ、アセンブ
リ−工程中やデバイス実装時におけるリ−ドの変形を引
き起こす。そこで、このような問題を解決するためには
使用されるリ−ドフレ−ム材料の強度をできるだけ向上
させる必要がある。また、ICの高集積化や多ピン化が
進むと、これに伴い消費電力も大きくなってチップから
発生する熱の放散対策が無視できない重要な問題とな
る。
【0005】このように、半導体機器のリ−ドフレ−ム
材には一般に次のような多岐多用な特性が要求されてい
る。 a) リ−ドが容易に変形することがない機械的強度を有
すること, b) リ−ドフレ−ムのパタ−ン形成に必要な優れたエッ
チング性及びプレス加工性を有すること, c) チップの発熱に対して効率良く熱放散させるための
高い熱伝導率を有すること, d) 電気的特性に優れていること, e) デバイス実装時における半田付け性に優れ、かつ半
田接合部の信頼性が高いこと, f) ボンディングのためのAgメッキ性に優れること, g) 加熱工程で表面が酸化することのない優れた耐酸化
性を有していること, h) 繰り返し曲げ性に優れていること, i) 価格が安価であること。
【0006】しかしながら、これら各種の要求特性に対
し、従来より使用されてきたリン青銅等の銅合金や42
アロイ(42wt%Ni-Fe)には何れも一長一短があり、前記
特性の全てを満足し得るものはなかった。特に、リ−ド
の多ピン化,小型化の進展に伴って形状の複雑化やピン
の狭小化が進み、リ−ドフレ−ム材料に一層良好な強
度,エッチング性及び曲げ加工性が求められていること
を考慮すれば、上記従来材はこれらの点で十分な性能を
有しているとは言い難かった。
【0007】このようなことから、本発明が目的とした
のは、半導体機器のリ−ドフレ−ム材等として要求され
る前記各特性の何れをも満たす材料、特にビッカ−ス硬
さで約200以上の強度(引張強度で65kgf/mm2
上)を有すると共に50%IACS(42アロイの約15倍
程度)以上の導電率を示し、かつ曲げ加工性及びエッチ
ング性にも十分に優れた金属材料を低コストで製造でき
る手段を確立することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意検討を行ったところ、まず次のような
結論に達した。即ち、元々熱伝導度で42アロイをはる
かに上回る銅をベ−スとした銅合金は熱放散性において
他のリ−ドフレ−ム材料に比べ非常に有利である上、電
気的特性,Agめっき性,半田付け性,耐酸化性,延性等
の面でも比較的良好な特性を確保することができる。従
って、これらの特性を損なうことなく薄板化に対応可能
な強度と繰り返し曲げ性,エッチング性等を付与して従
来の銅合金の持つ欠点を改良できれば、半導体機器のリ
−ドフレ−ム材等として優れた材料を実現できると考え
られる。
【0009】そこで、固溶型銅合金に比べ導電率を低下
させずに高強度化が可能な、析出型銅合金の一つである
Cu−Cr−Zr合金に着目して研究を行った結果、「Cu−Cr
−Zr合金にTi及びFeを添加するか、 更にはZn,Sn,In,
Mn,P,MgあるいはSiのの1種又は2種以上をも添加す
ると共に、 それら各成分の含有量割合を厳密に調整した
銅合金を素材とし、 その熱間加工条件を規制して結晶粒
径を制御した上で、 更に特定条件での冷間加工,時効,
最終冷間加工及び最終焼鈍を施すと、 強度,導電率,曲
げ加工性,ばね特性,Agめっき性,半田接合部の信頼性
等の諸性質が一段と改善された材料を得ることができ
る」という知見を得ることができた。
【0010】本発明は、上記知見事項等を基にしてなさ
れたもので、 「Cr:0.05〜0.40%(以降、 成分割合を表す%は重量割
合とする),Zr:0.03〜0.25%, Fe:0.10〜1.80%,
Ti:0.10〜0.80% を含むか、 あるいは更に Zn:0.05〜2.0 %,Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以
上:総量で0.01〜1% のうちの1種又は2種以上を含有すると共に、 “0.10%
≦Ti≦0.60%”ではFe/Ti重量比が0.66〜2.6 を満足
し、 また“0.60%<Ti≦0.80%”ではFe/Ti重量比が1.
1 〜2.6 を満足していて残部がCu及び不可避的不純物か
ら成る銅合金の素材に、 1) 加工開始温度が800℃以上950℃未満、最終加
工温度が600℃以上で、かつ加工終了後は100℃/m
in以上の速度で冷却する熱間加工, 2) 75〜98%の加工度での冷間加工, 3) 300〜550℃の温度での時効処理, 4) 80%以下の加工度での冷間加工, 5) 330〜700℃の温度での焼鈍,なる処理をこの
順に順次施すことによって、 強度,導電率,曲げ加工性
及び半田接合部の信頼性等の諸性質を高いレベルでバラ
ンスさせた電子機器用高力高導電性銅合金材をコスト安
く製造できるようにした点」 に大きな特徴を有している。
【0011】次に、本発明において銅合金素材の成分組
成及び処理条件を前記の如くに数値限定した理由を、そ
の作用と共に詳述する。 A) 成分組成 (a) Cr Cr,Zr,Ti及びFe等を含む本発明に係る銅合金におい
て、Crは合金の溶体化処理に次ぐ時効処理によって母相
中に析出し、その強度及び電気伝導性を向上させる作用
を発揮するが、Cr含有量が0.05%未満では前記作用によ
る所望の効果が得られない。一方、Cr含有量が0.30%付
近を超えると溶体化処理後にも未溶解Crが母相中に残留
するようになり、更にCr含有量が0.40%を超えると粗大
介在物として存在するようになって(圧延垂直断面をエ
ッチングした時にヒゲバリ状粗大介在物として現れ
る)、合金のエッチング性及び繰り返し曲げ性を劣化す
る。従って、Cr含有量は0.05〜0.40%と定めた。
【0012】(b) Zr 本発明に係る銅合金において、Zrは時効処理によりCuと
化合物を形成して母相中に析出しこれを強化する作用を
発揮するが、Zr含有量が0.03%未満では前記作用による
所望の効果が得られず、一方、0.25%を超えて含有させ
ると溶体化処理後にも未溶解Zrが母相中に残留し電気伝
導度及び曲げ加工性を低下させることから、Zr含有量は
0.03〜0.25%と定めた。
【0013】(c) Ti及びFe 本発明に係る銅合金において、Ti及びFeは合金を時効処
理した時に母相中にTiとFeの金属間化合物を形成し、そ
の結果として合金強度を更に向上させる作用を発揮する
が、これらの含有量がそれぞれ0.01%未満では前記作用
による所望の効果が得られない。一方、Ti含有量が0.80
%を超えたり、Fe含有量が1.80%を超える場合には、Ti
とFeを主成分とする未溶解介在物が5μm以上の大きさ
となってエッチング性を著しく阻害する。ここで、注目
すべきは、合金の強度と電気伝導性に及ぼすTi含有量,
Fe含有量の影響であり、合金の強度と電気伝導性はTiと
Feの含有量の和が一定であってもFe/Ti重量比により大
きく変化するという点である。即ち、「0.10%≦Ti≦0.
60%」の範囲ではFe/Ti重量比が0.66未満である場合
に、また「0.60%<Ti≦0.80%」の範囲ではFe/Ti重量
比が1.1 未満であると何れも電気伝導性は著しく低下す
る。これに対し、合金の強度は「0.10%≦Ti≦0.80%」
の全Ti含有量範囲においてFe/Ti重量比がが2.6 を超え
ると減少する。つまり、Fe/Ti重量比に関して電気伝導
性と強度は相反する関係にあり、両者を高位にバランス
させる最適なFe/Ti重量比は、「0.10%≦Ti≦0.60%」
では0.66〜2.6 に、また「0.60%<Ti≦0.80%」では1.
1 〜2.6 ということになる。以上のことを踏まえて、合
金の強度,電気伝導性及びエッチング性を満足させるべ
くTi含有量は0.10〜0.80%、Fe含有量は0.10〜1.8 %と
それぞれ定め、かつ「0.10%≦Ti≦0.60%」ではFe/Ti
重量比を0.66〜2.6 に、また「0.60%<Ti≦0.80%」で
はFe/Ti重量比を1.1 〜2.6 にそれぞれ限定した。
【0014】(d) Zn 本発明に係る合金においてZnは半田の耐熱剥離性を向上
させる作用を発揮し、そのため必要に応じて含有せしめ
られる成分であるが、その含有量が0.05%以下では前記
作用による所望の効果が得られず、一方、2.0 %を超え
て含有させると導電率の低下を招くことから、Zn含有量
は0.05〜2.0 %と定めた。
【0015】(e) Sn,In,Mn,P,Mg及びSi 本発明に係る合金において、Sn,In,Mn,P,Mg及びSi
は何れも合金の導電率を大きく低下させずに主として固
溶強化により強度を向上させる作用を発揮するため、必
要に応じてこれらの1種又は2種以上が添加されるが、
それらの含有量が総量で0.01%未満であると前記作用に
よる所望の効果が得られない。一方、これらの含有量が
総量で1.0 %を超えると合金の導電率及び曲げ加工性が
劣化するようになる。従って、Sn,In,Mn,P,Mgある
いはSiの含有量は総量で0.01〜1%と定めた。
【0016】B) 処理条件 (a) 熱間加工 熱間圧延等の熱間加工は、鋳造組織を無くして再結晶組
織を形成するために行われる工程であるが、熱間加工の
終了後に急冷(水冷等)を行うことにより溶体化処理を
兼ねた効果を発揮せしめることが可能である。従って、
この急冷を取り入れた工程により溶体化処理工程を短縮
でき、製造コストを低減することができる。ここで、溶
体化処理では、基本的には溶体化処理温度の高い方がC
r,Zr,Ti及びFeの固溶量が増加するのでその後の時効
による析出強化が大になると期待されるが、溶体化温度
が高すぎると結晶粒が粗大化して曲げ加工性が劣化する
という問題が生じる。しかるに、本発明に係る組成の合
金について種々調査したところ、溶体化処理を兼ねる熱
間加工の開始温度が950℃以上では平均結晶粒径が6
0μm以上の粗粒となって曲げ加工性を著しく劣化し、
また熱間加工開始温度が800℃未満では十分な強度が
得られないことが明らかとなった。そのため、熱間加工
開始温度は800℃以上950℃未満と定めた。一方、
最終加工温度が低いとCr,Zr,Ti及びFeの析出反応が進
行して十分な強化を期待できなくなる。ただ、本発明に
係る組成の合金では、熱間加工開始温度は800℃以上
950℃未満の範囲である限り、最終加工温度が600
℃以上を満足しておれば強度の大幅な低下を抑止できる
ことも分かった。従って、熱間加工における最終加工温
度を600℃以上と定めた。また、熱間加工後の冷却速
度については、析出反応を抑止する速い冷却速度が要求
されるが、本発明に係る組成の合金の場合は冷却速度が
100℃/min以上であれば強度の低下に大きな影響を及
ぼさないことが明らかとなった。それ故、熱間加工の後
は100℃/min以上の冷却速度で冷却することと定め
た。
【0017】(b) 冷間加工(1回目) 溶体化処理後に冷間加工を行う理由は、高強度化を図る
ために“加工硬化”と“時効工程での析出物の析出速
度”をより促進させることにある。そして、この冷間加
工の加工度を75〜98%と限定したのは、加工度が7
5%未満では冷間加工によって得られる上記効果が不十
分であって所望の強度が得られず、一方、98%を超え
る加工度を加えた場合には曲げ加工性が劣化するためで
ある。
【0018】(c) 時効処理 時効処理は材料の強度及び導電性を向上させるために不
可欠の工程であるが、時効条件が最適化されていないと
所望の強度及び導電率が得られない。即ち、熱間圧延直
後に急冷(水冷)を行い、その後75〜98%の冷間加
工を加えた本発明に係る組成の合金材では、時効温度が
300℃未満であると析出反応が殆ど促進されないので
所望の時効処理効果を確保できず、一方、時効温度が5
50℃を超えると軟化が極度に進行して強度低下を招く
ことから、本発明では時効処理温度を300〜550℃
と限定した。
【0019】なお、上記時効処理は“等温焼鈍(等温時
効)”あるいは“高温から低温に温度を2回以上連続し
て変化させる焼鈍(多段時効)”の何れによって実施し
ても差支えはないが、熱間圧延直後に急冷(水冷)を行
いその後90〜98%の冷間加工を加えた本発明に係る
組成の合金材の示差走査熱量分析測定より、該合金の析
出反応は300〜420℃及び480〜550℃の温度
域で進行することが分かったため、このデ−タを基礎に
して時効条件を以下のように定めるのが良い。イ ) 等温時効を施す場合 等温時効の場合は時効処理温度を330〜550℃に設
定するのが良い。これは、330℃未満では40時間以
上の時効時間が必要となるために現場操業上実際的でな
く、一方、550℃を超えると軟化現象が極度に進行し
強度が低下するためである。ロ ) 多段時効を施す場合 多段時効の場合は、導電率をある程度回復させるために
初段時効は高温とされ、また析出の駆動力を2段目以降
にも残すべく時効時間を短くする。しかも、2段目の時
効温度を初段時効温度より低温にすることにより析出物
サイズ及び分布を細かく制御し、更なる時効硬化の促進
を狙う。なお、この場合も時効処理温度が300℃未満
の温度では析出反応が殆ど進行しないで高温時効後の析
出物サイズ及び分布の制御に長時間を要するので現場操
業上実際的でなく、一方、550℃を超える高温で時効
すると軟化現象が極度に進行し強度が低下するので、時
効処理温度を300〜550℃に設定するのが良い。
【0020】(d) 冷間圧延(2回目) 時効処理後の冷間加工は、加工硬化と析出物の微細化に
より更に著しい強度上昇が確保されるために実施する。
しかし、この際の加工度が80%を超えると曲げ加工性
が著しく劣化することから、2回目の冷間加工での加工
度80%以下と定めた。
【0021】(e) 歪取り焼鈍 最終冷間加工の後、ばね性を向上させると共に延性を回
復させるために330〜700℃の温度で歪取り焼鈍が
施される。なお、この際の焼鈍温度が330℃未満であ
ると十分なばね性と延性を得るために多大な時間を要す
るため現場操業上実際的ではなく、一方、700℃を超
える高温度域では析出物の再溶解が著しくなり、延性及
びばね限界値を制御するためには焼鈍時間を0.1 〜1秒
の精度で厳しく管理する必要がありやはり現場操業上実
際的でなくなる。
【0022】なお、上記製造条件の規定は本発明に係る
“熱間加工以降の工程”に関してのものであり、それ以
前の工程における条件は任意のもので構わない。即ち、
本発明で規定する処理(熱間圧延・急冷→冷間加工→時
効処理→冷間加工→焼鈍)の前に溶体化処理,熱間加
工,中間焼鈍,冷間加工等が実施されたとしてもその条
件については何ら規定する必要はない。
【0023】続いて、本発明の効果を実施例によって更
に具体的に説明する。
【実施例】電気銅を原料として高周波溶解炉で表1及び
表2に示す各種成分組成の銅合金を1200℃で溶製
し、インゴットに鋳造した。そして、このインゴットを
面削した後、表3及び表4に示す条件で熱間圧延し水冷
して板材とした。次に、この熱延板に表3及び表4に示
す条件の冷間圧延,時効処理,最終冷間圧延及び歪取り
焼鈍を順次施し、 0.125mmの板とした。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】次いで、得られたこれら各板材につき、結
晶粒度(平均結晶粒径)を調査すると共に、リ−ドフレ
−ム材としての評価項目として“引張強度", "伸び", "
電気伝導性", "繰り返し曲げ性", "半田付け性", "半田
耐熱剥離性", "Agめっき性"及び "エッチング性" を調
べた。
【0029】ここで、“引張強度" と "伸び" は引張試
験によって測定し、 "電気伝導性"は導電率(%IACS) に
より評価した。なお、引張強度と導電率の評価基準は、
引張強度については65kgf/mm2 以上を可とし、導電率
については50%IACS以上を可とした。"繰り返し曲げ
性" は、「(曲げ半径)/(板厚)=1」の曲げ条件で
同一方向の90度繰り返し曲げ試験を行い、往復を1回
と数える方法で破断するまでの回数を数えて評価した。
なお、繰り返し曲げ性の評価基準は、曲げ回数4回以上
を可(○)とし、曲げ回数4回未満を否(×)とした。
【0030】"半田濡れ性" は、ソルダ−チェッカ−を
用いメニスコグラフによる表面張力法でゼロクロス時間
を測定して評価した。なお、半田は 60%Sn-40%Pbを用
い、半田浴槽温度は230±5℃に設定したが、この
時、ゼロクロス時間が1秒未満を可(○)とし、1秒以
上を否(×)と評価した。"半田耐熱剥離性" は、試料
に約5μm厚の 90%Sn-10%Pb半田メッキを施してから1
50℃の大気中で1000時間まで保持し、この間10
0時間毎に取り出して「(曲げ半径)/(板厚)=1」
の曲げ条件で90度曲げを往復一回行い、曲げ部のめっ
き剥離の有無を調べて評価した。なお、半田耐熱剥離性
の評価基準は、剥離開始時間が500時間を超える場合
は可(○)とし、500時間以下を否(×)とした。
【0031】"銀めっき性" は、試料表面に厚さ約5μ
mの銀めっきを施し、この試料を大気中にて350℃で
3分間加熱した後、銀めっき表面の膨れの有無を観察し
て評価した。なお、銀めっき性の評価基準は、膨れの発
生しなかった場合を可(○)とし、膨れが発生した場合
を否(×)とした。そして、 "エッチング性" は試料を
塩化第二鉄でエッチングして最大介在物サイズを走査型
電子顕微鏡で測定する方法で評価した。なお、エッチン
グ性の評価基準は、最大介在物サイズが1μm未満を良
好(◎),1μm以上5μm未満を可(○),5μm以
上を否(×)とした。これらの評価結果を、表5及び表
6に示す。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】さて、表5及び表6に示される結果からは
次のことが明らかである。即ち、本発明の規定条件を満
たす試験番号1〜26では、得られる板材は何れも65kg
f/mm2 以上の引張強度,50%IACS以上の導電性を有
し、更に繰り返し曲げ性,半田付け性,半田耐熱剥離
性,Agめっき性及びエッチング性の全てに優れているこ
とが分かる。
【0035】これに対して、比較例27はCr含有量が本発
明で規定する上限値を超えているために得られる板材中
の介在物が5μm以上と粗大化しており、エッチング性
及び繰り返し曲げ性を劣化している。比較例28は、Cr含
有量が本発明で規定する下限値を下回っているために得
られる板材は強度が65kgf/mm2 未満と低い。比較例29
は、Zr含有量が本発明で規定する上限値を超えているた
めに得られる板材の繰り返し曲げ性が劣っている。ま
た、比較例28,30及び32は、Cr,ZrあるいはFeの含有量
が本発明で規定する下限値未満であるために得られる板
材の強度が65kgf/mm2 に達していない。
【0036】比較例31は、Ti及びFeの各含有量が本発明
で規定する上限値を超えているために得られる板材の伝
導率が50%IACS未満に減少し、更に繰り返し曲げ性,
Agめっき性及びエッチング性が劣化している。比較例3
3,36及び38は、Fe/Ti重量比が本発明で規定する下限
値未満であるために得られる板材の伝導率が50%IACS
未満に低下しており、一方、比較例34,35及び37はFe/
Ti重量比が本発明で規定する上限値を上回っているので
得られる板材の強度が65kgf/mm2 未満と低い。
【0037】また、比較例39は、Zn含有量が本発明で規
定する上限値を上回っているので得られる板材の導電率
が低くなっている。これに対して、比較例40〜43はZn含
有量が本発明で規定する下限値を下回っているか含有さ
れていないため、他の成分の影響はあるものの得られる
板材の半田耐熱剥離時間が500時間以下と劣った結果
となっている。比較例41〜47は、Sn,In,Mn,P,Mg及
びSiの総量が本発明で規定する上限値を上回っており、
得られる板材の導電率が低下している。
【0038】そして、比較例55は熱間圧延開始温度が本
発明で規定する上限値を超えていて結晶粒が粗大化した
ために得られる板材の繰り返し曲げ性が劣化している。
これに対し、比較例51は熱間圧延開始温度が本発明で規
定する下限値を下回った場合であり、また比較例48は熱
間圧延終了温度が本発明で規定する下限値を下回った場
合、更に比較例49は熱間圧延終了後の冷却速度が100
℃/minよりも低い場合であるが、何れも析出反応が進行
して強度が低下している。比較例52及び53は、時効温度
が本発明で規定する上限値を超えているため板材の軟化
が進行し、得られる板材の強度が低下している。比較例
54は、焼鈍温度が700℃を超えているため再溶解が極
度に進行し、得られる板材の強度及び導電率が共に低下
している。
【0039】比較例50は、1回目冷間加工の加工度が本
発明で規定する下限値を下回っているために得られる板
材の強度が低下している上に、2回目冷間加工の加工度
が本発明で規定する上限値を超えているため繰り返し曲
げ性も劣化している。
【0040】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、引張強度,伸び,電気伝導性,曲げ加工性,エッチ
ング性,Agめっき性,半田付け性及び半田耐熱剥離性が
高く、表面特性や信頼性にも優れた“リ−ドフレ−ム材
等の電子機器用として好適な高力高導電性銅合金材”を
安定して製造することが可能となり、電子機器の性能向
上に大きく寄与し得るなど、産業上極めて有用な効果が
もたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22F 1/00 630 8719−4K C22F 1/00 630K 661 8719−4K 661A 683 8719−4K 683 685 8719−4K 685Z 686 8719−4K 686B 691 8719−4K 691B 8719−4K 691C 692 8719−4K 692A 694 8719−4K 694A

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量割合にて Cr:0.05〜0.40%, Zr:0.03〜0.25%, Fe:0.
    10〜1.80%,Ti:0.10〜0.80%を含有すると共に、「0.
    10%≦Ti≦0.60%」ではFe/Ti重量比が0.66〜2.6 を満
    足し、また「0.60%<Ti≦0.80%」ではFe/Ti重量比が
    1.1 〜2.6 を満足していて残部がCu及び不可避的不純物
    から成る銅合金の素材に、 1) 加工開始温度が800℃以上950℃未満、最終加
    工温度が600℃以上で、かつ加工終了後は100℃/m
    in以上の速度で冷却する熱間加工, 2) 75〜98%の加工度での冷間加工, 3) 300〜550℃の温度での時効処理, 4) 80%以下の加工度での冷間加工, 5) 330〜700℃の温度での焼鈍,なる処理をこの
    順に順次施すことを特徴とする、電子機器用高力高導電
    性銅合金材の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量割合にて Cr:0.05〜0.40%, Zr:0.03〜0.25%, Fe:0.
    10〜1.80%,Ti:0.10〜0.80%, Zn:0.05〜2.0 %
    を含有すると共に、「0.10%≦Ti≦0.60%」ではFe/Ti
    重量比が0.66〜2.6 を満足し、また「0.60%<Ti≦0.80
    %」ではFe/Ti重量比が1.1 〜2.6 を満足していて残部
    がCu及び不可避的不純物から成る銅合金の素材に、 1) 加工開始温度が800℃以上950℃未満、最終加
    工温度が600℃以上で、かつ加工終了後は100℃/m
    in以上の速度で冷却する熱間加工, 2) 75〜98%の加工度での冷間加工, 3) 300〜550℃の温度での時効処理, 4) 80%以下の加工度での冷間加工,5) 330〜70
    0℃の温度での焼鈍,なる処理をこの順に順次施すこと
    を特徴とする、電子機器用高力高導電性銅合金材の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 重量割合にて Cr:0.05〜0.40%, Zr:0.03〜0.25%, Fe:0.
    10〜1.80%,Ti:0.10〜0.80%を含み、更に Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以上:総量で0.01〜1
    %を含有すると共に、「0.10%≦Ti≦0.60%」ではFe/
    Ti重量比が0.66〜2.6 を満足し、また「0.60%<Ti≦0.
    80%」ではFe/Ti重量比が1.1 〜2.6 を満足していて残
    部がCu及び不可避的不純物から成る銅合金の素材に、 1) 加工開始温度が800℃以上950℃未満、最終加
    工温度が600℃以上で、かつ加工終了後は100℃/m
    in以上の速度で冷却する熱間加工, 2) 75〜98%の加工度での冷間加工, 3) 300〜550℃の温度での時効処理, 4) 80%以下の加工度での冷間加工, 5) 330〜700℃の温度での焼鈍,なる処理をこの
    順に順次施すことを特徴とする、電子機器用高力高導電
    性銅合金材の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量割合にて Cr:0.05〜0.40%, Zr:0.03〜0.25%, Fe:0.
    10〜1.80%,Ti:0.10〜0.80%, Zn:0.05〜2.0 % を含み、更に Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以上:総量で0.01〜1
    % を含有すると共に、「0.10%≦Ti≦0.60%」ではFe/Ti
    重量比が0.66〜2.6 を満足し、また「0.60%<Ti≦0.80
    %」ではFe/Ti重量比が1.1 〜2.6 を満足していて残部
    がCu及び不可避的不純物から成る銅合金の素材に、 1) 加工開始温度が800℃以上950℃未満、最終加
    工温度が600℃以上で、かつ加工終了後は100℃/m
    in以上の速度で冷却する熱間加工, 2) 75〜98%の加工度での冷間加工, 3) 300〜550℃の温度での時効処理, 4) 80%以下の加工度での冷間加工, 5) 330〜700℃の温度での焼鈍,なる処理をこの
    順に順次施すことを特徴とする、電子機器用高力高導電
    性銅合金材の製造方法。
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