JP2669554B2 - 新規な多糖誘導体及び分離剤 - Google Patents

新規な多糖誘導体及び分離剤

Info

Publication number
JP2669554B2
JP2669554B2 JP1119137A JP11913789A JP2669554B2 JP 2669554 B2 JP2669554 B2 JP 2669554B2 JP 1119137 A JP1119137 A JP 1119137A JP 11913789 A JP11913789 A JP 11913789A JP 2669554 B2 JP2669554 B2 JP 2669554B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polysaccharide
yield
isocyanate
group
derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1119137A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02289601A (ja
Inventor
佳男 岡本
耕一 畑田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Publication of JPH02289601A publication Critical patent/JPH02289601A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2669554B2 publication Critical patent/JP2669554B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば光学分割を行う機能材料として極め
て有用な、新規な多糖誘導体に関する。詳細には不斉炭
素をもった原子団を有する新規な多糖誘導体であり、又
該誘導体からなる分離剤に関する。
〔従来技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、多糖類にアキラルな化合物を反応させた誘導体
は知られている。構造的には、立体的に規則正しいポリ
マー主鎖にアキラルな基が結合したもので、液体クロマ
トグラフィーのカラム充填剤として種々のラセミ体に対
し不斉識別能を示す。しかし、不斉中心を2個有する化
合物、あるいは不斉中心に種々の官能基を持つラセミ体
と構造が複雑になるに従い、識別能がうまく発現されな
い場合がある。
本発明は、キラルな化合物を多糖に反応させて、主鎖
及び側鎖を共に立体的に規制することにより、より優れ
た不斉識別能を持たせた多糖誘導体及び分離剤を提供し
ようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
即ち本発明は、多糖の有する水酸基又はアミノ基上の
水素原子の一部又は全部を下記の式で示される原子団の
1種又は2種以上で置換してなる新規な多糖誘導体及び
該多糖誘導体を主成分とする分離剤に係るものである。
(但しRを構成する炭素原子数は1〜30であり、Rは少
なくとも12個の不斉中心を有するグループである) 尚、上記原子団による置換度は少なくとも30%以上で
あり、好ましくは50%以上、更に好ましくは85%以上で
ある。
<多 糖> 本発明における多糖とは、合成多糖、天然多糖及び天
然物変成多糖のいずれかを問わず、光学活性であればい
かなるものでも良いが、好ましくは結合様式の規則性の
高いものである。例示すれば、α−1,4−グルカン(ア
ミロース、アミノペクチン)、α−1,6−グルカン(デ
キストラン)、β−グルカン(プスツラン)、β−1,3
−グルカン(例えば、カードラン、シゾフィラン等)、
α−1,3−グルカン、β−1,2−グルカン(Crown Gall多
糖)、β−1,4−ガラクタン、β−1,4−マンナン、α−
1,6−マンナン、β−1,2−フラクタン(イヌリン)、β
−2,6−フラクタン(レバン)、β−1,4−キシラン、β
−1,3−キシラン、β−1,4−キトサン、β−1,4−N−
アセチルキトサン(キチン)、プルラン、アガロース、
アルギン酸等であり、アミロースを含有する澱粉なども
含まれる。特に好ましい高純度の多糖を容易に得ること
のできるアミロース、β−1,4−キトサン、キチン、β
−1,4−マンナン、β−1,4−キシラン、イヌリン、カー
ドラン等である。
これら多糖の数平均重合度(1分子中に含まれるピラ
ノース或いはフラノース環の平均数)は5以上、好まし
くは10以上であり、上限は2000、好ましくは500以下で
あることが取り扱いの容易さにおいて好ましい。
<原 子 団> 導入される原子団としては、多糖の水酸基、又はアミ
ノ基と反応して上記の式で示されるウレタン結合を形成
する化合物である。
式中のRを構成する炭素原子数は1〜30であり、Rは
少なくとも1個の不斉中心を有する。さらに構造中に実
際の反応に関与しないエーテル結合、カルボニル結合や
ハロゲンなどの官能基を含んでいてもかまわない。ま
た、Rを構成する炭素原子はSP3混成(C−C単結合時
の炭素の原子軌道)のみ、あるいはSP3,SP2(C=C二
重結合の炭素の原子軌道)、SP(−C≡C−あるいは−
C≡N三重結合の炭素の原子軌道)のうち2種あるいは
3種の組み合わせからなるグループがあり、幾何学的に
は鎖状でも環状でもかまわない。具体的には、例えば以
下のようなものがある。
尚、式中*印は不斉中心を示す。
A) SP3混成炭素原子単独からなるグループ B) SP3とSP2混成炭素原子からなるグループ また、原子団としては上記式のいずれか1種あるいは
2種以上用いてもかまわない。
これは目的とする分離性能の面から選択することが好
ましい。
また、Rとして分子不斉なグループがあり、例えば次
のようなものが挙げられる。
<合成方法> 本発明の多糖のカルバメート誘導体をなすカルバモイ
ル基は前述の一般式で示され、対応する多糖が有する全
水酸基及びアミノ基のうち30%乃至100%、好ましくは5
0%以上、更に好ましくは85%以上が該カルバモイル基
とウレタン結合を形成しているものである。
本発明に係るカルバメート誘導体の合成には通常のア
ルコールとイソシアナートからウレタンを生ずる反応を
そのまま適用できる。例えば、適当な溶媒中で三級アミ
ン等のルイス塩基、又は錫化合物等のルイス酸を触媒と
して、対応するイソシアナートと多糖を反応させること
により得ることができる。また、イソイアナートの合成
は、例えば、対応するアニリン誘導体のアミノ基にホス
ゲンを作用させることにより容易に得ることができる。
<分 離 剤> 本発明の多糖誘導体は、機能材料として極めて有用な
物質であり、とくに光学分割用充填剤、即ち分離剤とし
て有用なものである。
本発明の多糖誘導体を分離剤として、化合物の混合物
や光学異性体混合物を分離する目的に使用するには、本
発明の多糖誘導体を充填したガスクロマトグラフィー、
液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなど
のクロマトグラフィー法を用いるのが一般的であるが、
この他、本発明多糖誘導体を含む膜を成形し、これで膜
分離を行うこともできる。
本発明の誘導体を分離剤として液体クロマトグラフィ
ー法に応用するには、その粉体としてカラムに充填する
方法が簡便である。本発明誘導体を粉砕するかビーズ状
にすることが好ましく、粒子は多孔質であることがより
好ましい。更に分離剤の耐圧能力の向上、溶媒置換によ
る膨潤、収縮の防止、理論段数の向上のために多糖誘導
体を担体に担持させることも好ましい。
粉体として用いる場合の粒子の大きさおよび担体の大
きさは使用するカラムの大きさによって異なるが、1μ
m〜1mmであり、好ましくは1μm〜300μmである。担
体は多孔質であることが好ましく、その平均孔径は10Å
〜100μmであり、好ましくは、50Å〜50000Åである。
担体に担持させる多糖誘導体の量は担体に対して1〜10
0重量%、好ましくは5〜50重量%である。
多糖誘導体を担体に担持させる方法は化学的方法でも
物理的方法でもよい。物理的方法としては、多糖誘導体
を可溶性の溶剤に溶解させ、担体と良く混合し、減圧ま
たは加温下、気流により溶剤を留去させる方法や、多糖
誘導体を可溶性の溶剤に溶解させ、担体と良く混合した
後、多糖誘導体に対し不溶性の溶剤に分離させることに
よって可溶性溶剤を分散させてしまう方法もある。この
様にして得られた分離剤は、加熱、溶媒の添加、洗浄な
どの適当な処理を行うことによって、その分離能を改善
することも可能である。
用いる担体としては多孔質有機担体または多孔質無機
担体があり、好ましくは多孔水無機担体である。多孔質
有機担体として適当なものは、ポリスチレン、ポリアク
リウアミド、ポリアクリレート等からなる高分子物質が
挙げられる。多孔質無機担体として適当なものは、シリ
カ、アルミナ、マグネシア、ガラス、カオリン、酸化チ
タン、ケイ酸塩などであり、これらの表面に、カルバメ
ート誘導体との親和性を良くしたり、担体自身の表面の
特性を改質するために処理を施したものを用いても良
い。表面処理の方法としては有機シラン化合物によるシ
ラン化処理やプラズマ重合による表面処理方法等があ
る。
液体クロマトグラフィーあるいは薄層クロマトグラフ
ィーを行う場合の展開溶媒としては多糖誘導体を溶解ま
たはこれと反応するものを除いて特に制約はない。多糖
誘導体を化学的方法で担体に結合したり、架橋により不
溶化した場合にはこれと反応するものを除いて特に制約
はない。
一方、薄層クロマトグラフィーを行う場合には、0.1
μm〜0.1mm程度の粒子からなる該分離剤と、必要であ
れば少量の結合剤より成る厚さ0.1mm〜100mmの層を支持
板上に形成すれば良い。
又、膜分離を行う場合には中空糸あるいはフィルムと
して用いる。
〔実 施 例〕
以下本発明を実施例によって詳述するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。さらに上記の
分離効果を応用例に示す。
実施例 1 〔セルローストリス(−)−1−フェニルエチルカルバ
メート)〕の合成 セルロース(Avicel:メルク社)0.80gを80℃で6時間
LiCl/N,N−ジメチルアセトアミド1.2g/12ml中で撹拌し
た後、これにピリジン6ml、(−)−1−フェニルエチ
ルイソシアノート3.5mlを加え、26時間、100℃で反応さ
せた。反応溶液をメタノールに注ぎ入れ、生成物を析出
させ、グラスフィルターで濾取し、60℃で真空乾燥し
た。
収量 2.21g 収率74.2% 尚、(−)−1−フェニルエチルイソシアナートは
(−)−1−フェニルエチルアミンにホスゲンを反応さ
せて合成した。
(−)−1−フェニルエチルイソシアナート:bp.69〜71
℃/6mmHg 得られたセルローストリカルバメート誘導体(以下
(−)−isomerとよぶ)の元素分析値は次の如くであ
る。
C% H% N% 実測値 64.42 6.08 6.78 計算値 65.66 6.18 6.96 応用例 1 実施例1で得られた多糖誘導体の1部(部は重量部、
以下同じ)を、8部のアセトンに溶解し、ジフェニルシ
ラン処理したシリカゲル(Merck社製:Lichrospher Si−
1000)4部と混和した後、アセトンを減圧留去すること
により充填剤を得た。該充填剤をメタノールを用いたス
ラリー法により内径0.46cm、長さ25cmのステンレス製カ
ラムに充填した。
この分離剤を用いて種々のラセミ体化合物を分離し
た。その結果を表−1に示す。
尚、表中の容量比(k′)、分離係数(α)及び分離
度(Rs)は、それぞれ下式により定義される。
(分離度が1以上であれば完全分離であることを示す) 実施例 2 〔キシランビス((+)−1−フェニルエチルカルバメ
ート)及びキシランビス((−)−1−フェニルエチル
カルバメート)の合成〕 1)(+)及び(−)−1−フェニルエチルイソシアナ
ートの合成 合成は常法により行った。
・(+)−1−フェニルエチルイソシアナート 66.2〜67.8℃/5mmHg 収率 69.4% ▲〔α〕25 D▼ +10.4゜(Aldrich 〔α〕19+9.2゜
(neat)) ・(−)−1−フェニルエチルイソシアナート 66.3〜66.8℃/5mmHg 収率 71.1% 2) キシランビス(1−フェニルエチルカルバメー
ト)の合成 50ml二口フラスコに還流冷却管を取りつけた。N2下に
てキシラン0.80g(生化学工業株式会社製)、LiCl0.85g
を入れ、乾燥ジメチルアセトアミド(モレキュラーシー
ブ上)6mlを加え、90℃にて2時間撹拌した。粘度はか
なり高くなったが、均一系であった。これに乾燥ピリジ
ン(KOH上)15mlを加えた後、1−フェニルエチルイソ
シアナート2.5ml(キシランの−OHモル数×1.5)を加え
た。24時間後、反応系はイソシアナートは存在せず(IR
より)、反応もそれほど進んでいないので、更にイソシ
アナート1.1mlを加えた。反応開始後92時間でMeOHに沈
殿させ、遠沈回収した。この直前にはイソシアナートは
系に残っていた(IR)。ピリジン添加後は塩化カルシウ
ム管を取り付けた。
得られたキシランビス((+)−1−フェニルエチル
カルバメート)(以下(+)−isomerとよぶ)及びキシ
ランビス((−)−1−フェニルエチルカルバメート)
(以下(−)−isomerとよぶ)は次式で表される構造を
有する。
応用例 2 実施例2で得られたキシランビス(1−フェニルエチ
ルカルバメート)0.75gをジメチルアセトアミド7mlに溶
かした。これを2〜3回に分けてシリカゲル(4000−
7、3−アミノプロピルトリエトキシシラン処理)3.00
gに担持した。カラム(25×0.46(id)cm)にはヘキサ
ン−流動パラフィン(2:1)に分散させて充填した。
圧力 330kg/cm2 この分離剤を用いて種々のラセミ体化合物を分離し
た。その結果を表−2、表−3及び表−4に示した。
実施例 3 〔アミローストリス((−)−1−フェニルエチルカル
バメート)の合成〕 50ml二口フラスコに還流留去管を取り付け、N2下にて
アミロース(半井化学)0.80g、LiCl0.80gを入れ、乾燥
ジメチルアセトアミド(モレキュラーシーブ上)5mlを
加えた。90℃にて2時間加熱撹拌した。不均一系ではあ
ったが、これに乾燥ピリジン(KOH上)7mlを加えた後、
(−)−1−フェニルエチルイソシアナートを加え、90
℃にて50時間反応させた。反応系の粘度はかなり高かっ
た。また、メタノールに沈殿させた際、ポリマーは粉状
ではなく糸状に沈殿した。
収量1.33g 収率44.7% 更にこのポリマーをTHFにより溶媒分別した。
可溶部 0.77g(61.1%) 不溶部 0.49g(38.9%) ……未反応の−OHが見られ
た。
得られたアミローストリス((−)−1−フェニルエ
チルカルバメートの収量は0.77g、収率は25.9%であっ
た。
元素分析 C% H% N% 実測値 63.93 6.05 6.72 計算値 65.72 6.14 6.97 応用例 3 実施例3で得られたポリマー0.72gを15mlのTHFに溶か
し、シリカゲル(2−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン処理)2.90gに担持した。パッキングはヘキサン−流
動パラフィン(2:1)に分散させ、330kg/cm2で加圧し
た。
この分離剤を用いて種々のラセミ体化合物の光学分割
を行った。分割の結果は表−5に示した。
実施例 4 〔アミローストリス((+)−1−フェニルエチルカル
バメート)の合成〕 50ml二口フラスコに還流留去管を取り付け、N2下にて
アミロース(半井化学)0.80g、LiCl0.80gを入れ、乾燥
ジメチルアセトアミド(モレキュラーシーブ上)7mlを
加えた。90℃にて5時間加熱撹拌した。不均一系ではあ
ったが、これに乾燥ピリジン(KOH上)10mlを加えた
後、(+)−1−フェニルエチルイソシアナート3.6gを
加え、90℃にて70時間反応させた。反応系の粘度はかな
り高かった。また、メタノールに沈殿させた際、ポリマ
ーは粉状ではなく糸状に沈殿した。
更にこのポリマーをTHFにより溶媒分別した。
可溶部 0.72g(61.1%) 得られたアミローストリス((+)−1−フェニルエ
チルカルバメートの収量は0.72g、収率は22.6%であっ
た。
元素分析 C% H% N% 実測値 64.85 6.11 6.87 計算値 65.72 6.14 6.97 応用例 4 実施例4で得られたポリマー0.72gを15mlのTHFに溶か
し、シリカゲル(3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン処理)2.90gに担持した。パッキングはヘキサン−流
動パラフィン(2:1)に分散させ、330kg/cm2で加圧し
た。
この分離剤を用いて種々のラセミ体化合物の光学分割
を行った。分割の結果は表−5に示した。
実施例 5 〔セルローストリス((+)−1−フェニルエチルカル
バメート)の合成〕 50ml二口フラスコに還流留去管を取り付け、N2下にて
セルロース(Merck)0.80g、LiCl0.90gを入れ、乾燥ジ
メチルアセトアミド(モレキュラーシーブ上)7mlを加
えた。90℃にて4時間加熱撹拌した。不均一系ではあっ
たが、これに乾燥ピリジン8mlを加えた後、(+)−1
−フェニルエチルイソシアナートを加え、90℃にて27時
間反応させた。不均一系であったので、停止前2時間の
時にイソシアナート0.80gを再添加した。ポリマーはメ
タノールに沈殿させ、グラスフィルターにて回収した。
収量2.10g 収率70.6% 更に、このポリマーをTHFにより溶媒分別した。
可溶部 1.96g(91.6%) 不溶部 0.18g(8.4%)……未反応の−OHが見られた。
得られたセルローストリス((+)−1−フェニルエ
チルカルバメート)の収量は1.96g、収率は65.9%であ
った。
元素分析 C% H% N% 実測値 65.44 6.19 6.96 計算値 65.72 6.14 6.97 応用例 5 実施例5で得られたポリマー0.74gをTHF12mlに溶か
し、シリカゲル(3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン処理)3.00gに担持した。パッキングはヘキサン−流
動パラフィン(2:1)で分散させ、330kg/cm2で加圧し
た。
この分離剤((+)−isomerと略す)を用いて種々の
ラセミ体化合物の光学分割を行った。分割の結果は次の
表−6にまとめた。
実施例 6 〔セルローストリス(1−フェニルエチルカルバメー
ト)〕の合成 セルロース(Avicel:メルク社)0.80gを80℃で6時間
LiCl/N,N−ジメチルアセトアミド1.2g/12ml中で撹拌し
た後、これにピリジン6ml、1−フェニルエチルイソシ
アナート3.5mlを加え、26時間、100℃で反応させた。反
応溶液をメタノールに注ぎ入れ、生成物を析出させ、グ
ラスフィルターで濾取し、60℃で真空乾燥した。
収量 2.21g(収率74.2%) 尚、1−フェニルエチルイソシアナートは1−フェニ
ルエチルアミンにホスゲンを反応させて合成した。
1−フェニルエチルイソシアナート:bp.69〜71℃/6mm
Hg 得られたセルローストリカルバメート誘導体の元素分
析値は次の如くである。
C% H% N% 実測値 64.42 6.08 6.78 計算値 65.66 6.18 6.96 応用例 6 実施例6で得られた多糖誘導体の1部(部は重量部、
以下同じ)を、8部のアセトンに溶解し、ジフェニルシ
ラン処理したシリカゲル(Merck社製:Lichrospher Si−
1000)4部と混和した後、アセトンを減圧留去すること
により充填剤を得た。該充填剤をメタノールを用いたス
ラリー法により内径0.46cm、長さ25cmのステンレス製カ
ラムに充填した。
この分離剤を用いて種々のラセミ体化合物を分離し
た。その結果を表−7に示す。
実施例 7 〔セルローストリス(1−(p−トリル)エチルカルバ
メート)の合成〕 セルロース(Avicel:メルク社)0.560g、塩化リチウ
ム0.75gを乾燥N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)7.5ml
中80℃で12時間撹拌した。これに乾燥ピリジン4.0mlを
加えた後、1−(p−トリル)エチルイソシアナート3.
5gを加え、80℃で48時間反応させた。反応が進行してい
ることはIRでカルバメート基の吸収が存在することによ
り確認した。反応物をメタノールに注ぎ入れ、沈殿をグ
ラスフィルターにて濾過回収した。乾燥後、その一部を
CHCl3で溶媒分別し、可溶部を目的物とした。
収量 0.86g(38.6%) 尚、1−(p−トリル)エチルイソシアナートは対応
するアミンにホスゲンを反応させて得た(収率86%、b
p.83.0℃/6.5mmHg)。また、相当するアミンは対応する
ケトンとギ酸アンモニウムとを反応させて得た(収率60
%、bp.81.0℃/13mmHg)。
得られたセルローストリカルバメート誘導体の元素分
析値は次の如くであった。
C% H% N% 実測値 65.26 6.63 6.39 計算値 66.96 6.71 6.51 応用例 7 実施例7で得られたポリマーを用いて、応用例6に従
ってカラムを作製し、種々のラセミ体の分離を行った。
その結果を表−7に示した。
実施例 8 〔セルローストリス(1−フェニルプロピルカルバメー
ト)の合成〕 セルロース0.505g、1−フェニルプロピルイソシアナ
ート3.6gを用い、実施例7と同様にして合成した。溶媒
分別はTHFで行った。
収量1.69g(84.1%) 尚、1−フェニルプロピルイソシアナートは対応する
アミンにホスゲンを反応させて得た(収率79%、bp.63.
0℃/3.0mmHg)。また、相当するアミンは対応するケト
ンとギ酸アンモニウムとを反応させて得た(収率60.9
%、bp.47.2℃/3.0mmHg)。
得られたセルロースカルバメート誘導体の元素分析値
は次の如くであった。
C% H% N% 実測値 65.25 6.60 6.33 計算値 66.96 6.71 6.51 応用例 8 実施例8で得られたポリマーを用いて、応用例6に従
ってカラムを作製し、ラセミ体の分離を行った。その結
果を表−7に示した。
実施例 9 〔セルローストリス(1−(o−トリル)エチルカルバ
メート)の合成〕 セルロース0.510g、1−(o−トリル)エチルイソシ
アナート3.1gを用い、実施例7と同様にして合成した。
溶媒分別はTHFで行った。
収量1.20g(59.1%) 尚、1−(o−トリル)エチルイソシアナートは対応
するアミンにホスゲンを反応させて得た(収率90%、b
p.90.2℃/12mmHg)。また、相当するアミンは対応する
ケトンとギ酸アンモニウムとを反応させて得た(収率50
%、bp.59.9℃/4.5mmHg)。
得られたセルロースカルバメート誘導体の元素分析値
は次の如くであった。
C% H% N% 実測値 66.33 6.62 6.50 計算値 66.96 6.71 6.51 応用例 9 実施例9で得られたポリマーを用いて、応用例6に従
ってカラムを作製し、ラセミ体の分離を行った。その結
果を表−7に示した。
実施例 10 〔アミローストリス(1−フェニルエチルカルバメー
ト)の合成〕 50ml二口フラスコに還流留去管を取り付け、N2下にて
アミロース(半井化学)0.80g、LiCl0.80gを入れ、乾燥
ジメチルアセトアミド(モレキュラーシーブ上)7mlを
加えた。90℃にて5時間加熱撹拌した。不均一系ではあ
ったが、これに乾燥ピリジン(KOH上)10mlを加えた
後、1−フェニルエチルイソシアナート3.6gを加え、90
℃にて70時間反応させた。反応系の粘度はかなり高かっ
た。また、メタノールに沈殿させた際、ポリマーは粉状
ではなく糸状に沈殿した。
更にこのポリマーをTFHにより溶媒分別した。
可溶部 0.72g(22.6%) 元素分析 C% H% N% 実測値 64.39 6.08 6.80 計算値 65.72 6.14 6.97 応用例 10 実施例10で得られたポリマー0.72gを15mlのTHFに溶か
し、シリカゲル(3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン処理)2.90gに担持した。パッキングはヘキサン−流
動パラフィン(2:1)に分散させ、330kg/cm2で加圧し
た。
この分離剤を用いて種々のラセミ体化合物の光学分割
を行った。分割の結果は表−8に示した。
実施例 11 〔アミローストリス(1−(p−トリル)エチルカルバ
メート)の合成〕 アミロース0.521g、LiCl0.75gを乾燥DMA7.5ml中90℃
で5時間撹拌した。これに乾燥ピリジン4.0mlを加えた
後、1−(p−トリル)エチルイソシアナート3.5gを加
え、80℃で24時間反応させた。IRのスペクトルからイソ
イアナートがほとんど消費されたのに、未反応のOH基が
残っていることがわかったので、更に1−(p−トリ
ル)エチルイソシアナート1.2gを加え、もう24時間反応
させた。溶媒分別はTHFで行った。
収量0.86g(47.7%) 元素分析 C% H% N% 実測値 65.26 6.63 6.39 計算値 66.96 6.71 6.51 応用例 11 実施例11で得られた分離剤を用いて、応用例10に従っ
てカラムを作製し、種々のラセミ体化合物の分割を行っ
た。その結果を表−8に示した。
実施例 12 〔アミローストリス(1−フェニルプロピルカルバメー
ト)の合成〕 アミロース0.499g、1−フェニルプロピルイソシアナ
ート3.6gを用い、実施例11と同様にして合成した。溶媒
分別はTHFで行った。
収量1.49g(75.5%) 元素分析 C% H% N% 実測値 66.09 6.60 6.44 計算値 66.96 6.71 6.51 応用例 12 実施例12で得られたポリマーを用いて、応用例10に従
ってカラムを作製し、種々のラセミ体化合物の分割を行
った。その結果を表−8に示した。
実施例 13 〔アミローストリス(1−(o−トリル)エチルカルバ
メート)の合成〕 アミロース0.502g、1−(o−トリル)エチルイソシ
アナート3.2gを用い、実施例11と同様にして合成した。
但し、乾燥DMAを加えて80℃で5時間撹拌した後、乾燥
ピリジンとイソシアナートを加えた。溶媒分別はTHFで
行った。
収量1.20g(60.0%) 元素分析 C% H% N% 実測値 65.61 6.61 6.31 計算値 66.96 6.71 6.51 応用例 13 実施例13で得られたポリマーを用いて、応用例10に従
ってカラムを作製し、種々のラセミ体化合物の分割を行
った。その結果を表−8に示した。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多糖の有する水酸基又はアミノ基上の水素
    原子の一部又は全部を下記の式で示される原子団の1種
    又は2種以上で置換してなる新規な多糖誘導体。 (但しRを構成する炭素原子数は1〜30であり、Rは少
    なくとも1個の不斉中心を有するグループである)
  2. 【請求項2】多糖の有する水酸基又はアミノ基上の水素
    原子の一部又は全部を下記の式で示される原子団の1種
    又は2種以上で置換してなる多糖誘導体を主成分とする
    分離剤。 (但しRを構成する炭素原子数は1〜30であり、Rは少
    なくとも1個の不斉中心を有するグループである)
JP1119137A 1989-01-20 1989-05-12 新規な多糖誘導体及び分離剤 Expired - Lifetime JP2669554B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1138989 1989-01-20
JP1-11389 1989-01-20

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02289601A JPH02289601A (ja) 1990-11-29
JP2669554B2 true JP2669554B2 (ja) 1997-10-29

Family

ID=11776655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1119137A Expired - Lifetime JP2669554B2 (ja) 1989-01-20 1989-05-12 新規な多糖誘導体及び分離剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2669554B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101151529B (zh) * 2005-03-31 2011-12-07 大赛璐化学工业株式会社 旋光异构体分离剂

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3746315B2 (ja) * 1994-07-07 2006-02-15 ダイセル化学工業株式会社 分離剤
US6736967B2 (en) 2001-06-07 2004-05-18 Daicel Chemical Industries, Ltd. Separating agent for enantiomeric isomers
JP5070596B2 (ja) * 2005-05-09 2012-11-14 国立大学法人名古屋大学 キトサン誘導体及びその製造方法
JP6120590B2 (ja) * 2013-02-01 2017-04-26 国立大学法人京都大学 変性ナノセルロース及び変性ナノセルロースを含む樹脂組成物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0680081B2 (ja) * 1984-04-11 1994-10-12 ダイセル化学工業株式会社 多糖類誘導体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101151529B (zh) * 2005-03-31 2011-12-07 大赛璐化学工业株式会社 旋光异构体分离剂
US8679346B2 (en) 2005-03-31 2014-03-25 Daicel Corporation Optical-isomer-separating agent

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02289601A (ja) 1990-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4912205A (en) Alkyl-substituted phenylcarbamate derivative of polysaccharide
EP0436722B1 (en) Polysaccharide derivatives and separating agent
EP0156382B1 (en) Separation agent comprising acyl-or carbamoyl-substituted polysaccharide
US10836834B2 (en) Separating agent for optical isomer
JP3493201B2 (ja) 高速液体クロマトグラフィー用充填剤
JPH0813844B2 (ja) 多糖のアルキル置換フエニルカルバメ−ト誘導体
JP3272354B2 (ja) 新規な多糖誘導体及び分離剤
JP2669554B2 (ja) 新規な多糖誘導体及び分離剤
JPH0442371B2 (ja)
JP2563433B2 (ja) 多糖類カルバメート誘導体
JP3041116B2 (ja) 分離剤
JP3148032B2 (ja) 多糖の置換芳香族カルバメート誘導体および分離剤
JPH0475215B2 (ja)
JP2828770B2 (ja) 多糖のフェニルアルキルカルバメート誘導体及び分離剤
JPH0475893B2 (ja)
EP1865313B1 (en) Optical-isomer-separating agent
JPH06329561A (ja) 分離剤
JP3059013B2 (ja) 多糖のトリアルキルシリル置換芳香族カルバメート誘導体及び分離剤
EP0552824A2 (en) Alkyl-phenylcarbamate derivative of polysaccharide
JPS60214749A (ja) 多糖の置換芳香族エステル誘導体より成る分離剤
JPH0475208B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080704

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080704

Year of fee payment: 11

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080704

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090704

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term