JP2663769B2 - 湿潤硫化水素環境で疲労亀裂進展特性に優れる鋼 - Google Patents

湿潤硫化水素環境で疲労亀裂進展特性に優れる鋼

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫化水素を含む原油を
輸送するタンカー用の鋼板のように湿潤硫化水素を含む
環境下で繰り返し応力を受ける用途に用いる疲労亀裂進
展特性に優れる鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような用途に用いられる鋼材にお
いては水素誘起割れ(HIC) あるいは硫化物応力割れ(SS
C) が問題となることは既に衆知の事実であり、その防
止に関しては数多くの研究がなされ、幾多の対策が提案
されている。
【0003】HIC は外部応力のない状態で鋼材に生じる
割れであり、SSC は静的な応力下での割れである。HIC
やSSC は、湿潤硫化水素環境で鋼が腐食したときに発生
する水素が鋼中に侵入することによって生じる水素脆化
であり、鋼の脆化現象の1つである。
【0004】一方、繰り返し応力のかかる状態で生じる
疲労破壊および腐食疲労破壊も、鋼のもう一つの大きな
脆化現象である。
【0005】波浪による繰り返し応力がかかる船舶ある
いは海洋構造物、自動車のホイールやクランク軸、さら
には歯車用材料等の疲労および腐食疲労についてもまた
数多くの研究例がある。
【0006】最近、タンカー等では大型化やコストダウ
ンの観点から、高張力鋼の使用が広がって来ている。そ
の場合、鋼材にはこれまで以上の応力がかかることにな
り、割れ以外に疲労の問題が懸念されるようになってき
た。ところが、先に述べたような湿潤硫化水素環境に曝
されるタンカーなどに用いられる鋼について、湿潤硫化
水素環境下の疲労挙動を調査した例は少ない。
【0007】Corrosion NACE、vol.32、No.12 (Decemb
er、1976) のO.VOSHIKOVSKI による「Fatigue Crack Gr
owth in an X65 Line-Pipe Steel in Sour Crude Oil」
と題する報告には、硫化水素濃度が高くなると疲労亀裂
進展速度が著しく加速することが明らかにされており、
湿潤硫化水素環境下の疲労に及ぼす環境効果は決して無
視できない問題であると考えられる。この硫化水素によ
ると思われる亀裂進展速度の加速は、水素脆性と重畳し
たためと考察されている。しかしながら、湿潤硫化水素
環境下の疲労に及ぼす材料因子について詳細に研究した
例は少なく、具体的な対策も見出されていない。
【0008】図1は、後述する実施例で試験した従来鋼
の大気中および湿潤硫化水素環境における疲労試験結果
である。縦軸のda/dN は亀裂進展速度で、応力サイクル
1回当たりの進展距離(mm)で表している。横軸のΔK
は最大応力拡大係数(Kmax)と最小応力拡大係数(Kmi
n)の差である。即ち、ΔK=Kmax −Kmin である。一
般に、亀裂進展速度(da/dN)は、ΔKに対して da/dN=
C(ΔK) m の関係が広く認められることから、横軸に
ΔKを取った。なお、応力拡大係数とは、腐食疲労現象
を、亀裂 (欠陥あるいは割れ) が存在するときの亀裂の
寸法・形状、材料の寸法・形状、荷重条件などの力学的
境界条件を標準化して取り扱う破壊力学において、応力
として取り扱われるものである。
【0009】図1から明かなように、大気中に比べ湿潤
硫化水素環境中では亀裂進展速度が大きい。特に、ΔK
の大きい領域(約 20ksi√in以上) で亀裂進展が加速さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、使用環境の
過酷化と、鋼材の高強度化に伴って頻発することが予想
される湿潤硫化水素環境下での疲労破壊に対処すること
を課題としてなされたものである。
【0011】本発明の具体的な目的は、タンカーなど
用途に使用されるYS (降伏応力 )20〜45kgf/mm2 、TS
(引張強さ) 35〜60kgf/mm2 級の鋼材であって、湿潤硫
化水素環境下で使用されたときに疲労亀裂が進展しにく
い性質をもった鋼を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
鋼にある。
【0013】重量%で、C: 0.01〜0.2 %、Si:0.2〜
0.6 %、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.2〜1.0 %sol.Al: 0.
01〜0.1 %およびCr:0.5%超2.0 %以下を含み、かつ、
0.5%≦Si+Cu≦ 1.5%を満足し、残部は不可避不純物
とFeからなる湿潤硫化水素を含む環境で疲労亀裂進展特
性に優れる鋼であって、繰り返し応力を受ける用途に用
いる鋼。」
【0014】
【作用】本発明は、従来ほとんど検討のなされていなか
った湿潤硫化水素環境下の疲労挙動に及ぼす材料因子に
ついて検討した結果に基づいてなされたものである。先
に掲げた文献に述べられているように、湿潤硫化水素環
境下の疲労挙動は水素脆性と重畳しており、鋼に固溶し
た水素濃度が高いほど亀裂進展速度が大きいことが判明
した。
【0015】従って、湿潤硫化水素環境下の鋼の固溶水
素濃度を減少させることにより、疲労亀裂進展特性を向
上させることができると考えられる。
【0016】pH5以上の比較的pHの高い湿潤硫化水素環
境では、鋼に添加したCuがCuS皮膜を形成することによ
り鋼中に侵入する水素濃度を下げることが既に知られて
いる。しかし、硫化水素を含む原油中に混入した水のpH
は、原油中の酸性不純物の影響によって、4以下、場合
によっては3程度まで低下することがある。そして、本
発明者の実験によれば、このような4以下という低いpH
の領域では、Cu添加だけでは充分効果がなく、亀裂進展
特性も改善されなかった。これは、上記のCu添加の効果
があるpH領域より強い酸性であるからと推定される。
【0017】ところが、SiとCuを複合添加した場合に
は、体積ガス濃度1%の硫化水素(N2バランス)が吹き
込まれたpH3程度の水と原油の懸濁液中においても疲労
亀裂進展特性を改善する効果があることが判明した。
【0018】これは、原油が混在する場合に、硫化水素
を含むpH3程度の低pHの環境でも、SiがCuS皮膜を緻密
に生成させ腐食を抑制するためと考えられる。すなわ
ち、SiがCuS皮膜の生成を助けていると考えられる。
【0019】さらに、Crを 0.5%超2.0 %以下の範囲で
含有させることにより、一層耐食性が向上し、硫化水素
ガス濃度10vol.%の混合ガスを水と原油の懸濁液に吹き
込んだような環境でも疲労亀裂進展特性が大きく改善さ
れることも判明した。Crも、Siと同様に硫化水素を含む
pH3程度の低pH環境で、CuS皮膜を緻密に安定化させて
腐食を抑制する効果があるものと推定される。また、Cr
とSiの相乗作用により、一層硫化水素濃度の高い原油と
水の懸濁液中でもCuS皮膜が安定に形成されて腐食を抑
制するものと推定される。
【0020】上記のように、本発明鋼の大きな特徴は、
SiとCu、または更にCrを複合添加したことにあるが、前
述の用途に適する機械的性質、溶接性等の総合的な特性
は次に述べる各合金元素の総合的な作用効果によって得
られるものである。
【0021】Cは、鋼の強度を高める成分である。本発
明では、前記の強度レベルを保持するためにCの含有量
を0.01%(以下、合金成分に関する%は重量%を意味す
る)以上とした。これを下回ると本発明鋼の用途に必要
な鋼の強度を確保するのが困難である。一方、鋼の溶接
性を良好に保つために、C含有量の上限は 0.2%とし
た。本発明鋼の主要な用途では、溶接施工を受けること
が多い。C含有量が 0.2%を上回ると、溶接時に鋼中に
溶け込んだ水素が原因で、溶接熱影響部の硬化部に溶接
後しばらくして割れを生じる、いわゆる溶接割れが発生
しやすい。溶接割れには溶接熱影響部の硬さが大きく影
響し硬いほど割れやすくなる。Cの高い材料ほど硬化し
やすいから、これを防ぐにはCが低い方がよい。望まし
いC含有量は0.03〜0.18%である。
【0022】Siは、鋼の脱酸剤として有用であり、その
外に本発明では湿潤硫化水素環境での疲労亀裂進展特性
の改善のために積極的に利用する。Siの含有量が 0.2%
未満では、これらの効果が期待できない。一方、Siが
0.6%を超えると鋼の靱性が損なわれる。Siの望ましい
含有量は0.25〜0.5 %である。
【0023】Mnも、鋼の強度を向上させる成分である。
0.3 %未満では本発明鋼の意図する用途に必要な強度を
確保するのが困難である。しかし、MnもCと同様、溶接
熱影響部を硬化させ溶接割れ惹起する成分であるから、
その含有量には上限がある。即ち、2.0 % を上回ると
溶接割れが発生しやすくなる。望ましいMnの含有量は0.
5〜1.8 %である。
【0024】Alは、鋼の脱酸のために使用するものであ
り、sol.Alとして0.01%の含有量となるように添加する
必要がある。ただし、sol.Alの含有量が 0.1%を上回る
と鋼の清浄度および靱性が損なわれる。望ましいsol.Al
含有量の範囲は0.01〜0.05%である。
【0025】Cuは、前記のように湿潤硫化水素環境での
鋼の疲労亀裂進展特性の改善に必須の成分である。0.2
%未満では、添加の効果が小さい。一方、Cuは溶接割れ
を誘発し、また、高温で融解し鋼の粒界強度を下げて熱
間圧延途中に割れや傷を発生させやすくするから、その
含有量は 1.0%までにとどめるべきである。望ましいCu
の含有量は0.25〜0.5 %である。
【0026】前述のとおり、本発明鋼は特にSiとCuが共
存することに特徴がある。この共存の条件が 0.5%≦ S
i + Cu ≦ 1.5% である。Si+Cuが 0.5%未満である
と湿潤硫化水素環境での疲労亀裂進展特性の改善という
本発明の目的が達成できない。一方、Si+Cuが 1.5%を
超えても効果の増大はなく、鋼の靱性、溶接性が損なわ
れるという好ましくない影響が現れる。Si+Cuの望まし
い範囲は 0.6〜1.0 %である。
【0027】本発明鋼の一つは、上記の成分の外、残部
がFeと不可避の不純物からなるものである。不純物のう
ち、PとSは、それぞれ 0.025%以下、0.020 %以下に
抑えるのが望ましい。
【0028】本発明鋼のもう一つは、上記の成分に加え
てさらにCrを含有するものである。Crは 0.5%を超える
含有量で湿潤硫化水素環境での疲労亀裂進展特性の一層
の改善に有効である。ただし、CrもC、Mnと同様、溶接
熱影響部を硬化させ溶接割れを惹起する成分であるか
ら、添加する場合は含有量の上限を 2.0%とすべきであ
る。Crの望ましい含有量は 0.6〜1.5 %である。
【0029】本発明鋼は、通常の溶製、鋳造、鍛造ある
いは圧延後放冷する熱間加工、更に要すれば冷間加工等
の工程を経て、板、管、フランジ等に加工され、通常は
加工のままで使用に供される。ただし、熱間加工後に水
冷等の加速冷却処理を施すとミクロ組織の均一化によっ
て亀裂進展特性が一層向上し、また、合金元素の添加を
少なくしても高強度化ができ、材料コストを下げること
ができる。これらの理由で、熱間加工後に加速冷却処理
を施すことが推奨される。
【0030】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって説明する。
【0031】表1〜3に、従来鋼、本発明鋼および比較
鋼の化学組成ならびに湿潤硫化水素環境における疲労試
験結果(ΔK= 20ksi√inにおける亀裂進展速度(da/d
N)、ならびに大気中の亀裂進展速度との比) を示す。
【0032】供試鋼は、真空溶解した厚さ150 mmの鋼片
を熱間鍛造し、これを1150℃に加熱し、仕上温度 830℃
で熱間圧延して厚さ15mmの板とし、放冷して製造した。
試験片は、この板から亀裂進展方向が圧延方向と直交す
るように採取した。
【0033】図5の (a)は疲労試験装置の概略図、同
(b) は試験片の形状を示す図である。(b) の形状、寸法
の試験片1に試験溶液槽2中で油圧シリンダー5により
繰り返し応力を負荷する。3は溶液循環ポンプ、4はロ
ードセル、6は油圧源、7はサーボバルブ、8は波形発
生器、9は負荷制御器である。
【0034】疲労試験条件は以下のとおりである。
【0035】 f(繰り返し速度)=30Hz R(応力比)=0.1 T(試験温度)=室温 表1〜3に、従来鋼、本発明鋼および比較鋼の化学組
成、ならびに湿潤硫化水素環境下でΔK= 20ksi√inに
おける亀裂進展速度(da/dN)およびその値と大気中でΔ
K= 20ksi√inにおける亀裂進展速度(da/dN)との比を
示す。なお、亀裂進展速度としてΔK= 20ksi√inの時
の値を採用した理由は、以下に説明する図1に示すよう
に、この領域で亀裂進展速度が大気中のそれと大きく差
がつくからである。
【0036】湿潤硫化水素環境は、水を10%含む懸濁さ
せた原油に、硫化水素濃度1vol.%あるいは10vol.%
(残りは窒素) の混合ガスを試験期間中常時吹き込むと
いうものである。
【0037】図1に、従来鋼(鋼No.1) の大気中および
湿潤硫化水素環境 (ガスの硫化水素濃度1vol.%) にお
ける亀裂進展速度の比較を示す。図1から明かなよう
に、大気中に比べ湿潤硫化水素環境中では亀裂進展速度
が大きい。特に、ΔKの大きい領域(約 20ksi√in以
上) で亀裂の進展が加速されている。
【0038】図2は、同じく従来鋼(鋼No.1) を用い
て、鋼に固溶した水素濃度の疲労亀裂進展速度に及ぼす
影響を調査した結果を示す。この実験では吹き込むガス
として硫化水素濃度1vol.%および10vol.%の混合ガ
ス、ならびに純粋の硫化水素ガスを用いて固溶水素濃度
を変えた。図2から明らかなように、吹き込むガスの硫
化水素濃度が高いほど鋼に固溶する水素濃度は高くな
り、亀裂進展速度が大きくなる。
【0039】図3は、表1および表2のデータから湿潤
硫化水素環境下(ガスの硫化水素濃度1vol.%)と大気
中における亀裂進展速度の比に及ぼすSi+Cuの影響をグ
ラフにしたものである。Si+Cuが 0.5%以上の領域で亀
裂進展速度が大気中のそれの2倍以内に抑えられてい
る。ただし、SiおよびCuがそれぞれの下限値を下回るも
のはその限りではない。
【0040】図4は、同じく表1および表2のデータか
ら更に厳しい湿潤硫化水素環境下(ガスの硫化水素濃度
10vol.%) と大気中における亀裂進展速度の比に及ぼす
Si+CuおよびCrの影響をグラフにしたものであり、ここ
でもSi+Cuが 0.5%以上の領域で亀裂進展速度が大気中
のそれの3倍程度に抑えられている。さらに図4に○で
示すCrを含む鋼は、湿潤硫化水素環境下での亀裂進展速
度が大気中のそれの2倍以内に抑えられており、Cr添加
の効果が高濃度の硫化水素環境下において顕著である。
【0041】鋼No.1〜4は、従来のCuを含有量していな
い鋼であり、湿潤硫化水素環境における亀裂進展速度は
大気中の5倍以上ある。
【0042】鋼No.5、6および14は、Cuの含有量が過少
で、また、Si+Cuも少な過ぎる鋼であり、湿潤硫化水素
環境における亀裂進展速度は従来鋼に比べて改善されて
いない。同じように、鋼No.8および15 は、Siの含有量
が少なく、また、Si+Cuも0.5%に満たない鋼であり、
湿潤硫化水素環境における亀裂進展速度は従来鋼に比べ
て改善されていない。
【0043】鋼No.9と12は、SiとCuの合計含有量は本発
明で定める条件を満足しているが、前者はSi量が、後者
はCu量が少な過ぎる鋼であり、湿潤硫化水素環境におけ
る亀裂進展速度はやはり従来鋼に比べて改善されていな
い。
【0044】鋼No.11 と16は、Si、Cuのそれぞれの添加
量は請求範囲を満足しているが、Si+Cuの量が少なすぎ
る鋼であり、湿潤硫化水素環境における亀裂進展速度は
従来鋼に比べてほとんど改善されていない。
【0045】鋼 No.26、28〜31は、Si、Cuのそれぞれの
含有量、および合計含有量が本発明の条件を満足する上
に、さらに0.5%超2.0%以下のCrを含む鋼である。これ
らの鋼は吹き込んだガスの硫化水素濃度が10vol.%の湿
潤硫化水素環境においても、亀裂進展速度は大気中の2
倍以内に抑えられており、ガス硫化水素濃度1vol.%の
湿潤硫化水素環境における亀裂進展速度は、大気中のそ
れとほとんど変わらない程に改善されている。 なお、
表3に示すように本発明鋼の機械的性質はいずれも目標
とするレベルを上回るものであった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】実施例に示したように、本発明鋼の亀裂
進展速度は、湿潤硫化水素環境で従来鋼に比べて著しく
小さく、その亀裂進展速度は大気中における疲労亀裂進
展速度の2倍以下である。即ち、本発明鋼は亀裂進展特
性に優れた鋼であり、湿潤硫化水素環境に曝され、かつ
繰り返し応力を受けるタンカー等の素材として極めて優
れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来鋼の大気中および湿潤硫化水素環境におけ
る疲労試験結果である。
【図2】従来鋼の疲労亀裂進展速度に及ぼす硫化水素濃
度の影響を示した図である。
【図3】湿潤硫化水素環境下(硫化水素濃度1vol.%)
における亀裂進展速度と大気中の亀裂進展速度との比に
及ぼすSiとCuの合計含有量の影響を示す図である。
【図4】湿潤硫化水素環境下(硫化水素濃度10vol.%)
における亀裂進展速度と大気中の亀裂進展速度との比に
及ぼすSiとCuの合計含有量およびCr含有量の影響を示す
図である。
【図5】(a)は疲労試験装置の概要を示す図、(b) は試
験片の形状と寸法を示す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.01〜0.2 %、Si:0.2〜0.
    6 %、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.2〜1.0 %sol.Al: 0.01
    〜0.1 %およびCr:0.5 %超2.0 %以下を含み、かつ、
    0.5%≦Si+Cu≦ 1.5% を満足し、残部は不可避不純物
    とFeからなる湿潤硫化水素環境で疲労亀裂進展特性に優
    れる鋼であって、繰り返し応力を受ける用途に用いる
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