JP2665991B2 - ゴルフボールおよびその製造方法 - Google Patents
ゴルフボールおよびその製造方法Info
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Description
法に関する。
ボールにおいては、そのカバー用樹脂としてアイオノマ
ー樹脂が多用されてきた(たとえば、特開平2−149277
号公報、特開平2−182279号公報、特開平2−88087号
公報、特開平2−107275号公報、特開平1−308577号公
報、特開平1−223103号公報、特開平1−207343号公
報、特開昭64−70086号公報、特開昭63−229077号公
報、特開昭63−311973号公報、特開昭61−281145号公
報、特開昭61−82768号公報、特開昭60−212406号公
報、特開昭60−14879号公報、特開昭57−119766号公報
など)。
エチレン系不飽和カルボン酸およびα,β−エチレン系
不飽和カルボン酸金属塩の3成分単位またはα−オレフ
ィン、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸、α,β−
エチレン系不飽和カルボン酸金属塩およびα,β−エチ
レン系不飽和カルボン酸エステルの4成分単位からなる
イオン性エチレン共重合体であり、高反撥弾性で、耐衝
撃性および耐カット性が優れていることから、前記のよ
うに多層構造のゴルフボールのカバー用樹脂として多用
され、現在では主流を占めている。
るが、その具体例としては、α−オレフィンとしてエチ
レンを用い、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸とし
てアクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和カル
ボン酸や、マレイン酸、フマル酸などの二塩基性不飽和
カルボン酸を用い、それらのカルボン酸をナトリウム
(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)などの一価金
属イオンや、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、銅(C
u)などの二価金属イオンで部分的に中和したものがよ
く知られていて、たとえばデュポン社からサーリン(SU
RLYN)の商品名や三井デュポンポリケミカル社からハイ
ミラン(HI−MILAN)の商品名で市販されている。
耐衝撃性、耐カット性などが優れていて、現在ではカバ
ー用樹脂の主流を占め、このアイオノマー樹脂をカバー
に用いたゴルフボールは高反撥弾性であるなどの優れた
特性を有しているが、ユーザーからは、より一層高反撥
弾性で飛行特性の優れたゴルフボールが要望されてい
る。
をさらに高め、高反撥弾性で飛行特性の優れたゴルフボ
ールを提供することを目的とする。
に対してアニーリング処理を施すことにより、アイオノ
マー樹脂の結晶形態を変え、アイオノマー樹脂が示差走
査熱量計測定における結晶融解挙動において第1ピーク
を85〜95℃に持ち、かつ第2ピークを70〜80℃に持つよ
うにして、アイオノマー樹脂の反撥弾性を高め、上記目
的を達成したものである。
ると、次の通りである。
オレフィン、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸およ
びα,β−エチレン系不飽和カルボン酸金属塩の3単位
またはα−オレフィン、α,β−エチレン系不飽和カル
ボン酸、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸金属塩お
よびα,β−エチレン系不飽和カルボン酸エステルの4
単位からなるイオン性エチレン共重合体である。
リケミカル社のカタログによれば、アイオノマー樹脂は
ポリエチレンの分子鎖にカルボン酸基の側鎖があり、そ
のカルボン酸基の一部が金属イオンによって分子鎖間で
架橋されている構造を持っていて、その二つの構造上の
特徴によって多くの優れた性質が生まれると説明されて
いる。そして、金属イオンによる架橋結合は、一般の化
学結合による架橋とは異なり、熱によって結合力が弱く
なり、冷却すると強くなる特徴があると説明されてい
る。
よって適度の結晶化度を持っており、最近三井デュポン
ポリケミカル社などからアイオノマー樹脂のイオン結晶
の形成に関して報告がなされている(Journal of App
lied Polymer Science,Vol.33,1307−1314,1987,Therma
l Properties of Ethylene Ionomers,Y.TSUJITA Jou
rnal of Applied Polymer Soience,Vol.33,2393−2402,
1987,The Crystallization and Formation of Cluster
of Ethylene Ionomer during Physical Aging,MAMORU K
OHZAKI Macromolecules,1989,22,226〜233,Kenji Ta
dano Macromolecules,1989,22,2776−2780,Formatio
n of Ionic Crystallites and Its Effect on the Modu
lus of Etylene Ionomer)。
も、アイオノマー樹脂の結晶形態とゴルフボールの特性
との関係に関する検討はまったくなされていない。
アイオノマー樹脂の反撥弾性やそれをカバーに用いたゴ
ルフボールの飛行特性に及ぼす影響について鋭意研究を
重ね、コアに被覆後のカバーのアイオノマー樹脂に対し
て特定のアニーリング処理を行うことによって、アイオ
ノマー樹脂が示差走査熱量計測定における結晶融解挙動
において第1ピークを85〜95℃に持ち、かつ第2ピーク
を70〜80℃に持つように、アイオノマー樹脂の結晶形態
を変えることにより、アイオノマー樹脂の反撥弾性が向
上することを見出し、本発明を完成するにいたったので
ある。
脂が示差走査熱量計測定における結晶融解挙動において
第1ピークを85〜95℃に持ち、かつ第2ピークを70〜80
℃に持つことを要するが、この示差走査熱量計測定は、
次に示すように行われる。
工業社製のDSC SSC−5000や島津製作所社製のDSC−50
などが用いられる。
のゴルフボールを一定室温で24時間以上保管して冷却し
た後、上記ゴルフボールのカバーからカバー樹脂(カバ
ーに使用されている樹脂)換算で5mgの試料を採取し、
これを窒素雰囲気中で室温から−30℃まで冷却し、その
後、−30℃から150℃まで昇温速度10℃/min.で昇温し、
結晶融解に伴う吸熱ピークを記録することによって行わ
れる。ただし、この示差走査熱量計測定はJIS K7121、
JIS K7122に準拠している。
て85〜95℃に現れる第1ピークは、ゴルフボールのカバ
ーに用いられているアイオノマー樹脂がもともと持って
いたものであり、それ故、これを第1ピークと命名して
いるが、70〜80℃の第2ピークはコアに被覆後のカバー
のアイオノマー樹脂を特定条件下でアニーリング処理す
ることによって生じるものであり、この70〜80℃に第2
ピークを持つようにすることによって、アイオノマー樹
脂の反撥弾性が向上し、ゴルフボールの反撥弾性が向上
して、優れた飛行特性が得られるようになる。
マー樹脂は、前記のようにα−オレフィン、α,β−エ
チレン系不飽和カルボン酸およびα,β−エチレン系不
飽和カルボン酸金属塩の3成分単位またはα−オレフィ
ン、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸、α,β−エ
チレン系不飽和カルボン酸金属塩およびα,β−エチレ
ン系不飽和カルボン酸エステルの4成分単位からなるイ
オン性エチレン共重合体であり、特にα−オレフィンと
してエチレンを用い、α,β−エチレン系不飽和カルボ
ン酸としてアクリル酸やメタクリル酸を用いたものが好
ましい。
20重量%がより好ましい。すなわち、酸含量が10重量%
より少ない場合は、カルボン酸の量が少なすぎるために
金属イオンの中和による優れた特性が得られにくく、剛
性が不足し、また、アニーリング処理による反撥弾性の
向上も少ない。また、酸含量が20重量%より多くなる
と、金属イオンによる中和度の高い樹脂を作ることがむ
つかしくなり、かつ剛性が高くなりすぎて打球時の感触
が悪くなる。
α,β−エチレン系不飽和カルボン酸を部分的に中和す
る金属イオンとして、ナトリウム、カリウム、リチウム
などの1価金属イオンや、亜鉛、銅、マグネシウムなど
の2価金属イオンを用いたものであるが、その金属イオ
ンによる中和度としてはカルボン酸のカルボキシル基の
30〜70モル%を中和したものが好ましい。すなわち、金
属イオンによる中和度が30モル%より少ない場合は、所
望とする剛性が得られず、反撥弾性が低くなる。また、
金属イオンによる中和度が70モル%より多くなると、剛
性が高くなりすぎ、打球時の感触が悪くなると共に、溶
融粘度も高くなり、成形がしにくくなる。
異なるので、1価金属イオンで中和したものと2価金属
イオンで中和したものとを混合して用いたり、1価金属
イオンで中和したアイオノマー樹脂のフリーのカルボン
酸をさらに2価金属イオンで中和して同一分子中でイオ
ンブレンドしたものなどを用いることが好ましい。
とえば三井デュポンポリケミカル社から上市されている
ハイミラン1605、ハイミラン1707、ハイミラン1706、デ
ュポン社から上市されているサーリン8940、サーリン89
20、サーリン9910、EXXON社から上市されているESCOR
EX−900、ESCOR EX−562、ESCOR EX−926などが挙げ
られる。
かわらず、アイオノマー樹脂中のα,β−エチレン系不
飽和カルボン酸の含量をいい、この酸含量は、アイオノ
マー樹脂をテトラヒドロフランに熱時融解し、加熱状態
で規定濃度の水酸化カリウムで滴定することにより、残
存カルボキシル基量(〔COOH〕)を測定し、中和金属の
分析結果から算出したカルボン酸金属塩量(〔COOM〕)
を含めた元の全カルボキシル基より算出されるものであ
る。そして、金属イオンによる中和度は、上記残存カル
ボキシル基量(〔COOH〕)とカルボン酸金属塩量(〔CO
OM〕)から、次式によって求められる。
ては例えば日立製作所社製偏光ゼーマン原子吸光分光光
度計180−80形などにより行われ、亜鉛などの2価金属
については例えばセイコー電子工業社製シーケンシャル
型ICP発光分光分析計SPS1100形などにより行われる。
て用いられ、カバー形成用の組成物の調製にあたって
は、このアイオノマー樹脂に、必要に応じて、適宜の添
加剤、たとえば顔料、滑剤、分散剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤などが添加され、
混練することによって、カバー用組成物が調製される。
への被覆に使用されるが、コアとしてはソリッドコア、
糸巻きコアのいずれも使用できる。そして、カバー用組
成物のコアへの被覆方法も種々の方法を採り得る。たと
えば、ソリッドコアに対しては射出成形により直接コア
に被覆する方法が一般に採用され、糸巻きコアに対して
はカバー用組成物をあらかじめハーフシェルと呼ばれる
半球殻状に成形し、得られたハーフシェルを2枚糸巻き
コア上に球形が形成されるようにかぶせ、加熱圧縮成形
してコアに被覆する方法が一般に採用される。そして、
カバーの厚みは、通常、1.0〜3.0mmである。
マー樹脂の反撥弾性を向上させるためのアニーリング処
理は、コアに被覆後のカバーのアイオノマー樹脂に対し
て行われる。これは、後記の実験例1においても明らか
にするように、アニーリング処理により、70〜80℃に第
2ピークを持つようになったアイオノマー樹脂も、それ
以後に結晶融解温度以上の温度にさらされると、第2ピ
ークが消えてしまい、反撥弾性の向上も消失するからで
ある。
類によっても若干異なるが、45〜63℃が適切である。ア
ニーリング処理時の温度が45℃より低い場合は、第2ピ
ークの温度が低くなり、その結果、反撥弾性の向上が少
なくなり、またアニーリング処理時の温度が63℃より高
くなると、アニーリング処理時間にもよるが例えば72時
間アニーリング処理すると第2ピークが第1ピークに重
なり、反撥弾性はむしろ低下する。そして、アニーリン
グ処理のための時間は、通常、3〜240時間である。ア
ニーリング処理時間が短い場合は結晶形態を充分に変化
させることができず、その結果、反撥弾性の向上が得ら
れない。逆にアニーリング処理時間が長すぎる場合に
は、生産効率が悪く、また、コアの熱劣化も生じるので
好ましくない。
融解挙動において第1ピークを85〜95℃に持ち、第2ピ
ークを70〜80℃に持つとは、示差走査熱量計測定におい
て85〜95℃にアイオノマー樹脂がもともと有していた樹
脂の融点である第1の結晶融解挙動を生じ、70〜80℃に
アニーリング処理に基づいて有するようになった第2の
結晶融解挙動を生じることを意味するが、本発明におい
て、アイオノマー樹脂が第2ピークを70〜80℃に持つこ
とを必要とするのは次の理由によるものである。すなわ
ち、第2ピーク温度が70℃より低い場合は、結晶化が充
分に進行していないため、反撥弾性の向上が得られず、
また、第2ピーク温度が80℃より高くなると、結晶化は
進行しているが、第2ピークが第1ピークと重なり、か
えって反撥弾性が低下する。
うことによって効果を発揮するものであるが、本発明で
は、コアに被覆後のカバーのアイオノマー樹脂に対して
アニーリング処理をするので、アイオノマー樹脂だけを
選択的にアニーリング処理することはできず、実施にあ
たってはカバー全体に対してアニーリング処理が行われ
る。
性が優れている。また、打球時の感触も良好である。
る。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限られるも
のではない。また、実施例に先立ち、アニーリング処理
によるアイオノマー樹脂の物性変化を実験例1で明らか
にする。
るものであり、そのソリッドコアおよびカバーは次のよ
うに作製した。
(日本合成ゴム社製JSR BR−01)100重量部に対して、
アクリル酸亜鉛35重量部、酸化亜鉛10重量部および加硫
開始剤(ジクミルパーオキサイド、日本油脂社製パーク
ミルD)1重量部をインターナルミキサーで混練した
後、所定の大きさに切り出し、コア用金型に充填して、
160℃で20分間加熱圧縮成形することにより作製した。
このようにして作製されたソリッドコアの直径は38.5mm
であった。
ポリケミカル社製のハイミラン1707とハイミラン1706を
用い、第1表に示す配合で押出機により混練して、カバ
ー用組成物を調製した。ハイミラン1707はメタクリル酸
含量が15重量%で、ナトリウムイオン中和タイプであ
り、ナトリウムイオンによる中和度は約60モル%であ
る。また、ハイミラン1706はメタクリル酸含量が15重量
%で、亜鉛イオン中和タイプであり、亜鉛イオンによる
中和度は約60モル%である。また、第1表中の酸化防止
剤はチバガイギー社製のIrganox1010(商品名)であ
り、滑剤はステアリン酸亜鉛であるが、これらは、以後
のカバー配合においても同様にそれぞれ酸化防止剤およ
び滑剤として用いられる。
を射出成形により前記のソリッドコアに直接被覆し、必
要に応じてアニーリング処理を施し、その後、必要なも
のはペイント工程を経て直径42.8mmのツーピースソリッ
ドゴルフボールに仕上げた。
成形をいう)直後は、アイオノマー樹脂の結晶化度が低
く、示差走査熱量計測定で結晶融解挙動をみると、第1
図の曲線Aに示すように、90℃前後のピークしか観察さ
れなかった。しかし、カバー成形後、室温(23℃)で3
カ月保管した後、再度、示差走査熱量計測定をすると、
第1図の曲線Bに示すように、55℃前後に新たなピーク
が現れた。このことより、カバー成形後3カ月間の保管
によって結晶化がゆっくりではあるが進行、成長するこ
とがうかがえる。
を施したゴルフボールを一旦室温に24時間保管した後、
カバーの示差走査熱量計測定をすると、第1図の曲線C
に示すように、90℃前後の第1ピークに加えて、70〜80
℃に第2のピークが現れた。
2のピークが現れ、そのピークの温度領域は、カバー成
形後の熱履歴によって異なることがわかる。
晶融解挙動を示差走査熱量計で測定してみると、第2表
に示すとおりであり、70〜80℃にピークがみられず、こ
れら市販品のゴルフボールには本発明におけるような第
2ピークを70〜80℃の温度領域に持たせるようにするア
ニーリング処理を施した形跡が認められなかった。
市販ボールBの示差走査熱量計チャートを第3図に、市
販ボールCの示差走査熱量計チャートを第4図に、市販
ボールDの示差走査熱量計チャートを第5図に示す。
℃)で3カ月保管した後、アニーリング処理をしていな
いゴルフボールのカバーを一旦示差走査熱量計により15
0℃まで加熱溶融した後、自然放冷し、その後、再度示
差走査熱量計測定をしたチャートを第1図の曲線Dで示
す。また、50℃で7日間アニーリング処理を施したゴル
フボールのカバーを同様に一旦示差走査熱量計により15
0℃まで加熱溶融した後、自然放冷し、その後、再度示
差走査熱量計測定をしたチャートを第1図の曲線Eに示
す。
直後のアイオノマー樹脂の結晶融解挙動を示す曲線Aと
ほぼ同じ結晶融解挙動を示し、第2のピークが見当たら
ない。この結果から、カバー成形後のアニーリング処理
による結晶成長は、その後に結晶融解温度以上の温度に
さらされると消えてしまうことがわかる。
脂は、成形後の熱履歴により、結晶が成長したり、結晶
が成長しなかったり、あるいは一旦成長した結晶が融解
することがわかる。
バーを第3表に示す条件でアニーリング処理して5種類
のゴルフボールを作製し、アニーリング処理とゴルフボ
ールの反撥弾性との関係を調べた。
用い、このカバー用組成物を前記実験例1と同様のソリ
ッドコアに射出成形により被覆した後、第3表に記載の
アニーリング処理を行い、アニーリング処理後のゴルフ
ボールの反撥係数を測定した。その結果を第3表に示
す。また、アニーリング処理時の温度と反撥係数との関
係を第6図に示す。なお、反撥係数は、ゴルフボールの
反撥弾性を示す尺度となるものであり、その測定方法
は、次の通りである。
射速度45m/sにて測定する。結果は各ボールとも10個ず
つの平均値で示す。
2mmのシートにプレス成形し、成形後、23℃で7日間保
存した後、23℃、48℃および70℃でそれぞれ4日間アニ
ーリング処理した後、曲げ剛性率およびX線回折を測定
した。曲げ剛性率の測定結果を第4表に示す。また、X
線回折チャートを第9図に示す。上記プレス成形時の条
件は、180℃で5分間加熱圧縮成形後、30分間冷却した
ものであり、また、曲げ剛性率の測定は、東洋精機社製
スティフネステスターを用い、JIS K7106に従って行っ
たものである。上記の23℃でのアニーリング処理は処理
温度を比較例1のアニーリング処理温度に合わせたもの
であり、48℃でのアニーリング処理は処理温度を実施例
1のアニーリング処理温度に合わせたものであり、70℃
でのアニーリング処理は処理温度を比較例3のアニーリ
ング処理温度に合わせたものである。
同一材料、同一成形条件にて仕上げたゴルフボールで
も、その後のアニーリング処理条件の相違により、ゴル
フボールの最も重要な特性である反撥弾性(反撥弾性は
反撥係数により評価され、反撥係数が大きいものほど反
撥弾性が高い)を変えることができ、実施例1〜2のよ
うな温度でアニーリング処理を行うと、高反撥弾性が得
られる。
グ処理温度が高くなるにつれてほぼ比例的に大きくな
り、第9図のX線回折チャートからもわかるように、結
晶化度もアニーリング処理温度が高くなると大きくなる
が、反撥係数は第3表および第6図に示す結果から明ら
かなように曲げ剛性率や結晶化度に比例しない。
の示差走査熱量計測定をしたときの第2ピーク温度とア
ニーリング処理温度との関係を第7図に示す。また、上
記示差走査熱量計測定時のチャートを第8図に示す。
なように、高反撥係数が得られる場合の示差走査熱量計
測定の第2ピークは70〜80℃の範囲内にあるときであ
り、第2ピークが70〜80℃の範囲になるようにアニーリ
ング処理することにより、高反撥弾性が得られることが
わかる。
した比較例1や35℃でアニーリング処理した比較例2の
場合も、第2ピークが現れるが、第2ピークの温度が低
く、第3表および第6図に示すように充分な反撥係数の
向上が得られない。また、70℃でアニーリング処理した
比較例3の場合は、第2ピークが第1ピークに重なり、
結晶化度は高くなるが、ゴルフボールの反撥係数は最も
低い。
フボールについて飛距離テストおよび打撃感テストを実
施した。その結果を第5表に示す。飛距離テストにおい
ては、ボール初速度とトータル飛距離を測定した。な
お、第5表には、各ゴルフボールの反撥弾性についても
示した。
は、比較例1〜3のゴルフボールに比べて、ボール初速
度およびトータル飛距離が大きく、飛行特性が優れてい
た。また、実施例1〜2のゴルフボールは、打撃感も良
好であった。
アイオノマー樹脂(ハイミラン1706)100重量部に対し
て酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウム3重量部、
酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量部を加えて
混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃、70℃でそれぞれ72時間アニーリング処
理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第6表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例3のゴルフボールは、第2
ピークが59℃の比較例4のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例5
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
のアイオノマー樹脂(ハイミラン樹脂A)100重量部に
対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウム3重量
部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量部を加
えて混練し、カバー用組成物を調製した。ハイミラン樹
脂Aは、メタクリル酸含量が15重量%で、マグネシウム
イオン中和タイプであり、マグネシウムイオンによる中
和度は約45モル%である。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第7表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例4のゴルフボールは、第2
ピークが59℃の比較例6のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例7
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
のアイオノマー樹脂(ハイミラン樹脂B)100重量部に
対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウム3重量
部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量部を加
えて混練し、カバー用組成物を調製した。ハイミラン樹
脂Bは、メタクリル酸含量が15重量%で、ナトリウムイ
オンおよびマグネシウムイオン中和タイプであり、ナト
リウムイオンおよびマグネシウムイオンによる中和度は
約45モル%である。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第8表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例5のゴルフボールは、第2
ピークが58℃の比較例8のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例9
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
1706を用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量部
(ハイミラン1707を50重量部とハイミラン1706を50重量
部)に対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バイウム
3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量
部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第9表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例6のゴルフボールは、第2
ピークが59℃の比較例10のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例11
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
樹脂Aを用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量部
(ハイミラン1707を50重量部とハイミラン樹脂Aを50重
量部)に対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウ
ム3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重
量部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第10表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例7のゴルフボールは、第2
ピークが59℃の比較例12のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例13
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
樹脂Bを用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量部
(ハイミラン1707を50重量部とハイミラン樹脂Bを50重
量部)に対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウ
ム3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重
量部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第11表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例8のゴルフボールは、第2
ピークが60℃の比較例14のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例15
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
樹脂Aを用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量部
(ハイミラン1706を50重量部とハイミラン樹脂Aを50重
量部)に対して酸化チタン1重量部、沈降制硫酸バリウ
ム3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重
量部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第12表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例9のゴルフボールは、第2
ピークが58℃の比較例16のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例17
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
樹脂Bを用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量部
(ハイミラン1706を50重量部とハイミラン樹脂Bを50重
量部)に対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウ
ム3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重
量部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第13表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例10のゴルフボールは、第2
ピークが60℃の比較例18のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例19
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
ン樹脂Bを用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量
部(ハイミラン樹脂Aを50重量部とハイミラン樹脂Bを
50重量部)に対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バ
リウム3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.00
1重量部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第14表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例11のゴルフボールは、第2
ピークが60℃の比較例20のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例21
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
アイオノマー樹脂(ハイミラン1555)100重量部に対し
て酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウム3重量部、
酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量部を加えて
混練し、カバー用組成物を調製した。ハイミラン1555
は、メタクリル酸含量が11重量%で、ナトリウムイオン
中和タイプであり、ナトリウムイオンによる中和度は約
35モル%である。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第15表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例12のゴルフボールは、第2
ピークが59℃の比較例22のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例23
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
アイオノマー樹脂(ハイミラン1557)100重量部に対し
て酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウム3重量部、
酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量部を加えて
混練し、カバー用組成物を調製した。ハイミラン1557
は、メタクリル酸含量が11重量%で、亜鉛イオン中和タ
イプであり、亜鉛イオンによる中和度は約55モル%であ
る。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第16表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例13のゴルフボールは、第2
ピークが59℃の比較例24のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例25
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
1557を用い、このアイオノマー樹脂併用物100重量部
(ハイミラン1555を50重量部とハイミラン1557を50重量
部)に対して酸化チタン1重量部、沈降性硫酸バリウム
3重量部、酸化防止剤0.01重量部および滑剤0.001重量
部を加えて混練し、カバー用組成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第17表に示す。
℃に第2ピークを持つ実施例14のゴルフボールは、第2
ピークが60℃の比較例26のゴルフボールや第2ピークが
第1ピークと重なって80℃より高温領域にある比較例27
のゴルフボールに比べて、反撥係数が高く、高反撥弾性
であった。
石油化学社製ウルトゼックス3550R)を用い、この低密
度ポリエチレン100重量部に対して酸化チタン1重量
部、沈降性硫酸バリウム3重量部、酸化防止剤0.01重量
部および滑剤0.001重量部を加えて混練し、カバー用組
成物を調製した。
のソリッドコアに被覆して、直径42.8mmのゴルフボール
を作製した。このゴルフボールを室温で24時間保管した
後、30℃、50℃および70℃でそれぞれ72時間アニーリン
グ処理をした。
管して冷却した後、反撥係数を測定し、かつカバー樹脂
の示差走査熱量計測定をして、第1ピーク温度および第
2ピーク温度を求めた。その結果を第18表に示す。
をまったく含まない低密度ポリエチレンをカバー用樹脂
として用いたゴルフボールに関するものであるが、第18
表に示すように、第2ピークは認められず、また、アニ
ーリング処理時の温度差による反撥係数の差もほとんど
なく、反撥係数の向上が認められなかった。なお、アニ
ーリング処理温度が高くなるにつれて反撥係数がわずか
ずつ高くなっているのは、コアの熱硬化によるものと考
えられる。
マー樹脂を種々に選定して、アニーリング処理温度の相
違による反撥弾性の差を調べたが、第6〜17表に示すよ
うに、いずれのアイオノマー樹脂も、50℃でアニーリン
グ処理した場合は、30℃や70℃でアニーリング処理した
場合よりも、反撥係数が高く、高反撥弾性のゴルフボー
ルが得られた。
ルフボールのカバー樹脂の示差走査熱量計測定のチャー
トを示す図である。第2〜5図はそれぞれ市販のゴルフ
ボールのカバー樹脂の示差走査熱量計測定のチャートを
示す図である。第6図は実施例1〜2および比較例1〜
3のゴルフボールの反撥係数とアニーリング処理温度と
の関係を示す図である。第7図は実施例1〜2および比
較例1〜3のゴルフボールのアニーリング処理温度とカ
バー樹脂の示差走査熱量計測定での第2ピーク温度との
関係を示す図である。第8図は実施例1〜2および比較
例1〜3のゴルフボールの示差走査熱量計測定のチャー
トを示す図である。第9図は第1表に示す配合のカバー
用組成物を厚み2mmのシートにプレス成形し、一定期間
保存後に23℃、48℃および70℃でそれぞれ4日間アニー
リング処理したもののX線回折チャートを示す図であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】コアと、該コアを被覆するカバーを有する
ゴルフボールにおいて、 上記カバーがアイオノマー樹脂を主材とし、該アイオノ
マー樹脂が、示差走査熱量計測定における結晶融解挙動
において第1ピークを85〜95℃に持ち、かつ第2ピーク
を70〜80℃に持つことを特徴とするゴルフボール。 - 【請求項2】コアに被覆後のカバーのアイオノマー樹脂
をアニーリング処理することにより、アイオノマー樹脂
が、示差走査熱量計測定における結晶融解挙動において
第1ピークを85〜95℃に持ち、かつ第2ピークを70〜80
℃に持つようにすることを特徴とする請求項1記載のゴ
ルフボールの製造方法。
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