JP2662316B2 - 冷凍冷蔵庫の放熱パイプの配管構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，例えば仕切壁により冷
凍室と冷蔵室とに上下に区画された内箱を覆う外箱の内
面に配設された放熱パイプによって，上記外箱及び仕切
壁の前面を加熱する冷凍冷蔵庫に係り，特に上記放熱パ
イプを外箱の所定位置に位置決めよく固定することので
きる冷凍冷蔵庫の放熱パイプの配管構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記したような冷凍冷蔵庫の一例を図３
及び図４に示す。同図において，冷凍冷蔵庫１は，仕切
壁２によって冷凍室３と冷蔵室４とに上下に区画された
内箱５と，この内箱５の両側面と上面を覆う鉄板よりな
る外箱６とから主としてなっている。そして，この冷凍
冷蔵庫１が備えた冷凍サイクルの凝縮器として機能する
放熱パイプ７が上記外箱の内面形状に沿って形成されて
いる。この放熱パイプ７は上記外箱６の内面に沿って配
設される基管部８と，該基管部８に略直角の湾曲部を介
して連通され上記仕切壁２の前面に沿ってＵ字状に迂回
して配備される迂回管部９とよりなっている。上記した
ような冷凍冷蔵庫１では，上記冷凍サイクルからの熱は
放熱パイプ７から外箱６に放熱されるようになっている
が，これによって上記冷凍室３及び冷蔵室４からの冷熱
による外箱６の外面の露付きを防止するようにもなって
いる。上記冷凍冷蔵庫１の組立て時の状態を図５に示
す。組立てに際し，前面下部に予め前板１６を設けた内
箱５と外箱６とが同図に示す位置にセットされる。この
位置関係の状態で，まず内箱５が広幅矢印Ａの方向に移
動されて，上記内箱５の上辺５_c が外箱６の上辺６_c に
嵌合する。その後，外箱６の側板６_a ，６_b がそれぞれ
広幅矢印Ｂの方向に移動されて，上記外箱６の両側板６
_a ，６_b が内箱５と嵌合し，図３に示す形態の冷凍冷蔵
庫１が完成する。上記組立ての際に，放熱パイプ７の迂
回管部９は，図６及び図７に示すように，内箱に形成さ
れた凹陥部１９を通して仕切壁２の前面に沿って配備さ
れ，例えばその先端側が上記仕切壁２に係止される。ま
た，放熱パイプ７の基管部８は，外箱６の前面フランジ
２１とこの前面フランジ２１から後方に向けて折り返さ
れた後部板２２との間に挿設されている。更に，上記凹
陥部１９近傍の仕切壁２の前面には，冷蔵庫扉を支持す
るヒンジを固定するためのタップ板１７が設けられてい
る。このタップ板１７はビス２０によって内箱５にも固
定される。そして，後の工程において，上記内箱５と外
箱６との間には密封状の空間が形成され，この空間に断
熱材が充填される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の放熱パイプ
７の配管構造においては，上記放熱パイプ７はその基管
部８が外箱６に対し上下方向に固定されていない。従っ
て，内箱５と外箱６とを組立てる際に，上記放熱パイプ
７の基管部８及び迂回管部９が，例えば二点鎖線（図
６）で示すように所定位置よりも上下方向にずれること
がある。その為，上記放熱パイプ７が上記の如くずれた
まま組立てられたり，或いは上記放熱パイプ７が内箱５
の凹陥部１９の傾斜部１９_a に乗上げたまま組立てられ
たりすることがあった。その為，前者の場合，上記ヒン
ジをタップ板１７にビス止めする際にこのビスによって
放熱パイプ７の迂回管部９に穴を開けてしまう危険性が
あり，一方，後者の場合，上記冷蔵庫扉等の部品と上記
傾斜部１９_a とによって放熱パイプ７が潰されてしまう
危険性があるといった問題があった。他方，上記したよ
うな放熱パイプ７の損傷を回避しようとすると，上記放
熱パイプ７の固定作業に多くの注意を払わなければなら
ず，手間がかかっていた。また，放熱パイプ７に外力が
かかった場合，応力集中の生じるパイプの湾曲部が最も
変形しやすいため，上記湾曲部を保持して放熱パイプ７
の変形を防止することが必要である。そこで，本発明の
目的とするところは，冷凍冷蔵庫の組立て時に放熱パイ
プの外箱に対する所定位置からの位置ずれを容易に防止
することにより，簡単な組立て作業で放熱パイプの損傷
や変形を防止することのできる冷凍冷蔵庫の放熱パイプ
の配管構造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に，本発明が採用する主たる手段は，その要旨とすると
ころが，仕切壁により冷凍室と冷蔵室とに上下に区画さ
れてなる内箱の少なくとも側面を覆う外箱の内面に配設
された基管部と該基管部に略直角の湾曲部を介して連通
され上記仕切壁の前面に沿って迂回して配備される迂回
管部とよりなる放熱パイプによって上記外箱及び仕切壁
を加熱する冷凍冷蔵庫の放熱パイプの配管構造におい
て，上記内箱に上記迂回管部が通過できる切欠穴を設け
るとともに，上記迂回管部の上記基管部に対する往き管
と戻り管の上記湾曲部を所定の間隔と所定の位置を保っ
て外箱の所定位置に係止する係止部材を上記切欠穴を閉
塞する位置に取り付け，上記放熱パイプを上記係止部材
を介して上記外箱に固定した点に係る冷凍冷蔵庫の放熱
パイプの配管構造として構成されている。

【０００５】

【作用】本発明によれば，冷凍冷蔵庫の内箱に放熱パイ
プの迂回管部が通過できる切欠穴が設けられる。そし
て，上記内箱と外箱とを組立てる際に，上記迂回管部の
上記基管部に対する往き管と戻り管の上記湾曲部が係止
部材により所定の間隔と所定の位置を保たれる。このよ
うに, 放熱パイプに力が加わったときに最も変形しやす
い上記湾曲部が上記係止部材で固定されることにより,
放熱パイプの変形が効果的に防止される。この状態にお
いて，上記放熱パイプは上記係止部材を介して外箱の所
定位置に固定される。これによって，上記迂回管部の往
き管と戻り管の上記湾曲部が外箱の所定位置に係止され
る。従って，上記放熱パイプが外箱の所定位置から上下
方向にずれることがない。同時に，上記係止部材は上記
切欠穴を閉塞する位置に取り付けられるので，続いて外
箱が内箱に対して嵌合されることにより, 上記内箱と外
箱との間の気密性が一定に保持される。また, 放熱パイ
プは上記湾曲部において係止されるため, 組立て後は上
下方向だけでなく左右方向（迂回管部の管軸方向）も確
実に位置固定され, 放熱パイプの変形による破損は確実
に防止される。更に，組立て時に上記放熱パイプのずれ
を防止することに注意を払う必要がなくなるため，組立
て作業が容易化される。

【０００６】

【実施例】以下添付図面を参照して，本発明を具体化し
た実施例につき説明し，本発明の理解に供する。尚，以
下の実施例は，本発明を具体化した一例であって，本発
明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここ
に，図１は本発明の一実施例に係る冷凍冷蔵庫の仕切壁
近傍の内箱と外箱との組立て状態を示す拡大図，図２は
図１におけるＦ−Ｆ矢視断面図である。但し，図３乃至
図７に示した上記従来の冷凍冷蔵庫１と共通する要素に
は，同一の符号を使用すると共に，その詳細な説明は省
略する。本実施例に係る冷凍冷蔵庫は，図１及び図２に
示すように，上記従来の冷凍冷蔵庫１と基本的構造をほ
ぼ同様とし，上記従来の冷凍冷蔵庫１との相違点は，内
箱５に放熱パイプ７の迂回管部９が通過できる切欠穴２
３が設けられるとともに，上記迂回管部９と基管部８と
の境界部に形成された湾曲部を係止することにより，上
記迂回管部９の，基管部８に対する往き管１０と戻り管
１１とを所定の間隔Ｅに保ち，且つ上記湾曲部の横方向
のずれや変形を防止するスペーサ１２（係止部材）を備
え，上記往き管１０と戻り管１１の上記湾曲部を上記ス
ペーサ１２を介して外箱６の所定位置に固定する配管構
造を採用したことである。上記スペーサ１２は，例えば
合成樹脂よりなり，その前面には，上記基管部８と迂回
管部９との境界部となる湾曲部の外形と略同形状に陥入
して形成され上記湾曲部を係止可能の二つの係止溝１３
が設けられている。この場合，上記迂回管部９側の二つ
の係止溝１３の間は上記迂回管部９の所定の間隔Ｅと同
じ間隔に設定されている。上記所定の間隔Ｅは，上記往
き管１０と戻り管１１とがこの間隔Ｅで仕切壁２の所定
位置に配設された時，上記往き管１０と戻り管１１のい
ずれもが上記切欠穴２３の縁部に接することなく且つタ
ップ板１７のビス穴からずれた位置に配されるように設
定されている。また，上記スペーサ１２下面の上下中央
部には，上記迂回管部９の軸心と平行のリブ１４が下向
きに突設されている。そして，上記スペーサ１２は上下
の幅が上記内箱５の切欠穴２３の開口幅よりも広く設け
られ，その切欠穴２３側の端部が可撓性を有する弾性部
２４として下方に屈曲して設けられている。この弾性部
２４は，上記迂回管部９を通過させる必要上内箱５に設
けられた切欠穴２３を閉塞するためのものである。更
に，スペーサ１２は係止溝１３に放熱パイプ７を係止し
た状態で外箱６の前面フランジ２１と後部板２２との間
に挿着されるようになっている。一方，上記外箱６の後
部板２２には，スペーサ１２のリブ１４を収容して上下
方向に固定する上記迂回管部９の軸心と平行の切欠部１
５が設けられている。この切欠部１５の穿設位置は，上
記仕切壁２の上下幅の中心となるＦ−Ｆ矢視線上（図
１）に設定されている。

【０００７】本実施例に係る冷凍冷蔵庫は上記したよう
に構成されている。そこで，上記冷凍冷蔵庫の組立てに
際し，内箱５の上辺５_c が外箱６の上辺６_c （いずれも
図５）に嵌合された後に，放熱パイプ７の上記２つの湾
曲部がスペーサ１２の係止溝１３に圧入されて係止され
る。これによって，上記放熱パイプ７の迂回管部９は，
上記湾曲部から先端までの間で往き管１０と戻り管１１
との間が上記所定の間隔Ｅに保たれると共に，上記湾曲
部の変形が防止される。このように, 放熱パイプに力が
加わったときに最も変形しやすい上記湾曲部が上記係止
部材で固定されることにより, 放熱パイプの変形による
位置ずれが効果的に防止できる。続いて，上記放熱パイ
プ７の上記湾曲部を係止した状態のスペーサ１２が外箱
６の側板６_a の前面フランジ２１と後部板２２の間に挿
着され，更にスペーサ１２のリブ１４が後部板２２の切
欠部１５に挿着される。これによって上記スペーサ１２
は外箱６に対する上下方向位置が固定され，それによっ
て上記放熱パイプ７の湾曲部の外箱６に対する上下方向
位置が固定される。そして，上記した状態で側板６_a が
内箱５の側面に嵌合される。このとき，上記スペーサ１
２の弾性部２４が内箱５の切欠穴２３に密着し切欠穴２
３を閉塞する。上記スペーサ１２は上記放熱パイプ７の
上記湾曲部を係止しているため，上記スペーサ１２が上
記切欠穴２３の位置に密着することにより，上記放熱パ
イプ７の迂回管部９の横方向への滑りが防止される。従
ってこの状態で，上記放熱パイプ７の２つの湾曲部は，
その間隔，上下左右方向の位置，及びその湾曲角が上記
外箱７及び内箱６に対して確実に固定される。それによ
って，上記迂回管部の往き管１０と戻り管１１，及び基
管部８は内箱５の切欠穴２３の縁部に接することなく且
つタップ板１７のビス穴からずれた仕切壁２の前面の所
定位置に確実に配備され, その後もずれることはない。
以上のように，本実施例の冷凍冷蔵庫において，放熱パ
イプ７は，スペーサ１２によって往き管１０と戻り管１
１との間に所定の間隔を保ち且つ上記湾曲部の横方向の
ずれや変形をも防止するように，上記迂回管部９と基管
部８との境界部に形成された湾曲部において上記スペー
サ１２に一体的に係止され，上記一体の放熱パイプ７及
びスペーサ１２がこのスペーサ１２のリブ１４と後部板
２２の切欠部１５の係合により外箱６に対して所定の位
置に位置決めされる。従って，従来のように放熱パイプ
７の迂回管部９が上下左右方向に位置ずれして損傷する
ようなことがない。また，組立て時に上記放熱パイプの
ずれを防止することに注意を払う必要がなくなるため，
組立て作業が容易化される。更に，冷凍冷蔵庫全体に対
する上記迂回管部９の位置もその所定の位置に確実且つ
作業性良く位置決めされる。それによって，上記仕切壁
２に対する放熱パイプ７の取付け位置にばらつきが少な
くなる為，この仕切壁２に対する熱伝導のばらつきの低
減化を図ることができる。更に，上記外箱６を内箱５に
嵌合した時，スペーサ１２の弾性部２４が内箱５の切欠
穴２３を閉塞するので，外箱６と内箱５の間の気密性が
一定に保持される。それにより，上記外箱６と内箱５と
の間に後に充填される，例えば発泡ポリウレタン樹脂等
の断熱材が外部に洩れることがない。

【０００８】

【発明の効果】本発明によれば，仕切壁により冷凍室と
冷蔵室とに上下に区画されてなる内箱の少なくとも側面
を覆う外箱の内面に配設された基管部と該基管部に略直
角の湾曲部を介して連通され上記仕切壁の前面に沿って
迂回して配備される迂回管部とよりなる放熱パイプによ
って上記外箱及び仕切壁を加熱する冷凍冷蔵庫の放熱パ
イプの配管構造において，上記内箱に上記迂回管部が通
過できる切欠穴を設けるとともに，上記迂回管部の上記
基管部に対する往き管と戻り管の上記湾曲部を所定の間
隔と所定の位置を保って外箱の所定位置に係止する係止
部材を上記切欠穴を閉塞する位置に取り付け，上記放熱
パイプを上記係止部材を介して上記外箱に固定したこと
を特徴とする冷凍冷蔵庫の放熱パイプの配管構造が提供
される。それにより，上記冷凍冷蔵庫の組立て時に放熱
パイプが外箱の所定位置からずれることを容易に防止す
るとともに，上記迂回管部を通過させる必要上設けられ
た切欠穴を閉塞することができ，また，外部からの応力
により変形しやすい湾曲部が固定的に保持される。従っ
て，上記冷凍冷蔵庫の組立て作業が簡単になり，放熱パ
イプの損傷や変形を防止することが可能で，外箱と内箱
の気密性を一定に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例に係る冷凍冷蔵庫の仕切壁
近傍の内箱と外箱との組立て状態を示す拡大図。

【図２】 図１におけるＦ−Ｆ矢視断面図。

【図３】 本発明の背景の一例となる従来の冷凍冷蔵庫
を示す斜視図。

【図４】 上記冷凍冷蔵庫の外箱の内面に配設される放
熱パイプの形状を図３に対応して示す斜視図。

【図５】 図３に示す冷凍冷蔵庫の組立て状態を示す組
立図。

【図６】 図５におけるＣ矢視部の拡大図。

【図７】 図６におけるＤ−Ｄ矢視断面図。

【符号の説明】

１…冷凍冷蔵庫 ２…仕切壁 ３…冷凍室 ４…冷蔵室 ５…内箱 ６…外箱 ７…放熱パイプ ８…基管部 ９…迂回管部 １０…往き管 １１…戻り管 １２…スペーサ １３…係止溝 １４…リブ １５…切欠部 ２３…切欠穴 ２４…弾性部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 仕切壁により冷凍室と冷蔵室とに上下に
   区画されてなる内箱の少なくとも側面を覆う外箱の内面
   に配設された基管部と該基管部に略直角の湾曲部を介し
   て連通され上記仕切壁の前面に沿って迂回して配備され
   る迂回管部とよりなる放熱パイプによって上記外箱及び
   仕切壁を加熱する冷凍冷蔵庫の放熱パイプの配管構造に
   おいて， 上記内箱に上記迂回管部が通過できる切欠穴を設けると
   ともに，上記迂回管部の上記基管部に対する往き管と戻
   り管の上記湾曲部を所定の間隔と所定の位置を保って外
   箱の所定位置に係止する係止部材を上記切欠穴を閉塞す
   る位置に取り付け，上記放熱パイプを上記係止部材を介
   して上記外箱に固定したことを特徴とする冷凍冷蔵庫の
   放熱パイプの配管構造。