JP2670596B2 - パン・菓子生地の均一な連続生地の供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パン生地や菓子生地の
巾と厚みが一定な連続体を供給する装置に関し、さらに
詳しくは、バッチ式の混練によってできあがった生地を
適当な大きさに切断する際に、生地に無理な余計な力を
与えずスムーズに切断することができ、これを切れ目な
くつながった状態の帯状生地にして、連続式の成形工程
に定量供給する場合に用いて大きな効果のある装置であ
り、パン・菓子生地の生産無人化をさらに促進するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、定量連続の帯状生地を得る装置と
しては本出願人による特開昭６３−２４５６３１、特願
平２−１８６７６６等がある。これらはホッパーの底部
に設けた開閉シャッターによりパン生地塊を分割して秤
量コンベア上に載置して重量測定を行った後、供給コン
ベア上で分割生地を互いに粘結して定量連続生地とする
ものが提案されている。この装置によると開閉シャッタ
ーの開閉動作によりホッパ内生地底面が引きずられてホ
ッパ内生地の対流や攪拌が引き起こされる。そのため開
閉板によって分割吐出された生地はその後内部応力によ
って図３に示すようにその縁部が中央部より厚い形状と
なったり、また内部組織が劣化する。それら生地を連結
し連続生地を形成した場合、その連続生地には分割生地
の不均一な形状で、必ずしも巾と厚みが一定な連続生地
とは言えなかった。またこのように切断時に発生するパ
ン生地内部の不要な対流や攪拌によって成形後のパン類
製品の形状、重量の不揃いや品質の低下を引き起こす。

【０００３】食品材料の切断手段としては、特公昭４４
−１１６２号、実公昭４７−３４０３４号に示されるバ
ター等の切断機があるが、これを粘弾性の高いパン生地
等に適用した場合には、切断時に粘着したり生地が変形
攪拌されて組織が劣化したりして良好な切断ができな
い。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
な問題点を解決し、生地組織を破壊せずに生地切断時の
単位面積当たりの生地重量を一定化させて、巾と厚みの
一定な連続生地を得ようとするものであり、パンの生産
において高品質の製品を提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、底面支持部材に巻きつけられ、か
つ、ベースに係止されたベルトを切断刃の前後に設けて
生地ホッパの底面を構成し、切断刃を前後に移動させる
際、これに同調して両ベルトの底面支持部材がそれぞれ
同一速度で前後に移動するように設けるとともに、切断
刃の後方に隣接する生地支持面は切断刃と平坦な面を形
成し、切断刃前方の生地支持面は切断刃と所定の段差を
おいた下方に設けてこの段差を生地吐出口とし、前記切
断刃は鋸刃２枚をその刃先を揃えて長手方向に往復摺動
するようにするとともに、その切断刃全体が前後移動可
能な分割切断装置を設け、分割切断装置の下方には分割
生地の計量装置とその配列装置、さらにその下方に、配
列された分割生地を運搬する供給コンベアと、この供給
コンベアの運行距離を検知する運行距離検知装置、前記
配列装置に配列動作の信号及び前記分割切断装置に分割
動作の信号を出力するための演算装置、及び前記供給コ
ンベア上で配列された分割生地を押圧する押圧装置を設
けたことを特徴とするパン・菓子生地の均一な連続生地
の供給装置である。

【０００５】

【作用】本発明による生地切断刃によればバター等の様
にスライスの容易な物質と性質を全く異にする弾力性の
強いパン生地でもスムーズに切断できることと、この切
断時において、ホッパ内生地底面を支える支持面と生地
底面との相対速度が零となるようにしたということの二
つの要素が相乗的に働いて、従来の如くホッパ内生地に
対流を起こさせることなく平板状で内部応力の均一な分
割生地が吐出できることとなり、良好な連続定量生地を
形成することが可能となった。

【０００６】

【実施例】以下、本発明による一実施例を、図に基づい
て詳細に説明する。パン生地塊１の入ったホッパ２がビ
ーム３を介してベース４に固定されている。ベース４に
はスライドレール７が付設され、フレーム５に設けられ
たスライドベアリング６が摺動可能に組み合わされてお
り、フレーム５はベース４に対して水平前後移動可能と
なっている。切断底面支持部材１１として、第一プレー
ト８及び回動可能に第一ローラ９がフレーム５に取りつ
けられ、切断底面支持部材１１に有端の第一ベルト１０
が巻きつけられて、ホッパ２内での生地支持面として上
支持面１３が形成されている。第一ベルト１０の両端は
ホッパ２の側面から延びた第一ブラケット１２に固定さ
れている。すなわち、フレーム５の水平移動に伴い切断
底面支持部材１１が水平移動してホッパ２との相対位置
が変化しても、第一ベルト１０の上支持面１３と、ホッ
パ２内のパン生地塊１の底面１４の相対位置は変化しな
い。すなわち、フレーム５の水平移動に伴い切断底面支
持部材１１が水平移動し、ホッパ２の底面を形成する上
支持面１３の面積が変化することを示している。

【０００７】第一ベルト１０の先端に近接して切断刃１
５が、その上面を上支持面１３と同じ高さで平坦にフレ
ーム５に固定されている。切断刃１５は上鋸刃１６と下
鋸刃１７により構成されている。上鋸刃１６はフレーム
５に取りつけられ、また、下鋸刃１７はスライドロッド
１８に固定され、上鋸刃１６と下鋸刃１７とは刃先を揃
えて互いに摺接する位置関係としてある。スライドロッ
ド１８はフレーム５を貫通し、ユニバーサルジョイント
１９を介してクランク装置２０に装着されている。クラ
ンク装置２０はフレーム５に固定された小プレート２１
に取りつけられている。切断刃１５の下面に底面支持部
材２５として、第二プレート２２及び回動可能に第二ロ
ーラ２３がフレーム５に取りつけられ、底面支持部材２
５に有端の第二ベルト２４が巻きつけられている。第二
ベルト２４の両端は、第一ブラケット１２とは反対側に
ホッパ２の側面から延びた第二ブラケット２６に固定さ
れている。すなわち、フレーム５の水平移動に伴い底面
支持部材２５が水平移動し、下支持面２７の面がホッパ
の底面として増減する。この下支持面２７の増減は、前
述の上支持面１３のホッパ内での増減と相反するように
構成されている。下支持面２７はホッパ２の下端よりも
下方に設けられている。また、生地はみ出し防止用のガ
ード２９がホッパ２下端に近接して第二プレート２２に
取りつけられている。切断刃１５の下面には、小径ロー
ラ３７を刃に沿って回動可能に設けている。

【０００８】底面支持部材25の下方に分割生地30の秤量
を行う計量装置31の取りつけられた秤量コンベア32が水
平移動可能に設けられ、その下方の供給コンベア34に配
列動作をする配列装置となっている。供給コンベア34に
はエンコーダ33がが設けられ、その上面には押圧装置群
35が取りつけられている。

【０００９】次に、上記した構成による連続パン生地定
量供給装置の動作説明を以下に詳述する。まず、通常の
技術で混練されホッパ２に供給されたパン生地塊１は切
断動作開始時において、底面支持部材25がホッパ２の下
方に位置する状態において形成される下支持面27のみに
よりその底面14を支えられている。この時切断刃15及び
切断底面支持部材11はホッパ２の下方から外れて位置し
ている。

【００１０】次に図示しない駆動装置でフレーム５が切
断刃15の刃先方向へ移動し始め切断動作が開始される。
フレーム５の移動開始と同時に図示しない別の駆動装置
によりクランク装置20が回転し始めユニバーサルジョイ
ント19を介してスライドロッド18が往復動して下鋸刃17
が上鋸刃16と摺接しながら切断運動が開始され切断刃15
の刃先がパン生地塊１の側面に食い込んでいく。これは
上鋸刃16と下鋸刃17の刃先で形成される細かなカッター
による切断運動なので弾性の強い切断抵抗の大きいパン
生地に対しては特に有効でパン生地塊１はきれいな切断
面を形成しながら平板状の分割生地30として切り出され
ていく。フレーム５の前進によって切断刃15と共に前進
する第一プレートの先端に案内されて第１ベルト10も前
進し、上支持面13の面が拡張される。この時、第一ベル
ト10は自由に回転しないようにその端部が第一ブラケッ
ト12に固着しているので、上支持面13上の生地底面14と
接するベルトは生地に対して、相対的速度差はなくベル
トは生地底面を覆うことができる。つまり切断刃15によ
るスムーズな生地切断とあいまって、ホッパ２の内部の
生地には対流作用は全く働かず内部応力の均一な分割生
地30が吐出される。

【００１１】また、生地切断開始と同時に、第二ベルト
24が後退していくので、下支持面27は縮小されていく。
ここで第二ベルト24の端部はホッパ２の側面から延びた
第二ブラケット26に固定されているので、支持面27を形
成する部分の第二ベルト24と、パン生地塊１の底面28と
の相対速度差はなく、ここでも生地に余計なまさつによ
る引張作用は加わらない。以上の如く、固定されたホッ
パ２に対するフレーム５の前方移動によって、パン生地
塊１に対流作用を全く与えることなく切断動作が行われ
る。

【００１２】切断刃15がパン生地１の切断を終了する
と、切断刃15の摺動動作が停止され、またフレーム５は
定位置に復帰するため切断動作時とは逆方向に移動を開
始し、上支持面13が後退するがこのときパン生地１に引
き込み作用を与えずに縮小していく。また同様に下支持
面27がパン生地１に引き込み作用を与えずに拡張してい
く下支持面27が支持し、最終的にフレーム５は切断開始
位置まで戻って切断動作の一周期が終了する。

【００１３】切断された分割生地３０は秤量コンベア３
２上に載置され、計量装置３１によって重量が計測され
る。その計測値を受けて、図示しない制御装置からは秤
量コンベア３２に対し分割生地３０の排出指令が送信さ
れ、分割生地３０は供給コンベア３４上に配列される。
図示しない制御装置は、秤量コンベア３２に何も載置さ
れていないという状態を感知すると、次の分割切断動作
の開始指令を送信し、次の分割生地が切りだされる。さ
らに、計量装置３１で計量された分割生地３０の供給コ
ンベア３４における占有長さを、予め設定された生産量
に基づき算出し、分割生地３０の供給コンベア上の搬送
距離を決定する。そして、分割生地３０がその算出距離
を搬送されたことがエンコーダ３３によって感知される
と、次の分割生地が秤量コンベア３２から供給コンベア
３４に排出され、移載される。分割生地は押圧装置群３
５により強固に粘結され、もって定量連続生地が搬出さ
れる。また、図４に示したように、切断刃の真下に、切
断刃への生地の粘着を防止するための、回動可能な構造
の剥離ローラを設けることによって、生地切断をさらに
スムーズにすることも可能である。

【００１４】

【発明の効果】上記した、ホッパ内生地に対流作用を与
えない生地分割装置を使用すれば定量化の精度を上げる
ことが出来、均質な一定の帯状連続生地が形成されるの
で、その生地から作られるパン、菓子類製品は規格の整
った物となり、商品価値の増大と高生産性をもたらすこ
ととなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による装置の全体側面図である。

【図２】本発明による生地分割装置の斜視断面図であ
る。

【図３】従来の技術による定量連続生地供給装置の側面
図である。

【図４】本発明による他の実施例における生地分割装置
の側面断面図である。

【符号の説明】

１ パン生地塊 ２ ホッパ ３ ビーム ４ ベース ５ フレーム ６ スライドベアリング ７ スライドレール ８ 第一プレート ９ 第一ローラ 10 第一ベルト 11 切断底面支持部材 12 第一ブラケット 13 上支持面 14 底面 15 切断刃 16 上鋸刃 17 下鋸刃 18 スライドロッド 19 ユニバーサルジョイント 20 クランク装置 21 小プレート 22 第二プレート 23 第二ローラ 24 第二ベルト 25 底面支持部材 26 第二ブラケット 27 下支持面 28 底面 29 ガード 30 分割生地 31 計量装置 32 秤量コンベア 33 エンコーダ 34 供給コンベア 35 押圧装置群 36 生地吐出口 37 小径ローラ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底面支持部材に巻きつけられ、かつ、ベ
   ースに係止されたベルトを切断刃の前後に設けて生地ホ
   ッパの底面を構成し、切断刃を前後に移動させる際、こ
   れに同調して両ベルトの底面支持部材がそれぞれ同一速
   度で前後に移動するように設けるとともに、切断刃の後
   方に隣接する生地支持面は切断刃と平坦な面を形成し、
   切断刃前方の生地支持面は切断刃と所定の段差をおいた
   下方に設けてこの段差を生地吐出口とし、前記切断刃は
   鋸刃２枚をその刃先を揃えて長手方向に往復摺動するよ
   うにするとともに、その切断刃全体が前後移動可能な分
   割切断装置を設け、分割切断装置の下方には分割生地の
   計量装置とその配列装置、さらにその下方に、配列され
   た分割生地を運搬する供給コンベアと、この供給コンベ
   アの運行距離を検知する運行距離検知装置、前記配列装
   置に配列動作の信号及び前記分割切断装置に分割動作の
   信号を出力するための演算装置、及び前記供給コンベア
   上で配列された分割生地を押圧する押圧装置を設けたこ
   とを特徴とするパン・菓子生地の均一な連続生地の供給
   装置。
2. 【請求項２】 切断刃の下面に近接して小径ローラを設
   けたことを特徴とする請求項１記載の装置。