JP2671525B2 - 接着剤 - Google Patents

接着剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 〔産業上の利用分野〕 本発明は、短時間で強固な接合が可能な高周波誘導加
熱接着剤に関するものである。
本発明に係る接着剤の主な用途は、自動車工業または
家庭用電気製品工業等において使用されるプラスチック
ス、金属、セラミクス等の接合であり、特にガラス繊維
またはカーボンフアイバー等で強化されたSMC(シート
モールディングコンパウンド)等の強化プラスチックの
接合に好適である。
〔従来の技術〕
従来、例えば米国特許3709775号公報に記載のよう
に、プラスチックス等の絶縁体の接合方法として、接合
部位に発熱体となる磁性体粉末を含む熱可塑性樹脂を接
合媒体として挿入し、数MHz〜数GHzの高周波磁場を印加
することにより発熱体を発熱させ、被接合体を加熱接合
する高周波誘導加熱接合法が知られている。また、接合
媒体として前記熱可塑性樹脂に代えて、エポキシ樹脂等
の熱硬化性樹脂を使用した高周波誘導加熱接合法も本発
明者らにより提案されている(特開昭62−205151号公
報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
エポキシ樹脂系の接着剤は、強力な接着力と優秀な接
着耐久性を具備しているために、構造用接着剤として広
く使用されている。かかるエポキシ系接着剤による接合
に関して、自動車工業等のライン生産を行なっている業
界からは、接合時間の短縮化が求められており、その要
求に応えるため高周波誘導加熱接合法の採用が検討され
ている。
しかしながら、高周波誘導加熱法は、通常被接合体を
加熱することなく接着剤のみを加熱するので、被接合体
が熱膨張率の大きい鋼板やSMC(シートモールディング
コンパウンド)等である場合、接着界面において大きな
応力が発生し易く従来のエポキシ系接着剤では、該応力
が残留し接着耐久性の点で問題があった。
(ロ)発明の構成 〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、短時間で強固な接合が可能で、かつ接
着耐久性に優れた接着剤を得るべく鋭意検討した結果、
エポキシ樹脂を主体とする接着剤で、接着剤硬化物の引
張り弾性率が3.0〜60kg f/mm2である接着剤が、応力緩
和と耐熱性を兼ね備えていることを見出し、本発明を完
成するに至った。
すなわち、本発明は、エポキシ当量が170〜2,000であ
るビスフェノールA型またはビスフェノールF型のエポ
キシ樹脂100重量部あたり、下記化合物(A)、(B)
または(C)(以下これらを併用エポキシ化合物と総称
する)が10〜70重量部添加された液状エポキシ樹脂(以
下主剤という)と、ポリアミノアミドとからなる二液型
熱硬化性樹脂に、磁性体粉末が分散された硬化物の引張
り弾性率が3.0〜60kg f/mm2である高周波誘導加熱接着
剤である。
(A):CTBN変成ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (B):ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテ
ル (C):分子量が300以上である高級脂肪族ジカルボン
酸のジグリシジルエステル 以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の高周波誘導加熱接着剤を構成する主剤は、前
述のとおり、エポキシ当量が170〜2,000であるビスフェ
ノールA型またはビスフェノールF型のエポキシ樹脂と
併用エポキシ化合物とからなり、全体として常温で液体
の組成物である。主剤における上記エポキシ樹脂と併用
エポキシ化合物との割合は、上記エポキシ樹脂100重量
部あたり、併用エポキシ化合物10〜70重量部であり、好
ましくはエポキシ樹脂100重量部あたり、併用エポキシ
化合物20〜50重量部である。
本発明における併用エポキシ化合物の具体例は、例え
ば以下に示すとおりである。
化合物(A):CTBN変性ビスフェノールA型エポキシ樹
脂。
本発明で使用できるCTBN変性ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂は、カルボキシル基を有し分子量が3,000〜4,0
00で液状のブタジェン−アクリロニトリルゴム(本明細
書においてはCTBNと略記する)とビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂とをエステル化した物であり、トリフェニル
ホスフィン等のエステル化触媒により、120〜170℃で2
〜3時間反応させることにより得られる。使用するCTBN
の好ましいアクリロニトリル配合量は、反応させるエポ
キシ樹脂との相溶性の点で15〜30wt%である。また、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂とCTBNとの好ましい反応
比は、該エポキシ樹脂100重量部に対してCTBN20〜70重
量部である。
化合物(B):ポリアルキレングリコールのジグリシジ
ルエーテル。
具体例としては、ダウケミカル社製商品名DER−732
(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル)等
があり、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
およびポリブチレングリコールジグリシジルエーテル等
も使用できる。
化合物(C):分子量が300以上である高級脂肪族ジカ
ルボン酸のジグリシジルエステル。
ダイマー酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
上記化合物(A)〜(C)は、単独でまたは2種以上
併用して使用することができる。
本発明の接着剤は、接着後の残留応力を速やかに緩和
できるように、後記する磁性体粉末を含んだ状態の硬化
物の引張り弾性率が、他の用途に用いられるエポキシ樹
脂系接着剤の場合より低いことが望まれ、3.0〜60kg f/
mm2であることが必要である。
硬化物の引張り弾性率を上記範囲に設定する目的で、
必要に応じて、エポキシ化大豆油、ジオクチルフタレー
トまたはポリプロピレングリコール等の可塑剤を接着剤
に添加しても良い。また、前記併用エポキシ化合物は、
硬化物の引張り弾性率を低下させる方法で作用する。
前記主剤において、併用エポキシ化合物の量が、エポ
キシ樹脂100重量部あたり、10重量未満であると、硬化
物の引張り弾性率を上記範囲に設定するため、前記のよ
うな可塑剤を過剰に使用しなければならず、その結果接
着強度が損われ、一方70重量部を越えると、相対的にエ
ポキシ樹脂の比率が低下しエポキシ樹脂に固有の強固な
接着力が発現しない。
次に上記主剤の硬化剤として作用するポリアミノアミ
ドについて説明する。
本発明におけるポリアミノアミドとしては、リノール
酸またはリノレイン酸等の不飽和二重結合を含む脂肪酸
を、ケイ酸アルミナなどの触媒の存在下に加熱して重合
させて得られる二量体化脂肪酸、三量体化脂肪酸および
四量体化脂肪酸等からなる混合物と、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミ
ン等のポリエチレンポリアミとを縮合させて得られるポ
リアミノアミドがあり、好ましくはアミン価が200〜450
mgKOH/gのポリアミノアミドである。
ポリアミノアミドの使用量は、前記主剤100重量部あ
たり、60〜90重量部が好ましく、さらに好ましくは70〜
80重量部である。ポリアミノアミドの量が60重量部未満
であると、接着後の残留応力が大きくなり、一方90重量
部を越えると、接着剤の耐熱・耐水性が低下する。
ポリアミノアミド以外のアミン系硬化剤、酸および酸
無水物系硬化剤を使用すると、接着剤樹脂の体積収縮率
すなわち硬化後に接着剤自体の体積が硬化前に比べ収縮
する比率が大きく、その結果接着後に大きな応力が発生
し、目的とする接着耐久性が得られない。
SMC等をライン上で接合する場合、通常接着が1分以
内に完結するような接着速度が要求されるが、その場
合、本発明の接着剤においては、硬化剤のポリアミノア
ミドにカテコール、ピロガロールおよびポリビニルフェ
ノール等のフェノール系硬化促進剤を添加することが好
ましく、添加量は、ポリアミノアミド100重量部あたり
硬化促進剤1.0〜20重量部が適当である。
上記主剤および硬化剤のポリアミノアミドに、高周波
誘導に感応する磁性体粉末を加えて、本発明の接着剤が
得られる。
磁性体粉末としては、高周波磁場内において磁気ヒス
テリシス損あるいは渦電流損により発熱する物質、具体
的には鉄、ニッケル、酸化鉄、フェライト等からなる粒
子径が1ミクロン以下の微細な粉末が好ましく、さら
に、100KHz〜1MHzの高周波磁場中において、効率的に発
熱する点で、粒状のγ−Fe2O3が最も好ましい。
上記磁性体粉末は、主剤およびポリアミノアミドの両
方に加えることが好ましく、その添加量は両者への添加
分の合計量で、主剤およびポリアミノアミドにおける有
機成分の合計量100重量部あたり、30〜150重量部が好ま
しく、さらに好ましくは50〜100重量部である。
本発明の接着剤には、上記成分の他に所望により、超
微粒子状無水シリカやシランカップリング剤等を添加し
ても良い。SMCを被着材とする場合、シランカップリン
グ剤は接着力向上のために使用でき、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン等は主剤に添加して、また
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等はポリアミノ
アミドに添加して用いられる。
接着剤の調整方法としては、主剤および硬化剤それぞ
れ別個に、磁性体粉末を均一に分散させ、かつ、加熱接
着時に発泡が生じないように空気を巻き込まないよう練
合するために、主剤および硬化剤を、それぞれ40〜60℃
に加温し、3〜20torrの真空下で大きな剪断力を加えな
がら20分〜60分かけて練合するのが好ましく、好適な混
合練り機としては、真空らいかい機、プラネタリーミキ
サー等が挙げられる。
次に接着方法について説明する。
本発明の接着剤は、高周波誘導加熱により発熱昇温
し、硬化接着が行われるものである。本発明において使
用する高周波発振機の周波数は、10KHz〜10MHzが適当で
あり、加熱効率および温度分布の均一性の点で、より好
ましくは、100KHz〜1MHzである。100KHz以下では、加熱
効率が低く、また1MHz以上では、接着の面方向の温度を
均一に加熱するのが困難である。
高周波発振機に接続する加熱コイルの形状は、一般的
な高周波誘導加熱で使用されるシングルターンコイル、
マルチターンコイル、ヘヤピンコイル、パンケーキコイ
ル等が使用できるが、ヘヤピンコイルにより接着面を挟
む形で加熱するのが最も効率的である。また、被着材の
形状により接着面に対して、コイルを両側に配置できな
い場合には、加熱効率は劣るが、ヘヤピンコイル、パン
ケーキコイルを片側に配置して加熱接着できる。
〔実施例および比較例〕
実施例1 次の組成の接着剤を調製した。
(主剤) ・エピコート828 60重量部 (エポキシ当量:190、油化シェルエポキシ社製、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂) ・CTBN変性ビスフェノールA型 エポキシ樹脂 30重量部 (注1) ・DER−732 5重量部 (エポキシ当量:315、ダウケミカル社製) ・カポックスS−6 5重量部 (花王社製、エポキシ化大豆油) ・WAT−103 70重量部 (戸田工業社製、粒状のγ−Fe2O3) ・アエロジル#200 1重量部 (日本アエロジル社製、超微粒子状無水シリカ) (注1) エピコート828:100重量部およびCTBN1,300×13(宇部
興産社製):50重量部を用い、これらにトリフェニルホ
スフィン:0.3重量部を混合し、150℃で3時間反応させ
て得た。
(硬化剤) ・バーサミド125 97重量部 (ヘンケル白水社製、ポリアミノアミド、アミン価350m
gKOH/g) ・NUC A−1,100 3重量部 (日本ユニカー社製、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン) ・マルカリンカーM 5重量部 (丸善石油社製:ポリビニルフェノール) ・WAT−103 70重量部 (戸田工業社製、粒状のγ−Fe2O3) ・アエロジル#200 2重量部 (日本アエロジル社製、超微粒子状無水シリカ) 上記組成を主剤、硬化剤別々に混合し、50℃、10torr
下でプラネタリーミキサー(井上製作所製、PLM−V−5
V型)により練合し、二液のエポキシ樹脂系接着剤を得
た。この接着剤の主剤と硬化剤を重量比で17.1対13.5
(樹脂分比で10対8)の割合で計量し、スパーテルで十
分に混合した。
この二液混合後の接着剤の150℃におけるゲルタイム
(150℃の熱板上に少量の接着剤を載せ、スパーテルで
攪拌しながら観察したとき、接着剤の曳糸性が無くなる
までの時間で評価)を測定したところ22秒であった。ま
た、この接着剤を150℃のオーブン中で20分放置して得
られた硬化物の体積収縮率は1.7%、引張り弾性率は、2
4.4(kg f/mm2)であった。さらに、この接着剤の25℃
室温下に放置した場合の可使時間(ペースト状を保ち、
被着材に塗布ができる限界の時間)を測定したところ、
約90分であった。
次に、この接着剤を使用し、厚さ3mmのSMC(武田薬品
工業社製、グレードB−12)テストピースをJIS−K−6
850に従って接着し、引張剪断強度測定試験片を作成し
た。接着は、幅15mmの銅角パイプによるヘヤピン型コイ
ルを使用し、高周波入力3.5KVA、周波数400KHz、発振時
間40秒の条件で加熱接着した。かくして得られた5個の
接着テストピースの引張剪断強度を測定したところ、そ
の平均値は66(kg/cm2)であった。また、同様に作成し
たテストピースの−30℃〜80℃冷熱10サイクル後の引張
剪断強度は63(kg/cm2)、80℃熱間における引張剪断強
度は43(kg/cm2)であった。
実施例2 (主剤) エピコート828 70重量部 ST−2PG(注2) 20重量部 ジオクチルフタレート 5重量部 フェニルグリシジルエーテル 5重量部 WAT−103 70重量部 アエロジル#200 1重量部 (硬化剤) バーサミド140(注3) 97重量部 A−1100 3重量部 WAT−103 70重量部 アエロジル#200 2重量部 マルカリンカーM 10重量部 (注2)長鎖ジカルボン酸ジグリシジルエステル、エポ
キシ当量320、岡村製油社製。
(注3)アミン価380mgKOH/g、ヘンケル白水社製。
上記組成の主剤および硬化剤を、実施例1と同様な方
法で調製し、次いでそれらを樹脂分重量比で10対8の割
合で混合し接着剤を得た。
実施例3 (主剤) エピコート828 70重量部 CTBN化828 10重量部 DER−732 20重量部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3重量部 カポックスS−6 5重量部 WAT−103 70重量部 アエロジル#200 1重量部 (硬化剤) バーサミド140 80重量部 アミノ基含有ブタジエン−アクリロニトリルゴム20重量
部 WAT−103 70重量部 アエロジル#200 2重量部 ピロガロール 5重量部 実施例1〜2と同様にして、上記組成の主剤および硬
化物からなる接着剤を調製した。
比較例1 (主剤) エピコート828 90重量部 DER−732 5重量部 カポックスS−6 5重量部 WAT−103 70重量部 アエロジル#200 1重量部 (硬化剤) バーサミド125 97重量部 A−1100 3重量部 WAT−103 70重量部 アエロジル#200 2重量部 ピロガロール 5重量部 前記各実施例と同様な方法によって、上記組成の主剤
および硬化剤からなる接着剤を調製した。本比較例の接
着剤は、併用エポキシ化合物であるDER−732の主剤にお
ける割合がエピコート828;100重量部あたり5.6重量部
で、本発明の範囲を下回るものである。
実施例2〜3および比較例1の接着剤についても、実
施例1と同様な物性を評価し、その結果を実施例1の結
果と合せて表−1に示した。
(ハ)発明の効果 本発明の接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤に固有な強
力な接着強度を有すると共に、硬化手段として高周波誘
導加熱が適用されるため短時間接着が可能であり、さら
に加えて接着剤の構成を特徴あるものとしたことによ
り、接着後の残留応力が小さく、冷熱サイクル試験結果
から明らかなように接着耐久性に優れている。
従って、短時間の接着が求められる自動車工業等のラ
イン上で、SMCや鋼板等を接合する場合に、極めて有効
に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H05B 6/02 H05B 6/02 Z

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エポキシ当量が170〜2,000であるビスフェ
    ノールA型またはビスフェノールF型のエポキシ樹脂10
    0重量部あたり、下記化合物(A)、(B)または
    (C)が10〜70重量部添加された液状エポキシ樹脂と、
    ポリアミノアミドとからなる二液型熱硬化性樹脂に、磁
    性体粉末が分散された硬化物の引張り弾性率が3.0〜60k
    g f/mm2である高周波誘導加熱接着剤。 (A):CTBN変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (B):ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテ
    ル (C):分子量が300以上である高級脂肪族ジカルボン
    酸のジグリシジルエステル
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