JP2673574B2 - 研磨テープの製造方法 - Google Patents

研磨テープの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、磁気ヘッドや磁気メディアの仕上げ研磨、
さらには、金型の精密仕上げ研磨等に使用される研磨テ
ープの製造方法に関するものである。
「従来の技術」 精密機械部品や精密電子部品等に使用される磁気ヘッ
ドや磁気ディスク等の表面は、例えば、ミクロンあるい
はサブミクロンオーダー以下の精密表面に仕上げられる
ことが、近年、しばしば要望されており、前述の要望に
対して、例えばポリエステル等による合成樹脂フィルム
や合成紙等からなる研磨テープ用基材に、硬度の高い無
機質微粉末からなる研磨剤粒子を樹脂液中に分散させた
研磨剤粒子の分散樹脂液を塗布,乾燥することによって
得られた研磨テープ(特公昭53−44714号公報)による
研磨加工が施されている。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、前記研磨テープ用基材に対して適用される
前記無機質微粉末の分散液からなる樹脂液は、該樹脂液
中に分散される無機質微粉末が水分を含有している場合
には、前記含有水分が、無機質微粉末の1次粒子を2次
粒子以上の凝集体すなわち凝集粒子にならせる現象を助
長するものであり、精度の良好な研磨層が得られなくな
る。
このため、通常は、前記樹脂液中に無機質微粉末たる
研磨剤粒子を分散させる工程に先立って、利用される無
機質微粉末を予め加熱,乾燥させる工程を経るのが普通
である。
しかして、前記加熱工程によって含有水分が除去され
た後の無機質微粉末が樹脂液中に分散される際に、前記
無機質微粉末が前記乾燥のための加熱工程後常温にまで
冷却されることなく、直ちに樹脂液中に分散されるよう
な場合には、研磨テープ用基材に適用される樹脂液の温
度が上昇し、その結果、樹脂液中の溶剤が蒸発してしま
い、樹脂液の組成成分が変化するため、品質の安定した
研磨層を形成することができないという欠点を有してい
る。
また、前記乾燥のための加熱工程を経た無機質微粉末
が常温にまで冷却された後に、所定の樹脂液中に分散さ
れる場合には、前記乾燥無機質微粉末に対して冷却工程
を付さなければならないことの煩雑性があるばかりでな
く、前述の冷却工程中に無機質微粉末が再度水分を含有
してしまうというような問題をも有している。
これに対して、本発明の研磨テープの製造方法は、樹
脂液中に研磨剤として分散される無機質微粉末の含有水
分を容易かつ確実に除去するものであり、含有水分の除
去後に煩雑な冷却工程を何ら経ることなくして、しか
も、安定した組成成分の無機質微粉末の分散樹脂液を、
研磨テープ用基材に対して適用するものであり、精度の
高いしかも安定した品質の研磨テープが、容易,かつ、
確実に得られる方法を提供するものである。
「課題を解決するため手段」 本発明の研磨テープの製造方法は、研磨テープ用基材
の少なくとも片面に適用される研磨剤粒子の分散樹脂
液、すなわち、研磨層形成用の樹脂液として、予め、常
温,減圧下で乾燥させた乾燥済みの研磨剤粒子をバイン
ダー用樹脂液中に分散させた研磨剤粒子分散樹脂液を使
用するものであり、前記研磨テープ用基材の少なくとも
片面に前記樹脂液を塗布,乾燥することによって研磨層
を形成し、さらに、必要に応じて所定の寸法に裁断する
工程を経て、目的製品である研磨テープを得るものであ
る。
前記構成からなる本発明の研磨テープの製造方法にお
いて、研磨テープ用基材には、機械的強度,寸法安定
性,耐熱性等において優れた性質を有する厚さ12〜150
μ程度の樹脂フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート,ポリプロピレン,ポリカーボネート,ジ−酢酸
アセテート,トリ−酢酸アセテート,ポリエチレン,ポ
リブチレンテレフタレート,ポリアリレート等による樹
脂フルムが利用されるのが好ましい。
また、研磨剤粒子として利用される無機質微粉末は、
この種の研磨テープにおける研磨層の形成に使用される
通常の無機質微粉末、例えば、酸化アルミニュウム,炭
化珪素,酸化ジルコニュウム,酸化クロム,酸化鉄,ダ
イヤモンド,窒化ホウ素,エメリー,酸化セリウム等か
らなる無機質微粉末であり、1次粒子の平均粒径が0.1
〜60μの無機質微粉末が使用される。
前記研磨剤粒子として利用される無機質微粉末は、常
温,減圧下での乾燥工程によって無機質微粉末中に含有
されている水分が除去された後に、バインダー用樹脂液
中に分散され、研磨剤粒子の分散樹脂液とされるもので
あり、前記無機質微粉末の乾燥には、一般的に、10-1
10-8Torr程度の減圧条件が使用されるのが好ましい。
研磨層形成用の前述のバインダー用樹脂には、例え
ば、ポリエステル樹脂,塩・酢ビ樹脂,ポリウレタン樹
脂,ブチラール樹脂,ポリアミド樹脂,エポキシ樹脂,
アクリル樹脂,硝化綿,塩化ゴム等の単独樹脂または2
種以上の混合樹脂が使用され、通常は、バインダー用樹
脂100重量部に対して研磨剤粒子たる無機質微粉末が100
〜1400重量部程度の割合で使用される。
また、前記研磨層形成用の無機質微粉末分散樹脂液に
は、前記バインダー用樹脂の種類に応じた溶剤、例え
ば、トルオール,キシロール,メチルエチルケトン,メ
チルイソブチルケトン,アノン,酢酸エチル,酢酸ブチ
ル等からなる溶剤あるいはこれらの2種以上の混合溶剤
が使用され、粘度10〜10000cps程度の無機質微粉末分散
樹脂液に調製されるものであり、一般的には、厚さ3〜
100μ程度の研磨層が得られるようにして、前述の研磨
テープ用基材に適用される。
なお、前記研磨層形成用の無機質微粉末分散樹脂液に
は、前述の研磨剤粒子たる無機質微粉末およびバインダ
ー用樹脂のほかに、例えば、分散剤,帯電防止剤,染料
等の添加剤が適宜配合され得るものであり、更には、得
られる研磨層の耐摩耗性,耐溶剤性,耐熱性等を向上さ
せると共に、研磨層と研磨テープ用基材との間の密着特
性を向上させる等のために、イソシアネート系の硬化剤
が配合されることもある。
さらに、前記無機質微粉末の分散樹脂液を前記研磨テ
ープ用基材に適用する際には、例えば、2本ロール,3本
ロール,4本ロール等によるロールコートをはじめ、グラ
ビアコート、キスコート、ナイフコート、バーコート、
ロッドコート、コンマコート、スプレーコート、パーク
コート等のコーティング方法が利用されるものであり、
特に、ロールコートとグラビアコートとにおいては、ダ
イレクト法とリバース法との両者が使用し得る。
またさらに、得られる研磨テープの用途に応じては、
研磨テープ用基材面に対して形成された研磨層は、カレ
ンダー加工等の後加工処理に付されることもある。
「発明の作用,効果」 本発明の研磨テープの製造方法は、常温,減圧下で乾
燥させることによって、含有水分が除去されている乾燥
研磨剤を得る工程と、前記得られた乾燥研磨剤を、バイ
ンダー用樹脂液中に分散させ、得られた研磨剤粒子の分
散樹脂液を研磨テープ用基材の少なくとも片面に塗布,
乾燥する工程とからなるものである。
しかして、本発明の研磨テープの製造方法において
は、樹脂液中に分散される無機質微粉末からなる研磨剤
粒子の含有水分が、常温,減圧下での乾燥工程によって
除去されているものであり、無機質微粉末の1次粒子を
2次粒子以上の凝集体すなわち凝集粒子にならせる現象
を助長する含有水分を除去する前記乾燥工程後、無機質
微粉末を樹脂液中に分散させる前に、前記乾燥無機質微
粉末を冷却させるというような煩雑性がないだけでな
く、得られる無機質微粉末の分散樹脂液の組成成分が変
化するようなこともなく、また、乾燥工程後に樹脂液中
に分散される迄の途中で無機質微粉末が再度水分を含有
してしまうというようなこともなく、品質の高い研磨層
を有する研磨テープが、容易に、しかも、安定して得ら
れるという作用,効果を奏するものである。
「実 施 例」 以下、本発明の研磨テープの製造方法の具体的な構成
について説明する。
実施例 酸化アルミニウム微粉末「不二見研磨材工業(株):W
A#10000」を、常温,減圧(10-4Torr)室に24時間放置
することからなる乾燥処理に付して含有水分を除去し、
引き続き直ちに、前記乾燥酸化アルミニウム微粉末から
なる研磨剤粒子200重量部を、ポリエステル樹脂「東洋
紡績(株):バイロン#300」40重量部とトルエン60重
量部とメチルエチルケトン60重量部とによるバインダー
用樹脂液中に混合し、さらに、サンドミルで固形成分を
良く分散させることによって、研磨剤粒子分散樹脂液を
得た。
次いで、前記分散工程に続いて、トルイレンジイソシ
アナート「住友バイエル(株):スミジュールF−80」
を、該トルイレンジイソシアナートにおけるイソシアナ
ート基(−NCO)と、前記得られた樹脂液におけるポリ
エステル樹脂の水酸基(−OH)との当量比、すなわち、
(−NCO)/(−OH)が3となるように、前記樹脂液に
添加し、引き続いて、トルエンとメチルエチルケトンと
の等量混合溶剤で希釈し、粘度100cpsの塗工用の研磨剤
粒子分散樹脂液を得た。
しかる後に、前記塗工用の研磨剤粒子分散樹脂液を、
厚さ50μのポリエチレンテレフタレートフイルムからな
る研磨テープ用基材に、3本リバースロールコート法で
塗布,乾燥し、さらに、40℃,7日間のエージング処理に
付した後、幅10mmのテープに裁断することによって、厚
さ10mmの研磨層を有する本発明方法の目的製品である研
磨テープを得た。
比較例 酸化アルミニウム微粉末「不二見研磨材工業(株):W
A#10000」の含有水分を除去する乾燥工程を、150℃,1
時間の加熱によって行ない、これに続いて自然冷却によ
って前記酸化アルミニウム微粉末を常温にまで冷却した
後にバインダー用樹脂液中に混合することによって行な
う以外の対応工程は、全て前記実施例1と同一の工程を
付すことによって、比較のための研磨テープを得た。
「実験」 前記実施例及び比較例で得られた各研磨テープを使用
して、フロッピーディスク100個宛の研磨仕上げを行な
ったところ、研磨不良となった製品数は、 実施例で得られた研磨テープによる場合 ……1個 比較例で得られた研磨テープによる場合 ……7個。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常温,減圧下で乾燥させた乾燥研磨剤をバ
    インダー用樹脂液中に分散させ、得られた研磨剤粒子の
    分散樹脂液を研磨テープ用基材の少なくとも片面に塗
    布,乾燥することを特徴とする研磨テープの製造方法。
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