JP2665593B2 - 修飾酵素の新規な製法及び新規な修飾酵素 - Google Patents

修飾酵素の新規な製法及び新規な修飾酵素

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は修飾酵素の新規な製造法、及びそれによって
得られる新規な修飾酵素(酵素・ビニルポリマーハイブ
リッド或いは固定化酵素)に関する。
〔発明の背景〕 修飾酵素には、化学的に修飾された水溶性の修飾酵素
と、不溶性の担体に固定化された所謂固定化酵素とがあ
る。
近年、酵素などの蛋白質に合成高分子を結合させた所
謂蛋白質ハイブリッドに関する研究が数多くなされてき
ており、例えば有機溶媒中で働く酵素ハイブリッドの開
発などは、水に難溶な親油性物質の酵素処理が効率よく
行なえるだけでなく、加水分解の逆反応である縮合反応
も行うことができるようになる点で大いに注目を集めて
いる。しかしながら現在、一般に行なわれているこの種
の修飾酵素の製造法は、予め修飾剤となる高分子物質を
合成し、これを酵素と結合させてハイブリッドを合成す
る方法のみであり、また、修飾剤として用いられる高分
子物質もこれまでのところポリエチレングリコールに限
られていると言うのが現状である。
また、一方、従来より所謂固定化酵素と呼ばれるもの
も広い分野に於て種々のタイプのものが工業的に利用さ
れているが、従来より知られている酵素の固定化及びそ
の手法は大別して次の3タイプに限られていた。
1) 包括法:酵素水溶液に水溶性モノマー及び水溶性
架橋剤を加え重合ゲル化し、酵素をゲルマトリックス空
間に封じ込めるもの。
2) 架橋法:酵素溶液に架橋剤(一般に低分子化合
物)を反応させて酵素分子間結合を形成せしめ、酵素架
橋体とするもの。
3) 担体結合法:酵素と、酵素を担持すべき高分子材
料(担体)とを高分子反応の手法に準じて共有結合或は
イオン結合等により結合させるもの。
この為、自ずと実現し得る形状、加工性その他の物理
的特性等が制限され、折角の魅力ある酵素機能の産業的
利用への可能性もまた限定されざるを得なかった。
〔発明の目的〕
本発明は、上記した如き現状に鑑みなされたもので修
飾酵素、固定化酵素の分野に於て、従来とは全く異なる
タイプの製造手法と全く親しいタイプの修飾酵素、固定
化酵素を提供することを目的とする。
〔発明の概要〕
本発明は、酵素の表面アミノ基に縮合試薬を用いて重
合開始能を有するアゾ化合物を共有結合させ、次いでこ
れにビニルモノマーをグラフト重合させることを特徴と
する修飾酵素の製造方法の発明である。
また、本発明は、リポプロテインリパーゼの表面アミ
ノ基に導入された重合開始能を有するアゾ化合物を介し
て該リポプロテインリパーゼにビニルモノマーをグラフ
ト重合させて成る修飾リポプロテインリパーゼの発明で
ある。
即ち、本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を
重ねた結果、酵素の表面アミノ基に重合開始能を持つア
ゾ化合物を共有結合させ、これに各種ビニルモノマーを
グラフト重合させることによりこれまでにない全く親し
いタイプの修飾酵素即ち酵素・ビニルポリマーハイブリ
ッド或は全く新しいタイプの固定化酵素が得られること
を見出し、本発明を完成させるに到った。
本発明に係る酵素としては、遊離のアミノ基を有する
酵素であれば全て挙げられ特に制約はないが、例えば、
各種リパーゼ類、例えばコリンエステラーゼ,コレステ
ロールエステラーゼ等のエステラーゼ類、例えばウリカ
ーゼ,グリセロールオキシダーゼ,グルコースオキシダ
ーゼ,コレステロールオキシダーゼ,コリンオキシダー
ゼ等のオキシダーゼ類、例えばグルコースデヒドロゲナ
ーゼ,乳酸デヒドロゲナーゼ,α−ヒドロキシ酪酸デヒ
ドロゲナーゼ等のデヒドロゲナーゼ類、例えばパパイ
ン,ペプシン,トリプシン,キモトリプシン,エラスタ
ーゼ等のプロテアーゼ類、アミラーゼ類、グルコシダー
ゼ類、ホスファターゼ類、ペルオキシダーゼ、ガラスト
シダーゼ等々が挙げられる。
酵素の表面アミノ基(遊離のアミノ基)に導入する重
合開始能を有するアゾ化合物としては、アミノ基と共有
結合し得る基、例えばカルボキシル基等を持ったアゾ化
合物が挙げられる。このようなアゾ化合物の代表的なも
のとしては4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(以
下、ACVと略称する。)2,2′−アゾビス(4−カルボキ
シ−2−メチルブチロニトリル)等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではなく、重合開始能を有するア
ゾカルボン酸或は重合開始能を有し、且つアミノ基と共
有結合し得る基をもつアゾ化合物であればいずれのもの
でもよい。重合開始能を有するアゾ化合物を酵素の表面
アミノ基に共有結合させる縮合試薬としてはジシクロヘ
キシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチ
ルアミノブロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、WSC
と略称する。)等のカルボジイミド類やウッドワード試
薬K(N−エチル−5−フェニルイソオキサゾリウム−
3′−スルホネート)等が挙げられるが勿論これらに限
定されるものではない。
酵素の表面アミノ基に導入した重合開始能を有するア
ゾ化合物にグラフト重合させるビニルモノマーとしては
ビニル基を有するモノマーであればいずれにてもよく、
特に制約はないが、本発明の方法により得られるハイブ
リッドや固定化酵素の物理的特性は必然的に結合させる
べきビニルポリマー材料の物理特性に大きく左右される
ものであるから、利用する目的に応じて適当なビニルモ
ノマーを適宜選択すべきであることは言うまでもない。
即ち、例えば得られる修飾酵素の溶媒に対する溶解性、
親和性を考慮してビニルモノマーを選択する場合には以
下のような選び方ができる。
1) 水溶性、親水性を期待する場合 アクリル酸及びその塩、メタアクリル酸及びその塩、
アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチ
ルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びそ
の塩、スチレンスルホン酸及びその塩、アリルスルホン
酸及びその塩、メタアリルスルホン酸及びその塩、ヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート類等 2) 油溶性、親油性を期待する場合 塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリ
ル、アクリル酸エステル類、メタアクリル酸エステル類
等。
3) 両親媒性を期待する場合 N−ビニルピロリドン、比較的長鎖のN−アルキルア
クリルアミド類(プロピル、ブチル、ヘキシル等)。
4) ゲル状のものを期待する場合 上記各種モノマー類に多官能性の架橋性ビニルモノマ
ー類、例えばメチレンビスアクリルアミド、ジエチレン
グリコールジアクリレート、プロピレングリコートトリ
アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルトリメリ
テート、トリアリルイソシアヌレート等を併用するか、
又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の自己
ゲル化を起し易いモノマー類を用いる。
更に、グラフト修飾物を膜、ビーズ、繊維状等々、二
次加工による成形を期待する場合には、既に広く知られ
ている夫々の加工特性に合せてモノマーを自由に選択す
ればよい。
本発明の修飾酵素、即ち酵素・ビニルポリマーハイブ
リッド或は固定化酵素は、例えば下記の如くして容易に
合成し得る。即ち、先ず、適当なpHの緩衝液(pHが低い
ほどアゾ化合物の導入率が高くなるので目的に応じて適
宜pHを選択すればよい。)に重合開始能を有するアゾ化
合物(例えばACV)と縮合試薬(例えばWSC)とを溶解
し、通常0℃〜10℃で数時間静置しその後酵素を加えて
更に数時間乃至数十時間静置し、反応させてアゾ化合物
導入酵素を得る。次いで、所望のビニルモノマー中或は
その適当な溶媒溶液中に得られたアゾ化合物導入酵素を
加え、窒素置換後、光照射し(例えば200Wの高圧水銀灯
で1乃至十数時間)、重合反応させる。尚実質的な酵素
の失活を伴わず、ビニルモノマーのグラフト重合を起さ
しめ得る条件下であれば加熱重合させてもよいことは言
うまでもない。反応後は生成物を適当な溶媒(例えばア
セトン、メタノール、エタノール等)中に沈殿させると
か、濃縮するとか、凍結乾燥する等常法により単離し、
更に要すれば精製工程に付す。
精製工程としては、先ず、ゲル過、限外過等によ
り未反応酵素を除き、次いで用いたビニルモノマーのホ
モポリマーを適当な方法により除く。ホモポリマーを除
く方法は種々あるが、例えば、用いた酵素がリパーゼ等
の如く遊離のSH基を有する酵素であり、得られた修飾酵
素が可溶性の修飾酵素である場合には本発明者らが見出
した、チオール(SH)基導入ポリスチレンを担体として
用いる下記方法によれば極めて効率的且つ効果的にこれ
を行うことができるのでこの方法により分離精製を行え
ばよい。
本発明者らが見出した、SH基含有酵素を用いた場合の
修飾酵素とホモポリマーとの分離精製方法は大略以下の
通りである。即ち、(1)先ずポリスチレンを少量の有
機溶剤(例えば四塩化炭素、クロロホルム、二硫化炭素
等)に溶解し、これをクロルスルホン酸中に少量ずつ滴
下し、反応させる。反応は通常室温で行なわれ、反応時
間は通常5〜10時間程度で充分である。反応後は反応液
を大量の水又は希酸中に加えて沈殿を生じさせ、この沈
殿を取、水洗、乾燥して−SO2Cl基が導入されたポリ
スチレンを得る。次に、この生成物を、要すれば細砕し
た後、亜鉛−塩酸(若しくは錫−塩酸、鉄−塩酸等)と
5〜12時間加熱反応させる。反応後は未反応Znを分別除
去し、水洗、乾燥してSH基導入ポリスチレン(固定化担
体)を得る。(2)得られた固定化担体は常法に慕い適
当な還元剤例えばジチオスレイトール(以下、DTTと略
称する。)、2−メルカプトエタノール、チオグリコー
ル酸、チオグリセロール等で処理することにより完全に
還元し、然る後メタノール,エタノール等の溶媒中SH基
活性化剤例えば2,2′−ジピリジルジスルフィド等と加
熱反応させることにより活性化を行なう。(3)一方、
修飾酵素とホモポリマーとの混合物はこれを例えば2−
メルカプトエタノール、DTT、チオグリコール酸、チオ
グリセロール等で処理することにより酵素中のジスルフ
ィド結合を還元して、該修飾酵素を還元型とする。
(4)(3)で得た還元型修飾酵素とホモポリマーの混
合物を適当な溶剤、例えば該修飾酵素とホモポリマーの
混合物が水溶性若しくは両親媒性の場合には酵素が失活
しないpH例えばpH6.0〜8.0の緩衝液に溶解し、これを
(2)で得た活性化固定化担体に加えて室温で5〜12時
間攪拌若しくは振盪し、修飾酵素をジスルフィド結合を
介して担体に固定化する。
(5)修飾酵素を固定化した担体を酵素が失活しない
pH例えばpH6.0〜8.0の緩衝液で充分洗浄し担体に結合さ
れない不純物、即ちホモポリマーを除いた後、これに例
えばDTT、2−メルカプトエタノール、チオグリコール
酸、チオグリセロール等の還元剤を含む溶出用緩衝液に
加えて室温で数十分間攪拌若しくは振盪することにより
ジスルフィド結合を還元切断して修飾酵素を担体より遊
離させ、次いでゲル過等により脱塩して目的とする精
製修飾酵素(酵素・ビニルポリマーハイブリッド或は固
定化酵素)を得る。尚、本精製法は、SH基を有するタン
パク質一般の精製法(チオール基をもたないタンパク質
やその他の不純物を除去する。)としても極めて有効で
ある。
尚、利用の目的によってはグラフト反応生成物〔酵素
・ビニルポリマーハイブリッド(或は固定化酵素)と用
いたビニルモノマーのホモポリマーとの混合物〕は精製
せずにそのまま使用しても一向に差し支えないことは言
うまでもない。
かくして得られた本発明の修飾酵素の内、例えば油溶
性、親油性又は両親媒性のハイブリッド体の場合には既
存のポリエチレングリコール修飾酵素(以下、PEG修飾
酵素と略称する。)と同様に有機溶媒可溶型の酵素とな
り得、ハイブリッド化したことにより熱安定性が向上す
る他、下記の如き特徴を有する。
1) 有機溶媒系で酵素反応を行なうことができるので
親油性物質の酵素処理が効率よくできる。
2) 反応の平衡をずらすことができる。
(例えば、加水分解酵素を縮合反応の触媒に用いること
ができる。) 3) 水系では不可能な反応が可能となる。
(例えば立体選択性を変えること、或は、D−アミノ酸
の縮合を行なうこと等) 更にまた、本発明の修飾法はPEG修飾法と比べて下記
の如き長所を有する。
1) ビニルモノマーの選択が自由であり、モノマーの
種類を変えて様々なハイブリッド体を合成できるので応
用が広がる。
2) 低分子のアゾ化合物を先ず初めに導入するので、
高分子修飾剤を直接導入する場合よりも導入率が高く、
効率的である。
3) 酵素分子の特定部位への導入修飾が可能である。
本発明に係る修飾酵素は、ハイブリッド酵素としての
一般的な用途の外、バイオセンサー、バイオリアクタ
ー、変性蛋白材料一般等種々の用途が期待できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれらにより何ら制約を受けるものではな
い。
〔実施例〕
実施例1.ACV導入リポプロテインリパーゼの製造 ACV12mg或は24mgとWSC8mg或は16mgを種々のpHの緩衝
液に溶解し、夫々5℃で2時間静置後、リポプロテイン
リパーゼ(以下、LPLと略称する。)10mgを加え更に5
℃で24時間静置反応させた。(尚、ACV12mgはLPLに含ま
れる7ヶのアミノ基に対して20倍当量に相当し、ACV24m
gの場合は40倍当量に相当する。) 表1にACV量及びpHを夫々変化させた場合のLPLへのAC
Vの導入率(アミノ基の定量により求めた)を示す。
表1から明らかな如く、pH5.4〜9.4の範囲でのACVの
導入率は40〜80%と広い範囲にわたっており、また、pH
が低いほど導入率が高くなっている。
実施例2.ポリN−ビニルピロリドングラフト化LPLの製 造 N−ビニルピロリドン(以下、NVPと略称する。)の
0.493mol/水溶液に実施例1で得た導入率39.7%のACV
導入LPLを開始剤濃度が4.28μmol/になるように加
え、窒素置換後、200Wの高圧水銀灯で室温下1時間光照
射した。反応後、生成物をアセトン中に沈殿させること
により回収し、Amicon PM−30(アミコン社商品名)膜
を用いて限外過することにより未反応のLPLを除き、
ポリN−ビニルピロリドン(以下、PNVPと略称する。)
グラフト化LPL(NVPホモポリマーを含む)を得た。得量
312mg 実施例3.PNVPグラフト化LPLの生成(NVPホモポリマーと の分離) (1)チオール基導入ポリスチレン(固定化担体)の合
成 重合度2,000のポリスチレン10gを少量の四塩化炭素に
溶解し、攪拌下クロロクルホン酸100ml中に徐々に滴下
し、滴下後室温で6時間攪拌反応させた。反応後、反応
液を1%HCl中に徐々に注入して沈澱を生じさせ、これ
を過、水洗、乾燥して−SO2Cl基が導入されたポリス
チレン17.8gを得た。この内15gを細かく砕き、亜鉛10g
と共に濃塩酸100ml中に投入し、70〜80℃で8時間攪拌
反応させた。反応後、デカンテーションにより未反応亜
鉛と分別し、浮遊物を取、水洗、乾燥してチオール基
導入ポリスチレン13.6gを得た。元素分析の結果、SH基
導入率(ベンゼン環に対し)は約30%であった。
(2)固定化担体の活性化 (1)で得たチオール基導入ポリスチレン粉末5gにDT
T50mM,0.1Mホウ酸緩衝液(pH7.8)20mlを加え、15分間
振盪して還元反応を完結させた。生成物を取し、充分
水洗してDTTを除いた後、これに2,2′−ジピリジルジス
ルフィドの100mMエタノール溶液40mlを加え、80℃で3
時間浸漬後水浴中で一晩冷却放置した。生成物を取
し、エタノールで洗浄後、0.1Mホウ酸緩衝液(pH7.8)
中に懸濁させた。
(3)タンパク質のジルスルフィド結合の還元 PNVPグラフト化LPLとNVPホモポリマーの混合物72.3g
を250mM2−メルカプトエタノール5mlに溶解し、室温で1
2時間攪拌反応させた後、凍結乾燥により2−メルカプ
トエタノールを除去し、還元型PNVPグラフト化LPLとNVP
ホモポリマーの混合物71.0gを得た。
(4)PNVPグラフト化LPLの精製 (3)で得た還元型PNVPグラフト化LPLとNVPホモポリ
マーとの混合物71.0gをpH7.8のホウ酸緩衝液に溶解し、
(2)で得た活性化固定化担体の懸濁液中に加えて室温
で8時間振盪し、タンパク質成分のみをジスルフィド結
合を介して担体に固定化した。タンパク質成分を固定化
した担体を単離し、これにpH7.8のホウ酸緩衝液15mlを
加えて室温で10分間振盪する操作を3回繰り返し、ホモ
ポリマーを洗浄除去した。
次いで、これにDTTの20mMホウ酸緩衝液(pH7.8)15ml
を加え、室温で30分間振盪することによりタンパク質成
分を担体より還元分離した。担体を遠心分離により除去
し、Sephadex G−10(ファルマシア社商品名)を用いた
ゲル過により脱塩し、PNVPグラフト化LPL14.4mgを得
た。得られたPNVPグラフト化LPLの重合度は700、タンパ
ク質含量は6.61%であった。IRスペクトルの一部(1400
〜1900cm-1)を第1図に示す。
尚、AVC導入率39.7%のAVC導入LPLの代りに導入率41.
4%のAVC導入LPLを用いて実施例2と同様にしてPNVPグ
ラフト化LPLを製造し、実施例3と同様にして精製を行
ったところ、重合度560、タンパク質含量7.80%のPNVP
グラフト化LPLが得られた。
参考例1.PEG修飾酵素の製造 稲田らの方法[Y.Inada,et at,.Biochem.Biophys.Re
s.Commun.,122,845−850(1984)]に従ってPEG修飾酵
素を合成した。
2,4−ビス(o−メトキシポリエチレングリコール)
−6−クロロ−s−トリアジン(以下、活性化PEG2と略
称する。)[和光純薬工業(株)製]0.8gとLPL20mgを
0.4Mホウ酸緩衝液(pH10.0)3.2ml中に加え、37℃で1
時間攪拌反応させた後、0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.0)100
mlを加えて反応を停止させた。尚、活性化PEG2の使用量
はLPLの20倍当量に相当する。反応後、Amicon PM−30
(アミコン社商品名)膜を用い、限外過による未反応
の活性化PEG2とLPLを除き、凍結乾燥してPEG修飾LPL11.
4mgを得た。PEG導入率はLPLの全アミノ基の50%であっ
た。
参考例2. 実施例3で得たPNVP修飾LPL(導入率39.7%のもの及
び導入率41.4%のもの)及び参考例1で得たPNVP修飾LP
Lのクロロホルムに対する溶解度を求めた。結果を未修
飾LPLのそれと共に表2に示す。
*修飾LPL又は未修飾LPL10mgをクロロホルム0.5mlに加
え、振盪後遠心分離により沈澱を分離し、乾燥後秤量し
て減少分を溶解度(mg/ml)とした。
また、LPLが有機溶媒中で加水分解反応の逆反応であ
る縮合反応を触媒することができるようになる事を利用
して、基質としてn−アミルアルコールとn−カプリル
酸を用い、クロロホルム中でのPNVP修飾LPL及びPEG修飾
LPLの活性を測定して未修飾LPLのそれと比較した結果を
表3に示す。
表3より明らかな如く、クロロホルム中に於ける未修
飾リバーゼの活性は極めて低く、実用に耐えないほどで
あったが、PEG修飾により活性が100倍以上に増大し、更
に本発明のPNVP修飾のLPLの場合にはそれ以上の大きな
活性が認められた。
実施例4.ポリスチレングラフト化LPLの製造 スチレン5ml(4.545g)に、実施例1と同様にして得
たACV導入率約40%のACV導入LPLを開始剤濃度が37.3nmo
l/になるように加え、200Wの高圧水銀灯を用いて30℃
で2時間光照射してポリマーを得た。ACV導入LPLの反応
率13.6%。スチレンの反応率0.23%。得られたポリマー
のIRスペクトルを第2図に示す。
参考例3. 実施例4で得たポリスチレン修飾LPLを精製せずにそ
のまま用いて、参考例2と同様にしてクロロホルム中で
の酵素活性を求めた。結果を未修飾LPLのそれと共に表
4に示す。
表4より明らかな如く、ポリスチレンをグラフト化し
た場合でも未修飾LPLに比べると約60倍の活性の上昇が
見られ、疎水性ポリマーで修飾した場合でも有機溶媒中
での活性が上昇することが判った。
〔発明の効果〕
以上述べた如く、本発明は修飾酵素、固定化酵素の分
野に於て、従来とは全く異なるタイプの製造手法と、そ
れによって得られる全く新しいタイプの修飾酵素、固定
化酵素を提供するものであり、例えば下記の如き点等に
顕著な効果を奏するものである。
1) 本発明に係る修飾酵素を用いれば、親油性物質の
酵素処理を効率よく行うことができ、また、水系では不
可能な反応が可能となる点 2) 本発明に係る修飾酵素を用いれば、反応の平衡を
ずらすことができ、例えば加水分解酵素は縮合反応の触
媒として用いることができる点 3) 本発明の製造法によれば、導入するビニルモノマ
ーの選択が自由なので、モノマーの種類を変えて様々な
ハリブリッド体を合成することが可能であり、しかも高
分子修飾剤を直接導入する従来の方法と比べて修飾剤の
導入率が良く効率的である点
【図面の簡単な説明】 第1図は実施例3で得られた本発明に係る修飾酵素のIR
スペクトルの一部(1400〜1900cm-1)を示す。また、第
2図は実施例4で得られた本発明に係る修飾酵素のIRス
ペクトル(全図)を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酵素の表面アミノ基に縮合試薬を用いて重
    合開始能を有するアゾ化合物を共有結合させ、次いでこ
    れにビニルモノマーをグラフト重合させることを特徴と
    する修飾酵素の製造方法。
  2. 【請求項2】リポプロテインリパーゼの表面アミノ基に
    導入された重合開始能を有するアゾ化合物を介して該リ
    ポプロテインリパーゼにビニルモノマーをグラフト重合
    させて成る修飾リポプロテインリパーゼ。
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JPH01179688A (ja) 1989-07-17

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