JP2663532B2 - Icp発光分析法 - Google Patents

Icp発光分析法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はICP発光分析における標準添加法に関する。
(従来の技術) ICP発光分析で定量を行う場合の一つの方法として標
準添加法がある。この方法は一々検量線を作らなくても
よく、実施が簡単と云う利点がある。この方法は被測定
試料において定量しようとする元素の輝線強度Ioを測定
し、次に被測定試料に定量しようとする元素を既知量添
加して再び定量しようとする元素の輝線強度Iを測定す
る。定量しようとする元素の既知量を添加したときの試
料溶液の定量しようとする元素の濃度増加をΔCとする
と、(I−Io)/ΔCは定量しようとする元素の単位濃
度変化に対する輝線強度の変化であるから、被測定式量
における定量しようとする元素の濃度Coは によって求められる。これが標準添加法の原理である
が、この方法は定量しようとする元素の輝線のバックグ
ラウンド強度が既知であることが必要である。即ち実測
されたスペクトル強度からバックグラウンド強度を引い
た値が上記Io,Iである。バックグラウンド強度は被測定
試料について定量しようとする元素の輝線スペクトルの
プロファイルを測定し、輝線スペクトルの両据のベース
ラインからの立上り点のバックグラウンド強度の平均と
して求められる。しかし次のような場合にはバックグラ
ウンド強度が求められず、標準添加法が適用できない。
第3図に示すように試料における定量しようとする元
素の輝線スペクトルSsと試料の溶媒自身或は試料中の他
成分のスペクトルピークSiとが重なった場合で、この場
合見掛上定量しようとする元素の輝線スペクトルは点線
のようになり、真のスペクトル強度はIoであり、見掛上
のスペクトルピークの裾の立上り点をバックグラウンド
強度とすることはできない。スペクトルピークSsとSiと
は重なっているので真のバックグラウンド強度であるIb
を直接測定することができない。このようなことは試料
の溶媒の水に由来するOH基とか試料を溶かすために硝酸
を用いた場合のNO基等によるバンドスペクトルの中に定
量しようとする元素の輝線が存在するような場合に起
る。第2図はこのようなバンドスペクトル上に目的元素
の輝線スペクトルが重なっている場合の発光スペクトル
を示す。バンドスペクトルは詳細に観測すると密集した
輝線の群であって、目的元素の輝線はそのような密集し
た輝線群中の一つの輝線と重なっているのである。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上述したように定量しようとする元素の輝線
と試料の溶媒或は他成分の輝線とが重なってバックグラ
ウンドレベルを直接測定できないような場合にも標準添
加法を適用することを可能にしようとするものである。
(課題を解決するための手段) 第1のICP発光条件で標準添加法による測定を行っ
て、定量しようとする元素の輝線波長における標準添加
前の測光値Io、標準添加後の測光値Isおよび上記輝線が
重なっているバンドスペクトル範囲の他波長における標
準添加前或は後の測光値Bを測定し、次に第2のICP発
光条件で同じ標準添加法による測定を行って、上記Io,I
s,Bに対応する測光値Io′,Is′,B′を測定し、これら6
個の測光値から下記5元連立方程式を立て、これを解い
て、標準添加前のもとの試料における定量しようとする
元素の第1の発光条件におけるバックグラウンド強度を
差引いた正味の輝線強度Ixを算出し、これと標準添加に
よる同輝線強度の増加値Is−Ioから試料中の被定量元素
の濃度を算出するものである。
Bs+Ix=Io …(1) Bs+Ix+Ik=Is …(2) KBe+lIx=Io′ …(3) KBs+lIx+lIk=Is′ (4) B′=kB …(5) 上式において、Bsは定量しようとする元素の輝線波長
における第1の発光条件下のバックグラウンド強度,Kは
発光条件を変えたときのBsの変化率、Ixは第1の発光条
件下で標準添加前の定量しようとする元素の正味の輝線
強度、Ikは同輝線強度の標準添加による増加分、lは発
光条件を変えたときのIx,Ikの変化率である。
(作用) ICP発光条件を変えると輝線スペクトルとかバンドス
ペクトルの強度は変化するが、その変化率は一率でなく
輝線毎、バンドスペクトル毎に異っている。しかし一つ
のバンドスペクトルの中では発光条件を変えた場合の発
光強度の変化率は等しい。本発明はこのことを利用して
定量しようとする元素の輝線波長におけるバックグラウ
ンドを形成しているバンドスペクトルの強度を同じバン
ドスペクトルに属する他の波長の位置の発光強度のICP
発光条件を変えたときの変化を利用して算定するのであ
る。
第2図は或る試料の発光条件を変えたときのスペクト
ルの変化を示し、発光条件としてこの図はキャリヤガス
(後述)の流量を変えている。波長範囲は267〜348nmで
バンドスペクトルはOH基によるものである。OH基のバン
ドスペクトルは二つ現れているが、両者において変化の
仕方は異っている。しかし一つのハンド例えば図で中央
のバンドスペクトルについて見れば明らかなように変化
の仕方は一率である。なおキャリヤ流量20/minの場合
多くの輝線が見えているがこれらはキャリヤ流量10/m
inの場合バンドスペクトルと混じって識別できなかった
り、20/minにしたとき強度が増大して顕在化したもの
で、輝線毎に発光条件の変化に伴う変化の仕方が異って
いることを示している。この関係を利用すれば前項にお
ける(1)〜(5)の式を立てゝIxを算出することが可
能となる。
(実施例) 第1図は本発明方法を実行する装置の一例を示す。1
はプラズマトーチ、2は発光器で、プラズマトーチ1に
よって形成されたプラズマ炎3の光を分光する。分光器
2において4は回折格子、5、5′は回折格子によって
形成されるスペクトル像面上の任意波長位置に設置され
る受光素子で、5は定量しようとする元素(目的元素と
云うことにする)の輝線波長位置に、5′は目的元素の
輝線と重なっている他元素或は分子のバンドスペクトル
上に一波長位置に設定されている。6は制御装置で受光
素子5,5′の出力信号を取込んでデータ処理を行うと共
に装置の制御を行っている。7は試料霧化器で、試料容
器8内の試料を吸引霧化してプラズマトーチ1に供給し
ている。9はキャリヤガス供給管で、10はキャリヤガス
流量調節弁である。11は流量計で制御装置は流量計11の
指示値を読込み流量調節弁10を駆動して試料霧化器7に
供給するキャリヤガス流量を制御している。試料のプラ
ズマトーチ1への供給量はこのキャリヤガス流量によっ
て制御される。
上述装置において定量分析動作は次のような行われ
る。容器8に試料溶液を入れ、キャリヤ流量を第1の一
定値に保って受光素子5,5′の出力を制御装置6に取込
ませる。受光素子5の出力は目的元素の輝線波長におけ
る測光出力Ioで、5′の出力は目的元素の輝線が重なっ
ているバンドスペクトル上の一波長の出力Bである。次
いで同じ試料でキャリヤ流量を第2の一定値に保って受
光素子5の出力Io′および受光素子5′の出力B′を制
御装置6に取込ませる。次にもとの試料溶液に標準試料
を添加して目的元素濃度を既知量ΔCだけ高めた溶液を
用いて上記第1,第2のキャリヤ流量のもとで受光素子5
の出力IsおよびIs′を制御装置6に取込ませる。以上の
動作を終った後制御装置6は次のような演算を行っても
との試料における目的元素の濃度Cを算出する。前述し
たようにもとの試料における第1のキャリヤ流量におけ
る目的元素の正味の輝線強度をIx,標準添加した後の第
1のキャリヤ流量における目的元素の輝線強度の増加分
をIkとし、第1のキャリヤ流量における目的元素の輝線
波長位置でのバックグラウンド強度をBsとすると、 Bs+1x+=Io …(1) Bs+Ix+Ik=Is …(2) KBs+lIx=Io′ …(3) KBs+lIVx+lIk=Is′ …(4) B′=KB …(5) 上式で未知数はIx,Ik,Bs,K,lの5個である。上式から
Ixを求めるともとの試料における目的元素の濃度Cは で与えられる。(2)(1)式からIk=Is−Ioまた
(4)(3)式からlIk=Is′−Io′、これから また(5)式からK=B′/B、(1)式にKを掛けて
(3)式から引くとBsが消去できて Ix(l−K)=Io′−KIo 故に 上式に(7)式のlおよびK=B′/Bの代入して (8)式の右辺の各項は全て実測値であり、制御装置6
は(8)式によってIxを算出し、(6)式によってCを
算出する。
(発明の効果) 本発明によれは検量線を作成する必要がなく実施容易
な標準添加法がバックグラウンド強度を直接測定できな
い場合にも拡張できることになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を実行する装置の一例のブロック
図、第2図はICP発光条件を変えたときのスペクトルの
変化を示す図、第3図は本発明方法が適用される場合を
説明する図である。 1……プラズマトーチ、2……分光器、3……プラズマ
炎、4……回折格子、5,5′……受光素子、6……制御
装置、7……試料霧化器、8……試料容器、9……キャ
リヤガス供給管、10……調節弁、11……流量計。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1のICP発光条件で試料の標準添加の前
    後における定量しようとする元素の輝線波長における測
    光値Io,Isおよび上記輝線が重なっているバンドスペク
    トル範囲の他波長における標準添加前或は後の測光値b
    と、第2のICP発光条件で試料の標準添加の前後におけ
    る上記輝線波長における測光値Io′,Is′および上記B
    に対応する上記バンドスペクトル範囲の他波長における
    測光値B′とから、第1のICP発光条件における試料の
    標準添加前の定量しようとする元素の輝線の正味の測光
    値Ixおよび、標準添加による同輝線の強度の増加分Ikを
    算出し、標準添加による定量しようとする元素の試料中
    濃度増加分ΔCを用いて、上記IxとIkとから試料中の定
    量しようとする元素の濃度を決定することを特徴とする
    ICP発光分析法。
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