JP2672665B2 - ガス絶縁開閉装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、金属容器内部に収納した高電圧導体を、金
属容器内部に封入したSF6ガスなどの絶縁ガスによって
絶縁したガス絶縁開閉装置に関するもので、特に、機器
の開閉時に発生する誘導サージによって隣接する金属容
器に生ずる放電による影響を解消するようにしたもので
ある。

（従来の技術） 最近の開閉設備においては、スペースの縮小とか、環
境調和、保守点検の合理化のため、超高圧の開閉装置に
まで、SF6ガスなどで絶縁されたいわゆるガス絶縁開閉
装置が使用されるようになっている。即ち、このガス絶
縁開閉装置は、第３図に示すように、接地金属容器１内
に絶縁支持部材を介して高電圧導体２を支持し、この高
電圧導体上に開閉器３を設けたものである。各接地金属
容器１は、隣接する金属容器１に対して絶縁部４を介し
て接続されている。この絶縁部４の構造は、一例とし
て、第４図（Ａ）又は（Ｂ）に示すものである。

まず、第４図（Ａ）の絶縁部４では、左右の金属容器
1a,1bの端部にフランジ11a,11bが一体に形成され、これ
らフランジ11a,11bの間に、絶縁支持部材５の外周にフ
ランジ部材６を一体に設けられた絶縁スペーサ12が挟持
されている。絶縁支持部材５とフランジ11a,11bの接触
面には、金属容器内に封入したSF6ガスの洩れを防止す
るＯリング13が設けられている。絶縁スペーサ12と左右
のフランジ11a,11bとは、絶縁板14を挟んで、スタッド1
5とナット16によって締付け固定されている。この場
合、金属容器1bのフランジ11bとスタッド15との間に
は、各金属容器1a,1b間の絶縁を確保するように、絶縁
パイプ17と絶縁ワッシャ18が設けられている。一方、第
４図（Ｂ）は、基本的には第４図（Ａ）と同様である
が、絶縁スペーサ12が絶縁支持部とフランジ部とを有す
る単一部材として設けられている点、及び絶縁板14を設
けることなく絶縁スペーサ12が直接フランジ11a,11bに
よって挟持される点が相違している。

この様な絶縁部４を有するガス絶縁開閉装置において
は、開閉器３の開閉時、内部の高電圧導体２の誘導を受
け、金属容器１に誘導サージが発生する。この誘導サー
ジは通常数MHzの高周波となり、金属容器１を移動する
が、開閉器３は通常の外装形計器用変流器等の他の機器
の金属容器とその接続部で絶縁していることから、この
絶縁部に誘導サージが達すると、絶縁部の最小ギャップ
部分で放電を生じる。例えば、第４図（Ａ）（Ｂ）のよ
うな構造の絶縁部では、絶縁板14や絶縁ワッシャ18部分
で放電を生じることになる。そして、この様な放電の結
果、絶縁物の劣化が生じたり、放電火花による周囲環境
への影響が心配されている。

この様な絶縁部における問題点を解決するために、従
来では、絶縁部をカバーで覆ったり、第５図に示すよう
に、スタッド15とナット16を利用して、左右の金属容器
のフランジ11a,11bにそれぞれ取付板20a,20bを固定し、
この取付板20a,20b間に放電用のコンデンサ、抵抗素
子、ギャップ21を取付けるなどの対策がなされてきた。

（発明が解決しようとする課題） ところが、絶縁部をカバーで覆うことは、周囲環境へ
の影響については解決策となるものの、絶縁物の劣化な
どには根本的な対策とならず、好ましい手段ではなかっ
た。

また、第５図のように、放電用のコンデンサや抵抗素
子を取付けた場合は、それが不具合を起こすと絶縁部を
通電してしまうと、金属容器間の絶縁を確保できなくな
る欠点があった。また放電ギャップは、そのギャップ調
整と取付方法が難しい欠点があった。更に、第５図の従
来型では、隣接する金属容器1a,1bのフランジの外側か
ら左右の取付板20a,20bを設けているため、現地での金
属容器の接続後でなければギャップ21を取付けることが
できず、工場組立時にギャップ21などの取付を行うこと
ができない欠点があった。また、ギャップ21などがフラ
ンジの外側に大きく突出するため、余分な取付スペース
が必要な欠点もあった。

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、
ギャップの調整を簡単に行うことができ、工場取付が可
能で、ギャップがフランジ外周に突出することがなく、
効率の良い誘導サージ対策を可能としたガス絶縁開閉装
置を提供することを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明は、上記の目的を達成するために、隣接する金
属容器端部に設けたフランジをスタッドによって締付け
て、金属容器と隣接する金属容器とを接続して成るガス
絶縁開閉装置において、 前記スタッドの一端を一方の金属容器のフランジに電
気的に接続すると共に、このスタッドの他端を隣接する
金属容器のフランジ表面から絶縁状態で突出させ、この
突出部分に第１の端子を固定し、一方、隣接する金属容
器のフランジ表面には第２の端子を突出固定し、前記第
１の端子と第２の端子の間に絶縁ギャップを形成したこ
とを構成上の特徴とするものである。

（作用） 上記のような構成を有する本発明においては、一方の
金属容器のフランジ表面から突出させたスタッドに固定
した第１の端子と、同じフランジ表面に設けた第２の端
子との間にギャップを設けたので、このギャップが同じ
フランジ表面に形成されることになり、フランジ外周に
突出することがなくなる。

また、一方の金属容器のフランジ表面に第１、第２の
端子が共に設けられるので、金属容器の接続前でも片側
の金属容器よりフランジ表面にギャップを設けることが
可能となるので、工場組立時にギャップの取付が可能と
なる。

更に、ギャップの調整もフランジの片面だけで行える
ので、容易に実施できる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を第１図及び第２図により説明
する。なお、これら第１図及び第２図は、前記従来技術
の第４図（Ａ）（Ｂ）の金属容器1aのフランジ11a部分
の平面図、円筒状の金属容器1aの円周方向に沿って所定
間隔で設けられた複数本のスダッド15のうち隣接する２
本のスタッド15の先端部を示している。

第１実施例 まず、第１図に示す実施例において、金属容器1aのフ
ランジ11aの表面から突出している２本のスタッド15
は、絶縁ワッシャ18及び第４図（Ａ）（Ｂ）に示された
絶縁パイプ17によって金属容器1a及びそのフランジ11a
から絶縁されているもので、この金属容器1aに隣接する
他の金属容器1bに対しては、第４図（Ａ）（Ｂ）に示す
ように電気的に接続されている。

これら２本のスタッド15には、座金30及びナット31が
捩じ込まれ、これらスタッド15とナット31によってこの
金属容器1aのフランジと隣接する金属容器1bのフランジ
11bとが締付け接続されている。２本のスタッド15の先
端には、それぞれ取付板を兼ねた第１の端子32の基部が
挿入され、この第１の端子32はその外側から捩じ込んだ
ナット33によってスタッド15に固定されている。２本の
スタッド15にそれぞれ取付けた第１の端子32は、その先
端が対向するように相手側の端子先端に突出しており、
これら２つの第１の端子32の間に、第２の端子34が配置
されている。即ち、この第２の端子34は、金属容器1aの
フランジ11a表面に電気的に接続された状態で固定さ
れ、その先端部側面と前記各第１の端子32の先端との間
にギャップ35が設けられている。

この様にして形成された第１の端子32と第２の端子34
のギャップ35の外側には、このギャップ35を覆うカバー
36が設けられている。このカバー36の基部は、一例とし
て２つの第１の端子32に固定されている。

本実施例は、上記のように隣接する金属容器1bと電気
的に接続され、かつ金属容器1aのフランジ11a表面から
絶縁されて突出した第１の端子32と、金属容器1aのフラ
ンジの電気的に接続された第２の端子34との間に放電ギ
ャップ35を設けたものであるから、金属容器内部の高電
圧導体の誘導サージによる放電は、このギャップ35で放
電されることになり、他の部分では放電が生じて絶縁部
材の劣化を招くようなことがなくなる。また、第１、第
２の端子のいずれも一方の金属容器のフランジ11aの表
面に突出しているので、フランジの外周側にギャップが
突出してスペース性が悪くなることもない。更に、スタ
ッド15の片側に第１の端子を取付け、第２の端子もフラ
ンジ表面に直接固定するものであるから、従来のように
両方のフランジ11a,11bをスタッド15で固定してからで
ないとギャップの取付けができないものに比較して、ギ
ャップの取付けが簡単になり、金属容器の接続前、即ち
工場組立時でもギャップの取付けが可能となる。また、
ナット33を緩めて、第１の端子32の締付け位置を変える
だけで、ギャップ35の間隔も容易に調整できる。

第２実施例 次に、第２図に示す本発明の第２実施例を説明する。
この第２実施例は、前記第１実施例と基本的には同様な
構成であるが、２本のスタッド15に直接第１の端子を設
けることなく、取付板を介して第１の端子を設けたもの
である。

即ち、第２実施例においては、２本のスタッド15にカ
バーを兼用した取付板40がナット33を用いて固定されて
いると共に、この取付板40の中央部に、第１の端子41が
フランジ11a上に固定した第２の端子34の先端に対向し
て設けられている。この第１の端子41は、取付板40に対
してナット42を介して固定され、このナット42を回動さ
せることによって、第１の端子先端と第２の端子先端と
の間に形成されたギャップ43の間隔を調整できるように
なっている。

この第２実施例でも前記第１実施例と同様な作用効果
が期待できるが、特に、第１の端子を取付板40にナット
42を利用して取付けた結果、ギャップ43の間隔をより簡
単に調整できる利点がある。

他の実施例 本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、
例えば第１図及び第２図の実施例において、第１の端子
32や取付板40を１本のスタッド15に片持ち式に取付ける
こともできる。また、フランジ11a上に固定した第２の
端子をスタッド側の第１の端子に対して進退自在として
ギャップの調整を行うことも可能である。

［発明の効果］ 以上の通り、本発明は、隣接する金属容器に対して電
気的に接続されたスタッドに第１の端子を設け、こちら
側の金属容器のフランジには第２の端子を電気的に接続
した状態で固定するという簡単な手段により、放電ギャ
ップをフランジの表面に配置することが可能となり、そ
の結果、ギャップの取付けが容易で、スペース性に優
れ、ギャップ調整が簡単な放電ギャップを有するガス絶
縁開閉装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のガス絶縁開閉装置の第１実施例の要部
を示す平面図、第２図は同じく第２実施例の要部を示す
平面図、第３図はガス絶縁開閉装置における誘導サージ
発生の原理図、第４図（Ａ）は従来のガス絶縁開閉装置
の金属容器接続部分の断面図、第４図（Ｂ）は同じく金
属容器接続部分の他の例を示す断面図、第５図は従来の
ガス絶縁開閉装置のギャップ部分を示す側面図である。 1a,1b……金属容器、２……高電圧導体、３……開閉
器、４……絶縁部、５……絶縁支持部材、６……フラン
ジ部材、11a,11b……フランジ、12……絶縁スペーサ、1
3……Ｏリング、14……絶縁板、15……スタッド、16…
…ナット、17……絶縁パイプ、18……絶縁ワッシャ、20
a,20b……取付板、21……ギャップ、30……座金、31…
…ナット、32……第１の端子、33……ナット、34……第
２の端子、35……ギャップ、36……カバー、40……取付
板、41……第１の端子、42……ナット、43……ギャッ
プ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接地された金属容器内に絶縁支持部材を介
   して高電圧導体を固定し、金属容器内部には絶縁ガスを
   封入し、金属容器端部にはフランジを一体に形成し、こ
   のフランジと隣接する金属容器に設けたフランジとを絶
   縁物を介してスタッドによって締付けて、金属容器と隣
   接する金属容器とを接続して成るガス絶縁開閉装置にお
   いて、 前記スタッドの一端を一方の金属容器のフランジに電気
   的に接続すると共に、このスタッドの他端を隣接する金
   属容器のフランジ表面から絶縁状態で突出させ、この突
   出部分に第１の端子を固定し、一方、隣接する金属容器
   のフランジ表面には第２の端子を突出固定し、前記第１
   の端子と第２の端子の間に絶縁ギャップを形成したこと
   を特徴とするガス絶縁開閉装置。
2. 【請求項２】隣接する金属容器のフランジ部から突出し
   たスタッドボルトの端部に取付板を固定し、この取付板
   に第１の端子を、絶縁ギャップの寸法を調整可能に取付
   けた特許請求の範囲第１項記載のガス絶縁開閉装置。