JP2672203B2 - 孔開け加工機 - Google Patents

孔開け加工機

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JP2672203B2
JP2672203B2 JP3135324A JP13532491A JP2672203B2 JP 2672203 B2 JP2672203 B2 JP 2672203B2 JP 3135324 A JP3135324 A JP 3135324A JP 13532491 A JP13532491 A JP 13532491A JP 2672203 B2 JP2672203 B2 JP 2672203B2
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正行 西脇
隆 渡辺
顕 後藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ光を用いて孔開け
を行なう孔開け加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光を用いてワークに対して所定形
状、寸法の孔開けを行なうのは主としてその加工精度が
高い点に注目してのことである。特に、コンピューター
やワードプロセッサに附帯する、インクを吐出させるこ
とで記録を行なうプリンタのインク吐出部(以下、「イ
ンクジェットヘッド」という。)のインク吐出口の孔
は、その加工精度がそのまま、インク吐出量、吐出方向
などに影響するので、この加工には細心の注意が必要で
ある。
【0003】なお、上記インクジェットヘッドはインク
ジェット記録方式の中でも、とくに熱エネルギーを利用
してインクを吐出する方式の記録ヘッドに採用されてい
る。そして、上述のような熱エネルギーを利用してイン
クを吐出する記録装置の代表的な構成および原理は、例
えば米国特許第4723129号、同第4740796
号明細書などに開示されており、所謂、オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である。
この方式は例えばオンデマンド型をあげて説明すると、
液体(インク)が保持されているシートや液路に対応し
て電気熱変換体を配設し、該電気熱変換体に駆動信号に
応じて熱エネルギーを発生させ、記録ヘッドの熱作用面
に膜沸騰を起し、上記駆動信号に一対一で対応した気泡
を液体(インク)内に形成し、この気泡の成長、収縮で
吐出口より液体(インク)を液滴の形で吐出させるので
ある。ここで与える駆動信号は米国特許第446335
9号、同第4345262号明細書に開示されているよ
うなパルス信号が望ましいものである。また、上記熱作
用面の温度上昇率については米国特許第4313124
号明細書に開示された条件が採用されるとよい。
【0004】上記インクジェットヘッドの構成は、上述
した各明細書に開示されているような吐出口、液路(直
線状液流路又は直角液流路)、電気熱変換体の組合わせ
で成るが、このほかにも、熱作用部が屈曲する領域に配
置されている、例えば米国特許第4558333号、同
第4459600号明細書に開示されている構成であっ
てもよい。更には、上記インクジェットヘッドの構成は
複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気
熱変換体の吐出部とする構成、例えば特開昭59−12
3670号公報所載の構成、あるいは熱エネルギーの出
力波を吸収する開孔を吐出部に対応した構成、例えば特
開昭59−138461号公報所載の構成であってもよ
い。なお、上述した明細書に所載の記録ヘッドは、複数
記録ヘッドを組合わせて所定幅に対応できる長さを確保
しているが、1つの記録ヘッドで所定幅(記録装置が記
録できる最大記録媒体の幅)に対応した長さに構成して
もよい。
【0005】また、上記インクジェットヘッドの構成
は、装置本体に装着されることで電気的(電気熱変換体
のため)な接続ができ、さらにインクの供給をうける交
換可能なチップタイプあるいは記録ヘッド自体に設けら
れるカートリッジタイプとしてもよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インク
ジェットヘッドなどのワークに対してレーザによる孔開
けを行なう場合、下記のような問題点がある。
【0007】(1)レーザ光を一点に絞って一個ずつ孔
を開けるのでは時間がかかり、作業能率がわるい。
【0008】(2)孔の大きさはレーザ光の強さに大き
く影響するが、エキシマレーザが発するレーザ光はエネ
ルギー分布が均一でないため、前記レーザ光を一点に絞
って開けを行なう場合、孔の大きさが均一にならず希望
する形状の孔が開けられない。
【0009】(3)マスクやワークの材質、形状を変え
ることなく、孔面積の大きな孔を開けるには、ワークに
照射するレーザのエネルギー密度を大きくしなければな
らない。
【0010】本発明は、上記従来の技術が有する問題点
に鑑みてなされたもので、ワークに対し一時に所望数の
均一な孔を開けることができる孔開け加工機を提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、エキシマレー
ザからの照射によってワークに所定形状の孔を開ける孔
開け加工機において、ワークに開ける孔に対応して所定
の微細孔が形成され、該微細孔を介して前記エキシマレ
ーザからのレーザ光を前記ワーク側へ透過するマスク
と、該マスクの微細孔を介して前記ワークに所定形状の
光像を投影する投影光学系と、ワーク位置を測定して該
ワークを移動させる、光学的手段による測定系および移
動系とを具備したものである。
【0012】そして、エキシマレーザとマスクとの間の
レーザ光路上に、フライアイレンズおよびフィールドレ
ンズを、エキシマレーザ側から順に配置するとともに、
前記エキシマレーザとフライアイレンズとの間のレーザ
光路上に、前記エキシマレーザが発するレーザ光を、前
記フライアイレンズに合ったビームに整形するビーム整
形光学系を配置し、このビーム整形光学系が、レーザ光
を、そのレーザ光軸とマスクの微細孔の並び方向とでつ
くる平面に対して垂直な方向に、フライアイレンズの列
数にあった数のビームに分離する分離光学系を有する
とを特徴とする。ビーム整形光学系の分離光学系プリ
ズムで構成される場合もある。
【0013】
【作用】本発明の孔開け加工機は、エキシマレーザが発
したレーザ光をマスクに照射し、該マスクに形成されて
いる微細孔を通過したレーザ光像を、投影光学系を介し
てワークの所定の加工位置に結像させることによって孔
開けを行なうものであり、前記マスクに所望数の微細孔
を形成することにより、同時に複数の孔開けが可能とな
る。また、前記ワークの加工位置とレーザ光像とは、光
学的手段の測定系によって前記ワークを観測しながら、
移動系を駆動して、前記加工位置とレーザ光像とが一致
するように前記ワークを移動させることで位置合わせさ
れる。そして、レーザ光はフライアイレンズおよびフィ
ールドレンズを介してマスクに照射され、しかもフライ
アイレンズの列数に合った数のビームに分離されている
ので、レーザ光のエネルギー密度が高く、エネルギー分
布が均一である。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0015】図1および図2は、それぞれ、本発明の孔
開け加工機の一実施例を示す平面図および側面図であ
る。
【0016】本実施例の孔開け加工機は、エキシマレー
ザを用いたレーザ光源10が発する紫外光のレーザ光P
を、開けようとする孔に対応して所望の形状にするマス
ク30を通し、該マスク30を通過したマスク像を、前
記レーザ光Pに直交するように位置合わせして装着され
たインクジェットヘッド等のワークWに照射して該ワー
クWにインク吐出口等の孔を開けるものである。
【0017】本実施例の孔開け加工機は、レーザ光源1
0が発するレーザ光Pを前記マスク30に一様に照射さ
せるための照明光学系20と、前記マスク30の位置調
整を行なうための位置調整機構32と、前記ワークWが
装着される位置決め治具40を備えた移動系である移動
ステージ120と、前記マスク30を通って出射したマ
スク像を前記ワークWに投影する投影光学系50と、前
記ワークWの位置合わせの際、該ワークWに、前記レー
ザ光源10側から照明光を照射する透過照明系60と、
該透過照明系60とは逆方向(反レーザ光源側)から照
明光を照射する反射光学系74,84(図12の(a)
参照)と、前記透過照明系60および反射光学系74,
84によってワークWに照明光を照射することで形成さ
れる光像を2つのインダストリアルテレビ(以下、「I
TV」と称す。)71,81にそれぞれ結像させる測定
光学系70,80とが装置フレーム90上に載置されて
いる。さらに、前記ITV71,81に結像した像の画
像信号をそれぞれ取込んで前記ワークWの位置合わせに
関する信号処理を行なう2つの画像処理系208,20
9と、レーザ光源10の発光およびワークWの位置合わ
せをコントロールする、表示器201を有する制御系2
00とを備えている。
【0018】ここで、ワークWについて、図3の
(a),(b),(c)を参照して説明する。
【0019】図3の(a),(b),(c)は、それぞ
れ、孔開けが行なわれたワークWを示す斜視図、断面図
および正面図である。
【0020】本実施例のワークWは、インクジェットヘ
ッドを形成するためのものであり、64個あるいは12
8個の、インク流路となる溝孔G(図3の(a),
(b),(c)においてはG1 ,G2 ,G3 ,G4 の4
個のみ示している。)が長手方向に並列配置された天部
材W2 に対して、オリフィスプレートとなる板状部材W
3(加工面W1 )を一体的に形成したものである。
【0021】該ワークWに形成すべき、吐出口となる孔
H(図3の(a),(b),(c)においてはH1 ,H
2 ,H3 ,H4 の4個のみ示している。)は前記溝孔G
(G1 ,G2 ,G3 ,G4 )に一致するようにして、前
記マクス30を通過したレーザ光によって1回もしくは
複数回に分けて前記板状部材W3 に開けられる。このワ
ークWは位置決め治具40に前記板状部材W3 の加工面
1 を前記レーザ光源10側に向けて2個装着され、そ
の後、レーザ光に対する位置合わせが行なわれる。
【0022】本実施例の孔開け加工機では、ワークWの
位置合わせは、所定の2つの溝孔の中心位置を、以前に
ワークWに開けた孔のうち、前記2つの溝孔に対応する
2つの孔の中心位置に一致させることにより行なう。こ
の孔の中心位置および溝孔の中心位置は前記測定光学系
70,80のITV71,81で観測した、孔の像およ
び溝孔の像の画像信号を、画像処理系208,209に
て信号処理することで求められ、求めた孔の中心位置は
基準値として記憶手段であるRAM202(図2参照)
に、制御系200を介して格納される。また、制御系2
00では、前記画像処理系208,209で求めた溝孔
の中心位置を前記基準値と比較してワークWのずれ量を
算出し、算出したずれ量を移動量として移動系コントロ
ーラ206へ伝え、該移動系コントローラ206を介し
て移動ステージ120を駆動することによってワークW
の孔の中心と溝孔の中心とが一致される。
【0023】前記孔開け加工機において、レーザ光源1
0から出射したレーザ光束P(200Hz,50W,28
mm×6mm)は、まず、照明光学系20に入射し、その
後、マスク30を照射する。
【0024】この照明光学系20では、最初に、図4の
(a)に示すように、楕円マスク21、凹シリンドリカ
ルレンズ22および凸シリンドリカルレンズ23の組み
合わせにより円形に変換される。これは、28mm×6mm
の長方形で出射したレーザ光Pの光束の中央に、図4の
(b)に示すようなマスク穴211を備えた楕円マスク
21を配して前記レーザ光Pを楕円に切り出し、はじめ
の凹シリンドリカルレンズ22を、光束の幅の狭い方向
(楕円の短軸方向)に広げるように配置して、凸シリン
ドリカルレンズ23により光束が28mmの円形でかつ平
行光P2 となるように戻す。これは、2枚の凹,凸のシ
リンドリカルレンズ22,23を、前記楕円マスク21
からのそれぞれの距離f1 ,f2 の比f1 :f2 が、図
4の(c)に示すようにf1 :f2 =6:28となるよ
うにレーザ光Pの光軸上に配置して、凹,凸のシリンド
リカルレンズ22,23のパワーの比を6:28(凹:
凸)とすることで可能となる。
【0025】さらに、前記平行光P2 の光路上に、凸レ
ンズ24と凹レンズ25を、それらの配置間隔の距離f
3 ,f4 の比f3 :f4 を28:20とし、焦点の位置
が同一となるように配置して構成したビームコンプレッ
サにより、前記28mmの円形の平行光P2 を20mmの円
形の平行光P3 に変換する。この平行光P3 の形状は、
該平行光P3 がつづいて、後述するフライアイレンズ2
6に入射するため、該フライアイレンズ26の形状に合
ったものとなっており、上述のレンズ群21〜25はビ
ーム整形光学系を構成している。
【0026】つぎに、6mmの直径をした7個の凸レンズ
261を図5の(a),(b)のように配置したケラー
照明用のフライアイレンズ26とフィールドレンズ27
とを、図6に示すように、順に前記平行光P3 の光軸上
に配置して該平行光P3 を7つに分割する。そして、分
割した光束を、図7に示すように、マスク30に形成さ
れている19mm直線上にならんだ開ける孔の形状をした
マスク穴31に一定の角度で照明する。このとき照明光
はケラー照明となり、マスク30には、均一な強度のレ
ーザ光が照射されることになる。
【0027】マスク30は、25μm厚のNiを使用し
て、開けようとする孔の形状の4倍の大きさのマスク穴
31をエッチングにより加工したものである。
【0028】このマスク30は、マスク位置調整機構3
2上の不図示のマスクホルダに固定されており、制御系
200からインターフェース205を介して伝えられる
指示によって位置調整される。
【0029】前述のように、照明光学系20で分割され
てマスク30に照射された光束のうちマスク30を出
た、孔開けに必要な形状をした光束は、投影光学系50
を形成するテレセントリックな4分の1の縮小投影レン
ズ51によりワークWに結像され、必要な形状の孔を開
ける。このように投影光学系50にテレセントリックな
投影レンズを用いることにより、被加工物のレーザ光軸
方向への位置ずれによるレーザ光像の倍率の変化を防止
することができる。
【0030】ワークWは、図8の(a)に示すように、
前記位置決め治具40上に、加工面W1 を、レーザ光源
10側に傾斜させた状態で装着されている。
【0031】位置決め治具40は、2個のワークWを保
持するため、図8の(b)に示すような、2つのバキュ
ーム穴401を2組備えているとともに、該バキューム
穴401で吸着保持したワークWを固定するための突き
当て機構(図9参照)を備えている。この位置決め治具
40は、図8の(c)に示すように、制御系200から
インターフェース204を介して伝えられる駆動信号に
よってバキュームソレノイド402を駆動することで不
図示の吸引源による吸引動作が行なわれて、2個のワー
クWを、それぞれ2つずつのバキューム穴401で吸着
保持する。さらに、前記バキューム穴401における吸
引圧力はバキュームセンサ403によって常に検出され
ており、その検出圧力に基づいて、制御系200が前記
ワークWの保持状態を監視している。また、位置決め治
具40は、図8の(b)および図9に示すように、吸引
保持面側の2点とワークWの側面の3点との計5点の位
置決め基準404を備えている。
【0032】この位置決め治具40上には、オートハン
ド100によって2個のワークWが搬送供給され、ワー
クWの供給後、バキューム吸着し、図9に示すように、
レーザ光Pの光軸方向から2つの突き当て機構405,
406によりレーザ光Pの光軸方向(矢印Y方向)に突
き当て、その後、孔の並び方向からの突き当て機構40
7により孔の並び方向(矢印X方向)に突き当てて、2
個のワークWを固定する。
【0033】2つの突き当て機構405,406は、位
置決め治具40上で保持した2つのワークWそれぞれに
対応するものである。この突き当て機構405,406
と孔の並び方向からの突き当て機構407は、それぞ
れ、制御系200からの指示によって、ソレノイドバル
ブ411,412,413を開閉させて、エアシリンダ
408,409,410を駆動することで動作する。
【0034】また、上述の位置決め治具40が載置され
ている移動ステージ120は、レーザ光軸方向(Y方
向)、レーザ光軸と孔の並び方向に垂直な軸方向(Z方
向)、該軸方向を回転軸とする回転方向(θZ 方向)、
孔の並び方向(X方向)、レーザ光軸を回転軸とする回
転方向(θY 方向)の計5軸について移動が可能であ
り、制御系200から移動系コントローラ206を通し
て伝えられる指示によって動作し、ワークWの位置決め
を行なう。
【0035】上述の突き当て機構405,406,40
7によってワークWを固定した後、ワークWの溝位置の
測定を行なう。
【0036】溝位置の測定は、レーザ光源10側の透過
照明系60からの透過照明光Q1 をワークWに照射し、
それによって生じる溝の光像を、板状部材W3 を透過さ
せてレーザ光源10と反対側の測定光学系70,80に
て観測することで行なう。
【0037】前記透過照明系60では、透過照明光Q1
をワークWに照射するため、図10に示すように、該透
過照明光Q1 をワークWへ導く光ファイバ61と45°
ミラー62とが設けられている。
【0038】光ファイバ61は、その出射光がレーザ光
Pの光軸と直交するように配置され、また、45°ミラ
ー62は、光ファイバ61によって得られた透過照明光
1がレーザ光Pと同一方向に反射されるように配置さ
れている。さらに、45°ミラー62は、回転方向に規
制されたエアシリンダ63に取り付けられて、レーザ発
光時には、該レーザ光を遮断しない位置へ移動可能な構
成となっている。
【0039】透過照明系60は、制御系200からイン
ターフェース204を介して伝えられる指示によって、
出射光を遮断しているシャッター65を移動させること
で該出射光が出射され、また、45°ミラー62は、同
様に制御系200からの指示によってバキュームソレノ
イド64を介してエアシリンダ63を駆動することで移
動される。
【0040】観測する溝は、ワークWに開けようとする
孔を64個とすると、図11に示すように、両端の溝
(第1番目の溝孔G1 と第64番目の溝孔G64)の1つ
内側の溝である第2番目の溝孔G2 と第63番目の溝孔
63の2つである。前記透過照明光Q1 によって照射さ
れて生じる前記第2番目の溝孔G2 と第63番目の溝孔
63の光像は、図10に示すように、それらの光路上に
配置した、2つの反射面を有するミラー66によって、
それぞれ、反射されて干渉することなく測定光学系7
0,80へ入射する。このように、レーザ光源側からの
照明光によって像を観測することにより、溝孔の像が浮
出して安定した像を得ることができる。
【0041】前記測定光学系70,80の構成について
説明すると、図12の(a)に示すように、ミラー66
による光像の反射先に、それぞれ、対物レンズ72,8
2が配置され、さらに、該対物レンズ72,82を通過
した光像の光軸上に、該光像が結像する、500×48
0画素の分解能を持った2/3インチのITV71,8
1が配置されている。また、前記対物レンズ72,82
とITV71,81の間の、前記光像の光軸上には、そ
れぞれ、ハーフミラー73,83が配置されており、該
ハーフミラー73,83によって、それらの反射光路上
に設けられた反射光学系74,84が発生する光を、そ
れぞれ、前記ミラー66側へ反射させる。
【0042】ITV71,81には、ワークWの溝位置
の測定の際、透過照明系60によってワークWを照明す
ることで生じる透過光像が、ミラー66で反射された
後、前記ハーフミラー73,83を透過して結像する。
また、後述する、加工孔の位置および加工孔の面積の測
定の際、前記反射光学系74,84から発せられる光
が、それぞれハーフミラー73,83で反射された後さ
らにミラー66によって反射されて、前記ワークWを反
レーザ光源側から照射し、それによってワークWから反
射する、前記加工孔の反射光像がミラー66で反射され
た後、それぞれハーフミラー73,83を透過して結像
する。
【0043】反射光学系74,84は、それぞれ、光の
出射部にシャッター75,85が設けられており、該シ
ャッター75,85を、制御系200からインターフェ
ース204(図2参照)を通して伝えられる指示によっ
て移動させることで、出射光がハーフミラー73,83
方向へ発せられる。
【0044】上述した測定光学系70,80は、それぞ
れ、手動による位置調整用の調整手段76,86上に載
置されている。
【0045】この調整手段76,86は、図12の
(b)に示すように、それぞれ、測定光学系70,80
の光軸方向への調整用である移動ステージ762,86
2と、レーザ光軸と孔の並び方向とで形成される平面に
対して垂直な方向への調整用である移動ステージ76
3,863と、前記移動ステージ762,862の移動
方向と移動ステージ763,863の移動方向とで形成
される平面に対して垂直な方向への調整用である移動ス
テージ761,861とを備えたものである。
【0046】また、前記測定光学系70,80は、図1
2の(c)に示すように、それぞれ溝位置測定後の位置
合わせの際の精度を向上させるため、溝のレーザ光軸方
向の位置情報を制御系200へ送出するオートフォーカ
スユニット77,87を備えている。
【0047】この測定光学系70,80において、ミラ
ー66にて反射した、ワークWの、第2番目の溝孔G2
と第63番目の溝孔G63の溝の光像は、それぞれ、対物
レンズ72,82とハーフミラー73,83を通過して
ITV71,81に40倍の倍率で0.33μm/画素
の分解能で結像される。
【0048】そして、ITV71,81の2つの出力信
号S1は、図2において、それぞれ画像処理系208,
209に入力されて該画像処理系208,209にて出
力信号S1に基づいて前記2つの溝位置を求める。
【0049】ここで、画像処理系208,209の溝位
置測定について、図13に示すフローチャートに沿って
説明する。なお、画像処理系208,209は、同時に
同一の方法で、それぞれ、第2番目の溝孔G2 、第63
番目の溝孔G63の溝位置を測定するため、一方の画像処
理系208についてのみ説明する。
【0050】まず、測定光学系70のITV71に映さ
れた第2番目の溝孔G2 の像の画像信号をRAM202
へ取込む(S501)。RAM202に取込まれた画像
情報は、横方向が500画素、縦方向が480画素の取
込エリアにおいて、横方向i(0≦i≦499)番目、
縦方向j(0≦j≦479)番目の画素を(i,j)で
表わし、その画素のデータをV(i,j)で表わす。こ
のV(i,j)は明るさを示すもので、0〜255の8
ビットのデータで表わされる(0:黒,255:白)。
【0051】図14の(a)にITV71に映された溝
孔G2 の像を示す。この像は、溝孔G2 を示すラインが
黒色で表わされる。この溝孔G2 の像には、ワークWの
成形時に付いたと思われるキズも映されており、取込ん
だ画像信号についてもキズを示すものが含まれているこ
とになる。そこで、溝孔G2 の画像信号に対してフィル
タリング処理を施して前記キズの部分を取り除く(S5
02)。
【0052】このフィルタリング処理について図15の
(a),(b),(c),(d)を参照して説明する。
【0053】ここでは、図15の(a)に示すように、
原画像に対してキズを取り除く場合について説明する。
【0054】始めに、各画素の明るさの2値化の処理を
行なう。画素(i,j)の明るさV(i,j)の値が一
定値(スライスレベル)以上のものをV(i,j)=1
(白)とし、スライスレベル以下のものをV(i,j)
=0(黒)とし、これを全ての画素について行なう。ス
ライスレベルは2値化の処理の前に全ての画素のデータ
V(i,j)の中での最大値と最小値をさがし、この最
大値と最小値の平均の値とする。
【0055】次に、フィルタリング処理を行なう。1個
の画素(i,j)の処理を行なうのに、この画素(i,
j)を中心にi−2からi+2,j−2からj+2の範
囲の画素の中で、前記2値化処理における明るさが1と
なった画素が1つでもあれば画素(i,j)の明るさV
(i,j)=1とし、範囲内の画素全ての明るさが0の
ときにのみV(i,j)=0とする。
【0056】ここで、図15の(c),(d)は共に、
画素(i,j)について、i−2からi+2,j−2か
らj+2の範囲の画素を示すものであり、図15の
(c)については画素(i+2,j−2)の明るさが1
となっており、図15の(d)については範囲内全ての
画素の明るさが0となっている。したがって、この場合
図15の(c)については画素(i,j)の明るさV
(i,j)は1となり、図15の(d)についてはV
(i,j)は0となる。
【0057】上述の処理を、iが2〜497、Jが2〜
477の範囲の画素それぞれについて行なう。これ以外
の画素は1とする。前述のようなキズ等は、通常、iが
5画素、jが5画素の範囲で全てが黒(0)とならない
ので、前記フィルタリング処理の結果、図15の(b)
に示すような、キズが取り除かれた画像を得ることがで
きる。
【0058】上述のように、本実施例では、5画素分の
フィルタリングをしているので、5画素以下の画像を取
り除いてしまいことになるが、通常、前記溝孔を示すラ
インは10画素分程度となるので、溝孔を示す画像が取
除かれることはない。フィルタリング処理後の溝孔G2
の画像を、図14の(b)に示す。
【0059】次に、溝孔G2 のアゴ乗せ部、すなわち、
前述した図3の(a)において、天部材W2 と板状部材
3 とで形成される角部のラインのY座標を求める(S
503)。この場合、フィルタリング処理後の溝孔G2
の像を映したITV71の全画素(500×480画
素)について、行毎の明るさの和Vj を求める。
【0060】
【数1】 この行毎の明るさの和Vj を行対応で表わしたものが図
14の(d)のグラフである。このグラフにおいて、明
るさの最低の部分は、図14の(b)に示すアゴ乗せ部
のライン上となる。
【0061】図14の(d)のグラフにおいて明るさの
最低部分の拡大図を図14の(e)に示す。
【0062】ここで、行毎の明るさの和Vj の中の最低
値Vmin を求め、その最低値Vminに所定の値F(例え
ば10)を加え、これをスライスレベルとし前記グラフ
と交わる2点の中央に相当するY座標をアゴ乗せ部の位
置ylとする。
【0063】そして、前記アゴ乗せ部の位置ylに所定
の値aを加えた結果を前記溝孔G2のY位置(Y=yl
+a)とする。aの値は、例えば溝孔の深さを40μm
とすると、20μm程度が良い。
【0064】前記アゴ乗せ部の位置としたY座標yl
は、該アゴ乗せ部のラインの中央を示すものとなってい
る。このアゴ乗せ部は、拡大すると、実際には凹凸があ
るため、前記Y座標ylに所定の値b(本実施例では、
20画素分6.6μm)を加えて、図14の(c)に示
すような、アゴ乗せ部に相当する安定したライン(Y=
yl+b)を考える(S505)。
【0065】このyl+bのラインの明るさV(i,y
l+b)を表わしたものが、図14の(f)であり、2
つの暗部(明るさの低い点)が表われる。この2つの暗
部は、図14の(c)において、Y=yl+bのライン
が溝を示すラインと交わる点A,Bの部分に相当するも
ので、その暗部の拡大図を図14の(g)に示す。
【0066】この図14の(g)において、2つの暗部
について、それぞれ明部から暗部に変化する点に、暗部
から明部に変化する点との2点の中央に相当するX座標
1,X2 を算出する(S506)。そして、算出した
1 ,X2 の中央(X=X1+X2 )/2)に相当する
座標を溝孔G2 のX位置とする(S507)。
【0067】求めた溝位置において、X位置は孔の並び
方向(X方向)に対応し、Y位置はレーザ光軸と孔の並
び方向とに垂直な方向(Z方向)に対応するものであ
り、G2 、G63について、それぞれ、画像処理系20
8,209によって同時に求められる。
【0068】上述のようにして画像処理系208,20
9で求めた溝孔G2 ,G63それぞれの溝位置の結果はケ
ーブルS2(RS232)およびインターフェース20
7を通して制御系200に伝えられ、該制御系200に
て、伝えられた溝位置のデータとあらかじめRAM20
2に記憶された基準値とのずれ量を算出する。
【0069】算出内容は、孔の並び方向(X方向)と、
レーザ光軸と孔の並び方向とに垂直な方向(Z方向)
と、レーザ光の光軸を回転軸とする移動方向(θY
向)の3軸について算出する。
【0070】この3軸についての移動量は下記の式によ
って算出される。
【0071】ここで、第2番目の溝孔G2 の、X方向お
よびZ方向の位置を(X2 ,Z2 )、第63番目の溝孔
63のX方向およびZ方向の位置を(X63,Z63)と
し、溝孔G2 に対応する基準値を、同様に(x2 ,z
2 )、溝孔G63に対応する基準値を(x63,z63)とす
ると、Z方向のずれ量dZは、 dZ=(z63−z2 )/2−(Z63−Z2 )/2 X方向のずれ量dXは、 dX={(x63−X63)/2+(x2 −X2 )}/2 となる。
【0072】また、前記測定光学系70,80の位置検
出機構の光軸間距離をDとすると、前記基準値が示す2
つの基準点の間の距離は、D+x2 +x63で表わされ
る。ここでx2 ≫D,x63≫Dとすると、2つの基準点
間の距離はDとなる。
【0073】したがって、θY 方向のずれ量dθY は、
【0074】
【数2】 となる。
【0075】上記各式に基づいて算出した3軸について
のずれ量を、ワークWの移動量として制御系200から
移動系コントローラ206に入力する。移動系コントロ
ーラ206は、前記移動量に基づいて前記3軸に対応す
る3つのドライバを介して移動ステージ120を駆動す
る。この位置決めにおいて、前記3軸以外のレーザ光軸
方向(Y方向)、レーザ光軸と孔の並び方向と垂直な軸
を回転軸とする回転方向(θZ 方向)の2軸について
は、一定の精度のなかに入るので調整は行なわないが、
より精度を上げるために、前記測定光学系70,80に
取り付けられたオートフォーカスユニット77,87の
信号の値とRAM202に格納されている基準値との差
から、前記2軸についての移動量を算出して調整するこ
とも考えられる。この場合、算出した移動量を制御系2
00から移動系コントローラ206に入力し、該移動系
コントローラ206に入力された移動量に基づいて、前
記2軸に対応する2つのドライバを介して移動ステージ
120を移動させる。
【0076】ワークWの位置調整後、制御系200から
レーザ光源10を、ケーブルS3(RS232)および
インターフェース203を介して一定時間(2秒間)発
光させる。これにより、ワークWには所定の孔が開き、
その後、後述するような孔位置と孔径の校正を行なって
2個目のワークWの位置に位置決め治具40を移動さ
せ、1個目と同様にして孔開けを行なう。
【0077】2個目のワークWの加工後、位置決め治具
40を1個目のワークWの加工の位置に移動させて、制
御系200によって、バキュームソレノイド402を駆
動することでワークWの吸着状態を断つとともに、オー
トハンドコントローラ(以下、「AHコントローラ」と
称す。)103にケーブルS4を介して完了信号を送
る。
【0078】オートハンド100は供給側と排出側のフ
ィンガーを持っていて、完了信号を受信後、加工済ワー
クを排出側フィンガーで排出し、その後、供給側フィン
ガーによって未加工のワークを孔開け加工機の位置決め
治具40に供給する。
【0079】本実施例のオートハンド100のフィンガ
ーは、供給側、排出側ともに図16に示すように、2つ
の吸引口101,102を備えており、同時に2個の供
給、排出を行なう。
【0080】孔開け加工において、インクの吐出口とな
る孔の位置精度と印字性能(特に吐出方向のバラツキ)
は大きく関係し、該印字性能を一定値に抑えるため孔開
け位置精度を一定範囲(例えば±2μm)に入れなけれ
ばならない。
【0081】この位置精度としては、例えば、図17に
示すように、孔の並び方向とレーザ光軸とで形成する平
面に対して垂直な方向(矢示A方向)、孔の並び方向
(矢示B方向)および孔径のバラツキが考えられる。図
17は、孔開け加工後のワークWを用いて作製したイン
クジェットヘッドからインクを吐出した印字ドットを示
している。
【0082】ここで、孔開け加工が終了したワークWを
用いて作製した製品(インクジェットヘッド)につい
て、図18の(a),(b)および図19の(a),
(b)を参照して説明する。
【0083】図18の(a),(b)は、それぞれ、前
記インクジェットヘッドを示す斜視図と縦断面図であ
り、図19の(a),(b)は、それぞれ、インクジェ
ットヘッドの吐出口近辺を示す縦断面図と横断面図であ
る。
【0084】このインクジェットヘッドは、図18の
(a),(b)に示すように、孔開け加工が施されたワ
ークWを、ヒータボード143上に載置して形成したも
のである。ヒータボード143は、図19の(a),
(b)に示すように、ワークWの溝孔Gn (G1 ,G2
のみ図示している。)に対応してヒータ143n (14
1 ,1432 のみ図示している。)を並列配置したも
のであり、前記ワークWは、前記溝孔Gn とヒータ14
n をそれぞれ一致するようにして、前記ヒータボード
143上に載置される。また、図18の(a),(b)
に示すように、ワークWに開けられた孔Hn が吐出口1
41n、該吐出口141n に通ずる溝孔Gnがインク流
路、板状部材W3 がオリフィスプレート142となり、
天部材W2 の内部にインクIが蓄えられる。前記ヒータ
143n は、インクジェットヘッドが印字装置に組み込
まれた際、図19の(b)に示すように、それぞれ、配
線材144n を介して、不図示の印字駆動部に接続され
る。
【0085】このインクジェットヘッドにおいて、吐出
口1411 からインクを吐出させる場合、前記印字駆動
部からの駆動信号によってヒータ143n を駆動して、
溝孔G1 内のインクIを加熱することで、図19の
(b)のように、該溝孔G1 内に泡を発生させて、該泡
から吐出口1411 側のインクを液滴として飛翔させ
る。他の吐出口141n のついても同様である。
【0086】このようなインクジェットヘッドの印字性
能を一定値に抑えるために、マスク30を通った後のレ
ーザ光の位置(マスク像)と測定光学系70,80の相
対位置関係のずれ量を抑える必要がある。そのため、開
けた孔位置を測定し、この位置を、次に孔開けを行なう
ワークWの溝位置の基準位置とする校正方法をとる。こ
れには前記測定光学系70,80と、その測定光学系7
0,80にとりつけられた反射光学系74,84と、I
TV71,81からの信号S1の画像処理を行なう画像
処理系208,209と、制御系200とを用いる。
【0087】孔開け加工後、反射光学系74,84の出
射光を遮断しているシャッター75,85を開けて、該
出射光を、それぞれハーフミラー73,83で反射させ
て対物レンズ72,82を通した後、ミラー66にて反
射させてワークWに照射させる。そして、ワークWから
反射した、開けた孔の形状を示す光像を、測定光学系7
0,80のITV71,81に結像させ、該ITV7
1,81の信号S1を画像処理系208,209にて画
像処理して、前記開けた孔の位置を算出し、算出した値
をケーブルS2およびインターフェース207を介して
制御系200へ転送する。
【0088】ここで、画像処理系208,209の孔位
置測定について、図20に示すフローチャートに沿って
説明する。なお、画像処理系208,209は、同時に
同一の方法で、それぞれ第2番目の孔H2 ,第63番目
の孔H63の孔位置を測定するため、一方の画像処理系2
08についてのみ説明する。
【0089】まず、測定光学系70のITV71に映さ
れた第2番目の孔H2 の像の画像信号を取込む(S51
0)。図21に、ITV71に映された孔H2 の像を示
す。このITV71の全画素の明るさを、前述の溝位置
の測定の場合と同様に8ビットのバイナリコード(0〜
255)で表わし、明るさの頻度、すなわち、同じ明る
さの画素の個数を全画素の範囲で調べる(S511)。
この明るさの頻度を図22に示す。図22においては、
孔H2の暗い部分とそれ以外の明るい部分とを示す2つ
のピーク値が現れ、小さい値(Vmin )の部分が孔H2
の暗い部分を示しており、このグラフからピーク値が存
在する明るさの最大値Vmax と最小値Vmin を求める
(S512)。求めたVmax とVmin とから、画像信号
を2値化(暗部と明部とに区別)するためのスライスレ
ベルを下記の式によって求める(S513)。
【0090】 スライスレベル=Vmin +(Vmax ーVmin )×G (G : 0.5) 求めたスライスレベルと各画素の明るさとを比較して大
小関係を調べて画像信号を2値化する(S514)。こ
れによって、孔H2 の部分とそれ以外の部分とが区別さ
れ、図23に示すような、画像信号の2値化による孔H
2 の像が形成される。
【0091】この2値化像において、X重芯とY重芯と
を下記の式によって求める(S515)。
【0092】
【数3】 そして、求めたX重芯、Y重芯を、それぞれ、孔H2
孔位置X、孔位置Yとする(S517)。
【0093】この孔位置についても、前記溝孔の場合と
同様に、2つの孔H2 ,孔H63が同時に求められ、求め
た孔位置において、孔位置Xは孔の並び方向に対応し、
孔位置Yは、レーザ光軸と孔の並び方向とに垂直な方向
に対応する。
【0094】このようにして求めた孔H2 ,孔H63の位
置データは制御系200へ転送される。
【0095】制御系200では、この孔の位置を示す値
を基準の位置として、以前にRAM202上に記憶して
いる、孔の並び方向(X方向)と、レーザ光軸と孔の並
び方向とに垂直な方向(Z方向)と、の2つの値を書き
換え、前述したワークWの3軸についての位置決めの
際、この2つの値を基準値(X,Z)として、画像処理
の溝位置の値(X,Z)との差を移動量として移動させ
る。
【0096】また、孔の面積は印字性能(特に濃度)に
大きく影響し、この大きさのバラツキと大きさの平均値
を一定にすることは性能上重要である。
【0097】ワークWに開けられた孔は、図24に示す
ように、レーザ光の入射側の径(入射径162)が大き
く出射側の径(出射径161)が小さいテーパが形成さ
れる。このテーパは、レーザ光のパワーを上げると小さ
くなり入射径162は一定で出射径161が大きくなっ
て、図25の特性図に示すように、孔面積が大きくな
る。また、レーザ光による、孔開け部分への照射パルス
数を変化させても同様である。
【0098】このように孔の径とレーザパワー密度、照
射パルス数と大きな関係があるが、ここでレーザ光源1
0として使用しているエキシマレーザは、パルス放電に
よるもので、1回毎の光量にバラツキがあり、またレー
ザ内のガス濃度、不純物濃度、印加電圧や光学系の寿
命、汚れ等にも大きく影響をうけるため、パワーが安定
しない。
【0099】そこで、図26の(a),(b)に示すよ
うに、レーザ光Pの出口に、一定の面積のマスク穴11
3を有するアルミマスク112を持つパワーメータ11
1で構成するパワーセンサ110を配置し、前記アルミ
マスク112にレーザ光が当たるように、途中に数%の
反射率を持つビームスプリッタ114をおく。そして、
レーザ照射時に、ビームスプリッタ114による反射光
をアルミマスク112のマスク穴113を介してパワー
メータ111で受け、該パワーメータ111からの、レ
ーザ光のパワー密度を示す出力信号S5が一定値となる
ように、制御系200によってインターフェース203
およびケーブルS3を介してレーザ光源10への印加電
圧を変化させる。パワーメータ111からの出力信号S
5は、A/D変換器115を通して制御系200へ送ら
れる。
【0100】図26の(c)に、レーザ光源10への印
加電圧とレーザーパワーとの関係の一例を示す。
【0101】このように、孔開けの際のレーザ発光中に
レーザパワーを測定して、レーザ光源10への印加電圧
を変化させることで、レーザ光Pのパワー密度を一定に
保つことができ、孔の大きさのバラツキを一定値内に抑
えることが可能になる。前述のパワーメータ111とし
ては光量測定方式のものと熱測定方式のものがある。さ
らに、孔の面積については、開けた孔の面積を測定し、
この面積によりレーザ光源10への印加電圧をコントロ
ールして一定の孔面積にすることも考えられる。
【0102】この場合、前記測定光学系70,80と、
その測定光学系70,80に取り付けられた反射光学系
74,84と、2つの測定光学系70,80のITV7
1,81からの信号を画像処理する画像処理系208,
209と、制御系200とを用いる。
【0103】孔開け加工後、反射光学系74,84の出
射光を遮断しているシャッター75,85を開けること
により対物レンズ72,82を通して反レーザ光源側か
らワークWに照射する。そして、ワークWから反射す
る、開けた孔の形状を示す光像が前記2つの測定光学系
70,80に取り付けられたITV71,81に結像
し、該ITV71,81からの信号S1を、それぞれ、
画像処理系208,209にて画像処理する。このと
き、前記開けた孔の面積を算出してその値をケーブルS
2およびインターフェース207を介して制御系200
に転送する。
【0104】ここで、画像処理系208,209の孔面
積測定について、図27に示すフローチャートに沿って
説明する。なお、この場合も、画像処理系208,20
9は、同時に、同一の方法で、それぞれ、孔H2 .孔H
63の孔面積を測定するため、一方の画像処理系208に
ついてのみ説明する。
【0105】まず、前述のようにして求めた孔位置X,
Yから、面積測定の開始点を設定するため、所定の値e
1,2 (本実施例では、共に100画素分)を減算す
る。(S520,S521,S522)。つづいて、測
定範囲を設定するため、X開始点とY開始点に、それぞ
れ、所定の値f(本実施例では200画素分)を加算
し、その範囲内で、前記孔位置測定の際の2値化像につ
いての暗部を示す画素数をカウントする(S523)。
これによって、孔部分の画素数が求められたことにな
り、その画素数に1画素の面積を示す値h(本実施例で
は0.33μm×0.33μm)を乗ずることで、孔面
積とする(S524)。
【0106】このようにして求めた2つの孔H2 ,孔H
63の面積のデータは制御系200へ転送される。
【0107】制御系200では、転送された孔面積デー
タにより一定計算式に基き、レーザ光源10への印加電
圧を決めてケーブルS3およびインターフェース203
を介してレーザ光源10へ転送する。これにより、次の
ワークWを加工する際のレーザ光源10への印加電圧が
決定する。この方法でも、孔面積を一定にすることが可
能である。
【0108】また、孔の面積については、孔開け加工の
際のマスク30の照明光のエネルギー分布が重要で、そ
の分布にバラツキがあると孔径がバラツキ、印字にムラ
を生じる。
【0109】そこで、図28に示すように、フィールド
レンズ27とマスク30の間にビームスプリッタ191
をおき、光軸に対し垂直に、光量の数%を反射させる。
そして、この反射光の光軸上でマスク30の位置と等価
の位置に、ラインセンサ192の受光面をおき、さら
に、該ラインセンサ192とハーフミラー191との間
の前記反射光の光軸上に減光および可視光をカットする
フィルタ193を入れたパワー測定器190を配置す
る。このパワー測定器190から、マスク30に当って
いる照明光量に相当する前記ラインセンサ192の出力
を、増幅器194およびA/D変換器195を介して制
御系200に伝え、マスク30の第1番目の孔から第6
4番目の孔に当っている光の分布を測定し、図29に示
すようなMAX値とMIN値の差が一定値に入っている
ことを確認する。もし一定値に入っていないときは制御
系200が異常の発生を表示器201に表示して、孔開
け加工機を停止させる。これにより、マスク30に照射
されるレーザ光のエネルギー分布を許容範囲内に抑える
ことができる。
【0110】次に、本実施例のレーザ孔開け加工機によ
る一連の孔開け動作について、図30および図31に示
すフローチャートに沿って説明する。
【0111】まず、位置決め治具40上に孔開け加工済
のワークWがあればオートハンド100によって排出し
(S530)、新たに未加工の第1,第2の2つのワー
クWをオートハンド100によって前記位置決め治具4
0上に供給する(S531)。第1,第2の2つのワー
クWが位置決め治具40上に装着されると、バキューム
穴401によってそれぞれバキューム吸引した後、突き
当て機構405,406,407によって突き当て固定
する(S532)。
【0112】ここで、上述のステップS530〜S53
2におけるワークWの排出、供給と該ワークWの位置決
め治具40上での突き当て固定までの操作を、図32に
示すフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0113】オートハンド100は、前述したように、
供給側と排出側の2つのフィンガーを備えているため、
加工済の2つのワークWの排出と未加工の2つのワーク
Wの供給を同時に行なう。
【0114】まず、以前に、位置決め治具40上に供給
した2つの未加工ワークWについての孔開けが行なわれ
ている間、前記オートハンド100は、次に孔開けを行
なおうとする未加工の第1,第2の2つのワークWを供
給側フィンガーでバキューム吸着により保持して、前記
位置決め治具40の上方で待機している。
【0115】そして、位置決め治具40上の2つのワー
クWに対する孔開けが終了して、AHコントローラ10
3を介して完了信号が入力されると(S580)、前記
オートハンド100は位置決め治具40のワークWの位
置まで下降する(S581)。このとき、位置決め治具
40においては、突き当て機構405,406,407
による加工済ワークWの突き当て固定を解除するととも
に(S582)、バキューム穴401を介したバキュー
ム吸引を解除する(583)。その後、オートハンド1
00の排出側フィンガーのバキューム吸引によって2つ
の加工済ワークWをバキューム吸着する(S584)。
つづいて、オートハンド100の供給側フィンガーを位
置決め治具40のワーク供給位置へ移動させて該オート
ハンド100を下降させる(S585,S586)。そ
して、オートハンド100による未加工の第1,第2の
ワークWのバキューム吸引を解除して(S587)、該
第1,第2のワークWを位置決め治具40へ渡す。位置
決め治具40では、バキューム穴401を介して第1,
第2のワークWをそれぞれバキューム吸着し(S58
8)、さらに、突き当て機構405,406を駆動して
レーザ光軸方向からの第1,第2の2つのワークWの突
き当てを行ない(S589)、その後、突き当て機構4
07を駆動して孔の並び方向から第1,第2のワークW
の突き当てを行なって(S590)、位置決め治具40
上に供給された第1,第2のワークWを固定する。
【0116】上述のようにして固定された第1,第2の
2つのワークWに対し、まず、第1のワークWについ
て、前述の図13に示した方法で画像処理系208,2
09による溝孔G2 ,G63の測定が終了すると、制御系
200によって、測定した2つの溝位置とそれらに対応
する孔位置を示す基準値との比較が行なわれて、溝位置
のずれ量が所定の規格内か否かを判断する(S534,
S535)。規格内に入っていなければ、前記ずれ量に
基づき移動系コントローラ206を介して移動ステージ
120を駆動して溝位置が前記基準値の規格内に入るよ
うに移動させる(S536)。前記ステップS534,
S535での判断において、溝位置が規格から外れてい
た場合、その回数をカウントしておき、その回数が所定
の回数(本実施例では10回とする)に達するまでは、
ステップS533以降の操作を繰返す(S537)。所
定回数(10回)を越えた場合は、表示器201にて異
常の発生を表示して(S558)孔開け加工機を停止さ
せ、リスタートの指示を待つ(S559)。
【0117】前記ステップS535の判断にて溝位置が
規格内にあると判定された場合、透過照明系60のシャ
ッター65を駆動して透過照明光Q1 を遮断するととも
に、エアシリンダ63を駆動して45°ミラー62をレ
ーザ光軸上から退避させ(S536,S539)、さら
に反射光学系74,84のシャッター75,85を、駆
動して該反射光学系74,84の出射光路上から除去す
る(S540)。その後、レーザ光源10を発光させ
(S541)、2秒後、発光を停止させる(S542,
S543)。このとき、第1のワークWについての孔開
けは終了したことになる。
【0118】そして、第1のワークWに開けた孔の中心
位置および面積を測定するため、移動ステージ120を
レーザ光軸方向(Y方向)へ板状部材W3の厚さ分レー
ザ光軸側へ移動させる(S544)。
【0119】この移動は、孔位置および孔面積の測定
を、前述したように、反レーザ光源側の反射光学系7
4,84からの照明光によって第1のワークWを照明す
ることで行なうため、該照明光によって生ずる孔の像の
ITV71,81に対する焦点が、前記溝孔位置の測定
の際の、透過照明系60によって第1のワークWを照明
することで生じる溝孔の像の焦点と、板状部材W3 の厚
さ分ずれるからである。
【0120】この移動ステージ120によるレーザ光源
側への移動が完了した後、前述の図20および図27に
示した方法によって加工孔の中心位置および面積を測定
する(S545)。この両者の測定が終了すると、RA
M202に格納されている孔位置の基準値を、今回測定
した加工孔の中心位置を示す値に書換えるとともに、測
定した加工孔面積の大小に応じて、レーザ光源10の駆
動用の印加電圧を設定する(S546,S547)。
【0121】この時点で第1のワークWについての操作
は終了したことになる。
【0122】つづいて、第2のワークWについて孔を開
けるため、移動ステージ120を孔の並び方向(X方
向)に移動させて前記第2のワークWをレーザ光軸上に
配置させる(S548)。その後、第2のワークWの溝
孔位置を測定するために、透過照明系60のシャッター
65を、駆動して透過照明光路上から除去するととも
に、エアシリンダ63を駆動して透過照明系60の45
°ミラー62をレーザ光軸上に移動させ(S549,S
550)、さらに、前記反射光学系74のシャッター7
5を駆動して該反射光学系74の出射光を遮断させる
(S551)。そして、移動ステージ120を、レーザ
光軸方向(Y方向)に板状部材W3 の厚さ分レーザ光源
側へ移動させた後(S552)、同様にして溝孔G1
63の位置を測定する(S553)。
【0123】測定した溝位置については、前記第1のワ
ークWの場合と同様にRAM202に格納されている基
準値と比較してそれらのずれ量が所定の規格内に入って
いるか否かを判断する(S554,S55)。測定した
溝位置が規格内に入っていなければ、同様に該溝位置が
基準値の示す孔の中心位置に一致するように移動ステー
ジ120を移動させる(S556)。この操作(S55
3〜S556)は、測定した溝位置が前記規格内に入ら
なけらば所定回数(10回)まで繰返されるが(S55
7)、その回数(10回)を越えると、表示器201に
異常の発生を表示し(S558)、孔開け加工機を停止
してリスタートの指示を待つ(S559)。
【0124】測定した溝位置が基準値の規格内であれ
ば、前記第1のワークWの場合の操作(S538〜S5
47)と同一の操作(S560〜S569)を行なっ
て、第2のワークWへ孔を開け、その孔の位置および面
積を測定して、孔位置を示す、RAM202内の基準値
を書換えるとともに、レーザ光源10に対する印加電圧
を前記孔の面積に応じて設定する。
【0125】この時点で、第2のワークWに対する操作
は終了したことになる。
【0126】その後、移動ステージ120の孔の並び方
向(X方向)へ移動させて第1のワークWを最初の位置
へ戻す(S570)。そして、透過照明系60のシャッ
ター65を透過照明光路上から除去するとともに、エア
シリンダ63を駆動して45°ミラー62をレーザ光軸
上に移動させ(S571,S572)、さらに、反射光
学系74,84のシャッター75,85を駆動して該反
射光学系74,84の出射光を遮断させる(S57
3)。つづいて、移動ステージ120をレーザ光軸方向
(Y方向)に板状部材W3 の厚さ分レーザ光源側へ移動
させた後(S574)、未加工のワークWがあれば、前
述したステップS530以降の操作を繰返して孔開け加
工を行なう。
【0127】上述の孔開け動作中に、前記パワー測定器
190(図28参照)を用いて、マスク30のマスク穴
31に対して照射されているレーザ光の分布を測定して
もよい。
【0128】また、孔位置を示す基準値については、ワ
ークWと同一形状のダミー部材に、予め孔を開け、その
孔の中心位置を測定してその測定値を前記基準値として
RAM202内に予め格納してもよい。
【0129】前述した実施例でレーザ光源10として用
いたエキシマレーザは、紫外光を発振できるレーザであ
り、高強度のエネルギーを出力でき、単色性に優れ、指
向性がよく、短パルス発振ができるだけでなく、レンズ
で集光することによりエネルギー密度を大きくできる利
点がある。すなわち、エキシマレーザ発振器は希ガスと
ハロゲンの混合気体を放電励起することで、短パルス
(15〜35ns)の紫外光を発振でき、Kr−F,Xe
−Cl,Ar−Fレーザなどがよく用いられる。これら
の発振エネルギーは数100mj/パルス、パルスの繰返
し周波数30〜1000Hzである。このような、高輝度
の短パルス紫外光をポリマー樹脂の表面に照射すると、
照射部分が瞬間的にプラズマ発光と衝撃音を伴って分
解、飛散する、所謂“ABLATIVE PHOTODE COMPOSITION(A
PD) ”過程を生じ、これによってポリマー樹脂の孔開け
加工ができるのである。これは、他のレーザ、例えば赤
外線であるCO2 レーザによる孔開けの場合と、明らか
な差を生じる。例えば、ポリイミド(PI)フィルムに
エキシマレーザ(KrFレーザ)を用いたレーザ光を照
射するとPIフィルムの光吸収波長がUV領域にあるた
め、きれいな孔を開けることができるが、UV領域にな
い従来のYAGレーザでは孔のエッジが荒れ、CO2
ーザでは孔の周囲にクレータができるのである。
【0130】なお、SUSなどの金属、不透明なセラミ
ックス、Siなどは大気の雰囲気において、エキシマレ
ーザのレーザ光を照射されても影響をうけないことか
ら、上述のマスク30の材料として適用できる。
【0131】次に実際に、このようなエキシマレーザを
用いた孔開け加工機における実績を例示する。 (実例1)ここで使用したワークWは、天部材W2 に幅
43μm、高さ45μmの溝孔Gが70.5μmピッチ
で形成されており、板状部材W3 に径31μmφの吐出
口(オリフィス)を形成するに当り、エキシマレーザに
INDEX200K(ルモニクス社製)を用いて、レー
ザ出力250mJ/パルス、繰返し周波数200Hz、発振
時間2秒で加工した時、下記の表1のような成績を得て
いる。なお、この時の板状部材W3 の厚さは40〜45
μm、材質はポリサルフォンである。また、比較のた
め、従来例との加工精度の差を明らかにした(表1参
照)。
【0132】
【表1】 表1から明らかなように、本例の孔開け加工機を用いて
孔開けを実施した場合、オリフィス面積のバラツキ、形
状の形態は、従来に比べて相当向上している。これは当
然、本例の孔開け加工機によって作られたインクジェッ
トヘッドの性能をも向上させることになる。すなわち、
液滴の吐出量および吐出方向が均一となり、文字、図形
などが鮮明で、形崩れしないのである。
【0133】前述した実施例における照明光学系20の
ビーム整形光学系を形成するレンズ群21〜25(図4
の(a)参照)は、レーザ光源を、フライアイレンズ2
6の形状に合わせて該フライアイレンズ26全体に均一
に照射するためのものであるが、フライアイレンズ26
全体に照射する必要はなく、必要な場所に直線状に照射
すれば良い。
【0134】その場合のビーム整形光学系の一例を図3
3に示す。
【0135】図33に示すビーム整形光学系は、レーザ
光源10から出射するレーザ光Pを、そのレーザ光軸と
孔の並び方向とでつくる平面に対し垂直な方向に3本の
ビームに分ける分離光学系として、プリズム311,3
12を、前記レーザ光軸部(レーザ光Pの中央部)に空
隙を設けてフライアイレンズ26の前段に配置したもの
である。このような配置にすることによりプリズム31
1,312をそれぞれ透過する2つのビームと前記空隙
を通過するビームとの3本に分けられる。
【0136】この3本のビームはフライアイレンズ26
の光軸にあるように、前記平面に対して垂直な方向に所
定の間隔で分けられなければならない。
【0137】フライアイレンズ26は、前述のように6
φのレンズを組合わせているので、その光軸の間隔は前
記平面に対して垂直な方向に5.2mm離れている。光束
の幅はその方向に6mmなので、2mmずつ3本に分ける。
もともとビーム間は2mm離れているので、プリズム31
1,312により3.2mmビームを離さなければならな
い。
【0138】上述のプリズム311,312は、レーザ
光の入射面と出射面が平行なものであり、該入射面およ
び出射面はマスク穴31の並び方向に回転軸をもつ回転
方向に回転されて、前記3本のビーム間隔が5.2mmと
なるように、前記レーザ光軸に対して所定の傾きを有し
ている。また、プリズム311,312の互いに対向す
る側面(前記空隙に対する面)はレーザ光軸に平行であ
る。
【0139】さらに、ここでは、前記プリズム311,
312の間を空隙にしたが、ガラス板等を用いて、プリ
ズム311,312を貼り合わせた構成としてもよい。
【0140】上述のようにプリズム311,312を設
けた場合のフライアイレンズ26に入射するビームを図
34に示す。
【0141】このような構成にすることにより、レーザ
出力を250mJ/パルス、レーザ光束を28mm×6mmの
長方形とし、そのレーザ光束を28mm×2mmの3本に分
割したとき、分割した各レーザ光束のエネルギー密度は
250mJ/(2.8×0.6cm)=149mJ/cm2とな
る。これに対し、上述のプリズム311,312を使用
しない場合、フライアイレンズ26に対し20mm×20
mmに拡大したレーザ光束を照射したことと同等になり、
この時のエネルギー密度は、250mJ/(2×2cm)=
63mJ/cm2である。したがって、上述のようにプリズ
ム311,312を用いた分離光学系を設けることによ
り、約2.4倍のエネルギー密度の向上となる。このよ
うな構成は、開ける孔がほぼ直線上に並んでいる等マス
クに照射する光束の縦横比が大きく異なっている場合に
有効である。このように、レーザ光をフライアイレンズ
26の必要な場所のみに照射することで、照射するレー
ザ光のエネルギー密度を増すことが可能となる。
【0142】また、前記プリズム311,312とレー
ザ光源10との間の光軸上に、図35に示すような、凸
レンズ331および凹レンズ332からなる、ビーム形
状を圧縮するための圧縮光学系330を配置してもかま
わない。 なお、詳述しないが、図33、34、35に示
す構成はいずれも、第1の実施例と同様に、フライアイ
レンズとマスクとの間にフィールドレンズが介在してお
り、またビーム整形光学系の分離光学系によりレーザ光
をフライアイレンズの列数に合った数のビームに分離し
てフライアイレンズに入射させる構成となっている。
【0143】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、下記のような効果を奏する。
【0144】(1)マスクを介して形成したレーザ光像
によって孔開けを行なうので、同時に多数の孔を開ける
ことができ、加工時間が短縮される。また、マスクを取
換えることによって、形状の異なる孔開けが可能となり
作業の単純化がなされる。
【0145】(2)測定系により被加工物の加工位置を
観測しながら、移動系によって前記被加工物を移動させ
ることができるので、高精度な位置合わせが可能とな
り、孔開け位置のバラツキがなくなる。
【0146】(3)投影光学系にテレセントリック光学
系を用いることにより、被加工物のレーザ光軸方向への
位置ずれに対するレーザ光像の倍率変化が防止されるの
で、常に均一な孔を開けることが可能となる。
【0147】(4)レーザ光を、フライアイレンズおよ
びフィールドレンズを通してマスクに照射することによ
り、マスクへの照明光はエネルギー分布が均一で高密度
なレーザ光となるので、加工時間の短縮化および孔形状
の均一化がより向上する。
【0148】(5)ビーム整形光学系に、光束を、フラ
イアイレンズの列数に合った数のビームに分離する分離
光学系を設けることにより、マスクに照射されるレーザ
光のエネルギー密度が向上し、同じマスクを使用した場
合でも孔面積を大きくすることが可能となる。
【0149】(6)本発明の孔開け装置は、インクを吐
出して記録を行なう記録装置の吐出部のインク吐出用の
孔を開ける加工に特に有利であり、インク吐出量および
吐出方向が均一で、文字、図形等が鮮明で形崩れせず高
精度な記録が可能な吐出部が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔開け加工機の一実施例を示す平面図
である。
【図2】図1に示す孔開け加工機の側面図である。
【図3】孔開け加工後のワークWの一例を示す図であ
り、(a),(b),(c)はそれぞれ、斜視図、断面
図および正面図である。
【図4】照明光学系の一例を示す図であり、(a)はそ
の光路を示す図、(b)は楕円マスクを示す図、(c)
は凹,凸シリンドリカルレンズの配置を示す図である。
【図5】照明光学系のフライアイレンズの一例を示す図
であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】照明光学系によるマスクへの照明光路の一例を
示す図である。
【図7】マスクの一例を示す斜視図である。
【図8】位置決め治具の一例を示す図であり、(a)は
側面図、(b)はバキューム穴を示す平面図、(c)は
ワーク吸着機構を示すブロック図である。
【図9】位置決め治具の突き当て機構の一例を示す図で
ある。
【図10】透過照明系の一例を示す図である。
【図11】ワークWの一例を示す斜視図である。
【図12】測定光学系の一例を示す図であり、(a)は
平面図、(b)は調整手段を示す側面図、(c)はAF
回路を示す図である。
【図13】画像処理系の溝位置測定の動作の一例を示す
フローチャートである。
【図14】(a),(b),(c)はインダストリアル
テレビに映した溝孔の像の一例を示す図であり、
(d),(e),(f),(g)は溝孔の像の明るさを
示す特性図である。
【図15】画像処理系におけるフィルタリング処理を説
明するための図である。
【図16】オートハンドの一例を示す断面図である。
【図17】インクジェットヘッドからインクを吐出して
形成した印字ドットの一例を示す図である。
【図18】インクジェットヘッドの一例を示す図であ
り、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図19】インクジェットヘッドのインク吐出部の一例
を示す図であり、(a)は吐出口を示す正面図、(b)
は吐出口に通ずる溝孔を示す断面図である。
【図20】画像処理系の孔位置測定の動作の一例を示す
フローチャートである。
【図21】インダストリアルテレビに映した孔の像の一
例を示す図である。
【図22】インダストリアルテレビに映した孔の像の明
るさの頻度を示す特性図である。
【図23】画像信号の2値化によって形成された孔の像
を示す図である。
【図24】レーザ光によって開けた孔の一例を示す断面
図である。
【図25】レーザパワーと孔面積との関係を示す特性図
である。
【図26】レーザ光のパワーを測定するためのパワーセ
ンサーの一例を示す図であり、(a)はブロック図、
(b)は正面図、(c)はレーザ光源への印加電圧とレ
ーザパワーとの関係を示す特性図である。
【図27】画像処理系の孔面積測定の動作の一例を示す
フローチャートである。
【図28】レーザ光のパワーを測定するためのパワー測
定器の他の例を示すブロック図である。
【図29】マスクに対するレーザ光の照明分布を示す特
性図である。
【図30】本発明の孔開け加工機の動作(前半)の一例
を示すフローチャートである。
【図31】本発明の孔開け加工機の動作(後半)の一例
を示すフローチャートである。
【図32】オートハンドによるワークの供給、排出およ
び位置決め治具による突き当て動作の一例を示すフロー
チャートである。
【図33】照明光学系の第2実施例を示す図である。
【図34】照明光学系のフライアイレンズに入射するレ
ーザ光の一例を示す正面図である。
【図35】照明光学系の第3実施例を示す図である。
【符号の説明】
10 レーザ光源 20 照明光学系 21 楕円マスク 22 凹シリンドリカルレンズ 23 凸シリンドリカルレンズ 24,261 凸レンズ 25 凹レンズ 26 フライアイレンズ 27 フィールドレンズ 30 マスク 31,113,211 マスク穴 32 マスク位置調整機構 40 位置決め治具 50 投影光学系 51 縮小投影レンズ 60 透過照明系 61 光ファイバ 62 45°ミラー 63,64,408,409,410 エアーシリン
ダ 65,75,85 シャッター 66 ミラー 70,80 測定光学系 71,81 インダストリアルテレビ 72,82 対物レンズ 73,83 ハーフミラー 74,84 反射光学系 76,86 調整手段 77,87 オートフォーカスユニット 90 装置フレーム 100 オートハンド 101,102 吸引口 103 オートハンドコントローラ 110 パワーセンサ 111 パワーメータ 112 アルミマスク 114,191 ビームスプリッタ 115,195 A/D変換器 120,761,762,763,861,862,8
63 移動ステージ 141 吐出口 142 オリフィスプレート 143 ヒータボード 144 配線材 161 出射径 162 入射径 190 パワー測定器 192 ラインセンサ 193 フィルタ 194 増幅器 200 制御系 201 表示器 202 RAM 203,204,205,207 インターフェース 206 移動系コントローラ 208,209 画像処理系 311,312 プリズム 401 バキューム穴 402 バキュームソレノイド 403 バキュームセンサ 404 位置決め基準 405,406,407 突き当て機構 411,412,413 ソレノイドバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41J 2/135 B41J 3/04 103N (72)発明者 後藤 顕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 益田 和明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 折笠 剛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−321088(JP,A) 特開 昭56−39190(JP,A) 特開 昭63−144889(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エキシマレーザからの照射によってワー
    クに所定形状の孔を開ける孔開け加工機において、 ワークに開ける孔に対応して所定の微細孔が形成され、
    該微細孔を介して前記エキシマレーザからのレーザ光を
    前記ワーク側へ透過するマスクと、 該マスクの微細孔を介して前記ワークに所定形状の光像
    を投影する投影光学系と、 ワーク位置を測定して該ワークを移動させる、光学的手
    段による測定系および移動系と 前記エキシマレーザと前記マスクとの間のレーザ光路上
    にエキシマレーザ側から順に配置されているフライアイ
    レンズおよびフィールドレンズと、 前記エキシマレーザと前記フライアイレンズとの間のレ
    ーザ光路上に配置され、前記エキシマレーザが発するレ
    ーザ光を、前記フライアイレンズに合ったビームに整形
    するビーム整形光学系とを備えており、 前記ビーム整形光学系が、レーザ光を、そのレーザ光軸
    とマスクの微細孔の並び方向とでつくる平面に対して垂
    直な方向に、前記フライアイレンズの列数に合った数の
    ビームに分離する分離光学系を有することを特徴とする
    孔開け加工機。
  2. 【請求項2】 前記分離光学系がプリズムで構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の孔開け加工機。
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